以前の「ひとこと」 : 2022年11月後半
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11月16日(水) 「輪ゴムの東京タワー」からのあやとり
11月も後半になりました。今日はあやとりの話だけです。
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子供のころ(50年くらい前です)、「富士山」「(0系の初代の)新幹線」「東京タワー」というのはとてもシンボリックな存在だった気がします。いろいろな遊びの中に自然と登場した気がします。たとえば輪ゴムで「東京タワー」というのを作った覚えがあります。検索してみたら、宴会の瞬間芸みたいな、輪ゴムで東京タワー というわずか6秒の動画が公開されていました。(公開は12年前で、公開以来の閲覧回数は3,000viewくらいのようです。) この動画のものは、私のやっていた作り方とは違いました。
輪ゴムは小さいですし張力が強いので、マグネットボードに固定ができませんでした。短いあやとりひもで作ってみました。
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hh221116-1
東京タワー良く作っていた方法は、Qの構えという呼び名でご紹介した手順で結び目を作って、その結び目の手前の部分を引き出すという手順でした。かんたんなアニメーションファイルにしてみました。(そんなに大きくないファイルサイズなので直接このページに載せます。)
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「Qの構え」から「東京タワー」 「輪ゴムの東京タワー」、きっとやったことがある方は多いのではないかと想像しているのですが、どうなんでしょうか。
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この「輪ゴムの東京タワー」の根本側を左右に作ったかたち、あやとり作品の途中に出てくることがあります。例えば、先週ご紹介したあやとりの途中で、こんなパターンが出てきました。
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- 「ひねりのないサンフィッシュ」
- CW90:パターンを時計回りに90度回転
- パターンを人差し指・中指に移す
- TTF拡張処理(2本指→4本指)
この手順1,2 までを取ると、左右に東京タワーの根元ができます。これを「東京タワーの構え」と勝手に呼ぶことにしました。(いろいろ勝手に呼び名を付けています。)
これはもう少し簡単に取ることができます。
この構えから何かできないかなと思ってやってみました。
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「東京タワーの構え」から、縦の糸を反対の人差し指で取り合って、焼け焦げた葉のククイの終了処理をしてみました。「焼け焦げた葉のククイの終了処理」は中央のパターンをシンプルに装飾する常套手段です。
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hh221116-3 「東京タワーの構え」から縦の糸を取り合ったところは、「ガイアナの星」や「ナウルの太陽」とよく似ていますから、上記の手順は「ナウルの太陽」→「焼け焦げた葉のククイの終了処理」と見かけは同じになるのは自然なことです。もうちょっと「東京タワーの構え」らしさが出せる装飾を考えてみたいと思いました。
(つづく)
<おまけのひとこと>
いろいろ忙しくて今日はあやとりの話題だけになってしまいました。すみません。
11月17日(木) 「光の折り紙」、あやとり
トレーシングペーパーの折り紙の話とあやとりの話です。
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先週末に本屋さんに行ったときに透かしてうっとり 光の折り紙(中村 香代:講談社) という本があったので買ってみました。
そろそろクリスマスシーズンになりますし、クリスマス飾りになりそうなものを何か作ってみようかなと思ったのです。正六角形の対称性のデザインのものを、と思ってこんなものを作ってみました。「キャンドルと星のリース」と名付けられていました。
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表側 裏側 タイトルの由来は、ここにロウソクのかたちができるからなのだと思います。
これは、手持ちのA4サイズ(210 x 298 mm) のトレーシングペーパーから10cm角の正方形を6枚切り出して(2mmほど足りませんがそこは無視して)、その6枚それぞれから同じユニットを折ったものを貼り合わせて作りました。正方形の切り出しの精度の問題もありますし、ユニットがきれいに折れていないこともありますし、バランスよく配置して接着できていないこともありますが、今一つの出来栄えです。
本の指示では各ステップごとに接着してゆくことが勧められています。最初のユニットは接着してみましたが、2つ目以降は最後を止めるところ以外は接着しないで作りました。しっかり折れば大丈夫そうです。
2年前に作った、正六角形1枚から折る雪の結晶の折り紙、気に入ってまだずっと窓に貼ってあるのですが(写真は2年前のものです)、
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今週は明るい時刻に写真を撮る時間がないので、今度の週末にこれらの折り紙と一緒に陽の光を透過させた写真を撮ってみたいと思いました。
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昨日ご紹介した「東京タワーの構え」からこんなあやとりを取ってみました。
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hh221117-1 手順4の説明が不十分なので(きちんと言葉で説明ができていない)、図を作りました。 出来上がり、中央部をもう少し大きく整えればよかったです。
<おまけのひとこと>
今年の紅葉もそろそろ見納めで、いよいよ厳しい冬がやってきます。少しでも明るく楽しく暖かく暮らしたいです。
11月18日(金) 数列の規則を予測する(その1)、あやとり
数字列の規則を予測する話とあやとりの話です。
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数字の並びが示されて、その規則を見つけるような問題があります。たとえば簡単な例として、1,2,3,4,5 … だったら次は 6 というのが自然ですし、
1,2,3,4,5 → 6 1,3,5,7,9 … だったら次は 11 でしょう。
1,3,5,7,9 → 11 同様に、例えばこれらの規則はわかりますか? 最後のものはちょっと面倒です。(すぐ下に答を書くので考えなくてもいいです。)
2,4,8,16,32 → 64 1,4,9,16,25 → 36 3,7,3,7,3 → 7 1,0,-1,0,7 → 28 ○
上に挙げた例はすべて、5つの数字から次の数字を予測するというものでした。
これは、式で書くと以下のような規則で6番目の数字を決めることができます。
さて、ここで与えられた5つの数字をベクトルだと考えて下さい。そして、「魔法の」特別なベクトル(-2,5,-2,-4,4) を用意して、このベクトルと内積を取ります。
ベクトルの内積は、対応する要素同士を掛け算して、それを全部足すという計算をします。最初に挙げた (1,2,3,4,5) を例に、この計算を視覚的に少しわかりやすく書いてみました。
たいへん驚くべきことに、この同じ魔法のベクトルで上の全ての例の第6項が計算できるのです。
さらに、第7項以降も同じ式で次の項を計算できます。
また、ここに挙げた6つの例が特別だというわけではなくて、同様な規則で作られる数列でしたら同じベクトル(-2,5,-2,-4,4) で第6項以降を計算できるのです。ぜひいろいろ試してみてください。ただしこのベクトルでは6項目(以降)の数字に合わない数列ももちろんあります。たとえばフィボナッチ数列はこのベクトルでは生成できません。
いったいこのベクトルはどうやって求めたのでしょう? この話題、Model Vectors(John Prager:2022) という論文で論じられています。
(つづく) ○
今日のあやとりです。「東京タワーの構え」からの別の創作です。
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hh221118-1 取り方の手順からだいたい想像できる出来上がりになりました。
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www.paper-organ.comという、紙で実際に演奏できるちいさなオルガンを作るキットを販売しているサイトがありました。本当にすごいですが、これを作る根気は私にはなさそうです。こちらの紹介記事、A New Modular Paper Organ Allows Users to Build and Tune Their Own Functional Musical Instrumentsも参考になりました。
<おまけのひとこと>
book-off で「理系の英単語」というような名前のCD付きの本が220円だったのでつい買ってしまいました。英語-対応する日本語-もう一度英語、という3回の発話が1セットになっているものが延々と流れます。昨日、通勤の車の中で1時間近く聞いてみたのですが、1回目の英語を聞いてもよくわからなくて、次の日本語訳を聞いて「あ、この単語だったのか」と思うと次の2回目の同じ英語が聞き取れるのです。私のヒアリング能力、全然ダメです。まあそんなことは最初からわかっているのですが。
11月19日(土) 数列の規則を予測する(その2)、あやとり
数字列の規則を予測する話とあやとりの話です。
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昨日、「隠されたある規則に従って作られた5つの数字の数列から、6つ目の数字を推測する」という話で、魔法のベクトル(-2,5,-2,-4,4) との内積を計算すると6つ目が求まるものがたくさんある、という話をご紹介しました。ちょっと解説してみます。(元論文をご紹介したので、興味がある方はすでにご覧いただているかもしれません。)
まず、このベクトルで6項目が求まるのは、定数:an=1、1次:an=n、2次:an=n2、2のべき乗:an=2n、(-1)のべき乗(交互):an=(-1)n の5種類及びその線形和です。6項目を求める演算が線形演算なので、定数項を足してもいいし、定数倍してもいいのは自然です。愚直に説明する式を書いてみました。
6項目を予測してみたい数列 bn が、モデルを満たす数列 an の線形モデルで定義されているとします。
bnも同じ予測モデルが使えることを示すのが目標です。
下記のようにb1、b2…を a1、a2… で表して整理します。
bn も同じモデルで予測できることがわかりました。
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ところで、二次の項 an=n2 、(1,4,9,16,25) → 36 が予測できると、これをずらしたもの、たとえば(9,16,25,36,49) → 64 がなぜ同じ線形モデルで予測できるのでしょう? ちょっとふしぎな気がします。たとえば k だけずらした二次の数列を考えてみます。
展開してみると、1次の項、定数項が同じ予測モデルが使えるならば、任意の値 k だけずらしても大丈夫だということがわかります。
同様に、2のべき乗のモデルも 2k だけ定数倍されているだけなので、任意の値 k だけずらすことができます。
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結局、この予測モデル (-2,5,-2,-4,4) による6項目が正しく予測できるのは、与えられた長さ5の数列 P が以下の5つの数列の重みづけ線形和になっているとき、ということになります。
つまり、S1〜S5 で定義される行列 M と、それに続く6項目のベクトルz=(1,6,36,32,-1)から、予測モデルのベクトル v=(-2,5,-2,-4,4) が計算できるはずです。(面倒なので以下 v と表記します。)
6項目を予測したい数列を P とすると、P v = p6 になってほしいわけです。S1〜S5 はもちろん v と内積を取ると6項目が正しく取得できます。ということは、行列 M と 予測ベクトル v を掛けると結果ベクトル z が出てきます。なので、z にMの逆行列M-1を掛けると v が求まります。(すみません、縦ベクトルと横ベクトルの定義もしない極めて乱暴な説明です。)
Excelで逆行列を計算してみました。(便利です。)
これ、線形代数の例題としてものすごく面白いと思うのですがいかがでしょうか。たとえば、行列Mの列(ここでは Snを縦にしています)を入れ替えると(もちろん対応する出力ベクトルzの要素も入れ替えなければいけません)どうなるでしょうか、とか、Snの数列をシフトしてみる(1からではなく別の数字から始めてみる)と、この予測ベクトル v がどうなるのか、それはなぜなのか、というのが感覚的に理解できるというのは入門者にとって価値があると思うのです。(と、永遠の入門者である私は思うのです。)
(つづく) ○
あやとり、今日は失敗談です。「東京タワーの構え」からの終了処理の研究、「イヌイットの網」と組み合わせてみました。あまり良い結果が得られませんでした。(イヌイットの網の手順等についてはこちらをご覧ください。)
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sf221119-1
イヌイットの網(改)sf221119-2
イヌイットの網(オリジナル)
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hh221119-1 hh221119-2
- 東京タワーの構え
- 縦の糸を人差し指で取り合う
- イヌイットの網の終了処理
- 東京タワーの構え
- 縦の糸を人差し指で取り合う
- イヌイットの網の終了処理(オリジナル)
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hh221119-3 hh221119-4
- ガイアナの星の3本指の構え
- 親指・小指の輪を人差し指の輪の中から
つまみ出して元の指に掛ける- イヌイットの網の終了処理
- ガイアナの星
- イヌイットの網の終了処理
「東京タワーの構え」から始めたパターン、あんまり良くありませんでした。
<おまけのひとこと>
数列の規則を予測するモデルの話、書くのにちょっと時間がかかって更新が午後になってしまいました。
11月20日(日) 数列の規則を予測する(その3)、あやとり
数字列の規則を予測する話とあやとりの話です。
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一昨日からご紹介している5つの数字の列から6項目を推測する話の続きです。p1,p2,p3,p4,p5の5つの数字が与えられたとき、(-2,5,-2,-4,4) という予測モデルのベクトルと内積を取ると p6 が求まってしまうという話です。このベクトルで予測が成立するのは、定数:an=1、1次:an=n、2次:an=n2、2のべき乗:an=2n、(-1)のべき乗(交互):an=(-1)n の5種類及びその線形和でした。またこれではフィボナッチ数列の予測はできませんでした。
元論文(Model Vectors(John Prager:2022))にも記載されていますが、フィボナッチ数列に対応できるためには、下の S4とS5のように、0,1 から始まるフィボナッチ数列と、それを1つシフトした 1,1 から始まるフィボナッチ数列両方を基底となる数列として用意すれば良いのです。
今日は説明は省略しますが、昨日と同様に基底となる数列でマトリクスM を作ってその逆行列M-1を計算し、基底数列の6項目を並べたベクトルと掛け算すると、予測モデルベクトルv=(-1,2,1,-5,4)が求まります。
このモデルベクトル v は、任意の2つの数字から始めてフィボナッチ数列の規則で3項目以降を生成した数列を予測することができます。これはなぜでしょう? (元論文にも「簡単に示せる」とだけ書かれています。)
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この、数列の直近の5つの項の重みづけ和から次の項を予測するという計算、これは線形予測係数そのものです。現実の世界で観測される様々な時系列信号というのは、その背景には複雑な物理現象が潜んでいて、簡単にモデル化することができない場合がほとんどです。とはいえ、完全なランダムノイズでないのであれば、何か周期性や規則性があるのではないか、次に観測される値は直近のいくつかの値と何か関係があるはずではないか、と考えることは自然です。時系列信号の解析というとフーリエ変換して周波数領域で調べるというのはよくやることですが、線形予測分析というのも有力な時系列信号の分析手段のひとつなのです。
線形予測分析に関しては、たとえばこちらとかこちらとかに記載がありました。こういう情報を公開して下さっていてありがたいです。
今回の話は、予測モデルのベクトルが一意に定まるような条件での線形予測係数を求める問題になっていたのでした。非常に面白かったのですが、その面白さを上手く書けたか、うまく伝えられたか自信がありません。
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昨日、イヌイットの網をいろいろ取ったものをご紹介しました。そういえばイヌイットの網は、人差し指の構えから指の輪をひねったときの出来上がりをご紹介していなかった気がしたので、今日はそれを載せておくことにします。
昨日も載せましたが、私が「イヌイットの網の終了処理」と書くときには、下の左のものを想定しています。オリジナルは右です。
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sf221119-1
イヌイットの網(改)sf221119-2
イヌイットの網(オリジナル)なぜ左を「イヌイットの網の終了処理」として使っているかというと、こちらのほうが上下の対称性が高いからです。たとえば、人差し指の構えから全ての指を1回転ひねって「イヌイットの網の終了処理」をしてみましょう。
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hh221120-1 hh221120-2
- 人差し指の構え
- 全ての指を向こうへ1回転ひねる
- イヌイットの網の終了処理
- 親指で人差し指の向こうの糸を取る
- 以下省略
- 人差し指の構え
- 全ての指を向こうへ1回転ひねる
- イヌイットの網の終了処理(オリジナル)
- 親指を人差し指の輪に上から入れ、
小指の手前の糸を取る- 以下省略
左のもののほう(オリジナルではないほう)が対称性が高くて美しいのです。
人差し指だけをひねる場合、親指・小指だけをひねる場合もやってみました。
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hh221120-3 hh221120-4
- 人差し指の構え
- 人差し指を向こうへ1回転ひねる
- イヌイットの網の終了処理
- 人差し指の構え
- 親指・小指を外側へ1回転ひねる
- イヌイットの網の終了処理
親指・小指をひねった場合、人差し指をひねってもひねらなくても射影図としては同じになっています。(交差の上下が違っている箇所がありますが。)この「最初の構えから各指のひねり方(ひねりの有無や方向)を変えて同じ終了処理をやってみる」ということを繰り返すと、その終了処理の良い練習になります。
<おまけのひとこと>
気が付いたら今日も更新が午後、それも15時近くになってしまいました。
11月21日(月) 数列の規則を予測する(その4)、トレーシングペーパーの折り紙、あやとり
数列の規則を予測する話と折り紙の話、あやとりの話です。
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数列の各項をベクトルの要素とみなして、予測モデルベクトルと内積を取ることで数列の次の項を計算できるというモデルベクトルの話を3回ほどしてきました。昨日で終わりにするつもりだったのですが、フィボナッチ数列の予測モデルの2つの基底数列について少しだけ追加でやってみたことがあるので今日はそのご紹介です。
昨日の「任意のフィボナッチ数列の予測ができるための基底となる2つの数列」ですが、要は最初の2項が (0,1) と (1,1) であれば、この線形和で任意の初期値(p1,p2)が生成できるのです。もっと基底らしくしようと思って、(0,1) と (1,0) で始まるフィボナッチの規則の数列を基底数列としてみました。比較のために昨日の基底数列をもう一度載せておきます。
(0,1)と(1,1)からのフィボナッチ数列 上のもののS5を下のように変えてみました。これも「シフトしたフィボナッチ数列」です。
(0,1)と(1,0)からのフィボナッチ数列 同様にマトリクスM を作ってその逆行列M-1を計算し、基底数列の6項目を並べたベクトルと掛け算してみます。こちらも比較のために昨日のものを再掲します。
(0,1)と(1,1)から 行列Mが変わるので逆行列M-1も変わりますし、6項目を並べたベクトルzも1か所変わります。
(0,1)と(1,0)から 途中経過は変わりますが、得られる予測モデルベクトルは同じv=(-1,2,1,-5,4) になりました。
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先日の「キャンドルと星のリース」という名前のトレーシングペーパーのユニット折り紙、窓に貼ってみました。
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拡大すると(クリックすると拡大します)粗が目立つので、このくらいのサイズの画像で見るのが良いかもしれません。
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「東京タワーの構え」から、縦の糸を反対の人差し指で取り合ったところから「アムワンギヨ」をやってみました。
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- 東京タワーの構え
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- 右人差し指で、左の三角の輪の縦の糸を取る
- 左人差し指で、右人差し指の輪の中から右の三角の輪の縦の糸を取る
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- 「アムワンギヨ」
普通の「アムワンギヨ」とは中央部分の糸の掛かり方が異なります。
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アムワンギヨ 一見、調整すれば「アムワンギヨ」と同じにできそうに見えますができませんでした。
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久しぶりに 正々堂々と秘境駅に行ってきた を見に行ったら、2019年夏と秋の旅行記が公開されていました。相変わらず楽しく読ませていただきました。
しばらくかるかんタイムズも見ていなかったのですが、県外から来られたかたの長野県訪問記で1泊2日で長野県を旅したので写真貼ってくという記事を読んでいたら、北斗神社が出てきました。自分が気に入っているマイナーなところが取り上げられているのが嬉しいです。
<おまけのひとこと>
今は朝5時で外はまだ真っ暗ですが、雨が降っている気配がします。ということはそんなに寒くないのかな、と思います。少なくとも車の窓は凍っていないでしょう。今日は会議がたくさんあって忙しいです。自分の仕事の時間はほとんど確保できない感じです。まあそういう日もあります。
11月22日(火) 級数を面積で表す、あやとり
級数を面積で表す話とあやとりの話です。
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arxiv.org で Packing 1.35・1011 rectangles into a unit square(Mingliang Zhu, Antal Joos:2022) という論文を見かけたので、その問題設定の簡単なご紹介です。(論文の内容はまだ理解していないので、前提の部分だけのご紹介です。)
1に収束するこんな無限級数があります。
この極限を求めるのは高校でも習ったような気がしますが、こんな風に部分分数分解すると途中の項がすべて打ち消しあって消えるのです。
なので、極限が1になることがわかります。
この級数、あえて部分分数分解せずに、素直にこんな分数同士の掛け算だと解釈してみます。
これを図形的に解釈してみます。つまり、1つ1つの分数の積を長方形の面積である、と考えるのです。図示してみます。
上の図の右側の、どんどんちいさくなってゆく長方形の列がこの級数の各項を表しています。これらの長方形の面積を全部(無限にありますが…)足せば1になるわけです。ということはこれらの長方形をうまく配置すると、1辺の長さが1の単位正方形(上の図の左側の黄色い正方形)に重ならずはみ出さずに並べることができる可能性があります。「この級数は1に収束するのだからこれらの長方形をうまく並べたら単位正方形に入るのではないか?」と思い付いた人は素晴らしいと思いますし、それに関する研究論文が発表されているのも楽しいです。(リンクは張りませんが、上記の論文の参考文献のいくつかは検索するとpdfが閲覧できました。)
上の論文では、このどんどん小さくなってゆく長方形の列を、なんと 1.35×1011(1,350億個)まで入ることをコンピュータで確かめた、ということが記載されています(と思います)。下の図は論文の最初の図で、1,000個までの長方形が描かれているそうです。
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Figure 1 of above paper 結局、ある程度のヒューリスティクス(発見的手法)が必要なようなので、無限に小さくなってゆく長方形が全て単位正方形におさまると証明することは難しい、なので計算機の助けを借りて、「ここまでは入った」ということを示しているのだと思います。そのあたりはまだ全く読めていないのでわからないのですが、計算機をどう使ってどうやって示しているのか、全く想像がつきません。
それにしてもこの問題、初めて知りました。面白い。
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あやとりです。「イヌイットの網」をいろいろ試す中で、こんなものができました。
上の2つのあやとり、どこがどう違うかわかりますか? 4本指の構えから中指の輪を無視して普通の人差し指の構えのつもりであやとりを取る、というのは思いの外おもしろいです。
(つづく) ○
昨日の通勤の帰り道、いつものように高速道路に乗ったら、「逆走車のため塩尻ICから岡谷ジャンクションまで通行止」という表示が出ていてうんざりしました。塩尻ICに近づくと、大型トラックが路肩にたくさん止まっていました。塩尻ICまで行ってしまうと強制的に高速から降りなければならなくなるので、高速道路上で開通を待っているのだと思いました。16時45分ころに通行止めになって、19時45分ころに開通したようです。
昨日は会議がたくさんあったのですが、おおむね上手くいきました。気分よく定時で仕事を終え、幸いに会社の駐車場の出口の渋滞にも合わずに順調に高速道路に乗ったのですが、よもやの通行止めでした。通行止め区間の始まるICの出口はもちろん大渋滞していました。塩尻峠は快適に走れたのですが、岡谷の街中を抜けるのにかなり時間がかかりました。結局会社を出てから帰宅するまで2時間、いつもの倍かかりました。一日の仕事を終えて疲れのある状態で、神経を使う渋滞の運転はなかなか大変でした。でも、開通を待つよりもはるかに早く帰れたと思います。
ちなみに、塩尻ICから先は通行止めと表示が出ていたのですが、特に路上にはコーンや車止めなどは置かれておらず、表示を無視して通行止め区間に速度を落とさずに走ってゆく車が何台もいました。もちろん、すでに安全確認が終わっていて「通行止め解除」の表示の切り替えが遅れているだけ、という可能性もあるかもしれませんが、あまりに危険な賭けだと思います。「日本はルールを守るマナーの良い社会だ」などと言われることがあるみたいですが、「どこが?」と思います。
逆走もやりたくてやったわけではないでしょうけれども、なぜそんなことが起こってしまうのだろうと思います。全ての車が自動運転になればそういうことはさすがになくなるのかなと思いました。でも機械や計算機を信用しすぎるのもリスクがある、とも思いますが。
<おまけのひとこと>
先週の木曜日、金曜日、それから昨日の月曜日と、3稼働日連続で出社しました。最近では珍しいです。
11月23日(水) 汽車時間表1925年4月号復刻版、あやとり、音楽のページ
祝日(勤労感謝の日)です。今日はちょっと毛色の違う話です。
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特に予定のない週末はだいたい近隣の図書館に行くのですが、いつも「新しく入った本」のコーナーから最初に見ます。先月図書館に行ったとき、そのコーナーに 時刻表復刻版 1925年4月号 創刊号という本(ムック)があって借りてみたらものすごく面白かったので、すぐに自分でも買いました。
上記の公式サイトの「試し読み」から、最初の数ページが閲覧できます。実際の時刻表の部分は閲覧できませんが、冒頭の路線図は見ることができます。こんな感じです。(下の画像、クリックすると少し拡大します。それでも駅名とかは読むのが難しいと思いますのでオリジナルサイトの試し読みをご覧ください。)
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時刻表1925年4月号より いろいろな楽しみ方ができます。朝鮮半島や中国大陸、台湾や樺太の路線や定期航路が載っていたりするのも当時の時代を感じさせます。私の姉の配偶者の御父様が当時の帝国大学の1つであった哈爾濱(ハルピン)大学を卒業されたのですが、路線図を見ると長春から延びる線に「至哈爾濱」と書かれており、該当ページを見ると哈爾濱到着時刻がわかります。1990年に私の父が倒れた時、非常にお世話になったのですが、その後数年で亡くなられました。哈爾濱の冬はとても寒く、氷点下40℃とか50℃とかになることもあり、当時の主要交通機関であった馬車の御者が身体を温めるために非常に強い蒸留酒を一気に喉に流し込んでいた、といった話を印象深く覚えています。途中の旅程の話とかもっと聞いておければよかったなあと今さらながら思います。当時はそんな余裕はありませんでしたけれども。
…などといろいろ連想が広がります。当時と今とで、主要な駅間の所要時間がどのくらい違うのかというのをまずいろいろ眺めてみたり、列車の本数がどのくらいあるのかを見てみたりしています。
ローカルな話題になりますが、私が住んでいる長野県のあたりの路線を見てみました。その部分だけ、「試し読み」の路線図の画像から切り出してみました。
わかりにくいので自分で路線図を作ってみました。駅名も、できるだけ当時の表記に近い漢字を選んでみました。こんな図を作ってもなんの役にも立たないのですが、作業そのものが楽しかったのです。「なんにも用事がないけれど、汽車に乗つて大阪へ行つて来ようと思ふ」の阿房列車(内田百閨jの精神です。
飯山線(豊野⇔西大滝)、小海線(小諸⇔小海)、大糸線(松本⇔信濃大町)、飯田線(辰野⇔飯田)は現在からするとまだ途中までしか開通していません。軽井沢⇔嬬恋間とか、大屋⇔丸子町間とか、廃線になってしまいました。(それどころか信越本線も新幹線開通に伴ってしなの鉄道になってしまいました。)当時の松本⇔信濃大町間より、松本⇔島々間のほうが本数が多いのだな、とか、当時は岐阜県の中津川から都内の飯田町(当時)まで直通の列車があったとか、眺めていて興味は尽きません。
今の時刻表は24時間表記ですが、当時は午前の時刻が細字、午後の時刻が太字で表記されていて、ちょっと読み取りにくいです。ちなみに当時は「汽車時間表」と言っていました。私が幼いころはまだ「時間表」と言われていました。
こういうものがお好きな方、お勧めです。
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昨日の、「4本指の構えから中指を無視して(普通の人差し指の構えのつもりで)あやとりを取る」というもの、まずは「ナウルの太陽」でやってみたのです。結果を見て驚きました。同様に4本指から中指を無視して「ガイアナの星」というのも工夫してみました。
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hh221123-1 hh221123-2
- 4本指の構え
- 人差し指の構え
- 小指を外す
- 小指で人差し指の向こうの糸を取る
- 中指で手のひらの糸を取り合う
- 中指を無視して「ナウルの太陽」
- (上下を逆にして)カロリン展開
- 中指の構え
- 親指を外す
- 親指で中指手前の糸を取る
- 中指を無視して「ガイアナの星」
- カロリン展開
これ、伝承作品の「サンゴ」と同じ射影図になるのです。(「サンゴ」については昨年5月に書いています。)
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糸の交差の上下を比べてみると、上の3つは全て違います。覚えやすさで言うと「ナウルの太陽」や「ガイアナの星」から取るほうが好みです。このかたち、こんな手順でもできるんだということがわかったのがとても嬉しかったです。
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最近またシューマンのピアノ曲に興味が出てきています。いろいろ調べていたら、PIANO PRACTICAL EDITIONS というサイトに行き着いたのですが、ここが素晴らしいのです。Ray Alstonという方が公開されています。この方はピアノの演奏家であり、作曲家であり、ピアノの教育者でもあります。特にピアノ教育のための教材として、独自の教本を編集されたり、楽譜の表記を工夫されたりしていて、それがとても面白いですし、選曲がまたすばらしく良いのです。pdfで公開されている楽譜を眺めていたらあっという間に時間が経ってしまいました。
<おまけのひとこと>
今日は祝日です。週の真ん中に1日お休みがあるというのは嬉しいです。
11月24日(木) 3Dプリンタによる数学の図形の連続的な変化の可視化、あやとり、他
arXiv で見かけた論文のご紹介と、あやとりの話です。
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Deformation Spaces and Static Animations(Gabriel Dorfsman-Hopkins:2022) 「変形空間と静的アニメーション」という論文を見かけました。パラメータを変えることでかたちが変わる平面図形を用意して、そのパラメータを少しずつ変えたときにできる図形を3Dプリンタで積層して造形することで、変化の様子を立体図形として捉えようという試みです。たとえばジュリア集合の例としてこんな写真が載っていました。
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the picture of above paper ほかにもたくさんの画像が紹介されているのでご覧ください。パラメータで変化する平面図形を3次元図形だと捉えるのは自然な発想ですが、それを複雑な形状のもので造形してみたというところが面白かったです。
それにしても、断面を見ないとこれがどんな図形なのかさっぱりわかりません。
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「4本指の構えから中指の輪を無視して普通の人差し指の構えのつもりであやとりを取る」シリーズです。「7つのダイヤモンド」と「ダンスの舞台」を試してみました。
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hh221124-1 sf221124-1
- 4本指の構え
- 人差し指の構え
- 小指を外す
- 小指で人差し指の向こうの糸を取る
- 中指で手のひらの糸を取り合う
- 中指を無視して「7つのダイヤモンド」
7つのダイヤモンド
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- 4本指の構え
- 人差し指の構え
- 小指を外す
- 小指で人差し指の向こうの糸を取る
- 中指で手のひらの糸を取り合う
- 中指を無視して「ダンスの舞台」
ダンスの舞台 だんだん規則性がわかってきました。
○
昨夜は日本時間の22時からサッカーワールドカップの日本対ドイツの試合がありました。妻から「一緒に見ようか」と誘われたので、いつもなら完全に寝ている時刻なのですが珍しく観戦することにしました。前半のボールの支配率の低さに、「まあそうだよね」と思いながらも良く走って頑張っているなあと思いながら見ていました。後半は眠くて寝てしまったのですが、今朝結果を知ってとても驚きました。頑張って起きてればよかったですが、前半だけでもリアルタイムで見て良かったと思いました。
<おまけのひとこと>
妻が冗談で「2019年のラグビーワールドカップの時もアイルランド戦を一緒に観戦したら奇跡の勝利だったから、今年のサッカーワールドカップのドイツ戦も一緒に観戦するといいかも」と言っていたのですが、まさか本当に勝つとは。
11月25日(金)「音楽・数学・言語」、あやとり
本の話とあやとりの話です。
○
ちょっと前に音楽・数学・言語 情報科学が拓く音楽の地平(東条 敏、平田 圭二 近代科学社:2017) という本を店頭で見かけて買ったのです。(確か南松本の宮脇書店だったと思います。)これがかなり面白かったのです。各章ごとに異なる切り口で音楽について論じられています。第1章では認知科学的に音楽の意味を考えます。第2章は音律です。第3章では自然言語と音楽の関係について議論されます。第4章で現代のポピュラー音楽で必須の和声記号であるバークリー・メソッドについて解説され、第5章以降は生成的音楽理論(generativee music theory) が紹介されています。このあたりは全然知らなかったので非常に面白かったです。
この本の最後、「おわりに」には、音楽におけるオープンクエスチョンとその質問の意図や意味が11ページに渡って語られています。これを引用して列挙させていただきます。
- 12音平均律に代わる新しい音律が支配的になることがあるか
- いまの五線譜は生き残るか
- 音楽はメロディー・リズム・和声と異なる次元を提示するか
- 鍵盤の意義は何か
- アマチュアの演奏家は生き残るか
- プロの演奏家は生き残るか
- 人間の作曲家は生き残るか
- コンサートの意味はどう変化するか
- オーディオ文化の復活はあるか
- ヴィジュアルを離れて音だけを聞く音楽が存続するか
- 音楽家や聴者の自己意識を扱えるか
- 100年後も生き残っている音楽を今判定することができるか
- 音楽にシンギュラリティが訪れたら(どうなるか)
最後の問いのカッコ内は原著にはなく、私が補足したものです。(これを補わないと、書きかけ・未完成の文に見えるかなと思いました。)
技術の進歩で私たちの生活はどんどん変わっています。太古の昔は衣食住すべては自分で作ることが当たり前だったはずですが、分業が進み、工業化が進み、身の回りには自分では作れないものにあふれています。また、スポーツにしても音楽にしても世界の一流のレベルはすさまじく高くて、専門でない個人が限られた時間の中でそのレベルを目指すことは非現実的です。でも、自分のレベルなりにアマチュアでスポーツを楽しむ人は絶滅しないでしょうし、自分の楽しみのために歌を歌ったり楽器を演奏するという習慣もなくならないのではないかなあと思います。生活の中にそういう余裕がある限りは、ですが。
楽譜が好きな私としては、楽譜が今後どうなってゆくのかは興味があります。音楽の録音・再生が極めて容易に手軽にできるようになっています。スズキメソードのように、耳から聴いて音を覚えるという流儀もありますが、あまり普及しているとは言えないと思います。今の五線譜は妥協と進化の産物で、合理的ではないのは事実です。認知科学的には数えないで直観的に数が把握できるのは4から5までと言われていますので、五線譜の線が5本、間が4つというのは合理的だと思います。また、特別な訓練をしていない一般の人が歌える音の高さはせいぜい2オクターブです。バロック時代までの多くの旋律楽器の音域も2オクターブ半くらいでした。なので、音部記号(ト音記号とかヘ音記号のことです)を工夫することで大部分の楽器の音楽は五線からあまりはみ出さないで記述できたのです。
過去の膨大な資産を考えると、別な「楽譜」が普及するとはあまり思えない気がしますが、たとえばリュートやギターで使われているタブ譜(タブラチュア)のように、音の高さではなく楽器の操作を記述する方式もありますし、本当に今後どうなってゆくのか、楽しみではあります。
連想したことを書き始めるときりがないのでこのくらいにしておきますが、非常に面白い本でした。ちょっと高かったですが買ってよかったです。音楽と数学・計算機による情報処理に興味がある方でしたら、図書館等で見かけたら「はじめに」と「おわりに」だけでも読んでみると面白いと思います。
○
4本指の構えから中指を無視して取るあやとり、「二段ばしご」「四段ばしご」をやってみました。
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- 4本指の構え
- 人差し指の構え
- 小指を外す
- 小指で人差し指の向こうの糸を取る
- 中指で手のひらの糸を取り合う
- 中指を無視して「二段ばしご」
- 4本指の構え
- 人差し指の構え
- 小指を外す
- 小指で人差し指の向こうの糸を取る
- 中指で手のひらの糸を取り合う
- 中指を無視して「四段ばしご」
これは対称性があっていいですね。
<おまけのひとこと>
今日は平日なのに音楽の話にしてしまいました。
11月26日(土)図形の問題、あやとり、他
図形の問題のご紹介とあやとりの話です。
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こんな図形の問題を見かけました。
頂角が30°の二等辺三角形ABCがあって、辺AC上にDA=DB となる点Dを取ると、距離ADは2cmでした。△ABCの面積を求めなさい、という問題です。
ニュースサイトで図を見かけて、まずは紙や鉛筆を使わずに頭の中で考えてみました。シンプルな答になりました。なかなか面白かったのでご紹介します。
○
「4本指の構えから中指の輪を無視して普通の人差し指の構えのつもりであやとりを取る」、いろいろ実験してみています。私がいつも「4本指の構え」と呼んでいるのは、「ナウルの構え1」です(下図左)。もう1つ、一見しただけでは区別が難しい「ナウルの構え3」というのがあります(下図右)。石野さんのあやとりサイトのあやとりの用語のページには、基本的な構えや操作が言葉で説明されていますが、その中に「ナウルの構え1」と「ナウルの構え3」も出てきます。
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ナウルの構え1(左)とナウルの構え3(右) なぜ1の次が3なのだ、2はどうしたんだ、と思われるかもしれませんが、「ナウルの構え2」は5本指の構えになります。一応言葉で説明しておくと、以下のようになります。(ナウルの構え1のほうは自己流で、石野さんのサイトの説明とは手順が異なりますが出来上がりは同じになります。)
ナウルの構え1 ナウルの構え3
- 人差し指の構え
- 小指を外す
- 小指で人差し指向こうの糸を取る
- 中指で掌の糸を取り合う
- 中指の構え
- 親指を外す
- 親指で中指手前の糸を取る
- 人差し指で掌の糸を取り合う
前後(手前と向こう)が逆になっているのがわかりますでしょうか。
これまで、「ナウルの構え1」と「ナウルの構え3」で違いが出るようなあやとりはあまりご紹介してこなかった気がしますが、この「4本指の構えから中指を無視して…」という手法を適用すると、この2種類の4本指の構えの違いが現れることがあるのです。以下の例をご覧ください。
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- ナウルの構え1(4本指の構え)
- 人差し指の構え
- 小指を外す
- 小指で人差し指の向こうの糸を取る
- 中指で手のひらの糸を取り合う
- 中指を無視して「ナウルの太陽」
- ナウルの構え3(4本指の構え)
- 中指の構え
- 親指を外す
- 親指で中指手前の糸を取る
- 人差し指で掌の糸を取り合う
- 中指を無視して「ナウルの太陽」
ご覧のように「ナウルの構え1」から始めると「サンゴ」と同様に上が分離したかたちになりますが、「ナウルの構え3」から始めると上の左右の2つの輪が絡んだ状態になるのです。
ちなみに、4本指の構えから人差し指の輪を無視して(中指の輪を人差し指の輪だとみなして)取ることも試してみました。「ナウルの構え3」から始めてみると上下逆になりました。
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「ナウルの構え3」→人差し指を無視して「ナウルの太陽」こういう実験をいろいろやってみると面白いです。ナウルでは昔(200年くらい前?)あやとりが流行したときに、途中の操作を見ずに完成形だけを見てそれを復元するという競技があったそうですが、こういういろいろな操作の組み合わせはしっかり研究されていたのだろうなと思います。
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今年買ったキッチン用品の中で特に気に入っているのがホットサンドメーカーです。先日、たまごサンドを作ってみました。たまごサンドというとゆで卵を作ってスライスしてマヨネーズで和えてたまごペーストを作る、というのが面倒です。なので簡易的な方法を試してみました。
8枚切りの食パンを3枚用意して、うち1枚の真ん中を四角くくり抜きます。こういう作業には小ぶりのセラミック包丁を愛用しています。
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写真 1 中身(たまごペーストの素)を用意します。たまごを1つ、耐熱容器に割り入れてしっかり溶きほぐします。ホットサンドメーカーで加熱したときに適度にかたまるように、電子レンジで軽く加熱しておきます(600Wで20秒程度)。加熱しすぎるとここで固まってしまうので、やりすぎには注意です。温まった溶き卵にマヨネーズを適量入れて、ざっと混ぜます。普通に卵ペーストを作るとき、けっこうな分量のマヨネーズを使いますが、そのイメージで作ってみました。
作った「卵ペーストの素」を、さきほど用意した枠の中に注ぎ込みます。
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写真 2 食パンをもう1枚重ねて、ホットサンドメーカーでしっかりはさみます。通常だとガスコンロの五徳に直接載せて片面1分半ずつ焼くのですが、今回は中の卵に熱を通しつつ、食パンが焦げないように五徳から浮かせてホットサンドメーカーを保持し、円を描くように動かしながら片面2分ずつ加熱し、再び最初の面を1分加熱してみました。こんな感じに焼き上がりました。
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写真 3 向こう側に切り取った食パンの内側の部分が見えています。
おそるおそるカットしてみました。
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写真 4 良い感じです。写真が撮りたくてカットしたので、食べるときに中身が押し出されてこぼれだしてしまいました。それをさきほどの切り抜いた食パンの白いところで拭き取って食べました。また、溶き卵を作った容器にはお湯とスープの素を加えて簡易たまごスープにしました。洗い物が楽になります。
自分ひとりで作って食べるときは、お行儀が悪いですが食器を出したりせずにキッチンで立ったまま食べたりします。ガスコンロで加熱する時間を利用して、使い終わった調理器具は洗ってしまうのが好みなのですが、今回はホットサンドメーカーをずっと持って火であぶり続けていたので、途中で洗い物ができないのがちょっと残念です。(食べ終わって満足すると、とたんに後片付けが面倒になるのです。)
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東京で働いている娘から、勤務先の会社が取材を受けてテレビに出ることになったという連絡をもらいました。その放映が昨晩ありました。日経スペシャル SDGsが変えるミライ〜小谷真生子の地球大調査 というBSテレ東の番組で、2022年11月25日(金) 21:00-22:24 ということでした。おしまいのほうに登場していました。立派になってくれて、親としては感無量です。
<おまけのひとこと>
昨日の「音楽・数学・言語」について、声楽が専門の妻から「ちょっと西洋音楽に偏りすぎた分析な気がする。世界の音楽の中には五線譜で書かれない、伝承されている音楽がたくさんあるはず。」という感想をもらいました。確かにそうですね。個人的に身近なところでは、長野県の諏訪地域では7年ごとの御柱祭という昔からあるお祭りがあるのですが、そこで歌われる「木遣り」は今でも完全に口述で伝承されています。
11月27日(日) 図形の問題の解説、楽譜、あやとり
昨日の図形の問題の解説(言葉だけ)と音楽の話、あやとりの話です。
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昨日ご紹介したこの図形の問題の解説を書きます。解説図は別に用意してリンクだけ張りました。
二等辺三角形ABCの面積は? この問題、二通りの解法を考えました。三角比・三角関数を学んだ高校生なら、一切の補助線を必要とせずに計算できます。△DABに余弦定理を適用すると辺ABの長さが求まります。△ABCは頂角が30°の二等辺三角形なので、sin関数を使った二辺挟角の三角形の面積の公式を使うと、△ABCの面積が求まります。(説明図はこちら。)
もう1つ、小学生に説明するならこうかな、という解を思い付きました。平方根は出てきません。辺AB上に AE=ADとなる点Eを取ります。(図は左右対称になります。)△ABCの面積を求めるために、小さな相似の△ADE と、その下の等脚台形DEBC に分けて考えるのです。等脚台形の対角線の交わる角度がポイントです。説明図はこちらです。
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この季節になるとクリスマスの音楽を鍵盤で弾きたくなります。王様のピアノ クリスマス 第3版(全音:2020)という楽譜を買いました。YouTubeに演奏例が2例ほど公開されていました(『牧人ひつじを』Traditional 編曲:上田真樹、『おめでとうクリスマス』Traditional 編曲:轟千尋)。
この曲集、素敵な編曲が多くて弾いていて楽しいのですが、特にすごいと思ったのが「クリスマスの12日」(Traditional 編曲:水上浩介)です。(リンクはオフィシャルサイトの「試し読み」の該当ページです。こういうリンクはルール違反でしょうか。) 余談ですがオフィシャルサイトの「試し読み」がすごいのです。画面全体に大きなSampleの文字が重ねられてはいるものの、掲載曲全ての冒頭の2ページが確認できるようになっているのです。2ページだけの曲の場合、全曲が閲覧できるということになります。
クリスマスの12日間(リンクはウィキペディアです) というのはクリスマスを祝う歌で、韻を踏んだ歌詞で数え歌のような歌なのだそうです。旋律は民謡から取られたものが普及しているそうですが、4拍子で始まって、途中で3拍子で畳みかけるようなリズムになるのが面白いです。(バロック音楽でいうところの「ヘミオラ」のような技法です。)
この楽譜の「クリスマスの12日」は、ハ長調から始まって、テーマを1回奏でるごとに半音ずつ転調しながら12の調を順番に巡り、最後はロ長調で終わるという構成になっています。曲のタイトルの12から、12音階の全ての調を順に巡るというアイディアが本当に素晴らしいと思うのです。変奏曲のように毎回演奏のパターンは変わりますが、速度やリズムは変えずに調の変化だけをいじっているので、より作曲の縛り(拘束条件)は厳しいです。12の調を巡る様子を図示してみたいと思って、こんな図を作ってみました。
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上の図は最初の6つの調です。(すべて長調です。)楽譜は6ページに渡っているので、だいたい1つのページに2つの調が出てきます。
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楽譜や調性の概念に馴染みのある方でしたらこんな図は必要ないでしょうし、逆にあまり馴染みのない方はこの図を見ても面白いとは思われないだろうと思います。ということはこの図を載せても意味が無いのかも、と思ったのですが、調の名前を書いたり、鍵盤の図を用意しておいて和音の該当する鍵に色を付けたりする作業が楽しくて図を作ってしまったので公開することにしました。図はクリックすると拡大します。(間違いに気付かれた方がいらしたら教えていただけると嬉しいです。)
12に注目したこの編曲のコンセプトに感激したので妻にそう話したのですが、あまり共感してもらえませんでした。「半音転調は別に珍しくないよね?」という感じです。確かに演奏を聴いているときに何回転調したかなんて、歌詞があってそこに数字が出てくるならともかく普通はわかりません。曲そのものを耳から聴いて生み出される心象には、こういったこだわりや工夫は影響力を持ちません。まあ確かに一理あります。でも、音楽におけるこういった密かなこだわりや遊びは好きです。楽譜には何一つ解説やコメントは書かれていません。そこも良いなあと思いました。
他にも感心した編曲がいくつもありました。この楽譜、お勧めです。
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図形の問題の解説図を作ったり和声の図を作ったりしていたら時間がなくなってしまったので、今日ご紹介するあやとりは簡単な内容です。
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4本指の構え→人差し指を無視して「材木運び」材木運び はこんなあやとりです。
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4本指の構えから中指を無視して「材木運び」、思った通りの出来上がりです。
<おまけのひとこと>
昨日は実に久しぶりに笛をたくさん(2時間くらい?)吹きました。
11月28日(月) おりがみ、あやとり
おりがみの話とあやとりの話です。
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図書館で、月刊「おりがみ」のバックナンバーから12月号だけを6冊借りてきました。
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月刊「おりがみ」12月号(2010-2015) これは日本折り紙協会の月刊誌です。折り紙協会の会員からの創作おりがみ作品の投稿だけでこういった雑誌が月刊で存在しているというのはすごいことだと思います。(図書館には2015年までのバックナンバーしか置かれていませんでした。検索してみると最新号は568号(2022年11月1日)のようでした。)
過去にもおそらく1冊ずつで借りたことがあって、目ぼしいものは折ったことがあったので、今回新たに折ってみたいと思ったものは残念ながらそれほど多くなかったのですが、以下のようなものを折ってみました。
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ツリーのディスプレイ(472号)、煙突のペン立て(424号)、サンタブーツ サンタブーツはこちらを見て折りました。いずれも15cm角の正方形1枚から折っています。易しい折り紙です。
○
今年取ったあやとりのうち、まだ未紹介のものがけっこうたまっています。取った直後は「なかなか良いものができた」と思うのですが、時間が経つと「いまひとつだな」と思うようになってお蔵入りしてしまっていたりするのです。そんなものを順次ご紹介してゆこうと思っています。
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- 折り返しの3本指の構え
- 5本指の構え
- 人差し指・薬指を外す
- ダブルハートの処理
- (親指・小指を無視して)「サンフィッシュ」
- 親指・小指を内側に1回転ひねる
- タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理
今日のものは、最初の構えだけをちょっと変えてみたのだった気がします。普通に「人差し指の構え」から同様なあやとりを取ったことがある気がします。素直に手順通りの出来上がりになっていて、「ダブルハート」の要素、「サンフィッシュ」の要素、「タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理」の要素がわかりやすい仕上がりです。
○
妻がJRの切符予約システムの「えきねっと」で、12月に出かけるときの切符の予約ができずに困っていました。土曜日に往路の予約はできて、出かけたついでに発券してきたのですが、昨日同じ手順で復路の予約をしようとすると、最後のクレジットカード決済のところで「できません」と表示されてしまうのです。いつも、そのカードで決済ができていて、しかも前日にもそのカードで決済できていたのです。以前にもときどき処理に失敗することがあり、少し時間をおいてからもう一度予約システムに入力すると決済できたりしていたのですが、昨日は午前中にやってみてダメ、午後もやってみてダメ、端末(スマートフォン)を再起動してみたり、PCからやってみたりしてもダメ。えきねっとの「よくあるご質問」で調べてみると、今まで決済できていたクレジットカードなのに、エラーとなり購入完了できない という項目があったので見てみると、「3Dセキュア2.0」のパスワード設定をしていないためではないか、と書かれていたので、その設定をしてみてもやっぱりダメ。
私がいつもJR券の予約に使っているクレジットカードで私のPCで試してみたら無事購入ができました。でも、ダメだった理由がわかりません。検索してみると、【えきねっと】クレカエラーの対処方法や解決策を調査!という記事がありました。この問題、多発しているらしいです。
予約システムへの入力は気を遣います。特に日付の入力を間違えると悲惨なのですが、途中の列車の選択や座席の選択の画面では日付が表示されないので怖いです。何度も入力を繰り返すのは時間もかかりますし疲れます。システムを提供する側の大変さもよくわかりますが、でも善処を期待したいです。
<おまけのひとこと>
来週はもう12月ですね。喪中はがきが届き始めました。
11月29日(火) 数え上げ(その1)、あやとり
数え上げの話とあやとりの話です。
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辺の長さが2×3の長方形を考えて、1×1 の6つの領域に○印を付けるときの場合の数を考えてみます。回転や裏返しをして同じになるものは同じと考えます。
○印がゼロ個の場合はもちろん一通りです。○印が1個の場合、場所は6か所ありますが、回転や裏返しを許しているので、角に印をつけるか長辺の中央に印をつけるのかの2通りしかありません。では、○印が2個以上だったらどうでしょうか。
○印が5個のものは2種類(1個と相補的なので)、○印が6個のものは1種類ということは自明だと思います。
こうして得られる全てのピースを使って辺を合わせるマッチングパズルができる、という話を読んだのです。(どなたが最初に発表されたのか調査中です。)2020年4月に三角形のピースのマッチングパズルの話を書いたことがありましたが、その長方形版だと思ってください。
(つづく) ○
「4本指の構えから中指の輪を無視して普通の人差し指の構えのつもりであやとりを取る」話、「たくさんの星」でもやってみました。
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- 4本指の構え
- 人差し指の構え
- 小指を外す
- 小指で人差し指の向こうの糸を取る
- 中指で手のひらの糸を取り合う
- 中指を無視してたくさんの星
たくさんの星 「イヌイットの網」でやったときとよく似ています。
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hh221122-1 イヌイットの網 ○
あやとりでこんな構えを試してみました。
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hh221129-2:3本指のらせんの構え 仮に「らせんの構え」と呼んでみました。これは、左親指(写真左下)から右小指(写真右上)までのまっすぐの糸に対して、それ以外の糸が下・上・下と巻き付いているためです。
180°の2回回転対称性のあるかたちです。ここから何かできないでしょうか。
(つづく)
<おまけのひとこと>
昔、大学の研究室で一緒だった方からメールを頂きました。嬉しいです。
11月30日(水) エッジマッチングパズルの簡単な例、あやとり
マッチングパズルの話とあやとりの話です。今日は11月の最後の日なので、昨日始めたマッチングパズルのタイルの話、シンプルな例をご紹介します。
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2×3のピースの6か所に○印を入れる場合の数の話を始めましたが、その前に2×2の4か所に○印を入れてできるタイルを数え上げて、そのタイルセットでエッジマッチングパズルを解いてみました。易しいですので例題として解を載せてしまいます。
こんな風に2×2に○印を配置します。
回転したり裏返したりして同じになるものは同じとみなして、○印がゼロ個、1個、2個、3個、4個の場合を調べてみると、以下の6通りしかありません。
タイルが6枚なので、2×3に並べて、辺の両側の○印の有無が同じになるようにしてみました。(エッジマッチングパズルです。)
Burr Tools で調べてみましたが、これがユニーク解だと思います。また、正方形6枚なので立方体の各面に配置したエッジマッチング解があるといいなと思ったのですが無理でした。
こんな感じで 2×3 のタイルについても数え上げてエッジマッチングパズルとして解いてみました。
(つづく) ○
あやとり、4本指の構えから中指を無視して取るシリーズです。今日は2つ載せます。(明日からは別の観点のあやとりをご紹介する予定です。)「アムワンギヨ」と、仕上げの直前での親指の二重の輪をひねる操作を省いたアムワンギヨ、です。後者は斜めの格子状のパターンが気に入っています。
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- 4本指の構え
- 人差し指の構え
- 小指を外す
- 小指で人差し指の向こうの糸を取る
- 中指で手のひらの糸を取り合う
- 中指を無視してアムワンギヨ
アムワンギヨ
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hh221130-2 hh221107-1
- 4本指の構え
- 人差し指の構え
- 小指を外す
- 小指で人差し指の向こうの糸を取る
- 中指で手のひらの糸を取り合う
- 中指を無視して
親指の二重の輪を手前にひねらないアムワンギヨ親指の二重の輪を手前にひねらないアムワンギヨ
(こちら)当然と言えば当然なのですが、操作の変更とその結果の対応関係がわかりやすくて良いです。
<おまけのひとこと>
昨夜は一晩中雨が降っていました。秋から初冬にかけて「一雨ごとに寒くなる」と言われますが(毎年書いている気がしますが)、今日はどんどん寒くなるようですね。気を付けないと。