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以前の「ひとこと」 : 2022年3月前半


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3月1日(火) 接吻数問題(その1)

 3月になりました。図形の問題の話です。



 同じ大きさの球を3次元空間にきっちり並べたときに、1つの球の周りの状態を調べてみると12個の球が接していること、またその状態は安定ではなく、接したまま位置を変える余地があることをお話してきました。

 この「1つの球に、同じ大きさの球を最大いくつまで接するように配置できるか(ただし球どうしは重なってはいけない)」という問題は「ニュートンの接吻数問題(kissing number problem)」と呼ばれるようです。1694年のニュートンとグレゴリーの間で、この問いの答が12なのか13なのかという論争があったことに端を発しているそうです。13個は不可能だと証明されたのは1953年なのだそうです。



 同じことを次元を下げて平面図形で考えてみることにします。最初に正多角形について考えます。1つの正多角形に、同じ大きさの正多角形を最大でいくつ接するように置けるでしょうか。(正N角形の接吻数はいくつでしょうか?) もちろん重なってはいけません。また、「接する」というのは、少なくとも1点を共有していればOKです。

 正三角形や正方形については、平面を充填する状態が最大であるのは直感的に明らかだと思います。これはちゃんと証明されているそうです。N=3のとき、接吻数K(3)=12 です。K(4)=8 です。図示しませんが、正六角形も平面を充填します。K(6)=6です。

 それ以外の正多角形はどうでしょうか。いくつか実験してみました。

 正五角形、正七角形、正十角形の例です。いずれもK(N)=6になっています。Nが5以上であれば K(N)=6 と言ってよいのでしょうか? 極限の円Cのときは K(C)=6ですが…

(つづく)



 針のようにとがった細い三角形を考えると、接吻数Kはいくらでも増やせそうです。それでは、定幅図形だったらどうでしょう? ルーローの三角形の接吻数はいくつでしょう?

(つづく)


<おまけのひとこと>
 昨日、片側2車線の高速道路で遅いタンクローリーの2台後ろになったのです。追い越し車線を軽自動車のワンボックスカーが追い抜いていったので、その後ろに車線変更をしました。驚いたことに同じタイミングで前の車が車線変更したのです。追い越し車線の軽自動車に気が付いていなかったのか、タイミングを見誤ったのか、原因はわかりません。2台は私の車の目の前で軽く接触しました。何か細かい破片らしきものが飛んできて、私の車に当たる音がしました。砂のようなものが当たったようなバラバラっとした音でした。とっさにアクセルを緩めて車間をあけました。幸い2台の接触はごく軽いもので、大きく進路が変わるようなことはなく、2台ともタンクローリーの前に出て、そのまま何事もなかったかのごとく走行を続けていました。2台とも商用車(社有車)のようでした。車種も企業も業種も全然違いましたが。






3月2日(水) 接吻数問題(その2)、他

 図形の問題の話のつづきです。



 昨日、1つの平面図形のまわりに同じ(合同な)平面図形を接するように重ならずに配置する個数(接吻数:kissing number)を調べてみる話をしました。こちらのNeighbors(Gabor Fejes Toth, Lazlo Fejes Toth, Wlodzimierz Kuperberg:2022)という論文に、たくさんの参照文献が紹介されています。それによると、正N角形の接吻数K(N)は、 K(3)=12, K(4)=8 で、Nが5以上であれば K(N)=6 であることが証明されているそうです。いずれもここ50年くらいのあいだの比較的最近の研究のようです。

 また、昨日「ルーローの三角形の接吻数は?」という問いかけをしましたが、

ルーローの三角形

 実験的にやってみると、こんな絵が描けました。

図 1

 中央の赤いルーローの三角形の周りに、7つのルーローの三角形を配置できました。周囲の7つはいずれも互いに接触していません。すきまだらけです。でも、このすきまをできるだけ詰めていっても、8個目が入るほどのすきまはできませんでした。上記の論文で紹介されている “Uber die Newtonsche Zahl einer Scheibe konstanter Breite.” Schopp, J.(Studia Sci. Math. Hungar. 5(1970)) によると(すみませんリンクがみつかりませんでした)、定幅図形の接吻数は最大でも7であることが示されているのだそうです。

 正多角形の極限であり、定幅図形である円の接吻数は6であることは明らかです。

図 2



 さて再び3次元に戻ります。さきほどの円に接する6つの円を円柱にしてみましょう。

図 3a 図 3b

 これは安定(リジッド)です。周囲の円柱は、中心の赤い円柱に接したままでは位置関係を変えることはできません。

 では、中央の円柱を球に変えてみましょう。(周囲の6つの円柱は円柱のままです。)

図 4

 これは安定(リジッド)でしょうか? 6本の円柱が中央の球に接したままで、6本の相対的な位置関係を変えることはできるでしょうか?

図 5

(つづく)


<おまけのひとこと>
 最近読んでいる本のご紹介とかもしたいのですが、更新の時間が足りないです。






3月3日(木) 球に接する6本の円柱(その1)、他

 球に接する円柱の話のつづきです。



 昨日、「半径1の球に、同じ半径の無限に長い円柱を6本、向きを揃えて接する状態にしたものは安定(リジッド)でしょうか?」という問いかけをしました。結論は「安定ではない」です。昨日のアニメーションがヒントになったかもしれません。

 6本の円柱を隣接する3本ずつに分けると、それぞれは1枚の平面で分断されることがわかります。ということはその3本は球を中心に回転させることができるのです。

図 1a 図 1b

 アニメーションも並べてみましょう。

図 2a 図 2b

 面白いです。



 球に接する6本の円柱、これまでの例では1つの円柱は両隣の2本の円柱と接していました。例えばこんな風に円柱を配置すると、

図 3

 1つの円柱は他の4本の円柱と接することになります。これは6本組木などでよく現れる配置です。それでは、半径1の球に同じ半径の無限に長い円柱6本を接するように配置したとき、どの円柱同士も接しないようにできるでしょうか? もしくは、半径1の球に6本の円柱を接するように配置するとき、円柱の半径は1よりも大きくできるでしょうか?

(つづく)



 こんな問題を見かけました。xy+yz+zx=0 のとき、(y+z)/x + (z+x)/y + (x+y)/z の値を求めなさい、という問題です。

 意外と面倒でした。極めて邪道ですが、マークシート式みたいな「答さえわかればよい」ならば、条件式を満たす(x,y,z)の組をみつけてその値を式に代入してしまえば求まるには求まります。なお、条件式の xy+yz+zx=0 を3次元の陰関数だとみなすと、美しい構造をしています。


<おまけのひとこと>
 私の本業のほうの業種では最大の展示会が3月中旬に開催されます。オンライン開催のみになってしまうかも、と危ぶまれていたのですが、リアル開催もできることになったようです。この場は転職していった友人などとの旧交を温める貴重な機会なのですが、今回は社内の厳しい出張規制のためリアル会場に行くのは断念しました。「今回は行かれそうですか?」といったメールを何通か頂いています。残念ながら無理、という御返事をこれから書かないといけません。






3月4日(金) 球に接する6本の円柱(その2)、他

 球に接する円柱の話のつづきです。



 今週は、球に接する球や円柱の話をしています。昨日からご紹介している6つの円柱の話ですが、The Six Cylinders Problem: D3-symmetry Approach(Oleg Ogievetsky, Senya Shlosman:2019)という論文を参考にさせていただいています。

 昨日、「半径1の球に同じ半径の無限に長い円柱6本を接するように配置したとき、どの円柱同士も接しないようにできるでしょうか?」という問いかけをしました。答は「可能」です。

図 1a 図 1b

 変化する様子をアニメーションにしてみました。

図 2

 6本の円柱それぞれを中心に対して同じ方向に回転させています。回転させることでそれまで接していた円柱との間に隙間ができるのです。ただし回転させすぎると、今度は別のところで干渉してしまいます。



 上のCGの視点では、本当に隙間ができているのかよくわからないと思ったので、1本の円柱に注目して見てみることにしました。6本とも同じように回転させるのですが、視点も一緒に回転させることで、1本の円柱は視野内では静止して見えるようにしています。下の図3bで、画面中央上の円柱の左右に隙間が開いたのがみえると思います。

図 3a 図 3b

 これもアニメーションにしてみました。

図 4



 同じ変形を、短冊状の直方体でやってみたことがありました。

図 4

 2014年1月に、(当時の)リスーピアのワークショップの教材にしたのがこのかたちでした。

 ちょうど、このサイトの更新を数年お休みしていた後で再開したときの記事でした。最近のほうが内容は充実しているかなあと思います。



 デイリーポータルZのおおきなかぶを論文風に書くが面白かったのです。すばらしいです。


<おまけのひとこと>
 3月になって、陽光が春めいてきました。朝晩はまだまだ寒いですが。






3月5日(土) トーラスを塗り分ける、他

 トーラスの表面を塗り分ける話です。



 ちょうど1年ほど前、トーラスの表面をエリアに分けるという話をご紹介したことがありました。(サイズの大きなアニメーションファイルが多く貼り付けてある重たいページですみません。)その続きの話です。

 最近、トーラスや二重トーラス(ダブルトーラス)の上に小さなグラフを埋め込むというのにちょっと興味を持っているのですが、こんなCGを作ってみたのです。

図 1

 このアニメーションから、「領域をいくつに分けているでしょうか?」「頂点の数はいくつでしょうか?」「頂点の次数(頂点に集まる辺の数)はどうなっているでしょうか?」みたいなことを問いかけてみようかなと思ったのですが、動いている図を見ても無理だなあと思いました。また、全部の方向から見えるようにと思って回転させているのですが、これだと見えにくい方向(回転軸の両端の北極と南極に相当するあたり)があるなあとも思ったのです。

 そこで、トーラスそのものの回転対称軸の周りにも高速に回転させつつ、傾けたトーラスも回転させてみることにしました。

図 2

 これで視点はだいぶ増えて、定常的に見えにくい方向というのはなくなりましたが、さらに慌ただしくてわかりにくくなりました。でもこのアニメーションを眺めているのは楽しいです。



 領域を塗り分ける前の境界線を表示してみることにしました。境界線を黒で示しています。若干透明にしました。

図 3

 これは実は直交する2本のトーラス上の「まっすぐな」線なのです。色分けしてみました。

図 4

 1本ずつの図も載せておきます。

図 5a 図 5b

 図4の2色の線のものを回転させてみました。

図 2

 さて、改めて質問です。赤と青の線の交点はいくつあるでしょう? 2本の線が交わっているので、次数は全て4です。

(つづく)



 本日15時30分から2時間、IPSJ-ONE という、情報処理学会の若手の研究者の方々の短時間のプレゼンテーションのイベントがあります。参加登録不要でYouTubeで配信されます。1件あたり10分未満ですが、その分密度の濃い、面白いお話が聴けるのではないかと楽しみにしています。(忘れないようにしないと…)


<おまけのひとこと>
 こういうCGを作っているととても楽しいです。この週末はとある原稿を書かないといけないのですが、まだ構想がまとまっていません。






3月6日(日) トーラスを一周する線

 トーラスの上の線の話です。



 昨日のトーラスのCGですが、交点がわかりやすい部分の静止画像をご覧ください(図1a〜c)。

図 1a 図 1b 図 1c

 この塗分けは、赤・青・黄・緑・白の5色を1回ずつ使っていて、それぞれが4つの頂点と4つの線で囲まれています。5つの四角形によるトーラスの塗り分けになっています。

 頂点も5つあって、それぞれの頂点の回りには異なる4色が集まっています。5色のうち4色を使っているので、「使われていない色」に注目するとわかりやすいです。図1aのトーラスの内側に見えているのが「白以外の4色の頂点」、図1bの上下に2つ見えている頂点は、それぞれ「黄色以外」と「赤以外」、図1cの上下の2つの頂点はそれぞれ「青以外」と「緑以外」の4色です。

 このCGを作るために、図2のような正方形の画像を用意して、それをトーラス面にテクスチャマッピングしています。この画像が上下・左右に周期的に配置されると、5色の正方形で覆われるパターンになります。それぞれの色の正方形の面積は同じです。また、図2の中には5つの頂点があって、それぞれ「青以外」「緑以外」「黄以外」「赤以外」「白以外」の4色が集まった頂点になっています。

図 2

 これ、緑の部分を黒で塗りつぶせば、ちょっとモンドリアン風かなあと思いました。



 この5色の塗り分けの境界線がどうなっているのか、昨日はテクスチャマッピングでご紹介しました(図3a)。テクスチャマッピングなので、トーラスの外側の拡大されている部分の線は太く、内側は相対的に細くなっていました。また、線のつなぎ目が若干品質が悪かったのです。そこで、計算して描画してみました(図3b)。

図 3a(再掲) 図 3b

 図3bの赤と青の「線」は、小さな球をたくさん描画しています。(それでも描画はほぼ一瞬で、最近の計算機の速度には感謝しかありません。数十年前だったらこの図を1つ描くのに一晩とかかかっていただろうと思います。)

 これを描画している Povray の該当部分のソースコードをご紹介しておきます。(すみません例によってテキストです。)ソースコードの中で、赤い「線」が tlineA、青い「線」が tlineB というオブジェクトとして定義しています。

 ソースコードの中で、rot_numA と rot_numB というパラメータを定義しています。上の図3bのものはどちらも2です。(a2,b2)と表記することにします。参考までに(A0,B0)は以下のようになります。

図 4:(a0,b0)

 トーラスは、図4の小さな赤い円をぐるっと一回り青い円に沿って回転させるとできるかたちです。パラメータ rot_numA は、赤い線(tlineA) は、青い線に沿ってトーラスを一回りする間に小さな円の周りを何回転するかを示していて、パラメータ rot_numB は、青い線(tlineB)が、逆に赤い円の周りを1回転する間に青い線に沿って何周まわるかを示しています。

 図4の(a0,b0)は、赤と青の2つの閉曲線(この場合はいずれも円)の交点は1つだけで、領域は1つしかありません。4辺4頂点の「トーラス上の四角形」です。

 パラメータを変えていろいろなパターンを調べてみることにしました。(実はこれ、図2のように正方形の周期的境界条件で平面上で考えればいいだけの話なのですが、面白いのトーラス上に描画してみることにしたのです。)

(つづく)



 昨日の IPSJ-ONE 、実はお昼寝をしていて寝過ごしてしまって、最初の3件ほどは聞き逃しました。(後で配信を見直します。)いずれも楽しかったのですが、特に感心したのは「言葉の形を教えてくれる自然言語処理」(横井祥:東北大)です。word2vec という、自然言語処理に革命的な進歩をもたらした概念があるのですが(たとえばこちらなどがわかりやすいページでした)、それをきわめてわかりやすく平易に説明していて、とても感心しました。「わかりやすく説明できる」というのも才能で、才能というのはある人とない人があって、才能がある人は羨ましいです。


<おまけのひとこと>
 生活のサイクルが乱れているので直そうとしているのですが、自分に甘くてなかなか直りません。妻があきれて心配してくれていて、申し訳ないです。






3月7日(月) トーラス上の様々な線

 トーラスの上の線の話です。



 トーラスの表面の図形について考えるときは、上下左右がそれぞれ周期的に繰り返されている正方形を考えます。以前にもご紹介しましたが、正方形の上下、左右の辺を合わせるように変形するとトーラスができるためです。

Torus

 周期的に繰り返されているということは、正方形の上に直線を引いたとき、図のように線が右辺に到達したらその続きは左辺の同じ高さから伸ばしますし、上辺に到達したら、その続きは下辺の同じ位置から伸びることになります(図1)。

周期的境界条件

 トーラス上の直線は、この正方形の上の直線だということにしましょう。周期的だということが大事です。傾きをいろいろ変えていってみましょう。

 実験に入る前に、この直線が出発点に戻ってくる場合、戻ってこない場合について考えておくことにします。傾きが整数の比になっている場合(=有理数の場合)は、その比に応じた回数だけ正方形を横切った後で元の点に戻ってきます。ところが傾きが整数比では表せない、例えば√2のような無理数の場合、この直線は正方形(もしくはそれを変形したトーラス表面)を覆いつくすことになります。

 まずはシンプルに傾きが0,1,2,3,4の例を描画してみることにしました。



図 2a:0 図 2b:0

図 2a:1 図 2b:1

図 2a:2 図 2b:2

図 2a:3 図 2b:3

図 2a:4 図 2b:4



図 3a:0 図 3b:0

図 3a:1 図 3b:1

図 3a:2 図 3b:2

図 3a:3 図 3b:3

図 3a:4 図 3b:4

 すみません今日は図を作ったら力尽きました。

(つづく)



 あやとり協会の吉田さんから、NHKラジオ深夜便で、ちょうど一週間前の2月28日(月)早朝4時から「絶望名言」というコーナーで前川淳さんの訳された老子が取り上げられていました、と教えていただきました。ありがとうございます。ちょうど一週間は「聞き逃し配信」が聴ける、ということで、今朝の5時までだったのですが、昨夜聴かせていただきました。

 前川さんのblogを拝見すると、絶望名言(2022年2月27日)の記事がありました。前川さんはやっぱり素晴らしいですね。お勧めです。

 それにしても最近はちっともあやとりをここでご紹介していなくて恐縮です。


<おまけのひとこと>
 昨日は依頼されていた原稿を書いていました。もう少しやらなければいけないことも残っているのですが、あとは今日やります。毎日忙しいですが、充実しているとも言えると思っています。






3月8日(火) モンドリアン・トーラス

 トーラスの上のテクスチャの話です。



 先日、トーラス表面を5つの四角形(トーラス面正方形)で塗り分けたCGをご紹介したとき、ちょっとモンドリアン柄のようだなと思ったのです。もう少しモンドリアンっぽくしてみたくて、こんなCGを作ってみました。

図 1a 図 1b

 こんなクッションとかがあったら楽しそうです。トーラスは可展面ではないので、仮に模型を作るにしてもとても大変です。

 これはトーラス上の斜めの4×4の正方格子を考えて、

図 2

 それを4色で塗ったものです。モンドリアンらしさを出すために、白の領域が隣接している箇所は欲しいなと思って、なんとなくこんな風に塗りました。オリジナルのモンドリアン柄は正方格子で、様々なサイズの正方形や長方形がありますが、ここではトーラス上にマッピングすることで見かけの大きさが変わるので、貼り付けるテクスチャとしては大きなサイズのものは用意しませんでした。



 せっかくパターンを自動生成できるようになったので、斜めの12×12のパターンを描画してみました。

図 3a 図 3b

 この2つを重ねるとこうなります。

図 3c

 うーん面白い。


<おまけのひとこと>
 図を作っていたら遅くなってしまいました。






3月9日(水) トーラス面上の2点を結ぶ

 トーラスの上の2点を結ぶ線分の話です。



 一昨日も載せましたが、トーラス面上の図形やグラフ(ここでいうグラフとはいくつかの頂点とその頂点の間を結ぶ辺のことです)を考えるときは正方形の向かい合う辺が「つながっている」と考えると考えやすいのです。

Torus

 後ほどの都合で、もう一度図示しておきます。

図 1

 トーラス上に2点A,Bを取って、その2点をトーラス面上で線で結ぶことを考えます。もちろんABを結ぶ線(曲線)はいくらでもありますが、その中で、以下の3つの線は本質的に違います。

図 2

 何が違うかというと、この3つは、図1左の正方形の表示をしたとき、赤い縁や青い縁で折り返しているかどうかが違うのです。別の言い方をすると、下の図3の大きな青い円、小さな赤い円と交差する経路なのか交差しない経路なのか、という違いがあります。

図 3



 次に、ダブルトーラスについて考えてみます。ダブルトーラスは、六角形ではなく八角形の辺を合わせるようにすることで構成できます。

図 4

 先日見かけたEmbedding K3,3 and K5 on the Double Torus(William L. Kocay, Andrei Gagarin:2022)という論文にこんな図が載っていたのです。

Figue 1. of "Embedding K3,3 and K5 on the Double Torus"

 ある程度整理がついてからこの論文のご紹介をしようかなと思ったのですが、ちょっと時間がかかりそうなのでいったん「これはおもしろそう」というところでここに載せてしまうことにしたのでした。



 図形の問題です。言葉だけで説明します。

 「対角線が直交する四角形ABCDがあります(対角線ACと対角線BDが直交しています)。AB=5, BC=7, CD=6 のとき、辺ADの長さを求めなさい。」

 図が示されていればそんなに難しくないかなあと思いますが、言葉だけで図形の問題を出されると、ちょっと不安になります。解答は明日書くかもしれません。


<おまけのひとこと>
 今日、一番時間がかかったのはダブルトーラスの見取り図です。それっぽい図が描けなくて四苦八苦しました。接合部である4色の a, b, c, d の曲線も描こうと思ったのですが無理でした。“double torus”で検索してみると図がいろいろあるので、興味がある方は検索してみてください。






3月10日(木) ボールや色水を揃えるパズル

 パズルの解析の論文のご紹介です。



 スマートフォン用のゲームで、よくこんなタイプのものを見かけます。

図 1

 これはBall Sort Puzzle(ボールソートパズル)といって、各容器の一番上のボールを1つずつ移動しながら、同じ容器には全て同じ色のボールが入っているようにするというパズルです。

 類似のものに、こんなものもあります。

図 2

 これはWater Sort Puzzle(ウォーターソートパズル)です。やってみるとすぐにわかりますが、ボールでも液体(色水)でも原理は同じです。

 このパズルを研究したSorting Balls and Water: Equivalence and Computational Complexity(T.Ito et al. 2022) という論文があったのです。日本人の著者10名による論文です。ボールソートパズル(BSP)とウォーターソートパズル(WSP)が同等であることを示し(これ、自明ではないのでしょうか)、これがNP完全問題であることを示し、さらに1つの容器に入るボールの数(h)とボールの色数(n)、空き容器の数(k)の関係について議論されています。

 通常、スマートフォンのアプリのパズルはそんなに極端な例は出てこないのですが、この論文ではこのパズルについて一般的に論じられているため、極端な例などが考察されていて非常に面白いです。

 ただ、私は実はまだこの論文の基本的なところがちゃんと理解できていないのです。この論文の6章「結論」のところのFigure 10にこんな問題が紹介されています。

Figure 10(a) of above paper

 これは1つの容器に入るボールの数が3、ボールの色の数が9、空き容器が2(なので容器の数は全部で9+2=11)、です。この例は「インスタンスが無い」と解説されていて、問題そのものは人間が手で作成して、コンピュータプログラムで「インスタンスがない」ことを確認した、と書かれています。「インスタンスが無い」というのは「ボールソートパズルのルールで解けない」という意味かと思ったのです。でもなんとなくこの問題、解けそうだと思って手作業でやってみたら解けると思うのです。

 私なにか根本的に勘違いしているみたいです。論文の記載に関する誤解なのか、そもそものパズルのルールに関する誤解なのか、それすらわかっていません。


<おまけのひとこと>
 別な話題も書こうかと思っていたのですが時間切れです。






3月11日(金) 三角格子のビリヤード問題

 ビリヤード問題の論文のご紹介です。



 先日、トーラス面上の直線の話をしました。これは、軌道が図形(この例では正方形)の辺に到達すると、角度を変えずに対辺に続くものでした。

周期的境界条件

 そうではなくて、ビリヤード台でボールが跳ね返るように進むと考えると、たとえばこんな軌道が描けます。

反射

 理想的なビリヤード台を考えます。摩擦も抵抗もなく速度が常に一定で、図形の境界では完全弾性反射するとしたら、ボールは無限にこのビリヤード台の中を跳ね返りつつ動き続けます。

 たとえばビリヤード台が正方形(縦横の長さの比が1:1)だとすると、最初に与えらえるボールの初速度の向きの傾きが有理数であればもとの地点に必ず帰ってきます(=閉軌道になります)し、傾きが無理数だったら正方形の中を覆いつくしていって、決して元の位置に戻ってきません。逆に、ビリヤード台の縦横の比が無理数の長方形だったら、傾きが有理数の軌道は閉軌道になりません。



 では、ビリヤード台が正方形や長方形ではない場合はどうなるでしょう? Triangular-Grid Billiards and Plabic Graphs(Colin Defant, Pakawut Jiradilok:2022)という論文がありました。この論文では、頂点と辺が三角格子上にある「ビリヤード台」を考えて、その図形の中の閉軌道の数を検討しています。

Figure 1. of above paper

 上の図のように、ビリヤード台に相当する図形(太い黒線)の辺にb1,b2…のように番号を付けると、閉軌道は辺の番号を順に書くことで表現できます。上の図なら

     (1 3 32 26 6 30 2 33 25 12 14 9 21 19 29 28 4 31)、(5 24 13 10 20 27)、(7 22 23 15 17)、(8 11 18 16)

 の4つの軌道があることがわかります。

 この論文によると、ビリヤード台の図形の面積をS、周の長さをL、閉軌道の数をcとすると、三角格子上のビリヤード台の場合、

 という関係があるのだそうです。特に、ビリヤード台の形状が単位六角形のツリー(木)の構造になっている場合は、その場合のみ(if and only if)

Figure 2. of above paper

 S=6c-6になるのだそうです。ちなみに六角形の木構造になっているということは、六角形がN個ならば面積は 6N なので(ちなみに周の長さは6N-2(N-1)です)、閉軌道cの数は N+1 ということになります。上の図の例では六角形は9つありますから、閉軌道は10本存在します。六角形の数と閉軌道の数を確かめてみて下さい。

 三角格子もしくは六角格子を用意して、これ以外の例についても試してみると楽しいです。数学は自由で楽しいなあと思います。



 以下、思い付いた余談です。

 余談1:Figure 1には以下の4つの閉軌道がありました。

     (1 3 32 26 6 30 2 33 25 12 14 9 21 19 29 28 4 31)、(5 24 13 10 20 27)、(7 22 23 15 17)、(8 11 18 16)

 この4つの閉軌道の情報だけからビリヤード台のかたちは一意に決まるのでしょうか?

 余談2:すべての閉軌道を合わせると、必ず全ての辺を正確に1回ずつ通っているでしょうか? どの閉軌道も通らない辺はあるでしょうか?

 すみません、これは思い付いただけで結論は示せていません。


<おまけのひとこと>
 こういう「楽しいこと」があるのは幸せなことだと思います。今は自宅に居ながらにしてこういう情報に触れられるのでとてもありがたいです。






3月12日(土) 正四面体のビリヤード閉軌道

 三次元ビリヤード問題のご紹介です。



 昨日、多角形の内部のビリヤード軌道の論文をご紹介しましたが、ビリヤード軌道と言えば、立方体や正四面体で、それぞれの面で1回ずつ跳ね返る周期軌道があるという話を思い出しました。昔、2005年12月に立方体のほうの例をご紹介していました。そのときはgifアニメーションではなく、ファイルサイズが小さくできた Adobe Flash Player で再生できるアニメーションにしたのでした。そうしたらサポート終了になって、再生できなくなってしまっていました。

 また、当時は正四面体のほうのアニメーションは作っていなかったのです。今回ちょっと調べてみたら、Billiards(Altshiller Court, N.: Feb. 24, 2022)という、ほんのつい最近公開されている記事があったのです。たくさんのリファレンスと共に、正四面体の各面で順に跳ね返る座標が記されていました。

 T0〜T3が正四面体の頂点の座標、P0〜P3 が各面での跳ね返りの位置の座標です。この情報を使って、こんなCGアニメーションを作ってみました。

図 1

 無重力で完全弾性衝突、摩擦も抵抗も無しという想定で、等速直線運動をしていると考えて下さい。正四面体の向きですが、普通は1つの面を床面に置いた三角錐のかたちで描画することが多いと思いますが、この軌道の対称性がわかりやすいように正四面体の相対する辺のうちの一組が水平面に入る向きで描画しています。

図 2

 この図2は2回回転対称になっています。(180度回転するともとのかたちに戻ります。) 実は図1も、最初は180度までを描画して繰り返すアニメーションを作ってみたのです。そうしたらうまくいきませんでした。アニメーションが一周したところで、ボールが後戻りしてしまうのです。軌道に矢印が付いているため、180度回転だと矢印が逆向きになってしまうのです。アニメーションのフレーム数を倍にして、360度回転のアニメーションを作り直したのが図1です。



 外側の正四面体を固定して、ボールだけ動かしてみました。

図 3a 図 3b

 実はこちらのアニメーションを先に作ったのです。(こちらはフレーム数が少なくて済みます。)でも、これだとなんだかよくわからないので図2を作って、さらにそれでもピンとこなかったので、最後に図1を作ったのでした。1つのボールに注目して図1を眺めていると、なんだかずっと見ていられます。このアニメーションが作れて嬉しいです。立方体のほうも作り直してみたいと思います。



 「ビリヤード」と「ビリアード」、どっちなんだっけ? と一瞬迷いました。「ヤ」と「ア」を迷う単語というと「ベルトコンベア」「ベルトコンベヤ」があります。「コンベア」「コンベヤ」はどちらも使われているようですが、「ビリアード」は使われておらず、「ビリヤード」でなければいけないようです。

 「コンベア」「コンベヤ」以外にも「ア」「ヤ」いずれも使われている単語はないかなと思って考えてみました。 語尾が -er という単語、例えば「バイヤー」(売り手)は「バイアー」とは言わないですし、タクシーとハイヤーのハイヤーも「ハイアー」とは言わないですよね。「経歴」の「キャリア」、は「キャリヤ」とは言わないよなと思って「キャリヤ」を調べてみると、「運搬車」という意味で「キャリヤ」という言葉が使われているみたいです。「キャリア」(経歴・職業・仕事)は career 、「キャリヤ」(運ぶ人や道具)は carrier で違う単語なのですね。

 「ア」と「ヤ」問題、考えると楽しいです。コンベア/コンベヤのように、同じものを指すのにどちらの表記も混在して使われているという例はまだ他には思い付いていません。


<おまけのひとこと>
 今日は三角格子のビリヤード問題の話のつづきを書こうと思っていたのですが、三次元ビリヤード問題のCGを作るのが楽しくて、そちらの話になりました。






3月13日(日) 立方体のビリヤード閉軌道、他

 三次元ビリヤード問題のご紹介です。



 以前ご紹介していた立方体の各面で跳ね返り続けるビリアード軌道のCGも改めて作ってみました。

図 1

 こういう閉軌道が存在するということがとても不思議で面白いです。ボールはずっと等速運動をしているのですが、立方体そのものも回転させているので、視点によってはそうは見えない(=等速運動をしていないように見える)瞬間があるような気がします。

 ボールの描画をやめて、軌道だけを表示してみました。有機化学のシクロヘキサンの椅子型みたいです。

図 2

 上の2つの図は平行投影で、遠くにあっても近くにあっても画面上のボールの大きさは同じでした。立方体を回転させるのをやめて、透視投影で遠近法で描画してみました。

図 3

 このCGも眺めていて飽きません。



 ところでこの軌道、三面図で描くとどうなるでしょうか。やってみました。球の色を全部同じにしておくとわかりにくいので、3色に色分けしてみました。

上面図
平行投影図 側面図
正面図

 逆に、正面図・側面図・上面図の三面図からビリヤード軌道の各面の衝突点の座標は? という問題を出したらけっこう難しいかもしれません。



 漫画家の吉田秋生(よしだあきみ)の「詩歌川百景」(うたがわひゃっけい)を気に入って読んでいます。話題になった「海街ダイアリー」のサイドストーリーなのですが、描かれている人間模様がとても良いのです。先日2巻が発売になりましたが、1巻あたり4話が収録されていて、それぞれが読み切りの連作になっているのですが、一話一話がそれぞれしみじみと良いです。

 もったいなくて数日おきに一話ずつ読んだのですが、第8話の最後が衝撃的でした。ああ、そうか…と思いました。いくつか連想した本があったのですが、それを書くとネタばれになりそうなので控えます。「海街ダイアリー」も良かったですが、「詩歌川百景」も楽しみです。こちらの吉田秋生「詩歌川百景」 「海街」の次は温泉町、分厚い群像劇というマンガ評が良かったです。

 ちなみに私は吉田秋生のデビュー作の「ちょっと不思議な下宿人」(1977)は雑誌でリアルタイムに読んでいます。当時から注目していました。有名な長編作品がいくつもありますが、どちらかというと短編が好きでした。「十三夜荘奇談」とか「夢見る頃をすぎても」とか「Fly boy, in the sky」とかが好きでした。


<おまけのひとこと>
 CGアニメーションが作れるのは幸せです。






3月14日(月) ポリイアモンドの中のビリヤード閉軌道

 三角格子の多角形の中のビリヤード問題の話に戻ります。



 金曜日にご紹介した Triangular-Grid Billiards and Plabic Graphs(Colin Defant, Pakawut Jiradilok:2022)という論文の話題のつづきです。この論文では、ポリイアモンド(三角格子の辺を使った多角形)の中のビリヤード軌道として、各辺の中点を通って入射角30度で完全弾性衝突するものを考えました。三角格子なので、衝突点は必ず多角形の三角格子の要素の中点となり(つまり有限個です)、また軌道のそれぞれの直線部分の傾きは3方向しか現れず、必ず閉曲線になります。

 素朴な疑問として、この条件で内部のビリヤード軌道が1つになるのはどんな多角形なんだろう? と思いました。ポリイアモンドを構成する単位正三角形の数を1,2,3,…,6 まで増やした場合のポリイアモンドを列挙して、その中のビリヤード軌道を描画してみました。

図 1:ポリイアモンド

 N個の正三角形によるN-イアモンドの数をPNと表記することにすると、P1=1, P2=1,P3=1, P4=3,P5=4, P6=12、と急激に増えてゆきます。これらのビリヤード軌道を描いてみました。目で追ってみてください。

図 2:ポリイアモンドの中のビリヤード軌道

 ここには22個のポリイアモンドがありますが、そのほとんどがビリヤード軌道の数は1です。唯一、三角形6枚の正六角形のものだけがビリヤード軌道を2つ持っています。これを描いてみて、こんな仮説が思い浮かびました。「ポリイアモンドの内部に三角形6枚が集まる頂点を持たなければビリヤード軌道の数は1本、持てば2本以上」かな? と思ったのです。でもちょっと試してみて、これは正しくないことがわかりました。この仮説に当てはまらない例があるのです。(この仮説は、「Nが6以下のポリイアモンド」なら正しいです。)

(つづく)



 兵庫教育大学の濱中裕明先生のインタビュー記事を興味深く拝見しました。冒頭のリングキャッチャーの写真、大阪城の継ぎ手の話、ルービックキューブの話、あと触れられていませんがラトルバック(特定の方向にのみ回転しやすいかたち)も写真に写っています。第2話に続くのですね。楽しみです。



 ルービックキューブといえば、ルービックキューブインポッシブルという製品が発売になるようですね。

ルービックキューブインポッシブル

 見る方向によって色が2色に変化するパネルと、変化しないパネルが使われているのだそうです。

 私はルービックキューブは昔自分で編み出したものすごく時間がかかる方法でしか解けないので、こういうのはお手上げです。(さすがにもう自分の解法も忘れた気がします。)ただ、初めて解けたときのことはよく覚えています。冬の日曜日の午後で、自宅(製材業の小さな自営業でした)の2坪半くらいのちいさな事務所の土間の薪ストーブの脇の応接セットの椅子に座って解いたのでした。向かい側の椅子には飼っていた猫がぬくぬくとお昼寝していました。一面を揃えることは簡単で、すぐにできるようになったのですが、その先が進みませんでした。揃った一面のパターンを崩さずに、それ以外のピースの位置関係が変わる一連の操作を突然思い付いて(7ステップの手順でした)、それで中段の4辺の4ピースを揃える方法がわかりました。さらに上段・中段を崩さずに下段の8ピースを入れ替える手順を考えて(12ステップの手順でした)、それを何度か適用すると揃えることができました。ときどき薪ストーブに薪をくべながら、興奮して解いていたのをよく覚えています。思えば幸せな時間でした。


<おまけのひとこと>
 今朝は雨が降っています。雨の音を聞くのも久しぶりです。空気や陽光がだいぶ春めいてきました。四月にも雪がふる土地柄なので、まだ油断はできませんが。






3月15日(火) 球面鏡の内部のアニメーション

 昔作ったCGの再掲です。



 立方体の内部の三次元ビリヤード軌道のCGを探していたら、昔作ったCGの定義ファイルがあったので、再描画してみました。

図 1

 これは、こんなシンプルなソースコードです。

 簡単に解説すると、半径が10の球の中に、赤・青・黄の正三角形を配置します。

図 2

 カメラの位置を、図3の水色の円周に沿って徐々に変えてゆきます。視点は常に赤い小さな球の方向を向けておきます。

図 3

 途中で画像が不連続に変化するところがありますが、これはカメラの「頭」の方向が切り替わるためです。



 もう少し対称性がよくなるように、三角形の位置を図4のように変えてみました。

図 4

 さらに、カメラの「頭」の方向、Povray では skyベクトルと呼ぶのですが、skyベクトルを固定してみました。

図 1

 こんな簡単な定義ファイルから、こんな不思議なアニメーションが作れるのがとてもおもしろいです。



 昨日の朝、また高速道路で飛び石に遭ってしまいました。朝はキズはほとんど見えなかったのですが、昨日の昼間はかなり気温が上がって車内が暑くなっていたのでしょう、帰りに駐車場に行ってみたら、キズが20cmくらいに成長していました。また10万円コースです。ものすごくがっかりしました。



 自宅のピアノの音が最近かなり悪いのです。妻がピアノを教えているのに、この楽器ではまずいのではないかと感じるくらいです。この楽器は結婚したときに中古のものをフルレストアしてもらって調整してもらって購入したもので、我が家に来てからすでに30年になります。毎年調律はしてもらっているのですが、さすがにそろそろ厳しいのかなという気もします。妻の念願のグランドピアノを買ったらよいのかもしれません。

 古楽のアンサンブル用に20年前に買ったスピネット(小型のチェンバロ)もここ数年は全く出番がなくて、年に数回しか弾きません。楽器が本当にかわいそうです。グランドピアノを入れるなら、場所が狭いので出番の少ない楽器は手放すほうが望ましいのかなあ、この機会にもっと大事に弾いてくれる人に譲ったほうがよいのかな、でもそれも寂しいなあと思ってしゅんとしています。


<おまけのひとこと>
 1月に、職場で社内の昇格試験のための論文を執筆する人の相談を受けたのですが、昨日「おかげさまで合格しました!」という御礼のご挨拶をいただいて、ご丁寧にお菓子までいただいてしまいました。役職定年を過ぎた私のような立場の者にとって若い方々のフォローやサポートは大切な役割で、別に個人的な厚意でやっていることではなくあくまでも業務の一環なので、そんな御礼をしていただかなくてもいいんですよ、とお伝えしたのですが、お断りしきれずに頂いてきました。






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