以前の「ひとこと」 : 2021年8月前半
8月1日(日) 折り紙の正八面体骨格(その2)、あやとり「7つのダイヤモンド」の派生
8月になりました。いつもだと月初めは話題を変えるのですが、折り紙もあやとりも昨日の続きの話です。
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昨日は一枚折りの正八面体骨格をご紹介しました。シンプルな6枚組のユニットが前川淳さんの折る幾何学(日本評論社:2016)に簡単に紹介されていたはず、と思って本を引っ張り出してきました。
Fig.1 15cm角の普通のおりがみ用紙6枚で作るとかなり大きくなってしまうので、こんな正方形のメモ用紙(PostItのような粘着剤がついているものではなく、ただのメモ用紙です)を使って作ってみました。
Fig.2 こんな風に、「風船の基本形」を6つ作ります。今回は3色×2としました。私は同じユニットをたくさん折るのは面倒であんまり好きではないのですが、このくらいシンプルなユニットなら6つ折っても我慢できます。
Fig.3 6つのユニットはそれぞれ4つのポケットがあります。1つのユニットの向かい合う2つは外側、残りの2つは内側になるように組みます。
Fig.4 ずいぶん昔に考案されたもののようなので、検索してみると情報がヒットします。例えばこちらのThe Robert Neale Octahedronというpdfを見ると、1960年代に考案されたものであること、また日本の有名な折り紙作家の笠原邦彦氏も独自でこのデザインを見つけていたということをニール氏が語っていたことが書かれています。
今はYoutubeなどで動画として折り紙のデザインや折り方がどんどん公開されていて、誰がオリジナルなのかよくわからないものがあります。
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昨日、「人差し指の構え」から始める普通の「7つのダイヤモンド」の派生として、「ナウルの構え1」(4本指の構え)から、内側の2つの輪を人差し指に重ねて二重にして「7つのダイヤモンド」とると少し複雑な斜めの格子パターンができるというご紹介をしました。
→ Seven Diamonds hh210731-1 同じことをナウルの構え2から取ってみました。
Nauru Opening 2 「ナウルの構え2」(五本指の構え)から、内側3本指の輪を人差し指に集めます。人差し指の輪は三重になります。そこから「7つのダイヤモンド」を取ります。(注:内側3本の輪を1つに集めるとき、順番によって完成形が変わります。)
hh210801-1
- 「ナウルの構え2」
- 中指の輪を薬指に移す
- 人差し指の輪を薬指に移す
- 薬指の3本の輪を人差し指に移す
- 「7つのダイヤモンド」
かたちを整えるのがちょっと大変になりました。
通常の「人差し指の構え」(内側が1本)から「7つのダイヤモンド」を取ると、完成パターンの親指・小指間(横)の折り返しの数は1、親指どうしもしくは小指どうし(縦)の折り返しの数は2、です。「ナウルの構え1」(内側が2本)では、横の折り返しが2、縦の折り返しが4です。さらに「ナウルの構え2」(内側が3本)では、横の折り返しが3、縦の折り返しが6になります。(これまでの画像もそうですが、下の図もクリックすると別窓で大きな表示になります。)
手順はとてもシンプルなのに大変美しいパターンが作れて楽しいです。ただし、両手の間でかたちを整えるのは難しいと思います。マグネットボードを使うことをお勧めします。
以下同様に、6本指の構え、7本指の構え、を作ってゆけば、この美しい斜め格子のパターンはもっと数を増やしてゆくことができるはずですが、糸の長さが足りないのと根気が足りないので、このくらいでやめておきます。
<おまけのひとこと>
「パターンあやとりの世界」を更新したいのですが、日々新たなあやとりをご紹介するのが忙しくて、とても手が回りません。毎日新しいパターンあやとりをご紹介するペースは多分あと数か月で息切れすると思うので、そうしたらまとめに入ろうかなと思っています。
8月2日(月) 折り紙の正八面体骨格(その3)、パターンあやとり、他
月曜日はいつも忙しいのですが、今日は特に忙しいです。やや体調が不安です。
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折り紙による正八面体骨格のシリーズの3回目です。これも情報源はYoutubeです。折り紙・スケルトン8面体というのを折ってみました。2枚組です。
Fig.1 写真左の一番大きなものは昨日ご紹介した6枚組です。正八面体骨格モデルは正方形3枚が交差したかたちになっていますが、今日ご紹介する2枚組は交差した3つの正方形の内の2つは薄くて、残りの1つは極端に分厚くなります。ユニットはとても折りやすいですが、巧妙な一枚組、シンプルで対称性が高い構造の六枚組と比べるとやや中途半端な印象を持ちます。でも作りやすくていいかもしれないなと思いました。3つの手法それぞれに違った魅力があります。
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パターンあやとり、先週ご紹介していた「TTF拡張」→「TSNCF終了処理」の手法に戻ります。
パターンあやとりでは基本中の基本の「ナウルの太陽」ですが、最初の構えから次に取る糸をちょっと変えると、最後に中指を外すと中央にパターンができずに左右に糸が離れてしまうのです。これを「引っかからないナウルの太陽」と勝手に呼んでいます。
この「引っかからないナウルの太陽」から、先日来やっている手順である「TTF拡張処理」(2本指のパターンを人差し指と薬指に移して、親指・小指に新たに輪を作って4本指パターンにする)→「親指・小指を1回転ひねる」→「TSNCF(タイガーショベルノーズキャットフィッシュ)の終了処理」をしてみました。
hh210802-1
- 引っかからないナウルの太陽
- パターンを人差し指・薬指に移す
- TTF拡張処理
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- TSNCFの終了処理
もともとの「引っかからないナウルの太陽」由来の部分が見えて楽しいです。
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図書館で、「猫を抱いて象と泳ぐ」(小川洋子)をふと手に取って読み始めたら止まらなくなって、借りてきて一気に読みました。堪能しました。チェスの話です。小川洋子さんの小説では、「博士の愛した数式」「ことり」が好きですが、この「猫を抱いて象と泳ぐ」も素晴らしいです。
「博士の愛した数式」の博士も、「ことり」のおじさんと彼のお兄さんも、「猫を抱いて象と泳ぐ」のリトル・アリョーヒンと呼ばれる主人公の少年も、かなり現実離れした設定のキャラクターなのですが、でも確かにこんな人、こういう考え方や感じ方をする人はいる、と思わせてくれます。小説ならではの世界で、時間を忘れて没頭させてもらえました。こういう風に本を楽しめるというのは幸せです。
ひとつだけ気になったのが、いったいこの小説の舞台はどこの国なのだろう? ということでした。冒頭のデパートの屋上の話のあたりでは、これはしばらく前の日本の話かなあと思いました。でも、この物語の世界では子供も大人もたくさんの人がチェスを指すようです。倶楽部の話も賭けチェスの話も、日本というよりは欧州か米国のような印象があります。そう思って改めてこの物語を振り返ってみると、これは意図的にそのように書かれているのだと思いました。登場人物の固有名詞が一切出てこないのです。
万人向けではないかもしれませんが、小川洋子さんらしい美しい小説だと思いました。2010年の本屋大賞に5位にランクインしているそうです。
<おまけのひとこと>
髪が伸びてきたので、昨日の日曜日に散髪に行こうかと思ったのです。ところがいつも行っていたお店がお休みでした。毎週木曜日と金曜日の二日間しか営業しないスタイルになっていました。理容師さんがどこか別のお店と兼務なのかなあと思いました。仕方がないので昨日の午後、自分でバリカンでカットしました。
8月3日(火) 正四面体の立体パズル、パターンあやとり、他
Netで見かけた立体パズルの話と、いつものあやとりの話です。
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自作のパズルの作り方を紹介しているサイトにPyramid puzzle(角錐のパズル)というのがありました。これは全て正三角形のピースだけで作れそうだったので、JOVOブロックで作ってみました。
Fig.1 パズルのピースの数は5つだったので、5色で作りました。1色あたり正三角形のパーツが22必要です。これを大きな正四面体に組んでみました。
Fig.2 ブロックの厚みのため、きちんと組めないのが残念ですが、どんなパズルなのか感じはつかめました。
(つづく) ○
キツネのタンポポ(二本ほうき)という伝承あやとり作品があります。世界各地でみられるそうです。私は野口広「あやとり」(1973)で「キツネのタンポポ」という名前を覚えたので、その名前以外だと違和感を感じるようになってしまいました。
キツネのタンポポ(二本ほうき) この「キツネのタンポポ」から、いつもの「TTF拡張処理」(2本指のパターンを人差し指と薬指に移して、親指・小指に新たに輪を作って4本指パターンにする)→「親指・小指を1回転ひねる」→「TSNCF(タイガーショベルノーズキャットフィッシュ)の終了処理」をしてみました。
hh210803-1
- キツネのタンポポ
- パターンを人差し指・薬指に移す
- TTF拡張処理
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- TSNCFの終了処理
基になっている「キツネのタンポポ」のパターンがわかりにくいですが、完成形はきれいだと思います。
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昨日、職場内SNSの雑談コーナーに、下の左のような覆面算が投稿されました。ABC + ABC + ABC = CCC という問題です。これは易しい問題です。
Two verbal arithmetic これを見た人が、ABC + ABC + ABC = BBB だったら? という派生問題を出してくれました。これもすぐに解けましたが、最初のものより少しだけ余計に計算をしなければなりませんでした。簡単なので答は書きません。出題された方も、「慣れた人なら暗算で解けるかも」とコメントされていました。
<おまけのひとこと>
「覆面算」を英語で何というか知らなくて、調べてみたら “verbal arithmetic” というようです。ところが google翻訳ではこの言葉は登録されていないようで、“verbal arithmetic”の日本語訳は「口頭算術」となりました。逆に日本語で「2つの覆面算」と入力してみると“Two masked calclations”となりました。
8月4日(水) コースター、パターンあやとり、他
先日買ったコースターの紹介と、いつものあやとりの話です。
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先日、こんなコースターを買いました。規則的なタイリングパターンです。どこかの床面を切り取ってきたみたいです。昔、小学校の音楽室とか視聴覚室とかの床がこんな感じの木目を生かしたモザイク状の凝ったパターンだった記憶があります。
Fig.1 割と精度が出ていて、立てることもできました。
Fig.2 店頭には4つ、同じデザインのものが出ていたのですが、使われている木材の樹種がまちまちなのです。色や木目の様子が一番気に入ったものを1つだけ買ってきました。妻から「どうせなら2つ買えばよかったのに」と言われたのですが、2つ目は買いたいと思うほど気に入ったものがなかったのです。ちなみに値段は税込390円でした。
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先月、二人の酋長という伝承あやとり作品と、そこからの派生の「上下がからんだ二人の酋長」というあやとりをご紹介しました。
sf210716-1 : Two Chiefs hh210716-1 これらのパターンに、いつもの「TTF拡張処理」(2本指のパターンを人差し指と薬指に移して、親指・小指に新たに輪を作って4本指パターンにする)→「親指・小指を1回転ひねる」→「TSNCF(タイガーショベルノーズキャットフィッシュ)の終了処理」をしてみました。
hh210804-1 hh210804-2
- 二人の酋長
- パターンを人差し指・薬指に移す
- TTF拡張処理
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- TSNCFの終了処理
- 上下がからんだ二人の酋長
- パターンを人差し指・薬指に移す
- TTF拡張処理
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- TSNCFの終了処理
ちなみに前回はこんな「二本指の終了処理1」というのを施していたのでした。
hh210717-1 hh210718-1b 同系統のあやとり作品に対して同じ終了処理のバリエーションを施してみて比べてみるというのは楽しいです。本日新たにご紹介したhh210804-2(「上下がからんだ二人の酋長」→「TTF拡張」→「TSNCF終了処理」)が気に入って、今、机の前に飾っています。見飽きると違うパターンに入れ替えるのですが、今は部屋の中の3か所に7パターンくらいを飾っています。
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本日冒頭にご紹介したコースターですが、八ヶ岳リゾートアウトレットのエスニック雑貨屋さんのマライカというお店でで購入しました。下の写真はコースターを入れてもらったお店の紙袋です。
八ヶ岳リゾートアウトレットは2001年7月にオープンしたので、ちょうど20年経ちました。以前はたいへん混雑していて、良いお店もたくさんありました。今も営業しているお店は良いお店が多いのですが、残念ながらこのところ閉店が目立ちます。“山梨ママ情報” というサイトに、八ヶ岳アウトレット閑散で閉鎖も間近?店舗の閉店が多い理由はコロナか有料駐車場か という記事がありました。 近隣では貴重な施設なので応援しているのですが、ちょっと(かなり)さみしい状況になりつつあります。頑張ってほしいと思います。
<おまけのひとこと>
スマートフォンやタブレット端末のニュースアプリというのは怖いものだなあと思います。過去に閲覧した記事に関連した情報ばかりが出てくるのです。知らず知らずのうちに考え方が偏ってゆく気がします。情報が多すぎると適切に取捨選択する能力が求められますが、いったいそれはどうやって培えばいいのでしょうか。
8月5日(木) フォー・ユー(その1)、パターンあやとり、他
立体の組木パズルの話とパターンあやとりの話です。
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4u gallery というページを見て、自分でも遊んでみたくて作ってみることにしました。4uは 4つのu という意味ですが、for you (あなたのために) というのと発音が一緒です。
このような、合同な4ピースのセットです。1つのピースは単位立方体8つから成ります。このピースが入る最小の直方体(バウンディングボックス)は 3x3x2 です。 4ピースで 8x4 = 32 単位になります。
Fig.1 Fig.2 多分、このパズルの一番の目的のかたちは 4x4x2 だと思います。難しくありませんが、頭の中だけで解けるでしょうか?
Fig.3 マジックペンで4ピースを色分けしてしまおうかとも思ったのですが、白木のままのほうがピース構成がわからなくてきれいかなと思ってそのままにしています。
こんな風に円環状に立ててみたり、
Fig.4 こんなかたちにしてみたり。
Fig.5 Fig.6 Fig.5 と Fig.6 は同じものを上から見下ろしたり横からのぞいてみたりしたものです。
積み木のように積み上げてみました。
Fig.7 楽しい…
(つづく) ○
今日はブラジルのメクラヘビというあやとり作品と、そこからのいつもの派生です。
The blind snake この「メクラヘビ」に、いつもの「TTF拡張処理」(2本指のパターンを人差し指と薬指に移して、親指・小指に新たに輪を作って4本指パターンにする)→「親指・小指を1回転ひねる」→「TSNCF(タイガーショベルノーズキャットフィッシュ)の終了処理」をしてみました。
hh210805-1
- メクラヘビ
- パターンを人差し指・薬指に移す
- TTF拡張処理
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- TSNCFの終了処理
中央に「メクラヘビ」のパターンが確認できます。
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午前2時過ぎに目が覚めたので、今日のこのページの更新をしようと思って机に向かって座って準備を始めたのです。机のすぐ左側が東向きの窓なのですが、そこから細い月が見えました。写真を撮ってみました。
コンパクトデジタルカメラで、手持ち撮影で光学20倍ズームです。カメラを持っている両手の腕を窓枠に押し付けてカメラを固定しました。
2021年8月5日(木) 午前2時半ころ 全然良い写真ではないですけれども、この程度の写真なら特に準備もなく撮れてしまって結果がすぐに確認できるというのは銀塩写真の時代には考えられなかったことです。
<おまけのひとこと>
「メクラヘビ」の写真、以前撮ったものが気に入らなかったので今朝あやとりを取って写真を撮り直しました。そうこうするうちにもう4時半です。東の空が少し明るくなってきました。
8月6日(金) フォー・ユー(その2)、パターンあやとり、他
昨日の組木パズルの話のつづきとパターンあやとりの話です。
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4u gallery というページに紹介されていたパズルを自作して遊んでみています。割と気に入ったのがこのかたちでした。
Fig.1 この写真1枚だけからだとよくわからないと思ったので、回転するCGを作ってみました。
Fig.2 これでもよくわからないかもしれません。
これは、2x2x4 の柱の回りにL字型が4つ、上向きと下向きが交互に配置されたかたちになっているのです。
Fig.3a Fig.3b Fig.3c Fig.3d たとえば冒頭の写真(Fig.1)やその下の回転するCG(Fig.2) を見て、このかたちを覚えてブロック玩具とかで再現してくださいと言われたら困る人が多いのではないかと思うのです。でも、Fig.3a-3d のように把握すると、かたちを理解して再現するのがだいぶやりやすくなるのではないかと思います。
(つづく) ○
今日はアフリカの魚の罠というあやとり作品からの派生です。
A Fish Trap かなり短い糸で取っていますが、本来はもっと長い糸で取ります。あたかも2本指でパターンが完成しているような写真になっていますが、下側の輪は手首にかかっています。アフリカのあやとりらしい、ダイナミックな手順のあやとりです。
この「魚の罠」に、いつもの「TTF拡張処理」(2本指のパターンを人差し指と薬指に移して、親指・小指に新たに輪を作って4本指パターンにする)→「親指・小指を1回転ひねる」→「TSNCF(タイガーショベルノーズキャットフィッシュ)の終了処理」をしてみました。
hh210806-1
- 魚の罠
- パターンを人差し指・薬指に移す
- TTF拡張処理
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- TSNCFの終了処理
「魚の罠」はこの終了処理と相性が良いと思いました。
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今朝の窓の外の朝焼けがきれいだったので写真を撮ってみました。
2021年8月6日(金) 4時48分ころの写真です。肉眼で見た風景のほうがずっときれいでした。写真は難しいです。
<おまけのひとこと>
今日も暑くなりそうです。
8月7日(土) フォー・ユー(その3)、パターンあやとり
昨日の組木パズルの話のつづきとパターンあやとりの話です。
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4u gallery というページに紹介されていたパズルの続きです。このページにある、十字型2種類を作ってみました。簡単ですし、ピースを色分けしていないのでパッと見で解がわかってしまうわけではないため、そのまま途中経過の写真を載せてしまいます。
ピース2つで「ハンコ」のようなかたちをつくて、それを合わせます。
Fig.1a Fig.1b Fig.1c 別な組み方もできます。
Fig.2a Fig.2b Fig.2c 画像をトリミングするのが面倒だったので、そのまま載せています。いつもの通り写真はクリックすると拡大します。
(つづく) ○
ねむりん坊(ベッドの男)というあやとり作品があります。下図右(sf210807-1)の短い糸で取ったものがオリジナルの取り方ですが、左の取り方を試してみたのです。結果は完全に同じになりました。
sf210807-1:ねむりん坊 sf210807-2:ねむりん坊
- 人差し指の構え
- 親指を人差し指の輪に上から入れ、小指の手前の糸を取る
- 小指を人差し指の輪に上から入れ、親指の向こうの糸を取る
- 7つのダイヤモンドの終了処理
- 人差し指の構え
- 親指で、人差し指の輪の下から小指手前の糸を取る
- 小指を人差し指の輪に上から入れ、親指の向こうの糸を取る
- 人差し指を外す
操作は異なるのに同じ結果になる、というのは面白いです。考えると理由はわかりますが、場合によって使い分けると良いかもしれません。
それでは、最初の「人差し指の構え」から親指・小指の輪を1回転ひねってから「ねむりん坊」を取るとどうなるだろう? と思って試してみたのです。
hh210807-1 hh210807-2
- 人差し指の構え(右手が先)
- 左手の親指小指を内側に1回転ひねる
- 右手の親指小指を外側に1回転ひねる
- ねむりん坊
- 人差し指の構え(右手が先)
- 左手の親指小指を外側に1回転ひねる
- 右手の親指小指を内側に1回転ひねる
- ねむりん坊
オリジナルの「ねむりん坊」よりも対称性が高くなってパターンとして美しい気がします。敢えて径が指の太さに近い、大きなマグネットで留めてみました。
これを見ると、ハワイの星、ハワイの夜を連想せずにはいられません。
上の右図のものは「ハワイの夜」ではありません。「ハワイの星」に対して、最初に親指・小指の輪をひねる方向を逆にしてみたものです。私は実はこれが「ハワイの夜」だとずっと誤解していました。
(つづく) ○
いろいろなあやとりを試しているので、伝承あやとり作品の取り方をどんどん忘れてしまうのです。なんと「四段ばしご」が取れなくなっていて焦りました。大好きな「嵐の雲」も「ケルトのタペストリー」も「天の川」も、手順を確認しないと取れなくなっていました。ピアノなどの鍵盤楽器で暗譜(譜面なし)で弾けるとかっこいいのですが、私は暗譜ではなく初見で弾けることを目指してずっと鍵盤楽器を楽しんできました。あやとりも、手順(多くは石野さんのあやとりサイトです)を見れば取れるものは多分数百種類はあると思いますし、自分で考案したパターンあやとりもそれとは別に数百種類はあると思うのですが、鍵盤楽器の演奏と同様に、あやとり手順(楽譜に相当する)を見ないと再現できないものばかりになってしまいました。まあいいか…
<おまけのひとこと>
来週、8月10日、11日は会社の「有給休暇取得推奨日」になりました。でも在宅勤務させていただく予定です。(盆休み明けまでにやっておきたいことが終わらなかったのです。)
8月8日(日) フォー・ユー(その4)、パターンあやとり
組木パズルの話とパターンあやとりの話です。代わり映えしません。
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4u gallery のご紹介の続きです。今日は、大好きなかたちである三葉結び目です。
Fig.1 : Trefoil knot 簡単なので、色分けした解のCGも作ってみました。
Fig.2 昨年の1月にGalaxy Craft 156(世古口幸康:2010) というのをご紹介して、そこからの派生をいろいろ考察したことがありました。
Piece of Galaxy Craft 156 Piece of "4u" ピースのユニットの数も同じ8個で、繋がり具合もほとんど一緒です。道理で似たようなパターンが作れるわけだと思いました。
(つづく) ○
昨日のハワイの星、「ハワイの夜(もどき)」から、いつもの「TTF拡張処理」(2本指のパターンを人差し指と薬指に移して、親指・小指に新たに輪を作って4本指パターンにする)→「親指・小指を1回転ひねる」→「TSNCF(タイガーショベルノーズキャットフィッシュ)の終了処理」をしてみたのです。
hh210807-3:Night(fake) sf210807-3:Star
いかがでしょうか。上図左、「ハワイの夜(もどき)」からの展開はとても美しいパターンになったと思います。一方、「ハワイの星」から取ると、なんだか左右が非対称になってしまって、うまく調整できませんでした。残念。
<おまけのひとこと>
お昼の更新になってしまいました。他にも書きたいことがあるのですが、今日はこれでサーバにアップします。
8月9日(月) ボードゲーム“Isolation”、フォー・ユー(最終回)、あやとり
組木パズルの話とパターンあやとりの話、古いボードゲームの話です。
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Isolation (アイソレーション:隔離) という名前のちょっと古いボードゲームの写真を見かけて、どんなルールなのか調べてみました。上記のリンク先にパッケージの箱の表と裏の写真があり、裏側にルールが書かれています。
Front side of the package ”Isolation”Front side of ”Isolation” package
Back side of the package ”Isolation”Front side of ”Isolation” package 8x6の48マスのボードに、自分と相手の駒(ポーン)が1つずつあります。初期位置以外のマスは取り外すことができる仕組みになっています。自分の手番の時に、まず自分のポーンを隣の空きマス(縦横斜めの8つのマスのうち、まだ取り外されておらず相手のポーンもいないマス)の1つに動かします。続いて任意のマスを1つ取り外します。(取り外すのは対戦相手のポーンの近傍、と箱には書かれていますが、任意で構わない気がします。)自分の手番の時に移動できるマスが無ければ負けです。
このルールを読むと、Posit というゲームを連想します。Positは1990年ころに考案されたゲームなので、1970年代に発売されているらしい Isolation のほうがずっと先です。Posit は床を取り外すのではなくて逆に障害物としてキューブを置いていきます。盤のサイズも6×6でちょっと狭いです。そのかわりキューブの上に上ることができます。降りることはできません。
20年前、この「あそびをせんとや」というサイトの公開を始めたころ、Posit というゲームをご紹介したことがあります。Java Applet で遊べるようにしたのですが、今や動く環境がありません。久々に実物を引っ張り出してきて遊んでみようかなと思いました。
Posit と言えば、初代Playstation用にぽじっと というゲームがありました。今でも多分持っていますが動くハードウェアがありません。思考ルーチンが異なるコンピュータ側のプレーヤーが8人くらい設定されていて、習熟度に応じたレベルの相手と対戦できるようになっていました。当時は全部のキャラクターに勝てたと思います。
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4u gallery のピースで遊ぶ最終回です。積み木のようにいろいろなパターンを作ってみています。
なんとなく「物干し台」みたいなかたちです(Fig.1)。
Fig.1 これは2回回転対称なパターンです。
Fig.2a Fig.2b これは一昨日のパターンを縦に積み上げてみたところです。
Fig.3 リビングのテーブルの隅に載せてあって、なんとなく組み替えたり積み上げたりしています。
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一昨日、「ねむりん坊」から派生するこんなあやとりをご紹介しました。
hh210807-1 hh210807-2 こんな簡単なあやとりがオリジナルなはずはないと思ったのですが、やっぱり以前に見たことがありました。あやとり表記法でお世話になったWWW collection of Favorite String Figuresというサイトの Pole Star と Darkness というのがまさにこれらのあやとりでした。
Man on a Bed
Pole Star Darkness 図は上記のサイトから引用させていただいています。(少しだけ加工しました。)
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高校の同窓会から、「同窓会の会報をwebで閲覧する方式に変更したいので閲覧できるか確認した後にアンケートに回答してください」というメールが来ました。確かにそのほうが良いと思います。現在のように印刷して郵送するというのはコストがかかっているでしょうから、移行に賛成です。
<おまけのひとこと>
昨夜19時半過ぎころ、寝室の窓から北東方向に花火が上がっているのが見えました。光と音の差から距離は1km弱、おそらく丘の向こうのすぐ近くの川のあたりで上げているようです。15分間ほど、それなりの数の花火が上がりました。この方角に花火が見えたのは初めてです。たまたま昨日は私は誕生日だったのですが、なんだか嬉しかったです。昼間、子供たちからもLINEでメッセージをもらいました。ありがたいことです。
8月10日(火) てかげえのカプセルトイ、あやとり、楽譜
てかげえ(手影絵)のカプセルトイの話と、あやとり他です。
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2週間ほど前、てかげえのカプセルトイの「うさぎ」をご紹介したことがありました。オリンピックが始まる四連休の初日に買ったのですが、その連休の確か最終日に、もう一度カプセルトイマシンに挑戦してみたのです。そうしたら次に欲しかった「はと」が出ました。
Fig.1 : Pigeon 手の甲の側の造形がきれいです。
Fig.2 : Pigeon 光を当ててみました。
Fig.3 : Pigeon 「うさぎ」のほうは影が美しいのですが、「はと」のほうは手のかたちそのものが美しいと思います。机の前に2つ並べて飾ってあります。手というのはきれいなかたちだと思います。でもこの「美しさ」は、普遍的というよりは私たち人間が、その高機能・多機能であることを知っているために感じる美しさなのではないかと思います。
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今年の2月3日にご紹介した丸と三角 というあやとり作品があります。
Fig.331
"String Figures and How to Make Them"
C.F.Jayne (1906)これをもう一度取ってみました。
Circles and Triangles ここから、いつもの「TTF拡張処理」(2本指のパターンを人差し指と薬指に移して、親指・小指に新たに輪を作って4本指パターンにする)→「親指・小指を1回転ひねる」→「TSNCF(タイガーショベルノーズキャットフィッシュ)の終了処理」をしてみました。
hh210810-1
- 丸と三角
- パターンを人差し指・薬指に移す
- TTF拡張処理
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- TSNCFの終了処理
あやとり完成形の中央にオリジナルの「丸と三角」のパターンが見えています。これもきれいです。
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昨日は三連休の最終日でした。欲しい本があったので買い物に行きました。楽器屋さんをのぞいて、セヴラック ピアノ作品集1という楽譜を1冊買ってきました。リンク先の音楽之友社のページに行くと、数ページを閲覧できます。単純に冒頭からの数ページというのではなく、各曲の最初のページだけが見られるようになっているのがいいです。
20年前に出版されている楽譜なのですが、知りませんでした。それどころかセヴラックという作曲家のことも初耳でした。ドビュッシーやラヴェルと同じ世代のフランスの作曲家のようです。
この曲集の半分以上を占めるのが「休暇の日々から」第1集(中級程度のロマンティックな小品集)という8曲の曲集です。下の画像をクリックすると、少し拡大します。
シューマンの「子供の情景」という有名な作品集がありますが、それを連想します。ピティナの セヴラック :休暇の日々から 第1集 のページから、それぞれの曲の演奏例の動画を聴くことができます。
セヴラックという作曲家は1872年に生まれ、1921年に49歳で亡くなっているそうです。ドビュッシー(1862-1918)よりも10歳年下、エリック・サティ(1866-1925)より6歳年下、ラヴェル(1875-1937)より2歳年上で、ほぼ同世代のフランスの作曲家です。楽器屋さんの楽譜コーナーでこの楽譜を手に取ってみるまで、おそらく一度も名前を聞いたことのない作曲家でした。それほど難易度が高くなくて自分でも手が届きそうな美しい曲を新たに知ることができて嬉しいです。
<おまけのひとこと>
今日明日は在宅勤務で、普段は時間がなくて手が付けられていない、目を通しておきたい文献や論文を勉強する時間を取れそうです。楽しみです。
8月11日(水) 折り紙の箱(Dr.Box)、伝承あやとり、本
折り紙の箱のご紹介と、あやとり他です。
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Nick Robinson : Dr.Box という折り紙の箱を折ってみました。箱の上部がたとう折りになっていて、箱の内側と同じ面が使われます。箱の外側は用紙の裏側になります。なので両面折り紙を使ってみました。たまたま一番上にあった色を選びました。
Fig.1 この箱のふたを閉じるのは結構面倒です。開いてみました。
Fig.2 さらに広げてみます。こんな折り筋になっています。
Fig.3 裏返してみます。
Fig.4 箱の開け閉めがちょっと面倒なのが残念ですが、シンプルですがきれいなデザインだと思います。折り図を公開して下さって感謝です。
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イヌイットのあやとりのふくろうとキツネを取ってみました。
The Owl この「ふくろう」から左の小指を外すと「キツネ」になります。糸が長すぎると思ったので「キツネ」は短い糸で取ったものをご紹介します。
The Fox ここから何か終了処理をしてみたいと思ったのですが、あまりご紹介したいと思えるものになりませんでした。なので今日は伝承あやとり作品のご紹介のみです。
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先日、幾何学と代数系(金谷健一:森北出版(2014))という数学の本を買ってきました。以前からちゃんと読んでみたいと思っていた本です。
三次元空間の並進や回転を記述する数学に関する本です。日本語の教科書がある、ということがまずありがたいです。座標系を導入して行列演算に持ち込むのではなく、あくまでも幾何学的な視点から代数系を構築するという話で、とても面白いです。高校生のころ数学が一番好きな教科だったのですが、中でも空間図形が一番好きでした。あのころにこんな本があって、その先にこんな世界が広がっているということを当時知ることができたら良かっただろうな、と思います。
上記の出版元のサイトでは、中身を20ページほど閲覧できるようになっています。こんな感じに途中経過が丁寧に書かれていて、素人にはありがたいです。(添え字の誤植もあったりしましたが。)
自分でも手を動かして、計算用紙に途中経過を考えながら書いてみています。時間はかかりますが、そうすると納得感が違います。
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昨日ご紹介したフランスの作曲家のセヴラックですが、妻が楽譜の後ろの舘野泉さんの解説を読んで、セヴラックが詩人のフランシス・ジャムと懇意だったということを知って感激していました。私はフランシス・ジャムと言われてもピンとこないのですが、妻が昔愛読していた旺文社文庫の「三人の少女」の著者なのだそうです。岩波文庫では三人の乙女たち(リンク先は 読書メーター の感想・レビューです) というタイトルになっているようです。
こうやって、知っている人とつながるというのは楽しいですね。(自分が知っている人ではありませんでしたけれども。)
<おまけのひとこと>
先日ご紹介した「浮沈子」、おもりをクリップで調整したので、錆びてきて重くなって何もしなくても沈みっぱなしになってしまいました。それどころか水がだんだん錆色になってきて汚らしくなってしまったので、水を捨てて中身を取り出して乾かしています。保存するにしても、遊び終わったら水を捨てて乾かしておくほうが良いです。
8月12日(木) 折り紙の鉢(Wentworth Bowl #3)、あやとり、他
折り紙のボウルのご紹介と、あやとり他です。
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Nick Robinson氏の折り紙作品を検索していたら、nickorigami.com という御本人のサイトがありました。この中にDiagrams というページがあって、十数種類の折り紙の手順が公開されています。たいへんありがたいことです。
この中の、Wentworth Bowl #3 というのを折ってみたくなりました。格子柄のおりがみ用紙で折ってみました。上から見下ろしたり、
Fig.1 横から見てみたり。
Fig.2 広げてみます。こんな折り筋になっています。
Fig.3 裏返してみます。
Fig.4 手順が公開されているので不要なのですが、展開図を描いてみました。
きれいなデザインだと思います。
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有名なイヌイットのあやとりのかもめを取ってみました。
Seagull いつもの「TTF拡張処理」(2本指のパターンを人差し指と薬指に移して、親指・小指に新たに輪を作って4本指パターンにする)→「親指・小指を1回転ひねる」→「TSNCF(タイガーショベルノーズキャットフィッシュ)の終了処理」をしてみました。淡い色のひもしか使えなかったので、黒板に固定してみました。
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- かもめ
- パターンを人差し指・薬指に移す
- TTF拡張処理
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- TSNCFの終了処理
中央の「かもめ」のパターンがちょっとわかりにくくて残念です。
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安藤瑠美写真展「TOKYO NUDE」 という写真展が、東京都目黒区のBOOK AND SONSのギャラリーで開催されているのだそうです。(東急東横線の「学芸大学」駅から徒歩3分だそうです。)期間は8月7日(土)から8月22日(日) の2週間(水曜定休、12:00〜19:00)、入場無料、だそうです。
実際の街の写真をもとに、ポスタリゼーション(画像で使われている色の数を減らして、イラストっぽくする画像処理)のような加工を手作業で(おそらくレタッチで)行っている作品のようです。上記のリンク先でもいくつかの作例を見ることができますが、実際に大きく印刷されたものを見るのは面白いだろうな、と思います。この開催期間に東京に行くことはできないので見られませんが、面白いと思いました。
以前、諏訪湖周辺の写真をポスタリゼーションした絵はがき集を買ったことがありました。テクニックやアイディアが同じでも、センスや技術が問われるのだと思います。
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以前、102+112+122 = 132+142 という式をご紹介したことがありましたが、この式の左右の計算結果が 365 になるのだ、と気が付きました。 いや別にだからどうだ、というわけではありませんが…
<おまけのひとこと>
お盆休みに入りました。ゆっくり更新しています。
8月13日(金) バッハの14のカノン、あやとり、他
バッハの音楽を分析した論文のご紹介と、あやとり他です。
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毎年この時期に楽しみにしているBridges の最新のカンファレンスの予稿集が公開されました(Bridges 2021)。今年はオンラインで8月1日〜3日に開催されたようです。ご紹介したくなる面白い内容がたくさんあるのですが、今日はその中から Variations of the Goldberg Ground and Other Canonic Adventures(Rachel Hall:Proceedings of Bridges 2021 pp.261-264) のご紹介です。
偉大な音楽家であるバッハ(J.S.Bach:1685-1750) の作品は、BWVと表記されるバッハ作品主題目録番号(Bach-Werke-Verzeichnis)と呼ばれる数字で分類され番号付けされています。ごくおおざっぱに言って、BWV 1〜500くらいまでがカンタータやモテット、ミサ曲やオラトリオ、コラール、歌曲など、BWV 500〜800 のあたりがオルガン曲、BWV 800〜1000くらいが鍵盤曲(足鍵盤の無いチェンバロやクラヴィコード等)、BWV 1000〜1040あたりが無伴奏のソロ曲を含む室内楽、BWV 1040〜1070 あたりが協奏曲や管弦楽曲、そして最後の BWV 1070〜1080 あたりが「音楽の捧げもの」や「フーガの技法」など、晩年の対位法を極めた作品です。
上記の論文では、14のコラール(BWV 1087) という作品を分析しています。バッハのファンを自任している私としたことが、恥ずかしながら「えっ? BWV 1087 なんてあったっけ?」と思ってしまったのです。調べてみると、1974年にフランスのストラスブール(ライン川をはさんでドイツと隣接した国境の街)で発見されたバッハの私蔵本のなかから見つかったのだそうです。バッハ生誕300年間近、没後250年以上経ってからの発見で、バッハに関しては最近(といっても50年近く前ですが)では最大の発見と言われているそうです。
J.S.Bach BWV 1087 たった1ページですが、この中に無限カノンが14曲、「謎のカノン」として記されています。この楽譜を、ちょうど「音楽の捧げもの」の謎のカノンを読み解くのと同様に解読すると、14のカノンがどんな曲なのかが理解できます。ちゃんと新バッハ全集に入っていて、こちらのように購入できるようです。IMSLPにもこの曲のページがありました。
解説を書こうかなと思ったのですが、すでに充分わかりやすいコンテンツがいくつもあるので、そのご紹介にとどめようと思います。おそらく一番わかりやすいのは、こちらのYoutubeの動画のBWV 1087 - 14 Canons です。冒頭にご紹介した Bridges の論文でもこの動画をリファレンスに取り上げています。 通常、五線譜の左端に書かれる音部記号(ト音記号とかヘ音記号とか)や調性記号が五線譜の右側にも書かれていて、しかも場合によっては逆さまに書かれているのです。これが「謎のカノン」を読み解くカギになっています。それを動画でわかりやすく示して、さらに実際に音として鳴らして聞かせてくれるという、至れり尽くせりの解説です。ぜひ視聴してみて下さい。17分くらいの動画です。上記のたった1ページの楽譜の中に「これでもか」というくらい詰め込まれた濃密なパターンと構造が楽しめます。
もう一つ、こちらの14のカノン BWV1087 というページも素晴らしいです。このページはフーガの技法研究所 というサイトの中にあるのですが、私と同じくLCV(エルシーブイ) のサービスを利用している方のようで、やはり20年近く前から公開されているサイトです。
検索してゆくと、オーディオマニアの方が書かれている blog の今から44年前に発見されたバッハの新譜?肖像画の有名な14のカノン(BWV1087)を考察するという2018年に書かれた記事がありました。この方も BWV 1080 以降の番号の作品はご存じなかったようです。
さらに、その名も Puzzle Canon - musical symmetry (謎のカノン:音楽の対称性)という素晴らしいサイトがありました。(ここも冒頭の論文のリファレンス先に挙げられています。)まず、このサイトのロゴが逆さまになったト音記号のデザインで、極めて象徴的です。またこのサイトの冒頭に書かれた解説が素晴らしいのです。ブラウザの自動翻訳機能で読んでみても充分理解できると思います。ぜひここもじっくり堪能したいと思いました。
肝心の、冒頭にご紹介した論文ですが、BWV 1087 の14のカノンのうちの最初の4つ、最もシンプルなものを分析し、「皆さんもぜひカノンを作曲してみましょう!」と締めくくっています。
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あやとり、同じような話題がずっと続いて恐縮です。今日は日本のあやとりの蝶を取ってみました。このあやとりは滋賀で採集された(滋賀県にお住いの方がこのあやとりの取り方を知っていて、それを研究者が記録した)そうです。改訂版 あやとり大全集(野口とも:主婦の友社 2020)では「あげはちょう」という名前になっています。私は「滋賀の蝶」と呼んでいます。(蝶とか星とか、同じ名前の作品がたくさんあるあやとりは、記録された場所を付けて「ガイアナの星」「パプアニューギニアの亀」「ナウルの太陽」とか呼ぶのがわかりやすいかなあと思うためです。)
Butterfly (Shiga, Japan) ここから、いつもの「TTF拡張処理」(2本指のパターンを人差し指と薬指に移して、親指・小指に新たに輪を作って4本指パターンにする)→「親指・小指を1回転ひねる」→「TSNCF(タイガーショベルノーズキャットフィッシュ)の終了処理」をしてみました。
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- 滋賀の蝶
- パターンを人差し指・薬指に移す
- TTF拡張処理
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- TSNCFの終了処理
パターンあやとり、かなりマニアックになってきています。Youtubeで「あやとり」「String Figure」「Cat's cradle」などを検索してみても、もっとはるかにシンプルなあやとり作品しか紹介されていません。折り紙とかはけっこう面倒なものも公開されているのですが。 私が紹介しているようなパターンあやとりを面白いと思って下さる方、自分でもやってみようという方はかなり少ないかなあと思っています。でも、本日の1つ目の話題の「謎のカノン」のように、極めてマニアックな世界にのめり込んでいる方も世界にはたくさんいらっしゃる(それどころか「フーガの技法研究所」みたいに、おそらくごく近くにもにらっしゃる)ということがわかったので、改めて世界は広いな、きっとこういうのも面白いと思う方も中にはいるに違いないと思うことにしました。
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妻が、「向こうの田んぼのあぜ道にサギがいるよ」と教えてくれたので写真を撮ってみました。光学ズームなしで撮影したものをXGA(1024x768)にトリミングしています。さらにサムネイルとしてQVGA(320 x 240)にリサイズした写真を載せていますが、リンクするとXGAサイズの画像が開きます。
カメラの最大の倍率(x20)まで光学ズームしてみました。(下のサムネイル画像をクリックすると画像全体をXGAにリサイズしたものが開きます。)
さらにカメラのデジタルズーム機能で最大倍率(x53)までズームしてみました。(下のサムネイル画像をクリックすると画像全体をXGAにリサイズしたものが開きます。)
何か食べているみたいです。私は目が悪いので肉眼では何をしているのかよくわかりませんでした。一面の緑の中に真っ白な鳥が一羽、きれいでした。
<おまけのひとこと>
天気が悪いですが、家の中でやりたいことがたくさんあります。
8月14日(土) ボードゲーム “FINESSE”、あやとり、他
古いボードゲームのご紹介と、あやとりの話です。
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古いボードゲームを取り出してきて遊んでみました。“FINESSE” (フィネス) という二人で対戦する、運(偶然)の要素の無い、情報完全公開型のアブストラクトゲームです。こんなパッケージに入っています(Fig.1)。
Fig.1 ふたを開けてみました(Fig.2)。
Fig.2 ゲーム盤はチェスと同じく 8 x 8 = 64 マスの広さですが、16色に塗り分けられています。同じ色のマスが4つずつあります。お互いに4つずつコマを持っています。
付属の説明書は英独仏の三か国語で書かれています。それとは別に手書きのコピーで日本語の説明書が1枚入っていました(Fig.3)。
Fig.3 ルールを簡単にまとめておきます。
【人数】二人
【目的】自分の4つのコマを盤面の同じ色のマスに置く
【遊び方】
- 自分のコマの色(赤・オレンジ)を決める
- 配置フェーズ
相手のコマを互いに1つずつ、盤面の空いている任意の場所に置く- 移動フェーズ
自分のコマを1つ、縦か横にまっすぐ動かす
自分や相手のコマは飛び越せない実は昨日テストプレイをしたときに、間違ったルールでプレイしてしまいました。移動は縦横4つの隣接するマスにしか進めないと私が誤解してしまっていたのです。これだとスピード感がないゲームになってしまいました。本当は将棋の飛車やチェスのルークのように縦か横に好きなだけ移動できる(ただし他のコマは飛び越せない)というルールでした。
Fig.4 このボードゲームについてどこかに紹介されているかなと思って検索してみました。日本語のサイトで見つかったのは日本の古本屋というサイトの中のこちらだけでした。ルール等については何も書かれていません。海外のサイトでは、有名なボードゲームサイトのBoardGameGeekにFINESSEというページがありました。驚いたことにこのページのルールの記述では、自分のコマを1つずつ配置することになっていました。また、並んでいるパッケージの写真をみると、FINESSE という名前以外に Bluff (はったり) という名前で販売されていたこともあるようです。
このゲームは、私の持っているセットの説明書によると1975年に発売されたようです。当時はまだパソコンはおろかワープロ(ワードプロセッサー)すら普及していなかった時代ですから、日本に輸入して発売するにあたって日本語の説明書は手書きのコピーを添付したのだな、と思います。
余談ですが、FINESSE(フィネス) というと、コントラクトブリッジというカードゲームの基本的な手筋の1つの「フィネス」を連想します。(このボードゲームを買った当時はブリッジは知りませんでした。)ブリッジについては、かずちゃんのブリッジって何?というサイトのフィネスの解説ページが詳しいです。
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昨日ご紹介した滋賀の蝶、
Butterfly (Shiga, Japan) これを1本の長いあやとりひもから2つ向かい合わせに作ってみました。以下のような概手順になります。
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Twin Butterflies
- ナウルの構え1(四本指の構え)
- 人差し指・中指の輪を親指に移す
(親指に三重の輪がかかっている)- 人差し指で小指の手前の糸を取る
- 中指で掌の糸を取り合う
- 親指以外の4本の指で、逆向きに「滋賀の蝶」を取る
- 作ったパターンを小指に退避する
- 親指の三重の輪を中指・人差し指に戻す
- 手前三本指で手前向きに「滋賀の蝶」を取る
どうやって取るのかがしっかり頭に入っていないと混乱します。作る手順がパズルのようでとても面白いのです。二人の人が向かい合って4本の手で取るとずっと簡単かもしれません。ただし糸の余長の調整が厄介かもしれません。
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国際あやとり協会の新着情報で紹介されていた、NHKの「こころのおはなし〜アジアこどもドラマ〜」の再放送の「あやとり」という作品を昨日見ました。登場するあやとり作品が本格的で感心しました。さすが「あやとり協会監修」です。
<おまけのひとこと>
全国的に毎日大雨が続いていてとても心配です。
8月15日(日) ボードゲーム “FINESSE”(その2)、双子のあやとり、他
ボードゲームの話の続きと、双子のあやとりの話です。
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昨日ご紹介した “FINESSE” (フィネス) という二人対戦のボードゲーム、16色のマスの色を見分けるのがけっこう大変なのが残念でした。そこでボードを自作してみることにしました。まず、オリジナルのボードの16色のマスの配置を調べます(Fig.1)。
Fig.1 16色なので、16進数の 0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,A,B,C,D,E,F で表記することにしました。
色だけで区別するのではなく、4種類のかたち(○、◇、☆、×)と4色(赤・青・黄・緑)で16パターンを作ることにしました(Fig.2)。
Fig.2 これをA4サイズに印刷してテストプレイしてみました。コマはオリジナルのものを流用しましたが、ガラスのおはじきのような透明なものを使うほうが良さそうです(Fig.3)。
Fig.3 見落としにくくなったのと、将棋の飛車の動きができるため妨害がしやすくなって、かんたんに勝負がつきません。20分近く真剣にプレイした挙句、私(オレンジのコマ)が負けました。
Fig.4 : Red Win! 最初、「赤(妻)」が黄色い○を狙っていたので、「オレンジ(私)」が黄色い○に入って妨害しました。次に私が黄色い◇と黄色い☆(2か所で隣り合っています)の両にらみで、もうちょっとで勝てるところまで行きました。(2つが黄色い☆に入って、3つ目と4つ目も1手で黄色い☆に入れる場所にいました。片方は妨害できる位置、もう片方は妨害できない位置でした。妨害できるほうを先に動かしていれば勝ちだったのですが、選び間違えて勝ちそこないました。)
最後(Fig.4)は、「赤(妻)」が赤い○に2か所入って、残りの2つも赤い○に隣接しています。見事です。妨害するには「オレンジ」が赤い○のマスに先に入るしか手がないのですが、どちらも1手では妨害できません。「オレンジ」は黄色い☆を狙っているのですが、1手違いで負けです。
このゲーム、狙いを次々と切り替えてゆくことと、いかに相手に妨害されないゴールを狙うか、が大切です。また、自分が揃うことばかりに夢中になるとあっさり負けます。昔はあんまり面白いゲームではないような気がしていたのですが、本気で対戦してくれる人がいなかったのが「このゲームの面白さ」を理解できなかった原因だったようです。
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「双子の○○」、他にもやってみているのでご紹介したいと思います。先日もご紹介した 2つの星、
Two Stars これも1本の長いあやとりひもから2つ向かい合わせに作ってみました。少し丁寧に取り方を説明しておきます。(「2つの星」そのものの説明はしません。)
本来、「2つの星」は親指・人差し指・小指の3本の指だけで取ることができます。この3本以外の指の組み合わせでも「2つの星」を取れるようになると、こういった応用ができて楽しいのです。「2つの星なら完璧に覚えている」という方は挑戦してみることをお勧めします。面白いですよ。
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介護レクリエーションのサイトに並び替え単語クイズというコンテンツがあったのですが、高難易度の問題が難しかったのです。
並び替えて単語を作ってください
- てろろんぶ
- ばらんいかん
- かちょうのいし
- さんまらりー
- びんはせこうな
- ずかんていし
- ちちょんう
一応自力で全部答がみつかりましたが、けっこう考えました。上記のサイトにあるこの問題の「画像を拡大」を行ってみると、大きなサイズの画像の右下に小さく答が逆さまに印刷されています。
<おまけのひとこと>
大雨、本当に心配です。今(8月15日 午前9時に)も市の防災行政無線放送で、
「大雨の影響により、下水道管に多量の雨水が入り、市街地においてトイレが流れにくい状況です。市民の皆さんは、お風呂の排水などは、極力控えていただき、節水にご協力ください。」
という連絡がありました。標高が低い地域は下水道の不具合は先に発生します。一方、断水など上水道の不具合は標高が高いほうから先に影響が出ます。トイレを控えるのは難しいですが、不必要な排水はしないようにしたいと思います。