パターンあやとりの世界


第1章:開始処理・装飾処理・継続処理・終了処理

2.2本指の構え、3本指の構え、4本指の構え、5本指の構え…

 ここではパターンあやとりで最も頻繁に用いられる開始処理として、下図のような構えをご紹介します。

2本指の構え 3本指の構え 4本指の構え 5本指の構え 6本指の構え(?)


 

2-1. はじめの構え(2本指の構え)

 親指と小指に糸をかけて、全体で長方形になるような状態を「はじめの構え」と言います。

Fig.1-21a:はじめの構え Fig.1-21b:はじめの構え


 

2-2. 人差指の構え(3本指の構え)

 「はじめの構え」の双方の手の掌の糸(上のFig.1-21bの赤マルの糸)を互いに人差指で取り合うと「人差指の構え」、中指で取り合うと「中指の構え」になります。通常、右手を先に取りますが、大部分のあやとり作品ではどちらが先でも問題ありません。

Fig.1-22a:人差指の構え Fig.1-22b:人差指の構え


 

2-3. ナウルの構え1(4本指の構え)

 親指・人差指・中指・小指に輪がかかるパターンです。「ナウルの構え1」と呼ばれます。

Fig.1-22a:ナウルの構え1 Fig.1-22b:ナウルの構え1

 これはこんな風に取るのがお勧めです。

  1. 人差指の構え
  2. 小指を外す(上図になる)
  3. 小指で人差指の向こうの糸を取る(右図になる)
  1. 右中指で左中指の腹の糸を取る(上図の赤マル)
  2. 左中指で、右中指の輪の中から右中指の腹の糸を取る

 実際の「ナウルの構え1」の取り方は異なりますが、結果はこの操作と同じになります。


 

2-4. ナウルの構え2(5本指の構え)

 続いて、親指・人差指・中指・薬指・小指の5本の指すべてに輪がかかるパターンです。「ナウルの構え2」と呼ばれます。

Fig.1-23a:ナウルの構え2 Fig.1-23b:ナウルの構え2

 これはこんな風に取ります。

  1. 人差指の構え
  2. 薬指で人差指の向こうの糸を取る(右図になる)
  1. 右中指で左中指の腹の糸を取る(上図の赤マル)
  2. 左中指で、右中指の輪の中から右中指の腹の糸を取る

 「ナウルの構え3」というのもあって、同じく5本の指に1つずつ輪がかかりますが、糸の重なり方が異なります。パターンあやとりではこの差は問題にならないことがほとんどなので、ここでは割愛します。


 

2-5. 輪の数が6つ以上の場合

 仮に片手の指の数がもっと多ければ、原理的には輪の数を増やしてゆくことができます。 

Fig.1-24a:6本指の構え?

 指の本数よりも輪の数を多くしたい場合は、いったんできた輪をどこかの指に退避して、輪の数を増やす処理をすれば良いです。上記の「ナウルの構え1」では、いったん輪の数を2つに減らしてから輪を2つ追加しています。同様の手順を行うことで、輪を増やすことができます。

  1. ナウルのの構え1
  2. 人差指の輪を親指に移す
  3. 中指の輪を親指に移す(上図になる)
「ナウルの構え1」の後半の処理を行う
  1. 人差指で小指の手前の糸を取る
  2. 中指で掌の糸を取り合う

 この例では「ナウルの構え1」で4つの輪を作って、そのうちの手前の3つを親指に重ねておいて、向こう側の指を使って輪を増やしています。この操作を続けてゆくと、輪の数を増やしてゆくことができます。


 

 次節では「輪を移す」「輪をひねる」「輪を裏返す」という装飾処理の基本操作について解説します。

[← 前へ] [↑ 目次へ] [次へ →]


2021.05.01
長谷川 浩(あそびをせんとや)


(c)2021 長谷川 浩
ご質問、コメント等はこちらへ