以前の「ひとこと」 : 2021年6月後半
6月16日(水) テトラキューブの話の続き、あやとり「サケ網」、他
6月後半になりました。過去のページの冒頭の日ですが、先週の話題の続きを書きます。あやとりの話は珍しく伝承あやとり作品のご紹介です。
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先週、4x4x4単位の立方体に納まる立体十字型と立方体フレーム型のご紹介して、単独でこれらのかたちが作れるテトラキューブはどれでしょう? という問いかけをしていました。
立体十字型 立方体フレーム型
先日書きましたが、「立体十字型」が作れるテトラキューブは5種類ありました。「立方体フレーム型」のほうはこれよりずっと条件は厳しくて、そもそもこの「立方体フレーム型」からはみ出さずに配置できるピースは以下の3種類しかありません。
このうち、直感的に配置がわかるのはこのピースだと思います。
Fig.1 残りの2種類、I型テトロミノとL型テトロミノで「立方体フレーム型」が作れるでしょうか? できるとしたら解は何通りあるでしょうか?
(つづく) ○
「サケ網(3つのダイヤモンド)」という、動きがあっておもしろい伝承あやとり作品があります。石野さんのサイトでは「魚の網」として紹介されています。私は野口広「あやとり」(1973)で覚えました。取り方は自分なりにアレンジして覚えています。取り方は完全に左右非対称です。
これを取ったら、誰かほかの人に真ん中のダイヤ型のところに手を突っ込んでもらうのです。その手が「サケ」のつもりで、このあやとりの図形が「網」です。手を突っ込んだ人に、網を右に引くか左に引くか尋ねます。(右手を離して)左に引くとサケは逃げてしまいます。(左手を離して)右に引くと網は引っかかってサケは捕まります。左右逆に取ると、結果も逆になります。
この「サケ網」の射影図をwinknotというソフトで描いてみました。(せっかくwinknotを使っているので、結び目不変量の多項式を計算してみて、図が間違っておらず「自明な結び目」になっていることを確かめました。計算時間は数十秒かかりました。)
Fig.2 真ん中のダイヤ型から右側の部分に着色してみました。
Fig.3 赤い輪と青い輪は絡まっておらず、中央のダイヤ型は赤・青の輪の外側になるので、ここに手を入れて図形を左に引くと、赤と青の輪が上下に分かれて「逃げられる」のですね。図を描いてみて納得しました。
シンプルですがおもしろい、好きなあやとり作品です。
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久しぶりに岩波全書の組み合わせ理論とその応用(高橋磐郎:1979)を引っ張り出してきて読んでみています。私が持っているのは1989年の第2刷、税込1,900円(本体1,845円)の本で、消費税が3%の時代のものです。
良い本なのですが、今みるとかなり文字が小さくて(本そのものが小型本なので)、特に添え字とかがちょっと厳しいです。
<おまけのひとこと>
昨日は終日リモート会議でした。2時間の委員会が3つあって、今年度最初の委員会ということでそれぞれの冒頭で自己紹介をしました。自己紹介だけはビデオをonにするのかと思って、事前にノートPCのカメラ画像を確認しておいたのですが、1つ目の会議も2つ目の会議も自己紹介は誰もビデオをonにしていませんでした。この流れなら3つ目もビデオは不要だと判断して、暑くなってきたのでラフな格好に着替えました。そうしたら3つ目の委員会に限って「自己紹介はビデオカメラをonにしてください」と言われて慌てて支度しました。幸い、後ろのほうの順番だったので事なきを得ました。でも、一部の方は「カメラが有効にならない」とか「在宅勤務で背景に支障があって画像は勘弁してほしい」という方もいらっしゃいました。
6月17日(木) L-テトラキューブ8個で立方体フレーム型を作る(その1)、あやとり「7つのダイヤモンド」の系列
合同なテトラキューブで立方体フレーム型を作る話と、あやとりの系列の話です。
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昨日は4x4x4単位の立方体のフレーム型(32単位)を、合同なテトラキューブ8個で作る話を始めました。
立方体フレーム型 答えを書いてしまいますが、以下の5種類の平面的なテトラキューブのうち、上の「立方体フレーム型」を8個で作れるのは、
このL-テトロミノだけなのです。
本質的に異なる解は3つあります。
Solution A Solution B Solution C この3種類の解は何が違うでしょうか?
たとえば、下の構造は解A,解B,解Cのどれと同じでしょうか? 色の違いや向きの違いは無視して、ピースの「繋がり具合」だけに注目してください。
Solution A,B,or C? (つづく) ○
日本の伝承あやとり作品の「7つのダイヤモンド」という作品があります。同じパターンのあやとりが世界各地で知られているそうです。私はこれも野口広「あやとり」(1973)で覚えました。「人差し指の構え」(3本指の構え)から始めますが、これを「ナウルの構え1」(4本指の構え)や「ナウルの構え2」(5本指の構え)から始めると、このような系列になります。
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sf-1 :7つのダイヤモンド hh210614-1 hh210617-1
- 人差し指の構え
- 7つのダイヤモンドの終了処理
- ナウルの構え1
- 中指の輪を人差し指に移す
- 7つのダイヤモンドの終了処理
- ナウルの構え2
- 薬指と中指の輪を人差し指に移す
- 7つのダイヤモンドの終了処理
ということは、6本指の構え、7本指の構え、… とやって人差し指の輪の数を増やしてゆけば、中央の斜めの格子パターンを増やせるはずです。でも、かたちを整えるのがどんどん大変になってゆくのは目に見えているので、「ナウルの構え2」までやって満足しました。
<おまけのひとこと>
一昨日、昨日と2日間ほぼずっとリモートの会議に参加していました。昨日の午前中の会議が一番面白かったです。知らなかったことをたくさん学びました。
6月18日(金) L-テトラキューブ8個で立方体フレーム型を作る(その2)、射影図が点対称のあやとり
L-テトラキューブ8つで立方体フレーム型を作る話と、あやとりの話です。
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L-テトラキューブ8つで4x4x4単位の立方体のフレーム型(32単位)を作る話の解説です。
×8 → 昨日書いたように、この3種類の解があります。
Solution A Solution B Solution C これらの見分け方を説明したいと思います。
立方体構造ですから、向かい合う正方形の面が上下、左右、前後の3組あります。それぞれの面は必ず4つのピースで構成されています。4つずつに分離することを考えてみましょう。たとえばこんなパターンが考えられます。(これで全部ではありません。)
Pattern 1 Pattern 2 Pattern 3 解Aは、上下がパターン2、左右はパターン1、前後はパターン2です。解Bは、上下と前後はパターン3、左右がパターン1です。そして解3は前後だけはパターン3ですが、左右と上下はここには現れないパターンです。(すみません図を作り忘れました。対称性が高くないパターンです。)
ということで、昨日の問題の「これは解A,B,Cのうちどれと同じでしょうか?」ですが、
これは解Cと同じなのでした。
この3種類の解があること、その見分け方が面白いことが今回の一連の話で一番書きたかったことでした。
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「7つのダイヤモンド」の終了処理の試みです。「人差し指の構え」から、親指小指の輪を人差し指の輪を通して外して掛け直す操作をするのですが、それを普通に「人差し指の輪の下から取り出して外して掛け直す」操作と、通常とは逆に「人差し指の輪の上から外した輪を入れて、人差し指の糸の下を通して掛け直す」操作を組み合わせてみました。
このパターンの面白いところは、操作手順は前後に対称で左右には非対称なのに、出来上がるパターンの射影図は前後対称ではなく点対称(2回回転対称)なのです。なぜでしょう?
まあ理屈はともかく、このパターン、あまり対称性は高くないのですが意外と気に入っています。
<おまけのひとこと>
気に入っているかゆみ止めの塗り薬があるのですが、なかなか手に入らないのです。先日近所のドラッグストアで見かけたので1つ買っておいたのですが、そろそろそれがなくなりそうで心細いので、もう1つ買いたいと思って昨夜そのお店に行ったら、お目当ての薬がありませんでした。
6月19日(土) 「ナウルの太陽」型のあやとりは何種類あるか、あやとり「7つのダイヤモンドの逆展開」
今日はあやとりの話だけですが、組み合わせ数学の数え上げっぽい話題です。
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3月下旬に、「ナウルの太陽」と「ガイアナの星」を比べてみたことがありました。
Nauru's Sun Nauru's Sun この図は短い糸で作ったイメージで、人差し指(もしくは中指)を放した後の図ですが、これらを3本指の開始処理として用いたとき、交点の糸の交差の上下の違いによってその後のパターンに差が出てくる場合があって面白いのです。
ところで、糸の交差を無視して射影図がこれと同じになるパターンはいったいどのくらいあるんだろう? と疑問に思ったのです。調べてみると、国際あやとり協会のBulletin of the International String Figure Association Vol.18(2011)に、How Many Double-walled Diamond String Figures Are There? by Joseph D'Antoni, Queens, New York (pages 196-221) (二重のダイヤ型のあやとりはいくつある?)という論文があることがわかりました。たいへんありがたいことに、会員は無料でpdfファイルを閲覧できます。今日はこの内容をごくかいつまんでご紹介します。(図は自分で描き直していますが、もともとの論文にある図とほぼ同じです。)
以下、論文にならって、この「ナウルの太陽」のかたちを二重ダイヤ型(DWD : Double-Walled Diamond)と呼ぶことにします。下の Fig.1 は典型的な二重ダイヤ型あやとりの例で、これは「ナウルの太陽」そのものです。
Fig.1 ダイヤ型の左右・上下の頂点の部分の糸の交差に注目すると、左右の位置は3交差、上下の位置は5交差していることがわかります。とすると、この図では全部で 3x2 + 5x2 = 16箇所の交差があることになります。
糸の交差の上下を入れ替えるとパターンは変わりますので、この16か所の交差の上下の組み合わせの数は、216 = 65536種類ある、ということになります。もちろんこれらがすべて二重ダイヤ型あやとりとして成立しているわけではありません。
- 1本の輪と同相(結び目理論でいうところの「自明な結び目」)であること
- 張力(テンション)をかけたときにこのかたちを維持すること
- 回転したり鏡像反転したりして同じになるものは同じと数えること
等の条件で絞り込んでゆくと、「二重ダイヤ型あやとり」の種類はもっとずっと減ることが予想できます。例えば、二重ダイヤ型の左側の3交差の部分に注目してみます。交差が3か所なので、それぞれの交差の上下を入れ替えるパターンは全部で 2x2x2=8通りあります。それを全部図示してみました(Fig.2)。
Fig.2 この8通りのうち、張力をかけてもこのかたちを保つのは、交代結び目(ある部分に注目したときに、上下が交互に現れる)になっている場合だけです。上の図では上の段の一番左と下の段の一番右の2つしかありません。
二重ダイヤ型の上下の交差の部分も同様に考察すると、論文では上下の部分は6パターンしか無い、と結論付けています。(ここ、私はまだちゃんと理解できていなくて、8通りのような気がしています。)
Fig.3 結局、左右が2パターンずつ、上下が6パターンずつあるので、「張力をかけてもかたちが変わらない」という条件だけで 2x2x6x6 = 144 通りまで絞り込むことができました。
論文ではこの144種類を全部調べて1本の輪からできるものを選び出して、さらに対称性から9ファミリー(族)に分類し、それぞれのファミリーのあやとり作品としての取り方と完成写真が掲載されています。大変な力作です。
従来知られていたのは4ファミリーだったのが、しらみつぶしに調べたら9ファミリーあった、というのが結論です。これらを身に着けて、パターンあやとりの3本指の開始処理として使い分けて面白いあやとり作品が作れたら楽しそうですが、そこまで差が出ない気もします。(でも「ナウルの太陽」と「ガイアナの星」は明らかに使い分けが可能です。)
たいへん興味深い結論でした。
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いつもパターンあやとりの写真を送って下さる多摩市のYさんが、「7つのダイヤモンドの最後の行程では、手前に展開しますが、それを後ろに展開すると全く違った形になります。」というコメントと共にいくつかの写真をいただきました。いつも本当にありがとうございます。7つのダイヤモンドの手順は左右対称ですが(冒頭の「人差し指の構え」を作るところだけは右手が先か、左手が先か、という左右非対称性がありますが)、前後には非対称です。この終了処理を「7つのダイヤモンドの逆展開」と呼ぶことにしました。
まずは「人差し指の構え」から、通常の「7つのダイヤモンド」を取った場合と「7つのダイヤモンドの逆展開」をした場合を比べてみました。
この sf-2 のパターン、いろいろな手順から作ることができます。
先日、「ガイアナの星」→「7つのダイヤモンド」というのをご紹介しましたが、「ガイアナの星」→「7つのダイヤモンドの逆展開」をやってみました。
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hh210615-1 hh210619-1a
- 「ガイアナの星」
- 7つのダイヤモンドの終了処理
- 「ガイアナの星」
- 7つのダイヤモンドの逆展開の終了処理
このパターンは強く張力(テンション)をかけて直線的なパターンにするよりも、緩めに取ってそれぞれの部分が輪になるようにしたら面白いかな、と思って調節してみました。
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hh210619-1b : Two "three-leaf clovers" 「2つの三つ葉のクローバー」という感じです。
<おまけのひとこと>
週末なので遅い時間の更新です。でも、日付が変わる前くらいに目が覚めて、そのまま今日ご紹介した論文を読んで、自分なりに図を描いたり考えたりして、結局それを今日の更新のネタにしました。
6月20日(日) A-Puzzle-A-Day、パターンあやとり、他
父の日です。
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一昨日の金曜日にテレワークで自宅で仕事をしていたのですが、午前中のリモート会議中に妻がそっと席に来て、「何か届いたよ」と郵便物を持ってきてくれました。ちょうどCDかDVDのケースくらいの大きさ、厚みでした。210円の切手が貼ってあって、差出人は息子でした。ハテこれは何だろう? と思って、会議が終わってお昼になったときに開けてみたのです。そうしたらなんと!先月末にご紹介した、A-Puzzle-A-Dayが出てきました。感動です。
早速写真を撮って息子に御礼のメッセージを送ったら、折り返し電話がかかってきました。とても思いがけない嬉しいプレゼントで感激したことを伝えました。息子はこのページも見てくれているようなので、てっきり先日の記事を見て手配してくれたのかと思ったら、驚いたことにこのパズルを知ったのは5月25日で、私が喜びそうだと思って発注してくれたのだそうです。そうしたら5月30日に私がこのパズルをこのサイトで紹介を始めたのでびっくりした、「お父さんのことだから自分でこのパズルを作っちゃうんじゃないかとちょっと心配した」と笑っていました。いやいや、万一仮に作ったとしても製品版というのはそれとは全く別物です。
こんなにピンポイントで心をつかまれるプレゼントを貰えるなんて、自分は幸せ者だと思いました。いや本当に嬉しいです。
今日の日付(6月20日)を目指して解き始めたところです。
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Fig.1 改めて、ピースはこんなセットになっています。
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Fig.2 ちなみに昨日の日付の完成写真です。まあこのパズルは解を表示してもそれほど罪が重くはないと思いますので…。
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Fig.3 想像通りこのパズル、そんなに簡単ではありません(私には)。平日の朝、出社前に解くのはちょっと無理そうです。妻も挑戦してくれましたが「難しい」と言っていました。
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昨日ご紹介した7つのダイヤモンドの終了処理と逆展開をエガラウィナゴに適用してみました。
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hh210620-1 hh210620-2
- 「エガラウィナゴ」
- 7つのダイヤモンドの終了処理
- 「エガラウィナゴ」
- 7つのダイヤモンドの逆展開の終了処理
これもとてもいいですね。
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昨日の午後、近隣のF町の図書館に本を借りに行ったのです。地域公共図書館ネットワークのサイトで蔵書を調べられるのですが、妻がF町の図書館に読みたい本があるので行きたいということでした。到着して駐車場に入っていったら、いつもはいない駐車場整理員の男性が近づいてきて「予約は何時ですか?」と尋ねられました。「あの、図書館に来たのですが…」と言うと「新型コロナワクチンの集団接種をやっているので今日は図書館は休館です。」とのことでした。なるほど、それは想定外でした。駐車場の中で車を転回させてもらって帰ってきました。
<おまけのひとこと>
このサイトのソースコードのhtmlファイルは、Visual Studio Code というMicrosoft のフリーで使える高機能テキストエディタを使っています。最近、日本語入力システムとの相性が良くないのか、ときどき挙動が不安定になって不安になります。様々な入力補完機能やインデント機能など、とても便利なのですが、でも動作が不安定なのは困ります。
6月21日(月) あやとりの結び目不変量(異なる二重ダイヤ型)、六員環のあやとり
ここ数か月、パズルや数学の話題とあやとりの話題の2本立てで書いていますが、今日はどちらもあやとりの話です。
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一昨日、二重ダイヤ型のあやとり(いわゆる「ナウルの太陽」と同じ射影図になるもの)の研究をご紹介しましたが、その一例として、5月26日にご紹介した、「ひっかかる人差し指の構え」から「ナウルの太陽」を取ったらどうなるだろう? と思ったのです。
結び目解析ソフトの WinKnot を利用させていただいて、ブラケット多項式とジョーンズ多項式を計算してみました。
人差し指の構え ひっかかる構え Bracket polynominal
1Bracket polynominal
A6Jones polynominal
1Jones polynominal
1ブラケット多項式のほうはライデマイスター変換I で式が変わってしまうのですが、ジョーンズ多項式のほうは大丈夫です。(このあたりの話は面倒なので今回は説明を省略します。)
あやとり協会のあやとりトピックス90でもWinKnotを活用して四段ばしごの解析をされています。
上の2つの構えから、「ナウルの太陽」を作ってみました。写真は載せませんが winknot の射影図を載せます。
Nauru’s Sun 下の2つ、どこが違うかわかるでしょうか?
Fig.1 Fig.2 Bracket polynominal
1Bracket polynominal
A6Jones polynominal
1Jones polynominal
1二重ダイヤ型の上の部分の交差が1か所だけ違うのです。結び目理論の結び目において、1か所だけ交差の上下を入れ替えても違う結び目にならないのは、その結び目表現が冗長だからなのだろうと思いました。
「ナウルの太陽」から様々な修飾処理、終了処理をすることができますが、この2つのパターンの差によって明らかにかたちが異なるようなパターンあやとりは見つけられませんでした。
実は最初にFig.2の図を作ってブラケット多項式を計算してみたら1にならないのです。「あれっ? 自明な結び目のつもりで描画したのにどこか間違えたかな」と思いました。よく考えてみたらブラケット多項式は1か所ひねると値が変わるので、結び目不変量としては不十分なのでした。久しぶりに結び目理論の本を引っ張り出してきて読み返してしまいました。
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こんなあやとりを取ってみました。
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hh210621-1 : 六員環
- 人差し指の構え
- 四隅の小さな輪の処理
- 人差し指の輪を1回転ひねる
どちら向きでもよい- 7つのダイヤモンドの逆展開
なんとなく有機化合物のベンゼン環みたいだなあと思ったのです。
Benzene ring なので、輪の数を減らしてみました。五員環と四員環です。
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hh210621-2 : 五員環 hh210621-3 : 四員環 五員環は実際に芳香族化合物がありますが、四員環は無理があります。分子構造をあやとりで表現する、というのも面白いかもしれないなと思いました。
<おまけのひとこと>
今日の更新の1つ目のトピックはちょっと不満足です。
6月22日(火) 4つの素数(その1)、創作あやとり、有機分子の話(反芳香族化合物)
整数の話とあやとりの話、そこから派生した有機化合物の話です。
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素数の問題です。
相異なる素数が4つあります。4つの素数のうちのどの3つの和も素数になっています。この条件を満たす素数の4つ組はたくさんありますが、そのうち4つの素数の合計が最も小さくなるものを見つけてください。 答えは手計算でも充分まかなえる範囲にあります。今は素数というのは中学校くらいで習うのでしょうか? 時間制限のあるペーパーテストの問題としては不適切かと思いますが、家に持ち帰る宿題とかなら面白いかもしれません。(でも残念ながら面白がってくれる人はほとんどいないだろうということも想像できます。)
まず、この4つ組には最小の素数である2は含まれません。もし2があると、2を含む3つの素数の和は 2+奇数+奇数 となって偶数になってしまうからです。(2以外の偶数は素数ではありません。)
ちなみに「相異なる」という条件を外すと、{3,3,5,5}という4つ組が条件を満たします。この4つの中から3つを選び出す組み合わせは2通りしかありません。{3,3,5} と {3,5,5} です。前者の和は11、後者の和は13ですので題意を満たします。
(つづく) ○
昨日、こんな「六員環」「五員環」「四員環」のあやとりをご紹介しました。それぞれ、上下に小さな輪が(2,2)、(1,2)、(1,1)になるように取ったあやとりでした。
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それでは、小さな輪を上側(小指側)だけに2個作って、下側(親指側)には作らなかったらどうなるだろう? と思って(2,0)のパターンを取ってみたのです。
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hh210622-1 : トトロ 映画「となりのトトロ」の「トトロ」のようなかたちができました。使ったあやとりひもの色がグレーだったのは本当に偶然です。
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昨日、芳香族化合物の単環化合物のような六員環・五員環・四員環に見えるあやとりをご紹介したときに、「五員環は実際に芳香族化合物がありますが、四員環は無理があります」と書きました。単環化合物の四員環で、平面状分子で安定なものは存在していないよね、と思ったのです。シクロブタンC4H8(炭素4つが単結合で輪になっている炭化水素)もシクロブテンC4H6(炭素4つが輪になっていて、そのうち1か所が二重結合になっている炭化水素)も平面にはならないよね、シクロブタジエンC4H4(炭素4つが輪になっていて、そのうち2か所が二重結合になっている炭化水素)は構造上π電子系が安定するはずがないよね、と思ったのです。
でも自信がなかったので「無理があります」というぼやけた表現にしておいたのでした。昨日出社してから職場内SNSのチャットで化学で博士号を持っている友人に「超どうでもいい雑談なんだけど、単環化合物の四員環化合物で芳香族性を持つもの、もしくは平面状で安定な分子って無いよね?」と尋ねてみたのです。そうしたら、「確かシクロブタジエンが理論上予言されていて、実験的に存在を検出したという話を聞いたことがある、ただすごく不安定で単離はできていない、とかじゃなかったでしたっけ?」という答えが返ってきました。
改めて調べてみると、ありました。筑波大ら,三重項状態のシクロブタジエンを分光学的観測というニュースリリースが2017年7月に出ていました。この記事を見ると、理論上は正方形構造のシクロブタジエンが存在しうること、ただし極めて反応性が高く(=壊れやすく)不安定なので「反芳香族性」を持つこと(「芳香族性」は高い安定性を持ちます)が前置きとして述べられており、その不安定なシクロブタジエン構造を、4つの炭素にt-メチルシリコン基を配して熱的に安定させ、電子スピン磁気共鳴法で観測することで三重項状態になっている証拠を見つけた、という話です。とっても面白いです。
何の脈絡もなくこんな突拍子もない仕事と無関係な話を振られても、即答で適切なコメントが出てくるなんてさすが専門家は違うなと、いたく感心しました。
<おまけのひとこと>
有機化学、今の仕事には何の関係もありませんが、勉強しておいて良かったなと思います。
6月23日(水) 4つの素数(その2)、創作あやとり、他
4つの素数の話のつづきととあやとりの話です。
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昨日、こんな素数の問題をご紹介しました。
相異なる素数が4つあります。4つの素数のうちのどの3つの和も素数になっています。この条件を満たす素数の4つ組はたくさんありますが、そのうち4つの素数の合計が最も小さくなるものを見つけてください。 答えはそんなに難しくないので書いてしまいます。
A set of four prime numbers where any three sums are also prime numbers. これはExcelで「a, b, c, d の欄に数字を入れると a+b+c, a+b+d, a+c+d, b+c+d の4つの部分和を計算するシート」を作って、適当に数字を入れて試行錯誤してみたものです。適当に素数を入れていくと、すぐに条件を満たすものがみつかります。あらかじめ素数の表を作っておくと便利かもしれません。
この話、もう少しだけ続けます。
(つづく) ○
パターンあやとりの話です。「ナウルの構え1」という4本指の構えの装飾処理として、こんなものを試してみました。
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sf-1
- ナウルの構え1
- 隣り合わせ2本ずつを互いに絡ませる処理
- 親指と人差し指の輪を互いに絡ませる
- 親指の輪を、人差し指の輪の中からつまみ出して外し、親指に掛け直す
- 人差し指の輪を、親指の輪の中からつまみ出して外し、人差し指に掛け直す
- 小指と中指の輪を互いに絡ませる
- 小指の輪を、中指の輪の中からつまみ出して外し、小指に掛け直す
- 中指の輪を、小指の輪の中からつまみ出して外し、中指に掛け直す
ここから「タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理」をしてみました。
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hh210623-1
- ナウルの構え1
- 隣り合わせ2本ずつを互いに絡ませる処理(上記参照)
- タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理
- 親指で小指手前の糸を取り、小指で親指向こうの糸を取る
- 人差し指・中指を掌の2本の糸を越えて自身の輪の中に上から入れる
- 親指・小指を外し、人差し指・中指を下から向こうへ向けて展開する
人差し指・中指に掛かっていた輪は自然に外れるかたちを整える自由度がちょっと高いかもしれません。(デザイン上のバランスが良い状態が複数ある気がします。)たとえば中央を横切る2本の糸が平行になるようにしてもきれいです。
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実家の母が、最近やりたいことがなかなか思いつかない、本を読むのが好きだったのに目が疲れてなかなか本も読めないと言うので、あやとりを提案してみたのです。先週末、この2冊の本を送りました。
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Fig.1 : Two books of string figures 左のものは「あやとり協会監修」の、「天の川」とかも載っているお勧めの本です。右のほうは、中身はともかく付録の3種類の長さのあやとり紐が便利そうだったので、これも選びました。
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Fig.2 : Three types of attached strings 母と同居している姉から「届いたよ」という連絡を貰ったので、翌朝電話してみました。最初は私がなぜ電話をしたのかわからなかったようですが(やっぱり短期記憶は年相応に弱まっているようです)、あやとりの話を始めるといろいろ話をしてくれました。付録のあやとり紐のうち一番短い黄色い紐を使ってみていること、あやとり紐を輪にしたときの結び目が無いタイプの紐なのであやとりが取りやすくてありがたいということ、あやとりの本の完成写真を見ると昔自分がとったことがあるものがたくさんあったことや、そういうあやとり作品は手が覚えていて手が自然に動いて今でも取れること、などを話してくれました。嬉しかったです。
そういうあやとりを、私が子供のころに母からもっと習っておけばよかったと今さらながら思う、ということを伝えると、「当時はなかなかそんな余裕がなかったし、なんといってもそんな古い昔の遊びを子供に伝えるよりも、子供にはもっと新しいことや新しいものを学んだり身に着けて欲しいと思っていた、みんながそうだった、そういう時代だったんじゃないか」と言われました。そうだったのかもしれないなあと思いました。
母があやとりを楽しんでいたのは小学校〜中学校くらいのころだそうですから、70年くらい前のことになります。「当時、どのあやとり作品を取っていたのか、どれを知っているのかに興味があるので教えて欲しい」と頼んだのですが、私がちゃんと聞き取りをしないとわからないかもしれないなあと思いました。感染リスクを恐れて、もう1年以上直接会っていません。姉には、母が何かあやとりを取ったら、その写真を送ってほしいとお願いしました。気長に待ちたいと思います。
あやとりは、おそらく多少視力が衰えても手が動かせればできるのではないかと想像します。なので歳をとってからもできるのではないか、指先を使うことは頭にも良いのではないか、と思います。
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今日はもう1つだけトピックを。「カタンの開拓」という有名なボードゲームがありますが、そのマップを球面上に配置した、地球儀のような立体ボードゲーム盤を自作したというGlobefarers of Catanというページがありました。
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Map of Catan on the sphere すごい手間がかかっていますが、感動的です。美しいです。実際にプレイするときは、全体が俯瞰できないのでおそらく難易度が上がると思います。
<おまけのひとこと>
子供たちから父の日にもらったA-Puzzle-A-Dayを毎晩お酒を飲みながら翌日の分を解いています。本当に楽しい…
6月24日(木) 4つの素数(その3)、創作あやとり、他
4つの素数の話のつづきととあやとりの話です。
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一昨日から、相異なる4つの素数の組でそのうちの任意の3個の和もまた素数になっているものを見つけてくださいという話をしています。素数が4つというと 四つ子素数(prime quadruplet:リンクはwikipediaです)という概念があります。最初に「四つ子素数」についてお話します。(証明は書きません。)
連続する3つの整数を考えてみます。なんでもいいですが、例えば今日は24日なので、24,25,26 としましょうか。この3つのうち、24は3の倍数で、25は3で割ると1余り、26は3で割ると2余ります。一般に、任意の連続する3つの整数のうち、1つだけが3の倍数になるのです。
同様に連続する3つの奇数を考えてみましょう。例えば25,27,29 にしましょうか。同様にそれぞれ3で割ってみると、27だけが3で割り切れます。連続する3つの奇数の場合、1つだけが3の倍数になるのです。なので、連続する3つの奇数が素数になるのは {3,5,7} しかありません。それより大きな連続する3つの奇数は、そのいずれかが必ず3の倍数の合成数になってしまうのです。
では、3より大きな3の倍数の奇数 k を考えてみましょう。k の2つ前の奇数 k-4 と、k の1つ前の奇数 k-2 は3の倍数ではありません。また k の次の奇数 k+2 と その次に大きい奇数 k+4 も3の倍数ではありません。これらの4つ、(k-4,k-2, k+2, k+4) のいずれもが素数である場合、この素数の4つ組を四つ子素数と呼ぶのです。一番小さい四つ子素数は k=9 のときの {5,7,11,13} です。上記の wikipedia には、最初の38組の四つ子素数が紹介されています。
ちなみに連続する2つの奇数がいずれも素数である場合、そのペアを双子素数と言います。こちらは有名だと思います。双子素数は無限にあると予想されていますが、まだ証明はされていないそうです。四つ子素数の前後の2つずつの素数の組はいずれも双子素数です。
さて、四つ子素数で、そのうちの任意の3つの和もすべて素数になっているものというのも知られているそうです。これはかなり大きな数で、
(27742151,27742153,27742157,27742159)
だそうです。計算してみると、
27742151 + 27742143 + 27742157 = 83226461
27742151 + 27742143 + 27742159 = 83226463
27742151 + 27742147 + 27742159 = 83226467
27742153 + 27742147 + 27742159 = 83226469
となっていて、その結果得られる4つの素数(8226461,8226463,8226467,8226469)がまた四つ子素数になっているところが(まあ当然なのですが)面白いなあと思うのです。
ちなみにこの結果は、5, 7, 17, 19 -INTEGERSという記事を参照させていただきました。この「せきゅーん」氏のblog、素晴らしいです。お勧めです。
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昨日、ナウルの構え1(4本指の構え)から向こうと手前の隣り合う2つの輪を互いに絡ませる処理をご紹介しましたが、さらにその操作に続いて内側の2つの輪も絡ませてみました。なんだかビデオゲームの黎明期のインベーダーゲームのインベーダーみたいです。両手の中で取っているときにはあまりそんな印象はありませんが、マグネットボードに固定してみてそう思いました。
さてこの常態から「タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理」をしてみました。操作した通りの出来上がりイメージです。
もう少し長い糸でも同じものを取ってみました。
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hh210624-1b これは、出来上がりのかたちの整え方は先ほどの赤い糸のほうがきれいだったかなと思いました。
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しばらく飾っておきたいあやとり作品が増えてきたので、先週末に100円ショップに行って、マグネットボードを買い足してきたのです。コルクボードに留めるよりも背景が白くてきれいなのと、位置の微調整が簡単なのが魅力です。今、作業用のマグネットボード以外に4枚を飾っています。飽きてくると新しいものに入れ替えています。
そのときにフックなども探したのですが、ついでに見かけたこれ(↓)を買ってみたのです。
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妻が使ってくれるかな、と淡い期待を持って買ったのですが、半ば予想した通り気に入ってもらえず、引き取って自分の部屋のガラス窓になんとなく貼っています。これ、なんだかわかりますか? blog の こちらの記事に説明を書きました。
<おまけのひとこと>
blogは画像を置かせてもらっているので、置いた画像について簡単に解説記事を書いています。ここ4か月は毎月30以上の記事を書いていることになります。でも私以外の方はまずご覧になりません。こちら(「あそびをせんとや」のサイト)で書いていることと重複していますし、blogの説明のほうが素っ気ないので当然だとは思います。
6月25日(金) ナポレオンマット、創作あやとり
ロープワークをしてみた話と、いつものパターンあやとりの話です。
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先日妻が図書館で借りてきてくれた雑誌(「クロワッサン」2020年10月10日号)に、“生活雑貨を簡単ハンドメイドで作って使う” という記事があったのです。調べてみたら、クロワッサンonlineというサイトのこちらに同じ内容が公開されていました。
この記事で使われている綿ロープは直径が1cm、長さが25mということだったのですが、手元に100円ショップで買った直径5mm、長さ7mという綿ロープがあったので、それを使って作ってみました。まずは完成写真です。
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Rope mat 上記の記事にある通り、最初に骨組みを作ります。
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Step.1 Step.2 ![]()
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Step.3 Step.4 あとは、余ったロープをこの骨組みに沿って通してゆきます。最後にロープがゆるい部分を少しずつ送ってかたちを整えます。
A4サイズのカッターマットの上で作業して、だいたい 15cm × 25cm くらいの大きさになりました。両端は単に裏側の見えない部分にあるだけで、特に終端の処理はしていません。持ち上げるとちょっとかたちが崩れます。
この大きさだと鍋敷きくらいしか使い道がないです。コースターには大きすぎるし、床に置くマットとしては小さすぎます。でもまあ材料費が税込み110円ですし、楽しかったのでまあいいかと思っています。
綿ロープを編んで作るこの手のマットはいろいろバリエーションがありそうなので、また綿ロープを買ってきて試してみたいと思いました。
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昨日ご紹介した、「ナウルの構え1」(4本指の構え)から手前2本、向こう2本、中央2本の輪を絡ませる処理を行った後、
イヌイットの網の終了処理をしてみました。
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hh210625-1
- ナウルの構え1
- 隣り合わせ2本ずつを互いに絡ませる処理(上記参照)
- 内側2本の輪を互いに絡ませる処理(上記参照)
- イヌイットの終了処理
これ、気に入ったので飾ってあります。
<おまけのひとこと>
昨日、ちょっと面白い文献を見つけたので、しばらく前に一緒に仕事をしていた人数名にに「こんなの知ってますか?」とメールを書いたのです。そうしたら、「あれ、これ以前に教えてもらいましたよ」と返事が返ってきました。すっかり忘れていました。恥ずかしかったです。いかん。
6月26日(土) 面積消失系パズル、創作あやとり
面積消失系パズルの話と、いつものパターンあやとりの話です。
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タングラムを使った、こんな面積消失系のパズルを知りました。
Fig.1 7 x 7 単位の正方形におさまるタングラムと、3×7単位の長方形の中央の単位正方形を取り除いたかたちを二等分するL字型の合同な2ピースを並べ替えて、 10 x 7 の長方形にほぼぴったり収まるように並べ替えなさい、というパズルです。
タングラムそのものにも「パラドックス」と呼ばれる一連の作品が知られています。例えば有名な休日のタングラムという素晴らしいサイトがありますが、この中にもパラドクスというページがあります。「タングラムのパラドックス」というのは、通常の7ピースのタングラムでシルエットを作り、続いてそのシルエットからあたかも1ピースを取り除いたように見えるシルエットを作る、という問題です。本当に1ピースを取り除くわけではなく、どちらもちゃんと7ピース全てを使って、ピースを重ねずにシルエットを作らなければいけません。
M.ガードナーの別冊サイエンスの「数学ゲーム III」の表紙がタングラムで、その中でもタングラムのパラドックスが印象的に紹介されていました。
図形消失系パズル、というと、次の Fig.2 や Fig.3 のパターンが古典的かと思います。(考案者がどなたなのか、すみませんわかりませんでした。)
Fig.2
Fig.3 冒頭のタングラム+2ピースの 7 x 10 の図形消失系パズルですが、つい数日前にArchimedes Lab Projectで見てリンクを保存しておいたのですが、そのリンク先が今は参照できいないのです。そのため詳細がわかりません。すみません。
実際には正方形部分はタングラムである必要はなくて、せいぜい3ピースに分割すれば充分なのですが、逆にタングラムであるところが適度な難易度になっていて好ましいと思いました。そんなに難しくないと思うので、解の図は載せません。このパズルの解で、消失した単位正方形の面積の部分がどうなっているのか、計算してみると面白いです。
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先日、こんなあやとり
をご紹介したことがありました。
このときの装飾処理を利用して、イヌイットの網の終了処理をしてみたり、ナウルの太陽→イヌイットの網の終了処理をしてみたりしました。
この手順の装飾処理(手順2〜5)にも何か名前を付けないと、後々言及するのが面倒だなと思っています。
名前と言えば、これからこのサイトに掲載するあやとりの写真に識別番号を付けようと思います。例えば今日(2021年6月26日)なら、210626 という番号にして、複数のあやとり画像を使う場合は 210626-1、210626-2、という風に枝番号を付けます。頭に小文字でhhと付けようと思います(自分のイニシャルです)。伝承作品などはsf(string figure:あやとりのことです)xxxxxx-1,とかいう画像識別番号を付けようと思いました。できれば今年の分をさかのぼって番号を付け直したいと思います。
<おまけのひとこと>
欲しい本があって、少し遠いところにある(とはいっても通勤途上ですが)大きな本屋さんに行こうと思っていたのですが、くじけてしまいました。また後日にします。
6月27日(日) カプセルトイ、他
今日はいろいろあっていつもの時間に更新ができませんでした。夕方に軽い話題で更新します。
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これ、なんだかご存じでしょうか。本物を実際に使ったことはありますか。
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これはいろいろな名前で呼ばれるようですが、私の職場ではハンドリフターと呼んでいると思います。重量物を少し持ち上げて手押しで運搬するための道具です。荷物を運ぶ台車の高機能版と思っていただくと良いかと思います。
これをカプセルトイ(300円)で見かけたので、つい買ってしまいました。普段使っているのが赤い色なので、赤がいいなと思ったのですが青が出ました。まあでも青でもべつにいいので、1つ買って満足しました。しかしこんなものまでカプセルトイになるなんて、驚きです。ちゃんと採算が取れるんだろうか、他人事ながら心配になります。
ちなみにこのハンドリフター、舵が手元にあるので思ったように操作するのには慣れが必要です。私は自分で操作したことはほとんどないので、ヘタクソです。
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人は何歳が一番幸せ? 最新研究で驚きの結果が明らかにという記事がありました。オリジナルはこちらのAt what age are people usually happiest? New research offers surprising cluesのようです。
この調査というか研究によると、「とどまっていたい年齢」の統計的な結果は36歳だった、ということのようです。うーん、私は36歳には戻らなくてもいいかな、と思いました。
情報源を忘れたのですが、昔何かで読んだのですが、確か70歳〜80歳くらいの裕福な資産家のご夫妻に「今の全財産と引き換えに若返れるとしたら何歳に戻りたいか?」という質問をしたら、50歳、という回答だったというのが印象的でよく覚えています。もちろん実現不可能な問いなのでどの程度真剣に検討した結果の答えなのかはわかりませんが、最近妙にこの話を思い出すのです。
若いころは「自分がどうありたいか」ということに関して、「周りからどう見えたいか」という視点からなかなか自由になれない人が多いのではないかと思うのです。(自分がそうでした。)確かに50歳を過ぎると、そういう他人の目というのが昔ほど気にならなくなってきている気がします。そういう「他人の価値観」からは自由になって、所詮自分は自分、良くも悪くもできること、好きなこと、感じること、価値観は別に他人に決めてもらわなくてもいいと自然に思えるのがこのくらいの世代なのかなあと思います。(もちろん、他人に不快な思いをさせたくない、迷惑な年配者になりたくないと常に思って気を付けているつもりではあります。)
上記の話は、「50歳という年齢は、資産家の裕福な私財を投げ打ってでも手にしたい恵まれた境遇なんだ」という、なんだか教訓めいた話として語られていました。私も年相応に身体のあちこちに不具合が出始めてはいますが、それでも一応健康ですし、衣食住には困っていませんし、仕事もあります。確かにこれは恵まれた、幸せなことなんだよなあと思います。でも、そういう「当たり前な幸せ」にはえてして気付かずに、自分にとって不愉快なことや不幸なことに気を取られてしまうことがありがちだと思います。残念なことだと思います。
<おまけのひとこと>
この内容がサイトのトップページで公開される時間は短いので、こんな独り言みたいなものを載せてしまうことにしました。内容が希薄ですみません。
6月28日(月) ナポレオンマット(その2)、ナバホのあやとり「嵐の雲」
ロープワークをしてみた話のつづきと、あやとりの話です。
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先週の金曜日に、生活雑貨を簡単ハンドメイドで作って使うという記事に載っていた「ナポレオンマット」というのを作ってみたのでした。
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Rope mat 週末に100円ショップで綿ロープをいくつか買ってきて、もう一回り大きなものを作ってみました。2本を繋いでいます。
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Rope mat 2 最初はもう少し大きく作っていたのですが、かたちがいびつなのが気に入らなくて少しずつ絞って整えていったら、小さくて固くなってしまいました。余長の部分を折りこむことができなくなってしまいました。1時間くらいかかったのですが、出来が悪くてがっかりです。でも、作業している時間は夢中で集中してやっているので楽しいです。
最初に作ったものと比べてみました。
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綿ロープなので柔らかいですし吸湿性も高いと思われるので、バスマットとかになるといいなあと思ったのですが小さすぎます。これを眺めていたら、別のパターンのロープマットも作ってみたくなりました。
(つづく) ○
今日はパターンあやとり(創作あやとり)ではなくて、伝承作品のご紹介です。ナバホの嵐の雲という作品が大好きです。小学生のころ、野口広「あやとり」(1973)で本から独学で覚えました。取れるようになるまでにかなり苦労した覚えがあります。
「マレーの構え」という独特な開始処理から始めます。最初に「嵐の雲」の1つ目を取るところまでが左右非対称の操作があります。また、最後に人差し指で左右に横切る糸を絡めとって引き上げるのですが、その糸が見つけにくいというのも難しさの原因の1つかと思います。
数が増えたほうが迫力があるので、嵐の雲5つ目から写真を撮りました。
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Storm clouds (5) 「嵐の雲:6つ目」です。
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Storm clouds (6) さらに「嵐の雲:7つ目」です。
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Storm clouds (7) 嵐の雲が1つ増えるたびに、パターンの上下が反転しているのです。あやとり紐を輪にしている結び目が良い目印になっています。5個目と7個目は結び目が下にありますが、6個目のときは結び目が上に来ています。
このあやとり作品、とても好きなのですが雲を1つ増やすごとに人差し指で糸を絡めとっているので、雲の数が増えると人差し指ががんじがらめになってしまうのです。また、こういう構造なので得意のホワイトボードに固定する、という手が使いにくいのも残念なところです。
<おまけのひとこと>
すみません、以下どうでもいい、結論もない話なので読み飛ばしてください。将来の自分へのメッセージです。ちょっと文字を小さくしておきます。読んで気分を害された方がいらしたらすみません。
自分ではどうしようもできない、持って生まれたもの(身体的特徴や出自など)で差別をしてはいけないことになっています。自分ではどうしようもできないことを責められるというのは辛いです。「どうしようもできないと決めつけてはいけない」「努力が足りない」と責める側の気持ちもわかります。
今は昔に比べて生活の質はとても上がっていると思います。ところがそれに比例して私たちが幸福になっているかというと、決してそんなことはないです。私は昔から、人間が生涯に感じる「幸せ」「不幸せ」の総量は、どんな暮らしをしているひとでもあまり変わらないのではないかという仮説を持っています。もちろん他人から見ればまったくそんなことはなくて、上をみればきりがないし、下を見てもきりがないです。でも、万人から羨まれている人もその本人にとっては苦しみや悲しみと無縁であるはずはないと思いますし、憐れまれたり気の毒がられたりする人も、本人が生きてゆくために辛いことには感覚が鈍くなり、嬉しいことは些細なことでも大きな喜びになるのではないかと思うのです。人間の心はそんな風に自律的にバランスを取ろうとする働きがあると思います。
大切にされ、嫌な目に遭ったことが無い人は、他人から見れば些細なことでも深く傷つき悲しむこともあるでしょう。それを「たかがそんなことで…」とあきれても仕方がなくて、その本人にとっては大問題なのです。「ひきこもり」というのも、他人と接触する機会が極端に少ないため、自意識過剰になってコミュニケーションのハードルがとても高くなっているのだと思います。(子供のころ「いじめられっ子」だった私は「他人が怖い」という感覚はとてもよくわかります。)
一方で、長く生きると、幸・不幸の振幅がだんだん小さくなる、という研究もあります。別にその結論を鵜呑みにする必要は全くなくて、ただそういう解釈もあるなあとは思います。昔は全く同意できなかったのですが、今は言わんとするところが少しはわかる気がします。
…すみませんとりとめのない話でした。
6月29日(火) Square Mat、今日のパターンあやとり、他
ロープワークをしてみた話のつづきと、あやとりの話です。
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ロープマットが面白くて、他のパターンにも挑戦してみたくなりました。International Guild of Knot Tyersという素晴らしいサイトがあるのですが、その中のSquare Matというページを参考に、こんなものを作ってみました。
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Square mat 100円ショップの直径5mm、長さ7m の綿ロープを2本継ぎ足して作ったのですが、途中でかたちを絞りすぎて、ロープが余っているのに隙間が埋まってしまいました。もう少し大きく作れば良かったです。失敗…
(つづく) ○
パターンあやとりの記録です。これはまだご紹介していなかったかも、と思って、1か月半ほど前に撮ってあった写真をご紹介します。(ダブっていたらすみません。)
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hh210629-1
- 人差し指の構え
- ナウルの太陽
- 四隅の小さな輪の処理
- 全ての指の輪を向こうへ1回転ひねる
- 小さいアムワンギヨの終了処理
パターンあやとりの世界 でご紹介済みの手法の組み合わせだけで取ったものです。これも割と気に入ってしばらく飾ってあったものでした。
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DIY Puzzlesという、様々なタイプのパズルを手作りして遊ぼうというサイトがありました。直近では「知恵の輪」系のパズルがたくさん紹介されています。
このサイトの過去のページに、City square という平面のパズルがありました。ピースのデザインが素敵です。
Pieces of "City square" この4つのピースで正方形を作って下さい、というのがこのパズルの目的です。リンク先のページには、このパズルの解説と型紙(その型紙から図を借用しました)が載ったpdfを公開して下さっています。pdfファイルの最後に、図ではなくて言葉でこのパズルの解が説明されています。(英語です。)
それぞれの家には窓が2つとドアが1つあります。窓のほうはデザインなので、切り抜かなくてもいいけれど、ドアのほうはパズルの解のかかわるのでちゃんと切り抜いて下さい、と書かれていました。
<おまけのひとこと>
昨夜帰宅したら、妻が A-Puzzle-A-Day で翌日(6/29)のパターンを作ろうとして努力してくれた形跡がありました。私のほうで引き継いで完成させておきました。
今朝は、昨夜妻が用意してくれてあった朝食のパンをかじりながら更新作業をしています。パンだと食べながらできるので時間の節約になってありがたいです。といいつつもう5時半になってしまいました。
今日は午後に重たい報告があってちょっと大変です。15時〜17時の間のどこか10分間、と言われています。他の会議の調整の都合で、せめてもう少し時間の範囲を狭めて欲しいとおもってお願いしているのですが、まだ返答が来ていません。それが終わったら17時から2時間の報告があって、これは多分議事録係です。
6月30日(水) A Circular Mat、今日のパターンあやとり、パズル“Crazy Twins”
ロープワークをしてみた話のつづきと、あやとりの話、立体パズルの話です。
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International Guild of Knot Tyersから、A Circular Matです。
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A circular mat 直径5mm、長さ7m の綿ロープを1本で作りました。例によってちょっと絞り込みすぎました。
綿ロープでマットを作るというのは淡々と集中してできて楽しいです。ただ、出来上がったものが使い道がなくて邪魔ではあります。
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パターンあやとりの記録です。ナウルのあやとりにアメアングというのがありますが、この終了処理を「エオンガツバボ」から「イヌイットの網」に変えてみたものです。
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hh210630-1
- 人差し指の構え
- 上下に小さな2つの輪の処理
- 左小指で人差し指向こうの糸をひねり取って逆ナバホ
- 右親指で人差し指の手前の糸をひねり取って逆ナバホ
- イヌイットの網の終了処理
オリジナルの「アメアング」は、なかなか完成形がきれいに決まらなかったのですが(純粋に私の技術が足りないためです)、「イヌイットの網の終了処理」にしてみたら、意外ときれいにまとまって嬉しかったのです。
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DIY Puzzlesというサイトのパズルのご紹介の2回目です。Crazy Twins という立体パズルのデザインに感心しました。
このパズルは、下の図のA,B,C,Dの4種類のピースを2つずつ、計8つのピースを使って 4x4x4の立方体を作るパズルです。
4 types of "Crazy Twins" pieces ピースAとB、CとDがそれぞれ鏡像対称になっています。いずれも 2x3 の長方形の上に単位立方体が2つ付いた、体積が8単位のピースです。
解析してみると、解は1つかありませんでした。この解のパターンがとても美しいのです。8ピース全部を使った完成形と、そこから1ピースを取り除いたものと、4ピースを取り除いたものの画像を作ってみました。見たくない方もいらっしゃると思うので、縮小表示設定にしました(→)
<おまけのひとこと>。この小さな画像をクリックすると、元の大きさで表示されるかと思います。
6月も今日で終わりです。今週〜来週は仕事がちょっときついです。