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以前の「ひとこと」 : 2021年4月前半



4月1日(木) 三等辺四角形を考える(その1)、メッシュのあやとり作品

 4月になりました。月初めですが話題は継続します。



 今週は二等辺三角形ならぬ「三等辺四角形」という、3つの辺の長さが等しい四角形について考察しています。四角形には辺は4つあるので、そのうちの3つの長さが等しいということは、最後の4本目だけが長さが違うということです。長さの等しい3つの辺は必ず連続しています。

 長さが等しい連続する3辺のうち、真ん中のものを水平に置いて、その両側に同じ長さの辺が回転できる状態を想像してみます(Fig.1)。この図からも明らかですが、三等辺四角形は2自由度です。

Fig.1

 内角ではなく、外角をα、βとしました。こうすることでそれぞれの角は±180°の値を取ることができます。2自由度の三等辺四角形の相図(phase diagram)を描いてみたくなりました。

Fig.2 : phase diagram

 以下のような問いが浮かびました。

  • この相図はどんな対称性を持っているでしょうか?
  • 凸でない三等辺四角形は存在するでしょうか?それは相図の中のどんなエリアになるでしょうか?
  • 三等辺四角形が円に内接することはあるでしょうか?
  • 三等辺四角形の4つの頂点のうち、1つが円の中心で残りの3つが円周上にある、ということはあるでしょうか?
  • 正方形や菱形も三等辺四角形の特別な場合ですが、これらは相図の中のどこにどう描かれるでしょうか?
  •  もちろん辺の自己交差は認めないことにします。 

    (つづく)



     今週話題にしている 60°-150°-45°-105° の三等辺四角形は実は正三角形と直角二等辺三角形を連結したものだということを書きましたが、色分けをせずにいろいろとタイリングしてみました。

    Fig.3

     これは3枚、4枚、5枚の凸多角形パターンです。

     適当に広げていってみました。

    Fig.4

     これも実物のタイルがたくさんあったら面白いかもしれないなあと思いました。



     ふと思ったのですが、この面だけで多面体は作れるでしょうか?

     対角線で折り曲げていい、かつ連結した隣の面と同じ平面上にあってもいい、という風に条件を緩めると、ジョンソンの立体の中のいくつかが作れるのは思い浮かぶのですが…

    (つづく)かもしれない



     こんなあやとりディスプレイを作ってみました。

    Fig.5 : string figure

     これは、「ナウルの構え2」(人差指・中指・薬指の構え)から「ダンスの舞台」を取ったものです。かたちの調整が不十分ですがこの程度で諦めました。

     実際に取ったときに両手の間でがんばって調整してみた写真です。

    Fig.6 : string figure

     手がもう1本欲しくなります。

     SuperDancingStageという名前を仮に付けたのがこちらで、これは「ナウルの構え1」(人差指・中指の構え)から「ダンスの舞台」を取りました。これだとかたちを整えるのはだいぶ楽です。

    Fig.7 : string figure

     このあたりのメッシュ系のあやとり、このように縦の段数を増やすこともできれば、横のダイヤ型の数をふやすこともできるのです。これも自分なりに系統的に整理しておきたいなあと思っています。「雨」「大雨」「豪雨」「集中豪雨」みたいな名前を付けたらどうだろう?と思っています。(でもベースになっている構造は「雨」ではなくて「ダンスの舞台」なのですが。「雨」と「ダンスの舞台」は交差の上下を区別しなければおなじ形ですが、構造が異なります。)

    <おまけのひとこと>
     今日は夕方に海外との面倒な会議があって、ちょっと気が重いです。






    4月2日(金) 三等辺四角形を考える(その2)、六角形を中央に配したあやとり

     三等辺四角形の考察の続きです。



     3つの辺の長さが等しい「三等辺四角形」と名付けた四角形について考察しています。こんな図を描いてみました。

    Fig.1

     AB=BC=CD の3つの辺の長さが等しいとします。頂点BとCが水平になるように固定します。頂点Aの位置に対して、辺ADがその他の辺と交差しないように頂点Dが取れる範囲を図示してみました。

     頂点Dが緑色の弧の部分にあるときはABCDは凸でない四角形になります。赤い弧の部分にあるときは凸四角形になります。点P、点Tの位置になると、2つの辺が重なってしまうため四角形になりません。また点Q、点Sの位置では三角形になってしまいます。

     頂点Dが点Rの位置になると菱形になります。それより左側では4つ目の辺(AD)は長さの等しい辺より短くなります。右側では他の3辺より長くなります。

     頂点Aの位置を変えると、これらのモード(状態)はどう変化するでしょうか?

    多分 (つづく) つもり



      というハワイのあやとりを初期状態として、小さいアムワンギヨを取ってみました。パターンの中央に六角形ができるのが嬉しいです。

    Honu(turtle) -> small amwangiyo

     長いあやとりひもを使って作るのがお勧めです。最初の「亀」を作るときに、パターンをほんの少し中央に寄せておくと良いかもしれません。パターン中央の六角形の左右の糸のからまった部分が「こぶ」になりやすいので、その部分をほぐしながら取るのがコツです。

     こういったちょっと複雑なあやとり作品では、各手順で正しく操作していたとしても、最終的に出来上がったもののかたちがまったく整わなかったり、中央に糸がよれて固まった状態になってしまって解きほぐしてもきれいなかたちにならないといったことが頻繁に発生します。手順そのものを誤解したり間違えたりしている場合ももちろんあります。

     今日の写真は今朝(あやとりを)取って写真撮影をしたのですが、長い糸で取っているので最初の「亀」で失敗したり、最初の「亀」が大きすぎたり小さすぎたりしてかたちがきれいに定まらなかったりして、5回目くらいにようやく写真を撮ってもいいかなと思えるところまでになりました。この「上達する感じ」がすごく楽しいです。



     会社の職場内SNSの雑談コーナーで、ほぼ毎日、中学生や高校生くらいのレベルの数学のおもしろい問題を紹介して下さる方がいて、楽しませていただいています。そのSNSに登録されているメンバーは昨日の時点で127名で(たまたま私が管理者をしているので知っているのですが、昨日も申請があって2名登録しました)、年代も性別も様々ですが(女性は1割くらいしかいませんが)、この数学の問題のスレッドに反応するのは出題者の方と私ともう1名の3人だけです。いずれも定年が近い、似たような年代の男性3人です。朝6時半とか7時には仕事を始めていて、定時前には帰ってしまうというスタイルも3人とも共通です。直接会話をすることはほとんど全くありません。(顔を合わせる機会がないので)

     昨日は珍しく出題の投稿がなかったので、私が先日Netで見かけた問題を投げておいたら、昼休みに解答が寄せられました。素晴らしいです。ちなみにこんな問題でした。

    n2+ 2021n が平方数になるとき、正の整数 n の値はいくつか?

     解は複数あります。わりと大きな数も出てきます。

    <おまけのひとこと>
     職場内SNSは、「雑談も含め、業務時間中の投稿も奨励されています」というガイドラインを作っています。「仕事中に無駄話はするな!」という職場よりも雑談をする職場のほうが生産性が高かったりするのです。もちろん職種や仕事の内容にもよりますが。






    4月3日(土) あやとり「ナウルの太陽」を前後逆に取ってみる、高島城の桜

     午前中出かけていて、昼食後にお昼寝をしてしまって、夕方の更新です。今日の写真も全てクリックすると拡大します。あやとりの糸の重なり具合を確かめたりする場合には大きな画像のほうがわかりやすいです。



     ナウルの太陽 というあやとり作品があります。いろいろなところで使える便利なテクニックです。

    Nauru Sun (normal)
    1. 人差指の構え。
    2. 親指で人差指の向こうの糸を取る。
    3. 人差指で親指の向こうの糸を取り、親指を外す。
    4. 親指を人差指の輪に上から入れ、小指の向こうの糸を取り、小指を外す。
    5. 小指で、人差指の上の輪の手前の糸を取り、その輪を人差指から外す。

     上記の手順の最後にカロリン展開しています。うまく写真が取れませんでした。

     これを、前後を逆に取ってみます。

    Nauru Sun (back and forth)
    1. 人差指の構え。
    2. 小指で人差指の手前の糸を取る。
    3. 人差指で小指の手前の糸を取り、小指を外す。
    4. 小指を人差指の輪に上から入れ、親指の手前の糸を取り、親指を外す。
    5. 親指で、人差指の上の輪の向こうの糸を取り、その輪を人差指から外す。

     最初の「人差指の構え」を左手から先に取れば、すべての交差の上下が逆になります。(ここでは従来通り「人差指の構え」は右手から取っているので、2か所だけは糸の重なりが同じです。)

     (10秒のタイマーでシャッターが切れる直前に左手の親指で押えていた糸の1つが外れました。10秒の間に少しでもかたちを整えようと頑張ったためです。)



     交差が逆になっているとどんな影響があるのかないのか、「ナウルの太陽」から始めるあやとり作品をいくつか試してみました。Inut Netの終了処理をしてみました。

    Nauru Sun (normal)→Init Net Ending Nauru Sun (back and forth)→Init Net Ending

     これは「ガイアナの星」からInit Netの終了処理をしたときに見つけた「三つの太陽」と同じです。びっくりしました。

    Guyana Star→Init Net Ending

     「ダンスの舞台」の終了処理をすると、どちらも変わりませんでした。「小さいアムワンギヨ」でも同じでした。

    (つづく)



     今朝はやく、諏訪の高島城で桜を見てきました。早い時間帯だったのでまだ人はほとんどいませんでした。

    Takashima Castle and cherry blossom

    Takashima Castle and cherry blossom

    Takashima Castle and cherry blossom

    Takashima Castle and cherry blossom

     少ないとはいえ、カメラを持って撮影をしている人が何人かはいて、視野の中に他の人が入らないように、ちょっと待って撮影をしたりしました。

    <おまけのひとこと>
     夕方になってしまいました。






    4月4日(日) あやとり「ナウルの太陽」を前後逆に取ってみる、平方数の問題の解説

     すみません今日もあやとりの話が中心です。



     昨日、「正のナウルの太陽」「逆のナウルの太陽」の後でInuit Net の終了処理をして比べてみました。「ナウルの太陽」を複数回繰り返すと斜めのパターンがどんどん増えます。例えば2回「ナウルの太陽」を取ってから終了処理をするとすれば、1回目と2回目に「正」と「逆」を選択できるので、 2 x 2 = 4 通りのパターンが考えられます。実際に取ってみました。

     下左が「正・正」、下右が「正・逆」です。

    Normal → Normal → Ending Normal → Reverse → Ending

     さらに、「逆・正」と「逆・逆」です。

    Reverse → Normal → Ending Reverse → Reverse → Ending

     全部様子が違います。

     他にも、最初の「ナウルの太陽」を標準の「人差指の向こうの糸を上から取る」かわりに、他の糸、ほかの取り方をいろいろ試してみました。これは写真は撮っていませんが、いろいろと面白いパターンが得られます。順列組み合わせでたくさんのパターンを楽しむことができます。



     ナウルのあやとり作品のテクニックの1つに、エカイブウィト運営スタッフに共通に出てくる手順があります。エガラウィナゴの派生の手順です。

     仮にエカイブウィトの手順と呼ぶことにします。

     上記の石野さんのサイトには、いったん両手から糸を静かに外して床に置いて人を引き出す手順が説明されています。きっとオリジナルがそうなのだと思います。でも、両手に糸を掛けたまま、通常のあやとりの手法でも同じ結果が得られたので、忘れないようにその手順を書いておきます。

    Ekaibwit operation
    1. エガラウィナゴの終了直前(人差指・薬指の輪を外す前)までを取る
      1. ナウルの構え2(親指・人差指・中指の構え)。
      2. 親指で上から薬指の手前の糸を取る。
      3. 中指で親指の向こうの糸を取り、親指を外す。
      4. 親指を下から人差指の輪に入れ、人差指の向こうの糸を下に押えて小指の向こうの糸を取り、小指を外す。
      5. 小指で、中指の上の輪の手前の糸を取り、その輪を中指から外す。
    2. 人差指と薬指の輪を向こうへ半回転ひねる。(日本の「網」のように、輪のねじれを解消する。)
    3. 中指の輪を外し、両手を左右に強く引く。中指にかかっていた糸が反対側の手のひら近くに引き寄せられる。
    4. 左右の中指で、それぞれの手のひらに引き寄せられた糸を、人差指と薬指の輪の間から取る。
    5. 人差指と薬指の糸を外す。親指と小指の前に、今はずした人差指と薬指の輪が小さくかかり、中央に二重のX字型のパターンができる。
    6. 中指の糸を人差指に移す。
    7. 人差指を向こうへ1回転ひねる。
    8. (この写真では、最後は「小さいアムワンギヨ」の終了処理にしました。)

     これそのものが立派なあやとり作品だと思うのですが、名前がわかりません。ないはずがないと思うのですが。

     この「エカイブウィトの手順」、「ナウルの太陽」と組み合わせたり、「エガラウィナゴ」と組み合わせたり、「エカイブウィトの手順」そのものを複数回繰り返したりできます。そういうとき、今回ご紹介した「手に掛けたままの方法」を知っているほうが楽でした。

    ビヤト エイディオウィナゴというのがこのパターンだということがわかりました。また、D'Antoni 54というJoseph D'Antoni氏によるナウルの技法を用いた創作あやとりでは、同じパターンが異なる手順で作られていました。 (2021年4月6日 追記)

    (つづく)



     先日ご紹介した

    n2+ 2021n が平方数になるとき、正の整数 n の値はいくつか?

     という問題の解説をblogのほうに書きました。興味がある方、ご覧ください。

    <おまけのひとこと>
     「あやとり」、本当に奥が深くて楽しいです。いくつかのオープニング(○○の構え、とか)、順番を入れ替えたり組み合わせたりできる途中の手順(「ナウルの太陽」とか「エガラウィナゴ」とか今日の「エカイブウィト」とかいろいろ)、簡単な装飾手順(糸を交換する、とか、糸をひねる、とか)、様々な美しい終了処理(「エオンガツバボ」とか「小さいアムワンギヨ」とか「大きいアムワンギヨ」とか「Inut Netの終了処理」とか「ダンスの舞台の終了処理」とか「たくさんの星の終了処理」とか「大きいテントの扉」とか)を組み合わせることで、おそらく数百種類以上の美しいパターンを作ることができるのです。これは学ぶ価値のあるあそびだと思います。






    4月5日(月) 2段マッチングパズル(その1)、あやとり「足跡」、他

     あやとりの話ばかりではいけないなあと思って、他の話題も書くことにしました。



     2014年2月2日に「箱詰めパズル:ワイヤータイプ」というのをご紹介したことがありました。

     また、その2週間後の2月17日に「木のブロックパズル」というのをご紹介しました。

     このとき、ワゴンセール的なパズルを3つ買ったのですが、未紹介だった3つ目について、昨年少し研究してみたことがあったのです。今週はその話をご紹介しようと思います。(買ったのが10年くらい前、調べてみたのが1年前、という昔の話題です。こういう、「いつかご紹介しよう」と思って寝かせている話題がまだいくつもあるのです。)



     購入した3つ目はこんなタイプの箱詰めパズルでした。左が完成した状態、右がパーツです。(以下の写真はクリックすると拡大します。)

    2-layer matching puzzle 9 pieces

     すみません、いつもなら解やピースの全容はわからないようにご紹介するのですが、このパズルに関しては名称も考案者も製造者も何もわからないので、ここまでの情報を載せることにしたのです。どこか(パズル雑誌「ニコリ」のパズル紹介コーナーとかだったかな)で昔見たことがあるような、無いような、記憶もあいまいです。購入したときにすでにアウトレット品という位置づけで、完成した状態のパズルが透明なビニールに包まれて値段が貼られているだけで、解説も何もついていなかったのです。また本体にも何ら文字や情報の類が書かれていないのです。なので仮に「2段マッチングパズル」と呼んでおくことにします。

    (つづく)



     足跡 というボリビアのあやとりがあります。短い紐で取ると良い、わりと易しいあやとりで、手から外して飾っておくタイプの作品です。オリジナルは4本指なのですが、人間の足っぽくしたくて、ちょっとだけ取り方を変えて5本指にしてみました。

    footprint

     「はじめの構え(親指と小指の構え)」から左人差し指で右の掌の糸をひねって取った後、オリジナルの手順では右人差し指と右薬指で左掌の糸を取りますが、その時に右中指も左人差し指の輪の中から左掌の糸を取ると5本指になりました。

     「カラーひも」という、ちょっと太めのひもで作ってあったあやとり用のひもが余っていたのでそれで作りました。しばらく飾っておこうと思います。



     こたつが好きで、1年の半分以上はリビングに2畳分の畳を敷いて、そこにこたつを組んでいます。テラス窓の前に組んでいるので、庭の木や目の前の小さな谷やその向こうの里山、少し遠くの八ヶ岳がこたつに座ったままよく見えます。

     昨日の日曜日の朝、庭のかりんの木にヒヨドリが来ていました。あやとりを撮ろうと思って手元に用意していたカメラで写真を撮ってみました。

     窓からこんな風景が見られるのは幸せです。

    <おまけのひとこと>
     つくづく私は田舎暮らし向きだなあと思います。






    4月6日(火) ワイヤータイプの箱詰めパズルの解を調べる、あやとりによる完全二部グラフ(その1)

     ワイヤータイプの箱詰めパズルの解を解析ソフト BurrTools で調べてみた話と、グラフ理論の完全二部グラフをあやとりで作ってみた話です。



     昨日、昔載せたこんなパズルの画像を再度ご紹介しました。

     当時、このパズルのピースを正方形を頂点で接続したピースのモデルで表していました。ということは簡単に解析できます。愛用している BurrTools という解析ソフトで解の数を調べてみることにしました。

     こんな風に8つのピースを定義します。

     これをBurrToolsに解いてもらったら、解はたった1つだけ出てきました。答えがすぐにわからないようにモノクロ(グレースケール)画像に変換して載せておきます。(この画像をクリックするとカラーのわかりやすい解の画像が表示されます。)ユニーク解だったのですね。美しいです。

     2段マッチングパズルの話をする予定だったのですが、昨夜急遽この解析をしてみたくなったので、その結果のご紹介でした。

    (つづく)



     数学のグラフ理論の完全二部グラフをあやとりで作ってみたくなりました。(完全二部グラフの説明は省略します。)あやとりで作れるためには、グラフがオイラー閉路になっている必要があります。(要するに一筆書きで出発点に戻れる、1本の輪になっている、ということを言っています。)言い換えるとすべての頂点の次数(枝の本数)が偶数でなければなりません。

     一番簡単なK2,2はすぐにできるので、ちょっと複雑なK4,4を取ってみました。

    K4,4

     左右4本ずつの指が二部グラフのそれぞれのグループの頂点だとみなしています。指の太さのせいであんまりきれいな感じになりませんでした。そこで、コルクボードにとめてみました。

    K4,4

     これならばちゃんと完全二部グラフっぽく見えました。満足です。

     これ、先にボードにピンを立てておいて糸巻から糸を繰り出してピンに引っ掛けていってこのパターンを作るなら、作り方はわかりやすいと思うのです。そうではなくて最初にあやとりひもの輪があって、普通のあやとりの技法を使ってこのパターンを両手の4本ずつの指の間に作る、というやり方は自明ではないと思うのです。取り方、思い付きますか?

    (つづく)

    <おまけのひとこと>
     昨日、早朝の出勤の車の中で、車がほとんどいない高速道路を敢えて制限速度でゆっくり巡行しながらこの完全二部グラフあやとり問題を考えたのですが、すぐには思い付かなかったのです。会社の駐車場に車をとめて、事業所内に入場する前に止めた車の中であやとりひもを取り出して試してみて、取り方が確認できたので満足して入場しました。今朝起きて写真を撮りました。






    4月7日(水) 2段マッチングパズルの解を解析してみる(その1)、ほか

     2段マッチングパズルの解を解析ソフト BurrTools で調べてみようとして失敗した話です。


     昨日はちょっと寄り道しましたが、一昨日ご紹介したこのパズルの解を調べてみることにしました。

    2-layer matching puzzle 9 pieces

     1つの階層では、円の中心が正方格子状に配置されているように見えます。可能性としてありそうなのはこの6パターンです。

    Fig.1

     これを、こんな風に単純化してみました。Fig.1とFig.2で6つのピースの位置を合わせています。4か所が凹んでいるものは、Fig.2の正方格子モデルではなんにも無くなってしまいます。

    Fig.2

     BurTools でこんな風にモデル化しました。

    Fig.3

     解が3448通り出てきました。

    Fig.4

     あれ、でもこれは間違いです。ピースが2x2x2の立方体を基準としたものになってしまっているため、本来なら表裏の2通りの置き方しか存在しないはずが、6通りの置き方が可能になってしまっています。こんなにたくさんの解はなさそうです。モデル化、失敗です。

    (つづく)



     こんな問題を職場SNSの雑談コーナーで見かけました。

    6! × 7! = a!
    となる整数 a を求めよ。 a! は a の階乗である。

     この問題の解そのものはすぐにわかったのですが、調子に乗って「1!とか自明な例を除いて、一般に a! × b! = c! となる他の例はあるのでしょうか。なさそうな気がします。」とよく考えないで投稿してしまったのです。ところがすぐに反例を思い付きました。さらに、一般解も思いつきました。「(長谷川さん)らしくないですね」とからかわれてしまいました。

    <おまけのひとこと>
     妻に「あやとり」を勧めています。「ナウルの太陽」とか「焼け焦げた葉のククイ」とかを一緒にやってみています。「ウサギ」とか「カモメ」とか具象物のほうがいいのでは、と勧めてみたのですが、私が好きなパターンや模様のようなあやとりに興味があると言ってくれて、嬉しいです。






    4月8日(木) 2段マッチングパズルの解を解析してみる(その2)、創作あやとり

     2段マッチングパズルの解を解析ソフト BurrTools で調べてみる話の続きです。



     2段マッチングパズルの解析をやりそこなったので、それぞれの階層のモデル化を2x2から3x3の正方形に変えてみました。4つの方向が欠けているピースをこんな風に定義して、9ピースで1階層を埋めてみると

    Fig.1

     こんな風に解けることがわかりました。(これは簡単で、解はたくさんあります。)

    Fig.2

     次に、本来の2階層のものをモデル化しました。ピース3つ分をご紹介します。

    Fig.3 Fig.4 Fig.5

     BurrToolsによると解は12通りあるようです。そのうちの1つをご紹介します(Fig.6)。上の3つのピースはこんな配置になっていました(Fig.7)。

    Fig.6 Fig.7

     12通り、本物で全部やってみたくなりました。しまい込んであるので取り出してきて週末にでも試そうと思います。



     ところで、昨日モデル化に失敗したほうの「2x2x2」の立方体からいくつかの単位立方体を取り除いたピースによるパズルに興味が出てきました。単位立方体は必ず面で接していなければなりません。(でないと実物が簡単に作れないので。)単位立方体の数を変えたときに、それぞれ何種類のかたちができるのだろう?と考え始めました。まず、1単位、2単位、3単位のものは1種類しかありません。(3単位の1x3 という構造は 2x2x2 に収まらないのでダメです。)逆に8単位、7単位ものも1種類しかありません。でも、6単位のものは1種類ではありません。では5単位のものは何種類あるでしょう?

    (つづく)



     いろいろ試しているあやとり、面白いものができると極力写真を撮るようにしています。取り方、忘れないように簡単にメモしておきます。このメモだけだと普通は取れないと思うので、いずれ取り方を説明するページなりコンテンツを作りたいと思っています。

    hh210408-1
    Fig.8:創作あやとり「重なる波」
    1. 「ナウルの構え1」(人差指・中指の構え)
    2. 人差指と中指の輪を入れ替える(人差指の輪→薬指、中指の輪→人差指、薬指の輪→中指)
    3. 中指向こうの糸で親指で「正のナウルの太陽」
    4. 人差指手前の糸で小指で「逆のナウルの太陽」
    5. 人差指・中指の輪を向こうへ1回転ひねる
    6. 「小さいアムワンギヨ」

     ナウルの構え1から人差指・中指の輪を入れ替えると、日本の「網」というあやとりのようなパターンができます。これをうまく活用できないかなと思って、正・逆のナウルの太陽を取ってみたらちょっと面白いパターンができました。正逆のナウルの太陽の後でさらに人差指・中指の輪を入れ替えてみたり、最後に人差指・中指の輪をひねる方向を変えてみたりとかもしてみたのですが、あまり大きな改善にはなりませんでした。

    Fig.9
    1. 「人差指の構え」
    2. 人差指向こうの糸で親指で「正のナウルの太陽」
    3. 人差指手前の糸で小指で「逆のナウルの太陽」
    4. 人差指の輪を向こうへ1回転ひねる
    5. 「小さいアムワンギヨ」

     Fig.9 は素直に正・逆のナウルの太陽を取るとこうなりました、という例です。

    Fig.10:創作あやとり「古代の髪飾り」
    1. パプアニューギニアの「亀」
    2. 「ビヤト エイディオウィナゴ」の手順
    3. 中指の輪を向こうへ1回転ひねる
    4. 「小さいアムワンギヨ」

     「亀」から始めて「ビヤト エイディオウィナゴ」の手順(先日は「エカイブウィトの手順」と呼びました)を取ると、こんな精緻な結び目パターンが左右にできました。

    Fig.11

     これはかたちを整えるのが大変でした。

    <おまけのひとこと>
     あやとりでいろいろな手順を試して、思いがけない気に入ったパターンができると嬉しいのです。でも、いずれご紹介しようと思って写真だけ撮っておくと、しばらくすると「あれ?これどうやって取ったんだっけ?」とわからなくなるのです。なので今回はすぐに写真とメモをここにアップしておくことにしました。






    4月9日(金) 2x2x2に収まるポリキューブ(その1)、創作あやとり

     昨日ちょっと書き始めた2x2x2に収まるポリキューブの話と、本日のあやとり研究です。



     1x1x1の単位立方体をいくつか面でつないでできるかたちのうち、2x2x2の立方体の中に収まるものの種類について考え始めました。たとえば、単位立方体2つならば、2x2x2の中の配置は以下の3種類が考えられます。

    Fig.1 Fig.2 Fig.3

     Fig.1 は面でつながっているもの、Fig.2は稜だけでつながっているもの、Fig.3は頂点だけでつながっているものです。(わかりやすいように単位立方体を一回り小さく描画しているので、隙間ができていますが。) ここでは稜だけ(Fig.2)、頂点だけ(Fig.3)のような位置関係になっているものは除外します。



     数が多いほうから考えてみることにします。単位立方体8個ならば 2x2x2 はすべて埋まります(Fig.4)。単位立方体7個ならば、どこか1か所だけ取り除きますからFig.5 のようになります。立方体の8つの頂点は等価ですから、2x2x2に収まる7個はこのかたちしかありません。

    Fig.4 Fig.5

     6個ならばどうでしょう? 6個は2x2x2から2個を取り除きます。2個の配置を考えたとき接続性を考えなければ3種類が考えられましたが、この3パターンの取り除き方があります。残された6個はちゃんと面でつながっていますから、この3通りが考えられます。

    Fig.6 Fig.7 Fig.8

     それでは、単位立方体5個だったらどうでしょう? 何種類あるでしょうか?

    (つづく)



     昨夜取ったあやとりです。エガラウィナゴって2回連続で取るとどうなるんだろう? というのを試したものです。

    Fig.9:あやとり実験「エガラウィナゴ x2」
    1. 「エガラウィナゴ」
    2. もう一度「エガラウィナゴ」
    3. 親指・中指・小指の輪を向こうへ1回転ひねる
    4. 「小さいアムワンギヨ」

     かたちを整えるのが大変で、結果は満足できるレベルではありませんが、うまく調整するとそれらしいかたちになるということはわかりました。

     もうひとつ、2回目は逆に取ってみました。さきほどより少し短い糸を使ったので、最後の仕上げの「小さいアムワンギヨ」の直前でひねるのは真ん中の指だけにしました。

    Fig.10:あやとり実験「エガラウィナゴ正逆」
    1. 「エガラウィナゴ:正」
    2. 「エガラウィナゴ:逆」
    3. 中指の輪を向こうへ1回転ひねる
    4. 「小さいアムワンギヨ」

     「エガラウィナゴ:逆」というのは、親指のかわりに小指を使って、前後逆に「エガラウィナゴ」を取る操作をしたものです。このFig.10のほうが最後の調整はうまくできていますが、結び目の対称性はFig.9のほうが高いです。また挑戦してみたいと思います。

    <おまけのひとこと>
     まだ冬タイヤを夏タイヤに履き替えていません。そろそろやらないといけないです。






    4月10日(土) 2x2x2に収まるポリキューブ(その2)、あやとり、他

     2x2x2に収まるポリキューブの話の続きです。



     2x2x2の中に単位立方体を5つ、面がつながっているように配置する方法を考えてみています。パズルのデザインの都合で、3種類あると嬉しいなと思っていました。でも2種類しか見つけられないのです。

    Fig.1 Fig.2

     面が連結していなくてもよければもう1種類あるのですが、計算機の中の仮想的なパズルではなくて実物を作りたいので、それは却下しました。

     この2種類しかないと言い切れるでしょうか。2x2x2の8か所のうち、3か所を取り除けば5個になります。8箇所から3箇所を取り除く組み合わせの数は 8C3 = 8!/3! ですから 56通りです。56通り全部調べる以外に良い方法はないでしょうか?

    (つづく)



     ふとしたきっかけで橘曙覧の 独楽吟を調べました。共感できる歌がたくさんあります。



     昨日の エガラウィナゴって2回連続で取るとどうなるんだろう? という画像があまりにも酷かったので、あやとりを取り直して写真を撮り直しました。

    Fig.3:あやとり実験「エガラウィナゴ x2」
    1. 「エガラウィナゴ」
    2. もう一度「エガラウィナゴ」
    3. 中指の輪を向こうへ1回転ひねる
    4. 「小さいアムワンギヨ」

     少しはましになったでしょうか。



     ナウルのテクニックを組み合わせたりアレンジしたりして遊んでいます。

    Fig.4:あやとり実験「ビヤト エイディオウィナゴのアレンジ」
    1. ナウルの構え2(人差指・中指・薬指の構え)
    2. 人差指の輪の中から親指の輪をつまみ出し、親指に掛け直す
    3. 薬指の輪の中から小指の輪をつまみ出し、小指に掛け直す
    4. 「ビヤト エイディオウィナゴ」の手順
      1. 薬指手前の糸でナウルの太陽、ただし3手目は人差し指の輪の下から
      2. 人差し指・薬指を向こうへ半回転ひねる
      3. 中指を外し、両手をしずかに引く
      4. 中指で、近づいてきたもともと逆の手の中指にかかっていた糸を取る
      5. 人差し指・薬指を外す
    5. 中指を向こうへ1回転ひねる
    6. 「小さいアムワンギヨ」

     気に入ったので少し太い糸で取ってコルクボードにとめて飾ってみました。最近は飾られているパターンの入れ替わりが激しいです。

    Fig.5



     なんとなくエイゲメアング

    Fig.6 : Eigemeang

     ちょっと対称性が低くなっているのが面白いです。でも、このパターンをベースにアレンジしてみようという気にはなりませんでした。



     パプアニューギニアの「亀」の後に「ビヤト エイディオウィナゴ」の手順をやって「小さいアムワンギヨ」。中央の六角形の左右に平べったい五角形がついているようなパターンです。

    Fig.7

     こうやって遊んでいると1時間でも2時間でもすぐに経ってしまいます。

    <おまけのひとこと>
     車屋さんに電話をしているのですが、開店時間の10時を15分も過ぎても「当店の開店時間は10時からです。」というメッセージが流れるだけです。困ったものです。






    4月11日(日) 2x2x2に収まるポリキューブ(その3)、「0除算」解説のblog、あやとり

     2x2x2に収まる5個の面連結のペンタキューブはなぜ2種類だけなのか、ということを考えてみた話です。



     5個の立方体を2x2x2に納めるとき、1階部分と2階部分に分けて考えてみることにします。できるだけ重心が低くなるようにするならば、1階が4つと2階が1つ、もしくは1階が3つと2階が2つになるはずです。以下、1階部分をグレーで、2階部分を赤で示すことにします。

     1階が4つの場合(Fig.1)、2階は1つだけなので、このパターンの形状は1種類しかありません(Fig.2)。2階の4つのうちどれを選んでも同じだからです。

    Fig.1 Fig.2

     1階が3つの場合(Fig.3)、これはもう少し面倒です。1階部分の向きはこの図のかたちで固定することにします。

    Fig.3

     2階の2つが対角線上のなっている場合を考えてみます。

    Fig.4 Fig.5

     Fig.4、これが可能な配置の2つ目でした。Fig.5、これは手前の赤いキューブが他のどの立方体とも面が接していないのでルール違反です。これは採用できません。

     2階の2つが連結している場合を考えます。Fig.6とFig.7のように、1階の空きスペースの上に張り出したパターンが考えられます。この2つは上のFig.4と同じかたちです。(ちなみにこれは鏡像対称面を持つので、キラルではありません。)

    Fig.6 Fig.7

     さらに2階の2つが連結している残りの2パターンです。

    Fig.8 Fig.9

     この2つは実は1階に4つの場合とおなじかたちになっています。以上ですべての場合を調べ尽くしました。残念ながら5ピースの場合は2種類しかありませんでした。

    (つづく)



     hoinoriの日記というblogをご紹介いただきました。「0による割り算」の新しい定義を定め、それで論理展開してみようという解説が始まっています。幾何学の世界で平行線の公準を入れ替えるとユークリッド幾何学とは別の幾何学が生まれたように、「ゼロで割り算した結果をゼロとする」という定義を導入すると面白い世界が広がっているということが書かれています。その中身はまだこれからですが、楽しみに拝見させていただこうと思います。

     ちなみに私は子供のころ、当時読んだ本で 1÷0=不能、0÷0=不定 と習いました。 1÷0=a と置くと、a×0=1 となって、そんな a は存在しないから「不能」、0÷0=b と置くと、b×0=0 となって、bにはあらゆる数が当てはまるので「不定」、です。



     石野さんのあやとりサイトのギャラリーをみて、こんなあやとりを取ってみたのです。最後のほうのナウルのあやとりのどれかだと思います。

    Fig.10

     これが、最近特に気に入っているパターンのエガラウィナゴを中央に配したエイディオウィナゴによく似ているなあと思ったのです。Fig.10とFig.11、どこが違うかわかりますか? 写真をクリックすると拡大しますので、それで見比べたほうがわかりやすいかもしれません。 (ヒント:中央のパターンの下の2つの輪に注目してください。)

    Fig.11 : 「エガラウィナゴ」の「小さいアムワンギヨ」仕上げ

     ちなみに終了処理は「エオンガツバボ」よりも「小さいアムワンギヨ」のほうが好みですのでそちらを採用しています。(エイディオウィナゴではエガラウィナゴができた後で図形の中央下の糸の交差の上下を逆にする処理をしていますが、それは面倒なのでいつも省略しています。)

     で、Fig.10のパターン、取ってみて面白かったのですが対称性がやや低いので、「(もう今後取らなくても)まあいいか」と思ったのです。そうしたらそもそもそのあやとり作品の名前がわからなくなってしまいました。



     ありがたいことに妻があやとりに興味を示してくれて、少しずつ覚えてくれています。覚える順番は完全に私の趣味になっています。基本であるナウルの太陽(カロリン展開の前まで)、焼け焦げた葉のククイ材木運びダンスの舞台、をやってもらっています。

     「焼け焦げた葉のククイ」は、その後で(まだやっていませんが)ナウルの終了処理までやれば「小さいアムワンギヨ」になります。この、内側の指の輪の中を通して親指と小指の内側の糸を取り合う手順は基本テクニックとして有用です。また、「材木運び」は「たくさんの星」系列のあやとり作品の終了処理として有用です。「ダンスの舞台」も、終了処理として身に付けておくと発展性があって素晴らしいです。

     というわけで、「ナウルの太陽」から「材木運び」終了処理(=「たくさんの星」の終了処理)をやってみてもらいました(Fig.12の写真上)。

    Fig.12

     写真下が私が比較用に取った、「たくさんの星」そのものです。最初に「ナウルの太陽」を取るときに、人差指の向こうの糸ではなく小指手前の糸から始めるところだけが異なります。

    <おまけのひとこと>
     車の夏タイヤ、かなり消耗が激しかったので結局履き替えるのをやめて新たに発注しました。今週末には交換しようと思います。






    4月12日(月) 2x2x2に収まるポリキューブ(その4)、パズル「シアソラ」

     2x2x2の8個の単位立方体(キューブ)からいくつかのキューブを取り除いたピースによるパズルを検討しています。



     2段マッチングパズルの解析をしてみようということがきっかけで思いついた 2x2x2 の単位立方体からいくつかのキューブを取り除いたピースによるパズルの考察が面白くて、いろいろ試してみています。大前提として、ピースの数は9個で単位立方体の総数が48、という縛りを設けてその中で考えています。

     最初に、ピースができるだけ合同になるように、種類が少なくなるように考えてみました。48は9で割り切れないので全てのピースが合同というセットは設計できません。そこで、ペンタキューブ(単位立方体5個)が6個、ヘキサキューブ(単位立方体6個)が3個、というセットを考えてみることにしました。

    x 6   + x 3

     48 は 2 x 2 x 2 x 2 x 3 ですので、こんな4種類の直方体を作ることができます。(そのそものピースが厚みが2 あるので、縦横高さはいずれも2以上です。)

    Goal 1 : 2 x 2 x 12 Goal 2 : 2 x 3 x 8

    Goal 3 : 2 x 4 x 6 Goal 4 : 3 x 4 x 4

     そしてもちろん今回のパズルのデザインの基となったこのパターンです。

    Goal 5

     Burr Tools で調べてみると、今日のセットではいずれも解がありました。

    Goal 1 : 131 解
    Goal 2 : 297 解
    Goal 3 : 418 解
    Goal 4 : 76 解
    Goal 5 : 67 解

     いずれもそれほど難しいパズルではありません。特に直方体の4つはかなり易しめですが、Goal 5 はそこそこ楽しめる難易度だと思います。

    (つづく)



     昨日、Jさんという方からメールで情報をいただきました。昔、パズル工房 「葉樹林」さんから、葉樹林さんオリジナルの創作パズル「でべそキューブパズル」というのが発売されていたのだそうです。2x2x2 のキューブから1つを取り外して別の面にくっつけたオクタキューブのピースのパズルで、8ピースで単位立方体4x4x4 の立方体をはじめ、様々なかたちがつくれるのだそうです。

     メールではもう少し詳細な情報もいただいたのですが、無断でパズルのデザインを公開するのもいかがなものかと思うので、今日のところはこれ以上はここには書きませんが、このアイディアそのものは非常に面白くて、いろいろ調べてみたくなりました。貴重な情報本当にありがとうございます。



     Jさんからはもう1つ情報をいただいたのです。昨年の11月にGourds(ひょうたん)というスライドパズルをご紹介したことがあったのですが、同様にルール上、移動前の状態に戻せるパズルとしてシアソラというパズルを教えていただきました。スマートフォン用のアプリケーションとして公開されているものもあって、さっそくインストールしてみました。

     飛び越してキャプチャ(捕獲)して取り除いていくパズルのように(ペグ・ソリティアが有名です)後戻りできないルールのパズルもたくさんありますが、このようにルール上許された動きで元に戻せるパズルはゆっくり試行錯誤できるのでいいですね。

     Jさんも書かれていらっしゃいましたが、「ルール上もとに戻せるパズル」と言えば、芦ケ原伸之氏の「東京パーキング」や、それを商品化したThink Fun社の「ラッシュアワー」が大変有名です。「シアソラ」も面白そうなので試してみたいと思います。

    <おまけのひとこと>
     昨日の日曜日、朝から車で買い物に出かけたのです。少し早めに出て、目的のお店が開く前に喫茶店でコーヒーでも飲んで行こうと思ったのですが、お目当てのコーヒー店は待ち行列が出来ていて入れませんでした。(朝から開店しているところが少ないので人が集まるのだと思いました。)仕方がないので目的地まで移動してしまって、少し散歩をしていたのですが、朝は寒くて参りました。日中は暑くなるときいていたので薄着だったのが失敗でした。天気予報通り、お昼近くなると今度は暑くて大変でした。
     買い物は、私は面白い本を何冊か買うことができて嬉しかったです。またそこからの話題もご紹介してゆきたいと思います。






    4月13日(火) 2x2x2に収まるポリキューブ(その5)

     2x2x2の8個の単位立方体(キューブ)からいくつかのキューブを取り除いたピースによるパズルの話の続きです。



     昨日、下の表の Set 1 のペンタキューブ(単位立方体5個)が6個、ヘキサキューブ(単位立方体6個)が3個、というセットを考えて、そのセットで直方体をいろいろ作ってみました。実はこのセット、2x2x4を3組作ることができてしまうセットなのでした。

     なのでいくつかの直方体はとても易しかったのです。そこで、もう少し自明でない問題になるように、下の Set 2 のような3種類×3つずつのパズルを考えてみました。(参考までに Set 3 では今日ご紹介するいろいろなゴールに対して解がありませんでした。)

    Set 1 6 - 3
    Set 2 3 3 3
    Set 3 - 6 3

     まず、厚みが2のパターンの解の数です。

    Set 1 132 418 67
    Set 2 184 458 72

     次に厚みが3のパターンです。厚みが3で、2x2を単位としたテトロミノ5種類を作ってみました。直方体のものの Set 1 は昨日もご紹介したものです。

    Set 1 297 76 256 64 448
    Set 2 120 36 116 20 212

     逆に、全部が異なるピースで48単位を作って、何か面白いかたちができないだろうか、と考えてみました。

    (つづく)



     比較的易しくて解が多いということがわかったので、アーテックブロックで実物を作ってみることにしました。これは Set 1 です。ブロックなので組み換えは容易です。

    Fig.1

     原色系(赤・青・黄・緑・白・黒)でペンタキューブ、パステル調の色でヘキサキューブを組んでみました。今回の検討の基になった2段マッチングパズルのパターンです。

    Fig.2

     これは楽しいです。こういったブロックをお持ちの方、遊んでみることをお勧めします。

    <おまけのひとこと>
     朝、このページを更新していると、こんな図が欲しいと思うことがよくあります。たいていその場で図を用意します。今日も、冒頭のペンタキューブ2つとヘキサキューブ1つで 2x2x4 の直方体ができるという図が欲しくなって、アーテックブロックで作って写真を撮って取り込んで加工するのがいいかPovrayでCGを作るほうが早いかちょっとだけ考えました。明らかにCGのほうがコントロールが楽だと思ったので、CGを用意することにしました。
     高さ3の2倍体のテトロミノ5種類の図も、表のかたちにしたかったので今朝CGを用意しました。さすがにこういう図はすぐに描けるようになりました。






    4月14日(水) 2x2x2に収まるポリキューブ(その6)、他

     2x2x2の8個の単位立方体(キューブ)からいくつかのキューブを取り除いたピースによるパズルの話の続きです。



     2x2x2におさまるポリキューブ9個で全部で48単位になるようなパズルを検討しています。今日は全てのピースの形状が異なるものを調べてみました。こんなセットを考えました。

     トリキューブ(立方体3個)1種類、テトラキューブ2種類、ペンタキューブ2種類、ヘキサキューブ2種類、ヘプタキューブ1種類、オクタキューブ1種類です。本当はトリキューブやオクタキューブ(2x2x2の2倍体の立方体そのもの)は使いたくなかったのです。でも9種類全部が違うピースにしたかったので、やむを得ずこのセットを検討しました。

     テトラキューブ(立方体4個)やヘキサキューブ(同6個)は別の形を選ぶこともできますが、まずはこれで考えました。

     目標のかたちとしては、以下の4種類に関しては解がありました。(数字はBurrToolsによる解の数です。)

    240 70 20 28

     上の3つ目は厚みが2の 5x5 の中央を抜いたパターン、4つ目は 2x3x4 の直方体をずらしてつないだものです。それ以外の直方体や、昨日ご紹介した厚み3のテトロミノの2倍体は解がありませんでした。

     また、上の2つ目における 2x2x2 の2倍体キューブの位置は、下のFig.1 の場合と Fig.2 の場合がありましたが、それ以外の位置の解はありませんでした。

    Fig.1 Fig.2

     うーむ、このセットもいまひとつです。

    (つづく)



     Joseph Ornstein さんの創作あやとり作品の ケルトのタペストリー が好きで、忘れないようにときどき取ってみています。

    Fig.3

     このあやとりの手順の最後のほう、親指と小指の輪をひねって内側の糸を取り合う工程があります。ここで、親指と小指に加えて人差指と薬指もひねることにします。(つまり中指以外の4つの指の輪をひねります。この例では小指と薬指は向こうへ、親指と人差指は手前へひねりました。)ひねった後で中指を外して「小さいアムワンギヨ」の終了処理をしてみました。

    Fig.4

     オリジナルのほうが美しいですが、中央にできる様々なパターンの1つとして、これも「あり」かなあと思いました。

    (つづく)

    <おまけのひとこと>
     このところ仕事が急増していて、そろそろ飽和気味です。ちょっとまずいです。






    4月15日(木) 2x2x2に収まるポリキューブ(その7)、他

     2x2x2の8個の単位立方体(キューブ)からいくつかのキューブを取り除いたピースによるパズルの話、いったん最終回にします。



     その後、こんなセットを考えてみました。

    Set 5 1 2 2 - 2 2
    Set 6 - 6 - - - 3
    Set 7 - 3 3 1 1 1

     Set 5 はパズルとしての難易度が上がりました。 Set 6、2x2x4 が3組できるのでそれを並べてできる直方体は簡単ですが、それ以外は難しいです。

     Set 7、ヘキサキューブ3種類を1つずつ使ってみました。それぞれのセットの解の数はこんな風になりました。

    Set 5 0 0 0 0 6 0 8
    Set 6 7 0 31 1 0 0 3
    Set 2 0 0 316 28 92 0 167

     なかなか興味深いです。Set 6 は、4x4x3の解が1つだけ(ユニーク解)のようです。3つのヘキサキューブの位置がどうなっているのか調べてみました。

    Fig.1

     なるほど、このパターンから6個のペンタキューブをどう配置すれば 4x4x3 になるか、けっこうわかりやすいと思います。この解はいいなあと思いました。

     この発想のパズル、もう少し試してみたいと思っています。



     昨日、 ケルトのタペストリー を「小さいアムワンギヨ」の終了処理をしてみたものをご紹介しました。これは「ダンスの舞台」の終了処理でも良いのではないかと思ったので、試してみました。

    Fig.2

     「ケルトのタペストリー」の終了の直前のところまで取ったら、中指以外の4本の指の輪を向こうへ1回転ひねって中指を外します。後は「ナウルの構え1」以降の「ダンスの舞台」の操作をします。「ケルトのタペストリー」は最後のかたちが整いやすい、素性の良いあやとり作品ですが、この「ダンスの舞台」エンディングもその恩恵をこうむっています。

     上の写真だと中央部分のパターンがわかりにくいかなと思ってコルクボードにとめてみました。(Fig.2, Fig.3 はクリックして拡大してみていただくほうが中央部のパターンがわかりやすいかと思います。)

    Fig.3

     あまりがんばって調整していないのでまだ調整の余地がありますが、ちょっと中央部が小さくなりすぎました。もっと長い糸で取ったほうが印象が良くなりそうです。「ケルトのタペストリー」のバリエーションも研究すると楽しそうです。

    <おまけのひとこと>
     本業のほうで頼まれ仕事が増えて忙しいです。ありがたいことではあります。






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