[Home]-[以前のひとこと]-[2020年11月後半]

以前の「ひとこと」 : 2020年11月後半



11月16日(月) 花形切隅八面体の木工作品

 11月も後半になりました。この週末(11/14〜15)は家の中の本や模型の整理をずっとしていて、新しく何か作る時間がありませんでした。そのかわり、しまい込んでなかなか取り出す機会がなかったものがたくさん出てきて、懐かしく楽しく片付けをしていました。そんな中から(おそらく)ちゃんとご紹介していなかったものを今日は掲載したいと思います。



 街角の数学の著者である山崎憲久さんから昔頂いた木工作品をご紹介します。

Fig.1 : Woody Puzzle by Norihisa Yamazaki

 このかたちについては2003年6月にご紹介しているので、そちらをご覧ください。ここでご紹介した紙模型は山崎さんに差し上げた、と思います。手元にないのでまた作ろうかなと思いました。

 紙模型のほうは帯を編む手法で作ってありますが、山崎さんの作品は三角柱を12本組み合わせて作られています。全然印象が違います。

Fig.2 Fig.3 Fig.4

 こんな風に3つのパーツを組み合わせるように接着されています。内側に十二面体の空間があって、何か入れられるようになっています。美しい…

 大事に大事にしまい込んであったのを取り出して飾りました。



 最近は寒くなって、居間のこたつでこのページの更新作業をすることが増えてきました。ノートPCを自分の部屋の机から運ぶのですが、電源ケーブルを抜いてPCだけ持って行きます。そうすると、机の隙間から配線している電源ケーブルが机の向こう側に落っこちてしまうことがあって、厄介でした。

 先日ご紹介した「くねくねチェーン」で作った「ボロメオの輪」

 が机の上に飾ってあったのですが、ちょうどその隙間にケーブルを通せば落下防止になるなと思ってやってみました。

 いい感じです。

<おまけのひとこと>
 Mさんから、昨日の記事の冒頭が「もう一つ、猫の折り紙砂浜を折ってみました」という誤記でしたよ、というメールをいただいたのですが(いつもありがとうございます)、なぜ「砂浜」という誤記になったのか、その理由も推測して下さっていました。素晴らしいです。どんな仮名を変換したら砂浜になったのか、わかりますか?






11月17日(火) Z型リングによるボロメオの輪(その2)

 昨日、ケーブルの落下防止用に「くねくねチェーン」で作ったボロメオの輪を利用したという話を書いたのですが、そういえば10月30日に、この2つの図のかたちの対称性について、書いている途中の話題がありました。

 今日はその話を書きます。



 上記の2つのパターン、このような一般的な視点から見ると、何が違うのかわかりにくいかなあと思いました。2枚を交互に表示するgifアニメーションを作ってみました。

Fig.1 : gif animation

 余談ですが「くねくねチェーン」でこのかたち作ると上記のようにZ型リングの姿勢を変えるのはとても簡単で、容易に実験ができてありがたかったです。

 この2つの形状を、3回回転対称軸の方向から見てみると以下のようになりました。

Fig.2 Fig.3

 この2つは違う形です。ただし対称性は同じです。同じ部品3つから、このように対称性は同じだけれどもかたちが異なる構造が作れるのが面白いです。

 Fig.2のほうは鋭角型菱形六面体のような、回転対称軸方向に細長いかたちです。Fig.3のほうは鈍角型菱形六面体のような、回転対称軸に直交する平面の方向に広がった「平べったい」かたちです。

 この対称性が面白いと思うのです。



 大好きなトピックである「鋭角型菱形六面体」と「鈍角型菱形六面体」の話、今回の説明に使えそうなわかりやすい図がないかなと思って過去のページを読み返していたら、あっという間に1時間くらい経過してしまって時間切れになってしまいました。いい図は見つかりませんでした。

<おまけのひとこと>
 昨日の「もう一つ、猫の折り紙砂浜を折ってみました」という誤記ですが、「さくひん」を入力すべきところを「さひん」と入力していたのでした。「さひん」を変換すると「砂浜」になるのですね。「さひん」という読みは、なんだか専門用語っぽいですね。

 昨日は仕事の帰りに食品スーパーで買い物をして帰ったのですが、例によって余計な買い物をしてしまって妻を悲しませてしまいました。ごめんなさい。






11月18日(水) 昔のパズルなど(地下室の整理中)

 相変わらず本やパズル、多面体模型などの整理を細々と続けています。こんなものが出てきました。おそらく以前にもご紹介しているはずだと思うのですが見つかりませんでした。

 これはゼンマイ仕掛けで走る玩具のためのレールで、連結してコースを変えて走らせることができる、というものだったと思います。海をイメージしたデザインで、確か走行する「車」も船の形をしていたというぼんやりした記憶があります。正方形のパーツ6枚と正三角形のパーツ4枚がありました。肝心の走行するほうの玩具は行方不明です。

 この中途半端なレールセットでは、閉じたループを作ることができません。ではなぜこれを保存してあったかというと、この枚数から明らかなように正多面体が作れるセットだったからなのです。

 正方形のパーツのほうは、レールは向かい合う一組の辺を繋ぐように彫られています。正三角形のパーツのほうは、隣り合う2辺を繋ぐようにレールが彫られています。

 立方体のほうは、全部のレールを繋ぐことはできません。なので、すべてのレールがつながらないように配置しました。正三角形のほうは、すべてのレールがつながるように、行き止まりができないように組み立てました。(立体なのでレールが繋がっていてもいなくても意味はありませんが。)どのように組めば「すべてのレールが繋がる」状態になるかわかりますか?



 これも、店頭で見かけたときに「あ、これで多面体が作れそうだな」と思って買ったのです。どうせなら正二十面体が作れるくらいたくさん買っておけばよかったのに、とか思います。せめて正三角形があと4枚あれば立方八面体が組めたのに、と思いました。あれ、でも昔、このパーツで立方八面体を組んだことがあったような気がしてきました。もう少しパーツがあるかもしれません。



 同じく地下室の整理中に「知恵の輪」っぽいものを入れてあった箱が出てきました。「懐かしいなあ」と思って取り出したのですが、鎖が引っかかっています。

 わざとやったはずはないので(知恵の輪を保管するときには可能な限り初期状態に戻して保管することに決めています)、偶然からまったのでしょう。ということはすぐに外れるでしょう。…と思ったのですが意外と苦戦しました。

 ほどけたので、改めて遊び始めたのですが、意外と難しい…



 と、こんな風に「あ〜懐かしい」「あ、このパズルの存在を忘れていた!」と、何かを開くたびにそれをいじりはじめるので、整理がなかなか進みません。まあ楽しいからいいのですけれども。

<おまけのひとこと>
 最近はblogのほうに画像を置くことが増えてきました。blogに置いた画像は、基本はクリックすると別タブで大きなサイズで開くようにしています。画像ファイルだけ置かせてもらうのはちょっと申し訳ないので(?)、blogのほうにもほぼ同じ内容の簡潔な記事も書くようにはしています。将来、blogのサービスが終了したら困るなと思っていますが、自分のPCにも必ず同じ画像ファイルは残すようにしています。






11月19日(木) キャストオーギア

 地下室の整理中にハナヤマのキャストパズルのキャストオーギアが出てきたので少し遊んでしまいました。

 どうやら2002年の10月ころに買ったもののようでした。

 前回ご紹介したときには具体的には何も書かなかったのですが、今回考えたことを少しだけ書いておこうと思いました。



 キャストオーギアは、五角形の歯車状の円盤と、各面の中央に十字型の穴の空いた立方体の2つのパーツを分離したり戻したりするパズルです。5つの突起のうち1つだけが必ず各面にはまります。簡単な模式図を描いてみました。

 この五角形の形状と十字型の穴の形状が巧妙で、1つの突起が十字型の穴から外れる動作をすると、隣の突起が立方体の隣の面の十字型の穴に入る構造になっています。

 正方形の辺の数は4で、円盤は五角形なので、一回り回ってくると、同じ立方体の面に刺さっている突起は1つずれます。

 突起のほうに注目すると、一回り回ってくることで隣の面に移動する、と言うこともできます。



 突起が立方体の面に刺さった状態で、90°回転させることができます。(先ほどまでは立方体の側面に円盤が刺さっていましたが、今度は立方体の手前の面に円盤が刺さっているのを見下ろしています。)ただし回転には制約があって、自由にくるくる回るわけではありません。4つの向きのうち、2方向しか向けることができません。

 立方体には6つの面があり、突起は5つあります。さらに、同じ面に対して同じ突起が刺さった状態は4つの向きがあります。(そのうち2つずつは簡単に互いに行き来できます。)なのでこのパズルは、6×5×4=120状態をとることができます。

 この120状態のうち、外れるのはただ1つの状態だけです。また、2つを合体させた状態で固定する姿勢があるのですが、これは90°回転させている中間の状態です。

 移動の規則がわかれば、あとは機械的に解けそうなのですが、実はこのパズル、全ての移動が可能なわけではなくて、一部移動が制限されているところがあります。そのため一筋縄ではいかないのです。ただ、120状態すべての状態遷移図を描けば、このパズルを解析することができます。(そこまでやらなくても解けますが…)

 移動が制限されているおかげで、このパズルは一種の迷路になっています。パズル作家Oskar Van Deventer氏のパズルは独創的な素晴らしいものがたくさんあるのですが、隠された「迷路的な」ところが特徴だと思います。改めて面白い、美しいパズルだと思いました。



 ちなみにこのパズルを今日ご紹介しようと思ったのですが、パズルの名前が思い出せなかったのです。ハナヤマのサイトに行ってみても、昔と違ってパズルの種類が増えていて簡単には見つけられませんでした。

 ようやく見つけて、画像などを探そうと思って検索したら、今時らしくYouTubeで解き方を解説している動画がありました。★キャスト オーギア オーギヤ★ 前編 CAST O'GEARです。5つの突起に名前を付け、立方体の各面にもサイコロのマークを付けて、解き方を説明しているようです。状態遷移図を描けばいいのになあと思いました。(すみません私個人の単なる好みです。)

<おまけのひとこと>
 今日は朝はやくから会議があるので時間がないのですが、つい図を描いたりして遅くなってしまいました。






11月20日(金) キャストオーギアの状態遷移図を考えてみる(途中)

 昨日、ハナヤマのキャストパズルのキャストオーギアをご紹介して、これは状態遷移図を作ったら面白いのではないか、ということを書きました。

 結論には全く至っていないのですが、今朝、ベッドの中で眠れなくてぼんやり考えていたことをちょっと書き記しておこうと思います。



 昨日、キャストオーギアの状態は120状態だ、ということを書きました。1つの状態から別の状態に遷移する数はいくつでしょうか? 簡単な見取り図を描いてみました。

"Flip" and "Rotation"

 五角形の板を動かす方法は、立方体の別の面に回転移動する"Rotation"(ローテーション)と、その立方体の面の中で90°回転させる"Flip"(フリップ)の2つの動き(モーション)があります。ローテーションは2方向、フリップは1方向です。なので、すべての状態からは別の3つの状態に遷移することができます。

Rotation

Flip

 現実のキャストオーギアは、パズル性を高めるために移動が制限されている箇所がありますが、仮に「理想キャストオーギア」というものを考えて、全てのローテーションとフリップが可能だということにしてみます。現実のキャストオーギアは、この「理想キャストオーギア」の状態遷移図のうちの何か所の遷移をできなくすることで、状態遷移図をたどることが難しくなって迷路のような論理構造になっているはずなのです。



 昨日も書きましたが、同じ方向への5回のローテーションで注目している突起が立方体の隣の面に移動しました。ということは同じ方向へ20回ローテーションするともとの状態に戻る、ということになります。

 フリップ動作をした先の状態でも、同じようにローテーション20回で戻ってくるループがあるはずです。なので、ある1つの状態に注目すると、その状態に関係する状態遷移として、こんな構造になっているはずです。(白マルが状態を、赤線がフリップによる状態遷移を、青線がローテーションによる状態遷移を表しています。)

 状態遷移図はグラフ理論のグラフとみなすことができます。このグラフは、頂点(状態数)が120で、全ての頂点の次数が3ということになります。

 今は1つの状態(ノード:頂点)にしか注目していませんが、上の図の小さな白マル全てにはフリップのペアがいて、そのペアの先には20状態のループが存在しています。もちろんそれらの状態(ノード)は、すでに描かれている状態(ノード)と同じ状態のものもたくさんあるはずです。

 さて、全体としてどんな構造になっているのでしょうか?

(つづく)かなぁ



 昨日の朝、キャストオーギアの実物(組み合わさったのもの)を居間に出しておきました。帰宅したら、パズルが解かれた状態(分離された状態)になっていました。妻が解いてくれたそうです。「意外と時間がかからなかった。偶然かもしれないけれど、このパズルは難しくないんじゃない?」と言われました。確かにそれほど難易度は高くないパズルかもしれません。でも、構造も動作も論理もとても美しいと思うのです。

<おまけのひとこと>
 すみません、今日の考察はまだ結論まで至っていません。(そんなことを考えているから眠れないのでは?と妻から言われます。あながち否定できない…)






11月21日(土) キャストオーギアの状態遷移図を考えてみる(その2)

 ハナヤマのキャストパズルのキャストオーギアの状態遷移図、まだ考えています。全部で120通りある状態はどのように繋がっているのでしょうか。

 昨日は、2種類の動かし方にローテーションとフリップという名前を付けて、ローテーションだけを20回繰り返すと同じ状態に戻るという話をしました。状態遷移図のイメージを図にしてみました。(ローテーション20回ということは、五角形のディスクは立方体の回りを5回公転しています。)

20 rotation Loop

 五角形のディスクの5つの突起を赤・緑・青・黄・白の5色に色分けして、どの突起が立方体に刺さっているのかを色で表すことにしました。20個の状態がローテーションの動きで繋がっています。それぞれの状態(色のついた球)は、ここには描かれていない「フリップ動作」をした状態になる遷移を1つずつ持っています。



 さて、この「ローテーションによるループ」は全部でいくつあるのでしょうか。キャストオーギアの立方体の回りを5角形のディスクがローテーションで回ってゆく向きは、下の図のように3つあります。

 また、ディスクが裏返ると別な状態になるので、同じ方向にローテーションするループは2種類あることになります。ループの同じ場所が、立方体の同じ面を表すことにすると、下図のようになります。

 ということは、20状態のローテーションのループは全部で6つ存在しています。これで120状態になります。6つのループを3次元的に表現してみました。

 あとはフリップの状態遷移を60本、この図に描き加えれば「理想キャストオーギア」の状態遷移図が完成することになります。

(つづく)



 地下室を整理していたら、こんなものが出てきました。

 けん玉とかヨーヨーとかのスキルトイ系の玩具なのですが、何という名前なのか、どうやって遊ぶのか、すぐには思い出せませんでした。

(つづく)



 International Guild of Knot Tyersというサイトがありました。またロープで結び目を作ってみようかなと思いました。

<おまけのひとこと>
 地下室から出てきたパズルなどを整理したい、と時間がない平日には考えているのですが、ところがいざ週末になると急に整理するのが面倒な気がしてきています。






11月22日(日) 折り紙のお皿

 冬になると折り紙を折りたくなります。YouTubeで花の小皿という折り紙が紹介されていたので折ってみました。(以下の写真はクリックすると大きな画像を表示します。)

 折り紙で箱やお皿のような構造を折るとき、もともとの平面から絞って固定するような操作を行います。いろいろな手法がありますが、今回のこの折り紙作品は沈め段折のような折り方で構造を決めているところが面白いです。

 (余談ですが、動画による折り方の紹介だと、工程がどのくらい複雑なのか、途中でどんな手法を用いているのか、動画をずっと見てゆかないとわからないのです。折り図だったら作品の難しさや複雑さが事前に見て取れます。動画も飛ばしながら見たりするのですが、そうすると見落としがあったりして、短時間で折り方の手順の概要を把握するのが難しいのです。動画はありがたいですが、でも折り図が好きです。)



 折ってみて、お皿の中央だけが裏面の色になってしまうのが嫌かなあと思いました。(なので上の写真の右側は両面折り紙を使いました。)そこで、お皿の縁を絞って立体化する工程のところで、凹凸を逆にしてみました。でもこれは失敗でした。お皿の内側になることで安定していた構造が、外側になると開いてしまうのです。

 なので、「花びら」に相当する部分を外側に折ることでかたちを安定させることにしました。

 まるで違った印象のお皿に変わりました。



 もう1つ、ちょっと印象を変えてみようと思って折り方を変えてみました。

 うーむ、これは今一つでした。



 それぞれのタイプ1つずつの集合写真です。

 やっぱり折り紙、面白いです。

(つづく)



 昨日のこれ、名前を思い出しました。

 アストロジャックスです。いろいろなトリック(技)を紹介するビデオカセットテープも出てきました。でも未開封です(笑)。そもそもVHSのビデオデッキ、もう何年も稼働していません。テープを入れたが最後、出てこないというリスクもあるなあと思っています。

<おまけのひとこと>
 恩師の先生の米寿のお祝いの「寄せ書き」的な文書を作ることになって、A4サイズ1ページ程度のpdfを用意してくださいと言われていたのを忘れていました。今日明日で作らないと…






11月23日(月) 折り紙の鉢(?)

 昨日に続いて、YouTube折り紙のアレンジです。Cara melipat kertas origami tempat sampah mudah という折り紙をまずお手本通りに折ってみました。(以下の写真はクリックすると大きな画像を表示します。)

 展開図も折る手順もとてもシンプルです。折り鶴を折るよりずっと簡単です。ただ、この「鉢」のかたちを決める折り線は自由に決められるところが逆に悩ましいかもしれません。



 展開図がシンプルなので、いったん広げて山折り谷折りの線を付け直して一気に組み立ててみたのです。そうしたらかたちが全く定まりませんでした。指示通りに折らないとかたちが決まらないようなのです。

 展開図から折り筋を付けたものを、バラバラに広がってしまわないように縁を無理やり外側に折り曲げてみました。

 まるで印象が違うかたちになりました。



 この折り紙面白いなと思って、底面の大きさを変えたものをいくつか折ってみました。

 左は両面折り紙、右は縞模様の折り紙(片面)です。



 大きさを変えているので、うまく重ねることができました。

 でもやっぱり、シンプルなオリジナルの左側のもののほうがきれいかなあと思います。ただ、この構造だと中に少し大きくて重いものを入れると「鉢」としてのかたちが崩壊して、元の正方形の折り紙のかたちに広がってしまいそうです。上の4辺の外側に折られた白い直角二等辺三角形の先端を軽く接着したくなります。

 ほかにも似たような折り紙とそのアレンジをいろいろ折ってみているのですが、まあここに載せなくてもいいかなと思っています。



 タブレット端末で数独を解くのが趣味です。難易度が高くて、かつ理詰めで解ける問題(試行錯誤を必要としない問題)が好きです。いわゆる「アリアドネの糸」、数字を仮置きして解いていって矛盾が出たら仮置きした数字が誤りであると判断するという背理法のような手法を使わずに解ける難しい問題に出会うととても楽しいです。

 たとえばこんな問題です。(書き写し間違いがあったら罪が重いので、数独ソルバーのサイトに行って、問題として成立していることは確認しました。)

 この問題、最初に数字の2が入ると思います。次はちょっと考えて、数字の6が入るのではないでしょうか。その先に進むのはちょっと大変だと思います。でもこの問題は「仮置き」せずに解くことができました。楽しかったです。

<おまけのひとこと>
 恩師の先生の米寿のお祝いのメッセージ、悩みながら書いて送りました。明日は職場の対話会で「10分間の自己紹介」をしなければなりません。(自分を含めて4人のグループで1時間です。)さて何を話そうか。






11月24日(火) くりえいてぃぶなアルテア・デザイン

 地下室の整理で見つかった古いもののご紹介がシリーズ化しています。(プライベートの時間の多くを整理に割いているため、どうしてもそういうトピックが増えます。)本日ご紹介するのは「アルテア・デザイン」という古いパターン塗り絵です。



 「アルテア・デザイン」というのは、こんな製品でした。(画像をクリックすると大きな表示になります。)

 1970年の製品ですから、ちょうど50年前です。8つの図柄がそれぞれ5枚ずつ入っていて、400円です。1枚10円です。付録のリーフレットにはデザイン例が載っています。

 格子の骨格を利用して具象物の絵を描いたり、規則的なパターンを描いたりできることが示されています。

 リーフレットにはそれぞれの図柄の格子に関する解説が書かれています。

 今の時代だったらこういったものは存在を知っていればすぐに手に入ると思うのですが、50年前はNetも通販もありませんでしたから、こういったものはその街一番の百貨店や文房具屋さん、本屋さんで買うのです。幸いにして私の生まれ育った家はこういったものを面白がる家庭だったので、何かの折にこれを買ってもらったのだと思います。でも、色を塗ってしまったら用紙が1枚減ってしまうよなあ、もったいないなあと思って、自分で似たような格子を描けないかなあと思って挫折した覚えがあります。

 結局、1枚も使うことができずに今日に至っています。実はそれこそが一番「もったいない」行為だったかもしれません。でも、ときどきこの「アルテア・デザイン」を取り出して、何も色を塗っていないシートをほれぼれと眺めて、このパターンは面白いなあ…と思っていたのです。こういうパターンやタイリングに対する指向というか好みを形成してくれたのだとすれば、十分にその役割を果たしてくれたとも言えるかなあと思います。



 以前もこんなパターンをご紹介したことがありましたが、実はこれ、「アルテア・デザイン」にも同じような格子がありました。

 今はPCなどを使って電子的な塗り絵ができるので楽ですが、少なくとも子供のころは実際に筆記用具を持って手を動かして「塗る」という行為をしておくというのは大事なことだと思います。



 11/21〜11/23の三連休は、地元の本屋さん巡りをしていました。本屋さんは本との出会いがあって好きです。Netだと、過去の閲覧履歴から押し付けがましく「お勧め」を提示してきますが、その結果情報がどんどん偏る気がします。

 2日間で2万円くらい本(やマンガ)を買ったと思います。今回、店頭で見かけて「これは!」と思って買った本の1冊がこちらの3次元回転―パラメータ計算とリー代数による最適化― (金谷 健一:共立出版 2019)です。三次元空間の回転を推定する工学的な問題を解くために必要な数学を解説している本です。

 東北大の鏡慎吾先生の教材のページのテキストも素晴らしいのですが、ちゃんとした本になっているものが欲しいなと思っていたのです。

 これは良い買い物ができたとほくほくしています。(まだ読んでいないので、ハズレだったらどうしよう…)

<おまけのひとこと>
 日本は、こういったレベルのテキストがちゃんと母国語(日本語)で出版されているということころがとても恵まれていると思うのです。人口が減るということは、こういうものを出版しても元が取れないということになり、高度に専門的な内容は外国語(英語)で勉強せざるを得ないということになるのです。明治時代以降の先人が苦労して専門用語を日本語化し、教科書を日本語に翻訳し、日本語で教科書を書いてくれているからこそ、私たちは日本語で勉強ができるのです。本当にありがたいことだと思います。






11月25日(水) ちょっと小さな連鶴

 こんな容器に入った連鶴の折り紙が出てきました。(昔もご紹介しているかもしれません。)

 この容器は化学実験で合成したり精製したりした物質を保存するためのもので、いろいろなサイズのものがありました。粘着シールのラベルに内容物に関する情報を書いて貼って使っていました。今は100円ショップなどで様々なサイズのガラス容器も簡単に手に入るようになりましたが、昔はこういった容器は入手は難しかったのです。子供のころは、たまに手に入る市販されている風邪薬の空きビンのラベルをお湯などに浸けて丁寧に剥がして大事に使っていたりしました。大学で専門に進んで毎日実験をするようになると、ガラス細工で自分で小さなフラスコやピペットを作ってみたり、こういった試薬を入れるビンが自由に使えるようになったりして、感動したものです。

 容器から出してみました。

 折り鶴の羽や尾の先がちょっと折れてしまっていますが、これは容器から出し入れしたり、中で姿勢を整えたりするために容器を振ったりしたときに壁面にぶつかったためだと思います。でも、どこかに失くしてしまったりせずに今までとっておくことができたのは容器にいれておいたおかげだと思います。



 こういう容器に小さく折った折り紙作品を入れておくというのはなかなかいいなと思いました。最近のデザイン性の高い立体的な折り紙作品を小さく折って入れてみようかなと思いました。ただ、最近は若いころと違って手先も目も能力が低下しているので、うまくできるかわかりません。また、適切な用紙を選ばないときれいにできないと思います。でもちょっと考えてみようかなと思いました。こういうことを考えるのは楽しいです。



 昨日ご紹介した「アルテア・デザイン」、検索してみると今でも販売していることがわかりました。すごい。



 昨日ご紹介した「3次元回転」という本、会社に持って行って興味がありそうな人にメールで自慢したら、「その本持ってます。というか金谷先生の本はだいたい持ってます。」という人が現れて、ちょっと(かなり)恥ずかしくなりました。

 まあでも、こういう本を持っている人がいてくれて良かったとも思いました。

<おまけのひとこと>
 blogのほうに画像を置いて記事を書いて、こちらでも画像を紹介するというスタイルがだんだん定着してきました。こうすると大きなサイズの画像を置けていいなと思います。まあでも大きなサイズが必要ない場合は、従来通りこちらのサーバに画像を置こうと思います。






11月26日(木) 計算尺

 このところ古いものの話ばかり書いていますが、今日もそんな話題です。



 本を整理していたら、こんな本が出てきました。「計算尺ハンドブック」計算尺実務研究会編と書かれています。いつだったか、図書館で「除籍」になった本をもらってきたものです。たぶんここ10年くらいの間だったと思います。

 出版は昭和45年(1970年)、定価が300円です。1970年といえば、ちょうど家庭用電卓が発売されはじめた時代だと思います。商売をやっていた我が家では、コンセントに電源プラグをさして使う高価な「計算機」を父が購入していた覚えがあります。

 本の中身はこんな感じです。計算の操作手順が説明され、練習問題が並んでいます。

 実は実物の計算尺も持っています。写真はケースに入った状態です。値札が貼られていますが、これはリサイクルショップで購入したためです(250円)。

 取り出してみるとこんな感じです。

裏にヘンミのNo.2664S と型番が書かれています。手に取って基本の掛け算の問題をいくつか解いてみたりしました。パズルのようで楽しいです。



 私はもちろん計算尺の使い方は学校では習いませんでしたが、私の両親の世代は理系ならば自分の計算尺を持っていた時代でした。私の大学時代は、みんなカシオの関数電卓を使っていました。今はどうなのでしょうか。スマートフォンのアプリで十分なのかな?



 先週末に本屋さんを巡ってようやく手に入れた「あっぱれ折り紙」(フチモトムネジ)に載っていた「おにぎり」の折り紙を折ってみました。

 気に入ってたくさん折ってしまいました(笑)。

<おまけのひとこと>
 暗くてピントの甘い、フレーミングの悪い写真ばかりになってしまってすみません。






11月27日(金) 正四面体を作るパズル(その1)

 一昨日、小さなガラス容器に入った連鶴の折り紙をご紹介しましたが、さらに小さな容器に入った立体パズルが見つかったのでご紹介します。(これも昔ご紹介しているような気がします。)

 ご覧の通りビンの底面の直径は2cmくらいです。中に合同なピースが3つ入っています。この写真だとかたちがよくわからないので、ビンから出してみました。(写真をクリックすると拡大します)

 稜がかなり丸く作ってありますが、正方形1枚、正三角形2枚、等脚台形2枚の5面体です。これ2つで正四面体を作るパズルです。なぜ3つピースがあるのか、忘れてしまいました。(1つは予備?)

 これを作ったのは、確か大学3年生くらいの時だったと思います。(ものすごく昔です。) これは他の人に見せるために、当時の私としては丁寧に仕上げた覚えがあります。多面体の稜を覆うように色紙を貼って、最後に各面に色紙を重ね貼りしています。

 3つなのでむりやりこんなかたちにしてみました。

 小さいのでなんとなく面があっているように見えるのですが、実はこんな風には組めません。



 確か同じ形の樹脂製の製品を持っていたよな、と思って取り出してきました。

 こちらのほうが大きくて遊びやすいです。精度も良いです。

 大きさはこんなに違います。

 でも、場所を取らないという点で、ちいさいほうも気に入っています。



 大きいほうの製品、BEVERLYの製品なのですが、

 過去に絶対ご紹介していると思ったのですが、見つけられませんでした。改めてご紹介しようかなと思いました。(なので本日のタイトルを(その1)としました。)

<おまけのひとこと>
 このところ、blogのほうに写真を載せるようになって、写真を撮るときの構図が変わってきました。以前はトリミング(切り取り)前提だったので、周囲に邪魔なものが写りこんでいても気にせずに写真を撮って、webに載せるときに対象物ができるだけ大きく見えるようにリサイズしてトリミングして掲載画像を作っていたのですが、最近は撮影するときに構図を工夫して、トリミングしなくて済むように写真を撮るように気を付けています。そうすることで更新作業が楽になります。ただし、縮小したサムネイル画像で記事を書くことになるので、写真を拡大しないと対象物が見えにくいという欠点もあるなあと思っています。(フレーミングが甘い、と言えばそれまでですが。)






11月28日(土) シュトーレン/おにぎりの折り紙

 週末なので軽い話題です。



 妻のところにピアノを習いに来ている生徒さんのお宅から、クリスマスのお菓子であるシュトーレンをいただきました。

 トナカイのオーナメントが素敵です。

 吊るして飾ろうかなと思います。

 肝心のケーキそのものはとても美味しいです。普段は甘いものをあまり食べない私が、喜んで毎日一切れずつ食べています。おそらく12月上旬には食べ終わってしまいそうです。



 フチモトムネジ氏の折り紙のおにぎり、7.5cm角の折り紙用紙からも折ってみました。(このおにぎりの海苔は緑色です。)トレイのほうは15cm角で折った適当なものです。

 1つ取り出してみました。



 昨日の正四面体のパズルをきっかけに、正四面体を合同なピースに分割することを考えています。

  • 正四面体を合同なピースに分割する
  • 分割されたピースは鏡像対称性を持たなければならない(右手型と左手型があってはいけない)
  •  この条件で、2分割、3分割、4分割、5分割、6分割…は可能か、美しい分割はできないか、パズルとして面白い分割はできないか、考えてみています。

    <おまけのひとこと>
     この週末は久しぶりに紙工作をしようかなと思いました。






    11月29日(日) シスターの折り紙、他

     シュトーレンを食べて、俄然クリスマスっぽい気分になってきました。図書館に行ったら、エントランスの展示がクリスマス特集に変わっていて、折り紙で折られたアドベントカレンダーが飾られており、お菓子やお料理、プレゼントのラッピングの本に混じってクリスマスを取り上げた折り紙や手作り作品の本が並んでいました。

     その中に、「月間おりがみ」(日本折紙協会刊)の各年の12月号だけが30冊くらい積んでありました。1冊ずつ手に取って、何か折ってみたくなるような作品があるかなと思って眺めていたら、No.316 (2001年12月号)に「シスター」(鈴木恵美子:1999)という作品がありました。これを折ってみたくて借りてきました。



     最近「おにぎり」の折り紙(作品)で黒の折り紙(用紙)が不足しているので、まずは練習ということで緑色の折り紙(用紙)で折ってみました。(例によって画像はblogのほうに置いているので、画像をクリックすると大きな画像が表示されます。) この向きから見るのが一番気に入っています。

     手を合わせてお祈りしているイメージです。オリジナルの作品は、正面から見たところと横から見たところを折り分けられるような折り図の説明になっていて、いずれも楽譜の本を持たせて糊付けすることを推奨しています。

     「月間おりがみ」に掲載されている作品は、簡単に折れて糊やはさみはOKです。まずはそれで折り紙の楽しさを存分に味わうことが大切なので、こういう間口の広い作品が紹介されているこの雑誌は素晴らしいです。

     一方、作者の鈴木さんは心得たもので、「いろいろ変化できますので、アレンジを楽しんでいただければと思います。」と書かれています。オリジナルの「横向き」作品は、ややそっくり返った印象があったので、少し前かがみになるような姿勢にしてみました。また、最初のほうの工程で手先を内側に折りこむところがあるのですが、それをやめて最後に両手を合わせた形に折ることで留めるようにしてみました。

     斜め後ろから見てみました。

     前からも見てみました。

     黒い折り紙で折らなくてもいいかなと思いました。しばらく飾っておきたいと思います。



     以前に折ったサンタクロースの平面的な折り紙(確か「箸袋」だったはず)が出てきたので、木の本棚の棚板の隙間に差し込んで無理やり立たせてみました。

     わりといい感じです。



     サンタクロースの折り紙をいろいろ探していくつか折ってみています。折り紙作品というのは、何を特徴として表現することでその対象物らしさを表すか、ということろがデザイナーの腕の見せ所であり、様々な主張が感じられてとても楽しいです。そういったことを系統的に研究すると面白そうです。どこかにそういう文献がないかな、と思いました。

    <おまけのひとこと>
     昨日、正四面体を合同て対称性のあるパーツ6つに等分する多面体の紙模型を作りました。設計するのがとても楽しかったです。またご紹介します。






    11月30日(月) 7セグメント数字の折り紙、他

     11月も最後の日になりました。週明けですが、過去のページの最下段なので今日も単発の軽い話題にします。(例によって画像はblogのほうに置いているので、画像をクリックすると大きな画像が表示されます。)



     YouTubeで折り紙の動画をいくつか見ていたら、ORIGAMI 7-SEGMENTS DISPLAY (Mi Wu)というのがありました。これはすごい、と思って折ってみることにしました。お手本が30分くらいの長い動画なので、再生したり停止したりしながら折ったので、出来上がるまでに1時間近くかかったと思います。

     7セグメント数字というのは、電卓などで使われているこういう数字の表示です。

     最初、10種類の数字をそれぞれ別の折り紙作品として完成させるというものかな、と思ったのですが、そうではなくて完成品の7か所のセグメントの on/off を折り返すだけで切り替えられるという「可動折り紙」でした。なので、10種類の数字だけでなく128通りの全ての表示をさせることができます。

     全部 on にしたところ。

    8

     0, 5, 7 を作ってみたところ。

    0

    5

    7

     ゼロから9まで全部作ってもいいのですが、写真を撮るのが面倒でこの4種類だけにしました。もう1つ折って二桁の数字を表示できるようにしてもいいかも、と思いましたが、なにせ折るのには手間がかかるので、1つ折ったのでまあいいか、ということにしました。

     この作品は力作です。それぞれの工程は技術的にとても難しいというところはないのですが、操作を理解するのがちょっと大変です。(そこがパズル的で面白いです。)動画はよく考えて作られていて、わかりやすくなるように工夫されています。これを折り図で描くのは大変そうです。



     「7セグメント数字、折り紙」で検索してみると、これに近い発想をしている人もいるようです。折り紙の世界も本当に広く深くなりました。

     前川淳さんのblog「折り紙&かたち散歩」に、7セグメントディスプレイ→折紙数字(2010/02/25)という記事があって興味深い考察がなされています。“なお、見なれているので、違和感が薄れているが、最初に見たときには、「4」が変だなと感じたことを覚えている。” というのは「さすが」と思いました。



     図書館の新刊コーナーにあった、「シリアで猫を救う」(原作“The Last Sanctuary in Aleppo” 著:アラー・アルジャリール with ダイアナ・ダーク 訳:大塚 敦子 2020年) を借りてきて読みました。こんなに恐ろしいことがこの現代に現実として起こっていることに慄然とします。そして、自分自身を筆頭に、国際社会はこういった地域紛争に対して無力で無関心なのだということも改めて思い知らされました。

     一方でこの過酷な状況に絶望せず、できることをできる限りやっているアラー氏や、彼を支えるwebで繋がった人々の努力や想いというのはとても頭が下がります。ジョン・ウェズリー(John Wesley)の美しい言葉を思い出します。

    君ができるすべての善を行え、
    君ができるすべての手段で、
    君ができるすべての方法で、
    君ができるすべての場所で、
    君ができるすべての時に、
    君ができるすべての人に、
    君ができる限り。
    Do all the good you can,
    By all the means you can,
    In all the ways you can,
    In all the places you can,
    At all the times you can,
    To all the people you can,
    As long as ever you can.

     しかしながら、紛争を起こして実際に戦っている人(指導者ではなく末端の最前線で武器を手に戦う人)の中にはきっと、上記のウェズリーの言葉のように「自分のできる最善をなす」と信じて行動している人もいるのだろうと思うと、なんともやりきれない気持ちにもなります。

    <おまけのひとこと>
     冒頭で「軽い話題」とか言いながら、最後は重い話になってしまいました。さて今週もがんばらないと。






    [←2020年11月前半]  [↑表紙へ] [2020年12月前半→]

    [Home]-[以前のひとこと]-[2020年11月後半]
    mailto:hhase@po10.lcv.ne.jp
    2001-2020 hhase