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以前の「ひとこと」 : 2019年6月後半



6月16日(日) 単純多面体について考えてみる

 このところずっと、面の数が12、頂点の数が20の多面体について考えていました。これはすべての頂点の次数(頂点に集まる稜の数)が3の多面体でした。3次元空間の多面体では、頂点の次数の最小値は3です。これは、平面状の多角形の辺の数の最小値が3である(三角形は存在するけれど、二角形や一角形というのは存在しない)ことと関係があります。(もちろん、単なる線分を「面積がゼロの二角形だ」とみなす考え方もあります。普通の平面図形の多角形を、表と裏の2つの面を持つ、高さがゼロで体積もゼロの「二面体」とみなす考え方と同様です。)

 この、全ての頂点の次数が3の多面体を単純多面体と呼びます。多面体を平面によって区切られる半空間の共通部分だとみなすと、4つ以上の平面が同一の点を通るというのは特別な場合であり、一般には頂点の次数は3になるのが自然だ、ということです。

 よくわからない説明だと思うので、二次元の平面図形で説明します。図1は、赤、青、緑の三本の直線で囲まれた三角形を表しています。それぞれの直線は、全空間(ここでは平面全体)を2つの部分に区切っています。注目している半分の側に、それぞれの線分の色でグラデーションを付けてみました。

図 1

 「多面体を平面によって区切られる反空間の共通部分とみなす」、というのは、平面で言うと「多角形を直線によって区切られる半平面の共通部分とみなす」ということになります。図1の三角形は、赤い直線の右側であり、緑の直線の下側であり、かつ青い直線の上でもある部分全体です。



 以上を前提に、三次元空間の単純多面体の面の数を増やしてゆく手順を考えてみます。すでにある単純多面体のどこか1つの稜に注目してみましょう(図2)。

図 2

 注目した稜の両端の頂点をV1、V2、とします。その稜を囲む4つの面をF1、F2、F3、F4とします。これをこんな風に模式的に描くことにします(図3)。

図 3

 単純多面体の面を1つ増やすために、まず1つの頂点を平面で「切り落とす」ことを考えてみます(切頂操作)。どうなるでしょうか?

図 4

 図4のように、新たに面F5ができます。できた面は三角形です。また、その頂点のまわりにあった面F1、F2、F4の辺の数はそれぞれ1つずつ増えています。

 次に、注目した稜そのものを切り落としてみましょう(切稜操作)。

図 5

 新たにできた面F5は、今度は四角形です。また、面F1とF3の辺の数が1つずつ増えますが、面F2F4の辺の数は変わりません。

 3個以上の頂点を含む面で切断することも可能ですが、いったんは「切頂操作」と「切稜操作」に限って以下の考察を進めたいと思います。



 まず、一番簡単な単純多面体は三角形4面から成る四面体です。これを3,3,3,3と表記することにします。以下、面・頂点・稜のつながり具合が同じであれば同じ多面体だとみなすことにします。四面体に切頂操作、切稜操作を行うと、どちらも三角形2枚と四角形3枚の三角柱の構造になります(図6)。これは四面体から面が1つ増えるので五面体です。

図 6

 さらにこの三角柱に切頂操作、切稜操作を行ってみましょう。三角柱の頂点はすべて同じ構造ですので、1箇所考えれば十分です。でも、稜は2種類あります(図7)。三角形と四角形の間の稜と、2つの四角形の間の稜です。

図 7

 切頂操作、および三角形と四角形の間の切稜操作を行うと、5,5,4,4,3,3という五角形と四角形と三角形が2枚ずつの六面体になります。一方、三角柱の側面の縦の稜を切稜操作すると、4,4,4,4,4,4になります。いわゆる四角柱や平行六面体と呼ばれるかたちです。

 この操作を続けてみましょう。554433六面体のほうは異なる構造の頂点は3種類、異なる構造の稜は5種類あります。444444六面体のほうは頂点も稜も1種類ずつしかありません。それぞれの切断の操作をした結果を整理すると、以下の5種類がみつかりました。

図 8

 きっとこういう分類や数え上げはすでに研究されているのでしょうけれども、おそらく爆発的に数は増えてゆくのだと思います。少なくとも手作業でこの先をやるのは断念しました。



 ところで、上の図を描いてみたり、もっと面の数が多い単純多面体について考えているときに気が付いたことがあります(図9)。

図 9

 上の図のピンクの矢印の系列、これは多角柱です。多角柱というのは上下にN角形があり、対応する頂点どうしを結んだかたちなので、すべての頂点の次数が3です。もう1つ、上の図の水色の矢印の系列、これは何でしょう? この図には四面体、五面体、六面体、七面体まで描いてありますが、この続きはどうなるでしょう?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 6月も後半になりました。日曜日なのでついだらだらと長く書いてしまいました。何日かに分けて掲載してもよかったのですが、そうすると1回1回の内容が薄すぎてつまらないかな、と思ったのです。






6月17日(月) polyclam:二枚貝多面体(その1)

 昨日は「単純多面体」という、全ての頂点の次数が3の多面体について考えて、その条件を満たす四面体、五面体、六面体、七面体の一覧をご紹介しました。その中で、こんな系列の多面体に興味をもったという話まで書きました(図1)。面の構成がわかるような図にしてみました。

図 1

 上の2つ、四面体と五面体は向きがちょっと違うのでわかりにくいかもしれませんが、この規則性がわかりますか?

N角形2枚による「二枚貝多面体(poly clam)」
 N角形 × 2
 四角形 ×(N-3)
 三角形 ×2

 これは、合同な2枚の多角形の1辺を蝶番のようにつないで開き、それ以外の対応する頂点を結んだかたちをしています。ちょうど二枚貝が開くような感じです。そこでこの系列の多面体のことを「二枚貝多面体(polyclam)」と呼びたいなあと思いました。これは私の造語なので一般的な言葉ではありません。

 2枚を開く様子をイメージするため、「七角二枚貝(heptaclam)」のCGを作ってみました(図2)。

図 2

 いかがでしょう、イメージできますか? 普通の七角柱ならば側面はすべて四角形になりますが、七角二枚貝なら、蝶番の両側の側面2枚だけが三角形で、残りが四角形になります。土曜に、N角二枚貝多面体を考えると、上下がN角形、蝶番の両側の2面が三角形、それ以外の(N-3)個の側面が四角形ということになります

 この系列、なかなか面白いと思いました。

(つづく)



 先日、図書館に行ったとき、こんなミニチュアの揺り椅子(ロッキングチェア)が飾られていました(図3)。

図 3

 木製のクリップ(洗濯ばさみ)を分解して接着して作られているようです。真似して作ってみようかなと一瞬思いましたが、きっと作っても邪魔になるだけだなと冷静に気が付いたので、眺めるだけで感心して満足することにしました。

 図書館にはときどき折り紙とかこういったクラフト作品が飾られていて、それを眺めるのも楽しみです。

<おまけのひとこと>
 梅雨時、雨が降って天気が悪いと肌寒いです。我が家は再びコタツの電源を接続しました。体調管理が大変です。






6月18日(火) polyclam:二枚貝多面体(その2)

 昨日ご紹介した「二枚貝多面体」、四角形から十一角形までのCGを作ってみましたのでご紹介します。

tetraclam:四角形二枚貝 pentaclam:五角形二枚貝



hextaclam:六角形二枚貝 heptaclam:七角形二枚貝



octaclam:八角形二枚貝 nonaclam:九角形二枚貝



decaclam:十角形二枚貝 undecaclam:十一角形二枚貝

 これはpovrayのこんなプログラムから生成しています。偶数角形と奇数角形とでちょっとプログラムが違いますが、奇数角形のほうの例をご紹介します。

 これは十五角形二枚貝(pentadecaclam)のソースです。定数 ht で二枚貝の開き加減を定義し、定数 N が何角形なのかを決めます。配列 T と B (topとbottomのつもり)を定義して、頂点の座標をセットします。あとは上下のN角形の辺に相当する細い円柱(cylinder)と、垂直方向の稜に相当する円柱を描画します。 これ以外には光源と視点(camera)、座標軸を表す3つのcylinderを定義しているだけです。

 たとえば N=99 とすると、こんな図ができました。

九十九角形二枚貝

 1箇所数字を書き換えるだけでこんな図が作れてしまうのがCGの威力だと思います。もはや多面体には見えないですね。円柱を斜めにカットしたように見えます。

(つづく)



 昨日の朝、いつものように6時頃に通勤で家を出ようとして玄関の外に出たら、カッコウのやたらに大きなさえずりが聞こえてきました。あたりを見回してみると、頭上の電線にとまっているカッコウが大声で鳴いていました。ちょうどこんな感じに見えました。

カッコウ

 残念ながら自分では写真が撮れなかったので、こちらの野鳥写真集・カッコウの写真というページにあった画像を小さく縮小したものを掲載させていただきます。こちらの野鳥写真はほんとうにすごいです。

 尾羽が上に反り上がって、両翼が下を向いているところがいかにもカッコウらしい姿勢だと思うのです。しばらく見ていると、二羽のカッコウが鳴き交わしながら飛び回っていました。縄張り争いという感じではありませんでした。つがいなのかな、あれ、カッコウってメスも鳴くんだっけ? 基本的なことがわかっていないです。



 カッコウといえば托卵という習性が有名ですが、「カッコウはコンピュータに卵を産む」(クリフォード・ストール)という本が昔有名になりました。私もこの本は買って、とても面白く読ませてもらいました。1989年の本なので、もう30年も前なのですね。感慨深いです。

<おまけのひとこと>
 今、朝の4時50分くらいです。外が明るくなってきて、またカッコウの声が聞こえました。カッコウは夏鳥で、夏の訪れを告げる鳥です。






6月19日(水) 6554433の七面体(その1)

 先日、全ての頂点の次数が3の七面体を5種類ご紹介しましたが、その中の1つ、六角形が1つ、五角形と四角形と三角形がそれぞれ2つずつのかたち(図1)について何かきれいなかたちにならないかなあと思って考えてみました。

図 1

 上の図1は、三角柱の側面の四角形の、隣り合わない2頂点を切頂操作したイメージで作製していますが、この視点からだとこの立体の対称性がよくわかりません。もうすこし対称性がわかりやすい向きにしたいなあと思いました。

 最初に思い付いたのは、こんなかたちでした(図2、図3)。

図 2 図 3

 底面が六角形で、その六角形の各辺に、三角形-四角形-五角形が順番につながっているかたちです。図2のほうは面を半透明にしていますが、図3は不透過にして、原色で面に着色しています。

 三面図も作ってみました(図4〜図6)。

図 4 図 5 図 6

 図4、上から見ると正方形の2頂点を切り落とした六角形になっています。この六角形は長方形と同じ対称性を持っています。図5、横から見ると直角二等辺三角形のシルエットになっています。図6、正面から見るとドーム状になっています。

 このかたち、妙に気に入りました。模型を作ってみることにしました。

(つづく)



 先週、確か18時半頃、珍しくまだ日が高いうちに帰宅したのです。家の外を見たら猫と目が合いました(図7)。

図 7 図 8

 でも、逃げる様子もなく、そのままリラックスしてくつろいでしまいました(図8)。

 あんまり人間を信用しすぎないほうがいいのではないかなあと心配になりました。でも、敢えて追い払うようなことはしませんでした。

<おまけのひとこと>
 明日6月20日の更新はお休みするかもしれません。






6月20日(木) 6554433の七面体(その2):模型の設計

 六角形が1つ、五角形と四角形と三角形がそれぞれ2つずつの七面体のCGをご紹介しましたが、この七面体の頂点は三次元の格子点に配置してあります。つまり座標値が整数値になるのです(図1)。

図 1

 4種類の面はこんなかたちをしています(図2)。

図 2

 六角形は正方形の相対する頂点を45度に切り落としたかたち、五角形は長方形の上に直角三角形の屋根をかぶせたかたち、四角形は円に内接する凧形、三角形は直角三角形です。

 のりしろを付けてこんな展開図を考えました(図3)。

図 3

 これを2つ、A4サイズに配置して、印刷して模型を作ってみました。

(つづく)



 会社で、私よりも3つ年下の方が選択定年退職されるということでその激励会に参加してきました。出席者が6名というささやかな飲み会で、おかげで「濃い」話を聞くことができました。次の仕事は海外に赴任することになる、と伺って、その行動力に感心しています。呑み放題3時間だったのですが、充実した時間でした。声をかけていただいて、参加できて良かったです。

 「溶岩焼き」という焼肉屋さんんで、溶岩(火成岩)を3cmくらいの厚さのプレートにしたものを加熱してその上で肉を焼くのですが、プレートが温まるのに時間がかかるのと、肉を焼く時間もけっこう長くかかるので、点火してから食べ始められるまでに40分以上はかかるのです。おかげで食べ物がゆっくり供給されるため、3時間の呑み放題でもおつまみが途切れることなく、なかなか良かったです。

 出席者のうち、終電が一番早い人が21時45分、次が22時10分(私)ということで、18時45分から3時間の飲み会でした。超早寝早起きの私にはありがたい時間帯の飲み会でした。それでも寝る時間はいつもよりずっと遅くなってしまいました。

<おまけのひとこと>
 というわけで予告通り6月20日は更新ができませんでした。今、6月21日の早朝に2日分を書いています。






6月21日(金) 6554433の七面体(その3):模型の製作

 昨日の型紙を印刷して折り筋を入れて切り出して模型を2つ作ってみました。

図 1 図 2

 図1は一番安定な姿勢である六角形の面を下にして置いたところ、図2は五角形の面(手前)、三角形の面(奥)を下にして置いたところです。

 せっかく2つ作ったので、まず六角形の面を合わせてみました(図3)。模型の精度が悪くてやや隙間が空いてしまいました。

図 3

 次に、凧形の面を合わせてみました。

図 4 図 5

 同じものの視点を変えてみました(図6)。

図 6

 やっぱり実物を手に取っていろいろいじってみるのはとても楽しいです。作ってよかったと思いました。

 五角形および三角形の面は鏡像対称ではないため、鏡像体を作ってやらないと面をぴったり合わせることができません。もう2つ、鏡像体を作ってみても面白そうだなと思いました。やってみるかもしれません。

<おまけのひとこと>
 外が明るくなってきました。明日が週末で嬉しい…






6月22日(土) 正しい楽譜の読み方 バッハからシューベルトまで

 週末なので、いつもの多面体とかの話はお休みにして、今日は音楽の話題を書きます。



 確か五月連休に楽器屋さんに原 博の楽譜を探しに行ったときだったと思うのですが、正しい楽譜の読み方 バッハからシューベルトまで(大島富士子:現代ギター社:1,500円+税)という本を見つけて買ってきました。

図 1

 これが実に良い本だったのです。ページ数こそ索引やあとがきまで含めても86ページくらいなのですが、とても勉強になりました。

 例えば第3章のテンポの話(図2)。

図 2:「正しい楽譜の読み方」p.29の図6の一部を引用

 拍子記号の説明、音楽形式の見方の説明に続いて一番時価の短い音符の長さとテンポを決める基本の音符の時価を決めるやり方の説明があります。これを整理したのが上記の図です。

 第6章にはバロック時代の様々な舞曲の様式の説明が書かれています。下の図は、その中でも難しいと言われるメヌエットのステップを説明した図です。

図 3:「正しい楽譜の読み方」p.40の図13を引用

 たぶんこれらの引用図を見ただけではわからないと思いますが、私はこの本の解説を読んで、過去にいろいろな楽器でバロック時代の様々な舞曲を鳴らしてみた経験から、なんとなく感じていたことをきれいに言語化されて説明されているのがとてもすっきりしました。

 また、第7章:装飾音符について(p.48)では装飾音符の4つの原則が次のようにまとめられています。

1.接次音原則(Nebentonprinzip)
 装飾音符は、かかる主要音の半音上か下、あるいは全音上か下の接次音(調性にある音)を用いる。
2.主要音符原則(Initialprinzip)
 装飾音符は主要音の全体の音の長さの一部を占める(拍の前の前打音ではない)。
 また装飾音符の長さは主要音の半分以上にはならない。(主要音が聴こえなければならない。)
3.不協和音原則(Dissonanzprinzip)
 装飾音が不協和音、主要音が協和音であり、その両者が重要。
4.切音原則(Detacheprinzip)
 装飾音であることを区別するために区切って演奏する。ただし音楽を切ってしまってはならない。

 これも、いろいろな本を読んだり演奏例を聴いたりしながらなんとなく覚えたことですが、こうやってきれいに整理されているものを読むととてもすっきりします。

 さらに、第8章では上記の例外について説明されています。今まで私はそれこそ機械的に「古楽の装飾音はこういうものだ」と、杓子定規に原則を適用していた気がします。とても勉強になりました。お勧めです。

 この本の中で、バッハのリュート組曲の舞曲が何曲も例として取り上げられています。私は昔(40年くらい前)、ギターでバッハのリュート組曲をなんとか演奏したくて四苦八苦していた時期があって、これらの譜例を見てたいへん懐かしく思いました。この本が、雑誌「現代ギター」の連載をまとめた書籍だということを知って、なるほど、だからリュートの曲を譜例として用いているのだな、と理解できました。



 ベランダに鳥が来て、フンで汚していくことが時々あります。妻がそれを悲しんで、なんとか鳥がベランダに止まりに来ないようにしたい、と、「鳥よけ」と称して売られているものをいくつか買って試しているのですが、鳥はすぐに慣れるようで、なかなか効果がないみたいです。

 今はこんなミラーボールが吊るされています(図4)。

図 4

 最初はベランダの一番端に下げて置いたら、ベランダの真ん中を汚されてしまったということで、今は真ん中に吊るしてあります。庭の木に止まってくれる分には歓迎なのですが、汚されてしまうのはちょっと困ります。といって、鳥に怪我をさせたり彼らの生活を脅かしたりはしたくないのです。 どうしたものか…

<おまけのひとこと>
 今、22日(土)の夕方です。変則的ですがいったんこのタイミングで今日の分だけ更新しようと思います。






6月23日(日) 「折り紙で作る入れ子の箱」(布施知子)/バッハの鍵盤のためのトッカータ

 先日、妻が図書館で「もう知ってるかもしれないけれど、見たことがないかもしれないと思って借りてみた」と言って、「折り紙で作る入れ子の箱」(布施知子:誠文堂新光社)を借りてきてくれました。

 昨年、2018年8月に出た本のようで、知りませんでした。これは持っていてもいいかなと思って、昨日本屋さんに行ったときに探してみて、みつけたので買ってきました(図1)。

図 1

 左が借りたほう、右が買ってきたほうです。図書館の本は透明な保護フィルムが貼られています。

 本に載っていた、正三角形の半分の60度-30度の直角三角形の浅い箱を折ってみました。

図 2

 寸法をきちっと出すのが難しくて、同じ15cm角の折り紙用紙から同じ手順で折っているはずなのに、寸法がだいぶ違ってしまいました。

図 3

 でもこの本は持っている価値があるなあと思っています。菱形の箱、正三角形の箱、直角二等辺三角形の箱など、今までの本にも載っていた折り図もありますが、30度-60度の直角三角形や底角30度の鈍角二等辺三角形も載っていて、それらを組み合わせるサイズの情報もあって(まあ計算すればわかるのですが)、これはいいなあと思いました。様々な入れ子の組み合わせの写真も素敵です。



 最近、気に入って弾いているのがバッハのトッカータ ハ短調 BWV 911 です。昔から大好きな曲ですが、最近久しぶりに弾いてみたら、なんと最後まで通ったのです。(昔は途中の64分音符が出てくるあたりで断念していました。) バッハの若い頃の作品だということですが、特に最後のフーガが素晴らしいのです。こんなテーマのフーガです(図4)。

図 4:バッハ“トッカータ”BWV 911より

 (楽譜の)版によっては、こんな風に表記されているものもあります(図5)。

図 5:バッハ“トッカータ”BWV 911より

 こちらはフーガの冒頭のテーマを右手で弾くことを推奨しています。Allegro moderato (テンポ88)とか、本来は記載がなかったであろう情報が追記されたりしていて、ちょっと気持ちが悪いです。(私は最初のテーマは左手で弾く派です。)

 この後、フーガの2つ目の声部が入ってきて間もなく、こんな風に3度の間に両手で2つの旋律を響かせる必要がある部分が出てきます(図6)。

図 6

 先ほどの図5の版では、この小節はこんな表記になっています(図7)。

図 7

 このほうが2つの声部が重なっている様子はわかりやすいですが、それぞれの旋律線を直感的に読み取るのは難しいです。どちらの表記が優れているか、一概には言えないです。



 フーガの声部が「絡み合う」というと、トッカータ ト短調 BWV 915 のフーガを思い浮かべます。初めて楽譜を見たときにぎょっとしました。

図 8

 図8に2小節分の譜例を載せました。1小節目の後半と2小節目の前半の右手に注目してください。それぞれの声部を区別するため、上向きと下向きの連符の旗が描かれています。この2声部を右手で弾くと単に同じ和音を連打することになるのですが、旋律はなんとクロスしているのです。さらに左手もそのすぐ下のあたりを動いていて、図8の最後の拍では3連符の最初と最後の音は右手の2声部を飛び越えます。わずか1オクターブの中に3つの声部が文字通り絡み合っているのです。

 実際に演奏するとき、かなりテンポの速いこの曲で、音符のタッチを変えて2つの声部を弾き分けるのは極めて難しいと思います。私は上の声部の音符のほうに重心を傾けるようなことを意識して、強弱で声部を表現しようとしてみていますが、まあ何にも考えないで連打するのと比べれば、もしかしたら若干ましかなあ、と思うくらいの効果しか得られていません。まあでもピアノだとそういうタッチの変化を付けられますが(技術があれば)、チェンバロだと厳しいですね。二声だけならば演奏する鍵盤の段をそれぞれの声部に割り当てて、楽器の音色や音量を変えるという物理的な手段が取れますが、同じ段で絡み合う2声部を弾き分けるというのはとても難しいです。テヌート気味、スタッカート気味に演奏して区別するという手もありますが。

 この部分をグラフにしてみました。横軸が時間、縦軸が音の高さです。高さは1オクターブを半音階12音として表記しています。

図 9

 普通は声部はもっと離れていますし、飛び越すことはそんなに頻繁には起こりません。

 こうして図示してみると、単に音の高さ(の対数値)をグラフ化して視覚化してみても、その音楽によって心の中に呼び起こされる感情や雰囲気などはまるで読み取れないなあと思います。たとえば短調と長調の和音だとか、不協和音とその解決だとかいうのはグラフからはまるでわかりません。

 昔、マイクロフォンで音を拾って、それを万華鏡(カレイドスコープ)のようにいろいろなパターンの色、かたちの画像として表示してくれるソフトとかがありましたけれども、音楽によって生ずる心象風景を動画像として表現するのはとても難しいな、と思います。

<おまけのひとこと>
 ハ短調(c-moll)のトッカータを簡単に紹介するだけ、と思って書き始めたら、いろいろと連想が広がって、今日の更新のための作業を始めたときには思いもよらなかったのですが、Excelでグラフまで作ってしまいました。これも自分以外に需要はなさそうだなと思いつつ、楽しくて長くなってしまいました。






6月24日(月) PlopPlop(その1)

 こちらのサイトに載っていた紙のオブジェを作ってみました。作者はTina Taulというコペンハーゲン在住の方のようです。

 上記のサイトには型紙のpdfが置かれていますが、無地のパターンで、サイズも小さくしたかったので自分で作図して作ってみました(図1)。

図 1

 対称性が高い方向からも見てみました(図2、図3)。

図 2 図 3

 昔、2003年11月4日のひとことで、こんな「貯金箱」をご紹介したことがありました。

 ちょっとこのかたちを連想しました。



 作者のサイトには、いろいろなテクスチャの用紙で作った作品の画像があります。白黒2色のモノトーンなのがセンスを感じます。

図 4

 このかたちは3本の帯をボロメオの輪のかたちに組んで接着し、曲線の折り目をつけることでこのようなかたちに安定します。基本は立方体の構造です。これを見ていると、帯を4本にしてみたくなります。やってみました。

(つづく)



 昨日の日曜日の朝、そろそろ髪の毛が鬱陶しい感じになってきたので、床屋さんに行きました。駅ビルの中にある床屋さんに行ったのですが、若干はやく到着してしまったため、駅に隣接しているちょっとした展望台に行ってみました。

 ダイナミックレンジの広いシーンでは、普通に撮影すると明るい部分が完全に白飛びしてしまいます(図5)。

図 5

 もうちょっと階段を上って、画面の中の空の割合が大きくなると、このように青空と雲が写せました(図6)。

図 6

 その後、駅周辺の写真などもなんとなく撮ってしまいました。今はこういう画像のデータが大量に世の中に存在しているのだと思います。将来、こういうたくさんの画像のデータはどんなふうに分析されたり活用されたりするのかな、と思います。

<おまけのひとこと>
 6月も最終週です。また一週間が始まります。以前ほどは週の始まりが憂鬱ではないのがありがたいです。






6月25日(火) PlopPlopを菱形十二面体化(その1)

 昨日ご紹介したPlopPlopという紙のオブジェは、3本の紙の帯を互いに絡み合わせた輪っかにして、外側に出た部分の縁を円弧上に折ることで形が決まっていました。こんな型紙でした(図1)。

図 1

 用紙を効率的に使うことと、カットする手間を少し省くために、3本の帯はぴったりくっつけて印刷するようにしました。円弧上の線は折り線です。右端の縦線の右側が「のりしろ」になります。

 これを4本にしたものを考えてみました(図2)。

図 2

 円弧部分に折り筋をつけて切り離し、帯が1本ずつ上下になるように組み立てます(図3、図4)。

図 3 図 4

 この状態から、折り筋を山折してゆきます。

(つづく)



 以前、カプセルトイマシンで「くねくねループパズル」というのを見つけて大量に買って結び目の模型を作ったのですが、それ以来カプセルトイのコーナーをチェックするようにしています。

 先日、東京ヘッドマークポーチ(エポック社:2018年9月)というのを見かけました。「あさま」「ひばり」「はつかり」「北斗星」「あずさ」「かいじ」「あやめ」「しおさい」の8種類の(北斗星以外は)L特急のヘッドマークと方向幕が両面に印刷されたポーチです。サイズは約145mm×110mmということなので、身の回りにあるA4サイズの4分の1(A6サイズ)くらいです(A6は148mm×105mm)。

 こういうものを買ってみるときには、「一番欲しくないものはどれだろう?」と考えて、仮にそれが出たときに自分がどう思うか、それをどうするかを考えてから買うようにしています。今回は、出てきたら嬉しい順に並べると「あさま」「あずさ」「かいじ」「あやめ」「しおさい」「はつかり」「ひばり」「北斗星」といったところかなあと考えて、まあ何が出てもそれほどがっかりはしないかな、でも「あさま」か「あずさ」だったら嬉しいな、と思ってやってみました。

 出てきたのはこれでした。

図 5

図 6

 昔、東北新幹線ができる前に上野⇔仙台間を走っていたエル特急です。当時、東北本線の特急は仙台行きの「ひばり」(上野から4時間強)、盛岡行きの「やまびこ」(上野から6時間半)、青森行きの「はつかり」(上野から9時間弱)がありました。当時の上野駅がとても懐かしいです。

 1980年代、仕送り無しで奨学金とアルバイトで貧乏学生をしていた私は、特急列車なんていうぜいたくはできず、学割で普通列車に乗るか、青春18きっぷの季節には18きっぷを活用した旅行ばかりでした。でもそれはそれでとても楽しかった記憶です。

<おまけのひとこと>
 最近は本題(多面体とか面白い数学の話題)以外に、何か別のトピックを書きたくなっています。おかげで過去のページが無駄に長くなっています。






6月26日(水) PlopPlopを菱形十二面体化(その2)

 昨日、途中までご紹介した4本の帯によるPlopPlopの発展版、完成版の写真を載せます。

 まずは一般的な視点方向からのもの(図1)と、4回回転対称軸方向から見たところ(図2)です。

図 1 図 2

 続いて3回回転対称軸方向と2回回転対称軸方向(図3、図4)。

図 3 図 4

 ちょっときつくてひずんでいます。実は最初に作った模型は緩すぎて失敗したのです。これは第2作目です。もうちょっと工夫の余地がありますが、いったんこれで満足することにしました。



 これを見ていて、昔作ったIQlight風パーツ:菱形十二面体を思い出しました。

 あ、でもあんまり似てないか…



 今年の3月16日のJR東日本のダイヤ改正で、東京に出張に行くときには始発に乗る習慣が定着しました。だいたい1ヶ月に1回〜2回程度、そんな機会があるのですが、「えきねっと」で座席を予約して、だいたいいつも同じ車両の同じ席に座っています。乗車後まもなく車内販売のワゴンが来るので、ホットコーヒーのラージサイズを買って、それを飲みながら仕事をしたり(図5)、外を眺めたり(図6)するのが好きです。

図 5 図 6

 図5と図6はいずれも4月ですが、違う日の写真です。

 最近は趣味で多面体の基礎的なところを勉強し直したりしているのですが、今月の2度の出張のときは数学の本を持っていって、それを眺めながらコーヒーを飲む、という幸せな時を過ごしていました。

図 7

図 8

 昨日、車内放送で「ホットコーヒーの車内販売は7月1日以降は中止させていただきます」というアナウンスが流れてショックを受けました。昨日の出張でも、私が乗車したときに同じ車両に乗っていた10名余のうち、私を含めて3〜4人はコーヒーを注文していました。けっこう利用率が高いのではないかと思うのですが、やはり採算ベースで考えると儲からないということでしょうか。

 特急列車も始発の30分後に発車する2本目の時刻でしたら、駅のお蕎麦屋さんも売店(JR直営のNewDays)も開店しているので売店でコーヒーを買って入場することができるのですが、朝7時前の始発の時刻にはまだお店が開いていないので買えないのです。

 車内で購入すると値段が高いのは承知しているのですが、その場で熱いコーヒーを買って飲めるのは便利なので、ささやかな「買い支え」をしてきたつもりでした。残念です。



 いつも夜8時〜9時くらいには寝てしまって、夜中の2時〜3時くらいに起きてしまう、という生活のサイクルが定着してしまっているのですが、昨日は出張で最寄り駅に帰着したのが21時過ぎでした。いつもより遅い夜10時過ぎに「やれやれ疲れた」と思ってベッドに入ったのですが、その30分後、実家の母から自宅の固定電話に電話がありました。

 こんな遅い時間にどうしたのだろう、と不安になって電話を受けたのですが、特に緊急の用事ということではなさそうでした。ただ、私の携帯(スマートフォン)に電話をしてみたら知らない人に繋がってしまった、不安になって固定電話に掛けたというのです。ちょっとそこのところのやり取りに不安を感じました。当然、連絡先は登録してあって、以前はそれで電話をしてきていたのです。しかも、急用でもないのに私にとって遅い時刻に電話をする、ということは以前はありませんでした。

 改めて自分の年齢を考えると、自分の親の世代が健康で元気に暮らしてくれていることはとてもありがたいことで、決して当たり前ではないのだな、と思いました。新しいことに馴染むのが徐々に難しくなって、それまで出来ていたことが少しずつできなくなって、いろいろ億劫になっていく様子を見ていると、それが自然なことなのだと理解はしていても、寂しさを感じます。

<おまけのひとこと>
 出張の帰り、新宿で乗車予定の帰りの特急列車まで1時間弱の時間があったので、紀伊國屋の8Fの中古CDショップに寄りました。いろいろ収穫がありました。今、音楽CDは通勤の車の中だけで聴いています。聴くのが楽しみです。






6月27日(木) アニメーションなど

 少し前にこんなgifアニメーションを作ってみました。

図 1

 これは、Povrayで作りました。こんなシーンファイルを書きました。

 長い筒を作って、そこに黒い縁取りを等間隔で作ります。筒の中心からすこしずれたところに視点を置いて、縁取りの1つの間隔分だけ移動させます(clock変数)。 消失点まわりの表現がうまくいかなくて、fog 表現を使ったりしてみたのですが、あんまりうまくいっていません。



 昨日の「おまけのひとこと」でも書きましたが、火曜日の出張の帰りの空き時間に、紀伊國屋の8階のDisk Unionに寄って音楽CDを何枚か買いました。昨日の移動時間にそのうちの2枚を聴いてみました。そのうち1枚が、下のレーベルの、ヘンデルのDixit Dominus(主は言われた) です(linkはWikipediaです)。

 何気なく検索してみたら、こちら(YouTubeです)で聴けるようです。ヘンデルが22歳のときの作品で、まだイギリスに渡る前、ローマにいるときに作曲されたものだそうです。極めて劇的で激しい音楽です。ヘンデルと言えば、有名なメサイアのハレルヤ・コーラスがありますが、あれを短調にしたような感じです(詳しい人には叱られそうなたとえですが)。特に冒頭の第1曲と、最後の第8曲が素晴らしいです。

 私は大学の頃、古楽や宗教曲の合唱をするグループに所属していたのですが、そのグループには三ヶ尻正さん(linkは春秋社の著者紹介のページです)に勧誘されたのがきっかけで入りました。 Dixit Dominusは私が入団する前の年に演奏したのだそうで、楽譜を1部ゆずっていただきました。三ヶ尻さんが「ヘンデルにはあまり知られていないこんなすばらしい名曲があるんだ」と言って1曲目と8曲目のフーガのテーマを歌ってくれたのが懐かしいです。

 ぜひ聴いてみていただきたい名曲です。(YouTubeの再生回数、わずか142回とかでした。)

<おまけのひとこと>
 やっぱり音楽はいいなあと思うのです。






6月28日(金) 正二十面体をねじって畳む模型

 6月1日のひとことで、正八面体をねじって畳む模型をご紹介しました。

正八面体 デルタ六面体 正四面体

 このように、三角形の面を2つずつ、内側に折り込んでゆくと最後には平らな正三角形にすることができました。

 これを正二十面体から始めてみることにしました。上下の面は取り除いて、扱いやすくしました(図1、図2)。

図 1 図 2

 「デルタ十八面体」というのはないので、まず一列(正三角形2個による菱形2つ)を折り込むとデルタ十六面体になります(図3)。さらに、デルタ十二面体(図4)、デルタ十面体(図5)、と畳んでゆくことができました。

図 3:デルタ十六面体 図 4:デルタ十二面体 図 5:デルタ十面体

図 6:デルタ十六面体 図 7:デルタ十二面体 図 8:デルタ十面体

 模型は精度が悪いので、1枚の写真ではかたちがよくわからないかもしれないと思って図も載せておきました(図6〜図8)。

 もっと折り畳み進んでゆきたかったのですが、パーツが限界でした。紙の重なりの影響で折り線部分が切れ始めてしまったのです。紙の厚さを考慮した模型の設計が必要でした。

(つづく)かも



 先日買ってきたCDのご紹介の2枚目は、Bach トッカータ全曲 ヒューイット(P)です(リンクはHMVです)。リンク先の解説や感想のコメントを興味深く読みました。

 アンジェラ・ヒューイットはバッハ弾きとして有名ですが、このトッカータは聴いたことがありませんでした。たいへんすばらしい演奏です。私は特にBWV 911のハ短調のトッカータが好きなのですが、全7曲、どれもいいなあと改めて思わされる演奏でした。

 タッチのコントロールの豊かさがすばらしいです。各声部の弾き分けが巧みで、自然と多声音楽のイメージが浮かび上がります。同じ楽器で、こんなに鋭い音から柔らかい音まで自在に鳴らせる技術に感嘆します。しばらく日々の通勤の友として定番になりそうです。

<おまけのひとこと>
 勤務先の職場の、7月からの組織変更の示達がありました。私は今はわりと好きなことをやらせてもらっているのでけっこう幸せですが、かなり苦労して、苦悩している人たちもいます。全体として少しでも良い方向に進むといいなあと思っています。






6月29日(土) 三角形のお皿の折り紙

 YouTubeに【折り紙】三角の皿を折ってみた Triangular dishesというのがあったので、まねして折ってみました。

 15cm角の普通のサイズの折り紙1枚から折ることができます。楽しくて4つ、いろいろな用紙で折ってみました(図1)。

図 1

 別なかたちに並べ替えてみました(図2)。

図 2

 重ねてみました(図3)。

図 3

 N角形のお皿を折ろうと思ったら、正(N+1)角形の用紙から同様に折れば折れるのだろうか、と思いました。でも、ちょっと考えると、それではダメだということがわかりました。

 昔(2017年6月の「玉包みギフトボックス」で)使った図で説明すると、正方形の用紙は、4頂点を中央に合わせるように折ることができましたが(再掲図A)、同様なことを六角形でやろうとすると、正六角形から始めてもダメで、再掲図Bのような星型のかたちにしなければなりません。

再掲図A

再掲図B

 わざわざこの六角星型を用意して、そこから五角形の箱を折っても仕方がないかなと思ったので検討はここでおしまいにしました。



 毎月、月末になると翌月のカレンダーが新聞のチラシの中に折り込まれてきます。昨夜帰宅したら、妻が7月のカレンダーの左上あたりを指さして「ねえ、これちょっと変だと思わない?」と言うのです。

 恥ずかしながら私は自分では気が付きませんでした。何がおかしいかわかりますか?(上中央の写真は関係ありません。)この画像だとわかりにくいかもしれません。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 二週間前、通勤に使っている車の車検後1年点検をやってもらったときに、プロペラシャフトあたりに若干のオイルのにじみがあると言われて、これはメーカー保証内なので無償修理させていただきます、ということになっていました。部品の手配に時間がかかるので、6月29日の週末の土日2日間、車を預からせてほしいということになっていました。というわけで今日は車を修理に出しに行きます。






6月30日(日) クララ・シューマンの3つのプレリュードとフーガ 作品16

 今年の前半、バッハや原博の「24のプレリュードとフーガ」にはまっていたころ、他の作曲家による「プレリュードとフーガ」を少し探してみたことがありました。その中でなかなか気に入ったのが、クララ・シューマンによる3つのプレリュードとフーガ op.16 でした。パブリックドメインの楽譜ライブラリIMSLPにも3 Preludes and Fugues, Op.16 (Schumann, Clara)というページがあって、そこで楽譜を見ることができました。

 また、YouTubeにClara Schumann - 3 Preludes and Fugues, Op. 16という動画がアップされているのですが、映像のほうは演奏にあわせて数小節分の楽譜が表示されていて、曲の構成がわかりやすくておすすめです。

 クララ・シューマン(1819-1896:linkはWikipediaです)は、作曲家ロベルト・シューマンの妻であり、ブラームスがシューマン夫妻と親交が深かったことでも有名です。今年が生誕200周年で、いろいろなところで取り上げられています。 夫であるロベルトが不幸な亡くなり方をしたのがクララが37歳のときで、それ以降、76歳で亡くなるまでの40年余りは、著名なピアニストとしての演奏活動によって家庭を支えながらロベルトの作品を整理して世に残すことに注力した生涯でした。

 クララは著名なピアノ教師であった父フリードリヒ・ヴィークによって幼いころからピアノと作曲の英才教育を受け、優れた作品を残していますが、当時は女性の作曲家が認められておらず、夫ロベルトが亡くなって以降は筆を折り、演奏活動に専念したそうです。

 この曲、自分でも弾いてみようかなと思ってimslpの楽譜データを印刷したのですが、こういう1枚1枚ばらばらの楽譜はすぐに散逸してしまって、後でなかなかみつからなかったりするのです。クリアフォルダに入れて整理をしたりするのですが、それでもなかなか管理が難しいです。いっそ印刷せずにタブレット端末等で表示をする、というのもやってみたのですが、これはこれでサイズに不満があったり、ページめくりに不満があったり、いまひとつです。

 昨日、地元の楽器屋さんをのぞいたとき、クララ&ロベルト・シューマン ピアノ作品集〜愛の軌跡(2011年ヤマハミュージックメディア、2,600円+税)という楽譜がありました。その中にこの「3つのプレリュードとフーガ 作品16」が収録されていたので、喜んで買ってきました。

 やっぱり出版されている楽譜はいいです。

 この作品16の3曲は、クララが夫ロベルトと一緒にケルビーニの対位法の教科書を勉強して(この本は私も数年前に買って2017年1月31日にご紹介していました)、その時に書いた6曲のうちの3曲なのだそうです。

 ロベルトがクララの誕生日に合わせてクララに内緒で出版社に出版を交渉し、出版された楽譜をサプライズでプレゼントしたのだそうです。すごい。



 昨日、新聞の折り込みチラシに入っていた毎月のカレンダーにおかしなところがある、という話をご紹介しました。昨日の画像ではとてもわかりにくいので、問題の個所を拡大した画像を用意しました。

 明日、7月1日は月曜日です。その左、淡い色で、6月の最後の日が印刷されています。ん? 31日?

<おまけのひとこと>
 昨日と今日と掲載したカレンダーの画像、コントラストやガンマ補正、ヒストグラム補正、減色処理などを駆使して少しでも見やすいように工夫したつもりなのですが、時間をかけて加工した割にはあまりわかりやすくなりませんでした。RGB3色が高々256階調しか表せない通常のカラー画像処理では、人の目が見ることができる情報をすべて表すにはあまりに能力不足です。(画像加工技術が乏しい言い訳に聞こえますが…。) なんというか、それぞれの音域が1オクターブちょっとしかない楽器だけで音楽を表現しているような、そんなもどかしさを感じます。

 視覚情報である画像における色や輝度のダイナミックレンジの話と、聴覚情報である音楽における音域の広さの話を比較するのはおかしいと自分でも思うのですが。視覚情報と聴覚情報を分類して比較してみるのはとても面白いです。






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