[Home]-[以前のひとこと]-[2003年8月後半]

以前の「ひとこと」 : 2003年8月後半



8月16日(土) IQlight風パーツ:菱形十二面体

 今日も IQlight風のパーツによる模型のご紹介です。今日は再び菱形のパーツを使って、菱形十二面体を作ってみました。

 菱形十二面体と言われる形には2種類あります。有名なのが、対角線比が1対ルート2の菱形、いわゆるシルバー比の菱形を使うものです(図1)。 これに対して、対角線比が黄金比の菱形12枚を使うと、図2のようなちょっと細長い菱形十二面体ができます。

図 1 図 2

 どちらも面のかたちは菱形で、面の数は12、次数3の頂点が8つに次数4の頂点が6つというところまでは同じです。では何が違うかというと、図1のほうは、次数3の頂点に集まる菱形の内角は全て鈍角で、次数4の頂点はすべて鋭角が集まります。ところが図2の菱形十二面体では、鈍角と鋭角が混在する頂点があるのです。

 もちろん面のかたちそのものがシルバー菱形と黄金菱形で違うため、このように別の多面体になるわけですが、このため普通の模型の作り方だと、同じパーツからこの2つの菱形十二面体を作ることはできません。でも、今回のパーツは、パーツがたわむことでかなりの形状の違いを吸収してくれます。そこで全く同じパーツ12枚を使って、図1と図2の菱形十二面体を組んでみることにしました。 今回は、色のついた用紙を使っています。

写真 1 写真 2 写真 3

 写真1〜3は、図1に相当する菱形十二面体です。ピンク色の用紙で作ってみました。写真1は斜めから見たところ、写真2は次数3の頂点方向から見たところ、写真3は次数4の頂点方向から見たところです。



 写真4と写真5は、もう一方の図2に相当する菱形十二面体です。こちらは水色の用紙で作りました。いくつか写真を撮ってみたのですが、いずれもわかりにくい写真になってしまいました。

写真 4 写真 5

 写真4のほうは、菱形の鋭角が3つと鈍角が1つ集まる次数4の頂点を見ています。写真5は、鋭角4つが集まる次数4の頂点です。

 図1、図2どちらの菱形十二面体も空間を充填するかたちで、平行な面が6組あります。ピンク色の模型と水色の模型で組み方がどう違うかというと、水色の模型を組むときは、6組の平行な面のうち、1組だけを表裏逆に組むのです。それだけでこのように異なる形状になります。

写真 6

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 子供の自由研究のまとめのために、紙屋さんにB2サイズの紙を探しに行きました。 「グラフコンクール」というのがあるそうで、その書式にあわせて作った人はコンクールに参加できるという話が夏休み前にあって、せっかくだからその書式にあわせるか、ということになったのです。ところが説明を見ると、「紙質、色、素材は自由。ただし模造紙、方眼紙は禁止。裏打ちしたり貼り合わせたりするのも禁止」というようなことが書いてあって、「どこが自由なんだ、何を使えばいいんだ」と頭を抱えてしまいました。

 結局、紙屋さんに相談して、画用紙(B1相当)を買って帰ってきたのですが、そのときにせっかく専門店に来たのだから、自分のペーパーモデル用の用紙も探そうと思ったのです。ちょうどA4サイズのいろいろな色・厚さの紙がたくさんありました。 厚そうな紙は・・・と思ってみると、「最厚口」とか「特厚口」とか「超厚口」なんていう用紙があります。さて、この3種類を厚い順に並べるとどうなるでしょう? 

 というわけでカラーの用紙を買ってきたので、こうしてカラーの模型を作ってみたのでした。1つの模型で色を混在させるのも面白いかなとも思いましたが、まずは単色のものを作ってみました。

 ちなみに自由研究のほうはほぼ出来上がって、あとは鉛筆の下書きを消す「消しゴムかけ」作業を残すのみです。



8月17日(日) たわんだ四角形:凧型六十面体

 四辺形のパーツをたわませて組む手法のモデル、気に入ってしまってすでに10個くらい作っているのですが、今日は凧型パーツを60枚組んだ、凧型六十面体風のモデルをご紹介します。凧型六十面体は、昨年の4月21日のひとことで、帯を編む手法で作ったものをご紹介しています。 まずは写真をご覧いただきましょう。

写真 1 写真 2 写真 3

 写真1は、凧型の一番尖った頂点が5つ集まった部分、写真2は、その反対側の一番角度が広い頂点が3つ集まった方向から見たところ、写真3はその間の次数4の頂点方向から見たところです。 ここまでくると、ちょっとやりすぎかもしれませんね。



 一昨日ご紹介した、同じパーツ12枚を組んだものと一緒に写真を撮ってみました。

写真 4

 この手法による多面体模型ですが、まだストックがあるので、もう少しだけ続けます。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 私の実家からうちの子供たちに誕生日プレゼントをもらいました。そこにいっしょに入っていた、手作りのカードです。子供たちはもちろん、私も大変気に入りました。





8月18日(月) たわんだパーツ:五角形12枚

 多面体の面を1枚のパーツをたわませて組む手法のモデルをご紹介していますが、今日はちょっと変則的に、奇数角形のものをご紹介します。 三角形だと2枚一組で四辺形になってしまってあんまりおもしろくないので、五角形を試してみました。五角形だけで出来る一番シンプルできれいな形といえば、もちろん正十二面体です。これを作ってみることにしました。

 といってもやはり、2つのパーツを一組にして考えるところはいっしょです。2つ一組で変則的な八角形をユニットにして組みます。 昨年の7月11日のひとことのあたりで、正五角形を2枚一組にして正十二面体を構成するやりかたについて検討してみています。 今回用いたパーツでは、2枚一組にしたものの表裏のパターンを変えることで、いくつかの組み方ができると思います。

 とりあえず今回は全てのパーツの向き(表裏)をそろえて組んでみました。

写真 1 写真 2 写真 3

 写真1は3回回転対称軸から見たところ、写真2は1枚のパーツを見下ろしたところ、写真3は、2枚1組になる部分のジョイントを見たところ(2回回転対称軸方向)です。このかたち、説明なしではとても正十二面体がベースになったモデルには見えません。 面白い対称性を持ったかたちのものができて、満足しています。

 いくつかのパーツの表裏を変えると、(一昨日の菱形十二面体のように)模型の形状も大きく変わると思うのですが、試してみていません。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 アストロジャックスという、ヨーヨーの仲間のようなおもちゃを買ってみました。(以前、茉莉花の部屋の掲示板でちょっと話題になっていたような・・・) とりあえず私が少し練習してみています。まずは基本的な技(トリック・ベーシック)は一応できるようになりましたが、技の移行がうまくできません。



8月19日(火) たわんだパーツシリーズ最終回:十字型6枚

 IQlightというランプシェードに端を発した「たわんだパーツを組む多面体風模型」の話を続けてきましたが、今日で一旦おしまいにしたいと思います。 今日は最終回ということで、昨日の五角形に続いて、さらに変な形に挑戦してみました。

図 1

 図1のように、立方体の各面の正方形を、小さな正方形5つからなる十字型で置き換えて立方体を組むことを考えます。もちろん、十字型の4つの先端を三角形に折ってしまっては面白くも何ともないので、自然にたわませて組むことにします。

写真 1 写真 2 写真 3

 写真1は、そうして組んだ立方体の1つの頂点、3回回転対称軸から見たところ、写真2は1枚の十字型パーツを見下ろしたところです。ちょっとわかりにくい、あまり美しいという印象を与えにくい模型になってしまったような気がします。

 これはたわみかたが足りないせいだろうか、と思って、パーツの十字型をもっと細長くしてみたのが写真3です。面倒だったので直線的なパーツでテストしてみました。今度はパーツがたわみすぎてしまいました。それでも一応立方体としての対称性は観察できると思います。

 この、十字型6枚による捩れ立方体のような構造がきれいにできたら、今度は星型12枚による捩れ十二面体のような構造を作ってみたいと思っていたのですが、十字型6枚があまり気に入った出来にならなかったので、これでおしまいにしました。

 まだ、菱形パーツによるモデルをいくつか作ってみたりもしているのですが、同じ系統のシリーズがだいぶ続いたので、今回はこれでおしまいです。明日からは違う内容について書きたいと思います。

 <おまけのひとこと>
 それにしても雨が多いですね。



8月20日(水) ナイト・パズル(その1)

 久しぶりに Java アプレットを使った簡単なパズルの話をしようと思います。今年の4月7日くらいから、チェスのビショップ(将棋の角)やルーク(将棋の飛車)の動きの駒を使ったパズルをいくつかご紹介しました。今日は、チェスの駒のパズルではよく登場するナイトを使ったパズルをご紹介します。

 チェスのナイトのパズルというと、ナイトの周遊問題といって、ある決められた形の盤の全てのマスを1度だけ訪れて、最初のマスに帰ってくるというパズルが有名です。今回はそのパズルではなくて、2種類の色のナイトのグループをそっくり入れ替えるパズルです。

 ご存知の方も多いと思いますが、チェスのナイトの動きというのは、八方桂馬などとも呼ばれる、ちょっと変わった動きです(図1)。飛車や角のようなまっすぐな動きと違って、このナイトの動きを繰り返してゆくとどのような経路になるのかが直観的に把握しにくいので、パズルとして成立するのです。

図 1

 例えばナイトの動きでは、隣のマスに動くためには、下の図2のように3手かかります。

図 2

 さて、このような動きをするナイトを、ある限られた盤面上を動かして入れ替えるパズルを作ってみました。とりあえず今日のところは3問です。いずれも JAVAアプレットで動かしてみることができます。 問題1のページに、簡単な使い方を書いておきました。 お試しください。


問題1

   ○・  
  ・○・・ 
 ・・●・  
  ・●   

問題2

 ○・・・● 
 ○・ ・● 
 ○・ ・● 
 ○・・・● 

問題3

   ・○  
 ・●・○・ 
  ●・   
       

 今回のナイト・パズルも、4月にご紹介したビショップやルークのパズルも、htmlファイルのパラメータを変えるだけで簡単にいろいろな盤面が試せますので、もしも面白い問題を思いついたら教えていただけたらと思います。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 この程度の簡単なパズルが好きです。このナイトのパズルのJAVAアプレットは、前回のビショップ・パズルやルーク・パズルのアプレットを作ったときに一緒に作っておいたもので、問題もそのときに適当に作ったものです。ただし問題3だけはパズルの本からいただいたものです。



8月21日(木) ナイト・パズル(その2)

 昨日ご紹介したナイトの入れ替えパズルはいかがでしたでしょうか? おそらく、それほど難しくないというご感想かな、と思っていますが、このパズルを解析する方法を説明しておこうと思います。

 昨日の問題1を例に説明します。図1の左側のように、説明しやすいように盤面にアルファベットを振ります。このうち、AとDおよびIとLに色をつけます。ここが各駒のスタート&ゴールになります。 この盤面に、ナイトの動きで1手でいかれるマスの間に直線を引くと、図1の右側のようになります。このままだと、多くの人にとってはなにがなんだかよくわからないと思います。

図 1

 そこで、この盤面を、「ナイトにとっての」つながり具合に応じて解きほぐします。すると、図2のようになっていることがわかります。図2において線でつながっているマス目の間は、ナイトにとっては1手で移動できます。このように盤面を描き直してみると、このパズルは非常に見通しがよくなります。

図 2

 図1の状態では、普通は目で見ただけで4つのナイトを入れ替える手順を読み切るのは難しいと思うのですが、図2のようにしてみると、どのような操作をすれば赤と青のマスの駒を入れ替えられるか、かなり考えやすくなると思います。 蛇足かもしれませんが、私がこの図を見て最初に思いついた手順を描いておきます。

 最初に、下の図の(a).のように、上下のALにある駒をHEに退避します(ここは待避と書くべきかな)。 そうすると外周には駒が2個だけになりますから、図の(b).のようにこの2個の駒をぐるりとめぐらせて、DIを入れ替えることができます。

 続いて、さきほど待避しておいた駒を入れ替えます。今度は下の図の(c).のように、CJの間のルートを利用して、この2つを入れ替えることができます。

 以上のように、図2のように表現してやると、どのように動かせばよいかを簡単に知ることができます。 まあこの程度の問題でしたら、試行錯誤で適当にやってもできてしまうとは思いますが。

 この図2を見ていると、この盤面はまだまだ冗長だということがわかります。そこで、空きマスをさらに減らした問題を作ってみることにしました。問題4はHEを取り去ったもの、問題5はBKを取り去ったものです。


問題1

   ○・  
  ・○・・ 
 ・・●・  
  ・●   

問題4

   ○・  
  ・○ ・ 
 ・ ●・  
  ・●   

問題5

   ○   
  ・○・・ 
 ・・●・  
   ●   

 いかがでしょうか。問題4および問題5の解き方はそのまま問題1に適用することができますから、実は今日ご紹介した問題1の解き方はかなり冗長です。



 ・・・と、ここまで書いたところで、問題を1問、H.Hamanaka very private pageの濱中さんからメールで送っていただきました。問題3の駒を1つ入れ替えただけなのですが、さらに面白い問題になっています。ありがとうございました。早速問題6のページにしてみました。こちらもお試し下さい。


問題3

   ・○  
 ・●・○・ 
  ●・   

問題6

   ・●  
 ・●・○・ 
  ○・   

 もしこれらの問題がわかりにくかったら、今日説明したようにマスのつながり具合を図示してみるとわかりやすいです。 鉄道線路の列車の貨車や客車を入れ替えるようなパズルのジャンルがありますが、なんとなくそれを連想しました。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 チェスのナイトの動きによく慣れた人や、こういったイメージを把握する能力の高い人にとっては、今日説明したような「盤面のつながり具合による解きほぐし」といった操作をしなくても、駒の動かし方は自明なのかもしれません。



8月22日(金) ナイト・パズル(その3)

 一昨日より、チェスのナイトの動き(八方桂馬)で、2つのグループの駒を入れ替えるというパズルをご紹介しています。 今日は解説抜きで問題を6問ほど掲載します。いずれも、アイディアとしては類似の問題です。 アプレットの使い方は、問題1のページをご覧下さい。

問 題各色の駒数空きマス数
問題 7 3 4
問題 8 4 2
問題 9 6 2
問題10 5 2
問題11 5 2
問題12 4 2

 盤面がシンプルで、駒の数が少なくて、適当にやるのではなかなか解けないという問題を作りたいのですが、これだけシンプルなルールのパズルではそのような条件を満たす「よい問題」というのを作るのはけっこう大変で、うまくいきません。 問題10あたりが一番難しいかもしれません。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 仕事で、「これは」とあてにしていたものが外れて、そんなときのためのバックアップとして考えていたものも使えないということが判明して、頭を抱えています。 仕方が無い、別な手を考えるか。



8月23日(土) ナイト・パズル(その4)

 チェスのナイトの動き(八方桂馬)で、2つのグループの駒を入れ替えるというパズルの話の4回目です。 今日は、昨日の問題の一部の解説と、昨日とはコンセプトが異なる問題を5問ほどご紹介します。

 さて、昨日の問題10の盤面ですが、この盤面のナイトの動きによる「つながり具合」は、下の図1の左側のようになります。これは比較的シンプルなかたちです。これを解きほぐしてみると、図1の右側のようになることがわかります。

図 1

 そこで、駒の動きがナイトではなく、下の図2のような上下左右に1歩だけ動ける駒を考えます。(八方桂馬ならぬ四方歩?) そうすると、図1の左側の盤面をナイトの動きで入れ替えるもの(問題10)と、右側の盤面をこの「四方歩」で入れ替える問題とは、全く同型になることがわかります。

図 2

 せっかくですので、この上下左右の4マスに1歩ずつ進める駒による Java パズルも作ってみました。

ナイト・パズル1ステップ・パズル
ナイト問題10 ステップ問題1
ナイト問題11 ステップ問題2

 ナイト問題10がステップ問題1に、ナイト問題11がステップ問題2に対応しています。 お試しいただけたらと思います。



 さて、本日の新しい問題5問です。 ほとんどの問題は、昨日のものとは解き味が違うと思います。

問 題各色の駒数空きマス数
問題13 8 1
問題14 6 2
問題15 4 2
問題16 5 2
問題17 4 4

 問題13は、3月16日のひとことでご紹介した、飛び越し・入れ替えパズル(2次元)と同じ盤面を、ナイトの動きで入れ替えるものです。ナイトの動きならば必ず元に戻すことができるので、適当にやっていても解けます。

 また、今日の5問のうち、最後の問題17だけは昨日の問題と盤面の様子が似ているかと思います。(あ、もちろん、「ナイトの立場になって盤面を眺めると、です。」)

( つづく かも )

 <おまけのひとこと>
 パズル工房「葉樹林」の2003年8月22日の日記で、“CRAZY KNIGHT”というパズルが紹介されていました。 せっかくなので、これもアプレットで実現してみました。CRAZY KNIGHTです。 また、同じものをステップ問題3にしてみました。(LINKは張らないでおきますが、htmlファイルは置いておきます。ファイル名はstep12.htmlです。)
 実はこのアプレットですが、駒の動きを数えていて、表示する機能をつけてあります。ところが盤面が狭い場合は表示領域の外に数字を描こうとするため、見えないのです。さらに、同じ駒が連続して動いても1手と数えていません。このあたりをちゃんと修正しないといけないかな、と思っているのですがなかなか時間がとれません。



8月24日(日) ビーズ多面体:ハート型

 久しぶりにビーズ多面体を1つご紹介します。今年の5月4日のひとことで、星型ビーズと丸いビーズを組み合わせた多面体をご紹介しました。 この星型ビーズのかわりにハート型ビーズを使ったモデルを以前作ってあったので、今日はその写真を載せたいと思います。

 最初にこのモデルの「かたち」をご説明しますと、これは菱形十二面体の骨格モデルになっています。○ビーズとハートビーズ1個ずつが1本の稜になり、○ビーズの側が次数4の頂点、ハートビーズが次数3の頂点になるように組んであります。もちろんこれを逆に組むこともできますし、ハート2つで○ビーズをはさむように組むこともできます。

図 1 図 2
図 3 図 4

 図1は一般的な方向から見たところ、図2はハート3つの頂点が集まる、次数3の頂点から見たところ、図3は○ビーズ4つが集まる次数4の頂点から見たところ、そして図4は菱形十二面体の1つの菱形の方向から見たところになります。

 このモデルは、子供用の大きめのビーズの詰め合わせのようなセットからビーズを拾ってきて作りました。これを作ったとき、オレンジ色と黄緑と薄紫のハートビーズは6個ずつ集めることができたのですが、もう1色、赤とピンク色はどちらも数が足りませんでした。仕方が無いのでこの2色だけは3個ずつ使ってあります。(ビーズの色の選択肢はほかにはありませんでした。) 使うビーズの色や素材をもう少し工夫すると、もっときれいなものが作れそうです。

 それぞれのハート3個を1つの三角形だとみると、これは正八面体のように見ることができます。そのときに同じ色の三角形が正八面体の相対する(平行な)面になるように色を配置してあります。

 <おまけのひとこと>
 今朝は本当は別の話題を書こうと思っていたのですが、写真がうまく撮れなかったので、むかし作ったビーズ多面体をひっぱりだしてきて、その写真を撮って載せることにしました。 更新が遅くなってしまいました。
 ハートビーズ多面体もいくつか作ってあったと思っていたのですが、探してみたら1つしかみつかりませんでした。



8月25日(月) ビーズ多面体:ハート型(その2)

 昨日に続いて、ハート型ビーズを用いた多面体です。昨日は○ビーズとハートビーズ1個ずつを稜とした菱形十二面体をご紹介しましたが、次はやはり菱形三十面体でしょうということで、同様に作ってみました。

 昨日の菱形十二面体の骨格の場合は、次数3の頂点が8つあって、これが正八面体のように見えましたが、同じように菱形三十面体の骨格の場合は、次数3の頂点が20あって、これが正二十面体のようになります。

図 1 図 2
図 3 図 4

 図1は一般的な方向から見たところ、図2は○ビーズが5つ集まる次数5の頂点から見たところ、図3はハートビーズ3つが集まる次数3の頂点から見たところ、そして図4は菱形三十面体の1つの菱形の方向から見たところになります。(なんだか、三つ葉のクローバーと梅の花のようにも見えます。)

 これはハートビーズと○ビーズがそれぞれ60個ずつ必要です。○ビーズのほうは同じ色のものが60個あったのですが、ハートビーズのほうは色によって数がまちまちでした。10色×6個というようにできればよかったのですが、色数は17種類くらいはあったのですが、同じ色のビーズが6個以上あるものがあまりなくて、中途半端に同じ色のハート3個が出来てしまいました。

 <おまけのひとこと>
 川崎ローズという美しいバラの花の折り紙で有名な川崎敏和さんの新しい折り紙の本、折り紙夢WORLD 花と動物編を買いました。バラの花はもちろんすばらしいのですが、羽根を休めるツバメの姿が気に入りました。




8月26日(火) ビーズ多面体:円柱型

 ハート型ビーズを仕入れたときに、同じセットに円柱型のビーズも入っていました。これを使って何か作ろうと思って、とりあえず正十二面体の骨格モデルを作ってみました。

図 1 図 2

 図1、図2はそれぞれ正十二面体の頂点方向・面方向から見たところです。この模型も下手に触ると陥没してしまうのが欠点です。

図 3

 以前もご紹介した、球ビーズを使った同じ構造のものと並べて写真を撮ってみました。球ビーズのほうはかたちがしっかり安定してくれるので扱いが楽です。





 先日、8月11日のひとことでご紹介した、IQlightの内側の写真を、魚眼レンズを使って撮ってみました。 IQlight を作ったときからこの写真を撮りたいと思っていたのですが、ようやく撮ることができました。

 多面体の骨格を平面上に表現する図がありますが、あんな感じになって楽しいです。

 <おまけのひとこと>
 今朝、郵便受けから新聞を取ったら、かえるがくっついていて、一緒に家の中に入ってしまいました。 あわててつかまえて外へ出しました。夜になると家の明かりに集まる虫を狙うのでしょう、かえるがドアや窓にはりついています。



8月27日(水) ビーズ多面体:円柱型(その2)

 昨日の、平べったい円柱型ビーズ30個による正十二面体の稜モデルは、このビーズにとってはまだ二面角が大きいな、と感じました。そこでパーツの数をもっと増やして球により近いモデルを作ってみることにしました。

図 1 図 2

 今回は昨日のモデルの3倍の90個を使っています。最初に、同じ素材のビーズを拾い集めるのですが、同じ色のビーズが2〜3個しかないものから10個以上ある色までまちまちで、きれいな対称性のある配色にできません。そこで色は適当に散らすことにしました。 この「適当に散らす」というのが意外と気を遣います。

 一昨日のハート型ビーズのボールと並べてみました。同じような大きさです。

図 3

 <おまけのひとこと>
 最近、PCの前でうたた寝してしまう日が何日か続いて、ちょっと体調不良です。



8月28日(木) ビーズ多面体:四角柱型

 ビーズ多面体の話の続きです。今日は、四角いビーズを使ったモデルです。これもハート型や円柱型と同様、平べったい四角柱の側面にビーズ穴が通っています。これで、二十面十二面体(参考図)の骨格モデルを作ってみることにしました。

参考図

 昨日までの円柱ビーズやハートビーズとは違って、四角柱の底面が多面体の面に垂直になるような向きで組んだほうが安定するかな、と思ってそのように組むことにしました。でもやはり四角柱ビーズではモデルがきれいに安定しません。 そこで、同じ骨格で、安定してきれいな形は・・・といろいろいじっていたら、以下の図1〜図4のようなかたちにすると安定してくれました。

図 1 図 2
図 3 図 4

 これは二十面十二面体の骨格をちょっと押しつぶして対称性を下げ、ちょうど直方体と同じ対称性を持つように平べったくしたものです。図1と図3が平べったく置いたところ、図2と図4がそれを90度回転させて立てたところです。

 このモデルを見ていたら、ジョンソンの多面体(自己交差のない正多角形から成る凸多面体で、角柱、反角柱の系列を含まないもの)のうちの1つを思い出しました。ジオシェイプスで作ってみました。

図 5 図 6

 正五角形4枚、正方形2枚、正三角形8枚から成る立体で、やはり直方体と同じ対称性を持った「ひらべったい」立体です。

 <おまけのひとこと>
 今日のものはビーズ60個です。このような多面体を組むと、ビーズがどんどんなくなります。わりと多めのセットを買ってきても、ビーズ1種類あたり1つくらいしかモデルが作れなかったりして、モデル1つあたりの原価はそれなりにかかっています。(といっても数百円程度ですが。)

 茉莉花の部屋の昨日の日記とBBS3に、先日差し上げた4枚の矢羽根型カードを組むモデルの写真を掲載していただきました。ありがとうございました。そうでした、この話も書こうと思っていたのでした。



8月29日(金) ビーズ多面体:正四面体骨格(2種類)

 このところ多面体骨格としてはだいぶ球に近いものをご紹介してきましたが、今日は正多面体の中では最も球から遠い、正四面体の骨格モデルをご紹介します。正四面体は稜がたった6本というシンプルな構造ですので、そのかわりにそれぞれの稜は3つのビーズをつないで作ることにしました。

 同じ構造のものを、ハート型2つの間に小さな丸ビーズをはさんだものと、ライスビーズの間に大きな丸ビーズをはさんだものとで作ってみました。

図 1 図 2 図 3

 図1は一般的な視点から見たところ、図2は正四面体の面に相当する方向から見たところ、図3は正四面体の稜の方向から見たところです。このように透明な素材のビーズは、写真をきれいに撮るのが難しいです。図3だけ色合いが違うのは、撮影条件を変えて撮りなおしたためです。

 このかたちは作るのはとても簡単で、手間がかかりません。同じ原理で(“ハート・丸・ハート”を稜として)立方体骨格を作ると、ハート3枚による三角形8枚による正八面体になりますし、同じく正十二面体骨格を作ればハート3枚による三角形20枚による正二十面体になる、ということはわかっているのですが、材料が足りなくて作ってありません。(手間もそれなりにかかります。)

 <おまけのひとこと>
 実はこのハートビーズによる正四面体骨格モデルですが、もっとはやく掲載しようと思っていたのです。ところが完成品を保存している箱をのぞいてみても、「確か作ったはず・・・」と思ったのに見つけることができないでいました。淡い紫と白という透明ビーズで作ったため、かたちがわかりにくくて、他のモデルに埋没してしまって見落としていたのでした。 今日は別のビーズモデルをご紹介しようかと思って探していたら、こちらを見つけたので、今日はこちらをご紹介することにしたのでした。
 今回のビーズシリーズはそろそろおしまいにしようかな、と思っています。



8月30日(土) ジョンソンの多面体(J92)

 一昨日のひとことで、3Dジオシェイプスで作ったジョンソンの多面体の1つをご紹介しました。ジョンソンの多面体というのは、全ての面が正多角形で全ての稜の長さが同じ凸多面体のうち、正多面体や準正多面体、角柱や反角柱のグループを除いたものです。92種類あって、それ以外にはないことが知られているそうです。

 山口陸幸さんのThe polyhedra world(多面体の世界)ジョンソンの多面体のページや、WolframのMathworldJohnson Solidのページにくわしく記載されています。

 ジョンソンの多面体の多くは、基本となるユニット、角柱や角錐や反角柱を組み合わせたり、準正多面体を部分的に切り落としたりして出来るものなのですが、そのような構成方法で説明できない形がいくつかあって、それが面白いのです。(個人的な感想ですが。)

 一昨日ジオシェイプスで作ったモデルはジョンソンの分類番号の91番、J91と呼ばれるものですが、今日ご紹介するのは92番、J92です。山口さんの分類では、基本要素の(011)番になります。これをビーズとジオシェイプスで作ってみたものの写真をご紹介します。

図 1 図 2 図 3
図 4 図 5 図 6

 このかたちは対称性はあまり高くないのですが、唯一の六角形の面を底面として置くと、三回回転対称の美しい箱のような形になります。 図1、図4はその状態で真上から見下ろしたところです。この方向から見ると、五角形と三角形による構造になっていて、二十面十二面体の一部分のように見えます。

 図2、図5は、反対に六角形の面から見たところです。こちら側から見ると、面のつながり具合は小菱形二十面十二面体のようです。図3と図6は一般的な視点から見たところです。

 このJ92は、全ての頂点の次数が4で、ご覧のように2色で塗り分けることができます。ということはこのJ92の双対多面体を考えると、全ての面が四角形になるはずですから、原理的には帯で編めるということになります。

 <おまけのひとこと>
 今日はちょっと大きめのCGの画像を載せようかと思っていたのですが、せっかくだから月がかわるタイミングにしようと思って、急遽この話題にしました。
 昨日は職場で防災訓練がありました。今日は地域の訓練があります。



8月31日(日) ビーズ多面体:最終回

 ちょうど先週の日曜日、8月24日からずっとご紹介してきた、ハート型ビーズなどを使った多面体ですが、月末で区切りもいいので今日までということにして、一旦おしまいにしたいと思います。 今日は、先日ちょっと書いた「ハート・丸・ハート」を稜とした正二十面体構造のモデルです。

 正二十面体は12の頂点があって、それぞれの頂点には5本の稜が集まります。ですから12の頂点にはそれぞれハートビーズが5つずつ集まることになります。図1は正二十面体の三角形の1つの面の方向からみたところ、図2は1つの頂点の方向から見たところです。

図 1 図 2

 このモデルは丸ビーズが30個と、ハートビーズが60個から出来ています。同じ材料で、正十二面体骨格を作れば、今度はハートビーズが3個集まった頂点が20個できます。そちらのほうが模型は一回り大きくなって、若干形状は不安定になるかと思います。なぜ十二面体骨格ではなく今日の二十面体骨格を作ったかというと、用意できたパーツが、12×5という色分けはできたのですが20×3にはならなかったためです。

 ちなみにこういうモデルは、手芸用のゴムで1つ1つの面ごとに結んで張力を発生させています。このモデルの場合は正二十面体骨格ですから、(ハート・丸・ハート)-(ハート・丸・ハート)-(ハート・丸・ハート)と9個通して結ぶ、という作業を20回やればできます。結び目はハートビーズと丸ビーズの間にくるようにすると目立たなくてきれいにできます。



 最終回ということで、この1週間にご紹介したモデルの写真を撮ってみました。こういうのを撮るときには、台紙は黒のほうがよいのでしょうか。

図 3

 本当は、こんなふうにやたらとカラフルなモデルが作りたいわけではなくて、できるだけ使う色数は抑えたいのです。でも、普通に購入できるビーズというのはいろいろな色が少しずつ入っているものですから、例えば同じ色で同じ形のビーズを60個欲しいなどというと、今回のハートビーズの場合ならばそれこそ10セット以上購入しないと無理だと思います。(ライスビーズはそれに近い買い方をしていますけれども・・・)

 このような、子供用の玩具コーナーにあるようなころころした大きなビーズを使って、テグスではなくて手芸用ゴムを使って結んでゆく多面体というのは、根気があれば必ず完成させることができます。 あと、先のよく利く切れ味のよい糸切りばさみが必須です。私は大学1年生の時に生物学実験で購入した解剖キットの「眼科剪刀」(こんなのです)を愛用しています。



 ときどきご紹介させていただいている、Today's Information!というページの一番下にある“日々雑感”という毎日のコーナーの8月29日に、私のページで過去にご紹介したペーパーモデルの多面体をいくつも作っていただいた写真を掲載していただきました。ありがとうございます。色や素材が私が作ったものとは全然違っていて、とても楽しく見せていただきました。



 昨日のジョンソンの多面体について、H.Hamanaka very private pageの濱中さんから非常に興味深いメールをいただきました。J92の3つの正五角形をそれぞれ正三角形5枚による正五角錐に置き換え、同じくJ91の4つの正五角形も、それぞれ正五角錐に置き換えます。さてこの2つの多面体を、正二十面体と比較してみます。すると・・・ という大変面白いメールでした。ありがとうございます。

 <おまけのひとこと>
 『美しくなければならない』─現代科学の偉大な方程式(原題:IT MUST BE BEAUTIFUL)という本が図書館にあったので借りてきました。 タイトルがまず気に入りましたし、あの『フェルマーの最終定理』のサイモン・シンや、マーチン・ガードナー、ホフスタッターに続いてサイエンスにコラムを書いていたイアン・スチュアートが書評でほめていたこともあって、借りてみました。まだ最初の1章しか読んでいませんが、とても面白いです。

 すみません、ちょっと忙しくしていてメールのお返事などが滞り気味です。



[←2003年8月前半]  [↑表紙へ]  [2003年9月前半→]

[Home]-[以前のひとこと]-[2003年8月後半]
mailto:hhase@po10.lcv.ne.jp
2001-2003 hhase