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以前の「ひとこと」 : 2017年1月後半



1月16日(月) ゴールドバッハ予想の拡張(その1)

 ちょっと面白い論文“Divisor Goldbach Conjecture and its Partition Number”Kun Yan, Hou-Biao Li(2016) を読んだので(といっても拾い読みですが)、数日分かけてご紹介しようと思います。

 整数の問題で、よく知られたゴールドバッハ予想というのがあります。「2よりも大きいすべての偶数は、2つの素数の和で表される」という予想です。1742年にゴールドバッハがオイラーに宛てた手紙の中にかかれている予想だそうです。(ゴールドバッハ自身はもうすこし回りくどい言い方をしていたようで、それをシンプルに要約したのがオイラーなのだとか。)

 最近の研究では(私が読んだ論文にかかれている内容によると)、4×10^18 (4の後ろにゼロが18個ついている数)までは正しいことが確かめられているのだそうです。

 ある偶数 E が、2つの素数 p と q の和になっているとします。 E を2つの素数の和で表すやり方は、複数ある場合もあります。例えば E=100 とすると、

100 = 3+97 = 11+89 = 17+83 = 29+71 = 41+59 = 47+53

です。足す順番を入れ替えたものも同じと考えると、100を2つの素数の和で表すやり方は6通りあるということになります。この関数をゴールドバッハ関数( Goldbach function ):g(E) と呼びます。先ほどの例ならば

g(100) = 6

 です。1989年のHenry F.Fliegel と Douglas S.Robertson の論文には、Eが10万までの偶数のg(E)を調べた結果が載っているそうです。

図 1

 時代はさかのぼりますが、このg(E)の近似として、ハーディとリトルウッド(あのラマヌジャンを見出したことで有名な、あのハーディです)による1923年の論文に、こんな式

図 2

 が載っているそうです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 最近、腰が痛くて困っています。雪かきのせいかな…






1月17日(火) ゴールドバッハ予想の拡張(その2)

 さて、ゴールドバッハ予想を拡張する話です。

 「(2よりも大きい)すべての偶数は2つの素数の和で表される」を、「(2よりも大きい)全ての2の倍数は2つの素数の和で表される」と言い直しましょう。この2を、一般の素数pで置き換えてみましょう。

 予想:「(2よりも大きい)nが素数pの倍数であるならば、nはp個の素数の和で表される」

 15 = 3 x 5 なので、15は素数3の倍数であり、5の倍数でもあります。
 15 = 3 + 5 + 7 (3個の素数の和)
 15= 2 + 2 + 2 + 3 + 5 (5個の素数の和)
 です。

 36 = 2^2 x 3^2 なので、素数の倍数であり、素数3の倍数でもあります。
 36 = 7 + 29
 36 = 2 + 11 + 23
 です。

 56 = 2^3 x 7 です。
 56 = 13 + 43
 56 = 2 + 3 + 3 + 5 + 7 + 13 + 23
 です。

 さらに拡張して、「(2よりも大きい)nが(nより小さい1以上の数)mの倍数であるならば、nはm個の素数の和で表される」という予想をしたのが“divisor Goldbach conjecture”という論文の予想です。

 36 は 4 の倍数であり、6の倍数でもあります。(4も6も素数ではなく合成数です。)
 36 = 3 + 5 + 11 + 17 (4つの素数の和)
 36 = 2 + 2 + 5 + 7 + 7 + 13 (6つの素数の和)
 です。

 56 は 8の倍数であり、14の倍数でもあります。(いずれも素数ではありません。)
 56 = 2 + 2 + 5 + 5 + 7 + 11 + 11 + 13 (8つの素数の和)
 56 = 2 + 2 + 2 + 2 + 2 + 2 + 2 + 2 + 3 + 3 + 5 + 7 + 11 + 11 (14個の素数の和)
 です。

 論文では、g(E)も拡張したり、実際に拡張された予想の数値検証をしたりしています。面白いです。

<おまけのひとこと>
 今回の更新ではここまでのご紹介にします。






1月18日(水) 柳田芳忠先生

 Diamond online の記事ピコ太郎「PPAP」をビジネスマンが英語のバイブルにすべき理由(2017年1月10日、山口 博)という記事を読んでいたら、こんな記述が出てきてびっくりしました。

私の出身地、長野県上田市において、入塾希望者が後を絶たず入塾倍率数倍に上った英語塾「柳田塾」で故柳田芳忠氏は、次のような指導を行っていた。…

 私も柳田先生には大変お世話になりました。中学生のころ、先生のご自宅に毎週19時〜21時に通っていた気がします。私の自宅は千曲川の河岸段丘の一番底のあたりにあって、先生のお宅はだいぶ標高が高いところにあり、その中間に通っていた中学校がありました。いったん自宅まで戻って、改めて自転車で行っていた記憶があります。帰りはずっと下りなので楽なのですが、河岸段丘なので、ほぼ平らな部分と急な坂を繰り返します。雪が降ると自転車で坂を下るのが大変でした。

 久しく忘れていた記憶を思い出してしみじみしてしまいました。「柳田芳忠」で検索しても、他には情報はありませんでした。当時の門下生はどうしているのかなあと懐かしく思い出しました。

<おまけのひとこと>
 でも、いまだに英語は苦手です。






1月19日(木) デュードニー数の拡張(その1)

 先日、デュードニー数(ある数を3乗した答の各桁の数字の和が元の数に等しい数)というのをご紹介して、「では4乗以上だったらどうなるのかなあ」というコメントを書いておきました。

 興味があったので、ちょっとプログラムを書いて調べてみました。

 こういう計算をするときにいまどきC言語ではないだろうと思うのですが、一番慣れているので、まずはこのコードで実験をしてみました。

 3乗については、
 1 ^ 3 = 1
 8 ^ 3 = 512
 17 ^ 3 = 4913
 18 ^ 3 = 5832
 26 ^ 3 = 17576
 27 ^ 3 = 19683

 ちゃんと答がでてきました。そこで、乗数を変えてもう少し調べてみることにしました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 寒い日が続いています。






1月20日(金) デュードニー数の拡張(その2)

 Cで書いた簡単なプログラムで、「ある数をk乗した答の各桁の数字の和が元の数に等しい数(k = 2, 3, 4 …)」というのを調べてみました。

 k=2のとき
  1 ^ 2 = 1
  9 ^ 2 = 81

 k=4のとき
  1 ^ 4 = 1
  7 ^ 4 = 2401
  22 ^ 4 = 234256
  25 ^ 4 = 390625
  28 ^ 4 = 614656
  36 ^ 4 = 1679616

 k=5のとき
  1 ^ 5 = 1
  28 ^ 5 = 17210368
  35 ^ 5 = 52521875
  36 ^ 5 = 60466176
  46 ^ 5 = 205962976

 k=6のとき
  1 ^ 6 = 1
  18 ^ 6 = 34012224

 k=7のとき
  1 ^ 7 = 1
  18 ^ 7 = 612220032

 面白いなあと思って、表にしてみました。

○が足りない!

 実はこれ、不正確です。この計算結果だけ見ていると、この条件を満たす答はこれ以上ないように思えますが、単にC言語という「扱える整数の上限が決まっているコンピュータ言語」をそのまま素朴に使ったために計算結果がオーバーフローしているだけなのでした。

  <おまけのひとこと>
 冷凍庫に保存してあった古い食材を、やっと消費することができました。よかった。






1月21日(土) デュードニー数の拡張(その3)

 「ある数をk乗した答の各桁の数字の和が元の数に等しい数(k = 2, 3, 4 …)」という問題を、任意精度の整数演算ができる環境でもう少し調べてみました。画像が大きくてすみません。

 数字が大きくなってゆくと、kも大きくなることがわかります。100以降だと、

 103^13
 104^13
 106^10, 106^13
 107^11 ,107^13, 107^15
 108^11, 108^12
 117^10
 118^14
 126^13
 127^14
  ・
  ・
  ・
などがみつかりました。

 まだまだ続きそうです。

<おまけのひとこと>
 新聞に載っていた「ナンクロ」というクロスワードで、「イ○クロ」「テ○クロ」の○がなかなか思いつかなかったのです。妻に言ったら即答されて、ちょっと凹んでいます。






1月22日(日) スポーツの話

 地元(長野県)に縁のあるアスリートやチームの応援をしています。そんなに熱心なファンというわけではありませんが、それでも縁のある選手やチームがよい成績だと嬉しいものです。

 大相撲初場所では、地元出身の御嶽海が金星2つを含む11勝を挙げ、技能賞に選ばれました。先場所は初の三役でしたが負け越して前頭筆頭に番付を下げましたが、今場所は三役すべてに当たって11勝とすばらしい成績でした。来場所の番付が楽しみです。

 都道府県対抗男子駅伝は長野が3年ぶり7回目の優勝でした。これも観戦したわけではないですが、結果をきいて嬉しく思っています。

<おまけのひとこと>
 昨年、惜しくもJ1昇格を逃したサッカーの松本山雅、今年も密かに応援しています。






1月23日(月) ligne roset の CLOUDS(その1)

 今回は1月29日(日)の夕方に、1月23日(月)から一週間分をまとめて更新しています。今回の更新では、主に linge roset(リーン ロゼ)というフランスのブランドのCLOUDSという壁面装飾についてご紹介します。

 妻が「リビングに置く椅子を検討したい」というので、行動圏の中のお店を検索して、いくつかのお店に行ってみました。いろいろ検討して、まだ購入する椅子は決まっていないのですが、その中の1つのお店で、こんなものが壁にディスプレイされているのを見かけました。

図 1

 これ、なんだと思いますか? 画像だとサイズがわからないと思いますが、大きさは畳1枚よりも広いと思います。

 椅子について店員さんからいろいろと説明を伺って、話が一段落したところで、「ところで椅子とは関係がないのですが、ちょっと教えていただきたいことがあるのですが…」と前置きをして、図1のディスプレイのところに行って、「これは何ですか?」と尋ねました。

 そうしたら、壁に飾るインテリアだ、ということでした。「売り物ですか?」と尋ねると、そうだとのことです。値段を伺うと、値札を見せてくれました。

BRAND OUTLET
展示品限り
インテリアオブジェ(3枚セット)
¥226,800(税込)

¥14,000(税込)

 と書かれていました。んっ? 3枚セット? どういうこと? この緑色のピースが3枚で1万4千円? え、でも元値は22万6800円? 3枚で? あれ、桁がおかしい? …混乱しました。

 まず、店員さんがピースの数を数えてくれました。最初「25枚ありそうですねえ、でも3で割り切れない。おかしい。」というので、今度は一緒に数えました。24枚でした。

 店員さんの話によると、これはリーンロゼというブランドのCLOUDSという製品なのだそうです。仕入れたのは8年ほど前で、当時のことを知っている方がもうお店にはいらっしゃらないそうで、詳細はわからないとのこと。でも、カタログを見せてくれて、もともとは8ピースで1セットで定価7万円(税別)の製品だったのだそうです。写真のものの色はもう廃版になっていて、今は白黒のモノトーンのものしかないとのこと。パッケージや説明書も失われていて、どんな使い方をするのかもよくわからないとのことでした。

 なので、現品限りで超破格値がついているのだそうです。値札の意味は3枚、ではなく3セット24ピース全部で14,000円、ということだそうです。

 「そういうものなので、返品は対応しかねますし、お問い合わせいただいても…」とすまなそうに説明をして下さいました。普通に考えると14,000円だってとても高価ですが、あまりに面白そうな製品だったので、買うことを即決しました。「組み立てた状態のままお持ちになりますか?」と尋ねられたので、「完全にばらばらにしたいです。」と答えて、店員さんと二人でせっせとパーツを外しました。もうその作業自体がとても楽しかったです。

 大きな袋2袋いっぱいになりました。もう嬉しくてほくほくして帰ってきました。

 …結局妻の椅子はまだ買っていません。妻と買い物に行くとこういうことが起こりがちで、いくつもお店を回ってさんざん考えて結局買わないことが多い妻に対して、そもそも全く予定のなかったものを私が突然買ってしまう、ということがままあります。

 奈良井川を渡る松本電鉄の列車に行き会ったので写真を撮ってみました。

図 2

(つづく)

<おまけのひとこと>
 すみません、実際にお店に行ったのは1月28日(土)です。更新の都合上、日付がさかのぼってしまいました。すみません。(今週はほかにネタがなかったのです。)






1月24日(火) ligne roset の CLOUDS(その2)

 リーンロゼのCLOUDS、これで何か多面体的なものを作りたいなあと思ってちょっと考えてみました。

図 1

 図1は公式ページに載っているパーツの図です。表と裏で色が違うのですが、パーツの形状・サイズは1種類しかありません。パーツ1つは幅が40cm近く、高さが20cmくらいあります(図2)。

図 2

 パーツは一部へこんだ等辺八角形になっていて、内部は12の小さな三角形領域に分割されています。各辺には細長い「のりしろ」のような部分があって、これを専用の丈夫なゴムのパーツ(図3)でとめます。

図 3

 図3では黒いジョイントパーツが3つ見えています。

図 4

 図4はとりあえず1つのパーツを二つ折りにして、凹部の両側の辺をつないでみているところ(途中)です。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 開口一番、妻が「あなたが興味を持つと思った」と言って、「多面体の着ぐるみを作って、リスーピアワークショップで着たら?」というアドバイスをくれました。いや、それはさすがにちょっと…。(そんなことをしたらもう二度とワークショップをやらせてもらえないかも…)






1月25日(水) ligne roset の CLOUDS(その3)

 リーンロゼのCLOUDSで何か作ってみようという話の続きです。webで検索をしてみました。例えばYouTubeにはこんな動画がありましたが(妻がこの動画を見て、「ほらやっぱり着てる、みんなこれをかぶりたいんだよ」と言っていました)、基本は壁の装飾に使うようです。

 

 お店の方も「ボールが作れたら面白そうだと思ったんですが、できませんでした。」と言っていました。多面体マニアとしてはやっぱり閉じた立体を作ってみたいです。パーツは等辺八角形なので、1パーツでも畳めないことはないのですが、さすがにほとんど平たくなってしまうので、まずは2パーツを組んでみることにしました。

 対称性のない等辺八角形を2つ組むのですが、ちゃんと閉じるかどうかはともかくとして、辺どうしを合わせる合わせ方はたくさんあります。自分の辺どうしをつなぐことをやるかやらないかでまず場合分けができて、残った辺どうしの合わせ方が複数あります。その中でも、比較的凸多面体に近くて自然な(極端に二面角が小さくならない)かたちを作ってみることにしました。

図 1

 まずは各パーツの、内角が180度を超えている唯一の頂点の両側の辺と、それに続く辺をつないだものを2つ作ります(図1)。 これを2つ、180度の回転対称軸ができるように連結しました(図2)。

図 2

 枕のようなちょっと細長い立体ができました。図1の2つのパーツを連結するのには、着脱がちょっと大変な正規のジョイントパーツではなくて、輪ゴムで仮止めしました。着脱が簡単ですし、ジョイント部に無理な力がかからないので、便利です。

 次に、パーツ2つをジョイント2か所を残して連結したものを2組用意しました。

図 3

 これを、90度位相をずらして連結してみました。

図 4

 先ほどの図2の立体よりも凝った対称性を持つ立体になりましたが、出来栄えは気に入りませんでした。図3の段階で帽子のように頭に載せてみました。(50歳を過ぎた初老のおじさんのやることではないなあと思いつつ)ちょっと面白かったです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 さすがに高価なものだけあって、ピースはとても丈夫ですし、肌ざわり、素材感もすばらしいです。






1月26日(木) ligne roset の CLOUDS(その4)

 もう少し「まるっこい」かたちが作りたいなあと思って、パーツの自己結合(自分の辺どうしをつなぐ)のをやめてみようと思ました。

 ユニットの凹部のとなりの辺どうしとその左右をつないでみました(図1)。

図 1

 このパーツは対称ではないので、「ユニットの凹部のとなりの辺どうしとその左右をつなぐ」やり方はもう1つあります(図2)。

図 2

 図1と図2をつないでみました。残っている辺は10辺ありますから、1つずつずらしていけばつなぎ方は10通りあることになります。

図 3

 できたものの表側(図3)と、

図 4

 その反対側です(図4)。これは一応凸多面体になったかなあと思いますが、ちょっと押すとへこんでしまいます。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 図3,図4の立体を見て、妻が「カメレオンみたいだね」と言いました。私にはない発想でです。私は色や素材は二の次で、どんな立体になるだろうかという形ばかり気になっているので、こういうコメントはとても新鮮で楽しいです。冷静に考えるとこんな高価な「おもちゃ」を買うことに全く躊躇なくにこやかに賛成してくれる妻に感謝です。






1月27日(金) ligne roset の CLOUDS(その5)

 新しく入手したCLOUDSというインテリア・オブジェで、壁面装飾ではなく何か面白い立体ができないかというチャレンジをしています。いったん今週作ったものを並べてみました。

図 1

図 2

 図1と図2はちょっとだけ視点を変えて撮った写真です。妻が「裏側の濃い青緑の面を表にして、もう少しおおきな立体を作ったら岩みたいに見えるかな?」と提案してくれました。挑戦してみようと思います。 

<おまけのひとこと>
 「元値が226,800円のものを14,000円で買ったということは、212,800円も得をした、ということかな?」というとても危険な発想をしてしまいました。冷静に考えると、買わなければゼロ円だった出費が14,000円ある、ということだ、間違えてはいけないと自戒しています。
 お店の方からも「これ、14万円だったら買いました?」と尋ねられて、「うーん、ごめんなさい無理です(笑)」と答えたのです。定価でも買っていたとすれば、差額を得したということになりますが、定価では買わなかったのであれば、自分にとってそれだけの価値がなかったと判断したわけですから、差額を得したことにはならないはずです。






1月28日(土) 「ブラームスの音符たち」よりラプソディ1番

 図書館で池辺晋一郎の「ブラームスの音符たち」を借りました。このシリーズは大好きで、時々借りて再読しています。ピアノ独奏曲の「2つのラプソディ」の1番の冒頭についての話を楽譜と音源でちょっと紹介させていただきます。

オリジナル:mp3データ

 これがオリジナルです。左手の伴奏は、最初の2拍はお休みです。なぜだろう?ということについて著者はこんなコメントをしています。

伴奏変化1:mp3データ

 「(原曲の)いきなり右手だけが飛び出したために受ける、音が宙に浮いているような、あるいは一瞬時間が止まってしまったような感じが、全くなくなってしまう」(池辺晋一郎「ブラームスの音符たち」第7章より)

 さらに、この曲の非凡さを示すために、池辺氏による「普通ならこんな伴奏になるのでは」という例が挙げられています。

伴奏変化2:mp3データ

 「つまらん。原曲の、あの、焦燥感に満ちた不安定な激しさが消え、何でもなく、落ち着き払った「ジョーシキの塊」じゃないか、これじゃ…。」(池辺晋一郎「ブラームスの音符たち」第7章より)

 と、こういった話が様々な曲に対して分析、議論されているのです。特に自分が好きな曲についてはとても読んでいて楽しいのです。お勧めです。

<おまけのひとこと>
 ブラームスのラプソディ1番はとても好きな曲で、高校生のころにピアノのレッスンでみていただいていました。かなり背伸びをして実力以上の曲を選んだので苦労しました。今やまったく弾けません。






1月29日(日) 大人の休日研究所

 図書館で本を借りるときに本を入れるカバンとして、「大人の休日研究所」というお店でいただいた布のバッグを使っています。 

図 1

 お気に入りのカバンです。

<おまけのひとこと>
 今期、スピードスケートの小平奈緒選手が6連勝と大変活躍しています。小平選手は地元も地元、我が家の子供たちの小学校と中学校の先輩です。オリンピックでの活躍もとても期待しています。






1月30日(月) GeoGebra

 最近、GeoGebra(リンクは“GeoGebra日本”です)というソフトを気に入って使っています。GeoBebra(ジオジブラ)というのは、geometry(幾何学:ジオメトリ)とalgebra(代数学:アルジブラ)を合成した造語だと思います。WindowsやLINUX、AndroidやMac系のOSでも動きます。「動的な数学ソフトウェア」で、ある条件を満たしながら点や数値を動かしてみることができるので、直観的で数学の概念が理解しやすい、すばらしいソフトウェアです。

 楽しい機能がたくさんあるのですが、一例として三角関数のテイラー展開を試してみました。まず、GeoGebraを立ち上げて、一番下の[入力]バーに、多項式で近似してみたい関数を入力します。

f(x)=sin(x)+sin(2x)+sin(3x)

 普通のコンピュータ言語では 2x とか 3x と書いてはいけないものが多くて、 2*x とか 3*x のように乗算演算子を書かないといけないのですが、GeoGebraでは必要ありません。

 次に、「オブジェクトの上の点」機能を使って、描画された関数の上に点Aをとります。さらに、「スライダー」機能を使って、スライダーnを定義します。nは1から50まで、1刻みで設定できるようにします。そこまでできたら、もう一度[入力]バーに

TaylorPolynomial[f(x), x(A), n]

 と入力します。1つ目の引数はさきほど定義した関数、2つ目は点Aのx座標を返す関数、3つ目はスライダーの値になります。

 ここまでできたらスライダーの値を変えてみます。まずAを原点に持って行って、n=3にしてみます。原点付近で与えられた関数を3次近似することになります。

図 2

 原点付近の傾きが揃った程度という感じです。続いて、nをどんどん大きくしてみましょう。

図 3

図 4

図 5

 グラフにフィットする区間がどんどん広がってゆくのがわかります。とても面白いです。昔、数学の教科書にはこんなに近似次数の高いグラフはほとんど載っていませんでした。あったとしても1つくらいで、このようにどんどん次数が上がってゆくとどうなるか、理屈では想像できても実際に見ることはできませんでした。

図 6

 点Aを動かしても、即座に計算されグラフが再描画されます。実に面白いです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 2月5日(日)の午前中に、窓の外に降っている雪を眺めながら1/30(月)〜2/5(日)の一週間分の更新をしています。






1月31日(火) ケルビーニ:『対位法とフーガ講座』

 本屋さんに行ったときに、『対位法とフーガ講座』(ARTES:ケルビーニ[著]/小鍛冶邦隆[訳])という本を買ってきました。

 とても面白いです。Netで検索してみると、YouTubeにこの本の中の曲(たくさんあります)を投稿しているのを見かけました。こちら

 二声はまあなんとか読めます。三声になるとちょっと苦しくなって、四声になると、ちゃんと音楽が頭の中で想像できているか、かなり怪しいです。特に音部記号にアルト記号やテノール記号が出てくるので、そのパートを横に読んでいる分にはまあいいのですが、他の段を見ながら瞬間的に音の高さを判断しようとすると、瞬間的にわからないことがあって、まだまだ練習が足りないなあと思います。

<おまけのひとこと>
 でも、昔に比べるとだいぶハ音記号にも慣れてきました。やっぱり「慣れ」なのだと思います。






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