Contrapunctus 11 a 4
3主題によるフーガ、4声部、2/2拍子、184小節
Contrapunctus8と明確に対を成している曲です。
両者は同じ3つの主題を用いており、多部分で構成され、
また小節数が188、184とほぼ同じです。
(主題)
この曲はContrapunctus8同様、いわゆる3重フーガです。
曲の冒頭に示される第1主題は、基本主題の装飾変形です。

27小節から第2主題が示されますが、
これはContrapunctus8の第1主題の反行形です。
第2主題には対主題風に半音階が伴います。

上の楽譜のアルトが第2主題、ソプラノが対主題です。
71小節から第1主題が再び示されますが、今度は反行形となっています。

更に89小節から第2主題が再び示されますが、
こちらには第3主題が伴っています。
第3主題はContrapunctus8の第2主題の反進行形です。

上の楽譜のテノールが第3主題、バスが第2主題です。
これら3つの主題が結合されるのは145小節以降です。

どの主題も曲の中では正置形・反行形の双方で示されていますが、
3つの主題の結合は正置形のみです。
(曲の構造)
主題の呈示や和声的終止形などによって、
曲を以下の表に示す5つの部分に分けることができます。
各部の詳細については、表の赤字をクリックして下さい。
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内 容 |
小節
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小節数
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第1部分
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第1主題の呈示 |
1-26
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26
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第2部分
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第2主題の呈示 |
27-70
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44
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第3部分
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第1主題を反行形で呈示 |
71-88
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18
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第4部分
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第2、第3主題を結合して提示、
第1主題の挿入、3主題の結合 |
89-157
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69
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第5部分
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第1主題を正置形・反行形で
同時に呈示、3主題の結合 |
158-184
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27
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第4・第5部分は全体にわたって第3主題の断片で
埋め尽くされており、これによって曲はさらに大きく
前半(第1〜第3部分)、後半(第4・第5部分)に分かれています。
第1主題と第2主題の交互呈示という捕らえ方をすれば、
曲をソナタ形式と考える事もできます。
すなわち、第1・第2部分が提示部、第3・第4部分が展開部、
第5部分が再現部、というわけです。
ソナタ形式の確立をまだ先に控えた時代のこの作品、
進化の過程というよりは突然変異というべき存在です。
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