以前の「ひとこと」 : 2021年9月後半
9月16日(木) 中央が二重の三本指の構え(その1)、エナギニュレの派生
9月も後半になりました。今日はあやとりの話です。
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過去にちょっと混乱していたあやとりの手順を確かめてみた話をしたいと思います。大部分の方にはあまり興味がないかもしれません。
ナウルの構え1という、四本指の構えがあります。
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Nauru Opening 1 ここから、内側の2本の指の輪を1つにまとめると、こんな「構え」になります。
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中央が二重の三本指の構え 6月14日と7月31日に、この構えから「7つのダイヤモンド」を取ったパターンをご紹介していました。
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hh210614-1 hh210731-1 左の黄色の糸のほう(hh210614-1)は左右の縦の糸にかかる2つの輪がからんでいますが、右の水色の糸のほう(hh210731-1)は、きれいな網目になっています。この2つ、かたちの整え方が違うだけなのではなくて、どんなに整え方を変えてもお互いに構造を行き来することができないのです。(もちろんいずれもあやとり紐の輪(=数学的には「自明な結び目」)ですから最初から取り直せば行き来できますが、完成したパターンの糸の重なり具合や上下左右の縁の部分の折り返しの位置を入れ替えたりしてもダメなのです。)
実は、内側の2つの輪(人差し指の輪と中指の輪)を1つの指にまとめる手順が違ったのです。どこが違うのか比べるために、7つのダイヤモンドの途中まで取った段階で糸の重なり具合を比べてみました。
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- ナウルの構え1
- 中指の輪を人差し指に移す
- 親指を人差し指の二重の輪に上から入れ、
小指の手前の糸を取る- 小指の輪を外す
- ナウルの構え1
- 人差し指の輪を中指に移し、
中指の二重の輪を人差し指に移す- 親指を人差し指の二重の輪に上から入れ、
小指の手前の糸を取る- 小指の輪を外す
上記の2つのパターン、どこが違うかわかりますか?
最後まで仕上げて比べてみました。
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最後まで仕上げて比較 「中指の輪を人差し指に移す」のと、「人差し指の輪を中指に移す(その後で二重の輪を人差し指に移す)」で、こんな風に差が出てくるのでした。過去のページでここをいい加減に書いていたので修正しました。上記の7月31日の説明を見て、きれいな網目構造ができないと思われた方がいらしたら大変申し訳ないです。
この「中央が二重の三本指の構え」(もうすこし短い名前を付けたい)、普通の人差し指の構えから取るあやとりをいろいろ試してみると面白いのです。七つのダイヤモンドでは二種類の取り方で差が出ましたが、差が現れないものもあります。シンプルなさかずき(箱枕)とかでも面白いです。パターンあやとりの入り口の1つとして面白いと思います。
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hh210916-1
- エナギニュレ
- 二本指の終了処理1
このパターンの中央部を見ていると、リサジュー図形みたいだなあと思うのです。
Lissajous curve 昔、大学1年の時に物理実習、化学実習、生物実習というのが週に半日ずつありました。(期間はずれていたと思います。)物理実習でオシロスコープを使ってリサジュー図形を初めて表示してみたときにはとても面白いと思いました。今と違ってパソコンとかが普及していない時代ですから、ディスプレイに美しいパターンが現れてそれが動いたり回転したりする様子は感動的でした。
<おまけのひとこと>
毎月1日と16日は過去のページのトップに来るので、従来は新しいトピックで面白いものを載せたいと思っていたのですが、今回はあやとりの話のみです。
9月17日(金) 折り紙、中央が二重の三本指の構え(その2)、創作あやとり「2つの8の字」
今日は折り紙の話とあやとりの話です。
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一昨日のご紹介したFrancesco Guarnieri氏のおりがみ作品、Tendaというのを折ってみました。ありがたいことに折り図を公開していただいています。(MyIgloo-Tenda.pdf )
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Tenda 1 Tenda 2 多面体のペーパーモデルみたいなかたちで好みです。中をのぞいてみました。
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Tenda 3 これ、バランスよく折るのは難しかったです。いくつも折ると上達するかもしれません。上記のサイトには応用例の完成写真も載っていて、試してみたいと思いました。
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昨日、「この2つはどこが違うでしょう?」という問いかけをしていました。
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答の図を用意しました。
青いマル印をつけた所の交差の糸の上下が違うのです。この差が完成形の差になっているのでした。
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創作あやとりです。ひっかかる人差し指の構えからねむりん坊(ベッドの男)を取ってみました。これは確かまだ未紹介だったような気がします。(追記:今後名前がないと不便なので「双葉」と呼ぶことにしました。)
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hh210917-1:「双葉」
- ひっかかる人差し指の構え
- ねむりん坊
このパターンを人差し指・薬指に移して、中央の8の字部分に両手の親指・小指を下から入れて、人差し指・薬指を外して広げます。
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途中図
- ひっかかる人差し指の構え
- ねむりん坊
- パターンを人差し指・薬指に移す
- 中央の8の字型の上下左右に膨らんだ部分に
下から親指・小指を1か所ずつに入れ、
その輪と外周の糸2本を親指・小指にかける- 人差し指・薬指を外す
親指・小指を下から入れる場所がわかりにくいので図示しておきます。(下の図の青い色を付けた部分です。)
さらに、親指・小指を二重ナバホ取りします。
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hh210917-2
上下に2つの8の字
- ひっかかる人差し指の構え
- ねむりん坊
- パターンを人差し指・薬指に移す
- 中央の8の字型の上下左右に膨らんだ部分に
下から親指・小指を1か所ずつに入れ、
その輪と外周の糸2本を親指・小指にかける- 人差し指・薬指を外す
- 親指・小指を二重ナバホ取りする
外周の親指どうし、小指どうしを結ぶ糸はそのままになるようにして、もう片方の輪をナバホ取りで内側に落とします。
このパターン、強く引くと写真のようなパターンになりますし、ゆるく取ると「2つの8の字型」になります。
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ここからの派生も試してみました。
ちょっとかたちを整える調整が必要です。 「上下の2つの8の字のパターン」、ここからのいろいろな派生パターンを試してみたくなりました。
(つづく) <おまけのひとこと>
昨日は妻が2回目のワクチン接種の日でした。心配なのでかなり早く帰宅したのですが、昨日の段階では幸い腕の痛み以外は大した影響はなかったようでした。今朝起きたら、発熱してけっこう辛いようで心配しています。
9月18日(土) 正方形と直角二等辺三角形の問題、「2つの8の字」からの発展
図形の問題のご紹介とあやとりの話です。
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こんな図形の問題を見かけました。
ABCD is a square.
Find the length of x.正方形ABCDがあります。その内側に、小さな直角二等辺三角形DEFがあります。正方形と直角二等辺三角形の面積の比は 10 : 1 です。角EFBも直角で、線分BFの長さが2のとき、直角二等辺三角形の等しい辺の長さ x を求めなさい、という問題です。
最初、どうやって考え始めたら良いのか、取っ掛かりが見つからなくて悩みました。気が付いたらすぐに答えはわかったのですが(暗算では無理で、計算が必要でした)、「あ、そうか!」という気付きが楽しかったのでご紹介します。解き方は明日、別ページで載せたいと思います。
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昨日ご紹介した「ひっかかる人差し指の構え」→「ねむりん坊」でできるこのパターン、便宜上「双葉」と呼ぶことにしました。
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hh210917-1:双葉 ○
「双葉」からの派生あやとりです。
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hh210918-1
- 双葉
- ひっかかる人差し指の構え
- ねむりん坊
- 小指でナバホ取り
- 親指で逆ナバホ取り
- TTF拡張処理(2本指→4本指)
- 全ての指を外側に1回転ひねる
- 焼け焦げた葉のククイの終了処理
中央に「双葉」のパターンが見えています。ただ、「双葉」の両端が掛かってる絡まった糸のところの上下の対称性がいまひとつです。ここを何とかしたいと思いました。
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というわけで、こんな工夫をしてみました。
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hh210918-2a
- ひっかかる人差し指の構え
- ひねらない「ハワイの星」
- 親指を人差し指の輪に上から入れ、小指の手前の糸を取る
- 小指を人差し指の輪に上から入れ、親指向こうの糸を取る
- 人差し指の輪を外す
- 親指・小指を逆ナバホ取り
親指と小指の内側の糸を取り合う処理のとき、「焼け焦げた葉のククイ」では親指は上から、小指は下から人差し指の輪に入れます。同じ経路を通るイメージです。一方「ハワイの星」では、まるで機織りのように横方向の糸の上下が変わるのです。
ちなみに上のパターンを引き絞るとこんなかたちになります。
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hh210918-2b このパターンが中央に来るように、装飾処理や終了処理を施してみました。
(つづく) ○
100円ショップのダイソーに行ったとき、手芸コーナーの紐を見ていたら、見たことが無かった製品があったので買ってみました。「カラーひも アウトドアカラー 幅3mm、長さ3m」というものです。いつも使っている紐よりもちょっと細くて使い勝手がよさそうです。
糸の摩擦を確かめるため、お気に入りの斜めの格子パターンを取ってみました。
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hh210918-3 いい感じです。今度行ったら他の色も買ってみようと思います。
<おまけのひとこと>
お休みなのでいろいろやっていたら、更新がお昼になってしまいました。すみません。
9月19日(日) 二等辺三角形の八面体、あやとり、他
紙工作の話とあやとりの話、あとは昨日の問題の解を別窓で掲載します。
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こんなものを作ってみました。
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Fig.1 : isosceles triangle octahedron はがきを四等分して、それぞれを折り曲げて合同なパーツを4つ作ります。それを組んでゆきます。
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Fig.2a Fig.2b 正八面体ではなくて、合同な8枚の鋭角二等辺三角形から成る八面体です。
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Fig.4 パーツの設計は写真を見れば多分わかるかと思いますが、一応図を作ってみました。
ここでは二等辺三角形でしたが、3つの辺の長さが異なる一般の三角形で、同様に合同な8枚で八面体を作れるのはどんな三角形のときだろう? と考えてみました。いかがでしょうか、わかりますか?
(つづく) ○
「ひっかかる人差し指の構え」→「ねむりん坊」でできる「双葉」と名付けたパターン(下左)からの発展をやってみたところ、やや対称性が低くなってしまったので、ひねらない「ハワイの星」からのパターン(下右)を試してみたという話をしました。
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hh210917-1
双葉hh210918-2a 今日はここからの派生のご紹介です。
4本指拡張をして、焼け焦げた葉のククイの終了処理をしてみました。
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hh210919-1
- ひっかかる人差し指の構え
普通の「人差し指の構え」でも良い- ひねらない「ハワイの星」
- 親指を人差し指の輪に上から入れ、小指の手前の糸を取る
- 小指を人差し指の輪に上から入れ、親指向こうの糸を取る
- 人差し指の輪を外す
- 親指・小指を逆ナバホ取り
- TTF拡張処理(2本指→4本指)
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- 焼け焦げた葉のククイの終了処理
内側をきれいに対称になるように調整すると(うまくいっていませんが)、外側が不揃いになります。内側を優先して調整しています。
4本指拡張をして、最後の仕上げはタイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理です。
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hh210919-2
- ひっかかる人差し指の構え
普通の「人差し指の構え」でも良い- ひねらない「ハワイの星」
- 親指を人差し指の輪に上から入れ、小指の手前の糸を取る
- 小指を人差し指の輪に上から入れ、親指向こうの糸を取る
- 人差し指の輪を外す
- 親指・小指を逆ナバホ取り
- TTF拡張処理(2本指→4本指)
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理
できるだけ手順にリンクを張るようにしてみようと思いましたが、お読みいただいている方のお役に立つのかよくわかりません。
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昨日のこの問題、
ABCD is a square.
Find the length of x.簡単な解説の図を作ってみました。こちらです。(別窓で開きます。)興味のある方はご覧ください。
類題も作ってみました。こちらのほうが簡単だと思います。これは正方形ABCDの面積を求めて下さい、という問題です。
<おまけのひとこと>
ABCD is a square.
Find x2.
あやとりの記録のページに画像とリンクを追加しています。正直、昔の自分のあやとり写真、出来栄えが気に入らないものが多いです。当時は喜んで撮っていたのですが、仕上げが甘いもの、撮影条件が不適切なもの、余計な影やフレームの縁が写り込んでいて消せていないものなど、気になります。そのうち時間を見つけて取り直したいです。
9月20日(月) 合同な8枚の三角形で八面体を作る、あやとり「大きな星(裏)」、他
八面体の話とあやとりの話などです。祝日なので遅い時間の更新です。
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昨日、4つの簡単なユニットで各面が合同な鋭角二等辺三角形の八面体を作ってみました。一般に、合同な8枚の三角形で八面体が作れる条件は何だろう? と考えてみました。
三角形が8面ということは、稜の本数は 3×8÷2 で12本です。(1つの面に3つの稜があり、全部で8面あるので3×8、1本の稜は両側の面で2回カウントされるので2で割って12本です。) オイラーの多面体定理から、V(頂点の数)+F(面の数)=E(稜の数)+2 です。なので頂点の数は6です。(まあ正八面体のことを思い出せばいいだけの話ですが。)
用いる三角形の3辺の長さを a, b, c とします。稜の両側には同じ長さの辺が配置されますので、長さaの稜、長さbの稜、長さcの稜がそれぞれ4本ずつあります。頂点の回りの稜を考えると、同じ長さの稜が並ぶことはありません。(そうするとその間の面が同じ長さの辺を持つことになってしまう。)
結局、各頂点にはそれぞれの三角形の同じ角度の角が集まります。ということは、その角を4倍しても360°より小さい、つまりその角は鋭角でなければなりません。三角形のいずれの内角も鋭角であるときにのみ、合同な8枚の三角形で凸八面体を作ることができるのです。
さて、与えられた鋭角三角形の3辺の長さが a,b,c のとき、その三角形が8枚から成る八面体はどんなかたちなのでしょうか。x,y,z 軸の上に切片 p, q, r を取って、それぞれを結んだ距離が a, b, c になるとき、p, q, r を a, b, c で表してみました。
余弦定理によく似た式になりました。(まあ当然なのですが)
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パターンあやとりの装飾処理をいろいろ試してみています。今日は7つのダイヤモンドの逆展開から始めることにしました。
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hh210920-1
7つのダイヤモンドの逆展開
- 人差し指の構え
- 親指を人差し指の輪に上から入れ、小指の手前の糸を取る
- 小指を外す
- 小指で、親指の向こうの2本の糸を取る
- 人差し指を、掌の2本の糸を越えて自分自身の輪の中に上から入れる
- 小指を外しながら、人差し指を下から向こうへ展開する
人差し指の背の糸は自然に外れる
(親指を外しながら人差し指を手前に展開すると
通常の「7つのダイヤモンド」になる)
さらにそこから親指・小指にそれぞれかかっている2本の輪のうち、斜めの糸を外します。
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hh210920-2
大きな星(裏)
- 7つのダイヤモンドの逆展開
- 小指の斜めの糸をナバホ取り
- 親指の斜めの糸を逆ナバホ取り
「ナバホ取り」「逆ナバホ取り」がわかりにくいと思います。ナバホ取りは同じ指にかかっている2つの輪のうち、上の輪を残して下の輪だけを外す操作ですし、逆ナバホ取りは同じ指に掛かっている2つの輪のうち、上の輪を下に動かした上でいったん両方の輪を指から外して、新たに上になった輪だけを元の指に戻す操作です。ところが、そもそも2つの輪のうちどっちの糸が上なのかがはっきりしないと思います。なのでここでは以下のようにお考え下さい。
小指の向こうどうし、親指の手前どうしをまっすぐ横に結ぶ糸をパターン面の外周の糸と呼ぶことにします。外周の糸が作る面をパターン面(もしくは基準面)と呼ぶことにしましょう。ナバホ取りというのは外した糸がパターン面より上になること、逆ナバホ取りというのは外した糸がパターン面より下になること、とイメージすると操作がわかりやすいと思います。
(ナバホの表記は Navajo と書くのが主流ですが、あやとりサイトなどでも Navaho と書かれているものもあります。 Navahoing という用語があったので、今回は h を採用してみました。)
実はこのパターン、ナバホの大きな星 と糸のかかり方の上下が完全に逆になったパターンなのです。なのでこれを「大きな星(裏)」と呼ぶことにしました。
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この「大きな星(裏)」からの派生です。まずは二本指の終了処理1です。
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hh210920-3a
- 大きな星(裏)
- 二本指の終了処理
- 親指の輪を小指の輪の中からつまんで外し、親指に掛け直す
- 小指の輪を親指の輪の中からつまんで外し、小指に掛け直す
(この2つの順番が大事)- 小指で親指向こうの糸を取る
- 親指で小指の手前の糸を取る
(この2つの順番が大事)ふわっと柔らかく取りました。引き絞るとこうなります。
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hh210920-3b ふわっと取ったほうが似合うあやとりだと思いました。
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一昨日のこの問題、
ABCD is a square.
Find the length of x.これに対して、いつもメールで情報やレポートを下さる京都のUさんから、美しい図と証明を送っていただきました。ありがとうございます。Uさんにいただいた図から、この問題の面積が10 : 1 というのを直感的に表せる表示を知りました。
図の水色の直角二等辺三角形とピンクの鈍角三角形の面積は同じです。三角形10個で正方形が構成されていますから、面積が10倍なのは明らかです。美しいです。ありがとうございました。
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コン太の*あやとりップ*という blog のあやとりウェブサイト紹介(日本語)で「あそびをせんとや」の過去の記事を紹介して下さっているのを見つけました。感激です。ありがとうございます。
Mizz codeというあやとり表記法のサイト、知りませんでした。面白そうです。ただ、私はこのところすっかり「石野流」(石野さんのあやとりしてみようで用いられている日本語のあやとり手順の表記法)に馴染んでしまって、以前から興味があったあやとり表記法からは離れてしまっています。
<おまけのひとこと>
今日は天気が良くなりました。
9月21日(火) 展開図から折り紙を折ってみる、あやとり
展開図から折ってみた折り紙の話とあやとりの話です。
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こんな折り紙を折ってみました。私の創作ではありません。
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Fig.1 flicker の Masu of Shenian Mien Crease Pattern(Philip Chapman-Bell) というページにこんな図があったのです。
これを折るとどうなるんだろう? と思って手元の折り紙で折ってみたのでした。折り紙の各辺を8等分する正方格子を基本とする展開図なので、特に定規などの道具は使わずに折り紙そのものだけで折りました。
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Fig.2 Fig.3 折ってみて気が付いたのですが、展開図の中央の正方形の山折り・谷折りが逆です。正しくはこうかなと思います。(追記:これは私の勘違いで、公開されている展開図の通りに折ってちゃんとおりがみ作品を仕上げることができます。)
このパターンは周期的に広げてゆくことができそうです。やってみたくなりました。
(つづく) ○
昨日、「7つのダイヤモンドの逆展開」から親指・小指をナバホ・逆ナバホ取りする「大きな星(裏)」という処理をご紹介しました。この手順を利用した創作あやとりをご紹介します。「四菱」と名付けてみました。将来の自分のために丁寧に説明しておきます。
「四菱」と言えば武田信玄の家紋である「武田菱」を連想します。
このあやとりを取ってみて、「武田菱」みたいだなと思ったのでした。
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元祖大きな星と、「大きな星(裏)」を比べてみました。いずれも上の赤い糸のほうが「大きな星」、下のオレンジの糸のほうが「大きな星(裏)」です。
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sf210921-2a
上:大きな星
下:大きな星(裏)sf210921-2b
上:大きな星
下:大きな星(裏)掌の糸(縦の糸)に掛かっている糸のかかり方が2種類あるのです。下の図で黒線で表したのが縦の糸が結び目のように横に伸びるパターンで、赤線で表したのが縦糸に引っかかって折り返しているパターンです。
元祖「大きな星」を普通に取ると上の図の左のようになると思うのですが、「大きな星(裏)」を普通に取ると、上の図の右のように縦糸の結び目の真ん中で赤い糸が折り返すパターンになると思います。この掛かり方を変えるときには、小指同士を結ぶ外周の糸にかかる2つの糸の左右を入れ替えることになります(下図)。
上に2つ並べた写真(sf210921-2aとsf210921-2b)のうち、左側が普通に取ったときにできるパターン、右側はそれぞれに上の図の入れ替えを行ったパターンです。こういう風に取り比べて変形して吟味してみて、自分が「7つのダイヤモンドの逆展開」から取ったパターンが「大きな星」の裏になっているということがわかったのでした。
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もう1つ書く予定のトピックがあったのですが、「大きな星(裏)」の解説のための図が欲しくなって描いていたりしたら時間がなくなってしまいました。今日はここまでにします。
<おまけのひとこと>
今週はシルバーウィークと言うのでしょうか、飛び石連休です。職場ではお休みを取っている人もいますが、私は今日は終日業界団体の会議があるので在宅勤務です。
9月22日(水) Masu of Shenian Mien Crease Pattern、あやとり「大きな星(裏)」からの装飾・終了処理
昨日の展開図から折ってみた折り紙の話の続きとあやとりの話です。
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昨日、flicker の Masu of Shenian Mien Crease Pattern(Philip Chapman-Bell) という展開図から折り紙を折ってみた話をご紹介して、不遜にも「展開図の山谷が違うのでは?」というコメントを書きました。
昨夜、過去にも素晴らしい情報をたくさん頂いている尾道市の大村さんから、「この展開図は八等分格子ではないのでは?、またタイトルの “Masu” は日本語の升を意味していて、何か容器状のものではないかと思いました」というコメントと共に、展開図通りの山折り・谷折りでこんなものが折れましたという写真をいただきました。ありがとうございます。自分で折り直して写真を載せようかとも思ったのですが、大村さんからいただいた写真を掲載させていただきます。
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Masu(折り・写真:大村さん) 裏返すとテーブルに(折り・写真:大村さん) さすが、折り紙作品の仕上げが大変美しいだけでなく、写真も本当に素晴らしいです。 また、確かにご指摘の通り、改めてみると八等分格子ではないですね。正方形の大きさがおかしいです。
大村さんからは、過去にも5・6・7三十面体(北村さんの多面体)の解析(2017年8月1日)とか、三角形の角の二等分線の座標を求める (2019年2月25日)などをはじめ、たくさんの情報を頂いています。本当にありがとうございます。
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私はこの展開図を見て、すっかり周期的なパターンだと思い込んでしまったのですが、その思い込みで実際に周期的なパターンを折ってみました。昨日、勘違いで勝手に変更したこの展開図を 2x2 の4パターンに拡大したものをA4のコピー用紙に印刷して折ってみました。
あやとりを固定して写真を撮る目的で入手した黒板(これも100円ショップのダイソー出身です)にマグネットで固定してみました。
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Fig.1 Fig.2 マグネットを外すとこんな感じにたわんでしまいます(Fig.3)。裏返すとこんな感じです(Fig.4)。
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Fig.3 Fig.4 コピー用紙にプリンタでパターンを印刷して、それを手掛かりに折りました。裏側には印刷されたパターンが見えています。
これが折れて満足しているのですが、そもそもこれは展開図を読み間違えた盛大な勘違いだったということがわかってびっくりしています。
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「大きな星(裏)」(7つのダイヤモンドの逆展開から親指・小指をナバホ・逆ナバホ取り)からの発展として、このところ気に入っている終了処理である「焼け焦げた葉のククイの終了処理」と「タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理」を施してみました。
続いてもう1つの終了処理です。
パターン中央部を見ると、昨日の下の図の右側の構造になっていることがわかります。
普通の「大きな星」から、糸のかかり方を調整して上の右側の構造にして、同様にTTF拡張して「焼け焦げた葉のククイの終了処理」や「タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理」をしても良いのかもしれません。
<おまけのひとこと>
自分が面白いと思ったことをこうして公開していると、いろいろな方からとてもありがたい情報をいただくことができて本当に感謝しています。
9月23日(木) 階段、あやとり、温泉卵
祝日ということで軽い話題にしました。階段の話といつものあやとりの話、温泉卵の話です。
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職場内SNSに「事業所内の小ネタ」のチャネルを作ったので何か投稿してください、という呼びかけがあったので、こんなCGを(自宅でプライベートの時間に)作って投稿しました。
Fig.1a 階段の踊り場:タイプA
Landing of stairsFig.1b 階段の踊り場:タイプB
Landing of stairs with steps「会社の建物の中のとある階段を1階から3階まで上ると、1階と2階の間の踊り場の構造と2階と3階の踊り場の構造が図のように違っている階段があるのです。どこだかわかりますか?」という投稿をしたのです。おそらく大部分の方は毎日利用しているはずの階段です。こういうのは意識しないと気が付かないものですが、一人だけ若いメンバーから「知ってます、前から気になっていました」という反応があってびっくりしました。
踊り場の途中に1段だけ段差があるのはなぜだろう、と不思議に思っています。どうしてそういう設計にしたのだろう、なぜ統一されていないのだろう、と昔から不思議だったのです。
調べてみると、階段の形状いろいろというページがあって面白く読ませていただきました。
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先週ご紹介した上下に2つの8の字のパターンからの派生の話の続きです。昨日と同様、終了処理として「焼け焦げた葉のククイの終了処理」と「タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理」を試してみました。
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hh210917-2
上下に2つの8の字
「焼け焦げた葉のククイの終了処理」です。
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hh210923-1
- 上下に2つの8の字のパターン
- TTF拡張処理
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- 焼け焦げた葉のククイの終了処理
少し短い糸で取ったので、全体の横幅が狭くなってしまいました。「上下に2つの8の字」のパターンが中央に見えています。
「タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理」です。
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hh210923-2
- 上下に2つの8の字のパターン
- TTF拡張処理
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- タイガーショベルノーズキャットフィッシュ
の終了処理(今日は詳しい手順は省略しています。手順をどこまで書くか、試行錯誤中です。)
この終了処理らしいパターンになりました。パターン全体のうち、真ん中を整えようとがんばった結果、外周の左右のバランスがわるくなってしまいました。
この「上下に2つの8の字」、結び目のような絡まりがあるので横向きのハート型のように見えないこともありません。(ちょっと無理があるか…)
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先日、食品スーパーでワインが安くなっていたので3本買ったのですが、レジで緩衝材として果物を保護する柔らかいネットを貰いました。調べてみると「フルーツネット」という名前で、1つ5円くらいはするみたいです。
せっかく貰ったので、これが何かに利用できないだろうかと思ったのです。以前どこかで「カップ麺の容器は断熱性能があるので温泉卵が作れる」というのを読んだことがあったのを思い出して、陶器の容器をこれで保温して温泉卵が作れるのではないか、と思い付きました。早速材料を揃えて実験してみることにしました。
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Fig.2a お湯を沸かして、昔お寿司屋さんで貰った大きな湯飲み茶碗に生卵を入れ、熱湯を少し注いで湯飲みと卵をいったん温め、まずそのお湯は捨ててもう一度熱湯をたっぷり入れます。(紅茶をいれるときにカップを温めるのと同じです。)緩衝材を湯飲みに巻きます。
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Fig.2b 陶器のふたをして、その部分も緩衝材で覆います。なんだか遊牧民族の住居みたいなかたちになりました。
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Fig.2c さらに、厚手のタオルを巻きます。
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Fig.2d これ全体をクーラーボックスのような保温容器に入れれば完璧ですが、そこまでしなくても大丈夫です。このまま30分くらい放置します。時間が経過したら、湯飲みに水を加えて卵の温度を下げて、卵を冷蔵庫に保存しました。
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Fig.2e 朝仕込んでおいてお昼に食べました。ちゃんと温泉卵ができました。楽しい…
<おまけのひとこと>
今日は更新に手間取ってしまいました。いつも、その日の分のテキストは前日の内容を丸ごとコピーしてそれをベースに修正してゆくのですが、いくつかのトピックを並行して編集していたら、間違えて一部分は前日のテキストを上書き、一部分は新しい日付のテキストを上書きしてしまって、復元できなくなってしまいました。仕方なくhtmlファイルを別名で保存して、サーバから昨日アップロードしたファイルをダウンロードして、もう一度最初から編集し直しました。かなり手間がかかってしまいました。一日分の内容が多くなってきているのが敗因です。どうしたものか…
9月24日(金) 折り紙“Star vase”、あやとり、他
折り紙の話とあやとりの話です。
○ すみません、最初にお詫びです。昨日の2つの階段の踊り場の図、間違って2つとも同じ画像にリンクしていました。(昨日のリンクは修正済みです)
階段の踊り場:タイプA 階段の踊り場:タイプB いつもこういうミスを教えてくれるMさん、ありがとうございました。どこかが違っているはずだと思って「間違い探し」のように検討して下さったそうです。大変申し訳ありませんでした。
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flickrに公開されている展開図から折り紙を折ってみる試み、もう1つご紹介します。Star Vase(星の壺:Francesco Guarnieri,2010)です。
この展開図から、こんな完成形を折ってみました。( 前回は間違えましたが、今度こそ8等分格子でいいはず。)
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Fig.1a wrong finished form : Head Fig.1b wrong finished form : Tail まあこんなものかな、と思ったのです。でも、改めて上記の flickr のページを見ると、完成形の写真も公開されていました。それを見て修正しました。
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Fig.2a Star vase : Head Fig.2b Star vase : Tail
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Fig.2c Star vase こちらのほうがずっときれいですね。失礼しました。完成形を知らずに展開図だけから折ってみるというのは、それこそパズルのようで楽しいです。
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今日も、上下に2つの8の字のパターンからの派生の話です。
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上下に2つの8の字こんな手順で取ってみました。
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- 上下に2つの8の字のパターン
- 人差し指で、親指側の8の字型の糸のうち親指に一番近い糸を
外から中にすくい取る- 薬指で、小指側の8の字型の糸のいうち小指に一番近い糸を
外から中にすくい取る- タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理
(ひねらない)シンプルできれいなパターンだと思います。これはマグネットボードに固定しなくても、両手の間でかたちを整えることが可能です。
手順2と手順3で取る糸が言葉だけだとわかりにくいかもしれないので、図を用意しました。「上下に2つの8の字」の最後の手順で、親指・小指を二重ナバホ取りしますが、そのときに外した糸を人差し指と薬指ですくい取る感じです。
これ、新たな4本指拡張のテクニックになるかも、と思っています。いろいろ試してみたいパターンの組み合わせのイメージが広がります。
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No connection wood brain teaser puzzle(繋がらない木製の頭の体操パズル) という製品の画像がありました。
No connection wood brain teaser puzzle これを見て、以前このパズルの解析をしてみたことがあったことを思い出しました。2019年9月28日にパズルのご紹介を、翌々日の30日に解説を書いています。製品になっているとは知りませんでした。
<おまけのひとこと>
昨日は編集作業をミスして懲りたので、前日分を丸ごとコピーするのはやめて、編集中に必要な部分だけを都度コピーする方式に改めました。若干効率は悪いですが、ミスは起こりにくいと思います。
9月25日(土) 折り紙、あやとり
折り紙の話とあやとりの話です。
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折り紙を格子状に折って、それをなんとなくいじってみました。
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何か立体的な周期的な繰り返しパターンができないかなと思って探索中です。
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昨日に続いて上下に2つの8の字のパターンから8の字の親指・小指に一番近い糸を人差し指・薬指ですくい取る4本指のパターンからの終了処理です。
終了処理を「焼け焦げた葉のククイ」にしました。「ひねり無し」です。
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- 上下に2つの8の字のパターン
- 人差し指で、親指側の8の字型の糸のうち親指に一番近い糸を
外から中にすくい取る- 薬指で、小指側の8の字型の糸のいうち小指に一番近い糸を
外から中にすくい取る- 焼け焦げた葉のククイの終了処理
(ひねらない)さらにすっきりしたパターンになりました。では、終了処理の前に親指・小指をひねるとどうなるでしょう?
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- 上下に2つの8の字のパターン
- 人差し指で、親指側の8の字型の糸のうち親指に一番近い糸を
外から中にすくい取る- 薬指で、小指側の8の字型の糸のいうち小指に一番近い糸を
外から中にすくい取る- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- 焼け焦げた葉のククイの終了処理
人差し指・薬指の内側の糸を反対の手で持ち上げて、
親指・小指の内側の糸を取り合う「焼け焦げた葉のククイの終了処理」は、内側の指(ここでは人差し指・薬指)の輪の中を通して親指・小指の内側の糸を取り合う操作です。親指も小指も同じルートを通ります。
2つの指の輪をそれぞれ上からもしくは下からくぐるので、4通りのパターンがあります。上の手順で書いたのは、親指は人差し指の輪に上から、薬指の輪に下から入れるパターンです。図で描くとこんな感じです。
赤丸の2本の糸(人差し指の向こうの糸と薬指の手前の糸)を逆の手(右手)でつまみ上げて通路を作り、その通路の中を親指・小指で糸を取り合うと簡単です。
やってみるとわかりますが、逆に人差し指の手前の糸と薬指の向こうの糸をつまみ上げて取り合うと、完成形が不安定になります。
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昨日のパターン、気に入ったので短い糸でも取ってみました。
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こんな図を描いてみました。
楽しいです。
<おまけのひとこと>
お彼岸の中日にお墓参りできなかったので、今日はお墓に行きます。車で片道1時間以上かかるのですが、10時には車の点検を予約しています。遅くとも6時に家を出ないと間に合いません。そんなわけで簡単な更新にしようと思っていたのですが、つい図を作ったりして遅くなってしまいました。急がないと…(今、5時半です)
9月26日(日) ジグザグ分割立方体、あやとり
多面体折り紙の話とあやとりの話です。
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先月のはじめに、前川淳さんの折る幾何学(日本評論社:2016)を取り出してきたので、ぱらぱらとページをめくって眺めていたのです。そうしたら、まだ作ったことない面白そうな多面体があったので折ってみました。2-18.ジグザグ分割立方体という作品です。
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Fig.1-1 Fig.1-2 合同な凸でない多面体2つで立方体になります。それぞれ不切正方形一枚折りです(Fig.1-1)。2つを組み合わせたり分解したりするときには変形する必要があります(Fig.1-2)。
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Fig.1-3 Fig.1-4 ちょっと精度がよくない(腕が悪い)ですが、分解と組立の動きがとても面白いです。
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ジグザグ分割立方体の多面体のかたちが面白いので、CGにしてみました。
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Fig.1-5 このかたち、気に入りました。ペーパーモデルの手法でもう少し剛性の高い模型を作ろうかとも思ったのですが、そうすると2つを組み合わせられません。どうしようか…
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上下に2つの8の字のパターンからの発展、もう少し工夫してみました。
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上下に2つの8の字内側3本指で「ガイアナの星」の装飾を加えます。
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- 上下に2つの8の字のパターン
- 内側3本指で「ガイアナの星」
- 人差し指で掌の糸を取り合う
上下の8の字の間で- 薬指で人差し指の向こうの糸を取る
- 中指で掌の糸を上から手前にひねって取る
- 人差し指の輪を中指の輪の中から、
中指の輪を人差し指の輪の中から、
薬指の輪を中指の輪の中から
それぞれつまんで外して掛け直す- 中指を外す
- 焼け焦げた葉のククイの終了処理
(ひねらない)上下の2つの8の字、中央のガイアナの星がはっきりわかるパターンになりました。(かたちを整える努力が必要でした。)
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出し惜しみしていると紹介しそびれるのでもう1つ。途中で力尽きたパターンですが一応ご紹介。ダブルハートの処理を追加してみました。
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- 上下に2つの8の字のパターン
- ダブルハートの処理
- TTF拡張処理
(糸が短くて終了処理は断念…)本当はこの後で「焼け焦げた葉のククイの終了処理」や「タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理」ができると良いのですが、これ以上中央のパターンが小さくなると厳しいので諦めました。これは形を整えるのがとても大変でした。ホワイトボードに固定しておいて、少しずつ糸の位置やかたちを整えてゆくのですが、その作業そのものがパズルみたいでした。
画像の中央部分を拡大してみました。
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これを「飾り結び目」として作るのではなく、「あやとり」として作るというところがおもしろいと思うのです。
<おまけのひとこと>
今日は雨が降っています。昨日、お墓参りを済ませておいて正解でした。お休みの日に窓の外の雨を眺めながら家の中で好きなことをやっている時間というのもとても好きです。
9月27日(月) 立方体の4分の1、あやとり、幾何の問題
多面体模型の話とあやとりの話と、幾何の問題です。
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昨日の前川淳さんの「ジグザグ分割立方体」から連想して、こんな立体を考えてみました。2つの図は、同じ立体を違う方向から見ているものです。
Fig.1-1 Fig.1-2 ジグザグ分割立方体は合同な多面体2つで立方体になりましたが、それをさらに二分割してみたのです。こうすれば弾性変形させなくても4つで立方体を組めるはずです。
ペーパーモデルの手法で作ることにしました。こんな展開図を設計しました。
Fig.1-3 これを4つ、A4サイズにレイアウトして印刷して折り筋を入れて切り取って組み立ててみました。設計から4つの多面体が完成するまでに30分程度でした。
(つづく) ○
上下に2つの8の字のパターン、
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上下に2つの8の字シンプルにここから「二本指の終了処理」をしてみました。
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- 上下に2つの8の字のパターン
- 二本指の終了処理1
- 親指の輪を小指の輪の中からつまんで外し、親指にかけ直す
- 小指の輪を親指の輪の中からつまんで外し、小指にかけ直す
- 小指で親指向こうの糸を取る
- 親指で小指の手前の糸を取る
二本指の終了処理は、親指・小指のどちらを先に行うかが重要な場合があります。
このあやとり、10日ほど前にご紹介したこちら「上下の2つの8の字」→中指で掌の糸を取る→全ての指を外側に1回転ひねって「焼け焦げた葉のククイの終了処理」とちょっと雰囲気が似ています。
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hh210917-3 オープニングが同じ「上下の2つの8の字」なので、似ていて当たり前なのですが。
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こんな図形の問題を解いてみました。面白かったのでご紹介します。
Find the area of the red triangle OABは半径4の4分の1円です。AOの中点Pを中心とした、直径4の半円を描きます。弧AB、半径OBおよび半円に接する円の中心をRとします。弧ABと小円Rの接点をQとするとき、三角形PQRの面積を求めなさい、という問題です。(最近、出題しっぱなしで解説を書いていない幾何の問題がありますが、これは解説図と略解を用意したので、多分掲載できると思います。)
(つづく) <おまけのひとこと>
あやとり、基本形やそこからの装飾処理をいろいろ試していて、もう2つ3つ、シリーズのストックがあります。その中にはとても気に入ったものもあります。忘れないうちにご紹介したいと思っています。今日はボリュームのある内容を用意する時間がなかったので、簡単な更新にしました。
9月28日(火) 立方体の4分の1の紙模型、あやとり、幾何の問題(略解)
多面体模型の話とあやとりの話と、幾何の問題の略解です。
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昨日の展開図から合同な紙模型を4つ作りました。いろいろな向きに置いてみました。
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Fig.1 この4つで立方体を作って下さい、というのはそんなに易しくないパズルかもしれないと思います。
前川淳さんの「ジグザグ分割立方体」のかたちにしてみました。このかたち、やっぱり面白いです。
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Fig.2 Fig.3 積み木のように並べてみました。
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Fig.4 Fig.5 楽しい…
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先週、「大きな星(裏)」というのをご紹介しましたが、その派生を取ってみました。
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hh210928-1 hh210920-2:大きな星(裏)
- 7つのダイヤモンドの逆展開
- 親指・小指を逆ナバホ取りする
斜めの糸が全て外周の糸の下になるように
- 7つのダイヤモンドの逆展開
- 小指をナバホ取りする
- 親指を逆ナバホ取りする
このパターン、一見「ナウルの太陽」の系統のあやとりに見えますが、それとは違います。カロリン展開してみるとだいぶ雰囲気が変わります。
このパターンに対して「二本指の終了処理」をしてみました。小指を先にする場合と親指をさきにする場合とで完成形がまるで違ってしまいます。
なぜこういうことが起こるかというと、小指手前の糸(下図○)と親指向こうの糸(下図☆)が交差する部分(黒い矢印)を見ると、小指の糸が上になっているからなのです。
先に「小指の輪を親指の輪の中を通して小指にかけ直す」と、上の図の矢印のところで糸が絡まりますが、逆に「親指の輪を小指の輪の中を通して親指にかけ直す」と、絡まりの位置は違ったところに行ってしまうのです。
二本指の終了処理で、親指が先か小指が先かを決めるときに、2つの糸の交差が上になっているほうを先に取る、と覚えておくと良いです。
このパターン、ちょっと面白いと思ったので整え方を変えてみました。
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hh210928-2b hh210928-2c 写真が良くなかったです。
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昨日ご紹介したこの問題、
Find the area of the red triangle 略解の図を用意しました。次のリンクをクリックすると別窓が開きます。まず小円の半径を求めます(解説図1)。続いて面積を求めます(解説図2)。
4分の1円と半円と小円の関係、解いてみたのは初めてだった気がします。なるほどそうかと思いました。
<おまけのひとこと>
お彼岸を過ぎて急に寒くなりました。昨日の朝、出勤時に車に乗って温度計を見たら、気温が9℃でした。季節の変わり目は体調管理が難しいです。
9月29日(水) クリンチキューブ、あやとり
立体パズルの話とあやとりの話です。
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前川淳さんの「ジグザグ分割立方体」を2分割した、こんな多面体模型を作ってみましたということをご紹介したところ、
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いつもパズルに関していろいろ教えて下さるMさんから、「これはクリンチキューブのユニットですね」という情報をいただきました。パズルに関する日本の古典的名著である高木茂男「Play Puzzle」に掲載されているそうです。この本は素晴らしい本なのですが、図書館で借りて読んだことがあるだけで持っていないため、忘れていました。ありがとうございました。
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「クリンチキューブ」というのは、上の画像の多面体2つが蝶番で連結されているものを2つ組み合わせて立方体を作るというパズルです。 蝶番で開いたり閉じたりする様子をCGにしてみました。
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Fig.1 animation(open) Fig.2 animation(close) 前回のCGでは折り紙作品にならって立方体の外側になる部分と内側になる部分の色を変えていましたが、今回は同じ色にしました。蝶番に相当する稜を赤い色にしました。
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検索してみてもあまり情報が見つからなかったのですが、インディアナ大学のコレクションのThe Jerry Slocum Mechanical Puzzle Collectionの中にいくつか画像がありました。下の画像からリンクしていますのでご確認ください。
06127:Clinch-Cube 29028:Clinch-Cube リンク先の情報によると、デザインされたのは Bart Phillips という方だそうです。こちらのFolding Puzzles(折りたたみパズル)というコレクションのページにもBart Phillips Cubeという名前で写真がありました。
「クリンチキューブ」という名前を教えていただいたおかげで、いろいろ調べることができました。本当にありがとうございました。
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昨日の「7つのダイヤモンドの逆展開」→「親指・小指を逆ナバホ取り」からの装飾・終了処理をしてみました。
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hh210928-1 ここから、TTF拡張処理、タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理をしてみました。
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hh210929-1
- 7つのダイヤモンドの逆展開
- 親指・小指を逆ナバホ取り
(外した糸が外周の下になるように)- TTF拡張処理(2本指→4本指)
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理
これもきれいなパターンのあやとりだと思います。
このパターン、中央にできる小さなリースのような構造が面白いと思いました。
以前ご紹介した、(数学の結び目理論の)結び目の規則的なパターンのようです。
もちろん実際の構造は全然違うのですけれども。
<おまけのひとこと>
午前1時くらいから1時間おきくらいに目が覚めて、諦めて3時には起きてしまって「さて今日は何を書こうかな」と思ったら、昨夜寝た後にMさんから「クリンチキューブ」というメールを頂いていて、喜んでCGを作ったりNet検索をしたりしていたらあっという間に朝になってしまいました。情報を頂いて本当に嬉しかったです。ありがとうございました。
9月30日(木) クリンチキューブのCG、あやとり、幾何の計算問題
昨日のパズルのCGとあやとりの話、幾何の問題です。
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昨日ご紹介したクリンチキューブの組み合わさり方が面白いので、CGにしてみました。パズルの解なので直接は載せません。下記リンクからVGA(640x480)サイズの12フレームくらいのgifアニメーションが開きます。興味がある方はご覧ください。
Clinch-Cubeの解のアニメーション(不透明) Clinch-Cubeの解のアニメーション(半透明) パズルの2つのパーツの可動部の開き角とパーツ間の距離の関係は線形ではありません。(距離に比例して開き角を決めれば良いというわけではないです。)厳密に計算するのはとても面倒なので、いくつかの距離でパーツが干渉しない開き角を適当に決めてアニメーションを作りました。こういうCGを作るのは本当に楽しいです。
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「7つのダイヤモンドの逆展開」→「親指・小指を逆ナバホ取り」からの装飾・終了処理の別バージョンです。
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hh210928-1 「親指・小指を逆ナバホ取り」で外した糸を人差し指・薬指ですくい取る手法で4本指パターン化してみました。
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hh210930-1
- 7つのダイヤモンドの逆展開
- 親指・小指を逆ナバホ取り
(外した糸が外周の下になるように)- 人差し指で、逆ナバホで親指から外した斜めの糸を親指側から図形中央側にすくい取る
- 薬指で、逆ナバホで小指から外した斜めの糸を小指側から図形中央側にすくい取る
- 全ての指を外側に1回転ひねる
- タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理
上記の手順3と4で取る糸を図示すると下のようになります。
逆ナバホ取りで外した直後に人差し指もしくは薬指で取ってしまうほうが、取るべき糸を見失わなくて済むので楽かもしれません。
この、親指と小指が二重になった終了形(典型的なのは7つのダイヤモンドとかです)から、親指と小指の外周の糸(親指同士、小指同士を結ぶ糸)を残して斜めの糸をナバホもしくは逆ナバホ取りし、そのとき外した糸を人差し指・薬指ですくい取るという「2本指→4本指の拡張処理」も有用な手順です。何か名前を付けると良いのかもしれません。有機化学も命名法の体系がありますが、あやとりの手法にも命名規則が作れるといいのだろうなと思います。
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昨日の、中央に小さなリースのようなパターンができるあやとりを、もう少し短い糸で取ってみました。
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hh210929-1b hh210929-1 こうすると、中央のパターンはリースというよりは六角星のように見える気がします。この長さだと取るときは最後がちょっと窮屈な感じですが、出来上がりは悪くないです。
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こんな問題を見かけて、計算してみました。
半径1の円を互いの中心を通るように2つ描くと、2つの円の中心と円の交点で正三角形が描けます。このとき、図のように2つの円に接する正方形の1辺の長さを求めて下さい。
(つづく) <おまけのひとこと>
月末ですが、思いがけずこの幾何の問題、つづきます。