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以前の「ひとこと」 : 2019年2月後半



2月16日(土) 細長い三角形から折るらせんのCG

 ずっと前、2007年8月18日のひとことから数日間、布施知子さんの「らせんを折る」という講演会で習った、細長い三角形を折って作るらせんをご紹介しました。そのCGを作ってみました。

 最初に、当時ご紹介した図を再掲しておきます(再掲図1)。こんなかたちを折りました。

再掲図 1

 これは、こんな細長い三角形の頂角を二等分するように折ってゆくことで作ることができました(再掲図2)。

再掲図 2

 最終的には正三角形に収束するのですが、折りはじめの三角形の角度によって、印象が変わります。6パターンほど掲載します。

図 1 図 2
図 3 図 4
図 5 図 6

 いかがでしょうか。CGだと誤差が少ないので、きれいだと思います。特に図5、図6の包絡線が美しいなあと思うのです。

(つづく)



 実はこのCGを作ったのは2年ほど前なのですが、なんとなくご紹介しそびれていました。今回、しばらく更新を中断してした後に再開するにあたって、ある意味「とっておき」のストックから持ってきたネタです。

<おまけのひとこと>
 最近はピアノでバッハを練習しています。






2月17日(日) 細長い三角形から折るらせんのCGの計算メモ

 昨日のCGを作成するに当たって、「三角形の1つの内角を二等分するように折った時に新たな頂点の位置がどうなるか」を、直交座標系で計算してみました。別に何も難しいことはないのですが、馬鹿正直にやったのでちょっと面倒でした。

 この結果に基づいて描いたCGがそれらしい結果になっているので、おそらく計算は合っているのだろうと思います。



 幾何学的な作図の操作を直交座標系の演算として表現する、もっと良いテクニックがあるような気がするのですが、今回は「知恵がないので汗をかく」方針で計算しました。

<おまけのひとこと>
 金曜日に高速道路のサービスエリアで車の燃料の給油をしました。いつもしつこく水抜き剤を勧めてくるスタンドなのでできるだけ避けていたのですが、燃料の残量の都合でやむを得ず寄りました。案の定、水抜き剤を勧められて、一旦は断ったのにかなり食い下がられて、面倒になって入れてもらってしまいました。根負けしたのは初めてです。このスタンドに寄らなくて済むように気を付けようと思いました。
 車のために害になるわけではないでしょうから、数百円くらいだしまあいいか…と妥協してしまいました。あの粘り方から想像するに、店員さんのノルマとかあるのかな、と思いました。






2月18日(月) “The Amazing Fidget Pyramid”の頂角を変えてみる(失敗)

 先週の金曜日にご紹介した、シンプルな展開図の頂角が30度の二等辺三角形4枚を側面に持つ四角錐と同じ展開図で、頂角をもっと大きくしたらどうなるのだろう? と思ってやってみました。結論から言うと、頂角を大きくするとロックしませんでした。

 こんな感じになりました(図1)。

図 1

 それぞれの頂角の決め方は図2の通りです。

図 2

 一番左は頂角が45度、中央のものは頂角が36.9度くらい(1:2:√5の直角三角形の角度から計算できます)、右はオリジナルの頂角30度です。

図 3

 角度が3等分になっていることがロックされる理由なのだということがわかりました。「そんなのわざわざ試してみなくてもわかるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、やってみてやっと納得しました。



 頂角をさらに尖らせたらどうなるだろう? と思いました。これは折り線を増やさないとうまくいかない気がします。逆に言うと、側面の重畳する二等辺三角形の分だけ折り線を増やせば、さらにしっかりロックするような気もします。でも、底角の頂点付近の処理がうまくいかないかな? いずれにせよ、比率的にも尖りすぎて美しくない気がするので、たぶんやらないと思います。

<おまけのひとこと>
 でも、極端に細くすればオベリスクとかモニュメントみたいになって、それはそれでいいのかなあ、という気もしてきました。






2月19日(火) カプセルトイ “ザ・ハウス”

 先日出かけたときに寄ったホームセンターの入り口のカプセルトイに、こんなものがありました(図1)。

図 1

 200円でした。つい1つ買ってしまいました。

図 2

 色(光の波長)が次々と変わってゆきます。

図 3

 クリスマスシーズンには良いかもしれません。



 最初に出たのがシンプルなかたちの家だったので、もう1つ買ってみようか…と思いました。でも同じものが出たらちょっと嫌だな、と思っていったんカプセルトイマシンの列の前を離れました。でも「5種類あるから単純に考えてダブる可能性は20%しかないし、まあ200円だし」と思って、引き返してお金を投入してハンドルを回したのですが、我ながら驚いたことに、目的のカプセルトイの隣のマシンにお金を投入してハンドルを回していたのでした。(馬鹿…)

 ちなみに間違ってやってしまったのは、よくある「何が出るのかわからない」タイプのもので、まだ開封していないのでよくわかりませんが、キャラクターもののようでした。まるでギャンブルにのめり込む典型的な悪いパターンのように、こうなったらもう1回やるしかないと開き直って、もう一度“ザ・ハウス”に200円を投入してハンドルを回しました。そうしたら、確率20%を見事に引いてしまいました。まさかのダブりです。

 まだお財布に100円玉は数枚残ってはいたのですが、さすがにここでやめることにしました。1つあれば十分です。いい歳をして何をやっているんだろう、と自分のことが可笑しくなりました。

<おまけのひとこと>
 2/19(火)の早朝(というか未明)に18日(月)と19日(火)の2日分の更新をしています。2日分とも失敗談でした。火曜日の朝は週の進捗報告の日なので普段に輪を掛けて早く家を出ます。






2月20日(水) 「平方数のやっつけ問題2つ」(出題編)

 イアン・スチュアートの「数学ミステリーの冒険」(図1)を図書館で借りてきました。

図 1

 その中に載っていた問題です。

【問1】 1,2,3,4,5,6,7,8,9 の数字をそれぞれ1回ずつ使ってできる最大の平方数は? 
【問2】 1,2,3,4,5,6,7,8,9 の数字をそれぞれ1回ずつ使ってできる最小の平方数は? 

 9桁の平方数(1,4,9,16,25,49,64,81,100,121,144 … のように、整数を二乗した数)の問題です。学校のテストのように「紙と鉛筆だけで解け」というのは単なる苦行になってしまうので、電卓や計算機は使ってよいことにします。プログラムを書いて解くのももちろんOKです。どういう方法を使って解くのが一番早そうでしょうか? もちろん、どんな環境(パソコンとか)やソフトウエアをお持ちかによって、人によって最適な方法は異なると思います。

 私は今回はこの問題をExcelで解いてみました。何らかのコンピュータ言語でプログラムを書くことができる人の数よりも、Excelを使える人の数のほうが多いと思ったためです。

 皆さんならば、上記の問題を解くときにどんな方法を選ぶでしょうか? 仮に「Excelで解いて」と言われたらどうしますか?

(つづく)



 上記の問題のExcelでの解き方を紹介したとして、それをやってみることができる人はどのくらいいるのだろう? と思ったときに連想したのが、この週末に読んだ下記の記事でした。(やろうと思えばやることができる人のうち、「自分でもやってみよう」という人は非常に少ないのは間違いないですが。)

 2月16日の文春オンラインに、OECD(The Organisation for Economic Co-operation and Development)のSurvey of Adult Skills (PIAAC)という調査の結果として、下記のような報告があったという記事が掲載されていました。

(1)日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない。
(2)日本人の3分の1以上が小学校3〜4年生以下の数的思考力しかない。
(3)パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない。
(4)65歳以下の日本の労働力人口のうち、3人に1人がそもそもパソコンを使えない。

 調査対象や調査の方法などをちゃんと確かめないと煽情的になりかねませんが、なかなか衝撃的な話です。「日本語が読めない」というのは文字が認識できないという意味ではなく、少し面倒な文章の読解ができない、ということのようですし、「パソコンを使った基本的な仕事ができる」というのと「パソコンが使える」ということの違いもあいまいです。マスコミらしい「煽り」表現だと思いますが、私たち読者がそういった過激な表現に反応して記事を読むわけですから、一方的に情報提供側だけが悪い、という単純な話ではないと思っています。

 情報を鵜呑みにせず、かつ自分の考えと異なる意見であっても先入観なく論理を検討できることが大切かなあと思います。もちろん、完全に客観的な視点というものはあり得ず、誰でも過去の経験や知識の蓄積としての「自分ならではの視点」からは逃れられないと思っています。



 いつもコメントを下さる尾道市の大村さんから、角の二等分線の直交座標系表現に関する、もっと簡単な表現を教えていただきました。さらに、私の式を変形して大村さんの表現と等価であることを、面倒な計算をして確かめて下さったそうです。感激です。ありがとうございます。いただいた内容については、後日ご紹介させていただきたいと思います。ありがとうございました。

<おまけのひとこと>
 本日は定期通院のため、計画年休を取得しています。今年度は例年の3倍くらい有給休暇を取得しています。先日のインフルエンザで1週間(5日間)お休みしたのが大きいですが、計画年休を6日間設定してかならず取得しなさい、という制度になったのも大きいです。平日も休日も自宅でやりたいことがたくさんある私としては嬉しい限りです。






2月21日(木) 「平方数のやっつけ問題2つ」(解き方編)

 昨日ご紹介した

【問1】 1,2,3,4,5,6,7,8,9 の数字をそれぞれ1回ずつ使ってできる最大の平方数は? 
【問2】 1,2,3,4,5,6,7,8,9 の数字をそれぞれ1回ずつ使ってできる最小の平方数は? 

をパソコンを使って解いてみたのでご紹介します。

 問題を素朴に捉えると、1〜9の9種類の数字の順列すべてを考えて、それが平方数になっているのかを順番に確かめてゆく、という方法をまず思いつきます。これだと試行回数は9の階乗になるので、362,880回になります。プログラムを書いて計算機に探してもらうなら、まあ許容範囲かなあと思いますが、順列を生成するプログラムを書くのがのがちょっと面倒かなと思いました。(言語によっては標準的にその機能を持っているものもあります。)Excelでやるなら、362,880行というのはちょっと大きいと思います。(最近のバージョンのExcelは、シートで扱える行数の最大値は100万行を超えているようですが。)

 逆の発想として、9種類の数字で作れる最小値である123,456,789と最大値である987,654,321の平方根を電卓で求めると、それぞれ11111.11106... と31426.968...になります。ということは、9種類の数字1つずつから成る平方数の根は、11112と31426の間にある、ということになります。これなら探索範囲はかなり狭まります。

 後者の方法で力技でExcelに頑張ってもらうことにしました。



 まず、A列に基となる数字を入れます(図1)。

図 1

 B列にその平方数を入れます(図2)。

図 2

 数値のままだと使っている数字を検索するのが面倒なので、ExcelのTEXT()関数を用いて文字列に変換します(図3)。

図 3

 D列〜L列で、数字の1,2,3,4,…,9を検索し、その数字があったら1、なければ0にします(図4)。

図 4

 数字を探索した結果、何種類の数字が見つかったかを合計します(図5)。

図 5

 この段階で、M列が9になっている行をフィルタで抽出してもいいのですが、一応N列に条件判定を入れました(図6)。

図 6

 N列が1になっている行をフィルタで抽出すれば、答がわかります。(すみません答は書きません。)



 昨日出題した上記の問題、さっそく日本数学協会の渡邊さんから「プログラムを書いて解いたら、全部で30解ありました」というメッセージと共に解のリストをいただきました。ありがとうございます。

 渡邊さんとは以前日本数学協会の年次大会でお目にかかったのが最初で、お会いしたときには私と同じく本業は企業にお勤めしながらのアマチュア数学愛好家という方で、またお仕事のほうでソフトウェアにもお詳しくて、お話をしてとても楽しかったのです。今回、解を送っていただいてとても嬉しかったです。ありがとうございました。



 1〜9ではなくて、ゼロを加えた10文字ならどうなのかな? とか、逆に1〜8とか1〜7とか、使っていい数字を減らしたらどうなるのだろうか、とか、十進法ではなくて例えば8進法で1〜7を使った平方数はあるのだろうか、とか、調べてみても面白そうだと思いました。誰か調べていそうですね。でもこのくらいなら文献探索するより自分でプログラムを書いたほうが早いかもしれません。

<おまけのひとこと>
 だいぶ春めいてきました。でもここで油断してはいけないなと思います。






2月22日(金) 「平方数のやっつけ問題2つ」(追加情報)

 一昨日からご紹介している、イアン・スチュアートの「数学ミステリーの冒険」に載っていた小さなトピック「平方数のやっつけ問題2つ」

【問1】 1,2,3,4,5,6,7,8,9 の数字をそれぞれ1回ずつ使ってできる最大の平方数は? 
【問2】 1,2,3,4,5,6,7,8,9 の数字をそれぞれ1回ずつ使ってできる最小の平方数は? 

 に関する追加情報をいただいたので、ご紹介をさせていただきます。ありがとうございます。



 昨日、1〜9の数字を1つずつ使った平方数の全部の解(30個)を送って下さった日本数学協会の渡邊さんから、0も加えた10個の数字1個ずつを使った平方数のリストもいただきました。先頭がゼロの30個も含め、全部で117個ありました、ということです。さっそく調べていただいてありがとうございます。

 10個の数字が10桁のうちのどこに登場しているかの頻度の分布も調べていただきました。平方数なので、1桁目に出てくるのは1,4,5,6,9のいずれかです。(一般の平方数では、1桁目が0というものもありますが、この問題の場合は1桁目が0になることはありません。理由は説明しなくてもわかると思います。)この分布の表も面白いので、別途ご紹介をさせていただくかもしれません。



 尾道の大村さんからも「1〜9を並べ替えてできる数は九去法により必ず9 = 3^2の倍数と分かるので、3の倍数(の平方数)だけを調べればよいので、探索範囲を1/3に減らせますね」というコメントをいただきました。なるほど! その通りですね。

 プログラムを書いて解を探索するような問題の場合、少しでも探索空間を狭めるために工夫をすることがあります。例えば計算に一晩(8時間)かかる計算が1/3になれば、午前と午後に2回ずつプログラムを実行することができるようになったりします。この差は大きいです。

 ただ、計算そのものがそれほど時間がかからず、かつ探索範囲を狭めるための工夫が面倒なプログラムを要求する場合、プログラムを書いてデバッグして…とやるよりも、シンプルなコードを書いてさっさと実行してしまったほうが、結果的に早く答が手に入ることもあります。(実行時間が10秒のプログラムを高速化して3秒になるとして、そのためにコードを工夫する時間が7秒以上かかるのであれば、高速化しないほうが結果としてはやい、ということになります。)

 今回の「3の倍数だけ調べる」というのは、極めてシンプルな工夫で高速化できる(無駄だとわかっている計算は飛ばす)ので、とても良いアイディアなのです。自分で思い付けなかったのがちょっと残念…



 解を独り占めしてもいけないので、渡邊さんにいただいた30解を掲載します。

01:  11826  1 3 9 8 5 4 2 7 6
02:  12363  1 5 2 8 4 3 7 6 9
03:  12543  1 5 7 3 2 6 8 4 9
04:  14676  2 1 5 3 8 4 9 7 6
05:  15681  2 4 5 8 9 3 7 6 1
06:  15963  2 5 4 8 1 7 3 6 9
07:  18072  3 2 6 5 9 7 1 8 4
08:  19023  3 6 1 8 7 4 5 2 9
09:  19377  3 7 5 4 6 8 1 2 9
10:  19569  3 8 2 9 4 5 7 6 1
11:  19629  3 8 5 2 9 7 6 4 1
12:  20316  4 1 2 7 3 9 8 5 6
13:  22887  5 2 3 8 1 4 7 6 9
14:  23019  5 2 9 8 7 4 3 6 1
15:  23178  5 3 7 2 1 9 6 8 4
16:  23439  5 4 9 3 8 6 7 2 1
17:  24237  5 8 7 4 3 2 1 6 9
18:  24276  5 8 9 3 2 4 1 7 6
19:  24441  5 9 7 3 6 2 4 8 1
20:  24807  6 1 5 3 8 7 2 4 9
21:  25059  6 2 7 9 5 3 4 8 1
22:  25572  6 5 3 9 2 7 1 8 4
23:  25941  6 7 2 9 3 5 4 8 1
24:  26409  6 9 7 4 3 5 2 8 1
25:  26733  7 1 4 6 5 3 2 8 9
26:  27129  7 3 5 9 8 2 6 4 1
27:  27273  7 4 3 8 1 6 5 2 9
28:  29034  8 4 2 9 7 3 1 5 6
29:  29106  8 4 7 1 5 9 2 3 6
30:  30384  9 2 3 1 8 7 4 5 6

 皆さんはこのリストをご覧になって、どんなことを連想しますか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今回の平方数の問題、ほんの「つなぎ」の小さなトピックのつもりでした。ところが実際に解いたり考えたりして下さった方からの情報をいただいて、いろいろ発想が広がって楽しいです。ありがとうございます。






2月23日(土) 麻雀の待ち牌の話(その1)

 お正月休みにすずめ雀というゲームをやったという話を1月5日に書きましたが、その後、久々に普通の麻雀もやってみたくなって、GameDesignさんの麻雀をやったり(リンクはPC用のサイトです)、そのAndroid版をやったりしています。

 上記のGameDesignさんのページには、冒頭に簡単なゲームの解説があって、たぶん知らない方でもやってみて雰囲気を感じることはできるのではないかと思います。(麻雀を簡単に説明するのは難しいですし、世の中には麻雀のルールを解説しているサイトもありますので(たとえばこちらとか)、詳細はそちらに譲ります。)

 麻雀はかなり複雑なゲームですが、基本的には牌を1つ引いていらないものを1つ捨てるという動作を繰り返して、「上がり」のパターンを作る、というゲームです。最後にできるパターンが美しくて、つくるのが難しい(できる確率が低い)ものの得点が高くなるような「役」が決められています。

 組み合わせ論的に面白いのが、「待ち牌」が多い、清一色(麻雀にはワンズ、ピンズ、ソーズという3種類の数牌のグループがありますが、そのうち一種類だけを使って作る役)の系統のものです。その中でも美しいのが九蓮宝燈と呼ばれる役です(図1上)。1から9までの全ての牌が待ち牌になっている、という特別な手牌です。

図 1

 九蓮宝燈というと、図1のようにワンズでなければいけないという限定があるルールも昔はあったそうです。緑一色(図1中)はオールグリーンとも呼ばれていて、アメリカで生まれた役なのだそうですが、これは用いる牌種に制限があるタイプの役で、牌の構成に制限はありません。

 ローカルルールとして「大車輪」という手が役満になっている場合があるそうです。これは清一色二盃口ピンフタンヤオで三倍満の手です。リーチをかけるとか自摸上がりするとかすれば数え役満になっています。「大車輪」はピンズ限定の役になっていることが多くて、その場合は九蓮はワンズに限定されていると思います。ワンズには九蓮、ソーズには緑一色があるのに、ピンズには特有の役満がないので「大車輪」を設定した、という感じがします。



 すみません、ここまでは余談です。

 九蓮宝燈という役は、1〜9の全ての牌で上がることができました。これを、「待ち牌は1〜9である」と言います。待ち牌をだんだん減らして、「待ち牌は1〜8」、「待ち牌は1〜7」、…という手牌は存在するのでしょうか? (図2)

図 2

 待ち牌が「1〜9」の手牌は九蓮宝燈しか存在しないと言われていますが、それ以外のものは手牌のパターンは1つとは限りません。簡単なのは[1]の単騎待ちの場合、[1]と[2]のシャボ待ちの場合で、それ以外の牌は待ち牌から離れたところでメンツ(3枚組)を構成してくれていればなんでもいいです。

 また、麻雀牌1セットには同じ牌が4枚ずつ存在します。言い換えると4枚しかありません。例えば[5]の牌が手牌の中にすでに4枚ある場合、[5]は待ち牌にはできません。

(つづく)



 麻雀をご存じない方、興味がない方、申し訳ありません。麻雀はゲームとして興味深いので、知っていて損はないと思うのです。ただ、いまだにギャンブルのイメージが強いかなあと思います。私はリアルに人と対戦したのは学生時代に寮でやったくらいで、それも「何か(お金とか)を賭ける」場には一度も加わったことはありませんでした。「賭けなければ別に負けても痛手はないし、大物手ばかり狙ったり振り込んでも平気、という荒いスタイルで打つ人が増えて面白くない」という意見もありましたけれども、純粋にゲームとして真剣に楽しめるメンバーもちゃんといたので、そういう人たちと打つのは楽しかったです。

<おまけのひとこと>
 今はPCなどで対コンピュータでしかプレーしません。それもめったにやりませんけれども。Net麻雀とかもやりたいと思いません。






2月24日(日) 麻雀の待ち牌の話(その2)

 昨日、麻雀の待ち牌が、1〜8、1〜7、1〜6…というパターンになる手牌はあるでしょうか? という問題を出しました。「組み合わせゲーム“マージャン”の数学的側面」Mathematical aspects of the combinatorial game "Mahjong"(Yuan Cheng, Chi-Kwong Li, Sharon H. Li 2017)という論文によると、これは「いずれも存在する」というのが答なのだそうです。

 興味のある方はこの論文を見ていただけるとよいかと思いますが(英語ですが)、特にすばらしいのは、全ての待ち牌のパターンを解析しているこちらhttp://cklixx.people.wm.edu/mathlib/Mahjong-results.txtのテキストファイルを公開していただいていることです。(Pythonのプログラムも公開して下さっています。) 昨日、今日の話は、このテキストファイルが情報源です。(ちなみにこのテキストファイルは12Mbyte以上あります。)

 以下、昨日の問題のそれぞれの例をご紹介します。それぞれの手牌の「待ち」をご自分でも考えてみると面白いと思います。

 これが待ち牌が「1,2,3,4,5,6,7,8」の手の例です(図1)。

図 1

[2][2][2]+[3] の3面待ち(1-4の両面待ち+3の単騎待ち)と[6]+[7][7][7]の3面待ち(5-8と6)、2と7のシャボ待ちで8面待ちです。

 次に「1,2,3,4,5,6,7」待ちの手の例です(図2)。

図 2

 1-4及び4-7の両面待ちと、2,3のシャボ、5,6のシャボです。

 続いて「1,2,3,4,5,6」待ちの手の例です(図3)。

図 3

 1-4の両面、3-6の両面、4と6のシャボ、2,5の単騎(5は間チャン待ちという解釈もできます)、です。

 以下は解説はしませんが、残りの3例を載せておきます。

図 4
図 5
図 6

 待ち牌が「1,2」の場合はシャボ待ち、待ち牌が「1」だけの場合は単騎待ちですので、例は載せません。



 上記のような待ち牌になる手牌の種類はどのくらいあるのかというと、それも結果のテキストファイルを読み解くことで知ることができます。以下の表のようになりました。

図 7

 まず、1〜9のいずれでも上がれるのは九蓮宝燈だけです。(論文では、これをちゃんと確かめた研究は過去にはなかった、と書かれていました。) 以下、1〜8待ちは5通り、1〜7待ちは12通り…と続きます。単調増加ではないところが面白いですね。



 論文の一番後ろのあたりの“Additional notes”というセクションというところを見ると、この論文を提出した後で著者の一人が続きの研究をしたそうで、麻雀のルールを変更して手牌の数を従来の13から16に増やすと(ノーマルの麻雀では上がり型は雀頭+4メンツなので2+4*3=14、手牌はそれより1枚少ないので13ですが、上がり型を雀頭+5つのメンツにすると3枚手牌が増える)、「1〜9待ち」のパターンは11種類になるる、ということを発見したそうです(図8)。

図 8

 興味深い結果だとは思うのですが、でも、オリジナルの九蓮の美しさには遠く及ばないなあと思いながら11種類の9面待ちを眺めました。

<おまけのひとこと>
 私は現在の本業(製造業の開発業務)とプライベート(趣味の娯楽数学)の内容やバランスに満足していますが、こういう論文を書くのも楽しそうだなあと思いました。






2月25日(月) 三角形の角の二等分線の座標を求める

 先日、2月17日のひとことで、螺旋のCGを描くために「三角形の1つの内角を二等分するように折った時に新たな頂点の位置がどうなるか」を直交座標系で計算したら大変だった、という話を書きました。そうしたら、いつも情報を下さる尾道市の大村さんから、もっと簡単な式で表すことができますよ、とpdfファイルで解説を送っていただきました。今日はそれをご紹介します。

 こちらがその内容になります。

 私がやった計算結果はこちらでした。

 確かにここから計算を始めればもっと簡単でした。素晴らしいです。教えていただいてありがとうございます。

 大村さんは、この手法は中学の授業で出てきた、とおっしゃっていましたが、確かに中学の数学で出てきそうな話ですね。それをすぐに連想されるのはすごいと思いました。



 この角の二等分線の話に関連して、大村さんはS太郎の創作折り紙というサイトの二つ首の鶴という作品を折り出す折り方を思い付いてS太郎さんにお伝えしたのだそうです。「S太郎の創作折り紙」は大変面白いサイトですが、ずいぶん前に更新はされなくなっているようにお見受けしました。

 大村さんがS太郎さんにアドバイスされた、というのは大村さんが中学生くらいのときの話なのでしょうか。すごいですね。「栴檀は双葉より芳し」ということわざを思い出します。

 「S太郎の創作折り紙」のペンギンは折り図を公開して下さっているので、折ってみたいなと思いました。



 さらに、大村さんからノモグラムの調和平均を求める手法がこの「角の二等分線」の計算とちょっと似ています、ということも教えていただきました。私はそもそも「ノモグラム」という概念を知らなかったので、とても面白かったです。

 いろいろ興味深い情報をいただいてとても感謝しています。ありがとうございました。

<おまけのひとこと>
 今日は早く行かないといけないのですが、ちょっと遅くなってしまいました。(今、朝5時です。) あと30分で家を出られるかな…






2月26日(火) ロックする四角錐(その1)

 先日、正方形の折り紙の4つの頂点の直角を三等分するような折り線を入れると、外に余計な折り線が出ないきれいな四角錐ができる、というYouTubeで見た折り紙作品のご紹介をして、頂角をもっと大きくしたらどうなるだろう? と試してみたらロックしなかった、という失敗談をご紹介しました(再掲図)。

再掲図

 いつも面白い示唆やコメントを下さるKさんから、「直角を5等分して四角錐を作ってみました」というメールをいただきました。いつもありがとうございます。詳細は明日書かせていただきますが、自分でも作ってみることにしました。(Kさんからメールをいただかなければ、この話題は「そのうちやろう」と思って、結局やらずじまいになるところでした。ありがとうございます。)

 90度の5等分ですから18度です。これは正五角形に関係がある角度なので、がんばれば通常の折り紙で許されている手法で折り出すことができるのだろうな、と思ったのですが、今回はそこをがんばるのはやめて、作図して展開図を作ってしまうことにしました(図1)。

図 1

 この図を見ていたら、とりあえず一番外側の三角形を取り除いてしまえば、オリジナルの頂角30度のものと同じ構造になるので、同様に組めるはずだ、と思いました。

図 2

 作図はしているし、いらないところは切り落としているし、もはや「不切正方形一枚折り」の折り紙の世界からは遠く離れてしまいましたが、まずはこれを作ってみることにしました。その後で、正方形から始めるかたちもチャレンジしてみることにしました。

図 3

 プリンタで印刷して、目打ちでケガキ線を入れて折りやすくして、切り取ったところです(図3)。まずは右の手裏剣のようなかたちのほうから作ってみました。

 山折、谷折して(図4)、「たとう」のようにそれぞれ隣の下になるように折り込みます(図5)。

図 4 図 5

 ちょっと写真が暗くてすみません。この手法では、紙の厚みや誤差のためどうしても先端が完全にはぴったりと合わないのですが、ちゃんとロックして外れてきません。また、外見からはわかりませんが、組み立てるときに「左回り」「右回り」の2つの組み方ができます。なので内部構造まで含めて考えると、この手法は回転対称性を持っていますが鏡像対称性はないです。(外見はもちろん鏡像対称性も持っています。)

 これを作った後、図3の左、切り落とさない正方形から同じ形が組めるかチャレンジしてみました。すでにKさんから「できた」という情報をいただいているので、技術が足りていればできるはずです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今日は最寄り駅始発の特急で東京に出張です。午前中に2時間、お昼に1時間で移動して午後は別な方と5時間の打ち合わせを予定しています。午前と午後で全く異なるジャンルの話なのですが、いずれも大変な交渉になりそうです。(まあ楽しみではあります。)
 この季節、いったい何を着て行ったらいいのか、まだ心が決まっていません。あと1時間で家を出るので、その間に決めないといけないです。






2月27日(水) 「今日から使える物理数学 普及版」

 昨日は日帰り出張だったのですが、電車の中で読もうと思って買っておいたブルーバックスの今日から使える物理数学 普及版(岸野 正剛)を読みました。

図 1

 親しみやすいようによく工夫された本でした。著者の岸野さんは1938年生まれということで、私の両親の世代です(私の父は1937年生まれ、私の母は1939年生まれです)。この本(新書の普及版)は2018年12月が初版です。この世代でこのように活躍されているというのは素晴らしいと思いました。

 平易な語り口で語られていて、感心しました。たとえば

かのサー・アイザック・ニュートン(1642-1727)は、自然界の万物が運動する法則を、たったの一言に要約した。いわく、「重いものは動かすのが大変だ」と。

 いいですねえ、この説明。もちろん本文ではこの直後にもっと正確なニュートンの第2法則が語られていますが、「重いものは動かすのが大変だ」というのは直感的で好きです。



 最近は中央線が遅れることが多くて、昨日の出張も始発の特急に乗ったのですが、約束の時間に30分くらい余裕があるはずが、ぎりぎりになってしまいました。 もちろん安全第一なので、遅延はやむを得ませんし、現場のご苦労はさぞやと思います。

 今回は、3月16日のダイヤ改正で中央東線の特急からは引退するE257系の先頭車両に乗りました。この車両は前方の眺めがよくて、デッキに出て写真を撮ってみました。 前方に、前を行く快速列車が進めずに停車しているのが見えました。

図 2 図 3

 スマートフォンで撮影した小さな画像なので、粗い写真です。図4は、図3の中央付近の拡大図です。

 午前中の打合せの目的地は湯島だったのですが、乗っていた始発は東京行きで、当初は東京まで行ってしまおうかなと思っていたのですが、時間が厳しいので新宿で下車しました。その時点で約束の時間まで25分でした。湯島なので御茶ノ水から歩けば10分くらい、中央快速が普通に走ってくれていたら余裕で間に合います。でも、おそらく徐行運転になるでしょう。総武線直通の各駅停車に乗り換えようか、どうしようかと迷ったのですが、新宿駅の向かいのホームの快速につい乗ってしまいました。

 特急も先頭車両だったので、乗り移った快速も先頭車両になりました。心配した通り、各駅停車に追い越されました。

 ようやく御茶ノ水駅に着いた、と思ったら、そこからまた数分待ちました(図4、聖橋が見えています)。自分が乗っている先頭車両はすでにホームにかかっているのですが、進行方向のホームが途切れるあたりに、自分が乗ってきた特急列車の最後尾が見えています(図5が拡大図)。

図 4 図 5

 午前中の打合せは2時間弱で終わり、1時間で移動と食事をして、午後は13時から5時間以上、みっちり議論しました。なかなか大変な一日でした。

<おまけのひとこと>
 ちなみに帰りも10分ほど遅れました。






2月28日(木) ロックする四角錐(その2)

 一昨日の「ロックする四角錐(その1)」のつづきです。

 正方形の4つの直角を5等分する線を描いて、以下の展開図を作りました(再掲図)。これを四角錐に折り畳むことに挑戦です。

再掲図

 こんな折り方をするのかなあ、とまず考えました。

図 1

 正方形の4つの辺のうちの1箇所だけを折り畳んでみると、こんな感じになりました(図2)。

図 2

 ただ、これを順に折っていこうとすると、最後がうまくたためません。4カ所を同時に折っていく必要があるようです。この「5等分」のアイディアを下さったKさんも「ちょうど朝顔の花がつぼみに戻っていく雰囲気で巻き込んでいった」と表現されていました。(実は私はこれを読んで自分でもやってみたくなったのです。この表現、すてきです。)

 こんな感じかなあ、でもちょっと違うような…(図3)。

図 3

 同じものを違う角度から見てみました(図4)。

図 4

 ほぼ最後まで閉じたところです。紙の厚みの影響もあり、完全にきれいに閉じることができませんでした。

図 5

 今回作ったもの(正方形から始めて、面が五重になっているはずのもの)と、前回作ったもの(十字手裏剣型から始めて、面が三重になっているもの)を並べてみました(図6)。

図 6

 作り方のプロセスは五重のほうが面白いですが、三重のほうがシンプルですっきりしています。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今日で2月も終わりです。会社の食堂もようやく営業を再開してくれるので、お弁当持参の生活は今日が最後です。家を早く出たい私のために、毎朝5時に起きてお弁当を作ってくれた妻に感謝しています。






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