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	3月（サンゲンアジャホ　青年さ～ら　湖沼国境）　４月　第三のイタリア　七つの海

１月３０日　アイスランドの謎

　カメルーンさんからは、そのあとセンター試験直前まで、携帯メールでたくさんの疑問を頂戴しました。彼は気がついていないと思いますが、最初がカメルーン火山だったためか、いただいた疑問のほとんどは、不思議なことに、何らかのかたちで火山に関連していました。

　私は、女子中学生もびっくりするくらいの携帯メール魔でありまして、とりわけ、メル友にして同輩のSR氏とは一日に１０回以上の送受信をしています。SR氏からは、「おはようございます」だの「今日は寒い」だとか「体調がどうので医者に行った」などという無内容きわまる挨拶が届きます。こういうくだらんメールは無視すればいいのに、こちらも負けてはいられないと対抗して、「おはござっす」だの「たいした病でもないのに頻繁に医者に行く奴が多くてけしからん」だとか「おいらは医者と銀行と役所にだけは近づかないようにしている」だの、これまた無内容な返信をしたためて送るのであります。いい歳をした初老のおっさん同士がこういうくだらんやりとりをしているのは、傍から見れば不気味きわまりないのでありますが、煩わしいほど頻繁にやりとりするのが習慣になると、メールが来ない日なんかには、「あやつ昨晩飲んだくれて死んでいるのかな？」と心配になり、こちらからメールすることもあるわけで、これはもうやめるわけにはまいりませんな。携帯電話は棺桶に入っても手放せません！

　こんなに親しくやりとりしているにもかかわらず、SR氏には申し訳ないのですが、彼とやりとりしたメールは、送信直後に削除、受信直後に削除しています。なんとなれば、こういう無内容なものは、即削除しておかないと、若者から頂戴した貴重なメールが端から消えていってしまうからであります。若者からのメールだって、どんどんたまっていくので、ときどき、PCの「疑問メール」ファイルに転載し、携帯送受信数を減らしておく必要があります。今日は、どうせ転載するなら、このコーナーに直接書けばいいと気づき、そんなに暇でもないのだが、カメルーンさんからの疑問を転載することにしました。例によって、携帯メールのやりとりですから、舌足らずで少しいい加減です。

カメルーンさん
　アイスランドやデンマークの一人当たりGNPがフランスなどより高いのは、単に人口が少ないからですか？

さ～らまん
　まあそう考えてよいと思います。フランスは、広い国土に多くの人口が各地に比較的まんべんなく分布していて、経済的な地域格差が存在するうえに、金持ちと貧乏人の所得格差もあります。金持ちも多いが貧乏人も多く、5800万もの人々がそろって豊かになるというのは難しい。デンマークやアイスランドは人口が少ないからこまわりがきいて、福祉政策も比較的たやすく充実させることができるから、地域間の格差や貧富の格差が小さいのでしょう。

カメルーンさん
　福祉とはどんなものですか？　アイスランドは、鉱産資源でもでるんですか？　工業が発達しているとは思えませんが。

さ～らまん
　北欧の福祉とは、みんなからばんばん税金をとって、失業しても病気になっても子供を生んでもすべて国が面倒をみてくれるものです。福祉の充実自体がGNPを直接押し上げる理由にはならないが、貧乏人を少なくすることができます。それから、福祉政策に関連して制度的に一応男女平等だから、働く女性の割合がきわめて高く、これはGNPを上げる要因になります。人口が少ないから女性が働かないと、労働力不足を解消できないってこともありますけど。
　アイスランドは鉱産資源はなく、他産業でも、試験に出るのは、アルミニウム工業と水産業ぐらいだが、人口わずか25～30万ですから、それだけで一人当たりGNPが多くなるんでしょう。それ以外にどんな産業が発達しているかは、よく知らないのでちょっと調べてみます。

　さ～らまんは、福祉政策を充実させると、SR氏のように、たいした病でもないのに医者にばかり行くような人が増え、あげくのはては、医者で病気をもらって苦しむだけだと思っているから、福祉には冷たい言い方をするのだ。私の場合は、たとえ心の臓が痛くなっても、医者で変なばい菌をもらう方が怖いから、なるたけ医者にいかないで、自然におさまるのを待つことにしている。虫歯があることもわかっているが、歯を磨くとき以外は特に痛くないからこいつも虫歯のうちではないとにらんで、もう何年もそのままにしている。私の虫歯は進行が遅いからそれでＯＫなのだ。

カメルーンさん
　すみません。お願いします。それにしても地理の先生はたいへんですね。世界中のことをいろいろ知っていなくちゃいけないんですから。

　そんなにたいへんでもないんだけどなぁ、と思いながら、手持ちの統計をちょっと見た。同じ北欧でも、フィンランドやなんかならば情報・通信産業とか旧ソ連との関係とかいろいろ調べなきゃいけないのだろうが、相手がアイスランドですから調べる気にもなりません。アイスランドの産業といえば、試験に出るのは水産業とアルミニウム工業だけで、それ以上のことは出ないのだから、そんなに苦労して調べる必要はない。でも、「たいへんですね」と言われた手前、うんと苦労して詳しく調べたふりをしてやれ。そう決めたので、ほとんど何にも調べていないのに、しばらく間をおいてから、やおら返信です。我ながら芸が細かいね。

さ～らまん
　驚いたことに、アイスランドの高い経済･生活水準を支えているのは、第一かつ圧倒的にやはり水産物輸出とその関連産業みたいっすね(若者言葉）。ＥＵに加盟しないのも、他国の漁船が自国の経済水域で操業することになったらかなわんと思っているかららしい。
　水力(地熱も）利用による発電量が多いから、第二に重要なのが、電力利用のアルミニウムみたい。生活には電力と地熱由来の温水がだいぶ利用されるからエネルギー自給率も高い。もちろん石油は輸入で、漁船を動かすために石油は必要だから、石油危機のときには苦労したらしい。
　エネルギー輸入は少ないが、農業や工業は盛んじゃないんで、食料や生活物資は輸入しなきゃいけない。だから、魚で得た外貨はそのために使いきり、貿易収支も国家財政も赤字のときが多いようです。
　いい疑問はボケ防止になりますよ。

　ところが、じらしたつもりで返信したのに、それに対する反応がなかなか返ってこない。どうしたのかな？と思っていたら、かなり時間がたった深夜になってから来た。

カメルーンさん
　少し取り込み中でこちらも返事遅れました。毎度ありがとうございます。
　アイスランドは、海嶺上にできただけなのに、実はすごい国ですね。地熱、水力、漁業で、一人当たりGNP28000ドルは、おばけですね。ヨーロッパで一人当たりGNPトップ１０に入るなんて誰も想像しないでしょうね。アイスランドが出たら、僕の独壇場ですね。
　先生のボケ防止のお役に立てて光栄です。それでは、今日はお疲れ様でした。

　何！　毎度ありがとうございますだって？　カメルーンさんは理系か文系か知らないが、商売人になったら成功するかもね。私とカメルーンさんのこのやりとりは、まさに、きつねとたぬきの化かし合いみたいなものである。取り込み中とか何とか言って、実は、自分でもそれなりに調べていたんじゃないんだろうか。

　後日談です。センター試験当日の13時57分、カメルーンさんから、興奮のメールが入った。

カメルーンさん
　でました。出ました。アイスランド。先生が調べてくれたお陰で、ばっちりっすよ。

　私もその直後に、試験問題を見てびっくり。第一問に北欧が出ているじゃあ～りませんか！　「天は自ら助くるものを助く」とは、まさにカメルーンさんのためにある諺ですね。しっかり勉強すれば、試験に出そうなことに関する疑問が出てくるのだ。そして、そいつを解決しておけば、ちゃ～んと、それが試験に出て、高得点ＧＥＴというわけですな。それにしても運の強い奴よの～ぅ。

１月１５日　カメルーン山の謎

　センター地理は別として、二次私大入試で地理を選択する人は、かつては、いわゆる地理マニアとか鉄道マニアなど、変わり者が多かったが、最近、地理選択者層に変化が見られる。「あれ？　どうしてこんなまともな感じのする人物が地理を選択するんだろう？」と思うことが多くなったのである。そして、そのまともそうな人物は、地理が好きで、成績もけっこういいのである。

　そのうちに、理由がわかった。サッカーなのである。サッカーが好きで、サッカーに詳しくなるにつれ、世界各地の情報に詳しくなり、知らぬ間に地理も好きになったという、サッカー地理学の徒なのである。日本において、サッカーの話題が日常会話にのぼり始めるようになって約１０年。その成果はさまざまな方面で出ているのであろうが、なんと！わが受験地理界にもあらわれて始めているのだ。子ども時代からサッカー観戦が好きで、そのついでに世界地理に慣れ親しんできた世代がいよいよ受験期をむかえていたのだ。

　地理好きや受験で地理選択者を増やすために、センター地理の問題をやさしくしたり、受験科目に地理を入れる大学を増やすのもいいが、そんなことだけではだめだな。サッカーとか地名入りの漫画とか、そういうものの方が有効である。

　さて、カメルーンといえば、サッカー地理の徒にとっては、アフリカの雄、昨年６月には日本とも対戦した仲。その頃のことをつらつら思い出すと、そういえば、東京でものすごい酸性雨が降った。この酸性雨は人為によるものではなく、三宅島の噴火が原因である。

　火山噴火といえば、１９８６年、カメルーンで、きわめて甚大な火山災害が起きたことがあるらしい。カメルーン西部にあるカメルーン火山のニオス湖岸で炭酸ガスが噴出して、１７４６人もの人が死んだのだ。カメルーンと火山は切っても切れない関係にあるみたいですな。

　んなことをなぜ書いたかというと、最近携帯メールで、カメルーン火山について、マニアックな疑問を頂戴したからだ。疑問をくれた人は私のことを知っているらしいが、私は彼の顔も名前も知らないので、以来、このお方のお名前をカメルーン山にかけて「カメルーンさん」と勝手に命名して携帯にアドレス登録してある。

カメルーンさん
　東アフリカ大地溝帯に火山があるのはわかるのでですが、西側にもカメルーン火山がありますね。どうしてこんなところに火山があるんですか？

　カメルーン辺りに火山群があることはサッカー地理マニアでなく受験地理マニアなら知っていてあえて言わないことである。知ってはいるが、聞かれたら仕方なく答えるにとどめるだけなので、なぜそこに火山があるかについては詳しく調べたことがない。試験に出ないからである。関連事項で試験に出ることと言えば、ナイジェリアのすず鉱山の地名ジョスくらいだ。でも、そんなくだらん問題を出すのは立命館大学ぐらいなものだし、こいつは火山と関連させなくても丸暗記さえしとけばこと足りる。それに、そんな問い、できなくても合格できる。

　しかし、聞かれてしまったのである。それも旅の途中で、手元に調べるものは何もないときにだ。聞かれたらすぐに答えるをモットーにしているさ～らまんは、問われてすぐに答えぬは男の恥と思っているから、「どうせ試験に出ないのだからウソでもいいわ！」と、次のようにお答えしたのであります。

さ～らまんのウソでもいいわい！お答え
　そっ、それは！　試験に出ないマニアック疑問です。う～ん、よくわからんが、ハワイのホットスポットみたいなものとお考え下さい。こんなお答えでわかりますでしょうか？

　カメルーンさんがどんな人物か知らないので、これだけで納得すればよし！　「ホットスポットって何ですか？」と聞いてきたら地理の実力がないのだから「カメルーン火山のことは忘れて下さい。」と返事しよう。「ハワイと同じようなホットスポットなら、プレートの動きはどうなるんですか？」と聞いてきたら、はて困る、もう少していねいに調べてウソじゃない答えをしてやろう。」と思っていた。そしたら。

カメルーンさん
　わかりましたー。ありがとうございました。

という返事が来た。そこで思った。「『ハワイのホットスポットみたいなもの』だけでわかっちゃったのか！　こやつ、なかなかの実力派だな！」と。それに、ありがたいことに、それ以上突っ込んでこなかったから、もうこれ以上調べないでもいいな。ありがたやありがたや。

　今、ふと思い出して、ちょいと調べてみたら、カメルーン火山辺りは、小規模な地溝帯になっていて、ハワイのホットスポットと全く同じというわけではないみたいだけれど、東アフリカ大地溝帯の火山もハワイのようなホットスポットの火山も、火山の性質が似ていて、両方ともホットスポット型の火山というようだから、上記のお答えは、半分ホントで半分ウソな気がするが、まっ、いいや、これ以上調べるの、やんぴっ！

EPACS自然史博物館のサイトより
　（現在活動的な火山＝活火山は）、日本列島などの島弧や南米のチリの海溝に平行した大陸の縁、アフリカから紅海にいたる大陸の割れめ、海嶺のうえの島に分布します。いずれもプレートの境界付近にあたります。島弧や大陸縁の火山は沈みこむ海洋地殻に関連した火山です。大陸の割れめは、大陸プレートが新しく2つに分かれているところです。海嶺は海洋プレートが2つに分かれているところです。そのほかにハワイやカメルーンの海岸、大陸の中に不規則に分布するものもあります。このような火山は、ホット・スポットとよばれ、マントル内の熱の対流による運動でできます。

『理科年表読本空からみる世界の火山』（荒巻・白尾・長岡編、丸善）より
　アフリカ大陸には、東アフリカ大地溝帯の火山のほかに、中西部にはチベスチ、カメルーン火山列のような比較的規模の大きな火山群が点在する。カメルーン火山列は、アフリカ大陸西海岸を横切って大陸地域から大西洋にかけて北東－南西に約1,600kmにわたり分布する。…　火山列の活動は約3,000万年前から始まったことが知られているが、噴出中心が一方向に移動するようなことは認められていない。有史以来の噴火活動は、火山列の中部に位置するカメルーン火山のみで記録されている。

１月１１日　アフリカ諸国の公用語

　昨年もそうであったが、本年も1月3日からお仕事であった。3～７日は、午後と夜のお仕事で帰りが遅くややバテたが、朝はゆっくりできてよかった。でも、10日は朝からだったから、早起きできるか心配であった。

　最近、私はドイツにあこがれる者となり、夕方から夜にかけてドイツ人の真似をしてメランコリーを楽しむ習慣ができた。それはよいのだが、メランコリーを楽しむと、なぜか妙に気分が落ち込んで、困ったことに何もする気がなくなり、仕事はもちろん、飯も風呂もすべてが邪魔くさくなる。そんな気分のときはそのまま布団にもぐりこんで朝を迎えれば、きわめて健康的な生活になってよいのであるが、そういうときに、メールが来て、ふと我にかえる。落ち込んだ気分から救われるのはよいのだが、いただいたメールに対してお返事していうるちに、またまた元気が出てきて眠れなくなり、夜更かしをしてしまう。いいような、悪いような、である。そこで、そんな場合、「俺が眠れなくなったのはメールをくれた人に責任があるのだ！」と思って、『明日朝メールして私を起こしてくれ！」と誰彼かまわず勝手なお願いすることにしている。私は、畳の敷いてある飯屋などに入ると、『どこでも我が家』とか言ってすぐ横になってくつろぐ癖があるが、最近は、『だれでも家族』とか考えて、誰彼かまわずモーニングコールをお願いしてしまうのである。

　さて、くだらん日記はこのくらいにして、１月９日の夜に、お馴染みのピグタク氏からいただいた疑問、いきます。

ピグタク氏

　確認です。ヨーロッパの植民地だったアフリカの多くの国々では、独立後、旧宗主国だったヨーロッパの国の言語を公用語・準公用語に採用している。これは、アフリカの独立国が多民族で構成され、複数の言語が使用されているため、国家統一のため、あえてヨーロッパの言語を公用語にせざるを得ないからである。

　しかし、アフリカには、旧宗主国の言語を公用語としていない国もある。モロッコ、アルジェリア、リビア、チュニジア、スーダンなどで、これらの国の公用語はアラビア語ですね。

　なぜ、これら北アフリカ諸国では、旧宗主国の言語を公用語にしていないんですか？単純に考えて、多民族国家でないから、旧宗主国の言語を使う必要ないと解釈していいんでしょうか？　

　　そこで、上記の国々について、本当に多民族国家じゃないか、確認をとってほしいんです。また、ヨーロッパの言語を用いていない理由は、多民族国家でないからと考えてよいのか？についてもお願いします。

さ～らまんの返信

　いい加減に言うならば、その単純な理由でまあいいです。ただし、マグレブ諸国にはベルベル人、スーダンには何たら人もいて、多民族国家でないというのは、厳密には誤りです。
　また、北アフリカ諸国で、ヨーロッパの言語を公用語にしない正しい理由は、『アラビア語という共通語があるから』です。多民族国家であろうがなかろうが、共通語として使える言葉があれば、わざわざヨーロッパの言語を公用語にする必要はありません。
　そういう例はほかにもあり、たとえば、インドネシアも多民族国家ですが、オランダ語を公用語にしていません。マレー語という共通語として使える言語があったので、それをインドネシア語と名づけて公用語にしています。

ピグタク氏

　ありがとうございます。そういう解釈は思いつきませんでした。まさに、『そこに山があるから登るのさ』的な発想ですな。明日の授業、ヨロシクお願いします。

さ～らまん

　明日は朝からなので起きる自信がない。いま、携帯の着信音量を最大にしたから、よろしければ、出掛けに「起きろ」メールを下さい。お願いします。

　翌朝、８時ちょい前に目が覚めた。「こりゃいかん！寝過ごすところだった。ピグタク氏のモーニングコールはなかったのか？」と思って携帯を見ると、ちゃあ～んと６時４５分に、『起きてますか（笑)』というメールをくれていた。『寝てましたー』という返信を打ちながら駅に向かって走りました。モーニングコールをいただいたのに、ちっとも起きずに高いびきだったんですねえ。ドイツ人は早起きらしい。ドイツ人にはなかなかなれませんな。

１月２日　南半球の寒極の謎

　昨日は、新年早々に各方面からメールを頂戴して感涙に咽びながら、テレビでサッカー観戦したり、ケインコスギの頑張る姿に感動したりして、寝正月した。
　年末から年始にかけては、そうしたご挨拶メールが多かったのだが、疑問メールもいつもどおりの数がきた。年末年始のイベント返上して頑張っている若者が予想外に多いわけで、びっくりだ。本日はその一つで、ちょいとマニアックな疑問。おなじみピグタクくんご提出の疑問です。

センター試験94年追試第1問問４に、

「ユーラシア大陸北東部には寒極があり、ここは世界のどの地域より寒い。」

という選択肢があり、○か×か？　答えは×でした。
解説に「南極が一番寒い」とありました。

当たり前って言ったら当たり前だけど、なんか意地悪問題みたいで気分悪いです。

寒極といったらオイミャコン！　じゃないですかぁ。
でも、これは北半球限定らしいですね。

ある本を見たら、
1933年　－71.2℃（オイミャコン）*
1983年　－89.2℃（南極）
とありました。

別のある本では、
「エクメーネでは、寒極はオイミャコン。アネクメーネを入れると、寒極は南極。」
とありました。

このような解釈でいいんですかね。

*　測候所の記録として残っているのは－67.7℃らしい。？？？

　意地悪ですが、そりゃ×でっせ。

　寒極とは、南北それぞれの半球で最も気温の低い場所のことですから、寒極には、北半球の寒極と南半球の寒極があります。

　それがどの位置かは、正確に確定できないし、年によっても異なるのだろうが、一応、最低気温を記録した場所をもって、そこが寒極だ、とよく言いますね。

　でも、厳密には、最低気温記録地と寒極は違うんじゃあないでしょうか。測定記録がない場所でもっと寒かったところがあるかもしれない。だから、「北半球の寒極はオイミャコン」であるとか、「南半球の寒極はボストーク基地である」とかいう言い方は、厳密ではなく、「オイミャコン付近」とか「ボストーク基地の辺り」というのが正確でしょう。

　私としては、「北半球の寒極は東シベリア内陸部（あるいはシベリア北東部の内陸）である」「南半球の寒極は南極大陸の内陸部（あるいは南極点付近）である」という言い方が好きです。

オイミャコンは内陸で隔海度が大きいから大陸性気候で、冷えやすく寒極になる。
南極、すなわち南極点は、極だから、冬季に極夜の期間が長く、寒極になる。

なんか、つまんないですね。

　南極点付近に南半球の寒極がある理由を、ピグタクくんは、「極だから」とおっしゃっていますが、「極かつ内陸だから」が正確でしょう。

南極の－89.2℃の記録はボストーク基地らしいですね。
でも、なんでボストーク基地なんですかね。
地図帳で見たら、アムンゼン･スコット基地がまさに南“極”にあるのに、そこはなぜ寒極じゃないんでしょうね。

温度計がないとか！？（笑）
周辺との標高の差ですかね。

　ここで、私は、はたと困った。そんなこと考えたこともなかったからだ。気温は、緯度の影響だけでなく、隔海度などの影響も受けるから、南極点＝寒極でないのは当たり前だろうと思っていた。そこで、「温度計がないとか！？（笑）」に対して、次のように書いてお茶を濁しておいた。　

　「そのとおりで、信用できるデータがないんでしょう。ボストーク基地だって、毎年あんなに寒いわけじゃぁなくて、1983年にあれだけの寒さを記録した。その年にはきっと、それ以上寒い場所もあったのだろうが、観測しなかっただけで、南極大陸をくまなく観測すれば、ひょっとして、もっと寒い記録が得られたかも。」

　南極大陸の冬は寒いから、「おっ、今日は寒いぞ。どこが最も寒いかな？」と考え、温度計を持って測りながら歩くわけにも参りません。そんなことしてまで測定できたとしても、基地に戻る前に寒さで死んじゃいますし、歩きながら測量した記録なんか、データの信憑性が疑われるから、記録として認定されんでしょうな。百葉箱をいっぱい設置しておけばいいのだろうが、南極大陸には、冬、きわめて優勢な高気圧ができて、そこからむちゃくちゃ強い風が吹き出し、地吹雪（ブリザード）の日が多いから、いいかげんなものじゃ吹っ飛んでしまう。しっかりしたものを作らないといけないから、南極大陸各地にくまなく観測設備を作るとなると莫大な銭がかかりそうだ。

　そいうわけで、ちょいと調べてから、再度お返事しました。以下は、「周囲との標高の差ですかね」に対する返事です。

「さすがピグタクくん！　あたりです。　ヴォストーク基地は海抜3488m。南極点は約2800ｍ。この高度の差のようです。」

ネット検索したら、こんな記事もみつかりました（勝手にコピー＆ペースト）。

　最低気温の世界記録更新が期待されている日本の南極越冬基地「ドームふじ観測拠点」（ドーム基地）の気温が、記録には届かないまま足踏み状態を続けている。

　当初は南極の冬に当たる７月中に氷点下８０度台半ばに達し、同８９．２度の世界記録に近づくとの予測もあったが、９月に入っても６日までに同８０度に下がった日は一度もない。予想以上に活発な低気圧の存在が一因とみられ、新記録は来年以降に持ち越されることになりそうだ。

　ドーム基地があるのは、沿岸部の昭和基地から南極点方向に約千キロ内陸に入った氷床上の標高３，８００メートルの高地。１９８３年に世界最低気温を記録した旧ソ連のボストーク基地より標高が３００メートル以上高く、越冬一年目の今年から新記録の期待が掛かっていた。

　ドーム基地では地球の過去の気候変動を探るための氷の掘削作業が９７年までの予定で進められている。４月２８日に日本の有人観測地点としては初の氷点下７０度台を記録したものの、その後伸び悩んだ。

　８月１３日にようやく氷点下７９．６度まで下がったが、その後も同８０度を目前に頭打ちの状態。

　日本とは季節が反対の南極で気温が下がるのは通常９月中旬までといい、昭和基地で越冬中の第３６次観測隊の召田成美越冬隊長も「新記録は来年に期待を掛けることになるだろう」と話す。

　国立極地研究所の渡辺興亜教授は「原因の特定はできないが、雪やブリザードが予想以上に多いことから考えて、低気圧の影響で暖かい大気や水蒸気が運ばれたことが一因になっているのではないか」と分析している。

　（静岡新聞　平成７年９月９日）

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