念のために、計算根拠は次の通りです。
各時代の金箔の厚み(推定)
写真:
日本古典文学大系27
『宇治拾遺物語』
渡辺綱也
岩波書店 S35(1960)
P90
さらに宇治拾遺物語なのですが、その22に
金峯山(きんぷせん)薄打(はくうちの)事 巻二ノ四
として、京都の七条に住んでいる箔打ちが吉野の金峯山に参
詣したさいに山で拾った十八両の金を使って、七、八千枚の
金箔に加工し、東寺に売りに行った話が出ている。
いわゆる聞き語り、伝聞話なのですから、記述内容の正確
さについては信頼性がないのが当然なのですが、金箔の製作
状況を知るための数少ない資料なので、信頼性の少ないまま、
ここに収録するわけです。
以上を纏めた計算結果は下記の通りです。
奈良時代の金箔は、ほぼ1μの厚さであったと推定できるようです。現在の金箔の10倍の厚みがあった、と考えてよいでしょう。
現在金箔の中間過程で作られる澄(ずみ)の厚みと同等であったと考えればよいのでしょうか。
鎌倉時代の金箔の厚みに関しては、資料記述の正確さに疑問が残りますので、推定値としては使用できないと思います。
写真:
『日本の美術6』
No.373 截金と彩色
有賀祥隆
文化庁他監修
至文堂 1997