このほかに編者が集めた資料を備忘目的で資料として掲載しておくことにしましょう。

資料(1)から資料(5)です。

   資料(1)
   資料(2)
   資料(3)
   資料(4)
   資料(5)

 念のために、計算根拠は次の通りです。

各時代の金箔の厚み(推定)

写真:
日本古典文学大系27
『宇治拾遺物語』

渡辺綱也 
岩波書店 
S35(1960) 
P90

 さらに宇治拾遺物語なのですが、その22

       金峯山(きんぷせん)薄打(はくうちの)事 巻二ノ四

として、京都の七条に住んでいる箔打ちが吉野の金峯山に参
詣したさいに山で拾った十八両の金を使って、七、八千枚の
金箔に加工し、東寺に売りに行った話が出ている。

 いわゆる聞き語り、伝聞話なのですから、記述内容の正確
さについては信頼性がないのが当然なのですが、金箔の製作
状況を知るための数少ない資料なので、信頼性の少ないまま、
ここに収録するわけです。

 以上を纏めた計算結果は下記の通りです。

 奈良時代の金箔は、ほぼ1μの厚さであったと推定できるようです。現在の金箔の10倍の厚みがあった、と考えてよいでしょう。


 現在金箔の中間過程で作られる澄(ずみ)の厚みと同等であったと考えればよいのでしょうか。


 鎌倉時代の金箔の厚みに関しては、資料記述の正確さに疑問が残りますので、推定値としては使用できないと思います。

写真:
『日本の美術6
No.373 截金と彩色
有賀祥隆
文化庁他監修
至文堂 1997