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以前の「ひとこと」 : 2023年2月前半


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2月1日(水) 折り紙2枚の斜方立方八面体の箱、あやとり

 2月になりました。今日は折り紙の話とあやとりの話です。



 YouTubeの Ball box of origami という動画を見て、自分でも折ってみました。(タイトルのキリル文字のところはすみませんわかりません。)

折り紙2枚組の斜方立方八面体の箱

 三角形の面は直角二等辺三角形3枚で凹になっています。

 これは合同な2つのユニットを組み合わせた「箱」になっています。(あんまり何度も開けたり閉じたりしたくない箱です。)組まれた状態から少しずらした外す途中の写真も撮ってみました。

はまっている部分を外してみる

 写真撮影の都合で上の連続写真は左右に広げましたが、「箱本体」と「ふた」と考えるなら下の写真のような向きになります。全く同じ大きさの折り紙用紙2枚から折っているため、組んだ時に内側になる「箱本体」の側(下のそれぞれの写真の右上側)は、重なっている正八角柱の側面の正方形が内側に反っています。

2つの合同なユニット

 シンプルですがしっかりかたちが決まる、良い設計だと思いました。

 箱本体とふたの関係を45度回転させると「ミラーの立体」になります。対称性が著しく低下してしますが、これもまた面白いかたちです。

ミラーの立体

 これは普通の15cm角の同色の折り紙2枚で組むのがお勧めかなと思います。作ってみる価値のある作品だと思いました。



 今日のあやとり紹介はすみません忙しいので簡単に。こんなあやとりを取ってみました。

hh230201-1:4つのダイヤモンド

 これは「絡みのない四段ばしご」ではありません。外周はほぼ全てが「絡み」になっているのですが、右側(下の図の赤い部分)のみ、「二重絡み」になっています。(左側は普通の「絡み」です。)

左右非対称

 さてこれはどうやって取ったのでしょうか。


(つづく)


<おまけのひとこと>
 今日もまた本の話を書く時間がとれませんでした。






2月2日(木) 「生命とは何か」、あやとり

 本の話とあやとりの話です。



 先日、図書館でWHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か(ポール・ナース著/竹内薫訳:ダイヤモンド社 2021年3月) を見かけて借りてきました。2001年にノーベル生理学・医学賞を受賞した生物学者のポール・ナースによる一般向けの唯一の本なのだそうです。

WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

 これが非常に面白かったのです。「生命とは何か」という書名を見ると、まず連想するのはシュレディンガーです。松岡正剛の千夜千冊でも、シュレディンガー「生命とは何か」で深く論じられています。ポール・ナースの「生命とは何か」でも、冒頭にシュレディンガーの同名の本について触れられており、現代の科学の進歩に基づいて改めて「生命」を論じています。私は大学でこの分野が専門の研究室に所属していて、シュレディンガーの「生命とは何か」も必読図書でした。家庭の事情で大学院を中退して地元の企業に就職して全然ちがう(それはそれで非常に面白い)仕事に就きましたが、生命とか意識とか心、脳や人工知能といった研究にはずっと興味を持ち続けています。なので、ナースの「生命とは何か」で語られている個々の内容については全くの初耳というものはなかったのですが、生命を特徴づける5つのステップ「細胞」「遺伝子」「進化」「化学としての生命」「情報としての生命」を平易に説明し、それに基づいて最終章での「生命とは何か」に至る内容にとても感動しました。これらの5つのステップの1つ1つが膨大な研究の歴史を持ち、語る価値のある面白い感動的なトピックがたくさんあるのです。(なので、それぞれをだけをテーマとした本が世の中にはいろいろあります。)そこを敢えて取捨選択し、全体を俯瞰してわずか250ページ程度で語っている、しかも図もグラフも表も写真も使わず、言葉だけで語っているのです。たぶん音読して耳から聞くだけで十分理解できると思います。

 また、ところどころに現れる、ナース自身の生い立ちや研究に関する話がとても印象的です。訳者の竹内薫氏も訳者あとがきで「私は数々の科学書を翻訳してきたが、これだけ心を打たれる本は、初めてだ」と書かれています。「訳:竹内薫」の本を私もたくさん持っていて、好きな本ばかりですが、その竹内氏をもってしての最高の賛辞です。

 検索してみると、ダイヤモンドオンラインにこの本に関する記事がたくさんあるようです(「WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か」記事一覧)。

 この本に出会えて幸せでした。この本、購入しようかなと思っています。



 昨日、左右で非対称(左が1回絡み、右が2回絡み)の「4つのダイヤモンド」をご紹介しました。左右非対称なので左手と右手の操作が違います。一方、マクロに見て左右対称な(どちらも2回絡み)なものも比較のために取ってみました。

hh230201-1
左:1回絡み、右:2回絡み
hh230202-1
左:2回絡み、右:2回絡み

 これ(上右)は「絡みのない四段ばしご」そのものです。ただしそれとは異なる取り方をしていて、先日ご紹介したこちら

hh230121-2「交差」

 から、親指で逆ナバホ・小指で二重ナバホをして作りました。(すみませんまだ上記のあやとりの手順は未紹介です。)

 同様に、下左は左右非対称の2つのダイヤモンドで、下右は「二段ばしご」そのものです。

hh230202-2
左:1回絡み、右:2回絡み
sf230202-1
左:2回絡み、右:2回絡み

 こういうシンプルなあやとりの手順を考えるというのもパズルとして楽しいです。


<おまけのひとこと>
 先週末に借りてきて夜中に読んでいた本の紹介をやっと書けました。今日は勤務先で昨年1年間の活動報告をします。1時間、時間を頂いているのですが、できれば発表は40分くらいに押さえて、質疑の時間を20分は取りたいと思っています。が、40分でしゃべるのは難しいです。技術系でプレゼンテーションが下手な人(=私)にありがちなのですが、つい細部まで話したくなってしまうのです。結論は先に言います。でもそこでやめておけばいいのに、つい「どうしてそうなるかというと…」「なぜかというと…」と言いたくなってしまうのです。そこは興味があれば質問してもらえるので、質問されたときに説明すればいいのですが。






2月3日(金) 3x3のトーラスマッピングにおけるローテーション、あやとり

 ルービックスライドの話とあやとりの話です。



 先日からご紹介している、3×3の9マスの配置を移動規則に従って変化させて目的のパターンを作るルービックスライドというパズルですが、これは平行移動が上下・左右の編が繋がっている周期構造のため、トーラス面になっています。

3x3 トーラス面にマッピング

 トーラス面上で、このパズルの平行移動がどうなっているのかは理解しやすいです。一方、このパズルの回転移動はトーラス面にマッピングするとどうなっているのでしょうか。

 アニメーションを作ってみることにしました。

色を付けてみて 時計回りに回転

 これをトーラス上でやるとこんな風になりました。

トーラス上のローテーション(1)

 よくわからないので、3x3の中央を青にして、周囲の1マスだけを赤にして、それを順に8か所移動してみました。

トーラス上のローテーション(2)

 なるほど。納得はしましたが、すごく面白いかというとそうでもないかな。



 今日のあやとりです。書きたいことは溜まりつつあるのですが、図が必要で、その図を描いている時間がないので脈絡のない単発のものです。

hh230203-1
  1. 4本指の構え
  2. 人差し指と中指の輪を入れ替える
    1. 人差し指の輪を薬指に移す
    2. 中指の輪を人差し指に移す
    3. 薬指の輪を中指に移す
  3. 人差し指の輪をつまんで外し、中指の輪を下から上へ通して人差し指に掛け直す 
  4. 四隅の小さな輪の処理(1つ隣)
  5. 親指・小指の内側の糸を取り合う(ひねらない)
  6. タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理



 戦争プロパガンダ10の法則(アンヌ・モレリ 著 /永田千奈 訳:草思社)という本について書かれている記事がありました。有料記事で、冒頭のこの本のタイトルだけが見えたので、検索してみました。有名な本のようです(知りませんでした)。目次を引用します。

        目次:

        ポンソンビー卿に学ぶ
        
        第1章「われわれは戦争をしたくはない」
        
        第2章「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」
        
        第3章「敵の指導者は悪魔のような人間だ」
        
        第4章「われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う」
        
        第5章「われわれも意図せざる犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる」
        
        第6章「敵は卑劣な兵器や戦略を用いている」
        
        第7章「われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大」
        
        第8章「芸術家や知識人も正義の戦いを支持している」
        
        第9章「われわれの大義は神聖なものである」
        
        第10章「この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」
        
        ポンソンビー卿からジェイミー・シーまでの流れをふまえて

        訳者あとがき
        

 本のタイトルと目次だけで言いたいことが伝わる、というのがすごいなと思いました。


<おまけのひとこと>
 昨日の1時間の報告、途中でどんどん質問をしていただいたおかげで1時間の持ち時間を少し超過してしまいました。一緒に出席してくれた関係部門の部門長さん(私よりずっと若い優秀な方です)がかなりフォローしてくれました。まあこの程度なら及第点かなと思いました。






2月4日(土) ゴールドベルク変奏曲、あやとり

 週末なので音楽の話にしました。それといつものあやとりの話です。



 1か月に何回か自分だけの楽しみのために鍵盤楽器を弾きます。最近はピアノが多いです。ここ2年くらいはバッハの平均律ばかり弾いていたのですが(今も弾きますが)、このところバッハのゴールドベルク変奏曲にはまっています。ゴールドベルク変奏曲はアリアと30の変奏、そして最後に冒頭のアリアを再び演奏して終わる曲集で、普通に演奏すると1時間半くらいかかるのではないかと思います。グールドのゴールドベルク変奏曲の演奏が大変有名ですが、若いころの演奏、そして交通事故で亡くなる前の最後のころの演奏があります。いずれもCDにおさまる演奏時間で、速い曲は非常に軽快な演奏ですが、初期の若いころの演奏と晩年の演奏ではまったく印象が異なります。

 最近、Bach - Goldberg Variations BWV 988 - Rondeau | Netherlands Bach Society(リンク先はYouTubeです) という、オランダバッハ協会が公開しているジャン・ロンドーのチェンバロによる演奏にとても感激しました。ロンドーは1991年生まれの若いチェンバロ奏者ですが、すばらしい演奏です。他の演奏も聴いてみたくなります。

 ゴールドベルク変奏曲は有名なテーマのアリアも美しいですが、それぞれの変奏が単独の曲としても美しいものがたくさんあります。シャコンヌやパッサカリアと呼ばれる音楽のように、同じバスラインが繰り返されながら上の声部が次々と変奏してゆく、という形式になっています。そして、曲の構造がシンメトリックで緻密な設計になっていて、そこがまた素晴らしいのです。30の変奏は mod 3 (3で割った余り) によって3グループに分けられ、それぞれのグループが特徴的な構成になっています。グループ 1 {1,4,7,10,13,…} は当時の単独の鍵盤楽器の様々な音楽の形式で書かれています。第13変奏の豊かな装飾の美しい緩徐楽章が特に好きです。

 グループ 2 {2,5,8,11,14,…} は2段鍵盤のそれぞれを右手と左手が担当して、対等な二声部としてそれぞれが広い音域を駆け回るテクニカルな曲になっています。これを一段の鍵盤(たとえばピアノ)で演奏しようとするととても厄介です。私はこのグループの曲はほとんど弾けない(弾いていて楽しいと思えるところまで手が動かない)のでほとんど飛ばしてしまっています。

 グループ 0 {3,6,9,12,…} はカノン形式で書かれていて、先行する第一声部に対して、その動きを模倣する第二声部が追いかけてゆく形式になっているのですが、第3変奏から第24変奏までの8曲の構成がきれいな対称性を持っているのです。あんまり美しいのでつい図示してみました。(自分自身以外にはニーズはなさそうですが。)図はクリックすると拡大します。

ゴールドベルク変奏曲の8つのカノン形式の変奏の第一声部と第二声部の先頭の音の音程差

 それぞれの変奏のカノンの第一声部の先頭の音と第二声部の先頭の音に赤いマル印を付けました。この2つの先頭の音の音程差(和声学では2つの音の音程差を1度、2度…という風に数えます)を見ると、最初の第3変奏では1度(=2つの先頭の音の高さが同じ:音程差が無いものは1度と定義されています)、次の第6変奏では2度(隣の鍵盤)、次は3度、次は4度、…、と続いて、第24変奏(8曲目)ではちょうど1オクターブずれた8度になっています。

 2度と7度というのは最も不協和で、緊張感のある音程です。一方、1度と8度は同じ音なので自然に協和します。4度と5度も良く響く音程ですが、その代わりバッハはこの2つの音程の変奏では第二声部は反行(音の高さの上下を逆転した旋律)を用いています。さらに、第15変奏(5度)と第21変奏(7度)では、30曲の中で3曲しかない短調を用いています。

 若いころは同じバッハでも「トッカータとフーガ二短調」とかインパクトのある劇的な曲がかっこいいと思っていて、ゴールドベルク変奏曲とか穏やかでどちらかというと地味で淡々としていて、でも弾いてみようとするととんでもなく難しくて、正直そんなにがんばって弾いてみようと思う曲ではありませんでした。でも最近はとても好きになりました。かろうじて楽譜の音を自分の手で鳴らせる難易度の曲をゆっくり弾いているだけで幸せです。



 あやとりです。以前ご紹介しそびれていたものです。二段ばしごを繰り返すあやとりの工夫で、1回ごとに90度回転してみたらどうなるだろう、という試みです。

hh230204-1 hh230204-2
  1. 人差し指の構え
  2. 左右の人差し指の輪を交換する
  3. 二段ばしご
    1. 親指を外す
    2. 親指で小指の向こうの糸を取る
    3. はしご展開
  4. CW90:パターンを時計回りに90°回転する 
  5. パターンを人差し指と小指に移す
  6. 二段ばしご
    1. 親指で小指の向こうの糸を取る
    2. はしご展開
  1. 人差し指の構え

  2. 二段ばしご
    1. 親指を外す
    2. 親指で小指の向こうの糸を取る
    3. はしご展開
  3. CW90:パターンを時計回りに90°回転する 
  4. パターンを人差し指と小指に移す
  5. 二段ばしご
    1. 親指で小指の向こうの糸を取る
    2. はしご展開

 上下・左右の外周に「結び目」(二重絡み)が存在しているため、引き絞るとパターンが縮まって「こぶ」になってしまいます。調整が必要です。もう一段、90度回転と二段ばしごをやっても良いのですが、さらにかたちの調整が大変になりそうなのでやめることにしました。



 今朝、日の出のころに庭を見たらうっすら雪が積もっていました。

 うっすらと2本、筋のような跡が残っています。これは何でしょう?

 鳥の足跡のように見えます。両足が揃っているように見えるので、人間で言うとうさぎ飛びみたいにぴょんぴょんと跳ねて移動しているのでしょうか。そのときに足の指先が雪に筋を付けているのかなと思いました。


<おまけのひとこと>
 週末です。明日、松本市民芸術館で小川洋子さんの対談があるようです。知りませんでした。おそらくもう満員だと思いますが、いずれにせよ明日は行かれません。残念。






2月5日(日) フィジットトイ「パッチン」、あやとり

 カプセルトイの話とあやとりの話です。更新がまた午後になってしまいました。



 昨日、運動不足解消を兼ねて隣の市の図書館の周辺を少し散歩をしたのですが、そのときにこんなカプセルトイを買ったのです。200円でした。

写真 1

 中央に向かい合った吸盤があります。写真1の外周の上下を握ってこの吸盤を吸着させます。

写真 2

 写真2の状態で左右の外周を握ると吸盤が離れる時に「パチン」と大きな音がします。こういうのをフィジットトイと呼ぶようです。この製品は「パッチン」とか「ポップスナッパー」などと呼ばれるようです。検索してみたら、カプセルトイマシンに掲示されていたのと同じものがありました。

 妙に面白いです。

 フィジットトイで検索してみたら、英国に在住でお子さんが二人いらっしゃるという方の記事 ストレス発散になるの?フィジットトイにハマる娘たち がありました。フィジットトイが好きなお子さんたちが、買ってもらえないため自分でいろいろ工夫して作っているというもので、素晴らしいと思います。すぐに買うのではなくてまずは身の周りのもので工夫して作ってみる、というのはとても大切なことだと思います。親御さんとしては散らかるのであまり嬉しくないみたいなことが書かれていますが、すごく良いことだと思うのです。



 あやとりです。今日も単発の内容です。

hh230205-1
  1. 5本指の構え
  2. ビヤトエイディオウィナゴ
     → 3本指の状態になっている
  3. 中指の輪を人差し指に移す
  4. 親指の二重の輪をひねらないアムワンギヨ 
    (すみません説明省略)

 このくらい複雑になってくると、いつも使っている3mを輪にしたあやとり紐でも長さが足りないです。



 ゴールドベルク変奏曲、もう少し調べてみています。J.S.バッハゴールドベルグ変奏曲/渡邊順生 解説というページの解説がとても良かったです。


<おまけのひとこと>
 明日からの週は仕事がけっこう忙しいです。今日はその準備をしています。






2月6日(月) 巨大なジターバグ、あやとり

 ジターバグ(jitterbug)の話とあやとりの話です。



 確か正多角反柱について調べていたときだったかと思うのですが、こんな画像を見かけて「これは!」と思ったのです。Eureka and Serendipity: The Rudolf von Laban Icosahedron and Buckminster Fuller's Jitterbug(Caspar Schwabe, Proceedings of Bridges 2010: Mathematics, Music, Art, Architecture, Culture Pages 271?278) に載っている図を引用させていただきました。

バックミンスター・フラーの巨大なジターバグ(1991年のスイスの科学博覧会)

 これは1辺が 8m もある正三角形8枚による幾何学アート作品で、閉じた状態だと隙間のない正八面体なのですが、開いてゆくと立方八面体(6つの正方形の面は存在しませんが)、さらに正二十面体(の8枚の正三角形の位置関係)に変形するのです。1991年のスイスの科学博覧会の展示だそうです。検索してみると写真もありました(閉じたところ開いたところ)。

 このジターバグという概念は、有名なバックミンスターフラーが生み出したものです。ありがたいことにオリジナルの SYNERGETICS by R. Buckminster Fuller がオンラインで公開されていて、そこにはこんな図が載っています。

Jitterbug:"SYNERGETICS" Buckminster Fuller

 で、この構造のこんな巨大な建造物が実際に動くというのはとても迫力があったのだと思います。実物を見ることができたら良かったのですが。

 冒頭に引用した論文、非常に面白いです。著者のカスパー・シュワーベ氏は「ジオメトリックアート 〜神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ〜」という本を出版されていて、これがまたとても美しい図がたくさん載っている素晴らしい本です。(高価な本ですが持っています。)



 昨日、フィジェットトイをご紹介したら、いつも情報を下さる愛知県のKさんから、自作された学校教育関係者の方に向けてフィジェットトイを紹介するA4サイズ1ページのリーフレットのpdfを送っていただきました。その中には昨日の「フィンガーハンドグリップ(パッチン)」だけでなく、私のサイトで過去にご紹介したことのある「タングル」「くねくねチェーン」「クルリン」などが載っていました。ありがとうございます。

 また、御勤め先の保健室の養護教諭の先生にいくつかの種類のフィジェットトイを提供されたそうです。保健室には怪我をした子や発熱した子ばかりではなく、心が不安定な児童も来室することが多いそうで、そんなときに何か役に立てば、ということで提供されたのだそうです。なるほど、と思いました。



 あやとりの「交差」と「絡み」について、あやとり協会の吉田さんから面白いあやとりを教えていただきました。タイガーショベルノーズキャットフィッシュの変形です。ありがとうございます。

 「タイガーショベルノーズキャットフィッシュ」という伝承あやとり作品は、「7つのダイヤモンド」に水平な2本の横線を加えたようなかたちをしています(下左図)。これは整え方を変えると下右のようにすることもできます。

sf230206-1 sf230206-2

 この中心の交差を絡みにした、というのが吉田さんのアイディアです。

吉田さんのあやとり

 この取り方は「5本指の構えを4本指の構えのように取り、中指を無視してタイガーショベルノーズキャットフィッシュ」と説明されていました。これでこのあやとりが再現できるのがすごいと思いました。(「5本指の構えを4本指の構えのように…」というところはちょっとした謎解きのようで面白かったです。)


<おまけのひとこと>
 昨日は散髪に行ったのですが、開店時間(9時30分)ちょっと前に行ったら、すでに待ち行列ができていて5番目でした。珍しく1時間ほど待つことになりました。






2月7日(火) 正四面体の面の分割(その1)、あやとり

 多面体の話とあやとりの話です。



 正四面体の稜を三等分して、面の中心と結んで各面を3つの等脚台形に分割してみます。

図 1a 図 1b 図 1c

 この稜と頂点の関係を保ったままこの立体を「ふくらませた」ら、どんな多面体になるでしょう?

(つづく)



 昨日のこのあやとりの簡単な解説です。

吉田さんのあやとり

 このあやとりは、「5本指の構えを4本指の構えのように取る」というところがポイントなのです。通常の「5本指の構え」(下の図の上の赤いあやとり紐のもの)は、人差し指の構えから人差し指の輪の向こうの糸を薬指で取って掌の糸を中指で取り合います。「4本指の構えのように取る」というのは、人差し指の構えから輪を1つ増やす操作(=小指を外して、一番向こうの糸を小指で取って、掌の糸を取り合う手順)を2回行うもので、下の図の下の青いあやとり紐のものがそれです。いずれも右手を先に取ります。

普通の「5本指の構え」(上)と順送りの「5本指の構え」(下)

 この2つ、何が違うのかわかりにくいかもしれません。手前(親指側)から向こう(小指側)にむかって、中央に4つの交差があります。その交差の2本の糸の上下がどうなっているのかを図示してみました。このように、交差の上下が1か所違うのです。

図 2a:5本指の構え 図 2b:順送りの5本指の構え

 今回の、「中指は無視してタイガーショベルノーズキャットフィッシュ」という手順を行うとき、上記の2つの「5本指の構え」では差が出てくるのです。通常の5本指の構えからこの「中指は無視してタイガーショベルノーズキャットフィッシュ」を行うとこうなります。

hh230207-1a

 実はこれは中央部分で絡んでいないため、両手を左右に引くと以下のようになってしまいます。

hh230207-1b

 「5本指の構え」から始める多くのあやとり作品では、どちらの「5本指の構え」から始めても結果は区別できないことが多いです。これ(中指を無視してタイガーショベルノーズキャットフィッシュ)はちょっと珍しい例かなあと思います。


<おまけのひとこと>
 スープとかお味噌汁とか汁物がメインの朝食が好きで、適当に乾麺を茹でて入れたりしています。乾麺を茹でたお湯を流すとき、排水管などを傷めないように水道水を流しながら捨てるようにしているのですが、この季節はゆで上がった麺は箸などですくいとって、茹でたお湯は冷めるまでそのままお鍋に入れておくようにしています。せっかく光熱費をかけて沸かした熱量を、水を使って温度を下げて排水に流してしまうのはもったいないので、その熱は室内に拡散させてから流すほうがいいなと気が付いたのです。麺のお湯を切るためのざるも使わなくて(洗わなくて)済みますし、これは良いことに気が付いたと我ながら嬉しくなっているのです。






2月8日(水) 正四面体の面の分割(その2)、あやとり

 多面体の話とあやとりの話です。



 正四面体の稜を三等分して、面の中心と結んで各面を3つの等脚台形に分割する話、この稜の構造を変形すると正十二面体になるのです。

図 1a 図 1b 図 1c

 さらに変形を進めると、最初の正四面体の頂点と面の中心が逆にできるのです。これをストローと糸で作ってみたら面白いかな、と思いました。かたちが定まらないので、赤い稜の部分を少し太いストローで作って、頂点の部分には糸に余長を持たせて少し「あそび」を設けて、もしくは緑のストローを赤のストローに少し差し込めるように作れば、二種類の正四面体の構造は安定するのではないかなあと思います。

 正十二面体の20本の稜をこのように塗り分けた構造、なかなか面白いです。

図 2

 ここから、いろいろ試してみたくなります。

(つづく) かも



 「5本指の構え」から内側の輪の入れ替え処理をするあやとり作品として「ケルトのタペストリー」が有名ですが、別パターンの入れ替えで面白いものができないだろうか、と思って試してみています。まだ「これは!」というものは見つかっていません。そんな試行錯誤のときにできたあやとりです。

hh230208-1
  1. 5本指の構え
  2. 人差し指の輪を小指に移す(上の輪にする)
  3. 薬指の輪を中指の輪に上から通して人差し指に移す
  4. 小指の上の輪を薬指に移す
  5. 中指を向こうへ半回転ひねる(ねじれをなくす)
  6. 親指の輪をパターンの下に移動する
    1. 右親指の輪をつまんで外し、中指の輪のパターン中央上から下に通して右親指に掛け直す 
    2. 左親指を外し、つづいて右親指手前の糸を取る
  7. 中指を外して、両手を強く引く
  8. 中指から外した糸をパターン中央付近で再び中指で取り直す
  9. 親指・中指・小指で焼け焦げた葉のククイの終了処理
    1. 親指・中指・小指を向こうへ1回転ひねる
    2. 親指・小指の内側の糸を中指の輪を通して取り合う
    3. 中指を外す
  10. タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理

 おもしろそうなあやとりになりそうな気配はあるのですが、なかなかうまくいきません。



 「事実は小説よりも奇なり」(Truth is stranger than fiction.) ということばがあります。イギリスの詩人バイロンが「ドン・ジュアン」の中で用いた表現だそうです。

 この言葉の続きというか解説というか、「なぜならば…」ということを、「トム・ソーヤーの冒険」のマーク・トウェインが書いているのだそうです。

Truth is stranger than fiction,
but it is because Fiction is obliged to stick to possibilities;
Truth isn't.
Mark Twain
 
事実は小説より奇なり、
でもそれは、フィクションは可能性に固執せざるを得ないためだ。
真実はそうじゃない。
マーク・トウェイン

 これはおもしろい、と思いました。


<おまけのひとこと>
 職場のSNSの雑談コーナーで石油ストーブの話をしている人がいたので、もう何十年もアラジンのブルーフレームを使っています、と書き込んだのです。ブルーフレームは高価な対流型石油ストーブですが、自宅で在宅勤務をしている小さな部屋のメイン暖房として使っていて、部屋が小さいので1か月で10Lくらいしか灯油を消費しない、と書いたら、その雑談コーナーに「ブルーフレーム買ってみました」という投稿があってちょっとあせりました。10Lで、おそらく60時間くらいの燃焼時間だと思うのです。私はこのストーブを使う日が15日くらいで、こまめにつけたり消したりしているので一日3〜4時間くらい使っている計算です。こまめに消すのは給油が面倒なのと点火が楽しいからだと思っています。結果的に節約になっているので良いと思うのですが、手間がかかるので万人向けの暖房器具だとは思えないです。買われた方が後悔しないといいなあと思っています。






2月9日(木) 正四面体の面の分割→正十二面体の頂点を切り落としてみる、あやとり

 多面体の話とあやとりの話です。



 正四面体の面を3つの等脚台形に分割して、それを変形すると正十二面体になるという話をしています。

 こんな向きにしてみました(張っていた面を取り除くとどの稜が手前なのかがちょっとわかりにくくなります)。

図 1

 この配色を見ていたら、と緑の背の低い三角錐を切り取ってみたくなりました。と緑、別々に表示してみました(図2a、図2b)。

図 2a 図 2b

 両方とも表示してみて(図3a)、もともとの稜を取り除いて大きな正三角形に置き換えます(図3b)。

図 3a 図 3b

 下の図をクリックすると、回転するgifアニメーションファイルを表示します。

図 4

 たまたま、手前の緑の稜と奥の青い稜が重なる視点(一般的ではない視点)になってしまっていました。今日の図1〜図4は(アニメーションも含めて)、全て同じ視点からの図になっているので、全部作り直すのが大変なのでこのまま載せます。

 これは正三角形8枚と鋭角二等辺三角形12枚から成る多面体です。このかたちの模型、作ったことがあったようななかったような… (以前は「このトピックは○○年○月ころに書いたはず」とだいたい記憶していたのですが、最近は過去に何を書いたか把握できなくなってきています。同じことを書いてしまうこともあるかもしれません。)



 昨日のあやとりの開始手順、もう少し凝った装飾をしてみました。

hh230209-1
  1. 5本指の構え
  2. 人差し指の輪を小指に移す(上の輪にする)
  3. 薬指の輪を中指の輪に上から通して人差し指に移す
  4. 小指の上の輪を薬指に移す
  5. 中指を向こうへ半回転ひねる(ねじれをなくす)
  6. 親指の輪をパターンの下に移動する
    1. 右親指の輪をつまんで外し、中指の輪のパターン中央上から下に通して右親指に掛け直す 
    2. 左親指を外し、つづいて右親指手前の糸を取る
  7. ダブルハートの処理
  8. 中指を外す
  9. 親指・小指の内側の糸を取り合う
  10. タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理

 仕上げがまだ甘いです。もうすこしきれいに整えられるはず。


<おまけのひとこと>
 明日2/10は出張の予定が入りそうだったのですがなくなりました。天気が怪しそうなので、助かったかもしれません。






2月10日(金) ジターバグ、あやとり

 多面体の話とあやとりの話です。



 昨日のこの多面体、稜の色を全部同じにしてみました。(視点も、稜や頂点が重ならない一般的な視点になるようにちょっと変えました。)

図 1a 図 1b

 このかたち、以前CGを作ったことがあったような気がして探してみました。2019年7月16日から、切隅八面体(切頂八面体)の頂点を1つおきに結んだかたちとして似た多面体をご紹介していました。(長い稜と短い稜の比率はちょっと違います。)当時の図を載せておきます。

 当時、小さなサイズのgifアニメーションを載せていましたが、今回それを画像サイズや色数、フレーム数を増やしたものを作り直しました。回転するもの、変形するものの2種類です。下のそれぞれの画像からリンクしています。よろしければご覧ください。

図 2a:回転 図 2b:変形

 変形するほうは、この多面体の由来上、正三角形の大きさが変化してしまいます。ジターバグのアニメーションも改めて作ろうかなと思いました。(でもまあ世の中にたくさんありそうなので敢えて作らなくても良いかなという気もします。)



 昨日のあやとりとよく似たあやとりを以前取っていました。未紹介だったので掲載します。

hh230210-1
  1. 5本指の構えから内側3本指で「東京タワーの構え」
    1. 人差し指の構え
    2. 薬指で人差し指向こうの糸を取る
    3. 右中指で、左中指掌の糸を上から手前にひねって取る
    4. 左中指で、右中指の輪の中から右中指掌の糸を上から手前にひねって取る 
    5. 人差し指の輪を、中指の輪の中からつまんで外し、人差し指に掛け直す
    6. 薬指の輪を、中指の輪の中からつまんで外し、薬指に掛け直す
    7. 中指を外す
  2. ダブルハートの処理
  3. 親指・小指を外側に1回転ひねる
  4. 親指・小指の内側の糸を取り合う
  5. タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理

 整え方のバランスがちょっと違いますが、射影図としてはよく似ています。(まあどちらも「ダブルハート」→「タイガーショベルノーズキャットフィッシュ」で仕上げているので似ているのは当然と言えば当然です。)

hh230209-1(再掲)



 1月20日の定期通院のとき、診療所で計測した血圧がいつもよりだいぶ高かったのです。それ以来今日で3週間になりますが、毎日お昼に15分〜30分ほど歩くようにしています。(会社に出社しているときは自然と6000歩くらい歩くので、お昼休みに歩くことはしていません。)本当のところ「1日何歩」歩くのがベストなのか(2023/02/08 山田 悠史) という最近の記事があって興味深く読みました。歩数と死亡率のグラフが興味深いです。

 上記の記事の中にも触れられていますが、「歩数」と「死亡率」に関連性がある(ある範囲では相関がある)ことはグラフから読み取ることができますが、因果関係があるかどうかは不明です。観測されている2つの事象XとYに関連性がある場合、「XだからY」かもしれないし「YだからX」かもしれない、さらにそのどちらでもないかもしれない。例えば観測されていない事象Zがあって、「ZだからX」かつ「ZだからY」なので、XとYに関連があるように観測される、ということもあるわけです。

 XとかYとか言うとわかりにくいかもしれないので「歩数」と「死亡率」でいうと、「歩数が多くなると死亡率が下がる」かもしれないけれど、「死亡率が低い(=身体が丈夫だとか健康だとか)から、結果として歩数が多くなる」のかもしれない。もしかすると肥満とか既往症とか体質とかの要素があって、それが歩数と死亡率両方に因果関係を持っているのかもしれない。仮にそうだとすると、無理してがんばって歩くとむしろ害になるかもしれない。関連がある2つの事象が観測されたとき、ただちにそこに因果関係を決めつけてしまうのは危険な場合もあります。

 また、調査対象はどんな母集団に対してサンプル数はどのくらいなのか、どうやって調査したのか、そこにデータの偏りはないのか、等も注意が必要です。人はだれしも自分の仮説を裏付けるようなデータの読み方をしてしまいがちです。(そうならないようにいつも自分を戒めているつもりなのですが、これがなかなか難しいのです。)そのデータから言えることは何なのか、思い込みやバイアスがかかった分析になっていないか、注意が必要です。

 たまたま同じ東洋経済オンラインに、数年前ですが「1日1万歩で健康になる」は大きなウソだった(2016/01/12 青 幸利) という記事もありました。合わせて読んでみると興味深かったです。

 運動はしないよりしたほうが良い、というのは多くのデータが語っています。単に寿命を延ばすだけなら、動物実験の結果では、極力食事を制限して極力運動も制限して、随意筋も内蔵もできるだけ使わないようにすると長生きするというデータがあった気がします。(それが幸せか、というのはまた別問題です。)最悪なのは食事は無制限(食べ放題)で運動をしない場合でした。これは良い教訓だと思います。


<おまけのひとこと>
 今日は大雪の予報です。明け方は見えていた八ヶ岳が雪雲に隠れました。我が家の主力暖房は温水ヒーターなのですが、専用の灯油タンク90Lがこの時期は二週間から20日くらいで空になってしまいます。ちょうど昨夜燃料切れになってしまいました。今日、配達してもらえるのですがちょっと待ち遠しいです。






2月11日(土) chatGPT、あやとり

 今日は祝日です。土曜日の祝日、残念です。今日は話題のchatGPTの話にしました。chatGPTの話は対話の引用が多くて長いので、次のトピックであるあやとりの話にご興味がある方はこちらへどうぞ。



 最近各所で話題の OpenAI の ChatGPT を試してみた話です。chatGPTは自然言語(英語)でchat入力するとchatで回答が返ってくるシステムです。いろいろなところで「自分の考えをまとめるためのパートナーとして必須」とか「chatGPTがあれば、指示待ちで言われたことしかできない部下はもはや要らない」とか、過激な意見も見かけます。また、コンピュータのプログラムのソースコードとかも返してくれます。世の中の多くのサービスと同様、これも広まったところで有償のサービスに切り替わるのだろうなと思います。

 まずは素朴な質問をしてみました。(答は英語ですが、自動翻訳した結果を載せておきます。) 私の入力(質問)がこの色の文字、chatGPTの回答(を翻訳したもの)がこの色の文字です。

空の色はなぜ青いのでしょう? (Why the sky is blue?)
 
空が青く見えるのは、地球の大気が太陽光を散乱させるためです。太陽からの光はさまざまな色で構成されており、それぞれが独自の波長を持っています。太陽光が地球の大気に到達すると、空気を通過し、窒素分子と酸素分子によってあらゆる方向に散乱されます。

青色光は比較的波長が短く、周波数が高いため、他の色よりも散乱を受けやすくなっています。その結果、空から太陽光が届くと、大気によって四方八方に散乱されますが、青い光は他の色よりも多く散乱されるため、空に存在感が増します。

晴れた日には、空から青い光が視界を満たし、空が青く見えます。時刻や太陽の角度などの他の要因も空の外観に影響を与える可能性がありますが、空が青い主な理由は大気散乱の現象です。

 これはとりあえずFAQ(頻出質問)かなあと思います。「散乱って何ですか?」というような方向に対話を進めるのはいったんやめておいて、別の質問をしてみました。

次の月食の日時の計算はどうやってやるの? (How can I calculate the date and time of the next lunar eclipse?)
 
次の月食の日時を計算するには、観測者の位置、月の満ち欠け、太陽、地球、月の相対的な位置など、いくつかの要因を考慮する必要があります。月食の日時を計算する一般的な手順は次のとおりです。
  1. 月食の種類を特定する: 月食には、皆既月食、部分月食、半影月食の 3 種類があります。どのタイプの日食が発生するかを判断するには、太陽、地球、月の相対的な位置を知る必要があります。
  2. 日食のタイミングを計算する: 天文ソフトウェアまたはオンライン ツールを使用して、場所とタイム ゾーンを考慮して、日食の正確なタイミングを計算できます。この目的に役立つオンライン ツールには、timeanddate.com や NASA の Eclipse Web サイトなどがあります。
  3. 可視性を確認する: 月食の日時は場所によって異なるため、お住まいの地域から月食が見えるかどうかを確認する必要があります。これを行うには、月食可視性マップを使用して、日食が見える地域を示します。
月食は比較的一般的であり、毎年数回発生することに注意してください。そのため、私が言及したリソースを使用して、次の月食に関する情報を簡単に見つけることができるはずです.

 うーん、そういうこと(情報源へのアクセス)を聞きたかったのではないのですが。でも、こういう質問に対して整理された回答が出てくるのですね。この質問に対しても、「知りたいのは具体的な計算手順(アルゴリズム)です」という風に話を続けても良かったのですが、ここでいったん終わりにしました。

 別の対話を始めることにしました。対話システムで知能を測ろうという概念としてチューリングテストがあります。これについて尋ねてみました。対話システムにチューリングテストについて尋ねる、ということ自体が面白いと思ったのです。

チューリングテストは今でも知能を計測する手段として有効だと考えられているのでしょうか?
(Is the Turing test still considered a valid way to measure intelligence?)
 
1950 年にアラン チューリングによって開発されたチューリング テストは、人工知能 (AI) の分野で今でも広く議論されており、AI の歴史への重要な貢献と見なされています。ただし、知能の実用的な尺度としての使用は批判されており、AI の唯一または主要な尺度としてはもはや広く使用されていません。

この理由の 1 つは、チューリング テストが、言語とコミュニケーション能力のみに焦点を当てた、狭く限定された形の知性を測定することです。知覚、問題解決、創造性、常識など、他の形の知性は考慮されていません。

さらに、テストが文化的に偏っており、評価者の主観的な意見に影響されているという懸念があります。さらに、テストはゲーム化または操作される可能性があり、真の知能の信頼性の低い尺度になります。

近年、AI の分野は、チューリング テストに合格できる汎用 AI を構築しようとするのではなく、特定のタスクに優れた、より高度で専門的な AI システムを開発する方向にシフトしています。これらのタスクは、画像認識、音声認識、自然言語処理など、さまざまです。

結論として、チューリング テストは AI の分野で重要な歴史的および理論的なランドマークであり続けていますが、もはや有効または信頼できる知能の尺度とは見なされていません。

 なるほど。うまくまとめられていると思いました。関連する質問を続けてみました。

機械の創造性を測る方法は、例えばどんなものが提案されているのでしょう?
(What methods have been proposed to evaluate the creativity of machines?)
 
創造性は複雑で主観的な人間の特性であり、まだ完全には理解されていないため、機械の創造性を評価することは困難な作業です。それにもかかわらず、機械の創造性を評価するためにいくつかの方法が提案されています。これらの方法には次のようなものがあります。
  1. 人間による評価: この方法では、芸術、音楽、文章など、機械が生成した出力の創造性を人間の評価者が評価します。創造性は個人的および文化的な構成要素であり、人によって異なるため、このアプローチは主観的なものです。
  2. 人間が生成したアーティファクトとの比較: この方法では、機械が生成した出力を人間が生成した同様の出力と比較します。比較は定性的または定量的に行うことができ、独創性、多様性、複雑さなどの要素に焦点を当てることができます。
  3. メトリクスとアルゴリズムの使用: このアプローチでは、数学的メトリクスとアルゴリズムを使用して、新規性、多様性、驚きなどの創造性の側面を定量化します。これらの指標は、音楽、画像、テキストなどの機械生成出力に適用して、その創造性を判断できます。
  4. 機械生成評価: この方法では、機械は、他の機械または人間が生成したアーティファクトの創造性を評価するように訓練されます。このアプローチはまだ初期段階にあり、有効にするにはさらなる開発が必要です。
これらの方法は提案されていますが、機械の創造性を正確に評価するには、まだ多くの研究が必要であることに注意することが重要です。創造性を構成するものと、それを機械でどのように測定できるかについても議論があります。そのため、機械の創造性を評価するための普遍的に受け入れられている単一の方法はありません。

 まともな回答が返ってきます。

数学的なメトリクスやアルゴリズムで「驚き」を定量化する、というのは具体的にはどんな風に行うのでしょうか?
(How do you specifically quantify "surprise" with mathematical metrics and algorithms?)
 
数学的指標とアルゴリズムを使用して「驚き」を定量化することは困難な作業です。驚きは主観的な経験であり、人によって大きく異なる可能性があるためです。ただし、人工知能の分野の研究者は、次のようないくつかの方法で驚きを定量化しようとしました。
  1. 予測誤差: 驚きは、予想されたことと実際に起こったこととの差として測定できます。たとえば、一連のトレーニング データに基づいて予想されたものから大幅に逸脱した機械生成画像は、驚くべきものと見なすことができます。
  2. エントロピー: サプライズは、システム内の不確実性またはランダム性の量として測定できます。たとえば、エントロピー値が高い (つまり、多様で予測不可能な) 機械生成テキストは、驚くべきものと見なすことができます。
  3. 情報ゲイン: 驚きは、イベントによって生成される新しい情報の量として測定することもできます。たとえば、色、形、テクスチャの斬新な組み合わせを含む機械生成画像は、驚くべきものと見なすことができます。
  4. カルバック=ライブラー情報量: このメトリックは、機械が生成した画像の確率分布と人間が生成した画像の分布など、2つの確率分布の差を測定します。高いカルバック=ライブラー情報量を持つ機械生成画像は、驚くべきものと見なすことができます。
これらの測定基準は、複雑な人間の経験を数学的に近似したものにすぎないため、驚きを完全に表すものではないことに注意することが重要です。さらに、音楽、テキスト、画像など、さまざまな種類のマシン生成出力に対して、さまざまなメトリックがより適切な場合があります。これらの測定基準の使用は、解釈や偏見の影響も受けます。マシンの驚きを定量化するための最も適切で信頼できる方法を決定するには、さらなる研究が必要です。

 (情報理論における)エントロピーとか情報ゲインとかカルバック=ライブラー情報量とか、この分野の人にはなじみの専門用語が出てきました。その分野のサーベイ論文や紹介記事などを読まなくてもざっとまとめてくれる感じです。もちろんこれらの情報の根拠や具体的な研究内容は改めて調べる必要がありますが、その分野の知見がある人と雑談をしてもらいながらアイディアを整理してゆく、というような使い方ができるということに納得しました。

 この3つの質問とそれに対する回答には「チューリングテストの有効性」(Turing Test Validity Debete)という対話のタイトルが自動で付与されていました。これは明示的に削除しなければ保存されていて、いつでも見返すことができるようです。確かにこれは多くの方が面白がるのも理解できます。



 chatGPTには知能がある、と考えるべきなのでしょうか。対話型のAIというといつも思い出すのが、J.P.ホーガンの有名なSF「星を継ぐもの」にでてくるゾラックというコンピュータです。ゾラックのレベルになったら知能がある、と言っても良い気がしますが、自分の中で基準は明確ではありません。

 例えば、日本語入力システム(かな漢字変換システム)において、文脈に応じて適切な漢字を第一候補として出してくれる機能は「知能がある」と言えるでしょうか。タイプミスを自動で修正してくれる機能は「知能がある」でしょうか。googleのような検索エンジンで検索するとき、自然言語で検索するとそれらしい適切なページが候補として出てくるのは「知能がある」でしょうか。最近は当たり前になってきた、webブラウザなどの自動翻訳機能、これもだいぶ性能が上がってきましたが、自動翻訳ができるというのは「知能がある」のでしょうか。chatGPTのように、質問に対して自然言語で整理された回答ができて、さらに一連の対話の文脈を考慮した回答ができることは「知能がある」と言えるでしょうか。

 上記の対話の中のchatGPTの答にも書かれていますが、今のAI研究や実用化の流れは、特定の機能をうまく実現することを目指しており、人間と同じような知能の再現という方向には行っていないと思います。これは望ましい方向だと思います。例えば自動車というのはたくさんの人や物をのせて人よりもずっと速く移動できる機械です。その機能に特化して、その機能に関しては人間よりはるかに優れた能力を持っています。AI活用も、特定の機能や能力を伸ばして人間を上回ることで人間に貢献できる技術として使われるのが適切だと思いますし、それなら実用になるとも思います。

 私も昔は自然言語処理に関わっていたこともあって、chatGPTの技術は本当にすごいと思います。ただ、これは「人間に勝る知能を持ったAI」だとは思いません。「ある一面で人間に勝る機能・性能を持ったコンピュータ」だとは思います。ちょうど自動車というのが「ある一面(移動や運搬)で人間に勝る機能・性能を持った機械」であるのと同じです。現在の自動車を実現する技術に感嘆するのと同様にchatGPTの技術には感嘆しますが、だからといって人間と同等もしくは人間を超える知能や知性が実現できたとは全く思いません。

 もちろん、新しい優れた技術が実用化されると、それに伴って不要となる職業や仕事が出てくるのはやむを得ないというか当然という気はします。

 ちなみに、先日もご紹介した(ような気がする)下記の英語の聞き間違いについて、chatGPTに尋ねてみました。

次の文の意味が知りたいです。「知は力なり。フランスはベーコンなり。」
(I want to know next sentence. "Knowledge is power. France is Bacon.")
 
このシーケンスの次の文は、前の文の意味と接続が異なるため、明確でも論理的でもありません。最初の文「知識は力なり」はよく知られた引用ですが、2 番目の文「フランスはベーコンです」は、最初の文から論理的には続かない、非連続文です。2 つの文の間に意図された意味や接続が何であるかは明らかではありません。

 フランシス・ベーコン(Francis Bacon)と「フランスはベーコンなり」(France is Bacon)の言葉の類似性までは言及してもらえませんでした。別にだからといって「chatGPTはまだまだだ」と言いたいわけではなく、単にそういうところに注目して開発されていないだけだと思います。単語の打ち間違いみたいなものはちゃんと対応してくれているので、やろうと思えばすぐできると思います。

 すみませんとんでもなく長くなりましたが(誰も読まないかも)、chatGPT、確かに今のレベルを知るために試してみることをお勧めします。



 あやとりです。「Qの構え」(と呼んでいるもの)を横向きに作って、そこから「1つのダイヤモンド」を作ってみました。

hh230211-1:横向きの「Qの構え」
  1. 人差し指の構え(右手が先)
  2. 小指を外す
  3. 右親指で、左人差し指手前の糸を左人差し指根元付近で取り、
    右親指をナバホ取り
  4. 左親指を静かに外し、左親指で右親指手前の糸を右親指根元付近で取る 

 左右非対称です。

hh230211-2:「1つのダイヤモンド」
  1. 人差し指の構え(右手が先)
  2. 小指を外す
  3. 右親指で、左人差し指手前の糸を左人差し指根元付近で取り、
    右親指をナバホ取り
  4. 左親指を静かに外し、左親指で右親指手前の糸を右親指根元付近で取る 
  5. 左小指で、中央の水平な2本のうち上の糸を取る
  6. 左薬指で、左小指の輪の中から左人差し指向こうの糸を向こうから取り、
    左小指を外す
  7. 左親指を外す
    (この時点で左手は人差し指と薬指、右手は親指と人差し指にパターンがかかっている)
  8. パターンが親指・小指にかかるようにそれぞれの指の輪を移す

 手順4.までが「横向きのQの構え」そのものです。

 ここから「ダイヤモンド」を増やしてゆきます。

(つづく)



 大雪です。昨日は16時くらいで在宅勤務を切り上げて、それから1時間くらい雪かきをしました。夜半には雪がやみました。今朝は4時くらいから2時間近く雪かきをしました。明るくなってきたときに庭を見たら、木に着雪がすごかったです。家の横にあるナンテンとヒイラギは雪をかぶって枝が曲がってしまっていたので雪を払いました。かりんの木やヤマボウシは枝がしっかりしているのでそのままにしました。

 今は陽が射してきています。一日で雪があがってくれて助かりました。


<おまけのひとこと>
 昨日は高速道路も国道も通行止めになっていました。いつもより在宅勤務を選択した人が多かったです。賢明だと思いました。そういう選択肢があるということはありがたいことだと思います。






2月12日(日) 「ヘンテコ関数雑記帳」、あやとり

 数学の本の話とあやとりの話です。



 先日、ヘンテコ関数雑記帳 ―解析学に誘う隠れた名優たち―(佐々木 浩宣,共立出版:2021) という本を買ったのです。大学の教養課程で習う数学は高校までの数学とは全く違っていて最初は戸惑いますが、複数の教科書を何度も読んでみたり、演習問題の答がなぜそうなるのかを考えたりすることを繰り返すことで数学の厳密な論理というものの作法を身に着けた(つもりになった)記憶があります。この考え方の基本となる「連続とは何か」「微分可能とは何か」といった概念を学ぶ際、教科書に出てくる関数というのはいずれも素性が良くてお行儀が良いものばかりでした。この本には、そうではない、ふしぎな関数がいろいろと紹介されています。読みやすくて面白くて、解析学の普通の教科書を読み直してみたいなあと思わせてくれる本です。

「ヘンテコ関数雑記帳」

 第一章には「高木の関数」が紹介されています。章の扉のページに関数の図が描かれています。

図 1.1 (ヘンテコ関数雑記帳より)

 これはフラクタル曲線で、図1.1を1010100倍(とてつもなく大きな数です!)に拡大しても、同じ構造が見えるというグラフが示されています。

図 1.2 (ヘンテコ関数雑記帳より)

 ちなみにこれは区間 [0,1] でこんな風に定義されていますが、「ヘンテコ関数雑記帳」では、もっと直観的にわかりやすいように順を追って丁寧にこの関数の定義を説明してくれています。

 そして、この関数の定義の説明の後、「なぜ連続だと言えるのか」「なぜ微分不可能だとわかるのか」が示されます。上記の共立出版のこの本のページには試し読みが準備されていて、太っ腹なことに表紙・目次・はじめに、から第一章まるまる全部が公開されています。この章だけでも十分に読む価値があると思います。お勧めです。

 こんな面白い本が日本語で書かれていて(翻訳ではなくて世の中にはオリジナルの日本語版しかなくて)、それを母国語で読むことができるというのはとても幸せなことだと思うのです。ある程度人口が多くないとこういうことはできないわけで、将来も大学の専門教育が日本語でできるような国で有り続けてほしいと願っています。なので、面白いと思える本は多少高くても極力購入するようにしています。



 今朝、この本の紹介をしようと思ったとき、図の引用は手元の自分の本の写真を撮って掲載しようと思ったのです。紙の本の紙面を写真に撮ったりスキャンしたりするとき、裏側のページがうっすらと写ってしまうことがあります。下の写真がその例です。

本の画像1

 この「裏写り」を低減する技として、「黒い紙を撮りたいページの後ろにはさむ」という手段が有効な場合があります。黒い折り紙をはさんでみました。

本の画像2

 若干改善されているのがわかるかと思います。「よし、これをヒストグラム補正して背景を白飛びさせて図を用意しよう」と思ったら、公式サイトの試し読みにご紹介したかった図があったので、そちらを引用させていただきました。



 あやとりです。昨日の「横向きのQの構え」→「1つのダイヤモンド」から「2つのダイヤモンド」に拡張してみました。

hh230212-1:「2つのダイヤモンド」
  1. 人差し指の構え(右手が先)
  2. 小指を外す
  3. 右親指で、左人差し指手前の糸を左人差し指根元付近で取り、
    右親指をナバホ取り
  4. 左親指を静かに外し、左親指で右親指手前の糸を右親指根元付近で取る 
  5.    
  6. 左小指で、中央の水平な2本のうち上の糸を取る
  7. 左薬指で、左小指の輪の中から左人差し指向こうの糸を向こうから取り、
    左小指を外す
  8. 左親指を外す
    (この時点で左手は人差し指と薬指、右手は親指と人差し指にパターンがかかっている)
  9. パターンが親指・小指にかかるようにそれぞれの指の輪を移す
  10.    
  11. 左中指で、中央の菱形の左下の斜めの糸を向こうから取る
  12. 左薬指で、左親指向こうの糸を外側から取り、左小指を外す
  13. 左人差し指で、左中指手前の糸と左薬指手前の糸を取る(右手でサポートする)
  14. 左人差し指と左中指に掛かっている1つの輪を外す(左人差し指はナバホ取りになる)
  15. 左親指を外す
    (この時点で左手は人差し指と薬指、右手は親指と小指にパターンがかかっている)
  16. パターンが親指・小指にかかるようにそれぞれの指の輪を移す

 一見「二段ばしご」に見えますが、「二段ばしご」は両側が二重絡みになっていますが、「2つのダイヤモンド」は左は一重の絡みで左右非対称です。



 妻がつぼみの状態で買ってきて生けた花が色づいてきました。外は雪景色ですが、玄関は一足早く春めいてきました。


<おまけのひとこと>
 ニュースを見ていたら、「(年利ではなく)月利4%で出資を募った詐欺で逮捕された」という事件が報道されていました。月利4%で複利なら、1年で6割利子が付きますし、5年で元本は10倍になります。今時そんな高利回りの投資が安全なはずがありません。まず「元も子もなくす」(=元本も利子も失くす)に決まっているだろうと容易に想像できます。闇金融の利息が異常に高いのも、回収率が低いためです。貸す側にとっても危険な投資なのです。指数対数の教育をするときに、こういうことをしっかり教えたら良いのではなかろうかと思います。






2月13日(月) 解析学の教科書、あやとり

 数学の本の話とあやとりの話です。すみません、今日は(平日なのに)単なる思い出話です。



 昨日ご紹介したヘンテコ関数雑記帳 ―解析学に誘う隠れた名優たち―には、第14章 解析学「超」斜め読み という補足が30ページほど付いています。「この章だけで解析学を勉強しようと思わないでくださいね、ちゃんとした教科書で勉強してくださいね」と書かれています。「ちゃんとした教科書」として紹介されている本として、「解析入門I・II」(杉浦光夫:東京大学出版会)

 「解析概論」(高木貞治:岩波書店)

 などが紹介されています。久しぶりに本棚から引っ張り出してみました。杉浦先生の本はとても丁寧に書かれています。大学に進学した初年度にこの本で勉強しました。「解析入門I」は1980年、「解析入門II」は1985年の初版なので、私はまだ出版されたばかりのころにこの本を買ったのだなあと今にして思います。同じ寮にいた友人は杉浦先生ご本人に解析学を習ったそうです。(私は解析は近藤武先生、線形代数は服部晶夫先生でした。)

 これらの本が良い本だ、ということは当時はあまりよくわかりませんでした。とにかく高校までの数学とはまるで違う世界についていくのに必死でした。でも、当時こういった勉強をすることができて、それから40年も経った今でもアマチュア数学愛好家の端くれとして数学の本を楽しめるというのは幸せだなあと思います。いつまでも素人レベルですが。



 あやとりです。昨日、「1つのダイヤモンド」から「2つのダイヤモンド」を取る手順をご紹介しました。この手順で、ダイヤモンドを1つずつ増やしてゆくことができるのです。そこに気付いて下さったあやとり協会の吉田さんからメールをいただき、ダイヤモンド8個の写真も送っていただきました。ありがとうございます。この手法やその面白さが伝わった方が少なくとも一人はいらっしゃったということがとても嬉しいです。

hh230213-1:「n個のダイヤモンド」(n=5の例)
  1. 「1つのダイヤモンド」
    1. 人差し指の構え(右手が先)
    2. 小指を外す
    3. 右親指で、左人差し指手前の糸を左人差し指根元付近で取り、
      右親指をナバホ取り
    4. 左親指を静かに外し、左親指で右親指手前の糸を右親指根元付近で取る 
    5.    
    6. 左小指で、中央の水平な2本のうち上の糸を取る
    7. 左薬指で、左小指の輪の中から左人差し指向こうの糸を向こうから取り、
      左小指を外す
    8. 左親指を外す
      (この時点で左手は人差し指と薬指、右手は親指と人差し指にパターンがかかっている)
    9. パターンが親指・小指にかかるようにそれぞれの指の輪を移す
    10.    
  2. ダイヤモンドを1つ増やす操作
    1. 左中指で、中央の菱形の左下の斜めの糸を向こうから取る
    2. 左薬指で、左親指向こうの糸を外側から取り、左小指を外す
    3. 左人差し指で、左中指手前の糸と左薬指手前の糸を取る(右手でサポートする)
    4. 左人差し指と左中指に掛かっている1つの輪を外す(左人差し指はナバホ取りになる)
    5. 左親指を外す
      (この時点で左手は人差し指と薬指、右手は親指と小指にパターンがかかっている)
    6. パターンが親指・小指にかかるようにそれぞれの指の輪を移す
  3. 必要な数だけ「ダイヤモンドを1つ増やす操作」を繰り返す



 この手順をどうやって思い付いたかというと、最初に「サケ網・3つのダイヤモンド」というあやとりを取ったのです(リンクは昨年10月4日にこのあやとりをご紹介したときのものです。取り方の手順を自分用に書いています)。このタイトルは「あやとり」(野口広:河出書房新社)での呼び名です。石野さんのサイトではキングフィッシュがこのあやとりです。

sf230213-1:「サケ網・3つのダイヤモンド」

 最初に考えたのは、「サケ網・3つのダイヤモンド」を取って、そこからダイヤモンドの数を減らすことでした。減らすのは簡単でした。

 上の図左のように「3つのダイヤモンド」を取ります。赤● が左手の親指・小指です。これを左の人差し指・薬指に掛け直して、左親指と左小指を空けます。改めて左親指と左小指を上の図左の赤★のところ(一番左のダイヤモンドのすぐ右側の上下の三角形の中)に下から入れて、赤●の左人差し指・薬指を外します。そうすると上右図のように「2つのダイヤモンド」になるのです。続けて、上右図の中央上下の三角形に左親指と左小指を入れて引くと「1つのダイヤモンド」になったのです。

 これを逆に辿れれば「ダイヤモンドを増やす手順」になるはずです。それをあやとりの手順として書き記してみたのが昨日からご紹介している手順だったのでした。1つ減らすほうはものすごく簡単ですが、1つ増やすほうは自分で考えたにもかかわらずなかなか覚えられません。なんだか編み物の手順みたいです。

 ダイヤモンドの数を1つずつ増やしたり減らしたり自由自在にできます。この手順を記録することができて嬉しいです。今月頭の2月1日に載せたのが、この手順で作った「4つのダイヤモンド」だったのでした。

hh230201-1:4つのダイヤモンド(再掲)



 一昨日の金曜日は大雪で大変でしたが、週末の土曜・日曜は気温が上がって雪はだいぶなくなりました。昨日の日曜日、お昼を食べた後で1時間近く家の近所を歩いてきました。

写真 1

 正面、緑の屋根の三階建ての建物がうちの子供たちが通った中学校です。この建物の右手前に見えている銀色のかまぼこ状の構造物は屋内プールです。15年前、私はこの学校のPTAの副会長、兼、市のPTA連合会の副会長、兼、郡(近隣6市町村)のPTA連合会の副会長、をくじ引きで引き当ててしまってそれはもうとても大変でした。少しでも子供のためになるなら、と思って頑張ったのですが、任期の最後の娘の卒業式で校長先生にご挨拶したら、「PTAの役員ご苦労様でした。でもあなたがうちの学校の父兄だったと今日初めて知りました」と言われてがっかりしたのを思い出しました。

 中学校の前を通って、こんな景色の中を歩きます。人はもちろん、車すらほとんど通りません。気温は5℃くらい、歩いていて気持ちがいいです。

写真 2


<おまけのひとこと>
 昨夜、夜中にベッドのヘッドボードが外れてしまいました。進学して就職、結婚した子供が高校生まで使っていたベッドを私が再利用しているのですが、サイドレールとヘッドボードを止めているボルトを受ける、ヘッドボードに埋め込まれた金属のネジ受けが金属疲労で折れて(砕けて)しまっていました。ここ数週間、ヘッドボードが妙に姿勢が傾くなあと思ってそのたびに直しながら不安だったのですが、遂に壊れてしまいました。さてどうしたものかと思っています。修理は難しそうですし、廃棄は手間がかかるし…






2月14日(火) 封蝋(ふうろう、シーリングワックス)、あやとり

 封蝋の話とあやとりの話です。



 久しぶりに手にした「解析入門I・II」の表紙を1枚めくってみたら、

 こんなものが付いていました。(もちろん昔自分がやったのです。)

 上の写真の本の右上の黒い部分を拡大してみます。

封蝋(1)

 よくわからないと思うので、横から光を当てて写真を撮り直しました。(上の写真は拡大しませんが、下の写真はクリックで拡大します。)これでもまだわかりにくいですが…

封蝋(2)

 これは封蝋(ふうろう:シーリングワックス)です。王冠のデザインなのですが、かたちがわかりやすい写真をうまく撮れませんでした。もう長いこと使ったことがありません。(というか、本来の目的で使ったことは一度もなかったかもしれません。) 今でもだいじに持っているので、取り出してきて写真を撮ってみました。(クリックして拡大した画像をご覧いただくと王冠の刻印がわかりやすいと思います。)

封蝋用の押印

 下の写真のように持ち手の部分と印の部分がネジ止めされていて、交換することができるようになっていますが、先端部分はこの王冠のデザインのものしか持っていません。

封蝋用の押印

 当時持っていた本に押してみようかなと思ってやってみたらあまりうまくできなくて、この2冊だけに押してあとは諦めた記憶があります。

 シーリングワックスも一緒に保管していたはずなのに、見当たりませんでした。シーリングワックスを入手できたらまた試してみようかなと思いました。



 あやとりです。「サケ網・3つのダイヤモンド」から1つずつダイヤモンドを増やしたり減らしたりするテクニックをご紹介しました。奇数で素数のものを作りたいなと思って「7つのダイヤモンド」にしてみました。

hh230214-1:7つのダイヤモンド

 あやとり紐の「ねじれ」が悪さをして、かたちがうまく整いません(右から3番目のダイヤモンドの下の頂点)。いまひとつです。

 手持ちの一番短いあやとり紐3本で作ってみたものです。

ダイヤモンド1つ、2つ、3つ

 この3つは同じ長さの紐から取っています。



 こんな言葉を知りました。あの「プログラミング言語C」を書いたカーニハン&リッチーのカーニハンの言葉のようです。とても面白かったのでご紹介します。

Debugging is twice as hard as writing the code in the first place. Therefore, if you write the code as cleverly as possible, you are, by definition, not smart enough to debug it.

Brian W. Kernighan

そもそもデバッグは、プログラミングに比べ二倍難しい。それゆえ、自分の知恵を振り絞って書いた(クレバーな)コードのデバッグをするほどには、あなたの賢さは本質的に十分ではないのだ。

ブライアン・W・カーニハン

 これを素直に(愚直に)読むと、「全力でプログラミングしたら自分ではデバッグができなくなる」と理解できてしまいます。もちろんここで本当に伝えたいメッセージはそうではありません。「クレバーな」コードを書いてはいけない、というところがポイントです。「クレバーな」コードというのは、一見してわかりにくいけれども効率が良かったり高速な動作をしたりするコードのことを指して(いると思)います。プログラミング(コーディング)のときは手間を惜しまずわかりやすいコードを書こう、それはデバッグを簡単にし、コンパイラの最適化がうまく機能しやすくなり、結局は得なのだ、ということが真のメッセージだと思います。

 最近流行のchatGPTに、この言葉をまるごと引用して「こんな文を読んだのだけれども、自分は今まで全力でプログラムを書くように努めて来たのですが、それは間違っていたのでしょうか?」と尋ねてみたら、至極真っ当な答が返ってきて感心しました。(長くなるので引用はしません。)


<おまけのひとこと>
 昨夜帰宅して、昨日の深夜に壊れてしまったベッドを分解し、お掃除をして床の上にマットレスを敷いて寝る準備をしました。「ベッドが壊れる」というと、最近気に入っているマンガの「ハクメイとミコチ」の7巻の第45話「雷鳴のお泊り会」で、美容師のジャダがハクメイとミコチの家に泊りに来る話を思い出しました。






2月15日(火) 幾何の問題、あやとり、他

 図形問題の話とあやとりの話です。半月ごとにまとめている過去のページの最下段の日なので、軽い話題をいくつか書くことにしました。



 こんな図形の問題を見かけました。

角QCBは?

 正方形ABCDの辺AD上に点Pを取ります。対角線BDとPCの交点をQとすると、AP=PQとなりました。このとき角QCBを求めて下さい、という問題です。

 図を眺めてすぐに答が思い付かなかったので、式を立てて計算して求めてしまいました。計算してきれいに答えが求まってそれはそれで気持ちが良かったのです。が、もっとずっと簡単に答えがわかる考え方がありました。わかりますか?

(つづく)



 あやとりです。単発の話題ということで、先日もちょっとだけご紹介した長さが(だいたい)同じ2本のあやとり紐を使ったあやとりのご紹介です。

hh230215-1 hh230215-2

 ご覧の通り「ナウルの太陽」の系統のあやとりを2本の輪で作ってみようとしたものです。2本の輪にすると、また1つ「パターンあやとり」のバリエーションの軸(次元)が増える気がします。



 確率分布間距離にひそむ熱力学的意味の発見―熱力学的時間の矢に新たな知見―(慶應大学 2023/02/07) というプレスリリース(このページからリンクされているpdfのプレスリリース全文)を興味深く読みました。

 熱力学を初めて学んだ時、正直言って古典力学に比べてあんまり面白いと思えなかったのです。でも、例えば気体のような膨大な数の分子(粒子)が個々に自由に飛び回っているような系を記述しようとしたとき、1つ1つの粒子を古典力学の運動方程式で記述したとして(そんなことはできるはずがありませんが)、そこから何か意味のある情報を取り出せるかというとそれは不可能です。その系を記述するために統計量を導入すると、その統計量からその系のマクロな性質を論ずることができるのです。それが例えば温度とか気圧とか体積とかいう量です。

 さらに、エントロピーという重要な概念があります。80℃に沸かしたお湯と20℃の水道水を混ぜるとその中間の温度のぬるいお湯になりますが(混ぜる量によって温度は変わりますが)、お風呂の40℃のお湯が、ある瞬間に浴槽の半分が60℃になって残り半分が水になる、という現象は決して起こりません。仮に個々の水分子の挙動を運動方程式で記述したとしても、これが起こらない理由は説明できません。膨大な粒子によって構成される対象物の振る舞いをどのように予測できるのか、という観点で熱力学の考え方が理解できるようになると、これが非常に面白い学問であるということがわかるようになりました。

 学校で習う現在確立されている熱力学は、十分に時間が経過した後の均質な系の性質です。状態変化も「準静的変化」と言って、常に平衡状態を保ったまま、内部が均質な状態のままで少しずつ(例えば)温度が変わっていくようなことを想定します。一方、上記のプレスリリースにも書かれていますが現実の系では内部が必ずしも均一になっているわけではなく、部分的に空間的な偏りが生じることは珍しくありません。そういった「ゆらぎ」を論じるとき、その分布が議論の対象になるのですが、その分布がどれだけ似ているか異なっているかを「2つの分布の距離」と決めて、それをいろいろ調べると面白いことがたくさん出てくる、という話です。

 熱力学的ゆらぎの研究で、マクロな古典力学(ニュートン力学)との架け橋の領域として分子モーターの研究があります。 例えば単細胞生物の「鞭毛(べんもう)」という、細胞の移動のための長いひも状の器官がありますが、この根元には「鞭毛モーター」という分子モーターがあって、これを回転させることでらせん状の鞭毛が動いて、液体内で細胞を高速に推進する力を発生させます。この分子モーターの振る舞いが熱力学の研究対象である、というところがまた面白いです。

 さらに、上記のプレスリリースの中にはワッサースタイン距離(ワッサースタイン計量)の話が出てきます。これは、最近流行している機械学習でも使われている分布間の距離の定義の1つで、調べてみると面白いトピックがいろいろ出てきます。これも機会があったら(ここに書くような面白いトピックが見つかったら)ご紹介したいと思います。



 江端さんのサイト https://kobore.net/ をよく見に行くのですが、2023年1月13日に、「ローカル女子の遠吠え 9巻」(瀬戸口みづき)が紹介されていて共感しました。私もこのシリーズは全巻揃えています。


<おまけのひとこと>
 今朝はまた寒い朝でした。






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