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以前の「ひとこと」 : 2018年11月後半



11月16日(金) カテナリーアーチ(その1)

 紙工作でこんなものを作ってみました。

図 1 図 2
図 3 図 4

 A4サイズの用紙3枚分で、「のしりろ」のあるペーパーモデルの手法で作ってみました。断面は三角形なので丈夫です。「のりしろ」はすべてを接着するのではなく、かたちの微調整ができるように、ただ単にかぶせてあるだけの部分もあります。この写真ではちょっとひずんでいますが、気に入ってここ2ヶ月ほど飾ってあります。詳細は明日ご紹介します。

(つづく)



 最近は朝6時前に家を出て、車を1時間ほど運転して7時前に会社の駐車場に着く、というパターンが多いです。駐車場から見た北アルプスがきれいでした。冠雪していよいよ冬らしくなってきました。

図 5

 そろそろタイヤを換えないといけないなあと思っています。

<おまけのひとこと>
 「タイヤをかえる」ときの「かえる」の漢字は「換える」なのか「替える」なのか、どっちかなあと思いました。「タイヤ交換」という言葉は定着していると思うのです。一方で「タイヤを履き替える」という言い方もよく耳にします。「交換する」、「交替する」、どちらでも良いのかな。






11月17日(土) カテナリーアーチ(その2)

 今年のBridgesに、多面体造形で大変有名なGeorge Hart氏のCatenary Arch Constructionsという論文がありました。

図 1

 カテナリー曲線というのは日本語では懸垂線と呼ばれる曲線で、ロープや鎖などの両端を固定して垂れ下がった状態にしたときにできるカーブのことです。図1は、論文にも出てくる写真で、紙で三角柱のブロックを作って、それを積み上げてカテナリー曲線のアーチを作ろうというもので、実際にBridges2018のワークショップで作られたようです。

 こちらに、ワークショップの様子の写真やカテナリー曲線の説明に加えて、pdfファイルでパーツの型紙が公開されています。たいへんありがたいことです。

 ワークショップの題材としては、複数のブロックで構築するというのはとても良いアイディアだと思います。複数の人で手分けしてブロックを組み立てることができますし、アーチ型に積み上げて、最後の要のブロック(要石)をはめると安定するのも、手の数が多いほうが都合がいいです。

 自分でも作ってみたくなったのですが、設計を変えて、一人でも組み立てやすいように、ペーパークラフトの手法で作るように型紙を作りました(図2)。

図 2

 これらを三角柱の筒状に接着して、パーツをはめるのは接着は最低限にして、かたちが変形する自由度を残すことで、アーチのかたちを調整できるようにしようと思って設計しました。図2は4つのパーツの図になっていますが、一番左の小さなパーツがアーチ中央の「要石」です。それ以外の3パーツは2つずつ必要です。

 A4サイズの用紙3枚に印刷するように設計して、印刷して折り筋を付けて、切り取ってパーツをすべて筒状に接着して、組み立てました。作業時間は1時間程度でした。型紙のpdfファイルを希望される方はご連絡くだされば差し上げます。(まあでもオリジナルの型紙が公開されているので、私の型紙を希望される方はいないかなとも思いますが。)



 昨日(11/16)は職場の飲み会がありました。いつもは外ではビールしか飲まないことにしているのですが、昨日は時間が早かったため、つい油断して他のお酒も飲んでしまいました。お店を出て、二次会に行くグループからさりげなく離れて駅に向かったのですが、それ以降の記憶が失われていて、次に気が付いたのは自宅の最寄り駅に到着した列車の車内でした。

 幸いにして昨日乗車した列車は自宅最寄り駅が終着駅だったのです。でも気が付いたときには自分がどこにいるのかわからなくて、とりあえずホームに降りて、駅名標を探して、降りるべき駅で降りられたことがわかってほっとしました。乗った列車はその後そのまま折り返す運行になるため、気が付かずに戻ってしまわなくて本当に良かったと思いました。

<おまけのひとこと>
 外で飲むのはやっぱり危険です。(そんなに飲まなければ良いだけの話なのですが。)






11月18日(日) 里山に登る

 すみません、今日は単なる日記です。



 今朝ほど(これは18日(日)のお昼前に書いています)、先日も行った小泉山にまた行ってきました。図1はgoogle mapで航空写真風のイメージにしたところです。地名などのラベルを非表示にしてあります。図のほぼ中央付近に2つの緑色のかたまりが見えますが、左側(西側)が小泉山、右側(東側)が大泉山です。

図 1

 この小泉山ですが、標高が1070メートル、山のかたまりの大きさは、南北に約1kmくらい、東西に1.5kmくらいです(図2)。

図 2

 前回は東の端の中沢(“なかっさわ”と発音します)の登山口からなだらかな稜線伝いに登ったのですが、今日は西側の比較的傾斜がきついほうから行くことにしました。ルートはこんな感じです(図3)。

図 3

 粟沢口から登り始めて、途中で三角点のある小さな峰に寄り道しながら登ります。途中で分岐がありますが、最初はまっすぐ登って頂上まで行きました。山頂ノートに日付と時刻と名前を記入して、いったん途中の富士浅間神社というところまで戻ります。ここは富士山の火口を模して直径4メートル、深さ2メートルの穴が設けられていて、その中央に石の祠が祀られています。

 下りはこの浅間神社の参道を下りました(図3の(4))。最初は急な下りですが、すぐに等高線に沿って歩く道になりました。五合目でさきほど通った道をもう一度上って、今度は北側に降りることにしました。途中の二本松の広場(残念ながら松は切り株しか残っていませんが)まで下って、最後は小泉口に下りました。駐車場までは道路を歩いて戻りました。

 図2や図3は国土地理院の地図を参照したのですが、地理院の地図はいろいろ便利な機能があって、距離を計測してくれたり、面積をはかってくれたり、さらには指定した経路の標高をグラフにしてくれたりするのです。図3の(1)、(2)、(3)の、最初に登り始めてから頂上までの標高の変化のグラフを作ってみました(図4)。

図 4

 これはおもしろいです。移動距離(グラフの横軸)は200メートルごとに縦の補助線が引かれています。出発してから400メートルのところからの傾斜がきつくなっているのがわかります。この区間はずっと手すりのロープが整備された木製の簡易階段が整備されていましたが、並行してつづら折りの通常の登山道もありました。階段のほうが息が上がるので、私は距離は長いですが通常の登山道のほうを選びました。

 途中には、祠や石塔などがたくさんあって、ちゃんと立て札や解説がついています。よく整備された里山公園だと思います。ただ、トイレはないので途中で行きたくならないように注意が必要です。

 小さな山ですが、それでも南側と北側では植生が異なっていて面白かったです。最初に登った南側は広葉樹の枯葉が多くて、ところどころに朴の大きな葉っぱを見かけました。

図 5

 一方、北側はカラマツの細かい枯葉がたくさん積もっていました。

 今回のルートも、ところどころにある頑丈なロープの手すりがとてもありがたく、頼もしかったです。途中、上手にロープを接いでいるところがあって感心しました(図6)。最近、結び目やロープにちょっと興味があるので、こんなものが気になるのでした。

図 6



 先週の金曜日の職場の飲み会のとき、会場の最寄り駅に30分前くらいに到着したので(田舎なので列車の本数が少ないのです)、駅前の楽器屋さんにふらふらと入って楽譜を眺めました。いろいろ見た中で、リャードフというロシアの作曲家の曲がきれいそうだったので、衝動買いしてしまいました(リャードフ:ピアノ作品集)。

図 7

 昨日ちょっと弾いてみたのですが、op.57-3のマズルカ、op.57-1のプレリュード、op.41-1と2の2曲のフーガなどが気に入りました。

 プーランクのフルートソナタの楽譜もあって、しかも安かったので、迷ったのですが今回は見送りました。

<おまけのひとこと>
 金曜日の飲み会の帰りは記憶を失っていたので、土曜日の朝にカバンをあけるまでリャードフの楽譜を買ったことなどすっかり忘れていました。ちょっと弾いてみて、いい楽譜を買えたと思って嬉しくなりました。






11月19日(月) Twisted Puzzle(その1)

 先日小淵沢アウトレットに行ったとき、こんなパズルがディスプレイされていて、試しに遊んでみられるようになっていました。

図 1

 値札が見えていますが、2,200円でした(税別)。

 このパズルは平面のシルエットパズル系で、ピースは全部で6つです(図2)。

図 2

 このうち、盤上に乗っている白の正方形と黒の直角二等辺三角形は単独で1ピースですが、それ以外のカラフルな4ピースは、2つの三角形もしくは四角形が1本の軸で連結されていて、その軸の周りに回転させることができます(図3)。

図 3

 この4つのピースを2つのかたちのどちらにするかによって、全部で2の4乗で16通りのシルエットパズルがある、という見方をすることもできます。

 店頭に置かれていたサンプルのこのパズルはとてもかわいそうな状態になっていて、むりやり引き抜いたりジョイントが折られていたりしていて胸が痛みました。

 たとえば、こんな状態になったとすれば(図4)、

図 4

パズルを仕上げるためには青と水色の直角二等辺三角形を切り離したくなるでしょう。「もともと外して遊ぶものなのだ」という思い込みがあったとすれば、力づくでピースを壊してしまう、ということが起こってしまうのは想像はできます。

 カラフルできれいなパズルなので、サンプルを出して触ってみてほしいというお店の気持ちもわかりますが、これは出してはいけないパズルなのだな、と思いました。(店頭のキャストパズルのサンプルなども、ときどき無理やり壊されているものがあったりして、見ると悲しくなります。)

 そんなに難しいパズルではないのですが(パッケージには対象年齢は3歳以上と書かれていました)、発想が面白かったので買ってきたのです。付録の冊子にはいくつか問題も載っていましたが、それほど難しいものはありませんでした。

 付属のボードのデザインも素敵でした。断面が数学の積分記号のインテグラルみたいなかたちをしていて、若干の傾斜があるのです。表側は図4のような正方形の枠がついています。裏側は別のシルエット問題になっていたのですが、これがちょっと問題でした。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 サッカーJ2の最終節が週末にあって、地元の松本山雅が初のJ2優勝を果たして来年のJ1昇格が決まりました。喜んでいます。






11月20日(火) Twisted Puzzle(その2)

 昨日、Twisted Puzzleというのをご紹介しました。全部で6つのピースのうち、4つについては2つの状態を取ることができるので、全部で2の4乗で16通りのシルエットパズルがある、という見方をすることができます、と書きました。それぞれの状態を区別できるような記載方法を決めてみました(図1)。

図 1

 このようにツイストするピースの状態を0,1で定義すれば、4桁の二進数として状態を記述できます。例えば図2の例ならば“1010”です。図1の表と見比べてみてください。

図 2

 表記方法が決まったので、とりあえず16通りのうち、正方形が作れるのはどのパターンだろう? と思ってパソコンの中で手作業で解を探してみました(図3)。空白のところは、今のところ解を見つけられていないパターンです。

図 3

 この図3を見ているだけでもなかなか楽しいです。たとえば、図3の最下段の右側の3つ、“1110”“1101”“1100”に注目してみます。赤・黄・白のパーツの位置もかたちも変わりませんが、青・緑・黒のパーツの位置関係が変わっています(図4)。

図 4

 そのすぐ上の段の“1010”“1001”“1000”でも同じことが起こっています。では、一段目と二段目でも同じ手が使えるかと思うと、それはうまくいきません。



 別な観点として、白い小さな単位正方形のピースが、解の大きな正方形の中心に来るパターンと、大きな正方形の隅(頂点)の位置に来るパターンがあります。大きな正方形の辺の中央に来るパターンができないかな、と思ったのですが、それは無理そうです。

 このシルエットパズル、まだまだいろいろ遊べそうです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 就職して3年目になる娘が、まとまったお休みが取れたそうで今週は帰ってきています。金融関係の仕事なのですが、お盆や年末年始のお休みが少ないかわりに、こういうタイミングでお休みが取れるのですね。それもいいなあと思いました。
 話をきくと、仕事でいろいろ悩みもあるようです。でも3年目にしてはよく考えているし、しっかりしているなと頼もしく思いました。






11月21日(水) Twisted Puzzle(その3)

 今週ご紹介している twisted puzzle は、凸多角形はいったいいくつ作れるのだろう?と思いました。タングラムをはじめとするシルエットパズルでは、そのピースの組み合わせで作れる凸多角形に注目して調べてみるということが行われます。たとえば、こちらの七金三パズルで作れる凸多角形の全列挙(堀山 貴史、上原 隆平、細矢 治夫)という資料には、タングラムや清少納言知恵の板をはじめとして、正方形を7つのピースに分けて作れる凸多角形の数について論じられていて面白いです。

 タングラムについては、今年の3月末にもご紹介しましたが、13種類の凸多角形が作れることが示されています。

再掲図 1:タングラム

再掲図 2:タングラムによる13の凸多角形

 タングラムのほうは大きな2つの直角二等辺三角形の位置を変えるだけで、いくつもの凸多角形を派生させることができましたが、twisted puzzle のほうはどうでしょうか?

 まず、ピースを改めてご紹介します(図1)。全部で6つのピースあって、そのうち4つについては2つの状態を取ることができます。

図 1

 これらのピースの寸法ですが、図2のように正方形を3×3の9分割する格子を基本としたかたちになっています。なので、単位となる直角二等辺三角形18枚分ということになります。(タングラムは単位となる直角二等辺三角形は16枚でした。)

図 2

 この6ピースで、ツイスト(パーツの変形)を許すとして、どんな凸多角形ができるか調べてみました。試行錯誤の発見的アプローチで、いまのところタングラムと同じく13種類の凸多角形が作れることがわかりました。

図 3

 単位正方形の高さを1とすると、高さ1の四角形が3種類、高さ2の五角形2つと六角形2つ、高さ3の三角形1つ、四角形2つ、六角形2つ、七角形1つ、が見つかっています。

 これら13種類のシルエットを解くのはそれほど難しいパズルではない気がしますが、その中でも図4の直角二等辺三角形と平行四辺形、タングラムでしたらとても簡単だったこの2つは、twisted puzzleではちょっと難しいかなあと思いました。

図 4

 明日答を載せるつもりですが、考えてみるとちょっと面白いかと思います。(私はパズル現物を使わずに、ノートの罫線を利用して手描きでかんたんなマス目を作って、それで解きました。)



 このtwisted puzzleですが、付属のリーフレットには2ピースだけ使うシルエットパズルが6問、3ピース使う問題が6問、同様に4ピースも5ピースも6ピースも全て6問ずつの問題が用意されています。変形するピースがあるので、この問題構成は良くできていると思います。

 ただ、とても残念なのが、全6ピースを使って作れる問題として、下の図5のように、角を切り欠いた長方形と、直角台形の問題があるということなのです。

図 5

 図5左の角を切り落とした長方形は、付属のボードの裏面に刻印されている問題です。図5右のシルエットはリーフレットに載っている問題です。いずれも、3と2√2(2.8284…)が同じ長さであるという近似に基づいた解になっているのです。一方で、このわずかな寸法の差を生かした問題も出題されていて、これは混乱を招くのではないかと思うのです。

 タングラムをはじめとするシルエットパズルでは、こういった微妙な寸法差というのは大変重要で、それを生かしたデザインがいろいろと考案されています。幾何学的なセンスを養うためにも、そういった違いを大事にする感覚がとても大切です。

 このパズル、ツイストするという発想がまず素晴らしいですし、素材や色遣いや寸法や仕上げなどのデザインも優れていますし、添付されている問題のステップ感も分量も適切ですし、本当に良いパズルだと思うのです。だからこそ、この「寸法がいい加減な問題が混じっている」という点が残念でなりません。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今日は定期通院です。






11月22日(木) Twisted Puzzle(その4)

 今日は、昨日予告していた大きな直角二等辺三角形と平行四辺形のシルエットの解を載せます。(「自分で考えたいから見たくない」という方はいらっしゃらないとは思いますが、一応予告です。)



 今週ご紹介している twisted puzzle(再掲図)で作れる凸多角形に注目する中で、かたちが同じなのか異なっているのかが直感的に判断できないような多角形が出てきて、とても面白いと思ったのです。

再掲図:Twisted Puzzle

 具体的な例をお示しします。図1をご覧ください。AからFまでの6つの多角形を並べてみました。これはいずれもtwisted puzzleで作ることができるかたちです。

図 1

 ここにある6種類の多角形の中で、同じものはあるでしょうか? 「同じ」というのは、回転したり裏返したりすればぴったり重なるもののことです。たとえばAとBは同じでしょうか、違うでしょうか? 違うとしたらどこがどう違うのでしょうか。これら6種類は、形が同じグループに分けたとすれば、いくつのグループに分けられるでしょうか? グループ分けしてみてください。そのとき、何を手掛かりに見分けたのか、意識してみてください。

(つづく)



 大きな直角二等辺三角形と平行四辺形のシルエットの解を載せておきます。

図 2

 やってみると、白い単位正方形のピースが意外と扱いに困りました。通常、こういったパズルはサイズが大きかったり形に癖があったりするピースから先に位置を決めてゆくのが定跡です。小さいパーツは最後になんとでもなる、という感覚なのですが、この正方形はそうではありませんでした。



 もう1つ、昨日「残念だ」とコメントした、実際には解けない2つのシルエットの近似解(パズルの付属のリーフレットにはこれが正解だと載っているもの)を載せておきます。

図 3

 うーむ。

<おまけのひとこと>
 昨日は病院をはしごして、夕方に少し時間ができたので車のオイル交換とタイヤ交換をしてもらおうかなと思ってディーラーに電話してみたら、水曜日は定休日でした。この週末の三連休はタイヤ交換で混雑しそうなので、やってもらえたら良かったのにな、と残念に思いました。






11月23日(金) Twisted Puzzle(その5)

 今週ご紹介してきた twisted puzzle の最終回です。昨日、このパズルで作れる凸多角形のシルエットを並べて、どれとどれが同じでしょうか、という問題を出題しておきました。考え方を説明します。

再掲図

 まず最初にそれぞれが何角形なのか、頂点の数を数えるのが自然でしょうか。両端のAとFは頂点の数が7、その間の4つは頂点の数は6になっています。また、どの多角形も内角は直角(90度)か135度のいずれかです。

 一般的に、ものの数を一目で把握できるのはせいぜい4つから5つまでと言われていて、それ以上になると「数える」ことが必要になってきます。こんな例を作ってみました。

図 1

 手作業でランダムっぽい点を打つのはけっこう難しいので、ExcelのRAND()関数を使って点をばら撒いてみました。いかがでしょうか、gifアニメーションの表示時間が環境やブラウザが違うとどの程度再現性があるのかわかりませんが、このくらいの表示時間(たぶん1秒弱)だと、点の数を把握するのは難しいのではないかと思います。

 私だったら、これらA〜Fの図形を比べるときに、直角の頂点に注目するかなあと思いました。

図 2

 図形Aは直角の頂点が1つしかありません。BとCは2つずつあります。この時点でAは別な図形だということがわかります。さらにBとCを見比べると、Cのほうには直角をはさむ辺の長さが等しい頂点がありますが(赤い線)、Bにはそういう頂点はありません。これでBとCが異なっていることがわかります。

 もう1つ、別なアプローチとして、これら3種類の多角形を含む3×4の長方形を考えてみます。今回のシルエットは面積が9ですから、3×4=12から、正方形3単位分を切り落とす必要があります。凸多角形を維持しながら切り落とすのですが、長方形の4つの頂点から、サイズ1の直角二等辺三角形(ピンク色)を2か所、サイズ2の直角二等辺三角形(水色)を1箇所切り落とすと、面積が9になります(図3)。

図 3

 この「切り方」が3通りあるのです。ピンクの2か所の選び方が、長方形の短辺の両端の場合、長辺の両端の場合、そして対角線上の2頂点の場合、です。切り落とされずに残った2頂点のうち、どちらを切っても対称性から同じ図形ができますので、このパターンでできる凸多角形は3種類しかないことがわかります。また、この3種類は形が異なることもこれで説明ができます。

 一見しただけでは違いがわかりにくい図3の3つのかたち、「何が違うんだろう?」ということをいろいろ考えてみるのは私にとってはなかなか面白かったのですが、いかがでしょうか。

 一応念のため、再掲図のA〜Fの6つのかたちのどれとどれが同じなのかの答を薄い文字色で書いておきます。 A=F, B=D, C=E です。


 一連の twisted puzzle の話題の最後に、1×9の長方形のシルエットの解を載せておきます。これは簡単だと思います。

図 4

 これができれば、右端の黒い直角二等辺三角形を左端に持っていけば、高さが1の細長い平行四辺形や等脚台形が作れることはすぐにわかると思います。また、同様にして高さが2の凸多角形も比較的簡単に作れます。

<おまけのひとこと>
 三連休です。嬉しいです。






11月24日(土) 開き続ける6個の立方体(その1)

 Bridges2018の論文を見ていたら、 Action Modular Origami(Tung Ken Lam) の中のこんな図に目が留まりました。

図 1: Tung Ken Lam

 6個の立方体を連結したものが、ずっと「開き続ける」動作を繰り返すことを説明している図のようです。

 ずっと以前、2003年5月16日のひとことで、「無限に開く立方体」という記事を書いたことがあります。8個の立方体を円環状に連結してできる構造で、たいへん面白い動きをします。有名な吉本キューブをはじめ、この構造のものはいろいろなところで公開されています。

 図1の立方体6個の図を見て、まず思い出したのがこの8個の立方体の構造でした。今はFlexicubeと呼ばれることが多いようです。この8個のものと区別するためだと思うのですが、6個のものはFluxicubeという名前が付けられているようです。

 これ、実物を作ってみたくなりました。まずは適当な立方体をセロテープなどでつないで、原理を確認してみることにしました。

(つづく)



 今年の1月に行った、諏訪大社上社の近くにある北斗神社に行ってきました。地図を再掲します。

 前回はカメラを忘れたので写真が撮れませんでしたが、今度はちゃんとカメラを持っていきました。図2は下から見上げてみたところです。階段はちょうど200段あるそうです。登りながら数えてみましたが、確かに200段でした。

図 2

 上り終えて振り返って下を見てみました(図3)。けっこう怖いです。

図 3

 北斗神社に上って下りて15分くらいでした。最近、少し里山などを歩くようになったせいか、思ったほど大変ではありませんでした。

 下りてくると、のぼるときには気が付かなかった「上社の杜 歴史の散歩道」という案内板に気が付きました(図4)。

図 4

 これを見ると(すみません、この図からは読み取れませんがこちらにもう少し詳しいpdfの地図があります)、散歩道が整備されているようです。少し歩いてみました。

 上社本宮より西側(図4の絵地図は視点が南向きなので図の右側になります)まで歩いてみて山側を見上げると、こんな鳥居と階段、その上にいくつか祠が見えました。ここものぼってみました。

図 5

 こういう道を歩くのも楽しいです。

<おまけのひとこと>
 昨日、タイヤ交換とオイル交換をしてもらってきました。これで冬への備えが1つできました。






11月25日(日) 開き続ける6個の立方体(その2)

 昨日ご紹介した6つの立方体を稜で連結してぐるぐると回転させられる構造の図を見て、手元の材料でプロトタイプを作ってみることにしました。立方体を部品としたラフな工作なら、こんなものがあったはず、と思って見つけ出したのがこれです。

図 1

 有名な、単位立方体を一列に27個、面どうしが接するように連結したパズルで、3×3×3の二回り大きいな立方体を作って下さい、というパズルです。接触面では自由に回転させることができます。100円ショップで見かけて、何かに使えそうだと思って4セットほど買ってあります。そのうち未開封があと1つ、パズルとして遊べる状態のままになっているのが1つ、残りはジョイント(ゴム紐です)を切って単位立方体をバラバラにしてありました。未開封のものと分解していないものの写真が図1です。単位立方体は1辺が約17mmくらいで、完成品の大きさが5cm角くらいになります。なかなかよいサイズです。

 これを、軽くセロテープとかでつないで、昨日のものができないかなと思ったのですが、結論を言うとそれではうまくいきませんでした。以下、CGで解説します。



 図2を最初の3×2の状態だとします。赤い稜線は最初の変形のジョイント(ちょうつがい)になるところ、青い稜線は第2ステップでジョイントになるところです。

図 2

 変形の第1ステップでは左右2つずつが下方向に折れます(図3→図4)。

図 3 図 4

 第2ステップでは今度は3つずつ、前後に2つに折れます(図5→図6)。

図 5 図 6 図 7

 この変形では、さらに前後に2つ折りにしないといけないのですが(図7)、

図 8

 この変形をしようとすると、これまでジョイントだった青い稜線は離れて、新たに別の稜線がジョイントにならなければなりません。このため、単純に単位立方体をセロテープなどで貼っただけだとうまくいかないのです。

 恥ずかしながら私は模型を作ってみるまでそれに気が付きませんでした。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 このCGを作るのが楽しかったです。






11月26日(月) 開き続ける6個の立方体(その3)

 6つの立方体を稜で連結してぐるぐると回転させられる構造の図を実際に作ってみようとしたら、単純なジョイントではうまくいかなかったという話を書きました。こんなことができる必要があるのです(図1)。

図 1

 一応、静止画でも載せておきます(図2、図3)。

図 2 図 3

 この図を作りながら、確かシャープの冷蔵庫で右からも左からも開けるドアのついたものがあったなあと思い出しました。



 さて、図1のようなしくみを簡単に模型で実現するならば、図4のような構造が手っ取り早いなあと思いました。厚みの無い正方形を1枚使って(図4では緑色で示しています)、上下の稜と接続すれば、上端・下端どちら側からも開くことができるはずです。

図 4

 冷蔵庫の扉の場合、両方の「ちょうつがい」が外れてしまうと扉が落下してしまって大変です。冷蔵庫の場合は片方が外れるともう片方がしっかりロックされるような機構がメカ的に備わっていました。この2つの立方体の間のジョイントの構造も、どちらかが開いているときはどちらかはしっかり結合していてほしいのですが、そんな構造は紙模型レベルでは簡単には実現できないです。

 まあでも、とりあえずこのアイディアで木製の立方体をつないで簡易モデルを作ってみることにしました。



 まずは2×3のかたちにしたところです。紙がバネのように働いて、手を離すと勝手に隙間があいてしまいます(図5)。

図 5

 真ん中の2つを持ち上げてみたところです(図6)。ジョイントに使っている紙が見えています。

図 6

 さらに前後に2つに開きます(図7)。

図 7

 今回の両側から開けるジョイント構造にしてあるので、この後も開き続けて再び2×3の状態まで進めることができます。

 模型を作ってみて構造が理解できて納得しました。ただ、この手法で作った模型は、紙やジョイント部の粘着テープが弾力性(ばね性)を持つため、隣接した立方体どうしの面が密着した状態で安定しません。また簡易モデルなので見た目が美しくないです。きれいにかたちが定まるためにはマグネットでも仕込めばいいのかな、とも思いましたが、今回は原理がわかったのでそれで満足することにしました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 三連休のうち後半の2日間は2〜3時間ほど里山を歩きに行きました。11月後半からは狩猟の季節なので、本格的な山道は歩かないようにしないと危険かなあと思っています。






11月27日(火) 両方向に開くジョイント、開き続ける6個の立方体(その4)

 このところご紹介している「開き続ける6個の立方体」の模型を作るためには両方向に開くジョイントが必要になること、それを単純に作ってみたら、両方が同時に開いてしまって都合が悪いこと、を昨日ご紹介しました。そうしたら、いつも大変有益な情報を下さる尾道市の大村さんから、こんな図とコメントを送っていただきました。(図1)。

図 1:大村さん作

今日触れられていた2辺で開けるジョイントですが、紙工作としては、添付画像のようにジョイントを3分割して、互い違いに配置するのが常套手段ではと思います。

古い玩具のぱたぱた(もしくは板返し)がこれに近いイメージですね(玩具のそれはもうちょっと複雑ですが‥)

 ありがとうございます。確かにその通りですね。「ぱたぱた」もしくは「板返し」(英語だと“Jacob's ladder”と呼ばれるようです)のことは知っていたはずなのに、思いつきませんでした。ちゃんと設計してみたくなりました。週末にでも作ってみたいです。



 今回の一連の話題の初日にご紹介したように、今回の情報源はAction Modular Origami(Tung Ken Lam)という論文だったのですが、著者名で検索してみると、著者のLam氏は“Action Modular Origami to intrigue and delight”という本を出版されているようで、面白そうな動きのある作品をたくさん発表されているようです。このページのサンプル画像を見ると、大村さんに教わったようなジョイントを使われている様子が伺えます。

 その中に、今回の動きのアニメーションファイルがあったので、フレームを間引いたり色数を減らしたりしてファイルサイズを小さくしたものを掲載させていただきます。

図 2

 あらためて見るとやっぱり面白いです。



 図2のアニメーションの作品には、Psudo(疑似) Fluxicube という名前が付けられていました。では「疑似ではない」Fluxicube、6個の立方体が稜で連結されてくるくる回転するかたち、というのが当然あるわけで、それもLam氏が発表されているようです。これも自分で簡単なCGを作ってみました。

図 3 図 4 図 5

 これも面白い、きれいな動きになりそうです。こちらも実物を作ってみることにしました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 おもしろいものがまだまだたくさんあるのだなあと思います。






11月28日(水) 両方向に開くジョイントを設計してみる

 昨日教えていただいた「両方向に開くジョイント」、これはぜひ作ってみたいものだと思って、シャワーを浴びながら考えてみました。(忙しくてなかなか考える時間が取れないのですが、シャワーの時間は昔から模型工作のことを考えるのが好きな時間です。)

 これは、昔から何度も作ってみている「多面体の面が連なっている帯を編む手法」(2002年4月18日のひとこと等)で作れば、接着剤や粘着テープを使わずにしっかり組めそうだ、と思いました。(再掲図)。

3本の帯を編んで立方体を作る

 イメージをはっきりさせるために、自分でもCGを作ってみることにしました。

図 1 図 2 図 3 図 4

【図1】青い帯を8の字型にします。途中、穴を開けて自分のパーツの中を通します。

【図2】緑の帯は青い八の字帯の外側に。

【図3】赤い帯は青い八の字帯の内側に。

【図4】それぞれの帯の内外が交互になります。

 これは行けそうだと思いました。こんな型紙で作れそうです。

図 5

(つづく)



 昨日、「ぱたぱた」「板返し」のことを英語圏では「ヤコブのはしご」と呼んでいるらしいと書きましたが、「ヤコブのはしご」と聞くと、私が連想するのは「あやとり」です。これは、日本で言う「四段ばしご」(図は2007年6月1日のひとことのものです。)のことです。

四段ばしご

 「ひも」というのは文字が発明されるずっと以前から人間は生活の中に取り入れていたようで、ひもを使ったあやとりは世界各地に独立に発達していて、同じあやとりが違った名前でいろいろなところで伝承されています。四段ばしごのような簡単とは言えないあやとりがいろいろなところで独自に発見されているというのはとても面白いと思います。

 あやとりも一時期熱中していたのですが、最近ごぶさたなのでだいぶ忘れている気がします。またやってみようかなと思いました。

<おまけのひとこと>
 昨日は忙しくて在社時間が13時間半、朝5時半に家を出て帰宅が夜9時過ぎでした。






11月29日(木) 両方向に開くジョイントを試作してみる

 2つの立方体を「両方向に開くジョイント」で連結するモデル、実物を作ってみました。まずは完成品の写真です(図1)。

図 1

 単位となる正方形の寸法は2.5cmくらいです。これ、片方の立方体だけを持って揺らしてみると、2つのジョイントが交互に開いたり閉じたりする動きをするため、もう片方の立方体の動きが面白いです。



 最初に型紙を設計して(ほとんど正方形を並べるだけなので簡単です)、印刷して折り筋をつけて切り抜きます(図2)。

図 2

 切り抜いたパーツを折り曲げます。一番長いパーツだけは自己交差して「8の字」型になります(図3の手前)。

図 3

 一番長いパーツに対して、短い6単位の長さのパーツ2本を組み合わせて、帯を編む手法で最初に片側の立方体を組みます(図4)。

図 4

 同様にもう片方の立方体も組みます(図5)。

図 5

 図5の写真を見るとジョイント部分の構造がわかりやすいかなと思います。

 接着等をせずに、しっかりしたかたちのものが作れました。これはなかなか面白いなと思いました。

(つづく)



 国土地理院の地図のサイトの3D表示機能はすばらしいです。先日行った小泉山の遠景写真と視点を合わせたときの見え方を3Dで再現してみました。

図 6
図 7

 山の稜線の微妙なかたちにご注目下さい。これは楽しいです。

<おまけのひとこと>
 今週は本業のほうでちょっとストレスがかかっています。まあ適度なストレスはあったほうが良いのですが。






11月30日(金) 両方向に開くジョイントの動きのCG

 昨日ご紹介した2つの立方体の「両方向に開くジョイント」での連結モデル(再掲図)、片方の立方体だけを持って揺らすと動きが面白いですよ、と書きました。

再掲図

 こういうのは短い動画でご紹介するのが最近の一般的な方法ですが、CGアニメーションでご紹介することにしました。

図 1

 フレーム数が少ないですし、角度が等間隔に変化しているので実際の物理現象とは異なるため、リアルな感じがしません。まあでもイメージは湧くかなと思います。



 このジョイントで、先日ご紹介したことかたち

再掲図

 を組んでみたいと思いました。図では立方体どうしをつなぐジョイントは1箇所になっていますが、ぐるぐると回転し続けるためには今回の「両方向ジョイント」にする必要があります。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今日は時間がなくて簡単な更新です。






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