[Home]-[以前のひとこと]-[2018年12月前半]

以前の「ひとこと」 : 2018年12月前半



12月1日(土) Fluxicubeを作ってみる

 立方体6つが双方向に開くジョイントで円環状に連結された“Fluxicube”(Tung Ken Lam)を作ってみました。

図 1

 静止画像だと面白さがわかりませんが、実際にこれを動かしてみるととても面白いです。



 この模型は、双方向ジョイントのパーツをこのように6つ、鎖状につないでいます。

図 2

 重なっているとわかりにくいので、3つずつ分けたCGも載せておきます。

図 3 図 4

 図2をよく見ると気が付くのですが、いわゆる「編む手法」で作ろうとすると、同じパーツに由来する向かい合った面は、内外が同じにならなければいけないのですが、それができないことがわかります。ジョイント部分は外にならなければダメなのですが、立方体の向かい合った面が、片側は水色が外、反対側は赤が外にならなければなりません。そのため、模型の強度がやや低下してしまっています。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今年は喪中はがきを出さないといけないのです。実はまだやっていなくて、今週末はそれが一番の仕事です。2番目は妻の車のタイヤ交換です。






12月2日(日) Fluxicubeのプロトタイプ/永明寺山

 昨日、紙で作った“Fluxicube”をご紹介しましたが、ジョイントがどのような位置関係になっていなければいけないのかを確かめるために、事前に簡易版のプロトタイプを作りました。順番が前後しますがその写真を掲載しておきます。

図 1 図 2

 間違えて連続回転できないかたちになってしまったら悲惨なので、紙模型を組むときにはこれを近くに置いて確かめながら作業をしました。

(つづく)



 先週の三連休に、近所の小さな山を歩いてきました。

図 3

 9時くらいに駐車場に車をとめて登り始めて、広い公園が整備されている頂上まで1時間15分かけてゆっくり登りました。下りは反対側の城跡や神社があるほうに下って、最後に、裾野にずっと整備されている遊歩道を歩いて戻ってきました。

 上り始めは、擬木で整備された急な階段を上ります。車を停めたところの標高が830mくらい、最初はほぼ等高線に直角な急傾斜です。登りきると鬼場城跡があります。905.5mの三角点が置かれています。ここまでで10分もかかりませんが、けっこう息が上がりました。

図 4

 その先は尾根筋に沿って、なだらかな上りです。ところどころに中部電力の鉄塔が建っています。鬼場城跡から1時間程度歩いて、永明寺山の頂上(三角点:1119.6m)に着きました。ここの公園には子供たちが小さかったころ(20年くらい前)によく車で来ていました。冬場は凍結するので水道やトイレが封鎖されるのですが、すでにトイレは閉鎖されていました。家族連れがバドミントンをやっていました。

 公園の中をゆっくり歩いて横切って、西側の歩道というか階段を下りました。チェーンソーで木を切っている音が聞こえてきました。軽トラが何台もとまっていて、人が数十人くらい出て、道路にかぶさってきている木を取り除く、道の整備作業をしているようでした。おそらく地元の地区の共同作業だと思います。

図 5

 こちら側には上原城址があるので、そこに立ち寄って、そこからまっすぐ下る道で降りました。こちらがわの登山道はあまり整備されていなくて、傾斜も急で、途中で拾った木の枝を杖にしていたのですが、それがたいへん役立ちました。

 最後の遊歩道はほぼ平らで、ここはしっかり整備されているのでとても歩きやすかったです。ご夫妻で歩いている方3組くらいとすれ違いました。

 天気が良くて気持ちの良い午前中でした。途中の登山ルートがたくさんあるようなので、他のルートも歩いてみたいと思いました。



 喪中はがきは昨日無事出すことができました。インクジェット用紙の喪中はがきを郵便局で買って来て、データを作って印刷してみたら、文字がぶれるのです(図6)。これは写真撮影に失敗したわけではありません。

図 6 図 7

 プリンタの「ギャップ調整」という機能があって、パターンを印刷して、いちばんきれいに見える番号をプリンタドライバに入力することで、ちゃんと印刷できるようになりました(図7)。

 でも、今度はプリンタの紙送り機構がうまく働かなくなって手間取りました。このプリンタも使い始めて何年にもなります。そろそろ限界かなあと思い始めました。

<おまけのひとこと>
 週末は日記のような内容になってしまいます。






12月3日(月) Fluxicubeのアニメーションと組み立て途中の写真

 このところご紹介している“Fluxicube”、これがどんなふうに動くのかgifアニメーションでご紹介します。

図 1

 どれか1つの立方体に注目してみてください。回転するたびに、右隣りの立方体と面が接する状態と、左隣と面が接する状態が交互に繰り返されます。面白いと思います。



 一昨日に掲載したモデル

を作った時の途中の写真をご紹介しておきたいと思います。

 最初に、長さ10の8の字型に組む双方向ジョイントのパーツを6つと、長さ6の通常の「輪っか」を6つ準備します(図2)。

図 2

 組み始めました(図3)。8の字パーツを4個目まで使って、キューブが3つできています。

図 3

 完成直前です(図4)。両端の「8の字パーツ」を組み合わせたところです。最後の長さ6のパーツで6つ目の立方体を作れば完成です。

図 4

 出来上がりました(図5)。

図 5

 くるくる回してみると楽しいです。途中、部分的に接着剤で補強したほうがいいかなと思ったところもあったのですが、結局接着剤には頼らずに作ることができました。

 これが作れて嬉しかったです。このパターンのバリエーションを考えてみたくなりました。

(つづく)



 こんな資材置き場を見かけました。

図 6

 姿の良い山のようでした。ちょうど背景に蓼科山が見えたので、写真を撮ってみました。

<おまけのひとこと>
 昨日、タイヤ屋さんに行って冬タイヤの予約をしてきました。日曜日なのでたくさんの人がタイヤ交換にお店を訪れていて、その場で交換をお願いするとけっこう待つことになりそうだったため、お店のほうで事前にタイヤとホイールを組んでおいてもらって、平日に交換作業をお願いすることにしました。火曜日以降ならば、来店後に10分程度できるとのことでした。

 喪中はがきも出せたし、タイヤも目途が立ったので、先週末にやろうと思っていたことはできました。今年もあと1ヶ月です。






12月4日(火) Fluxicubeが直方体だったら?

 6つの立方体を円環状に連結して、くるくると回転する構造になっている“Fluxicube”の模型を作ったり、CGを作ったりしてみています。立方体を直方体にしてみたらどうなるだろう?と思ってちょっと考えてみました。

図 1 図 2 図 3

 図1から図3は、同じ直方体を6個連結した3つの異なるパターンを示しています。単位となる直方体は、向きがわかりやすいように1×2×3としてみました(図4)。

図 4

 1×2×3の直方体には、2×3の面、1×3の面、1×2の面の合わせて3種類の面が2面ずつあります。図1〜図3の3種類の構造は、ジョイントを動かしたときに隣の直方体と接する面の大きさがそれぞれ異なっているのです。

 具体例で説明します。図1のパターンは、図5のように、2種類のかたちに変形することができます。いずれも2×3の面どうしが接するような変形になります。この変形によって、2×2×3の直方体3つが3つできます。

図 5

 緑の双方向矢印のように変形すると、図5の左下のようになります。青の双方向矢印のように変形すると、図5の右下のようなかたちになります。

 完全に接するところまで変形すると、図6、図7のようになります。(図7は正確にはジョイントの位置が違っています)2×2×3の直方体3つで正三角形を作るようなかたちになるのですが、隣の直方体と接する稜の長さが違っています。今日の図では面の片側のジョイントしか図示していませんが、双方向ジョイントにすることで、このかたちの場合でも回転し続ける構造にできそうです。(細長い直方体の場合、連結のしかたによっては自己干渉して回転できない場合もあるのかな、と思ったのですが、そうではないかもしれません。)

図 6 図 7

 図2、図3の場合も同様に、それぞれ1×3×4の直方体3つ、1×2×6の直方体が3つが三角に接するかたちに変形できます。イメージできますでしょうか?

 このかたちも立方体のものと同じ原理で模型が作れますが、まあこれは実物は作らなくてもいいかなと思いました。

(つづく)



 サイズの揃った箱が6つあれば、プロトタイプを作ってみてもいいかなと思います。マッチ箱とかがよさそうだなあと思ったのですが、今時マッチ箱なんて多くの家庭には存在しないですよね。昔だと、お店の宣伝用のマッチが配られていたりして、いろいろなところでよく見かけた記憶があります(50年くらい前)。当時はそれだけ喫煙人口比率も高かったのだと思います。日本に限らず、昔の映画や小説などで、当たり前のようにタバコを吸って吸い殻を投げ捨てて、というシーンがよく出てきます。今の時代の価値観からすると眉をひそめますが、当時はそれが自然なことだったのだと思います。

 ホーガンの「星を継ぐもの」というSF小説の最後のほうで、大きな会議場でビデオメッセージを流しているとき、ビデオの中で主人公が話を一区切りしてタバコに火を灯すと、それにつられて会場中でタバコを吸い始める、という描写があって、数年前に読み返したときに「今ならあり得ないなあ」と思いました。昔読んだ時には全く気にならなかったのですが。

 50年くらい前には、「近頃の子供はこんなこともできない」と嘆かれることとして、「卵が割れない」「マッチが擦れない」「缶切りが使えない」などという話が新聞等で書かれたりしました。マッチの点火の仕方は、小学校の理科でアルコールランプの点火で習って、学校のペーパーテストでも出題されていましたが(正しいマッチの擦り方のイラストを選ぶ、という出題形式でした)、今も学校で習うのでしょうか。

 「缶切り」というのも左利きには不親切なものでした。今や缶切りがないと開けない缶詰はあまり見かけなくなった気がします。

<おまけのひとこと>
 昨夜帰宅すると、妻が家の中の階段で足を踏み外してむこうずねを打ってしまったと言うのです。青あざになって少し腫れてとても痛いけれども、骨には異状はなさそうだということです。心配しました。家の中でのこういった事故というのは、特に年齢が上がってくると気を付けないといけないなあと思います。






12月5日(水) Fluxicubeが菱形六面体だったら?

 このところご紹介している“Fluxicube”ですが、昨日は立方体を直方体に変えてみたCGをご紹介しました。これは、立方体の稜の長さを変えて、頂点のまわりの角度は直角のまま変えないような変形でした。逆に、稜の長さは変えずに角度だけを変えると立方体は菱形六面体になります。この、菱形六面体バージョンのFluxicubeのプロトタイプをつくってみたので、まずは写真でご紹介します。

図 1

 これは先日の大村さんに教えていただいた「ぱたぱた」「板返し」で使われているジョイント構造を知る前に作ったプロトタイプなので、粘着テープを多用して1枚の菱形を連結パーツに使っているタイプのものです。そのため勝手に開いてきてしまうので、輪ゴムで押さえて写真を撮りました。

 使っているパーツは、今年の6月のリスーピアワークショップで配布した、シルバー菱形4枚で筒ができるV字型のパーツを流用しています。

再掲図

 面どうしが接するかたち、立方体の場合は回転させると常に同じかたちが繰り返し出てきます。直方体の場合は2種類のかたちが交互に現れました。菱形六面体の場合は、4種類のかたちが順に現れます。

 図2、図3は手で保持して写真を撮りました。図3のほうは輪ゴムも使っています。

図 2 図 3

 図1と図2、凹凸が逆になっているのがわかりますか? 図1は中央が手前に飛び出していますが、図2は中央が奥に引っ込んでいます。 これは同じかたちを上からと下から見ていることになるのですが、これを別々に数えることで、4種類になります。

 図2と図3、内側の六角形の空洞のかたちが、片方は凹な等辺六角形、もう片方は凸な等辺六角形(菱形六面体ですから、全ての稜の長さは等しいです)になっています(図4)。

図 4

 これもワークショップで作ったら面白いかもしれないなあと思ったりしました。(ちょっと大変すぎるかもしれません。)

 これも、プロトタイプではなくちゃんとした設計で双方向ジョイントのものを作ってみたいと思いますし、CGも作ってみたいと思いました。(どちらも本日時点ではまだやっていません。)

(つづく)



 朝の通勤時に、6時からの「古楽の楽しみ」を聴いたり聴かなかったりしているのですが、今週はチェンバロでバッハのイギリス組曲を2曲ずつやっています。昨日は6時半には職場に着いていたので、前半の2番だけしか聴けませんでしたが、これがとても良かったです。1曲目のプレリュードに、楽譜には書かれていないカデンツァがついていてびっくりしました。こういうのもいいなあと思いました。

 ゆっくりな三拍子のサラバンド、2拍目にアクセントがくるのが特徴なのですが、解説を聞いて初めて気が付いたのですが、最初の小節の2拍目が「ドレミファ」の4音が同時に鳴る凄い不協和音なのです。

図 5

 バッハらしい、印象的なサラバンドです。

<おまけのひとこと>
 12月だというのに妙に気温が高くて、さらにすごい雨が降りました。この降水量だと、気温が低かったら大雪だったに違いないと思います。雨で助かりましたが、大雨の高速道路の運転は神経を遣うので疲れました。






12月6日(木) 交差した梯子の問題:The crossed ladders problem

 「交差する梯子の問題」(The crossed ladders problem)というおもしろい問題を知りました。有名なマーティン・ガードナーの「数学ゲーム」でも取り上げられているようなのですが、実は最近まで知りませんでした。ちょっと検索してみても、英語のページはたくさんヒットするのですが、日本語のページが見当たりません。検索キーワードが悪いのかもしれませんが。

 図1をご覧ください。未知の幅wの床の両側に垂直な壁があります。長さがわかっている2本の梯子aとbを、床の相対する隅から反対の壁に立てかけます。梯子の交点の高さを測ったらhだったとしましょう。このとき床の幅wはいくらでしょうか? というのがこの「交差はしご問題」です。

図 1

 初めてこの問題を知った時、「え? これだけの条件で幅が決まるの?」と思いました。でも決まるのですね。面白いので、この問題をご存じない方、幅wと梯子の長さa,bと交点の高さhの関係を考えてみてください。三平方の定理と三角形の相似に関する知識があれば式を立てられます。その式が解けるかどうかはまた別問題ですが。

(つづく)



 この問題を知った時、どの文献にも図1のような線画しか図が描かれていませんでした。もちろんそれで十分なのですが、もうちょっとリアルな絵を作ってみたくなって、CGを作ってみました。とりあえず普通の平行投影図です(図2)。梯子の影も付けてみました。

図 2

 せっかくCGで作ったので、透視投影法で上から見下ろしてみました(図3)。

図 3

 楽しいです。イメージが湧きやすくなるのではないかなあと思います。

<おまけのひとこと>
 本物の梯子も好きです。屋根とかにかけてある梯子は、上るときにはいいのですが、降りるときに屋根から梯子に乗り移るところが怖いです。屋根の外の、もしそこに梯子が無ければ転落してしまう場所に自分の体を移動するわけですから、怖いよなあと思うのです。






12月7日(金) 木製のはしごの構造

 昨日「交差する梯子の問題」(The crossed ladders problem)という問題をご紹介しましたが、そこから昔のはしごのことを思い出したので、その話を今日は書きます。

 今の時代だと、「はしご」と言えばアルミ製の軽くて丈夫なものを想像する方が多いでしょうか。私は実家にあった木製のはしごをまず思い浮かべます。

 図1をご覧ください。左右の2本の長い「縦木」の間に、踏み段になる短い「横木」がたくさん渡されています。(実際には角材の縁は面取りされますが、今回は面倒なので完全な四角柱の図になっています。)

図 1

 昔の木製のはしごというのは、横木が縦木を貫通しているもの(図中の青い部材)と、貫通しないもの(図中の赤い部材)が交互になっていたものでした。図2は拡大図、図3は横木を取り除いたものです。

図 2 図 3

 なぜこんな風に作られていたかというと、こうすることで2本の縦木の間の距離がしっかり安定するのです。青い横木にはくさび(黄色で表した部分)が打ってあって、このおかげで縦木は開いてしまわないですし、逆に赤い横木があるおかげで縦木はすぼまってしまいません。

 さらに、こうやって作ればネジや釘などの「金物」を一切使わなくても組み立てることができます。また、くさびを外せば分解できますから、たとえば横木の1本が折れてしまったという場合(よくそんなはしごを見かけました)、修理することもできます。

 貫通した横木に打つくさびは、縦木の長手方向の場合もあれば、それと直角な方向(縦木とも横木とも直交する方向)になっているものもあったような気がします。

 今では見かけなくなった、なつかしい道具です。



 せっかくCGを作ったので、テクスチャを木にしてみました。

図 4

 面取りしたり、くさびのかたちを整えたりしたくなってきましたが、そこまでがんばっても仕方がないのでここまででやめることにしました。(この「はしご」のCGを作るくらいなら10分程度でできるのですが、これ以上がんばると際限なく時間がかかりそうです。)



 こういう、昔からの構造の木製のはしごの情報や画像が何かないかな、と思って少しNetを検索してみたのですが、ほとんど見当たりません。こちらの石川県の工務店のブログの「木製はしご製作しました」という記事のはしごがこの構造のようです。また、こちらの愛媛県の建築士さんのブログの「木製梯子」という記事では、はしごというより階段の写真が出ています。これは貫通する横木が1つおきではなく2つおきになっていますね。また、くさびも踏み段に対して垂直に打たれています。こういう階段もとてもなつかしいです。

 石黒の昔の暮らしというサイトの中に、民具補説:梯子の種類とその用途という記事があって、そこに手描きの図がありました。一部を抜粋して掲載させていただきます。

図 5

 この図の載っているページに書かれている内容は農家の話なので私自身の実体験(実家は建築業でした)とはやや異なりますが、「木製のはしごは手になじむ」とか「保存では濡らさないように注意していた」とか、「ああ、確かにそうだったよねえ」と共感できる部分がいくつもありました。

 このサイトはすごいですね。こういう、失われてゆく古いものの記録を丁寧に残しているサイトは貴重だと思います。情報量も多いし、更新の頻度も高いようですし、アクセス数も多いし、すばらしいです。

<おまけのひとこと>
 昨日の午後はsoftbank系の携帯電話が使えなくなったようで、これが全国的どころか全世界的だったらしいということがわかってとても驚いています。どうやらソフトウェアの不具合らしいという報道があります。関係者はさぞかし大変なことになっているだろうなと想像します。






12月8日(土) 「信州の山」

 週末なので、軽い話題です。



 地方の街の本屋さんが次々と無くなって久しいですが、そんな中でもがんばってくれている諏訪市の誠林堂書店(図1)という本屋さんがお気に入りです。

図 1

 そんなに頻繁に行っているわけではありませんが、よく考えられている本の品揃えと、フロアの半分近くを占める文房具の品揃えと、いずれも好みに合うものが見つかることがあって、近くを通るときには時間があれば寄らせてもらうようにしています。私が作るたくさんのペーパーモデルの用紙は、かなり昔に紙の専門店が閉店してしまって以降は、ずっとこのお店で買っています。

 本や文房具をたくさん買うと(といっても数千円のレベルですが)、お店の名前が入ったボールペンをおまけとして一緒に紙袋に入れてくれたりするので、おかげさまで何本か持っています。こんなさりげないサービスも最近は見かけなくなりました。

 先日この本屋さんに行ったとき、地元の関係の本を集めた一角に「新版 信州の山 中部下巻」(宮坂七郎:信毎書籍出版センター)という本があって、手に取ってみたらとてもよくできた本だったので買ってきました。

図 2

 調べてみるとこれはシリーズ化されているようなのですが、実は自費出版なのだそうです。こちらに著者の方の写真も紹介されていました。

 この本の何がすごいかというと、全ページが図3のようなイラストになっていて、駐車場やトイレ、案内板や細かな注意書きなどが手描きで書かれています。もちろんご本人がすべて実際に現地に行った実体験に基づいて書かれているのだそうです。(これは先日ご紹介した近所の「小泉山」です。)

図 3

 たとえばこちらのライフワークの結実〜信州の凄い山ガイド本とか、☆私のお気に入り山ガイドブック「信州の山」☆といったブログに詳しく紹介されていますが、大変な労作だと思います。

 春になったら少しずつ行ってみたいなあと思って本を眺めてみています。



 一昨日に用事があって東京に行った妻が、「ちょっとめずらしいおみやげ」と言ってこんなものを渡してくれました。

図 4

 日本橋三越で夜回り猫展というのを11月28日から12月17日までやっているのだそうで、たまたま三越に行ったときにもらったのだそうです。

 深谷かほるさんは昔からファンですが、「夜回り猫」はとてもいいですね。新しい巻が出ると必ず買うようにしています。

<おまけのひとこと>
 今日の図3とか図4は、雰囲気は伝わるけれども細かい中身が読めないくらいになることを意図して画像を加工しています。






12月9日(日) オーサグラフ世界地図をタングラムで(その1)

 2016年に考案されたオーサグラフ(AuthaGraph) 世界地図という、新しい地図投影法があります。(以前にもご紹介したことがあったはず、と思って過去ページを探してみたのですがみつかりませんでした。) 球面である地球を平面の地図で表そうとすると、距離や面積や方角などをすべて正しく表現できる方法はありません。このオーサグラフという投影法は、従来の地図とは違って、距離・面積・方角のいずれも「そこそこ」「かなり」正しくなるような図法です。

図 1

 周期的に並べるとさらに威力を発揮します。

図 2

 画像をかなり縮小しているので、よくわからないと思います。ご存じない方はぜひ上記の公式サイトをご覧ください。



 ここまでが今日の話の前置きで、ちょっと検索していたらSome thoughts on the AuthaGraph World Map(オーサグラフ世界地図に関する考察)というページに行き着きました。このページでは、「この投影法は何が正確なだろう?」という議論がされていたりして面白いのですが、その中に、タングラムの図案化されている画像があって、とても感心しました。

 まずはいつものように、パソコンの中でそれぞれのピースを移動したり回転したりして遊んでみることにしました。 こういう作業は私はPowerPoint を使うことが多いのですが、画像をトリミングしてオブジェクトに貼り付けるには、最初に画像を貼り付けておいて、三角形や菱形、平行四辺形といったオブジェクトでトリミング(切り取り)操作をします(図3)。

図 3

 若干面倒でしたが、この操作を7回やって、ようやく遊ぶ準備ができました(図4)。

図 4

(つづく)

<おまけのひとこと>
 昨日、たまには日本酒を飲もうかと思って、地元の酒蔵の「太一」の4合瓶を買って来て、ついつい全部飲んでしまいました。飲みすぎです。






12月10日(月) オーサグラフ世界地図をタングラムで(その2)

 オーサグラフ(AuthaGraph) 世界地図のアイディアをタングラムにしてみた、というこちらのサイトSome thoughts on the AuthaGraph World Mapのデータを使わせていただいて、パソコンの中で試せるようにしたという話を昨日ご紹介しました。

 今日はそれを用いて並べ替えてみた画像をいくつかご紹介します。

図 1

 図1は欧州を中央に置いた配置です。おそらくこのデザインをしたD.M.Swart氏は、これが基本配置だと想定しているのではないかと想像しています。大西洋が見えています。南極とグリーンランドは2つにわかれています。これらの極地方の大陸や大きな島は、実際より拡大されている印象です。

 図2は、図1の左右を入れ替えただけです。かなり印象が変わります。

図 2

 上記の図2の左側の正方形を時計回りに90度回転させて、右側は反時計回りに90度回転させると図3になります。グリーンランドがひとつながりになって、北極海が真ん中になります。

図 3

 図3の左右を入れ替えると、今度は南極大陸がひとつながりになります(図4)。

図 4

 これは面白いです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 昨日は新しい冬タイヤを慣らすために少し遠くまで走ってきました。でも、通勤で走る距離とあんまり変わらないのですが。(さすがに反対方向に走りました。)






12月11日(火) オーサグラフ世界地図をタングラムで(その3)

 D.M.Swart氏のSome thoughts on the AuthaGraph World Mapで公開していただいているタングラムの世界地図の画像データをダウンロードして、印刷して実物を作ってみました(図1)。

図 1

 公開していただいているデータは陸地が黒で塗りつぶされていますが、それは印刷するときにはちょっとどうかなと思って、画像のエッジ抽出をしたりしてちょっと加工したものを印刷しました。実物をいじってみるとやっぱり面白いです。

 これは単に厚紙に印刷しただけなので、パーツがやや扱いにくいです。スチレンボードとかに貼り付けて厚みを出すと遊びやすくなるなあと思いました。そのうちやってみるかもしれません。



 パソコンの中で配置を変えるもの、昨日は正方形2つが並んだ長方形のかたちを4パターンほどご紹介しましたが、それ以外のかたちももちろんできます。たとえばこんな配置とか(図2)、

図 2

 こんな配置とか(図3)。

図 3

 せっかくタングラムなので、大きな直角二等辺三角形のパーツだけでなく、細かいパーツの配置も変えてみるといいのですが、それはあまりうまい配置が思いつきませんでした。

 これは楽しいのでお勧めです。

<おまけのひとこと>
 今週は急に寒くなりました。






12月12日(水) 格子点を使った菱形六面体のCG

 先日、6個の立方体を稜で連結した構造がぐるぐる回転するというFluxicubeというのをご紹介して、それを菱形六面体で作ったらどうなるか、というのを簡単なプロトタイプの模型を試作してみました(再掲図)。

再掲図

 これをCGにしてみようと思いました。菱形六面体を描くにはいろいろな方法がありますが、適当な菱形でいいなら、簡単な方法がいいなあと思って少し考え始めました。

 CGなので、格子点の座標が利用できるとかなり簡単になります。まず、平面の2次元だったら(a,b)と(b,a)というのを基本ベクトルにすれば、aとbをパラメータとして振ってやることで、いろいろなかたちの菱形を簡単に描けます(図1)。

図 1

 同様に、3次元空間で考えると、基本ベクトルを(a,b,c)、(b,c,a)、(c,a,b)とすれば、3つのベクトルの長さは同じになりますから、これで菱形六面体を作ることができます。

図 2

 基本ベクトルのパラメータを変えられるようにして、いろいろな菱形六面体のCGを描いてみました。サイズが変わってしまうと比べにくいので、基本ベクトルの大きさは1になるように正規化しています。

 尖った菱形六面体(図3)から、徐々に鋭角の内角を大きくしてゆきます。

図 3 図 4

 ちなみに図3の菱形は正三角形2枚を並べたかたちになっていて、この立体は正八面体の向かい合う2つの面にそれぞれ正四面体を貼り付けたかたちです。

 図6くらいになると、ほとんど立方体に近い感じだと思います。単位ベクトルは(15,0,1)とその巡回です。

図 5 図 6

 図7は立方体です。さらに変形を続けると、単位ベクトルの1つの要素がマイナスになって、鈍角型の菱形六面体になってゆきます(図8)。

図 7 図 8

 さてこれで菱形六面体を描く準備はできました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 昨夜(12/11(火))は雪になりました。自宅に帰ると数センチ雪が積もっていました。今朝(3時半ごろ)起きてみると、雨の音がしていました。雪だったらかなり積もっていただだろうと思われる降水量のようです。雨で助かりましたが、外を見てみると、気温がそれほど高くないため昨日の雪が雨を吸ってシャーベット状になったものがそのまま残っています。これが凍ると大変なのです。日中の気温が上がって消えてくれるといいなあと思います。






12月13日(木) 菱形六面体のFluxicubeのCG(その1)

 菱形六面体によるFluxicube(6個の立方体を稜で円環状に連結してぐるぐる回転させられる構造)のCGを作りたいと思って、まずは部品となる菱形六面体のCGを用意する話を昨日書きました。これを部品として、CGを作ってみました。

図 1 図 2

 菱形六面体を見慣れていないせいか、なんだかひずんで見えます。ぐるぐる回転させてみました。

図 3 図 4

 CGは理想的な寸法で、実物にはどうしてもできてしまう余計なジョイント等がないので、最も整って見えるはず、なのですが、このかたちに関しては実物のほうが美しく見えます。なぜだろう?と思っています。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 昨日の雪は何もしなくても一日できれいになくなってくれました。良かったです。






12月14日(金) 菱形六面体のFluxicubeのCG(その2)

 菱形六面体によるFluxicube(6個の立方体を稜で円環状に連結してぐるぐる回転させられる構造)のCGの続きです。昨日作ったCGは正確に描画されているはずなのにひずんで見えるのはなぜだろうと思って、2つのことを試してみました。

 1つは回転の途中、面どうしが完全に接していない状態にしてみること。もう1つは投影法を変えて、平行投影から透視図法に変えてみることです。

 まずは6つの菱形六面体が密集した配置になっている状態で、上に凸なかたち(図1)と下に凸なかたち(図2)です。この2つは同じ構造をひっくり返しただけではなくて、開き具合を変えています。

図 1 図 2

 実は図1だけは平行投影です。図2は透視図法にしたおかげで菱形の「細長さ」が強調されている感じがします。

 図3、図4は6つの菱形六面体が離れた状態です。実物では回転させる過程の中で密集状態と離散状態が繰り返されます。図3と図4は同じものをひっくり返した(もしくは視点を変えてみた)ものです。

図 3 図 4

 これらのCGを作ってみて、いったん満足しました。



 最近、通勤の車の中で昔に買ったCDを聴くことが多いです。今週はブラームスのピアノ四重奏(ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)の1番と3番のCDを何度か聴きました。

図 5

 1番(図5)は、晩年のクラリネットソナタの冒頭のピアノをちょっと連想します。4楽章がハンガリー舞曲のようで激しくて良い曲です。

図 6

 3番(図6)は、冒頭にピアノのユニゾンから始まります。この始まりはシューベルトの即興曲 op.92-1の始まりを連想します。音の高さは違いますが。この曲は第一楽章が好きかな、と思います。やっぱりブラームスは室内楽が一番好きです。

<おまけのひとこと>
 今週はなかなか忙しかったのですが、来週のほうが大変そうです。






12月15日(土) シューベルトのピアノソナタ第18番 D.894

 週末で、かつ過去ページの最後の日になるので今日は普段の話題はお休みして音楽の話を書きます。



 古楽に思い切りのめり込むようになる前、シューベルトのピアノ曲が好きになって、楽譜を買ったりCDを買ったりしいていたころがありました。その中でも特に好きだったのが18番(D.894)(リンクは日本語版のWikipediaです)です。ブレンデルが弾いているCDとルプーが弾いているCDの2種類を持っています。当時のCDは値段が高かったので、買うと嬉しくて何度も何度も聴いたものです。

 冒頭、非常に静かに始まります(図1)。長さが11対1という、非常に鋭い音符なのですが、これがとてもしっくりきます。

図 1

 当分この音形が続きます。昔の自分だったら「退屈だなあ」と思っていたと思います。

 第一楽章の途中で、連続する和音が上昇した後に、こんな旋律が出てきます。

図 2

 このリズム、この書法はシューマンを連想します(もちろんシューマンのほうが後ですが)。

 先に進むと、さらにシューマンっぽいところが出てきます(くどいですがシューベルトのほうが古い、というか先です)。第3楽章メヌエットの冒頭、和音のパターンが続いた後(図3)、

図 3

 高いオクターブで旋律を奏でるところ、とってもシューマンっぽいと思います。

図 4

 シューベルトはベートヴェンを大変尊敬していて、随所にベートヴェンの影響がみられると言われています。でも、ベートーヴェンに似ているから、とか、シューマンっぽいところがあるからこの曲が好きなわけではなくて、シューベルトだからこそ書けたこの曲が大好きです。



 ちょっと調べてみると、シューベルト(1797-1828)がこのソナタを作曲したのが1826年で、シューマン(1810-1856)が、彼の初期の有名なピアノ曲「蝶々 op.2」を作曲したのが1829年〜1831年ころ、と考えられているそうですから、実はほとんど同時代なのですね。もっと年代が違っているのかと思っていました。

 シューベルトがこのソナタを作曲したのは彼が29歳のとき、亡くなる2年前ですから晩年の作品ということになります。ご本人に「晩年」という自覚があったのかどうかわかりませんが、味わい深い作品です。

 一方のシューマンの蝶々(パピヨン)は二十歳前後の作品ということになります。演奏は易しいとは言いませんが、あまり凝った書法は使われていません(でも私には十分難しいです)。でもシューマンらしさを随所に感じさせる、これも大好きな曲です。オクターブのユニゾンの使い方がシューマンらしいと感じるのかなあと思っていますが、他にもうまく表現できない特徴がある気がします。

<おまけのひとこと>
 昔買ったものの中で今でも一番楽しめているのは楽譜かもしれないなあと思っています。昔、男の子でピアノを習う子なんてほとんどいなかった田舎で、ピアノを買ってくれて習わせてくれた祖母と両親には今更ながら感謝しています。






[←2018年11月後半]  [↑表紙へ]  [2018年12月後半→]

[Home]-[以前のひとこと]-[2018年12月前半]
mailto:hhase@po10.lcv.ne.jp
2001-2018 hhase