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以前の「ひとこと」 : 2018年10月前半



10月1日(月) 木霊(KODAMA)パズルの紙模型

 9月27日(木)のひとことでご紹介した木霊パズルの紙模型、まずは基本の6パーツを組木のように組んでみました。

図 1

 あらためて、きれいなかたちだなあと思います。

 見る方向を変えてみました(図2)。左の水平なパーツがちょっと曲がってしまっているのがわかります。紙製なので致し方ないところではありますが、あまり美しくないです。

図 2

 さらに方向を変えてみました(図3)。

図 3

 楽しいです。

(つづく)



 いつもとても有益な情報を下さる、最近だと展開図が正方形になっている多面体の詳細なレポートを下さった尾道市の大村さんから、先週末にご紹介した三項間漸化式についてと覆面算についてメールをいただきました。ありがとうございます。

 三項間漸化式については、有名な佐藤郁郎さんのページのいろいろな平均というコラムの【1】算術幾何平均が、二項間漸化式の解釈そのものになっていますね、という話をご指摘いただきました。なるほど気が付きませんでした。ありがとうございます。(それにしても佐藤郁郎さんのページの更新頻度、すごいです。)

 また、覆面算に関しては、こんな問題はいかがでしょうか、というご提案もいただきました。

オバ×バケ=オニババ
(叔母×化け=鬼婆)
尾道市 大村さん作

 これは素晴らしいです。3つの言葉がちゃんと縁語になって結びつきがあって、ストーリーも感じさせます。すばらしいです。ありがとうございました。

 この覆面算の言葉を考える遊び、妻も考えてくれて、4文字の部分の候補として「たんぽぽ」「ふともも」なんていう言葉を見つけてくれましたが、私の案と同様、全体として成立する言葉は見つかっていません。

<おまけのひとこと>
 10月1日(月)の朝にサーバにアップすべく、9月30日の夜に月・火・水の3日分の更新の準備をしています。これから台風24号が近づいてきます。
 今、10月1日(月)の深夜の1時頃です。今が一番台風が近い時間だと思います。午前0時過ぎと0時45分頃に緊急避難準備メールが着信して眠れません。私の住まいの地区は対象ではないのですが、これはやむを得ません。






10月2日(火) 木霊(KODAMA)パズルのCG

 昨日、紙模型をご紹介した木霊パズルですが、CGにしてみました。

図 1

 いつものPovrayを使ってCGにしているのですが、せっかくなので木のテクスチャ仕上げにしてみました。

図 2 図 3
図 4 図 5

 いかがでしょうか。完全な回転対称軸方向から見ていますので、ちょっと整いすぎかもしれません。また、木目のパターンはそれぞれの図において6パーツとも完全に同じになっているので、ちょっと不自然な気もします。まあでもこういった図があっという間に描けるというのは本当に楽しいです。

(つづく)



 図書館で愛×数学×短歌という本を借りてきました。この本、先日の職場の飲み会のときに、最寄り駅に1時間近く早く着いてしまったときに本屋さんで見かけたのですが、カバンを持っていなかったので、ちょっと恥ずかしいし失くしてきてもいやだなあと思って買わなかったのです。なかなかいいな、と思える歌がいくつもありました。今ぺらぺらと本をめくってみて、「初めから矛盾していた恋だから任意の式を証明できる」「平行線君と交わることはない世界がちがけりゃ出会えたかもね」「交わらず、距離を保てることもなく、すれ違うだけのねじれの位置よ」とか、うまいなあと思いました。

<おまけのひとこと>
 10月になってしまいました。今年もあと3ヶ月。9月最終日の30日(日)は寒くてコタツを出してしまいました。






10月3日(水) 木霊(KODAMA)パズルの周期的な連結CG

 さて、なぜCGを描いてみたかというと、これをずっと連結したらどんなふうに見えるんだろうか、というのが気になったためです。実物をさくさん用意するのは大変なので、そういうときこそCGの出番です。こんな図を描いてみました(図1)。

図 1

 図1の左端の部分、昨日の基本の6枚組と同じ構造になっているのがわかりますか?

 これは、図2のような構造を3方向に平行移動してずらっと並べてみているものです。

図 2

 パーツの数をもっと増やすと、こんな風になります(図3)。

図 3

 これを実物で作ろうとしたら、さぞかし大変だろうと思いますし、ちゃんと安定するのかどうか心配です。



 せっかくなので木のテクスチャのCGも作ってみました(図4)。

図 4

 これは図1と同じ構造ですが、視点をちょっと変えています。3方向それぞれで異なるテクスチャにしてみました。

 さらに同じように木目模様でパーツの数を増やしたものもCGにしました(図5)。

図 4

 ここまでの図はすべて平行投影で、実際のパーツで平行な稜とかは、図の上でも全て平行になっていました。図5は透視投影で、広角レンズで撮影したような図にしました。サイズ感が出て迫力が出るかなあと思ったのです。これはこれで面白いと思いました。

(つづく)



 図書館で借りた本ですが、以前から気になっていたみんなの空想地図を読みました。全くの空想で、とてつもなくリアルで現実感のある地図を創作されている今和泉さんの作品です。

 子供の頃からのライフワークで、まずは交通網から作り始めたそうなのですが、人が集まるところはどんな様子か、その地域はどんな人々がどんな風に暮らしているのか、そこにはどんな建物やお店があるのか、といった考察をしながら地図を修正してゆく話がすばらしいです。

<おまけのひとこと>
 「好き」というエネルギーは本当にすごいなあと思います。






10月4日(木) 木霊(KODAMA)パズルの紙模型(その2)

 9月27日(木)のひとことでご紹介した木霊パズルの紙模型ですが、対称性が高いかたちとしてはもう1つ、こんな風に6パーツで輪を組むこともできます。

図 1

 これもとてもきれいなかたちだと思うのですがいかがでしょうか。

 見る方向を変えてみました(図2)。

図 2

 これもずっとつなげてみたくなりますね。

 色違いのパーツもう1セットを準備しました(図3)。

図 3

 これを使ってご紹介した2種類の構造を作ってみました(図4)。

図 4

 実は水色のほうが最初に作ったもので、これはジョイントがちょっとゆるいのです。そのため左の黄色のパーツは両方のかたちを作れるのですが、右の水色のパーツは、左の構造を作ろうとしてもうまく安定してくれませんでした。

 こういうものが家の中のそこかしこに転がっているというのもいいなあと思うのです。まあだいたいそのうち飽きてきて、見慣れた風景として意識に登らなくなって無意識の世界に沈んでしまうので、そのころには片付けて、地下室ですでに作ったたくさんの模型と一緒になるのですが。

 でも、この模型はかたちが崩れやすいので、しまう時には図3のようにパーツにばらしてしまうとになると思います。そのほうが安全ですし場所も取らないですし。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 週の途中、10月4日(木)の朝に10/4と10/5の2日分の更新をしています。






10月5日(金) 木霊(KODAMA)パズルのCG(リング型)

 昨日の紙模型の構造もCGにしてみました。

図 1

 先日ご紹介した構造と同じように、木のテクスチャにしてみました。図の左側が先日の6方向に板が伸びるような構造、右側が新しいリング状の構造です。テクスチャは左右で同じにしています。

再掲図 1 図 2
再掲図 2 図 3

 どちらのかたちもいいなあと思います。

(つづく)



 そういえばこのパーツの寸法を載せていませんでした。本物を持っているわけではないので、あくまでも私が紙で作ったりCGを作ったりしたときの寸法ですが、下の図3のような寸法で作りました。

図 4

 厚さ1の板を想定して、そこから16×5の長方形を切り出して、1×2の切り欠きを長方形の4辺に1箇所ずつ、図の黒い長方形の位置に作ります。たくさん作るのであれば、段ボールのような素材で作ると簡単な気もします。

 そのうち作ってみようかなあと思っています。

<おまけのひとこと>
 10月8日(月)の体育の日は祝日ですが、私の会社は年間休日日数の都合で、今年はたまたま出勤日に設定されています。(お盆とか年末年始とか五月連休とかに長く休める設定になっているためだと思います。)今週は久しぶりに週5日勤務ですが、その前の2週間は敬老の日と秋分の日で週4日勤務でした。
 実は10月8日は計画年休を設定してあったのですが、まだ休務申請書を出していなかったら、上司が「あれ、休むんだよね? 申請書出てないよ?」とわざわざ声を掛けてくれました。近くの席の同世代の課長さんが「昔は休務申請は、事前に計画してあっても恐る恐る持って行ったのに、今は上司のほうからにこやかに声を掛けてもらえるなんて時代は変わったなあ」としみじみと言っていました。うん、同感です。今の若い世代はこういうのが当然で自然で当たり前だと思うのです。本当に良い文化になってきたなあと嬉しく思いました。






10月6日(土) 同型数(その1)

 最近読んだ“On Some Sequences Related to Sums of Powers”(累乗和に関係するいくつかの数列)(2018:R.Dawson)という論文からのトピックです。

 例えば、25を2乗すると625になって、末尾の2桁にもとの25が現れます。同様に76を2乗すると5776になって、末尾に76自身が現れます。このように、元の数を2乗したときに末尾にその数自身が現れるような数のことを“Automorphic Number”(同型数)と呼ぶのだそうです。たくさんの面白い数列を集めたサイトであるOEIS(The On-Line Encyclopedia of Integer Sequences) の A003226 が、そういった数を集めたリストになっています。

 25を2乗したものが625で、末尾に25が出てきますから、25を3乗したものも、当然末尾は25になるはずです。「同型数」という概念を広げて、3乗の同型数、4乗の同型数・・・というのを考えたとすると、2乗の同型数は、2以上の任意のNによるN乗の同型数になるのです。

 では、この逆は成立するでしょうか? 任意のN乗の同型数は必ず2乗の同型数でしょうか?

 実はこの逆は成立しないのです。反例として49を試してみてください。51でもいいです。お手元の電卓でも、Excelでも、ソロバンでも筆算でも暗算でもいいので計算してみてください。3乗まで計算すれば十分です。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 週末です。今日は図のない更新にしました。






10月7日(日) 同型数(その2)

 昨日の続きです。昨日は、ある自然数のべき乗を考えて、その答の末尾に最初の数そのものが現れるものを「同型数」と呼ぶという話をご紹介しました。それでは、べき乗以外の演算(関数)を考えて、同じように演算結果の末尾に最初の数が現れるものはどんな場合だろうか?という議論がされているのが昨日ご紹介したR.Dawson氏の論文なのです。

 この論文で論じられているのは、下記の4つの関数です。

 最初の3つは高校の数学で習うと思います。T(n)は1,2,3,…,nまでの和、P(n)は平方数の和、H(n)は立方数の和です。この論文では、10進法に限定せずに様々な基数でこれらの数を表現した場合の「同型数」に関して議論しています。演算(関数)の種類がわかりやすいように、T(n)の結果が同型になる場合は「T-同型数」、P(n)ならば「P-同型数」という呼び方をしています。

 たとえば、T(25)=325 なので(論文では3255と書かれています。誤植ですね)、(10進法の)25はT-同型数です。T-同型数のリストはこちら(A067270)にあります。 1984年のC.W.Triggの論文“Trimorphic Numbers”(「T-同型数」)によると、5桁以下の10進法のT-同型数が1,5,25,625,9376,90625しかないこと、また、6進法の最初の5つのT-同型数が示されているそうです。また、それ以外の基数の、2〜5進法、および7〜9進法にはT-同型数は存在しないということも証明無しで述べられているそうですが、これはのちに正しいことが証明されているようです。

 P-同型数に関しても、こちら(A093534)にリストがありますが、様々な基数による系列が議論されていて面白いです。

 こんな、結果だけ聞けばわかりやすい、面白い研究もされているのですね。

<おまけのひとこと>
 庭に、よくあるカントリー風の木造の縦長の小さな物置(半畳くらい)があります。20年くらい前にホームセンターで買ってきたもので、雪かきとかスコップ、ツルハシなどを収納しています。屋根はシンプルな片流れなのですが、その屋根が先日の台風でまくれてしまっているのに昨日気が付きました。とりあえず針金とビニールひもで応急修理をしました。そのうちちゃんと直さないといけないなあと思っています。






10月8日(月) 木霊パズルの六員環を連結してみる

 先日ご紹介した、木霊パズルの6つのピースをリング状に組んだものを「六員環」と呼ぶことにします。この六員環を2つ作って連結してみました(図1)。

図 1

 これは繋いでいくことができそうです。まずは一方向に3つの六員環を連結したものをCGにしてみました(図2)。

図 2

 当たり前ですけれどもCGだと完璧に位置や向きが正しくて、気持ちがいいです。 そのほかの方向にも連結してみました(図3)。

図 3

 このように、このつなぎ方は平面的なメッシュ構造になります。ずっと前にこれと同じようなものを作ったことがあったなあと思って、自分のサイトをさかのぼって検索してみました。

 2005年3月16日のひとことあたりで、カーペンターブロックというブロックを使って、こんな輪っかを作って(再掲図1)、

再掲図 1

 これを連結して、こんなCGを作っていました。もともとのページにも書いてありますが、これを連結することを思いついたのは自分ではなくて、このかたちをご覧下さった濱中裕明さんから教えていただいたのでした。

再掲図 2

 当時のPCは今のものよりも非力だったためか、多数を連結したCGはカーペンターブロックの形状のままではなく、単なる正方形の板で近似しています。

(つづく)



 Netの記事を見ていたら、ピエール・クンツ(Pierre Kunz)と言うデザイナーのインフィニティ・ルーピング(Infinity Looping)という面白いデザインの腕時計が紹介されていました。画像は載せずに言葉で説明してみますので、どんなデザインなのか想像してみてから、検索のリンクを開いてみることをお勧めします。

 普通のアナログ時計は長針も短針も時計の文字盤の中心を軸に回転します。長針は1時間で一回り、短針は12時間で一回ります。でもこの時計は、短針は通常の時計とまったく同じですが、長針の軸は短針の先端にあるのです。そのため、長針の回転軸はあたかも太陽に対する地球のように、12時間で一回りします。長針の先端は地球に対する月のような運動をしますが、通常の時計と違って2時間で一回りするデザインになっていました。なので、この時計が12時間で元の状態に戻るまでのあいだに短針は1回転、長針は6回転します。

 文字盤には長針の先端の軌道に帯状に時刻が記載されています。偶数の正時(2時、4時、6時、8時、10時、12時)が外側、奇数の正時(1,3,5,7,9,11時)が内側になっていて、長針の軌道はその間をらせん状に滑らかに結んでいます。

 …どんな感じなのか、イメージできますでしょうか? たとえばこちらの記事(Infinity Looping)などをご覧ください。googleでpierre kunz infinity loopingで検索してみると、たくさんの情報が出てきます。車が買えてしまうクラスの高級な時計のようです。

 時計のいいところは、子供の頃から学校でしっかり読み方を叩き込まれて、反射的にいろいろな情報が読み取れることだと思います。ピエール・クンツのデザインは機能的ではないなあとは思いますが、でもとても美しいです。特に、長針の動きを通常の半分にしていることろが卓見だと思いました。

<おまけのひとこと>
 本日10月8日は体育の日の祝日で、全国的にはお休みですが、私の勤務先の会社は今日は出勤日です。でも、私は計画年休を設定していたのでお休みです。この三連休は東京に暮らしている娘が友達と地元の長野県を二泊三日で旅行しているようです。






10月9日(火) コネクションゲーム(その1)

 Connectionsというボードゲームをご紹介しようと思います(図1)。

図 1

 写真は私が持っているこのゲームの箱の表面の写真です。赤と白が対戦する、完全情報公開型で運の要素の無いアブストラクトゲームです。「引き分け」はありませんから、先手か後手のどちらかに必勝戦略があります。(必勝戦略があることと、その必勝戦略を知ることができるというのは別問題です。)

 子供の頃に持っていたものではなく、大人になってから買ったものです。箱には[4,300円]という値札が貼られています。高価ですが、遊びやすさや質感を考えると買う価値があると判断したのだと思います。どこで買ったのかは忘れました。(昔はそういうことは忘れたことがなかったのに…)  たぶん実際にこのセットで遊んでみたことはほとんどないと思います。実はそういう「ただ持っているだけで満足しているゲーム」が他にもあります。

 図2は箱を開けてみたところです。赤と白の四角いマークが5×6の30個ずつあります。手ゴマとして黒い八角形のコマがあって、それぞれ白と赤の帯がついています。ゲームの目的は図1の表の写真にあるようにコマを置いて自分の色の帯をつないでいって、自分の色で自分の陣地(対辺)をつなぐか、ループを作ることです。

図 2

 以下、図で示すことにします。図3の上下が青の陣地、左右が赤の陣地です。図4の点線の部分にそれぞれの色のコマを置くことができます。相手の色を置かれてしまったら、そこはブロックされて自分は置けません。

図 3 図 4

 このゲームには「禁じ手」があって、初手は四隅に置いてはいけません(図5)。なぜならば、初手にここに置くと、簡単に勝てる戦法があるのです。わかりますか?

図 5 図 6

 ちなみに図6は対戦例です。赤が先手で、赤が4つ、青が3つ置いたところで、次は青の手番です。

 このゲームの必勝戦略を考えるには、まずはもっとちいさな盤面を考えて、そこでどうなるのかを試すのがよいと思います。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 このゲームは紙と鉛筆とか、黒板(ホワイトボード)とかでもできそうです。






10月10日(水) 覆面算への言葉の当てはめ

 9月29日(土)のひとことで、こんな覆面算をご紹介していました。

再掲図

 これは2桁×2桁=4桁の掛け算を表していて、同じ記号の場所には同じ数字が入ります。覆面算は、この図のように単に記号で表すだけでなく、文字を使って何か意味のある言葉にすることが好まれます。この問題をご紹介しておいたら、尾道の大村さんからこんな案をいただいたことを10月1日にご紹介しました。

オバ × バケ = オニババ
尾道市 大村さん作

 この言葉の当てはめにとても感心して、「もうこれ以上の案は出せないだろうな」と思って、考えるのをやめていたのです。ところが一昨日、思いがけずもう1つ、素敵なご提案をいただきました。

かい × いぬ = かわいい
杉並区 佐々木あららさん作

 この案を送って下さったのは、歌人の佐々木あららさんです。感激です。さすが言葉の専門家だと思いました。形容詞を当てはめる、というのは全く思いつきませんでした。ありがとうございました。いやあ素晴らしいです。

 こちらのあららさんのblogも拝見しました。私は新聞の歌壇を毎週とても楽しみにしている短歌の読者なのですが、このブログに発表されている歌は、大胆で、新鮮で、「短歌ってこんな表現もできるんだ」と、改めてとても面白いなと思いました。新聞の歌壇にはあまり選歌されなそうな雰囲気ではありますが。

 また、とても面白いなと思ったのがあららさんが開発されたという短歌自動生成装置です。このサイトにアクセスすると、一度に五首ずつ、短歌を生成してくれます。現在の語彙数:530個(名詞部=230個、修飾部=150個、述部=150個) / 現在の構文数:20種類 という説明が書かれています。

 javascriptのソースも見させていただきましたが、とても感心しました。黎明期の人工知能のEliza(イライザ)やActor(アクター)を思い出しました。ソフトウェア的にはシンプルなルールで動いているのに、とても知的な活動をしているように感じられるのです。このルール、歌人だからこそ設計できるのだな、と思いました。選択されている構文と語彙がすばらしいのです。

 プログラム的にはコメントも含めても200行もないくらいシンプルなもので、ソフトウェアのたしなみがある人であれば、類似のものを作ろうと思えば作れる方は多いと思うのですが、構文のバリエーション、言葉を組み合わせたときの自然さ、全体の雰囲気をこんな風に構築できるデータセットを用意できるセンスのあるプログラマはいないです。佐々木あららさんだからこそこれが作れるのだな、と思いました。



 ランダムなアルゴリズムで作品を生成するシステムというと、思い出すのがモーツァルトの「音楽のさいころ遊び」です。部品となる小節が用意されていて、サイコロを振って小節を選んで並べることで、16小節の音楽作品ができてしまう、というものです。

 これは、短歌生成システムの用語で言うと、構文は1種類で、名詞部、修飾部、述部に相当する音楽の小節のセットが用意されていて、それをランダムに選択しているのですが、このシステムが生成する膨大なバリエーションのいずれもがモーツァルトらしい音楽になっている感じがするのです(実際には試してみたのはほんの数パターンですが)。

 アルゴリズムはシンプルなのだけれども用意されている部品のセットがすばらしいという点で、佐々木あららさんの短歌自動生成システムと、モーツァルトの「音楽のさいころ遊び」はよく似ているなあと思った次第です。

<おまけのひとこと>
 「短歌自動生成装置」のプログラムのコメントがまたとても分かりやすくて、これを書いたプログラマのプログラミングのセンスを感じます。






10月11日(木) タングルの結び目 818 に再挑戦

 今年の5月くらいに、タングルというおもちゃを買い集めて、数学の結び目の模型やCGをたくさん作りました。当時ご紹介しきれなかったものがいくつか残っているので、それを掲載したいと思います。



 当時作ろうとしていた模型の中で、特に対称性が高くて美しいだろうなと思ったのが 結び目 818 というものです(再掲図1)。

再掲図 1

 きれいな4回回転対称のかたちの射影図が描けるのですが、実際にできたものは結び目としては同じ構造であっても、幾何学的な形状としては対称性が低いかたちになってしまいました(再掲図2)。

再掲図2

 これは、パーツを節約しすぎたのだということに気が付いて、作り直してみたのがこちらです(図1)。

図 1

 左が作り直した交差数が8の結び目で、右は同じ系列の交差数10の、5回回転対称の結び目です。左のものはパーツ24個(6×4)、右のものはパーツ30個(6×5)を使っています。

 図1の結び目模型を裏返してみました(図2)。

図 2

 配色は変わりますが、このように裏返しても同じかたちになっているのがわかります。ようやく作りたかったきれいな対称性のかたちを作ることができました。

 4回回転対称、5回回転対称を作ったので、当然次は6回回転対称のモデルを作ってみたくなります。同じように6×6=36個のパーツを用意して同様に組んだら交差数12の結び目ができるのだろうな、と想像して作ってみることにしました。

(つづく)



 昨日(10/10)は仕事で東京の西早稲田に出張しました。たまたま早稲田大学のOBの同僚(といっても私より20歳くらい若いのですが)と一緒でした。昼食をどうしようか、ということになったときに、「ここ、なかなかいいですよ」と教えてもらったのがヒマラヤというカレー屋さんでした。ランチセットが1,000円だったのですが、とても美味しかったです。良いお店を教えてもらえてありがたかったです。

<おまけのひとこと>
 今回の結び目、過去に作って保存してある「殿堂入り」のタングル結び目模型の中でも特に気に入っているシリーズです。






10月12日(金) N回回転対称の交差数2Nのタングルの結び目

 昨日、4回回転対称で交差数が8の結び目、5回回転対称で交差数が10の結び目をご紹介しました。次は6回回転対称で交差数が12だよね、と思って、パーツを用意して作ってみることにしました(図1)。

図 1

 タングルのパーツ6個をつないだものを基本単位として、同じものを6つ作ります。まずは図1の左側の3つのように、連結している角度は無視して色の並びだけを揃えてパーツをはめてゆきます。これをそのまま長い1本に繋いでしまってから結び目を作り始めると、かたちを整えるのがとても大変で難しい問題になってしまいます。そこで図1の右側の3つのように、最終的なかたちにおける各ジョイントの連結の角度を想定して形を整えておきます。

 こうして準備した6つのパーツを絡み合わせて繋いで作ったのが図2、それを裏返したのが図3です。

図 2 図 3

 あれ? なんだか変です。パーツのつながり具合を目で追ってみてください。これ、結び目じゃない…

(つづく)



 今回、久々にこの「タングル」(正確には「タングルもどき」なのですが)のパーツで模型を作ってみたのですが、やっぱり面白いです。ストックしているパーツの残りがかなり少なくなってしまって、あとはすでに組んであるモデルを分解しないと新しいものが作れない状況です。

<おまけのひとこと>
 一昨日の出張で乗車した特急列車で、行きがけに指定席が隣だった方は年配の女性だったのですが、備え付けの折り畳みのテーブルの上で、クラフトペーパーと木工用ボンドを使ってクリスマスのオーナメントをずっと作っていました。かなりびっくりです。






10月13日(土) ligne roset の CLOUDSを飾ってみた

 先週(10/8〜10/12)は珍しく平日に毎日更新をしていたのですが、そのかわり週末の更新はお休みしてしまいました。



 昨年の1月23日のひとことから何日か、リーンロゼというブランドのCLOUDSという壁面装飾を購入した話を書きましたが、この週末にこれを自宅の壁に飾ってみました。

図 1

 壁から吊り下げてみたのですが、この写真だけだとなんだかよくわからないと思います。

 床に寝転がって天井を見上げてみました(図2)。この部屋は天井裏がなくて、屋根の傾斜の通りに斜めの天井になっています。その、高い壁に吊ってみました。

図 2

 少し離れた位置から眺めてみました。手前にIQ-lightの菱形三十面体が吊ってあります。

図 3

 大きな段ボール箱1杯分くらいの収納スペースが必要だったので、「この際飾ってしまおうか」ということになって、組んでみたのです。当面このまま飾っておこうと思っています。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 10月14日(日)の夜に、10/13〜10/15の3日分の更新をしています。






10月14日(日) ligne roset の CLOUDS:設計意図

 昨日のCLOUDSですが、もともとはそれなりに対称性のあるパターンにしようと思ったのです。手持ちのピースは24枚なので、まずは3枚で三角形のような構造を作ってみることにしました(図1)。

図 1

 三角形8枚の構造、というと正八面体が思い浮かびます。これを立体的に作ったら面白そうだな、と思ったのですが、中に詰め物でもしないとかたちが安定しないでしょうし、余計にかさばって始末に負えなくなることは明らかです。そこで、平面的に三角形8枚を並べた構造ということで、こんなかたちをイメージしてみました(図2)。

図 2

 このかたちを目標に組んでゆくことにしました。目標のかたちのイメージはこんな感じです(図3)。

図 3

 表示の都合上横長にしていますが、壁から吊るすときには縦長になるイメージでした。

 ところが実際に組んでみると、床の上では図3のようなかたちで安定しているのですが、吊るすとそこらじゅうが垂れ下がってきて、とてもカッコ悪いかたちになってしまうのです。そこで、対称性は捨てていろいろなところのジョイントを接続しながら、壁から盛り上がって来たり垂れ下がってきたりしないようにバランスを取りながら手を加えて、できたのが昨日の写真のような構造だったのです。

 写真をご覧いただくと、今日の図1の3パーツの構造が8組あるのがわかると思います。



 タングルで結び目の模型を作っているのですが、あまりのパーツがだんだん少なくなってきてしまいました。

図 4

 ちいさなビンに入れて飾ってあります。

図 5

図 6

 ちょっとジェリービーンズみたいだな、と思います。

<おまけのひとこと>
 今週末はいろいろなことをやっていて、あまり体を休めることができませんでした。






10月15日(月) スズキのアルトワークス

 1ヶ月ほど前、不注意で車のバックドアとバンパーに傷を付けてしまいました。人や物を傷めたわけではなかったのは不幸中の幸いでしたが、そのまま乗るのも恥ずかしいので、修理することにしました。

 実は、8月に任意保険を見直したときに、それまでは自損事故は保証対象外だったのを見直していて、保険が適用されるように変更してあったのでした。それもまあ不幸中の幸いと言ってもよいかもしれません。修理を見積もってもらったら15〜18万円くらい、ということだったので、保険を使うことにしました。ただ、契約していた保険が、「レッカー車で移動するような損傷でない限り、代車の費用は出ない」という条件だったということを知りました。

 どうしたものかと思ったのですが、幸い、ディーラーに修理を相談したところ、無償で代車を出していただけるということになったので、ありがたくお願いすることにしました。

 「代車、なにかご希望はありますか?」と尋ねられたので、(無償で貸していただけるのであれば)「なんでもいいです。マニュアル車でもいいですよ。」と言ったのです。マニュアルの軽トラだってかまわない、というくらいのつもりでした。そうしたら対応してくれたメカニック担当の方がニコッとして、「あ、それでしたらとてもいい車があるんですよ。」と言って、なんとアルトワークスの新車を貸していただけることになりました。

図 1

 修理は2〜3週間かかる、ということだったのですが、この車をお借りできるのであれば1ヵ月かかっても全くかまいませんよ、とお伝えして、ありがたく借用させていただくことにしました。

 借りた車は走行距離は400kmくらい、ETCはもちろん、オーディオ類も一切ついていなくて、ラジオすら聴けません。写真にあるように、ドアバイザーもなくて、もう本当に潔く走ることだけに特化した車でした。

 乗ってみてすぐに感じたのは、私のアルトターボRSと比べて、足回りの硬さが全然違います。正直言って乗り心地は良くないですが、コーナーでの安定性は抜群です(自分の車と比べて)。そのあたりをちょっと走るだけで、いちいち感動しました。

 先月のお彼岸のお墓参りはこの車で行かせてもらいました。私の姉が「足回りの硬い車に興味がある」というので、助手席に乗ってもらって菅平まで往復してきました。「足回りがしっかりしているというのはこういうことなんだね」と、面白がってもらえました。

 先週、10月の9日に修理が終わったという連絡があって、代車を返却して自分の車に乗っています。改めて「自分の車は軽自動車としては軽くて速くて、かつ乗り心地も良くて距離を乗っても疲れなくていいなあ」と思う一方で、「でもマニュアルのワークス、足もしっかりしていて速くてとても楽しかったなあ」という、ちょっと名残惜しい気持ちもあります。でも、3週間ほどこの車に乗ることができて幸せでした。



 実は10月5日(金)にたまたまとても早い時間に退社できることになって、この代車で走ってみる最後のチャンスだろうと思って、この際なのでちょっと遠回りしてドライブして帰ったのです。安曇野市の職場を出て、国道19号から国道143号に乗って青木峠を越え、青木村から上田市に入ったところで小さな峠を越えて別所温泉に抜け、塩田平の南の端を東に走って、先日無料化された平井寺トンネルを抜けて内村川の谷である国道254号線に入ります。武石川の分岐のあたりで一度給油して、今度は依田川沿いに旧中山道を和田峠に向かいます。和田峠は新和田トンネルではなくて旧道の狭い和田峠を上ります。頂上の古い小さなトンネルには入らずに、ヴィーナスラインに乗って霧ヶ峰から白樺湖に向かって走りました。残念ながらヴィーナスラインは霧が深くて、運転には緊張しました。最後に白樺湖から走り慣れた大門峠を下って自宅に戻りました。

 ちなみに図2は、給油した後で和田峠に向かう途中、長門の道の駅で休憩したときに撮った写真です。紅葉し始めた木がきれいでした。

図 2



 ETCが付いていなかったので通勤のときに大変だったり、ラジオがないので道路交通情報が聞けなかったりしましたが、そんなことは全く気にならないくらい楽しい3週間でした。

<おまけのひとこと>
 急に寒くなってきました。服装をどうしたらよいのか、悩ましいです。






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