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魅惑の渓谷鉄道へ 第4回
(02年11月の旅)
日之影温泉とびっくり珍味
影待−日之影温泉は、1区間である。ほとんどが長いトンネルというなかで、徐行区間が一ヶ所あった。それが青雲橋を眺める付近である。バスで通過してきたときも、これははるかに高いところだなという感じはあったが、改めて列車で仰ぎ見ると、とてつもなく高いところに橋がある。これだけの橋をよく作ったということに感心させられるが、逆に言うなら、この橋がなければ道路はとんでもなく迂回をしなければならなくなるのだ。
日之影温泉に到着。降りる人はごくわずかである。この駅も無人駅なのであるが、駅に隣接するようにそびえたっているのが、日帰り入浴施設の日之影温泉である。一階部分が物産販売コーナーと食堂、2階に温泉がある。駅に直結する温泉なので、鉄道を利用する身にとってはとてもありがたい。
タオルを買って、温泉に入る。観光客はどうやら私一人のようで、数人いる入浴客もみんな地元の人みたいだ。ここはアルカリ性単純温泉で、筋肉痛、冷え性などに効能があるようだ。お湯はやや温めという感じだったが、ゆっくりとつかっていれば身体もじんわりと温まってくる。鉄道を真下に眺める露天風呂もあるようだが、冬期間ということで閉鎖されていたようだ。
風呂に入ってさっぱりしたあと、やっとお楽しみのビールにありつける。昨日は車だったため、せっかくの温泉後の一杯ができなかった。今日はそんな心配は無い。夕食にも間があるため、生ビールと名物のハチの子バター焼きなるものを注文し、しばし出来上がりを待った。
そこに出てきたのが、なんと巨大なハチの子である。これにはびっくりしてしまった。信州人の私の感覚だと、ハチの子といえば地蜂(黒スズメバチ)のことである。むろん、米粒より一回り大きいくらいの幼虫だ。ところが、このハチの子はまぎれもなくスズメバチの幼虫である。これではまるで芋虫だ。これは、小さいとはいえハチの子を食べ慣れたことのない人だったら、まず食べることはできないだろう。こんなところで、思いもよらない珍味にありつけたことはラッキーであった。
ハチの子は思ったよりも身が引き締まっており、バターにマッチして実に美味しかった。スズメバチといえば強壮剤にも使われる。ここの物産売店でもスズメバチ(親バチ)の焼酎漬けが売っているほどである。したがって、ハチの子をこれだけ食べれば滋養強壮にもなる。旅の中間日にはもってこいの肴だったかもしれない。
日之影温泉は、駅に併設しているため、列車がやってくることを示す信号が館内に設けられていた。30分前に青信号が灯り、15分前には黄信号、5分前には赤信号となる。列車で温泉にやってきた人には、ちょうど時計代わりにもなる。私も赤信号を確認しながら、ホームへと出て行った。それにしても、せっかく物産売店があるのだから、せめて切符販売の業務委託ぐらいすればいいと思うが、いかがなものだろうか。
(つづく)
いよいよ延岡へ下っていきます