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魅惑の渓谷鉄道へ 第3回
(02年11月の旅)
影待駅探訪(つづき)
今度は、下の道路のあたりまで下ってみることにする。落ち葉がたまる石段を慎重に降りていく。途中で鉄製の踊り場と階段があったが、踊り場の中央部付近は錆びて穴が開いている。さらに周辺の鉄板も気のせいかボコボコという。手すりにつかまりながら、おっかなびっくり降りていく。
やがて秘境駅の作者が言っていた小さな畑が姿を現した。「そろそろ道路かな」と思った矢先、目の前にばあさんがしゃがんでいて思わずびっくりして引き返してしまった。ばあさんは草取りをしていたらしく、私の姿には気がつかなかったようだ。駅周辺なんだから人がいても不思議は無いが、こういう秘境駅で人に出会うとかえって驚いてしまう。草取りをしていたところをみると、どうやら畑の持ち主だったようだ。
探索はやめて、おとなしく駅ホームで列車を待つことにする。その間、「風待通信」と名づけられた駅ノートを読む。ノートが置かれたのは、わずか1年ほど前のことのようで管理人は「さるてつ」という人だ。「さるてつ」氏もまた、秘境駅の本を読んで刺激を受け、この駅にノートを置くことにしたという。ノートの中で何度も登場しているようだから、よほどこの駅が気に入っているのであろう。私もせっかくの機会だったので一筆したためておく。
それにしても、こうした閉鎖空間は改めてすごいと思う。鉄路を敷いたことはともかくとして、どうしてこのような地に駅を作ったのかと考えると、とても不思議な気がする。「さるてつ」氏の言うには、利用者がいくらかいるとのことであるが、それにしても鉄道を利用するというのもなかなか至難の業だと思う。そんなこんなで、影待駅での1時間はあっという間に過ぎ去った。やってきた列車に一人乗り込み、静かに列車は影待駅を去る。再び駅に静寂が訪れる。次に訪れる旅人はいつの日になるだろうか。
(つづく)
さて、次は日之影温泉だ