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西鹿児島行はやぶさ号に乗る 第3回

(97年11月の旅)

熊本の切り離し作業

  小倉から久留米までは初乗車区間となる。といっても、去年北部九州を一周したこともあってか、あんまり初めてという気分にはならなかった。博多にも初めてやってきたわけだが、単に「大きな町だな」との印象のみ。やはりこういうところは下車してみないと分からない。

 大牟田に11時過ぎ到着。ここで数分の停車があったので、再び弁当購入に走る。この次の熊本で後続車両が切り離され、その先西鹿児島までは車内販売がなく、しかも停車時間が長い駅もない。さらに熊本では切り離しの作業をこの目で見たかったため、大牟田で先手を打って弁当購入に走ったのである。ここでは有明弁当というのを買った。

 大牟田で下車したのを利用して、一足先に車両を乗り移ることにした。個室寝台とはここでお別れで、今度は5号車の普通のB寝台で、いわゆる“ヒルネ”という状態で終着の西鹿児島まで旅をする。もちろん寝台車だけにふつうの特急などと違って足も伸ばせるし、楽なものである。そして、座席を単に移動しただけなのに何か違う列車に乗り換えたような感覚もあり、ちょっと退屈していた気分も一新、快適な旅心がよみがえってきた。

車両の切り離し作業

 九州中心部・熊本にはお昼前に到着。ここまでは「去年来たな」という旅、ここからが未知の土地への旅になる。まずは車両の切り離し作業を見守る。作業自体は機関車の付け替えなどと違って地味なため、さほど大袈裟ではない。けれど、それを見守るマニアが私を含めて何人かいた。こんな列車にわざわざ乗って、しかも切り離し作業を写真やビデオに納めるなどというのは、列車ファン以外の何者でもない。おそらく、私も含めみんながこの西鹿児島行「はやぶさ」がなくなるのに一抹の寂しさを感じているのであろう。

 切り離されて身軽になった「はやぶさ」が、いよいよ熊本を出発する。12月からはここから先、「はやぶさ」が走ることはない。長野からはるばるやってきた私にとってはまさしくラストランになる。その車窓をじっくり楽しむ前に、まずは有明弁当にありつく。名前のイメージとは裏腹に、これは単なる幕の内弁当であった。旅情にはそぐわないかもしれないが、旅路の栄養バランスにはちょうどよい食事となった。

(つづく)
八代から先へ行きます