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ちほく高原鉄道初乗車(後編) 第3回
(05年10月の旅)
秘境駅・塩幌にて
秘境駅の塩幌に到着した。むろん、下車するのは私ひとりである。木のホームだけの小さな駅に降り立ち、乗ってきた列車を見送ったあとは、言い知れぬ静寂感に包まれた。昨日、車窓からもその雰囲気を感じ取っていたが、実際に立ってみると「やっぱりすごいなあ」と驚くばかりである。
駅周辺のようすを見回しても、林と小さな牧草地、畑くらいしか見えず、もちろん民家などまったくない。国道も駅近くには通っておらず、駅へのアクセス路は未舗装の道路だけである。国道がやや遠いということで、車の音がしないため、川上駅よりも静かな感じはする。待合スペースすらない駅は、まさに朽ちる寸前といった感じである。廃線になっても、人為的に取り壊しをせずとも、いつしか自然に帰ってしまうようなそんな駅といえる。
駅前には小さなスペースがあり、車が立ち入った跡も見受けられる。地元の人が車の送迎で寄ったのか、あるいは鉄道マニアが立ち寄ったのかは定かではない。日常、利用者がいるとは到底思えないような駅なので、おそらく後者ではないかと思う。ホームのすぐ横には国道からアクセスする未舗装道路の踏み切りがあるが、もちろん警報機も遮断機もない。ただ、私がいる間もトラクターや軽トラが踏み切りを渡っていたので、道路は利用されているようだ。
それにしても、ほかになんにもない駅で30分も時間待ちするというのは、思ったよりも退屈なものである。天気がよければ牧草地の方にも足を伸ばしてみようという気になるが、時々雨が落ちてくるような天気では、駅にいたほうがましである。いろいろなアングルからこの駅を撮影してみたが、大地にポツンとある駅という雰囲気が出ていてなかなか面白い。
ようやく、足寄方面からの列車がやってくる。ここはかなり長い直線になっているため、遠くから列車がのぼってくるようすが分かる。当然のことながら、列車がやってくる光景というのもこれが見納めと思い、望遠レンズを使って狙ってみた。三脚を持っていれば、もう少しましな写真も撮れたかもしれないが、それはそれなりに記念に残るアングルが狙えたのでよかった。
列車に乗り込み、たった1駅間戻っていく。列車の乗客は見る限り地元の住民ばかりで、本来のちほく高原鉄道に乗れたのかなとの思いをめぐらしながら・・・。
(つづく)
味わいのある無人駅・上利別へと