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ちほく高原鉄道初乗車(後編) 第2回

(05年10月の旅)

山間の小駅・小利別

置戸−陸別−塩幌

 置戸を出発すると、列車はどんどんと山の中へと入っていく。次の小利別は陸別町北端の集落で、置戸−小利別(しょうとしべつ)がちほく高原鉄道のなかで最も駅間が長い。つまり、峠越えをここでするのだ。小利別へ向かう方と置戸へ向かう方(どちらが上りか下りか分からないので、こういう表現をしました)では、今乗っている小利別へ向かう方が2分ほど時間がかかっている。それだけ、置戸からの峠越えで一気に標高をかせいでいるということになる。

 この区間、なんと19分もかかるのだが、その間のほとんどは無人地帯を走る。しかも、北海道らしい原生林が続くなかを走っていく。並行して国道が通っているので、秘境感は若干薄らぐが、国道にはまったくといっていいほど車の姿を見かけることはない。根室本線にもこうした光景が連続する場所があるが、ここもなかなか見ごたえのある車窓だ。

 ちほく高原鉄道にはトンネルがひとつもない。この置戸−小利別も峠越えではあるが、山が比較的なだらかなため、トンネルを作る必要はなかったのであろう。周囲を見わたすと、川の源流部にような感じの湿原地帯が続いていく。もうずっと車窓に釘付けになりっ放しである。やがて湿原のような場所がだんだんと笹原へと変わっていき、峠の頂点にきたことをうかがわせたと思ったら、列車のうなりも消えて下り坂へと入っていく。川の流れも先ほどまでとは逆方向になった。もう間もなく小利別に到着する。

 小利別駅は、小ぎれいな駅舎を持っていた。小さな集落も形成されており、ここもまた途中下車したくなるようないい雰囲気である。列車が発車すると、すぐにまた林の中へと突入していく。次の駅は昨日訪れた川上駅。いよいよこれが車中からの見納めということになる。

惜別の思いで川上駅を見送る

 進行方向左側に座り、川上駅の到着を待つ。もういちど、今度は車窓から駅を撮影しようと窓を開ける。川上駅は当然のように乗る人は誰もいなかった。車で立ち寄っているような人も見られない。そして、だれか降りるマニアがいるのかと思ったが、立ち上がる人はいなかった。乗降客ゼロといういつもの川上駅の姿を見ながら、駅をあとにする。プラットホームそのままの駅の雰囲気。車窓から眺めてこそ、やはり駅としての存在価値がある。そう強く感じながら、川上駅に別れを告げる。

 分線駅を過ぎ、陸別に到着。ここで旅行者数人が下車し、地元の住民が乗ってくる。この先は、昨日列車最後部からじっくりと見てきたので、ここはぼんやりと車窓を眺めながら、列車旅を楽しむ。薫別、大誉地、笹森と過ぎる。事前の計画だと、次の上利別で下車し、反対からくる列車をどこかで撮影しながら塩幌駅を目指そうと考えていたが、国道を歩くことの危険さと雨の心配、そして何よりも上利別駅をじっくりと見る時間がほしかったということを勘案し、ダイレクトに塩幌駅に行くことにした。塩幌で30分時間待ちをして再び上利別に戻れば、52分間の待ち時間を確保できる。

(つづく)
秘境駅・塩幌に降り立ちます