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ちほく高原鉄道初乗車(前編) 第5回

(05年10月の旅)

川上−陸別−北見

 いよいよ川上駅から出発する時間がやってきた。この山の中の小さな駅で、遠くからやってくる列車を待つというのはなかなかいいものである。ただ、ふだんの秘境駅探訪だと、列車をポツリと一人で待つという姿なのだが、列車の時間に合わせてマニアや家族連れが車でやってきて列車を待ち受けていた。もちろん乗るためではなく、写真を撮る目的のようだ。

 列車に乗り込んだ私は、いったん陸別へと戻る。この日の宿は北見にとってあるが、ちょうどいい北見行きの列車は川上駅を通過してしまう。そのため、陸別で乗り換えを余儀なくされたのだ。

 先ほどは陸別から車で川上駅まで来ているので、車窓を眺めるのはこれが初めてとなる。隣の分線駅へと向かう。もちろん集落はおろか、民家や建物もなく、ひたすら林の中をひた走る。少し開けたところにある分線駅も、周囲にはほとんど民家のないひっそりとした駅であった。ここはかつて映画のロケ地にもなったそうだが、そうした案内を示すものもない。廃線になったら、静かに大地に消えていくような感じの駅だ。

陸別駅で待つ乗客とマニア

 陸別に戻ってきて、跨線橋を渡って反対ホームへと行くが、驚いたことにホームには30人近い人がいた。今度やってくる列車は、唯一の帯広乗り入れをしている快速銀河号であり、ある程度多くの乗客は予想されていた。だが、この人数というのはちょっと異常な感じもする。マニアや観光客の姿もずっと見てきたが、いったいどのくらいが旅行者なのだろうかと首を傾げる。

 やがて、列車がやってきた。カメラを持っている人が一斉に列車を撮影する。だいぶあたりも暗くなってきたので一斉にフラッシュがたかれ、山間の小さな町ではふだん見られない珍しい光景となった。一両編成の列車は立っている人がいるほどの乗客であった。そのうえに、駅で待っていた人たちがぞろぞろと乗り込むのだから、まるで通勤通学列車並みの混雑となった。それでも、10人近くの人は列車に乗らずに見送っているのだから驚かされる。

 この先は、外もかなり暗くなり、おまけに乗客の熱気で窓ガラスがどんどん曇ってくるというあいにくの状況になっていったため、車窓をゆっくり眺めるという感じにはなれなかった。おまけにこの乗客の数では動き回ることもままならない。どうしてこんなに乗客が多いのかと思ったが、どうやら陸別で乗った人の大部分は同じツアーの観光客であった。ツアーのなかにちほく高原鉄道の乗車を組み込むというのは、なかなか考えたものであるが、一般乗客である私にとっては「ちょっと迷惑かな」という思いもあった。このツアー客は4つ先の置戸駅で一斉に下車した。

 置戸からは、少し落ち着いた程度の混み具合のまま、終点の北見へと進んでいった。すっかりあたりは夜そのままになっていったので、車窓も満足に眺められなかった。川上駅から先、北見までの車窓のようすについては、明日折り返して戻っていくので、そのときに記載する。

 北見駅に到着した。やはりJRのホームとは少し離れた位置にあるホームに停車した。ここでも運転士が切符の精算をしており、北見で下車する人や整理券しかもっていない人には「精算証明書」を渡していた。私は銀河GOGO切符を持っていたので、それをそのまま北見駅で出せばよかったのであるが、「記念に残したい」ということで、運転士から特別に精算証明書をもらった。これはラッキーであった。

 北見駅は、完全にJR線の駅舎になっており、わずかにちほく高原鉄道用の自動販売機が置いてあるだけであった。駅舎の隣にちほく高原鉄道の本社があったが、案の定日曜日は休みになっており、建物は閉じられていた。明日も出発が早いうえ、日曜日なので窓口業務は休みになるだろう。記念グッズの現地調達はあきらめることにした。

精算証明書
(前編おわり)
 

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翌日、北見から戻っていきます

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