【トアマシナ・ダダベと市場にショッピング】

マダガスカルでは一般的な赤いお米をやわらかくなるまでおなべで煮て、その上に手作りソーセージを乗せて、これまたマダガスカル料理には欠かせない「サカイ」をちょっとかけて食べる。
「んー。おいしい」
なんだこのおいしさは。寸胴のなべに無造作に作られた大量のおかゆ。
ソーセージが手作りなのも、あたりまえで。日本だったら高原の高級レストランとかで出てきそうなソーセージがごろごろおいてある。
そして、小さな緑色の唐辛子とにんにくなどを刻んで混ぜ合わせたサカイというのは、マダガスカルの食卓によく置いてある。ちょっとだけつけて食べるとお肉とかすごくおいしくなって、旅行中にやみつきになってしまいます。
これがレストランに置いてなくて、激怒したという日本人もいるほどで。
長いすに皆で座ってもくもくと食べる屋台。隣にいるのは出勤前らしいお姉さんとか、暇そうな若者とか。いろいろ。
ダダベとつたないマダガスカル語で「これはなに?」とか「おいしいね」とか言ってる私を、見てみぬふりをしておかゆをすすっていたヤンキー風のお兄ちゃんがダダベに話しかけた。
ダダベは、「この子は日本人で、マダガスカル語を勉強してるんだ」とちょっと自慢げ。

はちみつ屋さんは使い古したびんにはちみつを入れて売っていた。
マダガスカルにははちみつを採る職業みたいなのがあって、養蜂じゃないらしいのです。岩場を登って採ったり。
このはちみつを、マダガスカルの朝ならどの市場でもむぞうさに転がっている全国同じ形のフランスパンにかけてたべるとこれまたおいしい。バターなんかもつけたら最高。
この町には「バザールベ」と「バザールケリー」という市場が二つあって、バザールケリーの市場の近くには、通りに面してインド人の経営する布屋が並んでいるのですが、その品揃えがまたすごい。通りかかったら覗いてみることをおすすめします。
そのほか、「列車が来ない駅」もあります。以前は首都から機関車が通っていて、線路も駅もあるのですが、財政困難からか、列車は走っていませんでした。
2001年の選挙で(だいぶもめた末)当選した新しい大統領ラヴァルマナナは公約の中で「タマタブに列車を走らせます」と言ったそうですが、まだまだ。
駅舎だけは白と赤にきれいに塗られて、制服を着た駅員さんがぽつんとホームに立っているのをみました。

ここで注目!マダガスカルのすごさ。
マダガスカルには軽量カップとかいうお上品なものは存在しない。
おばちゃんがダダベの持参した袋に入れているのは「1カポカ」という単位の豆。
おばちゃんの右手に握られているのはその「1カポカ」を決めるマダガスカルの市場共通の入れ物。その正体は、コンデンスミルクの空き缶。
マダガスカルの市場には、濃いいコーヒーにコンデンスミルクをたっぷり入れた立ち飲みコーヒー屋さんもあるので空き缶は大量にでまわる。
それを共通の単位としてつかっちゃっているあたりがなんともすごい。さらにお店それぞれ違うんじゃなく、市場ごとや、ひょっとしたら全国の市場共通単位かもしれなくて、それがものすごい秩序を保っているというか…・
何モノ自分達ではつくらない主義(?)のマダガスカルには、国産のひしゃくとかおたまとかも存在せず、このコンデンスミルクの空き缶に柄をつけたものが普通に売られていたり…。
市場を見て回るだけでも楽しいのです。

トアマシナでの旅の様子をお届けします。
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