[Home]-[以前のひとこと]-[2023年6月前半]

以前の「ひとこと」 : 2023年6月前半


それぞれの日の記事へのリンクです
Sun Mon Tue Wed Thr Fri Sat
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30



6月1日(木) ずらした立方体の敷き詰め(その1)、あやとり

 6月になりました。パズルの話とあやとりの話です。



 千葉県のJさんから教えていただいた IQ-Perplex(Raf Peeters) というパズルを見て、ずらした立方体の敷き詰めパターンについて考えてみています。単位立方体36個によるこの構造

を、単位立方体を3つ連結したピース12個で作ることを考えたいのです。まず、この構造に埋め込める3単位のピースが何種類あるのかから考え始めました。下の図のように、ある立方体に接する周辺の6つの立方体までを考えます。中心と下の2つの立方体を固定して(黄色の部分)、3つ目としてその周囲の5つの立方体を1つずつ付け加えたかたちを考えてみることにしました。

 そうすると一見5種類のトリプレットができるような気がします。

 でもよく見ると No.2 と No.3 は同じです。No.4 と No.5 は鏡像体で重なりません。改めてこの4種類を I型、V型、DL型、DR型、と呼ぶことにします。

 さて、これらは単独で、あるいは様々な比率で冒頭の36単位の六角形の構造を作れるでしょうか? 球をユニットとした三角格子の場合とどう違うでしょうか?

(つづく)



 内側3本指で「ガイアナの星」を取るあやとりは結構好きで私にとっての定番の手順の1つです。いつもは下右(hh230601-2)のように整えるのですが、ちょっと違った仕上げ方をしてみました。

hh230601-1 hh230601-2
  1. 人差し指の構え
  2. 薬指で人差し指向こうの糸を取る
  3. 内側3本指で「ガイアナの星」
  4. 中指を外す
  5. 親指・小指を内側に1回転ひねる
  6. タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理

 この2つのあやとりが手順が全く同じ、というのが面白いと思います。そして、あやとりというのが「操作手順だけを記述しても出来上がりが一意に定まらない」という例にもなっています。



 今日の冒頭でご紹介している「半単位ずらした立方体のトリプレット」を数え上げるために、アーテックブロックでこんな模型を作って眺めながら考えたのです。

 そうしたらこれ、意図せずよく回るのです。以前突然流行ってあっという間にブームが去ったハンドスピナーみたいです。

 思わず動画を撮ってしまいました。

 ちょっとうるさいかもしれません。

 本来、理想的な精度であれば10個の立方体は全て頂点で床に点接触するはずです。ところが何かの理由で中心の立方体がちょっと偏ってしまって、周囲の9つの立方体が浮いた状態になっているのだと思います。なので裏返すと全く回りません。



 さらにどうでもいい話です。私はPCを使うとき、[Alt]+[Tab] でアクティブな窓を切り替えるそいう操作を頻繁に行います。Windows11 になって、この操作の時に選択される窓の周囲を囲む枠の色が細い黒線になって、とても見ずらくなって「改悪だ」と思っていたのです。

 今日もいつものようにエディタ(Visual Studio Code)でhtmlファイルを書きながら、ブラウザ(Chrome)でプレビューして確認するという作業をしているとき、[Alt]+[Tab] で切り替え対象を選ぶときの枠が見やすくなっていることに突然気が付きました。

 これならわかりやすくて良いです。良かった…


<おまけのひとこと>
 図を作ったり動画を撮ってYouTubeから公開したりとかやっていたら遅くなってしまいました。今朝は2時半くらいから作業を始めたのですが、もうそろそろ5時です。すっかり明るくなりました。今日も頑張らないと。






6月2日(金) ずらした立方体の敷き詰め(その2)、あやとり

 パズルの話とあやとりの話です。



 立方体を半単位分ずらしたトリプレットで六角形のパターンをつくるパズル、解を探索してみました。

 I型12ピースは11解、V型12ピースは48解でした。DL型とDR型はそれぞれ単独で12ピースだと解がありませんでした。

I型:11解 V型:48解

 参考までに球を3つ連結したピースの場合、I型とV型の解の数は同じでした。

I型:11解 V型:48解 D型:1解

 DL型とDR型を6ピースずつにしてみると、解が1つだけ出てきました。DL型とDR型の数の比率を0-12,1-11,2-10,3-9, … ,10-2,11-1,12-0 と変えてみましたが、解があったのは半々の6-6のときだけでした。

DL型(6)+DR型(6):1解

 あれ、でもこの2つは鏡像体で、しかも盤面は鏡像対称性も持ちます。とすると内側と外側のピースを入れ替えた解も成立するはずです。何か間違っているのかな? と思って、実物でも6ピースずつ作って試してみることにしました。

(つづく)



 あやとりです。「ケルトのタペストリー」で、最初の5本指の構えの後で指の輪をひねってみたらどうなろだろう? と思って試したものです。

hh230602-1 hh230602-2
  1. 5本指の構え
  2. 人差し指・薬指を外側に1回転ひねる
  3. 「ケルトのタペストリー」
  1. 5本指の構え
  2. 人差し指・薬指を内側に1回転ひねる
  3. 「ケルトのタペストリー」

 なるほど。

(つづく)


<おまけのひとこと>
 雨がすごいです。私は朝から終日在宅勤務ですが、昨日の夕方に「6/2(金)は大雨が予想されるので可能な方は在宅勤務を…」という構内放送があったそうです。(私は出張でした。)そういった選択肢が選べるようになったのは良いなあと思います。






6月3日(土) ずらした立方体の敷き詰め(その3)、あやとり、コーヒー豆を挽く

 パズルの話とあやとりの話と、週末なので別の話題を。



 立方体を半単位分ずらしたトリプレット(3つ組)で六角形のパターンをつくるパズルをパズル解析ソフトの BurrTools で解析してみた話の続きです。3個の立方体を半単位ずらして全てが互いに面の4分の1の小正方形で接するように組むやり方は左手型と右手型があって、それを6個ずつ使うとこんな解があるというところまでご紹介しました。

DL型(6)+DR型(6):1解

 でもこれ、右手型と左手型を逆にした解もあるはずなのです。ひょっとして BurrTools に解析させるデータに何か意図しない誤りが入ってしまっているのだろうか、と心配になったので、実物で逆パターンも作ってみることにしました。

 …というところまで昨日は書いたと思うのですが、準備した6個ずつのトリプレットを実際に並べてみました。

 当たり前ですが、思った通りL型とR型の配置を入れ替えた配置でも解はあります。BurrToolsはこの2つを同じ解であると解釈するアルゴリズムになっているということですね。(ちゃんと回転対称も含めて重複解を取り除いて数えてくれる、というのは素晴らしいと思います。)

 私のサイトでも昔から何度も話題にしていますが、化学の世界ではL型とR型の違いというのは大きな意味を持っています。私たちの身体を作っている基本となる物質であるタンパク質は、20種類のアミノ酸分子が一つながりに連結することで作られていますが、このアミノ酸分子は不斉炭素原子という、炭素原子に結合している4つの基が全て異なる炭素原子を持ちます。(アミノ酸とは、1つの炭素原子にアミノ基とカルボキシル基と水素が結合しているもので、最後の4つ目の結合の基が変わることで様々なアミノ酸になります。最もシンプルなアミノ酸であるグリシン NH2CH2COOH だけは4つ目の結合も水素なので不斉炭素原子を持ちません。)

 鏡像対称軸を持たない普通の不等辺三角形を考えて、それを裏返したとします。この2つを「同じ」とみなす立場と「違う」とみなす立場があります。仮にこれをキラルな分子で作ったとすると、上の写真の2つの組み方は、他のキラルな分子との反応性が異なるのではないかと思うのです。なので、この2つは「違う解」という解釈のほうが違和感が少ない気がしました。

 それはともかく、せっかく作ったこのセットでもう少し遊んでみました。

(つづく)



 あやとりです。昨日に続いて「ケルトのタペストリー」のアレンジです。昨日は最初の5本指の構えの後で人差し指と薬指の輪を1回転ひねってみましたが、今日はそれを半回転にしてみました。

hh230603-1
  1. 5本指の構え
  2. 人差し指・薬指を内側に半回転ひねる
  3. 「ケルトのタペストリー」

 こういうちょっとした変化を試しているととても楽しいですし、オリジナルのあやとり(ここでは「ケルトのタペストリー」)を何度も取ることになるので、手順が自然に身に付きます。



 先日、墓マイラーカジポンの 世界音楽家巡礼記(カジポン・マルコ・残月 著/音楽之友社:2020年)というムックを買ったという話を書きましたが(5月13日(土)のひとこと)、この本のベートーヴェンのページに「コーヒーは自分で豆60粒をピッタリ数えて淹れるこだわりを持っていた」と書かれていました。

 これは一度は真似をせずばなるまいと思っていたのですが、最近はコーヒーは豆で買わなくなっていました。久しぶりに豆の状態のコーヒーを買ってきて、数えてみました。

 「お徳用パック」のものを買ったためか、ちょっと豆のサイズや炒り具合にばらつきがあります。いつも使っているコーヒー豆用の計量スプーンですくってみたら、70粒弱でした。60粒はいつもより少し少ない感じです。

 コーヒー豆を挽くのはおそらく数か月ぶりなので、コーヒーミルを取り出してみたら若干ほこりが付いていました。分解して軽くお掃除をして組み直しました。コーヒーミルは固定刃(外刃)と回転刃(内刃)の間にコーヒー豆が入って挽かれます。内刃は上が細い円錐形になっていて、ネジで調整してこの円錐を上下することで、一番下の外刃との隙間を広げたり狭めたりできます。広げると(内刃を下げると)粗挽きになって、狭めると(内刃を上げると)細かく挽けます。最初、適当に組んだらものすごい粗挽きになってしまって、ものすごく薄いコーヒーになってしまいました。

 もう一度分解して調整し直したら、次に淹れたときは美味しくなりました。同じ豆で同じように淹れても、コーヒーミルの調整次第でこんなに味が変わるのだ、と実感できました。

 ベートーヴェンとコーヒー豆60粒の話は、例えばUCCの【検証してみた】作曲家ベートーヴェンのコーヒーへのこだわりという記事や、指揮者の尾崎晋也氏のベートーヴェンのモーニングコーヒー|コーヒー豆60粒はウソ?細かく検証!実際にコーヒーも淹れてみたという記事(2023/05/23なので、わずか10日ほど前の記事です)などが面白かったです。



 コーヒーミルを分解して組みなおす、というと、コミック「ハクメイとミコチ」の4巻の第23話「一服の珈琲」を思い出します。ハクメイとミコチが行きつけのお店でコーヒーを飲んだ時、「マスター、豆変えた?」とミコチが尋ねると、豆は変えていないけれど、ミルが壊れてしまって別なのを使っている、というのです。先代のマスターが愛用していたコーヒーミルが急に回らなくなってしまった、ということで、修理屋でもあるハクメイが分解して修理してみよう、ということになったのです。

「ハクメイとミコチ」第4巻 第23話「一服の珈琲」より

 我が家で長年愛用しているコーヒーミルは、まさにこのかたちのものなのです。

「ハクメイとミコチ」第4巻 第23話「一服の珈琲」より

 このコミックは絵が丁寧なのが好きですが、この回も分解したコーヒーミルや、それを組んだりする手順、回転刃をはめるときの手の位置など、きっと実際に分解して組み立て直すことをやりながら絵を描いたのだろうな、と思われるコマがたくさんあってとても良かったです。(ただ、上の「分解完了」のコマ、「このパーツはこのタイプのミルには無いのでは?」と思われるものが描かれている気がしますが私が無知なだけかもしれません。)

 せっかく分解掃除したので、写真を撮っておけば良かったなあと思いました。


<おまけのひとこと>
 画像処理で、Blob解析をすると豆の個数を数えてくれると思います。コーヒー豆をバラっと散らばらせて、それを写真に撮って、「このラインからこっち側がちょうど60粒」とか教えてくれるシステムを作ったら60粒を数えるのが楽かなと思ったりしましたが、まあやらないだろうな。






6月4日(日) ずらした立方体でブロックを作る、あやとり

 ブロックの話とあやとりの話です。



 昨日のL型とR型の立方体を半単位ずらして互いに接触させたトリプレットですが、せっかく作ったのでこれを重ねてこんなかたちを作ってみました。

写真 1

 色遣いのせいか、なんとなく「トウモロコシ感」があります。

 これ、それぞれの階層で平面状に並べることができるのです。

写真 2

 6ピースあるので、三角形に並べてみました。

写真 3 写真 4

 円環状に並べてみました。

写真 5

 楽しい…



 「ケルトのタペストリー」のアレンジです。中指のアレンジです。

hh230604-1
  1. 5本指の構え
  2. 左中指を向こうへ、右中指を手前へ半回転ひねる 
  3. 「ケルトのタペストリー」

 中心部分の点対称なかたちが面白いです。



 最近のLLM(大規模言語モデル)をベースとした生成モデル系のAIの技術進化はすごいです。OpenAI、大規模言語モデルの数学能力を大きく向上させることに成功 という記事があったと思ったら、翌日には大規模言語モデルが自身でPythonツールを作成し活用するようにする新フレームワーク「LATM」登場という記事がありました。

 前者はまあ今までの技術の延長線上かなあと思ってみていたのですが、後者はちょっと脅威になるかも、という気もします。論文、読んでみたいです。


<おまけのひとこと>
 髪の毛がだいぶ鬱陶しくなってきたので、午前中に床屋さんに行ってきました。いつも、ものすごく短時間でやってくれるところに行っています。9時半開店なのですが、最近は少し早めに始めているみたいで、今日も9:25くらいに行ったら既に最初のお客さんは散髪してもらっていて、私は3番目でした。理容師さんは今日は一人だけです、と張り紙がされていました。それでも私が終わったのは10時前でした。






6月5日(月) フィンスラーの定理(その1)、あやとり

 幾何の定理の話とあやとりの話です。



 こんな定理を見かけたのです。

 頂点Aを共有する2つの正方形、ABCDとAB'C'D'があります。それぞれの中心をO, O' とします。BとD'の中点をP, DとB'の中点をQとすると、四角形OQO'P は正方形になる、という定理です。これを証明してみることにしました。

(つづく)



 あやとりです。少し前に「パロボラチョの処理」をご紹介していましたが、5本指の構えから「パロボラチョの開始処理」をしてみました。

hh230605-1
  1. 5本指の構え
  2. パロボラチョの開始処理
  3. 人差し指・薬指の輪を半回転ひねってねじれを無くす 
  4. 全ての指を外側へ1回転ひねる
  5. 焼け焦げた葉のククイの終了処理

 5本指の構えからのパロボラチョの開始処理は、中指の輪を手首に落とし、人差し指と薬指の輪を無視して行いました。この場合、小指の糸をどこから引き出すのか、選択肢がある気がします。



 夏至も近づいて、朝、外が明るくなるのが一段と早くなってきました。今朝も4時過ぎには外が明るくなってきて、カッコウが鳴き始めました。外の写真を撮ってみました。

2023年6月5日(月) 4:11ころ

 その10分後くらい、かなり朝焼けが強くなってきました。また写真を撮りました。

2023年6月5日(月) 4:21ころ

 みるみるうちに空の色や明るさが変わってゆきます。この後の変化は写真は撮りませんでしたが、今(ちょうど5時くらいです)、山の稜線からお日様が現れそうです。朝焼けの色はもうすっかりなくなっています。


<おまけのひとこと>
 この週末は線状降水帯が現れて、全国的に大雨でした。私の住んでいる市では大きな災害はなかったようなのですが、市からの公報(放送やメール)で、下水処理施設の水位が上がっていて、一部の地域で水が流れにくくなっているので節水にご協力を、というのが土曜日に何度も流れました。排水が流れてゆかないというのは恐ろしいことです。我が家は標高が高いのでそういう心配はないのですが、ささやかな協力ということで、お風呂は一日控えることにしました。昨日、「施設は復旧しました」という公報が来て、良かったと思いました。いろいろお互い様なので、協力できることは協力したいです。






6月6日(火) 立体の鏡像対称性(その1)、あやとり

 立体の対称性の話とあやとりの話です。昨日の正方形の定理の話は明日(以降)に書きます。



 千葉県のJさんから教えていただいた IQ-Perplex(Raf Peeters) というパズルを知って、こんな風に立方体を敷き詰めるパターンを構成する立方体を連結したピースについて考えてみています。

 Jさんからは、この構造の一部になっているピースは、3単位のものは4種類、4単位のものは10種類、5単位のものはおそらく34種類ではないか? という探索結果を教えていただいています。先日は3単位のものをご紹介しましたが、4単位のものの数え上げをやってみています。その中で1つ、おもしろいかたちがありました。こちらです。

図 1 図 2

 図1だと4つの単位立方体が半単位ぶんだけずれて連結されているのがわかりにくいかなと思って図2も作りました。

 このかたちは鏡像対称なんだろうか、それともキラル(鏡像対称性を持たないかたち)なのだろうか? と疑問に思ったのです。とりあえず鏡像対称なかたちを色を変えて隣に描画してみました(図3)。

図 3

 この2つ、合同でしょうか、それともどれだけ回転させても重ならない(同じにならない)でしょうか?

(つづく)



 昨日のあやとりの最後に、アルタイル→アクエリアス処理(左右の複数の輪を上下の枠に移動する手順)を追加してみました。

hh230606-1
  1. 5本指の構え
  2. パロボラチョの開始処理
  3. 人差し指・薬指の輪を半回転ひねってねじれを無くす 
  4. 全ての指を外側へ1回転ひねる
  5. 焼け焦げた葉のククイの終了処理
  6. アルタイル→アクエリアス処理

 これもなかなか良いかも、と思いました。



 昨日は朝焼けの写真を載せましたが、今日は夕方、八ヶ岳から月が上ってきたときの写真です。

2023年6月3日(土) 18:50ころ

2023年6月3日(土) 18:51ころ

2023年6月3日(土) 18:52ころ

 固定カメラではなく、立ったり座ったりしながら手持ちのカメラで撮ったのでフレーミングがばらばらで比べにくいですが、わずか数分でどんどん月が上ってくるのが面白いです。


<おまけのひとこと>
 立方体をたった4つ連結しただけで、こんなおもしろいかたちができるなんて驚きです。このかたちにすっかり心を奪われてしまいました。今朝、燃えるゴミをゴミステーションに出してきたのですが、帰ってきたとき妻が庭仕事をしていたのに、家に入ったときに無意識にドアのカギを掛けてしまって妻を締め出してしまいました。平謝りしました。「ごめん、面白い立体について考えていて…」と言い訳したら、笑って許してくれました。ごめんなさい。






6月7日(水) 立体の鏡像対称性(その2)

 立体の対称性の話の続きです。すみません今日は時間が無くてあやとりは準備できませんでした。



 昨日ご紹介した下の図1(再掲図)ですが、実はこの左右の2つはまったく同じかたちなのです。青いほうを、画面横方向を軸に180°回転すると右の黄色と同じになります。こちらにアニメーションファイルを用意しました(別窓で開きます)。

図 1(再掲図) 図 2

 このかたち、鏡像対称面を持っていないように見えるのです。ところが回転すると鏡映と重なります。非常に面白い性質だと思うのです。



 ちなみにこの4個の並びを2個、3個に減らしてみると、それぞれ鏡像対称面を持ちます。

図 3a 図 3b

図 4a 図 4b

 奇数個ならば鏡像対称面を持ちますが、4個以上の偶数個だと4個のときと同様な性質を持っているようです。面白いです。


<おまけのひとこと>
 図を作るのに手間取ってしまいました。今日は簡単な更新です。






6月8日(木) ずらした立方体の敷き詰め:4つ組(その1)、あやとり

 立方体の連結モデルの話とあやとりの話です。



 パズル IQ-Perplex(Raf Peeters) からの派生の検討です。

 立方体を半単位ずらしてシート状に配置する構造に含まれる「3つ組」は以下の4種類がありました。

 IQ-Perplexを教えて下さったJさんにならって、私も4つ組の数を数えてみました。以下の10種類が見つかりました。

図 1

 上の図の左側のピンク色の4つは鏡映が同じかたちになるもの、右側の緑と黄色のものは、鏡映は同じかたちにならないもの(従って右手型と左手型があるもの)です。この探索の中で、昨日ご紹介したこのかたち、

 これの鏡映は同じかたちなのか別なかたちなのかが問題になったのでした。頭の中だけではわからなくて、ブロックで作ってみて「あ、この鏡映は同じなんだ」と驚いたのでした。



 これも、円を三角格子に並べたもので類似のかたちを作ってみました。適当にピースにアルファベット1文字の名前を付けてみました。

図 2

 P型、L型、C型は球の連結では裏返せば同じになります。目標の盤面と使うピースの数を変えてみながらいくつか試してみました。

図 3a:269解 図 3b:1318解 図 3c:722解

 さてこれを立方体連結モデルに変えたらどうなるでしょう?(これを書いている時点ではまだ試していません。)



 あやとりです。「4本指の構えから1つの指の輪の存在を無視して取り進めてみる」という試みです。

hh230608-1
  1. 4本指の構え
  2. 中指を無視して「ナウルの太陽」 (人差し指を外すまで)
  3.     
  4. 中指の輪を向こうへ半回転ひねってねじれを無くし、その輪を人差し指に移す 
  5. ナウルの太陽
  6. カロリン展開

 上下非対称で上がちょっと細かい感じがするところが、なんとなく伝承あやとりの バナナの木 とか メロン貝 とかを連想したのですが、実際には全然違いました。


<おまけのひとこと>
 吉田秋生の 詩歌川百景 3巻 が明日発売のようです。楽しみです。






6月9日(金)フィンスラーの定理(その2)、伝承あやとり

 先日の幾何の定理の話と伝承あやとりの話です。



 今週の月曜日(6月5日)に「フィンスラーの定理」という、以下の定理をご紹介しました。

 頂点Aを共有する2つの正方形、ABCDとAB'C'D'があります。それぞれの中心をO, O' とします。BとD'の中点をP, DとB'の中点をQとすると、四角形OQO'P は正方形になる、という定理です。

 これ、どうやって示そうかなと思ったのですが、安直に座標系に入れてしまうことにしました。

 2つの正方形に共通の頂点Aを座標原点とします。中点を取る計算があるので、片方の正方形の1辺を2としてxy軸上にBとDを取ります。頂点D'を (2a,2b) とすると、B'は (2b,-2a) になるので、ベクトルOPとOQは図のようになります。この2つのベクトルの大きさが等しくて、直交している(=内積がゼロである)ことを示せばOKです。

 純粋に幾何の手法で証明してみようかと思ったのですが、これで示せてしまったので、まあいいかと思って考えていません。

 なお、Walfram に 定理の文言を調整する:Finsler-Hadwigerの定理 というページがありました。頂点の対応関係があいまいだと正方形にならないよ、ということが指摘されています。確かにその通りです。



 昨日、伝承あやとりの バナナの木メロン貝 の名前を出しましたが、これの写真を載せたことがなかったかも、と思って取ってみました。

メロン貝 バナナの木

 この2つ、「メロン貝」のほうの交差が「バナナの木」では絡みになっているだけで、あとは同じです。でも取り方の手順はかなり違います。特に「バナナの木」のほうは手順を言葉で表現するのは大変です。YouTubeに 【あやとり】バナナの木の作り方 難しいけれど分かりやすく解説!という動画がありました。参考になるかもしれません。



 パン屋さんで、ちいさな立方体のかたちをしたパンが「ミニ食パン」というような名前で売っていました。うぐいす豆が入った、少し甘いパンのようです。かたちに惹かれて買ってみました。

写真 1 写真 2

 1辺の長さはだいたい5.5cmくらいです。食パンみたいに切ってみました。

写真 3 写真 4

 上品な甘さのパンでした。味はシンプルですが美味しいパンでした。紅茶を淹れて一緒にいただきました。また買うかというとちょっとわかりませんが(他のパンを選んでしまいそう)、試してみることができて満足です。


<おまけのひとこと>
 雨がひどいです。列車、動いているかな。






6月10日(土)画像の外側を生成するAI

 週末なので雑談だけです。(しかも2日分まとめての更新です。)



 このところ趣味と実益を兼ねて生成モデルAIの勉強をしています。これがあんまり面白いので、つい社内で「発表会をします」と宣言して、調べている内容の話をすることにしたのですが、それが6/12(月)の朝からなのです。ところが、次から次へと新しくて面白い発表が相次いで出てきて、そちらに気を取られて準備が進まないのです。この週末(6/10(土)、6/11(日))はずっと準備をしているのですが(これを書いているのは実は6/11(日)の午前中なのですが)、まだ資料が収束する気配がありません。

 生成モデルは、例えば ChatGPT のようなテキスト(文章)を入れるとテキスト(文章)が出てくるものがあったり、Stable Diffusion のようにテキストを入れると画像が出てくるものがあったり、逆に画像を入れるとテキストで説明が出てくるものがあったり、画像を入れて画像が変化して出てくるものがあったり、音声やテキストや画像や動画や、いろいろなものが入力になったり出力になったりします。

 画像を入力すると画像が出てくるというタイプの画像生成系のAIに Uncrop というのがあるときいて、試してみました。昨年ここに載せたアサガオの花の画像を持ってきて、

 上の画像の真ん中あたりを切り取ります。(縮小画像を載せていますが、クリックするともとのサイズの画像を表示します。)

入力画像

 この画像を入力として、元の画像と同じサイズの画像を生成させてみよう、という試みです。一度に4つ、出力してくれました。

生成例 1 生成例 2

生成例 3 生成例 4

 花が増えています。驚くのは、入力した画像ではほとんど見えない家の壁の横の筋がそれらしく合成されていたり、ほんの少ししか見えていない鋤簾(じょれん:農具です)の柄の棒がちゃんと上に伸びているのです。

 こういったことがなぜできるのか、うまくいくのか、わかっていることはまだ少ないと思っています。これからはますます、テキスト(文章)も画像も動画も音声も、真実なのか生成されたものなのか、本当なのかウソなのか、見極めが難しくなってゆくなあと思います。

 嫌だなあと思っているのは、今はスパムメールなどは文面を見ると明らかに不自然なのですぐに見分けがつきますが、フェイクニュースや偽サイトなど、正しい情報を見分けるのが今後はどんどん難しくなるのだろうな、ということです。


<おまけのひとこと>
 今のAI開発は、思いついたことを力技で計算機でとりあえずゴリゴリ計算してみている感じがします。(まあニューラルネットの研究は昔からそういうものでしたけれども。)で、なんだかわからないけれどもうまく動いているけれど、それはどうしてなのだろう? と後から理屈を付けている感じです。でも、世の中の工学的な技術は多かれ少なかれこのアプローチで進化してきたような気もします。わずか30年前に(計算機の歴史からすると大昔ですが)たった数十パラメータのニューラルネットをいじっていた時代と比べて、今の数千億パラメータのできることの凄さには本当に驚きます。






6月11日(日)いろいろ

 今日は小ネタをいくつか。(一応今日はあやとりも載せます。)



 Gigazine に 「指が絡まる」唯一無二の体験が可能なロック解除パズルゲーム「Slide to unlock」が無料公開されていたので遊んでみた という記事があったのを見て、試してみました。

 最初は簡単ですが、だんだん難しくなっていきます。3本指になったところで諦めました。両手が交差するピアノ曲を弾いているみたいだなあと思いました。



 あやとりです。以前取ったもので未紹介なものがありました。久しぶりの「テレビ展開」です。

hh230611-1
  1. 人差し指の構え
  2. 人差し指の向こうの糸を薬指で取る
  3. 内側3本指で「テレビ展開」
    1. 右手で左薬指向こうの糸を掴んで左人差し指と左薬指に巻き付ける
    2. 左手で右人差し指手前の糸を掴んで右薬指と右人差し指に巻き付ける
    3. 中指で、中指腹の一重の糸を取り合う
    4. テレビ展開
      1. 親指を人差し指の手前の糸の上に置き、その糸を下から手前、上へと巻き取る 
        (もともと親指にかかっていた輪は外れる)
      2. 小指を薬指の向こうの糸の上に置き、その糸を下から向こう、上へと巻き取る 
        (もともと小指にかかっていた輪は外れる)
  4. 薬指と中指の輪を外す
  5. 親指・小指を外側へ1回転ひねる
  6. 焼け焦げた葉のククイの終了処理

 もうちょっとピンと張るときれいなのですが、マグネットボードに固定するといまひとつ物足りない感じになってしまいました。久しぶりに「テレビ展開」をやってみようとしたらうまくいかなくて焦りました。



 企画展示「エルマーのぼうけん」展 というのが、東京の立川の PLAY! MUSEUM というミュージアムで 7月15日から10月1日まで開催されるのだそうです。子供のころすごく好きだった本なので、懐かしいです。手元には日本語版の本は無くて(実家にはあるのかな)、大人になってから買った英語のペーパーバック版があります。ペーパーバック版は地図などのイラストがカラーではなくモノクロで物足りないです。機会があったら見たい気もします。


<おまけのひとこと>
 パソコンがやたら動作が重たくて、テキストエディタの入力やかな漢字変換の応答が悪いのです。おかしいなと思って、開いていたタスクマネージャのダイアログを表示しようとしたら表示できません。タスクマネージャは複数起動できるみたいだったので2つ目を起動して実行中のプロセスを見たら、CPU負荷が高いのは最初に起動していたタスクマネージャのせいでした。終了しようとしたら「応答しません」と出ました。強制終了しました。パソコンの動作が軽くなりました。






6月12日(月)陰関数のグラフ、あやとり、エルマーとりゅう

 陰関数のグラフの話とあやとりの話です。



 愛とセンスに脱帽。衝撃のサプライズプレゼント というまとめ記事に、こんな数式の刺繍が入ったエプロンをプレゼントされたという話が出ていたのです。手計算で増減表を書いてグラフを手描きしているのがすばらしいです。

 この式を

 計算機の力を借りて楽してグラフを描いてみました。

 定義域を分けることなく1つの式だけで描けているのが美しいと思いました。



 あやとりです。昔、「額縁みたい」とご紹介したあやとりを取り直して、かたちの整え方を検討してみました。最初に、以前ご紹介したものをそのまま転記します。

hh221011-1
  1. 人差し指の構え
  2. ひねらない「ダブルハートの処理」
    1. 親指・小指を内側に半回転ひねる
    2. 左右の親指の向こうを結ぶ糸を図形中央下から上へ取り出し、両小指にかける 
    3. 左右の小指の手前を結ぶ糸を図形中央下から上へ取り出し、両親指にかける
    4. 親指・小指でナバホ取り
  3. 親指・小指の輪を外側に1回転ひねる
  4. 7つのダイヤモンドの終了処理

 まったく同じ手順で、使ったあやとりひもを変えて、整え方も検討してみました。

hh230612-1a hh230612-1b

 引き絞ると「がくぶち」みたいになりますが、緩めに整えるのもきれいだと思います。



 「エルマーのぼうけん展」の話を昨日ご紹介しましたが、昨日図書館に本を返しに行ったら、子供の本のコーナーのカウンターに、「エルマーとりゅう」のりゅうのぬいぐるみがいました。以前にも見たことはあった気がしますが、ちょうどよいタイミングだったので写真を撮らせてもらいました。

「エルマーとりゅう」のりゅうのぬいぐるみ

 たいへんよく出来ています。購入されたのか、図書館のスタッフの方の手作りなのか…


<おまけのひとこと>
 今日は勤め先でAIの勉強会の講師をやります。この週末はほとんどその準備に時間を取られていました。うまくいくかな…






6月13日(火)凸包、あやとり

 凸包の話とあやとりの話です。



 先日、180°回転させると鏡映と同じ形になる、こんな立方体の4連結のかたちをご紹介しました。

 この性質(180°回転させると鏡映と同じ形になる)を持つもっと単純な多面体はないだろうか、例えば凸多面体でこの性質を持つのはどんなかたちだろう?と思ったのです。そこでまず、このかたちの凸包を考えてみることにしました。

 凸包のCGを作って、射影図と三面図を作ってみました。

 下の図は、上の射影図に対してx,y,z軸方向から見た三面図です。1〜3の数字の付いた矢印は下の図を見た方向を表しています。

 …よくわかりません。一般的な視点から、立方体4つに対して凸包ができる様子をアニメーションにしてみました。(それほど大きなサイズのファイルではないので、直接このページに置きます。)

 上の右側の視点の凸包の画像(静止画像)はこちらになります。

 この多面体、面の数はいくつでしょう? 何角形がいくつずつあるでしょう? この多面体の対称性、うまく把握できるでしょうか?

(つづく)



 昨日のあやとりの、「ひねらないダブルハートの処理」までの手順で何ができるのか、改めて載せておくことにします。

hh230613-1
  1. 人差し指の構え
  2. ひねらない「ダブルハートの処理」
    1. 親指・小指を内側に半回転ひねる
    2. 左右の親指の向こうを結ぶ糸を図形中央下から上へ取り出し、両小指にかける 
    3. 左右の小指の手前を結ぶ糸を図形中央下から上へ取り出し、両親指にかける
    4. 親指・小指でナバホ取り

 これも三本指のパターンとして発展性がありそうです。

 昨日と同様、ここから親指・小指を外側に1回転ひねって「7つのダイヤモンドの終了処理」です。整え方をまたちょっと変えました。

hh230613-2
  1. 人差し指の構え
  2. ひねらない「ダブルハートの処理」
  3.   
  4. 親指・小指の輪を外側に1回転ひねる
  5. 7つのダイヤモンドの終了処理

(つづく)



 uncrop という、AIを用いて画像の外側を生成してくれるサイトをご紹介したら、宮ア桂一さんから、名盤のジャケットをPhotoshopの「ジェネレーティブ塗りつぶし」で補完したら「そう来るか」な光景が広がりまくって面白い という記事を教えていただきました。 Photoshop でもこんなことができるのですね。これは面白いです。ご紹介ありがとうございます。


<おまけのひとこと>
 今日は、お昼休みに完全に重なった1時間の会議があったり(幸い午後の会議の前に30分の空き時間はありました)、いつもより遅い19時からの会議があったり、ちょっと大変です。19時開始の会議が「遅い」と思えるようになったのは本当に労働環境が改善されていると思います。喜ばしいことです。






6月14日(水)あやとり

 体調不良になってしまいました。今日は準備のしてあったあやとりのご紹介だけにします。



 昨日の「ひねらないダブルハートの処理」の続きです。

hh230614-1
  1. 人差し指の構え
  2. ひねらない「ダブルハートの処理」
  3.   
  4. 親指・小指の輪を外側に1回転ひねる
  5. 人差し指を向こうへ1回転ひねる
  6. 7つのダイヤモンドの終了処理

 手順4.の「人差し指の輪をひねる」処理を入れて、絡みを作りました。

(つづく)


<おまけのひとこと>
 昨日の朝からなんとなくのどが痛かったのです。一晩寝たら治ることを期待して寝たのですが、若干悪化しています。微熱もあります。困りました。






6月15日(木)更新はお休み

 6月15日(木) は体調不良で会社をお休みしました。こちらのサイトの更新もお休みです。



[←2023年5月後半]  [↑表紙へ]  [2023年6月後半→]

[Home]-[以前のひとこと]-[2023年6月前半]
mailto:hhase@po10.lcv.ne.jp
2001-2023 hhase