以前の「ひとこと」 : 2023年6月後半
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6月16日(金) 凸包(その2)、あやとり
6月14日(水)〜15日(木) は体調不良で急遽仕事を休みました。16日(金)から復帰したのですが、まだ本調子ではありません。16日と17日の更新を17日(土)の午前中にゆっくり書いています。
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先週はこんな立方体4つ組の凸包を考えてみた、という話をしていました。
このかたちは鏡像対称面を持たないのにキラルではない(鏡映と完全に同じ形で同じ向きにできる)のです。おもしろいかたちなので模型を作ってみたくなりました。立方体を半単位ずつずらして連結したものの凸包なので、立方体の1辺の長さを2として、適当に座標系に入れて各面のかたちを調べました。
寸法は書いていませんが、こんなかたちの面が必要だという事がわかりました。
平行四辺形が3種類ありますが、2個のものは鏡像のものが1つずつ、4個のものは鏡像のものが2つずつ必要です。
(つづく) ○
「ひねらないダブルハートの処理」、今日は「テントの幕」で仕上げてみました。
hh230616-1
- 人差し指の構え
- ひねらないダブルハートの処理
- テントの幕
- 親指・小指の捩れをなくす
これもなかなかきれいだと思います。
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小淵沢の八ヶ岳リゾートアウトレット、ここ数年どんどん店舗がなくなって非常に心細かったのですが、ついに閉鎖されてしまったようです。webで検索するとネット上にはまだまだ宣伝用のサイトやコンテンツがたくさん残っていて、こういう後始末も大変なのだなあと思います。ネットで調べて、目的地の1つとして訪れて下さって当地で閉鎖を知ってがっかりされる方がいらっしゃらないといいなあと思います。地域の印象がすごく下がると思うのです。
このアウトレットは長いことお世話になってきたので非常に残念ですが、ずいぶん前から行っても寄りたいお店が減ってしまっていて、応援したくても応援が難しい状況でした。我が家にある多面体系のブロックをはじめ、たくさんのパズルやブロック玩具の多くは昔このアウトレットにあったボーネルンドの出身です。こういったものを買って保有したいと思っていた年代に、良いお店が近くにあったのは本当に恵まれていたと思います。
食品関係では、久世福商店があったころはよく利用させていただいていたのですが、それもなくなりました。そのかわり最近はひまわり市場という食品スーパーに毎月1〜2回くらいのペースで通い始めました。ひまわり市場についてはまた何度か書くことになると思います。
<おまけのひとこと>
夜だけでなく、昼間もうとうとと浅い眠りを細切れに取っています。なんだか知らないうちに疲労がたまっていたのかなと思いました。
6月17日(土) 凸包(その3)、「資本主義の次に来る世界」
週末なので最近読んだ本の話です。あやとりのご紹介は今日はお休みです。
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昨日の十八面体、どんなかたちなのか理解したくて回転するCGにしました。
この、「鏡像対称面を持たないのにキラルではない(鏡映と完全に同じ形で同じ向きにできる)かたち」、もっとシンプルな(面の数が少ない)もの、もっとわかりやすいものはできないか、考えてみています。
(つづく) ○
4月下旬に出版された 「資本主義の次に来る世界」(ジェイソン・ヒッケル著/野中 香方子訳:東洋経済新報社) が素晴らしかったのです(下左)。原著はLESS IS MORE (下右)という味わい深いタイトルです。
原著の表紙のタイトルの LESS から下向きの矢印が MORE に向かって描かれ、逆に MORE から上向きの矢印が LESS に向かって描かれています。これがこの本の第一部「多いほうが貧しい」第二部「少ないほうが豐か」を表現しているのだと思います。サブタイトルの“How degroth will save the world” (非成長はどのようにこの世界を救うのか)も、この本を通して語られるメッセージです。
第一部では資本主義の功罪について、特に罪のほうに重きを置いて、今の地球環境がいかに危機的な状況に陥っているかが語られます。資本主義が本質的に成長を必要とすること、成長は指数関数的であること、指数関数的な成長はリソースが有限である場合必ず破綻すること、が淡々と語られます。根源には、自然というのは人間と対比されるものであり、神が人間のために用意して下さった人間が自由に支配し利用できる資源であるという思想があること、科学とは自然を理解し活用するための手段として発達したこと、などが説明されます。
産業革命以降、特に20世紀以降は生産性が桁違いに上がっていること、ところが私たちの労働時間はちっとも減少せず、豐かになったはずの富は新たな生産に投資され、世界の富の分配はさらに偏る一方であること。その傾向が21世紀になってさらに加速していること。成長しなくても、うまく富が分配されれば、リソースは世界の人々が幸せに暮らしてゆくだけの十分な量があるはずなのに、ごくごく一部の富裕層がさらに豐かになるために、今や地球環境や生態系は破滅の淵にあること。
それに対して第二部では、「ならばどうしたらよいか」が語られます。個々人がいますぐできることは限られています。でもまず、こういった考え方をたくさんの人が知ること、理解することが大切なのだと思います。
<おまけのひとこと>
今年は良い本に出会うことが多いなあと思います。この本は今は妻が読み始めてくれていますが、図書館等でぜひ手に取って読んでみることをお勧めしたい本です。すごく面白いです。
6月18日(日) 「世界一美しい数学塗り絵」、あやとり
父の日ということで娘と息子から本をもらいました。嬉しくてご紹介です。
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先日、大阪方面に遊びに行ったという娘が、「お父さんが好きそうなこんな本を見つけたんだけれどもう持ってる?」と連絡をくれたのです。持っていませんでしたし非常に興味があります。その旨返事をしたところ、「じゃあ父の日にプレゼントするのでどこかで見かけても自分で買わないでね」という連絡をもらいました。楽しみにしていました。
興味深いページがたくさんあります。私はこういうの、もったいなくて使えないたちです。もったいなくて手つかずで保存してあるものが何種類もあります。
でもこれは使ってみよう(色を塗ってみよう)と思います。色を塗ることで特別な一冊になるはずです。楽しみです。こんなストライクゾーンど真ん中のプレゼントを貰えてとても幸せですが、でも、それがどんなものであれ、わざわざ贈り物をしてくれるということそのものだけで十分に嬉しいです。
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久しぶりに「ひねらないダブルハートの処理」を試しています。こんなものを取ってみました。
hh230618-1a
- 人差し指の構え
- ひねらないダブルハートの処理
- 薬指で人差し指向こうの糸を取る
- 内側3本指で「ガイアナの星」
- 中指を外す
- 親指・小指の輪を外側に1回転ひねる
- タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理
実はこの手順のあやとりは過去にご紹介していたのでした(下右)。でも、整えるのがなかなか難しいです。
hh230618-1b hh220716-1 使う紐を変えたり整え方を変えたりするだけで印象が全然変わります。なんだか新しい工芸のジャンルのような気もしてきます。楽しいです。
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昨日ご紹介した 「資本主義の次に来る世界」 、いくつか書評のページがあったのでご紹介しておきます。「資本主義の次に来る世界」書評 想像力を刺激 必読の脱成長論(福嶋亮大) <書評>『資本主義の次に来る世界』ジェイソン・ヒッケル 著(根井雅弘) 【書評】『資本主義の次に来る世界』不必要な経済活動をなくして自分の時間を取り戻す希望の未来(森永卓郎)。
妻がこの本を半分くらい読み進めているみたいなのですが、昨夜「どんな感じ?」と尋ねたら、「私、デカルトが嫌いになった」というのが第一声の感想でした。うん、よくわかります。
自然は人間が征服すべき対象である、という思想はもともと日本にはなかったのではないかと思います。私たち人類も生物であり、様々な動植物の命をいただかないと生きてゆけない存在です。太古の昔から人類は狩猟によって生きる糧を得ていたわけですが、そのコミュニティが滅びないためには乱獲することは厳禁で、自分たちが食べるのに必要以上に殺したら、獲物の生態系のバランスが崩れ、絶滅を招き、それにより自分たちも死滅してしまうということが経験的に伝えられてきているのです。それを回避する知恵を持つコミュニティだけが生き残ってきた、とも言えます。
ところが今の時代は、食べ物を生産する人、加工する人、運搬する人、販売する人、購入する人、食べる人、みんなバラバラで別々になりました。これにより効率が上がって私たちの生活は非常に豊かになりました。ところが、コミュニティが生き延びるために必要な大切な知恵である「自分たちが生き延びるために必要以上に殺してはいけない、自然から搾取してはいけない、取った分はお返ししなければいけない」という価値観はすっかり失われ、世界規模で地球のリソースを使い尽くす瀬戸際に来ています。
有名な経済学者のケインズ(1883-1946)が、将来は生産性の向上に伴って人類は労働時間は今より短くなる可能性があること、また労働時間の短縮は人々の生活の質を向上させると主張しています(と言い切って良いと思います)。そうなればどれほど良いか、と思います。ところが現実にはそうなっていません。
例えば、私の父が現役で働いていた半世紀くらい前はまだパソコンが普及していなかった時代でした。小さな自営業を営んでいた私の父は、帳簿は手で書いていましたし、計算は5つ玉のソロバンを使っていました。パソコンが導入されて、世の中の事務仕事の効率(生産性)はものすごく上がったはずです。本来、仕事量の対価として給料をもらえるならば、パソコンを使って仕事の時間が半分になったとしたら、(パソコンの減価償却が済めば)給料は据え置きで勤務時間が半分になっても良さそうなものだと思います。
ところが資本主義の世界ではそうはならず、企業は上がった生産性を、労働時間の短縮というかたちで社会に還元するのではなく、よりビジネスを成長させるために使います。そうしないと競争に負けて淘汰されるから、と思っているからです。世の中全体で「あなたは変わらなければいけない。今までと同じことができるだけでは、同じ処遇は受けられない。常に学び、成長し、社会の進化や成長に追いついていかなければダメである」と言われている気がします。昔の軍拡競争と同じ(今でもやっている国はありますが)、関係者はだれも幸せではないチキンレースから降りられないのです。
「それでも未来には希望がある」というのがこの「資本主義の次に来る世界」という本です。
<おまけのひとこと>
まだ体調がもとにもどりません。まああせらずにゆっくり直します。
6月19日(月) 凸包の紙模型、あやとり
紙模型の話とあやとりの話です。
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先日来ご紹介している凸包の多面体の展開図を設計して、紙模型を作ってみました。
ちなみに展開図はこんな風に設計してみました。
完成形のかたちがしっかりイメージできていないので、のりしろの位置や角度があまりよくありません。でも模型が作れてようやくこのかたちがどんなかたちなのかわかった気がします。
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何度も取っている「ひねらないダブルハートの処理」→「内側3本指でガイアナの星」→「タイガーショベルノーズキャットフィッシュ」の「ガイアナの星」を「ケルトのタペストリー」に変えてみました。
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- 人差し指の構え
- ひねらないダブルハートの処理
- 薬指で人差し指向こうの糸を取る
- 中指で手のひらの糸を取り合う
- 「ケルトのタペストリー」の輪の交換処理
- 中指を外す
- 親指・小指の輪を外側に1回転ひねる
- タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理
これももっときれいに整えると良いのだと思います。また挑戦してみます。
<おまけのひとこと>
どうしても今日片付けなければいけない仕事があって、うまくいくといいなと思っています。今、朝5時半過ぎなのですが、遠くで草刈り機の音がしています。外仕事の人は、昼間が暑いのでもうお仕事モードです。朝4時過ぎにはおそらくいつものカッコウが鳴いていました。
6月20日(火) 鏡像対称面を持たないアキラルな多面体(その1)、あやとり
多面体の話とあやとりの話です。
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先日来ご紹介しているこの立方体を4つ、半単位ずらして結合した形やその凸包は、鏡像対称面を持っていないのに、鏡像と重ね合わせることができます。右手と左手のように鏡像と重ね合わせることができないかたちを「キラル」と言いますが、鏡像と重ね合わせることができるかたちは「アキラル」と言います。
立方体4連結 その凸包 アキラルなかたちならば鏡像対称面を持っていそうなものですが、これらのかたちはそうではないのです。そこが面白いと思ったのです。
鏡像対称面を持たないのにアキラルなかたちでもっと簡単なものがないか考えてみたのです。立方体の頂点を2つ切り落としたこんなかたちを考えてみました。
立方体の1つの頂点に集まる3つの稜の上に点を取って、それぞれの点までの距離を a,b,c とします。ただし a<b<c とします。上の例ではたまたま距離cは立方体の1辺と同じにしました。ちょうど反対側の頂点に集まる3つの稜の上にも同様に3点を取ります。ただし、同じ長さの稜は平行になるようにします。得られた3点を通る平面でその頂点を切断します。新たに三角形の面ができます。
稜モデルと面を張ってみたモデルです。
どんなかたちなのかイメージできるでしょうか。これが鏡像対称面を持たないこと、でもアキラルであること(鏡像とぴったりかさなるかたちであること)がわかりますか? この立体を回転させるアニメーションファイルを作ってみました(こちら)。
(つづく) ○
あやとりです。ちょっと変わった開始処理(オープニング)を試してみました。
hh230620-1 なかなか良いかたちができたのではないかと思っています。
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人気の本、なぜ地方の書店では仕入れることができない? という記事を興味深く読みました。
私は自分が住む街に本屋さんがあってほしいと思っているので、間違いなく買いたい本はできるだけその本屋さんに注文するようにしています。(もはや焼け石に水かなあと思ってはいます。)最近も本日6月20日が発売日の本を1週間ほど前に注文したのです。そうしたら「6月末くらいまでにはなんとか…」ということでした。お店の方も大変恐縮されていたのですが、別に入手が1〜2週間遅くなったとしても何も問題はないので、取り寄せをお願いしました。
実店舗でいろいろな本を手に取って中を見て買いたい本を吟味するというのはとても楽しいです。でも、そういうニーズは少ないのですね。先日、同世代でやはり本をたくさん読む方と雑談したのですが、彼は自分が持っていた本棚3つ分の本をすべてスキャンして電子データ化してタブレット端末に入れているそうなのです。「自分はそれでも問題なく読めるということが分かったので、思い切ってそうした」そうです。自分の本を全て持ち歩けるというのはとても利便性が高いそうです。
私は、自分の本が家の中のどの書棚のどのあたりにあるか、目的の情報はその本のどのあたりに書かれているか、というイメージが空間情報として頭の中にあるような気がしていて、それが紙の本が好きな理由の1つなのかもしれないという話をしたら、彼は「電子書店や電子書棚がバーチャルワールドとして実世界と同じように見えたり扱ったりできるようになればその問題は解決するのではないか」とコメントしてくれました。確かに一理あります。ただ、そのときのユーザインタフェースが不自然なのは嫌だなあと思いますが。
<おまけのひとこと>
先日の出張の帰りに、新刊のマンガ(詩歌川百景の3巻)が欲しくて新宿駅の乗り換えの時間に西口の京王デパートの7階の丸善に行ったのです。お目当てのマンガがあったのでありがたく買いました。そのときについでにもしあれば…と思って何冊か本を探そうと思ったのですが、そもそも品揃えがとても偏っていて、欲しい本はそもそもカテゴリ自体がありませんでした。もちろん実店舗の書店は生き残りのため必死なので、貴重なスペースには売れる本しか置かないのは当然だと思います。
6月21日(水) 鏡像対称面を持たないアキラルな多面体(その2)、あやとり
多面体の話とあやとりの話、他です。
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このところ書いている「鏡像対称面を持たないアキラルな多面体」という話題、もともとはIQ-perplexというパズルの話から派生した話題です。
このパズルのピースを検討する話にいずれは戻るつもりなのですが、もうしばらくは多面体の対称性の話を続けます。
とりあえず昨日の立方体の相対する2つの頂点を切り落としたタイプの「鏡像対称面を持たないアキラルな多面体」、紙模型を作ってみることにしました。こんな展開図を設計しました。せっかくなので2つ作ることにして、展開図は鏡像対称にしました。
組み立ててみました。2つを鏡像対称の姿勢にしてみたり(写真1)、全く同じ姿勢にしてみたり(写真2)。
写真 1 写真 2 ぜんぜん違う姿勢にしてみたり(写真3)、
写真 3 三角形の面をぴったり合わせて積み上げてみたり(写真4、写真5:これはかなり不安定ですぐ倒れてしまいます)、
写真 4 写真 5 ぴったり並べてみたり(写真6)。
写真 6 楽しいです。
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あやとりです。昨日の開始処理(オープニング)から最低限の仕上げをしてみました。
hh230621-1 昔、これと似たあやとりを取ったことがあったような…と思って探してみました。 記憶にあったのはこれでした。
hh211026-2 比べてみたらぜんぜん違いました。
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Microsoft Bing の Image Creator というのをちょっと試してみました。テキストを入力すると画像を生成してくれるという最近の生成AIの1つです。入力したテキストはシンプルに「凸多面体のペーパーモデル」です。4つの画像が生成されました。そのうち2つを載せます。
画像左下にBingのロゴが入っています。けっこうまともな画像が生成されます。何かのアイディアの素になりそうな画像を作ってもらう、というのは有りかなあと思いました。ついついいろいろ遊んでしまいます。
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吉田秋生の「詩歌川百景」関係で、『海街diary』作者・吉田秋生の連載中コミックを熱く語り合ってみた という記事がありました。このシリーズ良いと思います。
<おまけのひとこと>
草刈り機の音がよく聞こえる季節になりました。朝5時半くらいから聞こえることがあります。きっと本当は朝4時くらいからやりたいのを我慢して待ってくれているのだと想像しています。
6月22日(木) 鏡像対称と回転対称(2次元)、あやとり
図形の対称性の話とあやとりの話です。
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昨日までご紹介してきた「鏡像対称面を持たないアキラルな多面体」について考える上で、まず二次元の平面図形の鏡像対称と回転対称についておさらいしてみます。これは、2×2の正方行列による一次変換で考えるのが楽です。
原点ののまわりに角Θだけ回転させる回転行列は有名です。また、直線 y=(tanΘ)x に対する鏡映の行列もそれとよく似た形です(今日は載せませんが)。面白いのは、「任意の回転は2つの鏡映で実現できる」というところです。
一般例ではなく特別な例として、x軸に対する線対称の変換とy軸による線対称の変換と原点に対する点対称の変換の関係を考えてみます。
ちょっと図が大きすぎましたがご勘弁ください。
x軸に対する鏡映(点P→点Q)は、yの符号だけが変わりますからこんな行列で表されます。
y軸に対する鏡映(点Q→点R)は、xの符号だけが変わりますからこんな行列で表されます。
y軸に対する鏡映(点Q→点R)は、xの符号だけが変わりますからこんな行列で表されます。
この2つの変換の合成(点P→点R)は、xとyの符号がどちらも反転する「点対称」の移動になります。
これが三次元になるとどうなるでしょうか?
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あやとりです。昨日のものに「ダブルハートの処理」を加えてみました。
hh230621-1 直線的な模様になりました。
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ローマ帝国の謎の十二面体の正体とは?という記事がありました。多面体には興味があるので、こういう記事は気になります。中にこんな画像がありました。
上記の記事より引用 本文中ではすべて「十二面体」と表記されていますが、この写真の右下は正二十面体ですね。まあ対称性は同じですが…(こういう「揚げ足取り」みたいな感想を持ってしまいました。)
<おまけのひとこと>
BingのAI画像生成、ものすごい技術だと思うのですが、それでもまだいろいろ変な画像が合成されてきます。ついつい遊んでしまいますが、これらの生成AIを動作させるのにどのくらいの計算リソース(エネルギー)が必要なんだろう? とちょっと心配にもなります。
6月23日(金) あやとり
すみません、一週間近く更新を休んでしまいました。復帰します。これは6月28日(水)の朝に書いています。
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あやとりの画像は、いつもT科日記というblogのほうにまず置いて、このサイトからはblogの画像を参照するようにしているのです。
6月23日(金)の朝も、いつものようにまずblogのほうに記事を載せてからこちらのサイトの更新の準備をしていたのですが、急遽想定外のことが起こって更新ができなくなりました。でもblogのほうにはこの画像を6月23日に置いてしまったので、1週間遅れですがこのあやとりのトピックだけは23日の日付で公開しておこうと思います。
hh230623-1 中央部分、2本の糸がよじれた菱形というか楕円というかができているのが面白いです。
<おまけのひとこと>
まとめての更新なので、それぞれの日の内容は減らしました。あと、24(土)、25(日)はスキップします。日付を飛ばすのは久しぶりです(残念…)。
6月26日(月) 3次元の点対称と鏡像対称
6/28(水)の朝に数日分をまとめて更新中です。
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先日、二次元の図形の原点を通る鏡像変換と原点に対する回転変換について、「2つの鏡像変換の合成が回転変換と等しい」という話をしました。 これが三次元になるとどうなるかというと、
三次元図形(多面体)Vが点対称な図形ならば、 (Vが鏡像対称面を持とうが持つまいが) Vはアキラル(鏡映と重なる図形)である
ということが言えるのです。三次元図形Vが点対称であるというのは、Vに含まれる任意の点P(x,y,z)に対して、その原点対称点であるP'(-x,-y,-z)もVに含まれるという図形です(簡単のため対称中心は原点としています)。
これを説明してみたいと思います。以下の図をご覧ください。原点を中心とする直方体の骨格を考えます。直方体の稜はx,y,z軸に平行です。図示していませんが、赤がx軸、青がy軸、緑がz軸としましょう。
点P1をxy平面で鏡像変換すると点P2になります。続いてzx平面で鏡像変換すると点P3になり、さらにyz平面で鏡像変換すると点P4に移ります。この点P4は最初の点P1の点対称な位置に来ています。
それぞれの鏡像変換を行列で表してみます。xy平面に対する鏡映は、zの符号だけが変わりますからこんな行列で表されます。
zx平面に対する鏡映はyの符号だけが変わります。
yz平面に対する鏡映はxの符号だけが変わります。
これら3つの行列を掛け算すると、全ての符号が反転する変換になります。「点対称変換」です。
二次元のときに見たように、2回の鏡像変換は回転変換になります。この場合、2つの鏡映面の法線が直交していますから、この合成は180°の回転変換に等しくなります。最後にもう1つ残った鏡映変換があるため、「点対称変換は、180°の回転と鏡映の合成と同じ」ということがわかります。これが、このところ考えていた「鏡像対称面を持たないのにアキラルな(鏡像と重なる)図形」の正体だったのでした。
例えば先日の相対する頂点を同じように切り落としたこのかたち、これは点対称なのです。
→ なので、鏡像対称面を持っていないのに鏡映と同じかたちなのです。
<おまけのひとこと>
当たり前すぎる結論でしたでしょうか。私は最初はどういう立体が「鏡像対称面を持たないアキラル」を満たすのか条件がわからなくて、気が付いたときに「なるほど!」と思ったのです。ちなみにChatGPTに「キラルではないのに鏡像対称面を持たない立体はありますか?」と尋ねたところ、「申し訳ありませんが、キラルではないのに鏡像対称面を持たない立体は存在しません。鏡像対称面を持たない立体は、必ずと言っていいほどキラルな性質を持ちます。」と返ってきました。
6月27日(火) 「哲学的な何か、あと数学とか」
本の話です。
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「哲学的な何か、あと数学とか」(飲茶、二見書房:2008)という本をbookoffで見かけて買いました(ごめんなさい、220円でした)。
この本は、フェルマーの最終定理をめぐる数学者たちの物語です。このテーマの本には、サイモン・シンの名著「フェルマーの最終定理」(青木薫訳、新潮社)がありますが、これをさらに読みやすくしたような内容で、ネットの記事のような軽い文体で書かれている本でした。ちゃんとエッセンスをとらえた素晴らしい内容でした。これは読んでよかったと思いました。
bookoffは妻を駅まで迎えに行くときに寄り道したのですが、他にも良い本が買えました。それはまた別途。
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このところ寂しい猫が昼間も夜中も大きな声で鳴きながら徘徊しています。珍しく静かになったなと思って見てみたら、お昼寝していました。
鳴き叫び続けているのは写真左の茶色のトラ猫です。
<おまけのひとこと>
ようやく体調も戻ってきました。
6月28日(水) あやとり
時間が足りなくてあやとりの話だけです。
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このところ試みている開始処理ですが、最後を「ダンスの舞台」にしてみました。
hh230628-1 上の手順5.で、4本指パターンから3本指パターンにするために内側の2つの輪を1本の指(人差し指)に集めていますが、これを「人差し指の輪を薬指に移す(その後で薬指の2本の輪をまとめて人差し指に移す)」にすると、中央部分があまりきれいな対称性になりませんでした。
まんなかあたりの模様がきれいなので、拡大した画像も載せておきます。
あやとり紐の輪の結び目の位置がとても良くないですが、あやとりを取り直すのも大変なのでこのまま載せます。
このあやとり、「ダンスの舞台」で終了するものの中でもかなり美しい部類だと思いました。気に入りました。
<おまけのひとこと>
更新、まとめてしまうと大変です。
6月29日(木) 「大規模言語モデルは新たな知能か」、あやとり
本の話とあやとりの話です。
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最近忙しくてパズルや図形などの話題を仕込む時間がないのです。今日も最近読んだ本のご紹介です。
先週刊行された 「大規模言語モデルは新たな知能か」(岡野原大輔、岩波書店:2023) を入手して読みました。(余談ですが、これが近所の本屋さんに注文していた新刊本でした。6月20日発刊ということで、6月12日に予約に行ったら、「申し訳ないのですが地方の書店には新刊本は発刊日に入らないことが多くて、この本も多分発売日から10日くらいかかりそうです」とのことだったのです。でもそこまで待たずに3日後くらいに入手することができました。)
ここ数か月のChatGPTをはじめとする生成AIに関する状況を見ていると、Windows PC が普及し始めたころとか、スマートフォンが普及し始めたころのことを思い出します。情報は玉石混交で、「こんな風に使ってみた」「こんな風に使える、こんなこともできる」「こんなことができない」「これは人類にとって大きな影響がある」「こんなおもしろいことができた」… みたいな話が日々山ほど発せられています。
岡野原氏のこの本は一般向けの啓蒙書で、大規模言語モデル(LLM:Large language Models)に関して簡易的な図と言葉だけで説明しているのですが、非常にわかりやすく、かつ技術的も正確です。対象について深く理解した人でないとこうは書けないのだろうと思います。浅い理解で著者の解釈した不正確な比喩で説明している記事などをよく見かけますが、そういったものとは一線を画す、信頼できる内容です。これは、ChatGPTについて知りたいと思っている人に自信をもってお勧めできる本です。
唯一、個人的には「理解」という言葉の使われ方は気になります。大規模言語モデルが入力に対して適切に見える出力ができることをもって、そのトピックに関して「理解している」と表現(表記)しているのだ、それが「理解」の定義なのだ、ということはわかります。その約束のもとにこの本を読むことはもちろん良いのですが、でもそれって人間の「理解」とは違うのではないか、と思うのです。
もちろん、以下のような反論がただちに成立します。
いや、あなただって他の人間の頭の中でどのように論理が組み立てられて言葉が発せられているのかわからないでしょう? 結局、どんな入力(聞いたり読んだりした言葉)からどんな出力が出てくるのか(何を話すのか、書くのか)を外から観察して、理解しているか理解していないかを判断しているでしょう? それと何が違うのですか? ChatGPTが「理解」しているか判断するのに、入力に対して適切な出力ができることによって理解の有無を判断するのは、結局、人が「理解」しているかを判断するやり方と同じですよね?
チューリングテストによって知能が測れるのではないか(対話している相手が人間なのか機械なのかを対話だけで判断できるのではないか)、というのはまさにこの考え方です。現在ではチューリングテストは、知能のある重要な一面を判断する手段には成り得るかもしれないけれども、それだけでは不十分である、というのが定説です。
「今の生成系AIは“人間人間したもの”を生み出している」 スクエニ・三宅陽一郎氏が語る「第3次AIブーム」の盛り上がり という記事がありました。これは自分が感じていることにかなり近い内容でした。今考えると、やってみたいことに対して計算機の能力が絶望的に低かった前回のブームのころ、私もその騒ぎの渦中の一人だったのですけれども、当時できなかったことが膨大な計算能力の進化の結果、今のような「人間っぽい」AIが生まれてきたというのは非常に面白いと思います。
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あやとりです。
普通の「ケルトのタペストリーの輪の交換処理」だとあまりきれいにならなかったのでアレンジを加えたのだ、と思います。
<おまけのひとこと>
今日は定期健康診断があります。視力検査のためだけに作ってあるメガネを出してきたのですが、これの度が合っていない気がするのです。これはまずいかもしれない…