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2000年8月の疑問

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8月23日 都市人口率が最低の国

地理マニアのK君の疑問。都市人口率が最低の国はブータンだと思うがどうか?

お答え 拙HPは受験地理マニアのページであり、地理マニアのページではありません。

 世に地理マニアを自称し、あるいは地理マニアをめざす人々がごまんといる。拙HPの内容は、こうした方々に言わせれば、マニアの入り口にも至っていないものだろう。私は受験地理マニアであって、地理マニアではないから、まともな人なら、まず知らないが、地理マニアなら当然知っているはずのことはほとんど知らない。地理マニアは最高・最低とか最大・最小が大好きのようだ。今回の疑問をご提出下さったK君は、センター試験地理しか受験しない理系の受験生なのに、たいへんな地理マニアで、センターに出ないような疑問を次から次へと提出してくれる。地理に弱いさ〜らは、いつもそれで泣かされている。なお、今日の出来事コーナーに掲載したツバルのお話も彼が提出してくれた疑問がネタになっています。なお、K君の名誉のために言っておきますが、彼は、地理マニアであるとともに受験地理マニアでもあり、センター試験に出ることもきちんと押さえている。地理の達人なのだ。

 7月2日の掲示板から回答を転載します。

都市人口率は国により基準が異なるうえ、同一年度の統計を得ることができないの
で、単純な比較は無理だが、古今書院「世界と日本の地理統計」2000年版による
と、どうもそのようですね。
ブータン 4.0%(1985) ブルンジ 5.0%(1990)
ルワンダ 5.4%(1991) ネパール 9.2%(1991)

この統計書に掲載のない国は、カタール、シンガポール、バチカン、マルタ、モナ
コ、ギニアビサウ、サントメ・プリンシペ、ジブチ、グレナダ、セントクリストフ
ァー・ネイビス、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、セントルシア、ド
ミニカ国、トリニダード・トバゴ、ツバル、ナウル、パラオ、マーシャル諸島共和
国、ミクロネシア連邦。

このうち、ブータンより都市人口率の低そうな国は?

シンガポール、バチカンなどいくつかの国は100%だから除外。他の国については、
首都の人口を国の人口で割ってみたら、どれも4.0%より高い値だったので、ブータ
ンでよいでしょう。

ただし、ナウルだけは首都ヤレンの人口が書いてなかったので、計算はヤレンかっ
た。でも、面積21平方キロ、人口約1万人の国なので、首都の人口が4%の400人っ
てことはないでしょうね。
ナウルの首都はナウルで全土がナウル市かと思っていたが、へえ〜っ、首都はヤレ
ンっていうのか。
りん鉱石がとれる金持ち国で、ネットで調べてみたら、栄養過多が社会問題化して
おり、成人の1/3が糖尿病らしい。1万人のうち4000人ほどが中国やキリバスな
どからの出稼ぎ労働者で、中国人の店も多いらしいし、ホテルも2つあるようなの
で、400人は軽く超えるでしょう。

 その後、同朋社『ビジュアルDATA・アトラス』を調べてみました。統計年次は忘れましたが、そう古くはありません。それによると、
ブータン   5%
ブルンジ   6%
ルワンダ   8%
ナウル  100%
でした。


8月22日 氷河性海水準変動

 氷河性海水準変動って何ですか?

お答え 気候変動に伴う氷河の消長の結果、海面が上昇したり低下したりすることです。

 掲示板で、7月16日の17時29分に、神長秀治さまから頂戴した疑問を再掲載します。氏は、即日回答を望まれていたのに、この日は掲示板をのぞくのが深夜だったため、回答は、7月17日午前2時50分になっちゃっいました。

地学に弱いので、用語の厳密な意味は知りません。調べればすぐわかることです
が、今、旅先で、布団と枕とパソコンしかない部屋にいますので、とりあえず、い
いかげんなお答え。
温暖化によって氷河が融けると海の水が増えるので海面が上昇して、気温が低いと
きよりも、海岸線が高いところにくる。寒冷化すれば、氷河が発達し、海の水が減
るので、海面が低下して、海岸線がずっと下に位置するようになる。
現在は全陸地の約10%が大陸氷河におおわれているが、大陸氷河のおおっている面
積が今の3倍もあった氷河期には、今よりも海面が低く、日本列島は今よりも広
く、ユーラシア大陸との間にある対馬海峡はうんと狭かった。
氷河期が終わり、温暖となった縄文時代の気温は今よりも暖かかったので、海岸線
は今よりも高い位置にあり、たとえば、関東平野の低い部分は入り江であった。そ
のころの生活遺跡である貝塚が、内陸部にもみられるのはそのため。その後、やや
寒冷になり、さらに、河川の堆積作用によって、沖積平野も発達していったので、
そのころの入り江が陸地になった。

氷河性海水準変動とは、まあ、おおざっぱにいえば、以上のようなメカニズムでの
変動をさすと思うが、・・・詳細は、そのうちに、読者の中の専門家が教えてくれる
でしょう。「専門家は何もせんもんか!」なんて言わないで誰か教えてくだされ!

 やはり、「専門家は何もせんもんか」のことわざどおり、その後、何も教えてくれませんでした。また、疑問をご提出下さったお方もその後音沙汰なしです。いい加減なお答えだったからあきれて拙HPに見切りをつけたのかなぁと、その後のさ〜らは、気になって眠られぬ夜が続いています。今晩からは枕を高くして寝るために、1ヶ月以上たちましたが、ここに再掲載することにしました。

 海水準変動という言葉は、素人にはなにやら特別に定義された専門用語のように聞こえますが、専門家の間では日常会話に登場する普通名詞のようですね。「海面の高さの変動」ということで、「海面変動」すなわち、「海面の上昇や低下」と同義と考えてよいでしょう。海水準は、英語なら「sea level」でして、こいつは、ときに、「潮位」とも訳しますが、潮位の上下も広い意味では海水準変動でしょうね。

 いま、ネットサーフィンをしてみましたら、気候変動と海水準変動、そしてそれにともなうもろもろの現象(海岸線の前進や後退、海岸地形の生成など)などなどの研究は、地理学、気候学、考古学など、諸分野で流行りのようですね。最近は、宇宙から海水準を測定できるようで、この分野の研究は、ますます精緻になるって感じです。大学での授業テーマとしても大流行りのようですし、成績を決めるための試験でも頻出問題のようです。

 この半月ほど前に、掲示板で、次の本を紹介をしました。

丸山茂徳・磯崎行雄『生命と地球の歴史』岩波新書
 地球45億年の歴史を、生命の歴史とプレート&プルームテクトニクスを関連させ
てダイナミックに論じています。内容は1/10もわからなかったのですが、すげえ
な!って思いながら、一気に読んじゃいました。地理も生物も地学も好きって言う
理科系の若者におすすめですね。

 当然のことながら、その本の中にも、海水準の変動について書いてありました。ただし、そこでの変動は、氷河性海水準変動ではなくて、もっと前の巨大陸地生成にともなう変動(陸地ができれば気候も変動するから、こいつは、気候変動と無関係ではない)、そして、その頃から周期的に起きるようになった海水準変動の一要因、すなわち、海水がマントルに(含水鉱物としてとじこめられるかたちで)吸い込まれたり出たりすることによる海水量の変動(こいつは気候変動というより地殻変動との関係が強い海水準変動でしょうね)を説明していました(p219)。そして、この本の著者に、いろいろなことをおたずねしているHPをみつけちゃいました。
http://www.moriyama.com/netscience/Maruyama_Shigenori/index.html

 氷河性海水準変動は気候変動の影響によるものだから、いま流行りの地球温暖化と海面上昇との関係にもつながる話ですね。温暖化によって南極の氷河がとけて・・・というやつも、当然、氷河性海水準変動になります。そして、本当かどうか知らないが、南極の氷がとけるまでには至らなくても、温暖化によって海水が膨張し、その結果、海面が上昇するという話もありますね。この眉唾のようなお話は、気候変動にともなうものではあるが、氷河性ではない海水準変動ってことになるでしょう。

 おっと、これはいかん。素人がにわか勉強の結果を書き並べただけの超駄文になりました。読むに耐えない文になりつつありますので、尻切れトンボですが、今日はこれで、おしまいにします。


8月14日 エステート

 昔の記憶の中で,疑問になっていることを質問しちゃいます!! 「エステート」ってなんでしたっけ? イギリス系移民が東南アジアに作った農園? というようなあいまいな記憶しかありません。 よく「エスタンシア」と混同してた記憶があるな〜〜

 

お答え 困ったときは辞書を引くという手があります

 ずいぶん前の5月11日に、かつさんから頂戴した疑問です。

 エステートですが、困ったときは辞書を引くという手があります。大農園とか荘園というような訳(*1)が書いてあると思います。

 イギリス人が開いたプランテーション農園をエステートと言います。マレーシアのゴム農園、スリランカやケニアの茶園など、旧イギリス植民地だった国のプランテーション農園はすべて「エステート」と言います。

 スペイン語では、エスタンシア(*2)というので、かつてスペイン植民地だったアルゼンチンにおける大土地所有制に基づく大農牧場は、エスタンシアと呼ばれます。

 ただし、同じ南米でもアルゼンチン以外の旧スペイン領の国では、大土地所有制に基づく大農園のことを、アシエンダ(*3)と呼び、これは、語源が違います。ポルトガル語では、ちょっとだけ変化してファゼンダ(*4)というので、旧ポルトガル領だったブラジルの大農園はファゼンダと呼ばれます。また、グアテマラやかつてのキューバでは、同様のものをフィンカ(*5)と呼び、これまた、さらに語源が異なるようです。

 *1 estate: @所有地、土地、A財産、・・・
   ん十年来愛用しているカレッジクラウン英和辞典による。あれ? 大農園、荘園という訳はないですねえ。まっ、こまいことは言わんで下さい
 *2 estancia: @居住、・・・、C(南米)農場、牧場
   ん十年前にスペイン語をかじろうと思ったときに買ったスペイン基本語辞典による。実際はかじるにまで至っていません。「暑いですねぇ。こういうときは、アセ・ムチョ・カロール、といいます。アセ・ムチョ・デール(汗、ムチョ、出〜る)と連想して覚えるといいよ」とおっしゃった先生の冷汗の出るような寒い駄洒落だけが頭にこびりついています。なお、この辞書は、単語数が5000語しかないので語学習得以外の目的には役立たないことが多い。語学習得を目的とせず、調べものに使うなど邪道的利用のためなら、収録単語は多い方がいいですね。
 *3 hacinda: @農場、農地、A富、資産
 *4 fazenda: @農家、A財産、・・・、E大農場・大牧場
   昔、カンポやセルバなどの意味を調べたいと思って古本屋で買ったポ和辞典による。fazendaの綴りは、もう少しestanciaに近いfastendiaみたいに書くのだと想像していたが、けっこう違いますねぇ。「エスタンシア→フェスタンシア→フェゼンディア→ファゼンダ」なんて感じで、「エスタンシア、だんだんなまってファゼンダになり」なんて軽口をたたいたことがありました。そんな軽口はもうやめにしないといけないな。 
 *5 finca: @不動産、地所、別荘、A(中南米)農園
   フィンカというのは、ちょっと王侯貴族的な響きをもつ言葉なのかもしれません。ワイン、コーヒー、葉巻などに、フィンカ・何とか、という銘柄がありますし、別荘などにも、フィンカ・何とかという名称をもつものがあります。