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以前の「ひとこと」 : 2023年4月前半


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4月1日(土) 3辺が整数の三角形(その1)、点対称なあやとり

 4月になりました。三角形の話とあやとりの話です。



 三辺の長さが整数の三角形というとピタゴラスの直角三角形が有名ですが、60°や120°の角を持つ整数の三角形のシリーズもとても興味深いものがあるのです。一松信先生の本で知ったのですが、例えば「七五三」三角形(3辺が7,5,3の三角形)やナゴヤ三角形(3辺が7,5,8の三角形)があります。

 この系列の三角形を、共通の角である60°、120°の部分を重ねて描いてみました。

図 1

 余弦定理で計算してみると、これらが整数になっていることがわかります。(Excelで確かめました。)

 上の2つの図を重ねて描画してみましょう。(数字は省略しました。)

図 2

 上の系列の三角形をバラバラにして並べ替えると、こんな風に正三角形を作ることができるのです。

図 3

 とても面白いと思います。

(つづく)



 4月になったので、新しいシリーズのあやとりのご紹介を始めようと思います。点対称なパターンを作ってみたくて、こんな開始処理(オープニング)を試してみました。

hh230401-a,b
点対称の3本指の構え(斜め線が下)
  1. 人差し指の構え(右手が先)
  2. 左親指の輪を左中指に移す
  3. 左人差し指の輪を左親指に移す
  4. 左中指の輪を左人差し指に移す
  5. 右親指を向こうへ半回転ひねって捩れを無くす 
点対称の3本指の構え(斜め線が上)
  1. 人差し指の構え(右手が先)
  2. 右小指の輪を右薬指に移す
  3. 右人差し指の輪を右小指に移す
  4. 右薬指の輪を右人差し指に移す
  5. 左小指を向こうへ半回転ひねって捩れを無くす 

 この開始処理からの手順ですが、点対称を保存するため左右逆方向から取ります。

hh230401-1
  1. 点対称の3本指の構え(斜め線が上)
  2. 左は手前から、右は向こうから「7つのダイヤモンド」 

 これを普通に一人で取るのではなくて、二人で向かい合って左手を出して、点対称の3本指の構えを作って、そこからそれぞれの左手で普通に「7つのダイヤモンド」を取る操作をすることもできます。いくつか取ってみたものがあるので順次ご紹介してゆこうと思います。

(つづく)



 「団体あやとり競技」というのをふと思い付きました。例えば2人なら、普通に両手で取る(難しい)あやとり2種類を、Aさんの右手とBさんの左手で1つ、Aさんの左手とBさんの右手でもう1つ、作るという競技です。制限時間を設けてできるだけきれいに取る、というのでもいいですし(芸術点で勝負)、純粋に所要時間が短いほうが勝ち、というのでも良いです。(ただし、正しく完成したか否かを判定する必要がありそうです。)3人以上になっても、輪を作って両隣の人とそれぞれ片手ずつ出し合ってあやとりを取ることで同じ競技が成立しそうです。1つずつ取っていくならいいですが、右手と左手がそれぞれ別な人とペアになって同時に別なあやとりを取る、というのはものすごく難しそうです。人数が偶数なら1つおきに取る、ということができますが、奇数だったらどこかで破綻します。訓練して並列で取るのが良いのか、逆に左手か右手かどちらかだけで取ることしにて速度を上げるほうが良いのか、いろいろな作戦がありそうです。

 …誰もやらないだろうな。


<おまけのひとこと>
 ちょうど2週間前の土曜日に、妻が体調不良で緊急外来で診察をしてもらったのですが、昨日が検査の日でした。心配していたのですが、幸い回復は順調で、特に心配はなさそうだということがわかってとてもほっとしています。50年前、明治生まれの祖母が癌で亡くなったのが62歳のときでした。自分たちがその年代になってきて、あまりに早かったのだなと改めて思いました。






4月2日(日) 3辺が整数の三角形(その2)、あやとり

 三角形の話とあやとりの話です。すみません、いろいろやっていて午後の更新になってしまいました。



 昨日ご紹介した3辺が整数の60°もしくは120°を持つ三角形ですが、ご紹介したきっかけはQuantum: The Magazine of Math and Science の Vol.2 No.4 p.51 に掲載されていた “East and west of Pythagoras by 30°”(George Berzsenyi) という記事でした。

 縮小したページのイメージだけ貼っておきます。中身は上記のサイトのpdfを閲覧してください。

 この記事を見て思い出したのが、「整数と遊ぼう」一松信, 朝倉書店でした。

 この本の第7章6節が「アイゼンスタイン三角形」というタイトルで、ピタゴラス三角形(a2+b2=c2)と似た、

   a2+ab+b2=c2

 という関係の3辺を持つ三角形について論じられているのです。この本の最後を飾る素晴らしいトピックなのですが、ここでは詳しい説明は省略します。一松先生の本にはこんな図がありました。

 この本の第7章は「三乗数とのかかわり」というタイトルなのですが、x3-1=(x-1)(x2+x+1) から、x2+x+1 についていろいろ調べられていて、その最後にこのアイゼンスタイン三角形の話が出てくるのです。

 昨日の60°や120°を含む3辺が整数の三角形を積み上げて正三角形を作る図、あのそれぞれの段がどのように一般式で表されているのかの図をご紹介してこのトピックはいったん終わりにしたいと思います。

 この図が描けたので満足です。

 なお、数学に関する膨大なコラムのあるIkuro's Home Page■三角形の心(その69)に、この三角形についての言及がありました。



 昨日、「点対称の3本指の構え」から左右で正逆「7つのダイヤモンド」というのをご紹介しましたが、普通の人差し指の構えから同じことをやるとこうなります。

hh230402-1a
  1. 人差し指の構え
  2. 左は手前から、右は向こうから「7つのダイヤモンド」 

 中央上の2回絡みの部分、上の写真では左右均等になるように調整しましたが片方をまっすぐにしてもう片方が巻き付くように整えると「7つのダイヤモンド」っぽくなります。

hh230402-1b

(つづく)



 昨日の午後、ちょっと近場をドライブしようかということで、近所の(車で15分くらいの)農業用水の上流にある池を見に行ってきました。ほとんど誰もいませんでした。


<おまけのひとこと>
 「整数とあそぼう」というタイトルが良いなあと思うのです。整数は遊び道具ではなくて遊び仲間、遊び友達なのですね。英語だとどちらも play with integers なのでしょうか。「整数とあそぼう」「整数であそぼう」の違いを言い分ける英語力が自分には無いということに改めて思い至りました。






4月3日(月) 格子点上の二等辺三角形(その1)、あやとり「らせんの構え」

 図形の話とあやとりの話です。



 xy平面上の格子点(x座標もy座標も整数である点)上に2点A,Bを取ります。

 格子点上に第3の点Cを取って、三角形ABCが二等辺三角形になるようにしたいのです。格子点上の任意の2点A,Bから、格子点上の二等辺三角形ABCは作れるでしょうか?

 さらに、与えられた2点A,B が二等辺三角形の底辺になるようにしたいのです。AC=BC になるような第3の格子点Cを取ることができるA,Bの条件がわかりますか? (ヒント:幾何的に解くより代数的に解くほうが簡単です←白文字で書いています)

(つづく)



 点対称のあやとりの話をご紹介しています。点対称の3本指の構えとして、斜め線が上のものと下のものをご紹介しましたが、その中間の「らせんの構え」というのを考えてみました。

左:点対称の3本指の構え(斜め線が上) 中央:点対称の3本指の構え(斜め線が下) 右:3本指のらせんの構え

 「らせんの構え」というのは、斜めの一直線の糸に対して、左右の手をジグザグに往復する糸がコイルのように巻き付いている(斜めの糸の下・上・下を通っている)かたちになっていることからそう呼んでいます。

hh230403-1:3本指のらせんの構え
  1. 人差し指の構え(右手が先)
  2. 右小指の輪を右薬指に移す
  3. 右人差し指の輪を右小指に移す
  4. 右人差し指で、左人差し指向こうの糸を左人差し指の近くで取る
  5. 右薬指を外す
  6. 右中指で、左親指向こうから右小指手前へかかる糸を右人差し指の輪の中から取る 
  7. 右小指を外す
  8. 右中指の輪を右小指に移す
  9. 左小指を向こうへ1回転半ひねってねじれを無くす

 別に難しい手順ではないのですが、取り方を言葉で説明すると面倒に感じるかもしれません。また、写真だと「らせん」になっているかどうか、よく見ないとわかりません。(なので図を作りました。)

 この「らせんの構え」から「7つのダイヤモンド」を左右逆に取ってみました。糸を強く左右に引くと中央に結び目のような糸のかたまりができるのですが、それを解きほぐして糸のかかりかたがわかるようにしてみました。

hh230403-2
  1. 3本指のらせんの構え
  2. 右は手前から、左は向こうから「7つのダイヤモンド」 

 面白いと思いました。



 昨日ご紹介したこちらの記事

 の作者のGeorge Berzsenyi氏はどんな人なのだろうと思って検索してみたのです。そうしたらA Math Teacher's Life Summed Up By The Gifted Students He Mentored(才能ある教え子たちの存在が総括するある数学教師の人生)という記事がありました。まさに「数学教師冥利に尽きる」という素晴らしいエピソードが語られています。

 改めて思い返してみると、小学校も中学校も高校も素晴らしい数学の先生がいたなあと思います。良い先生に出会えるというのは本当に人生を豐かにしてくれます。


<おまけのひとこと>
 このところ毎年所属組織が変わります。今日からまた新しい部門に所属することになっています。また名刺を作り直さないといけないです。






4月4日(火) 格子点上の二等辺三角形(その2)、あやとり「らせんの構え」

 図形の話とあやとりの話、いずれもつづきです。



 昨日、xy平面上の格子点(x座標もy座標も整数である点)上に2点A,Bに対して第3の格子点Cを取って二等辺三角形を作る、という問題をご紹介しました。

 この問題、三角形ABCが直角二等辺三角形になるように点Cを取るのが最も簡単です。線分ABを、AもしくはBを中心に90°回転させると、その先は必ず格子点になります。

 この場合はABは二等辺三角形の斜辺ということになります。(余談ですが二等辺三角形は左右対称になるように配置するとどの2辺が等しいのかがわかりやすいですが、その時に下になる辺を底辺、等しい左右の辺を斜辺と呼ぶことがあります。一方直角三角形の斜辺は直角を含まない辺です。直角二等辺三角形の「斜辺」と言うと誤解を招きそうです。)

 一方、与えられたABが二等辺三角形の底辺になるような第3の格子点Cが存在するのはABがどんな位置関係のときでしょうか? 図形的に考えると、ABの垂直二等分線が格子点を通るか否かを判定する条件を考えるということになります。

 一方、そういった図形的な考察を一切せずに代数的に考えてみます。格子点A,Bは任意なので、座標系の原点に点Aが重なるように平行移動し、A,B,Cの座標を以下のように定めます。ABが二等辺三角形の底辺なので、AC=BCです。ユークリッド距離の二乗を計算すると以下のようになります。

 このとき、ABの距離の二乗は偶数になっていることがわかりました。ということは、ABを対角線とする、x軸y軸に平行な長方形を考えて、その縦横の長さをm,nだとすると

 m2+n2が偶数になるということです。偶数の二乗は偶数、奇数の二乗は奇数ですから、mとnが両方偶数の時か両方奇数の時に条件を満たします。結局、与えられた格子点ABを底辺とする二等辺三角形ABCの頂点Cが格子点になるのは、m+nが偶数のとき、ということがわかりました。



 昨日のこのあやとり、昨日の手順の左右が違っていたので修正しました。すみません。

hh230403-2(再掲)

 これ、こんな風に整えたほうがいいかなと思って試してみました。

hh230404-1a hh230404-1b
  1. 3本指のらせんの構え
  2. 右は手前から(普通に)、左は向こうから(逆向きに)「7つのダイヤモンド」 

 点対称あやとり、楽しいです。



 とある作業をするとき、ちょっとしたカウンターが欲しいなと思ったのです。同じ作業を10回繰り返すのですが、1ステップごとにそれが何回目なのかを入力する必要があります。でも作業対象を見ても今何番目なのかはわかりません。1ステップあたり10秒前後なのですが、まれに数十秒待たされることもあります。作業が終わるまでに2〜3分かかります。数か月に一度くらいやる作業です。この作業中に「今は1番目、今は2番目、今は3番目…」と覚えているのがちょっと大変なのです。

 今朝の6時前にこの作業をやったのですが、そのときに何かカウンターに使えそうなものがないかなと思って文房具の引き出しをあけてみたら、良いものが見つかりました。物差しと樹脂製の小さなリングです。

 このリングを動かしてゆくことで、簡単なカウンターができました。これは便利でした。次回、数か月後に同じ作業をするときには覚えていないかもしれませんが…


<おまけのひとこと>
 通勤に使っている車が鳥の糞で汚れてしまったので、昨日の帰りに洗車してみたのです。洗車機でちゃんときれいになったので感心しました。






4月5日(水) モーザーのワーム問題(その1)、あやとり「らせんの構え」より

 数学の未解決問題のご紹介とあやとりの話です。



 先日のこちら(A Math Teacher's Life Summed Up By The Gifted Students He Mentored)で紹介されていたGeorge Berzsenyi氏の他の記事も読んでみています。「モーザーのワーム問題」というのを知りました。

 モーザーのワーム問題
  単位長(長さ1)の任意の曲線(ワーム)を覆うことができる(凸)図形のうち面積が最小なものを見つけてください。  

 この問題はレオ・モーザー(Leo Moser)という数学者が1966年に謄写版(ガリ版みたいな印刷 と言って今の人に通じるかわかりませんが)で出した、“Poorly Formulated Unsolved Problems in Combinatorial Geometry” (組み合わせ幾何学においてうまく定式化できていない未解決問題集)という50問の問題の9番目なのだそうです。(ちなみにこの50問のリストはこちらのcore.ac.uk/download/pdf/82070693.pdfの25ページ中9ページ目以降で閲覧できます。他の問題はまだ目を通していませんが…)

 この問題の条件を満たす図形としてまず思い付くのが直径1の円です。ワームの中点を円の中心に一致させれば、ワームがまっすぐだろうが曲がっていようがこの円からはみ出さないことはすぐにわかります。さらに、対角線の長さが1の正方形であっても条件を満たすことが示せるそうです。

 直径1の円の面積は0.785くらい、対角線長が1の正方形の面積は0.5です。この問題が提起されてから50年以上になる現在ではもっとずっと小さな面積の図形が見つかっているそうですが、それが最小だとは示されておらず、上限値がどんどん改良されているという状況で、まだ未解決なのだそうです。

 レオ・モーザーの生涯についてはLeo Moser(1921-1970)というサイトに書かれていました。48歳で亡くなっているのですね。

(つづく)



 「らせんの構え」から左右逆方向に「ダンスの舞台」を取ってみました。

hh230405-1
  1. 3本指のらせんの構え
  2. 左手は向こうへ、右手は手前へ全ての指を1回転ひねる
  3. 左は手前から(普通に)、右は向こうから(逆向きに)「ダンスの舞台」 

 中央部分の糸の交差が「交代結び目」(交点を通るときに上下が交互に変わる結び目)みたいになっているのが良いなあと思ったのです。が、上の写真では糸の交差の上下関係がよく見えないので、中央部分の拡大写真も撮ってみました。

 これもなかなか気に入っています。



 先月末に東京に出張したとき、帰りの特急列車で予約した指定席がちょっと珍しい席だったのです。通常は中央の通路を挟んで左右に2つずつ座席が並んでいますが、ある車両の先頭だけは窓側に1つだけ席が設けられていて、隣が空きスペースになっているのです。車椅子利用者の方が乗車されたときのためのスペースだそうです。今回はめずらしくその席を予約したのでした。その日は車椅子の利用者はいませんでした。

 中央東線の特急「あずさ」は全席指定席で、座席の上のランプでその席の予約状況がわかります。座席が2つなので、ランプは必ず2つ点灯しているのですが、今回利用した1つだけの座席は例外的にランプが1つだけ点灯していました。

 ふと窓を見ると、このランプがガラスに映っています。像が4つ見えました。(下の画像をクリックすると別窓で大きな画像が開きます。それを見ないとよくわからないと思います。)

 ガラスが2枚あって、それぞれのガラスの手前の面と向こうの面の界面で反射した結果、4つの像が見えるのだろうか、と思いました。それにしては4つの像の間隔がちょっと違和感があります。


<おまけのひとこと>
 新しい職場はマスクをしていない人がほとんどでした。前の職場はほぼ全員がマスクを継続していました。私は花粉症対策やアトピー性皮膚炎の肌荒れを隠すのにマスクが有効なので当面マスクを続けるつもりです。






4月6日(木) 一桁の数の掛け算で生成される数列、点対称あやとり

 数列の話とあやとりの話です。



 雑誌 Quantum の George Berzsenyi 氏の記事(Vol.3 No.6)からまた別の話題です。(昨日の「モーザーのワーム問題」は、文献を追いかけて調べてみている最中なので、続きはまたいずれ。)

 “One Hundred Problems in Elementary Mathematics”(初等数学の100の問題) という本があるのだそうです。Hugo Steinhaus(ヒューゴ・シュタインハウス:1887-1972)というポーランドの数学者・数学教育者の本だそうです。その本の冒頭の問題が「掛け算の練習」(exercise on the multiplication table) というもので、こんな数字列が紹介されています。

 2, 3, 6, 1, 8, 6, 8, 4, 8, 4, 8, 3, 2, 3, 2, 3, 2, 3, 2, 2, 4, 6, 6, 6, 6, 6, 6, 6, 4, 8, 2, 4, 3, 6,… 

 これは、以下のような規則で生成されています。

 この数列の第n項を anと書くことにします。最初の2項は2と3(a1=2, a2=3)です。a3は 2×3=6 で 6になります。次はa2×a3 = 3×6 = 18 で、答が二桁になってしまいました。この場合は a4 = 1, a5 = 8 とします。とにかく先頭から順番に1つずつずらしながら掛け算を実行し、その答の数字が1桁なら1つ、2桁なら2つの数字を数列の最後に付け加えます。

 オリジナルのシュタインハウスの問題では「この数列に5,7,9は決して現れないことを証明せよ」と出題されています。Berzsenyi氏のコラムでは、それに加えて「この数列には77個の連続した8が現れる箇所があることを示せ」という問題が出されています。

 また、この数列は 2, 3 から始まっていますが、他の数字から始めたらどうなるだろう? ということも問われており、計算機で実験してみるといいですよ、と提案されています。初歩的なプログラミングの練習問題としても良いですね。

 a1,a2=(m,n) とすると、(0,x)とか(x,0) はゼロだけの数列になってしまいますし、(1,1)は1だけの数列になります。また(1,x)は(x,x)と同じ結果になります(先頭の1を取り除けば)。逆に、最初の2項に5や7や9があったらどうなるのだろう? とかいろいろやってみたくなります。(まだやってみていませんけれども。)



 昨日は「らせんの構え」から左右逆方向からの「ダンスの舞台」をご紹介しましたが、同じことを「斜め線が上/下の点対称の構え」からやってみて比べてみました。

左:点対称の3本指の構え(斜め線が上) 中央:点対称の3本指の構え(斜め線が下) 右:3本指のらせんの構え

hh230406-1 hh230406-2 hh230406-3
  1. 3本指の点対称の構え(斜め線が)
  2. 左手は向こうへ、右手は手前へ
    全ての指を1回転ひねる
  3. 左は手前から(普通に)、右は向こう
    から(逆向きに)「ダンスの舞台」 
  1. 3本指の点対称の構え(斜め線が)
  2. 左手は向こうへ、右手は手前へ
    全ての指を1回転ひねる
  3. 左は手前から(普通に)、右は向こう
    から(逆向きに)「ダンスの舞台」 
  1. 3本指のらせんの構え
  2. 左手は向こうへ、右手は手前へ
    全ての指を1回転ひねる
  3. 左は手前から(普通に)、右は向こう
    から(逆向きに)「ダンスの舞台」 

 中央付近の何ヵ所かの糸の交差の上下が変化しています。



 在宅勤務で運動不足気味なので、時間が取れるときにはお昼休みに30〜40分ほど散歩するようにしています。だいたい決まったルートを歩くのですが、そろそろ桜が咲き始めました。

 川沿いの道をもう10分ほど上流側に向かって歩いたあたりの桜の木はまだまだこれからという様子でした。距離もほんの1km程度、標高も数十メートルくらいしか違わないはずです。

 来週くらいには咲くでしょうか。満開になったらきれいだろうなと思います。


<おまけのひとこと>
 これまではハウス栽培の人しか見かけませんでしたが、そろそろ田んぼや畑に人の姿を見かけるようになってきました。また、私と同じくウォーキングをしている人も見かけるようになってきました。






4月7日(金) 一桁の数の掛け算で生成される数列(その2)、点対称あやとり

 数列の話とあやとりの話です。



 昨日のシュタインハウスの「初等数学の100の問題」の第1問めの数列(第1項が2、第2項が3で、隣り合う2つの数の積の数字を数列の末尾に追加してゆく、ただし積が2桁になった場合は十の桁の数字と一の桁の数字は別々の項として2項追加する、という数列)について、夜中に目が覚めたときに布団の中で考えてみたのです。

 Berzsenyi氏の「この数列には77個の連続した8が現れる箇所があることを示せ」という問題を考えてみようと思って、数字が連続していたらどうなるのだろう? と思ったのです。仮に8が3つ以上連続する箇所があったとすると、その後ろのほうに、さらに長く8が連続する区間が現れるということに気が付きました。

8のn連鎖(n≧3)が存在するならば、8の(4n-7)連鎖が存在する(考察1)

 また、6の連鎖から始めても、8の連鎖に至ることがわかります。

6のn連鎖(n≧3)が存在するならば、8の(4n-7)連鎖が存在する(考察2)

 昨日見たように、この数列の冒頭は 2,3,6,1,8,6,8,4,8,… と続いています。この8,4,8の部分に注目してみましょう。

 上のように、{8,4,8} から {3,2,3,2} が生成され、さらに {6,6,6} が生成されます。ということは上記の考察2から、この6の3連鎖から8の5連鎖が生まれ、ここに考察1を繰り返し適用することで、8の5連鎖 → 8の13連鎖 → 8の45連鎖 → 8の173連鎖 が存在することがわかります。

 これはおそらくBerzsenyi氏の想定する解とは異なると思いますが、自分としては納得感がありました。

 この数列の遊びのように、自分で規則を決めて、その結果として自明ではないおもしろい振る舞いが現れるというのがいかにも数学らしくて楽しいです。



 「らせんの構え」から「アムワンギヨ」を取ってみました。(アムワンギヨは左右逆方向ではなく普通に取っています。)

hh230407-1
  1. 3本指のらせんの構え
  2. 「アムワンギヨ」

 ちなみに普通の「アムワンギヨ」はこんなあやとりです。こちらで取り方を説明しています。

sf221101-1:アムワンギヨ

 点対称も面白いですが、オリジナルの「アムワンギヨ」が美しいなあと思います。



 お昼のお散歩の途中、ふきのとうがたくさん出ている斜面を通りかかりました。

 春らしさを感じます。(近寄って写真撮影すると盗掘していると誤解されたら嫌なので遠くからズーム機能で撮りました。)


<おまけのひとこと>
 今日は「春の嵐」の予報です。今日はお散歩はお休みかな。






4月8日(土) 合同な5角形2つで5角形を作る(出題編)、点対称あやとり、他

 平面図形の話とあやとりの話です。



 最近、「アインシュタイン問題」という名前で呼ばれている、単一のタイルで平面を非周期的にのみタイリングできる図形が見つかったという話が随所で話題になっています。話題になりすぎていて取り上げるタイミングを逸しました。今日は合同なタイル2つの話をします。このところすっかり夢中になっている雑誌 Quantum の Vol.4 No.2 の Challenges in physics and math (このコーナーは毎号にあります)の M96 (S.Hosid) の改題です。2つの合同な五角形で五角形を作って下さい。

 ちょっと解説します。一般に、任意の合同な三角形2枚を並べると四角形を作ることができます。また、任意の合同な四角形2枚で六角形を作ることができます。(凸多角形になるとは限りません。)

図 1

 同様に、任意の合同な5角形2枚であれば一般には八角形ができます。

 一方、ちょっと特別な三角形2枚から三角形を作ることができます。合同な四角形2枚で四角形を作ることができる場合もあります。

図 2

 それでは、合同な五角形2枚で、五角形ができるのはどんな場合でしょうか? というのが出題です。凸五角形とは限りません。

 ちなみにオリジナルの問題では、「2つの合同な五角形に分割できるような特別な五角形はあるか?(凸とは限らない)」という出題になっています。

 最初、頭の中だけで考えて「こうかな?」という案は浮かんだのですが答にたどり着けず、紙の上で図を描いてみたら思い付きました。楽しい試行錯誤でした。考えてみることをお勧めします。

(つづく)



 昨日は「らせんの構え」から「アムワンギヨ」を取ってみましたが、「ひねらないアムワンギヨ」も試してみました。

hh230408-1
  1. 3本指のらせんの構え
  2. 親指二重の輪を手前にひねらない「アムワンギヨ」 

 親指二重の輪を手前にひねらない「アムワンギヨ」、こちらで取り方を説明していますがこんなあやとりでした。

hh221107-1

 多面体も、最初のころは最も対称性が高い5つのプラトンの立体が一番好きでしたが、だんだん対称性が少なくなった多面体が美しいと思うようになりました。あやとりも、鏡像対称性と回転対称性の両方を持つ斜め格子のものもいいですが、鏡像対称性を失った「点対称あやとり」も良いなあと思っていろいろ試してみています。



 朝ごはんにホットサンドを作りました。今日は中身は冷凍の肉団子を使ってみました。最近、冷凍食品のストックを活用してお手軽な軽食や朝食を作るのが楽しいのですが、その一環です。

 とりあえず4個、電子レンジで適当に600Wで90秒ほど加熱します。パンに挟むので、3枚にスライスしました。まな板を洗う手間を省くため、加熱した容器の中でちいさな包丁(セラミックナイフを愛用しています)でカットしました。

 食パンをホットサンドメーカーに置き、軽くソースを塗ってカットした肉団子を並べ、その上からも軽くソースと粗びきのブラックペッパーをかけます。

 片面あたり90秒ずつ焼きます。ガスレンジの五徳の上に直接置くより、少し浮かせて水平面内に回転させるようにしてまんべんなく加熱するほうがきれいに焼ける気がします。(今回は置きっぱなしにして加熱中に他の作業をしていたのできれいに焼けませんでした。)

 焼き上がったら、食パンの中心点を通る斜めの線で台形にカットします。(若干食べやすい気がします。)

 後片付けをできるだけ楽にするならカットしないほうが良いのですが、今回は断面を見てみたくてカットしてみました。

 作るのも後片付けも簡単で良いです。


<おまけのひとこと>
 「数学やパズルの話題」「あやとりの話題」「日常の話題」というパターンが定着してきました。そこに時々別な話題(本の話とか音楽の話とかプレスリリースの紹介とか)が挟まる感じです。カテゴリが違う話題は別々に読めたほうが良いのかもしれないですが、面倒なのでこのスタイルを継続することになるかなあと思っています。最近は検索エンジンからも見放されつつあるこのサイトですが(以前のようにサイト内検索をしても見つけてもらえないことがある)、このスタイルを継続するつもりです。こうやって素材をストックしておけば、将来いつか簡単に賢く書式変更や検索ができるようになるのではなかろうか、という期待もしています。例えば最近流行の大規模言語モデル LLM(Large Language Model) に自分のサイトのコンテンツをすべて流し込むと、自然言語で対話的に自分が書いたことをコンピュータが説明してくれるようになったりするのではないか、とかです。






4月9日(日) 合同な5角形2つで5角形を作る(ヒント編)、点対称あやとり、他

 平面図形の話とあやとりの話です。



 昨日、「合同な五角形2つで五角形を作って下さい」という問題をご紹介しました。部品である2つの合同な五角形と、その2つを合体してできる大きな五角形は同じ形(相似)である必要はありません。解そのものはすぐには見えるようには載せませんが(リンクは張りますが)、どんなふうに考えたか、ご紹介してみようと思います。

 まず、普通に凸な合同な五角形2つを辺で張り合わせると、残った4辺が外側に残るので8角形になります(下図左)。このとき、辺を共有する両端の頂点の内角の和が180°になるなら(下の例では直角にしました)、6角形は作れます(下図右)。

 この手法だけでは2つで5角形というのは無理なようです。共有される辺が2辺必要になりそうです。そうなると凸五角形というわけにはいきません。例えば、全ての辺の長さが等しい等辺五角形で、凸でないものを考えてみることにしました(下図)。

 残念ながらこれも6角形になってしまいました。(余談ですがこのかたち、菱形を2つ繋いだかたちになっていて、平面を充填します。凸ではありませんが、等辺平行六辺形です。)

 別なアプローチとして、長方形をこんな風に分割すると、「合同な五角形2つで四角形」になっています。

 これは合同な五角形が3辺を共有することで、残った辺が4本で四角形になっています。

 こんなことを試しているうちに、合同な五角形2個で五角形を作る例を2例ほど思い付きました。こちらに解の画像を用意しました。ご覧になりたい方はどうぞ。一般解のかたちではなく一例を挙げています。

 見つかった解を見ていたら、「3以上の任意の整数nに対して、合同なn角形2つからn角形が作れる」ことに気が付きました。これはとても面白いと思いました。

(つづく)



 点対称のあやとりです。(まだストックがあるのですが、そろそろ「点対称のあやとり」以外のあやとりに話題を変えたほうが良いかなと思いつつ、関連するものは続けてご紹介するほうが楽なので、もうちょっとだけ続けます。)

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  1. 3本指のらせんの構え
  2. 内側3本指で「ガイアナの星」
  3. 親指・小指を外側に1回転ひねる
  4. 焼け焦げた葉のククイの終了処理

 「人差し指の構え」から始めて同様に取るとこうなります。正確には、上の手順3.では外側の指(親指・小指)だけを外側にひねっていますが、下のものは全部の指を外側にひねっています。

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 「酸っぱいぶどうの論理」(自分の手に入らなかったものは価値が低いものだと自己正当化する話)のことを考えていたら、ナルニア国物語の「銀のいす」の泥足にがえもん(Puddleglum)のことを思い出しました。彼は全7冊のナルニア国物語に出てくる登場人物の中でも特に好きなキャラクターです。常に非常に悲観的なことを言い続けるのですが、行いは常に真っ当できちんとしていてとても頼りになる存在です。

 検索してみたら、富山鹿島町教会というサイトにナルニア国物語について という全65回に渡る解説が書かれているのをみつけて、今朝全部読んでしまいました。ナルニア国物語はキリスト教の物語だと言われます。牧師であるこの記事の著者が、この物語の様々なエピソードを解説されているのですが、非常に面白いです。久しぶりにナルニアを読みたくなりました。


<おまけのひとこと>
 髪がだいぶうっとうしくなっていたので、午前中に散髪してきました。さっぱりしました。






4月10日(月) 合同なn角形2つでn角形を作る(n=偶数)、点対称あやとり

 平面図形の話とあやとりの話です。



 ここ2回ほど「合同な5角形2つで5角形を作る」という問題をご紹介してきましたが、その考察の中で、これは5角形だけでなく一般のn角形でも同様なものが示せるのではないかと思ったのでした。今日は簡単な偶数角形の例を説明したいと思います。その準備としてまず、四角形を2つの合同なn角形に分割できることを示します。

 図が大きくてすみません。点対称な四角形を考えます。(ここでは菱形や長方形を例として図示していますが、平行四辺形なら条件を満たします。)この平行四辺形を、中心をとおる点対称な折れ線で二分割します。「点対称な折れ線」は奇数本の線分の連結になります。この折れ線で四角形の頂点どうしを結ぶか(上の図の左側の列)、辺の途中を結ぶか(上の図の右側の列)で、二等分されたn角形が奇数角形なのか偶数角形なのかが決まります。ジグザクの折れ線の線分の数(山の数)を増やしていけば、nの値は好きなだけ増やすことができます。

 これがわかったので、2m角形(偶数角形)を2つの合同な2m角形に等分することができることに気が付いたのでした。結論をすぐに書いてしまってもいいかなと思ったのですが、一応そのまま載せずに別窓で開くようにします。こちら です。

 では、奇数のときはどうでしょうか。1以上の任意の整数mに対して、(2m+1)角形を合同な2つの(2m+1)角形に分割できる例があることが示せるでしょうか?

(つづく)



 点対称あやとりです。今日は「らせんの構え」からではなく「ひっかかる人差し指の構え」からのものです。

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  1. ひっかかる人差し指の構え
    1. 人差し指の構え(右手が先)
    2. 親指を外す
    3. 右親指を右人差し指の輪に上から入れ、
      人差し指手前の糸を下から手前、上へと巻き取る
    4. 左親指で右親指に巻き付いた手前の糸を取る 
  2. 左親指の輪をつまんで外し、左人差し指の輪に上から入れて 
    左人差し指向こうの糸の下から向こう、上に通して左親指に掛け直す 
  3. 右小指の輪をつまんで外し、右人差し指の輪に上から入れて 
    右人差し指の手前の糸の下から手前、上へ通して右小指に掛け直す
  4. 左手は向こうから(逆向きに)、右手は手前から(普通に)7つのダイヤモンド 

 ちょっと(だけ)面白いかたちだと思いました。



 市役所の近くで日曜日の昼間に資源ごみの回収をしてくれているのですが、それを出しに行って、ついでに市の公園の一角にある図書館に返却期限が過ぎてしまった本を返しに行くことにしました。市役所から公園までは歩くことにして、妻に車を回してもらうことにしました。

 途中、「汐端(せぎばた)の道」という道しるべが立っていました。

 「せぎ」(水路)に沿った道、という意味に読めますが、歩いても良さそうなスペースが見当たりません。これは市の予算か自治会の予算で作られているのだと思うのですが、いったい誰がなんのために立てたのか、気になりました。この水路の上流もしくは下流に同様な標識があるか探してみたくなりました。

 公園に来ると、桜がすっかり咲いていました。

 例年よりかなり早いです。


<おまけのひとこと>
 偶数角形を合同2分割する話とあやとりの話、どちらも「点対称」がキーワードです。意図せず関連性が生まれました。






4月11日(火) 合同なn角形2つでn角形を作る(n=奇数)、点対称あやとり

 平面図形の話とあやとりの話です。合同な5角形2つで5角形を作る話から、合同なn角形2つでn角形を作る、という一般化ができることに気が付いた、という話をご紹介しています。昨日は偶数角形の話をしましたが、今日はnが奇数の場合についてご説明します。解の図を載せてしまいます。まだ考えているので見たくない、という方はまずいらっしゃるはずがないとは思いますが、今日は例外的に雑談の画像を先に載せて、間をおいてから本題に入りたいと思います。



 先日の散歩の途中で、土手にふきのとうがたくさん生えているのを見かけた、という話を書きました。

4月6日(木)

 昨日、同じ場所を通ったら、ふきのとうが成長していました。

4月10日(月)

 写真だとよくわからないかもしれませんが、「すごい増えてる」と思ったのです。こういう変化を観察するのが楽しいです。

 先日は曇っていましたが、昨日はよく晴れていました。昨日の散歩の途中で、畑に向かうとおぼしき男性のバイク2台、電動四輪のシニアカー2台(いずれも女性でした)と行き違いました。春になると外での活動が始まります。



 さてそういうわけで本題です。合同な2つの五角形で五角形を作るという問題の解の格子点上の例をこんな図でご紹介していました。

 このうちの左のものを45°回転してちょっと拡大します。

図 1

 これは合同な2つの五角形が90度回転したかたちになっていますが、その回転中心の頂点に集まる辺に注目します。ここで、2つの五角形の合同を保ったまま、辺の数を増やしてみましょう。

図 2

 2つの合同な五角形の共通する辺を2本の折れ線に置き換えます。合同なかたちを保つため、対応する2か所も同じように置き換えます。この操作の結果、合同な2つの五角形は合同な2つの七角形になります。また、外周の大きな五角形も辺が2本増えて七角形になっています。

図 3

 出来上がった七角形を見ると、2つの七角形を重ねる回転中心は同じ位置にあって、その頂点に集まる辺の構造は一回り小さくなっていますが同じです。とすると、同じ操作を繰り返すと、9角形、11角形、13角形…と辺の数を増やしてゆくことができるはずです。やってみるとこんな風になりました。

5角形 7角形

9角形 11角形

13角形

 アニメーションファイルも作ってみました。こちらです。(別窓で開きます。)

 この系列は、合同な(2m+1)角形(奇数角形)2つで(2m+1)角形を作るという条件を満たしています。この操作はずっと繰り返してゆくことができますから、任意の奇数nに関して、合同なn角形2つでn角形を作ることができることが示せました。

 昨日は偶数の場合を示したので、今日のものと合わせて「3以上の任意の整数nに関して、合同なn角形2つでn角形を作ることができるかたちが存在する」ことがわかりました。



 点対称あやとりです。

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  1. 3本指の点対称の構え
  2. 全ての指を外側に1回転ひねる
  3. 焼け焦げた葉のククイの終了処理

 「焼け焦げた葉のククイの終了処理」は、中央のパターンをシンプルに装飾する良いエンディングだと思います。これは点対称なので、「全ての指を外側へ1回転ひねる」とき、人差し指は左手と右手の回転方向を逆にしたほうが良いです。最後の「親指・小指の内側の糸を取り合う」ときの人差し指の輪の通し方もそれに応じて逆になります。


<おまけのひとこと>
 キッチンの混合水栓から水漏れがあるのです。今日、交換してもらう予定です。シンクの下のものを出したら、忘れていたお酒とかが出てきました。






4月12日(水) 合同なn角形2つでn角形を作る(別パターン)、点対称あやとり

 平面図形の話とあやとりの話です。



 先週末から「合同な2つのn角形からn角形を作る話」をしています。いきなり今日の話を読んでも意味不明だと思いますので、未読の方はこちらからお読みください。昨日はnが奇数の場合の例を1つご紹介しました。この系列の1ステップは、90°回転中心のT字の辺の部分を下のように入れ替える手順でした。

図 1

 これは「反時計回り」の変形ですが、逆に「時計回り」の変形でも「n角形をつくる」という条件を満たすのです。

図 2

 反時計回り(左回り)をL、時計回り(右回り)をR と略記することにすると、昨日ご紹介した例はLLLL…というものでした。これをRRRR…にしたり、LRLRLR…にしたりしてみました。

5角形 5角形 5角形

L-7角形 R-7角形 L-7角形

LL-9角形 RR-9角形 LR-9角形

LLL-11角形 RRR-11角形 LRL-11角形

LLLL-13角形 RRRR-13角形 LRLR-13角形

 上から2段目の中央の R-7角形、矢印みたいなかたちがちょっと良いなと思っています。

 これらの系列もアニメーションファイルにしてみました。(昨日のものより小さいです。)

です。(別窓で開きます。)アニメーションで連続して見てみると左回り・右回りという感覚がよくわかります。



 点対称あやとりです。今日は「テントの幕」の終了処理です。

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  1. 3本指の点対称の構え(斜め線が下)
  2. テントの幕(普通に)
  3. 親指・小指の二重の輪を内側に1回転ひねってねじれを無くす

 テントの幕は普通に取ります。最後、マグネットで固定するときに張力が足りないので、いつものようにねじれを無くしてかたちを整えています。


<おまけのひとこと>
 今日はn角形の系列の図を作るのが楽しかったのですが、それ以外の話題を書く時間がなくなりました。






4月13日(木) 合同なn角形2つでn角形を作る(補遺)、図形の問題、点対称あやとり

 平面図形の話とあやとりの話です。



 面白いと思った図形の問題です。雑誌 Quantum Vol.5 No.2 に載っていた V.Proizvolov 氏の問題の改題です。

問題図 1

 上の図のような、角A,B,Cがいずれも45°の凸でない四角形ABCDを考えます。

 この四角形の4辺の中点を結ぶと正方形になることを示して下さい。

問題図 2

(つづく)



 昨日までご紹介してきた「2つの合同なn角形でn角形を作る」話ですが、奇数角形の系列でご紹介してきた図形はいずれも4つで正方形になるものでした。

図 1

 昨日ご紹介した3つの系列の奇数角形で、4つで正方形になる図を作ってみました。

図 2a 図 2b 図 2c

 これは、正方形の中心から辺もしくは頂点までを折れ線でつないで、その折れ線を90°ずつ回転することで合同な4つの多角形に分割できる、ということから簡単に理解できます(曲線を使ってもいいです)。回転させたものが重なってしまわないように注意は必要です。昨日までは再帰的な手順を説明していましたが、このアプローチでいきなりN角形の例を作ることができます。

 このシリーズ、いったん今日で終わりにします。



 点対称あやとりです。先日の「らせんの構え」から「アムワンギヨ」は普通に取りましたが、左右逆方向に取ってみました。

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  1. 3本指のらせんの構え
  2. 左手は向こうへ、右手は手前へ全ての指を1回転ひねる
  3. 左手は手前から(普通に)、右手は向こうから(逆向きに)アムワンギヨ 

 先日ご紹介したのは、左右逆方向ではなく普通に「アムワンギヨ」を取ったものでした。

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 もともとアムワンギヨの模様は上下左右に対称なので、違いがわかりにくい(ほとんど違いはない)のですが、使ったあやとり紐の差や整え方の差のせいで、今日のもののほうが良く見えます。


<おまけのひとこと>
 今朝は霜が降りています。福岡管区気象台の霜は晴れた日におりるのはどうして?というpdfの2ページの記事がありました。この季節(もうちょっと後かな)の霜は晩霜(ばんそう)と言うのだそうです。昔から八十八夜(5月初めころ)を過ぎると霜もおりなくなると言いますが、まだしばらくは霜の朝もありそうです。






4月14日(金) 図形の問題(その2)、あやとり「イヌイットの網」のアレンジ

 平面図形の話とあやとりの話です。



 昨日、こちらの「内角が45°の頂点A,B,Cを持つ凸でない四角形ABCDの各辺の中点を結ぶと正方形になることを示せ」という問題をご紹介しました。(4月13日にご紹介したので、「4.13の問題」と呼ぶことにします。)

4.13の問題

 この問題の解説を書く前に、類題のご紹介です。(この問題は「4.14の問題」と呼ぶことにします。)

4.14の問題

 三角形ABCがあります。頂点Aから辺BCの点Hに垂線を下ろします。AH上に点Dを、角BAD=角BCD となるように取ります。AB、BC、CD、DAの中点をそれぞれP,Q,R,Sとするとき、四角形PQRSが長方形になることを示して下さい。

 ちなみに私、昨日の「4.13問題」のほうはxy座標系上に点A,B,C,Dを取って計算してしまったのです。(うまく座標系を選ぶとA,B,C,Dはとても簡単に表せます。)でも、ちゃんと幾何の手法で解けます。

(つづく)



 点対称あやとり、まだストックがあったと思ったのですがご紹介しても良いと思える出来のものが見つからなかったので今日は「イヌイットの網」のちょっとした変化のご紹介です。

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  1. 人差し指の構え
  2. 人差し指を向こうへ半回転ひねる
  3. 親指を人差し指の輪に上から入れ、小指の手前の糸を取る 
    (普通の「イヌイットの網」の手順と同じ)
  4. 以下「イヌイットの網」を取る

 上の手順2.の「人差し指の輪をひっくり返す」処理だけ付け加えています。手順3.で親指で取る糸ですが、人差し指の向こうの糸を取るか、ここでやっているように人差し指の輪の中から小指の手前の糸を取るか、で、最後の完成形の2段4列の菱形のうち、上段の左2つの間と右2つの間が「交差」になるか「絡み」になるかが変わります。

 もう少し短い糸で、上とほぼ同じ手順で取ってみました。ただし開始処理は「ひっかかる人差し指の構え」にしました。これは、「人差し指の構え」の中央の2か所の糸の交差のうち、手前側の交差の上下が逆になっているものです。

hh230414-1b

 この違いにより、完成形のパターンの中央の小さな8の字状の部分の真ん中の交差の上下が違います。

 短い糸で取ると相対的に糸が太く見えて、印象が変わります。



 note.comの普通列車の旅の記事を読んでみています。5日間普通列車だけで日本縦断した話普通列車 日本縦断 3,099km が面白かったです。前者は鉄道マニアでもなかなか厳しいと思われる過酷な日程の旅で興味深いですし、後者はちゃんと観光もしながらの旅で、でもしっかりポイントは押さえていてこれまた素晴らしいです。


<おまけのひとこと>
 三省堂国語辞典から消えたことば辞典 というのが面白そうです。見かけたら買ってしまうかもしれません。






4月15日(土) 図形の問題の解説と点対称あやとり

 一昨日の問題の簡単な解説と、あやとりの話です。すみません、土曜日と日曜日2日分まとめての更新になってしまいました。



 昨日「4.13問題(内角A,B,Cがいずれも45°の凸でない四角形ABCDの4点の中点を結ぶと正方形になることを示して下さい)」「4.14問題(三角形ABCのAから下ろした垂線上に、角BAD=角BCDとなる点Dを取って、AB、BC、CD、DAの中点4つを結ぶと長方形になることを示して下さい)」と呼んだ下図の問題ですが、

4.13の問題 4.14の問題

 京都のUさんが、美しい図と共に幾何の証明を送って下さいました。本当にありがとうございます。実は「幾何学的に解く方法の解説は Quantum Vol.5 No.2 p.61 (B130) をご覧ください(上記のリンクからpdfファイルが閲覧できます)」と書いてお茶を濁そうかなと思っていたのでした。せっかく素晴らしい解答のドキュメントをいただいたので、図を引用させていただいてご紹介します。

 まず、任意の四角形の4辺の中点を結ぶと平行四辺形になります。これは確か中学校の数学で「中点連結定理」という名前で学んだのではないかと思います。これは凸でない四角形でも同様に成立します。Uさんはまずこれを示された上で、4.14問題(長方形)になることを証明し、さらに4.13問題(正方形)になることを証明しています。

4.14問題に対するUさんの解答図

 ここでは、青い四角形PQRSが平行四辺形であることは証明済みなので、角度が直角であることを示せばよいという方針で、と黄色の色を付けた三角形が相似であることから結論を導いています。

4.13問題に対するUさんの解答図

 さらに4.13問題のほうは、四角形PQRSが長方形であることは証明済みなので、隣り合う二辺の長さが等しいことを示せば良いという方針で、と黄色の三角形が合同であることを示して結論に至っています。

 興味を持って下さって、解を送って下さって本当にありがとうございました。



 ちなみに私が座標系に入れて解いた方法も図でご紹介しておきます。

座標系に入れる

 A,B,C,Dはこのようにシンプルにx軸、y軸上に取ることができます。(1/2になるのがいやなので2a,2bを使いました。)その結果、中点P,Q,R,Sも簡単に表せました。あとはPRとQSの長さが等しくて中点Tが一致すること(この条件でPQRSが長方形であることがわかります)、ベクトルPRとベクトルQSが直交すること(=内積がゼロになること)が示せれば、四角形PQRSが正方形であることが示せます。

 幾何学的な方法のほうが感動が深い気がします。



 先日ご紹介した「点対称あやとり」とよく似たもの(終了処理だけちょっと違うもの)をご紹介しそびれていました。

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  1. 3本指のらせんの構え
  2. 内側3本指で「ガイアナの星」
  3. 親指・小指を外側に1回転ひねる
  4. タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理 

 先日ご紹介したのは最後が「焼け焦げた葉のククイの終了処理」でした。先日のもの(上と同じあやとりひもを使ったもの)と、もう少し短いあやとりひもを使ったものの写真を載せておきます。

hh230409-1 hh230415-2

 左の赤い糸のほうの整え方のほうがきれいかなと思いました。


<おまけのひとこと>
 夜から雨が降っていました。窓の外を見ると桜の花びらが舞っていて一瞬雪が降っているのかと思います。私の家は谷間に面していて風が強いことが多いので、遠くからも花びらが飛んでくるようです。冬の雪も、春の花びらも、秋の木の葉も、舞い落ちるものは良いなと思って眺めています。






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