以前の「ひとこと」 : 2023年4月後半
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4月16日(日) 正多面体の問題(出題編)、あやとり「イヌイットの網」のアレンジ
多面体の話とあやとりの話です。
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このところご紹介しているトピックスは雑誌Quantum: The Magazine of Math and Scienceからのものばかりですが、今日のものもそうです。Vol.1 No.2 p.51 の“11th Tournament of Towns” という記事に載っていた問題です。
正多面体の頂点のいくつかに印を付けて、どの面を選んでもその面の頂点の少なくとも1か所には印が付いているようにしたいのです。最低いくつ印を付ける必要があるでしょうか? という問題です。例えば正四面体なら1つの頂点に印を付けると3つの面をカバーできますが、4つ目の面には届きません。下の図1で、正四面体の1つの面を床に接するように置いて三角錐だとみなすと、三角錐の上の頂点に印をつけると(赤い色にしました)三角錐の3つの側面は印が付いた面になりますが、三角錐の底面の頂点には印がありません。
図 1:正四面体 なので題意を満たすためには最低2つの頂点を選ぶ必要があります。逆に、任意の2つの頂点に印をつければそれで十分です。
立方体と正八面体も、2つあれば十分であることがわかります。簡単なので図示してしまいます。ただしこの場合は「任意の2点」ではダメで、最も離れた2点である必要があります。
図 2:立方体 図 3:正八面体 それでは正十二面体だったらいくつの頂点を選ぶ必要があるでしょうか? 正二十面体だったらどうでしょう?
図 4:正十二面体 図 5:正二十面体 (つづく) ○
「イヌイットの網」のちょっとしたアレンジですが、ナウルの太陽から人差し指を半回転ひねって「イヌイットの網」を取ってみました。
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hh230416-1
- 人差し指の構え
- ナウルの太陽(人差し指を外す前まで)
- 人差し指を向こうへ半回転ひねる
- 親指を人差し指の輪に上から入れ、小指の手前の糸を取る
- 以下「イヌイットの網」
一昨日ご紹介したこちらは、上の手順2.の「ナウルの太陽」をやらないものでした。
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hh230414-1a 「ナウルの太陽」や、それに類似の完成形になる「ガイアナの星」から「イヌイットの網」を取る、というのは2年前に「パターンあやとり」の研究を始めたころに最初に試していたものでした。
○
ちょうど1か月ほど前、こちらで「眠れぬ夜はケーキを焼いて」というコミックエッセイを妻が気に入って買ってきたという話を書きましたが、3巻目が4月13日に発売になったようです。
これは買いに行かないと。
<おまけのひとこと>
昨日はお昼にサイゼリヤに行ったのですが、ついワインをたくさん飲んでしまって、妻の運転で帰宅してすぐに寝てしまって気が付いたら夕方でした。(ワインはグラスで7杯分飲みました。)おかげで更新が2日分まとめてになってしまいました。
4月17日(月) 線分の繰り返し操作、あやとり「鼓(つづみ)の構え」
図形の話とあやとりの話です。
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昨日の正多面体の話は置いておいて、別のトピックです。これも雑誌Quantumからの話題です。Vol.5 No.2 p.23 (M.Kontsevich)の出題です。
長さ1の線分が3本繋がった折れ線図形ABCDを考えます。角Bと角Cは変化しますが、線分の長さは常に1で一定です。
図 1:3本の線分 言い換えると、点Bと点Cは固定されていて、点Aと点DはそれぞれBとCを中心とする単位円上にあります。
図 2:3本の線分 以下、点Aと点Dを下記の手順で交互に移動します。
図 3a:点Aを直線BDに対して対称な点に移す 図 3b:点Dを直線ACに対して対称な点に移す まず点Aを、直線BDに対して鏡像対称な点A'に動かします(図3a)。A'Bの距離は1のままです。移動後の点を新たにAと呼びます。続いて点Dを、直線AC(このAは移動後の新しい点Aです)に対して鏡像対称な点D'に動かして(図3b)、この点を新たにDとします。
以下同様な手順を繰り返します(図3c、図3d)。
図 3c:点Aを直線BDに対して対称な点に移す 図 3d:点Dを直線ACに対して対称な点に移す これをずっと繰り返したらどうなるでしょう? 点A と 点D は円周上のどんな点を通るでしょう? 円周上の全ての点を埋めつくすでしょうか? それとも離散的に周期的になるでしょうか? それは初期値に依存するでしょうか?
(つづく) ○
正多面体のいくつかの頂点に印をつけて、全ての面の頂点のいずれか少なくとも1つの頂点は印が付いているようにしたいとき、最小でいくつの頂点に印をつけたら条件を満たすでしょうか? という問題をご紹介しています。
正十二面体 1頂点で3面をカバー 正十二面体の頂点の次数は3です。3つの稜が集まっており、3つの面に含まれます。ということは12の面をカバーするためには、少なくとも点は4つ必要です。4つで十分でしょうか?
正二十面体 1頂点で5面をカバー 同様に、正二十面体の頂点の次数は5です。ということはやはり、全ての面をカバーするには少なくとも印をつける点は4点必要です。4つで足りるでしょうか?
(つづく) ○
今日から新しいあやとりの構えのシリーズを始めたいと思います。こんな構えを試してみたのです。かたちから「鼓(つづみ)の構え」と呼ぶことにしました。
机の上広げてみるとこんなかたちになっています。
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hh230417-2 ここからいくつかのあやとりを取ってみました。
(つづく) ○
とても残念なことがありました。隣町の富士見町の本屋さん、アグリモールというショッピングモールの中にあった「今井書店」さんが3月末で閉店してしまっていました。これまでこの書店の店頭で出会った良い本をたくさん買わせていただいていました。本屋さんという業態を必要とする人がどんどん減っているのだな、と、とても悲しく思っています。別に今初めて気が付いたことではないですが。
<おまけのひとこと>
この4月から勤務先で職場が変わったのですが、今日は午前中に新しい職場で自分の仕事の内容の紹介をする時間を2時間頂いています。資料や話したいことがたくさんありすぎて(スライドが30〜50枚くらいのプレゼンテーションのファイル3つくらいまでは絞りました)、どこからどう説明しようか、どこを省略してどこを丁寧に話そうか、まだ迷っています。伝えなければいけないメッセージは「この職場で私の仕事はこんなに重要でこんなに役に立ちます」という事なのですが…。昔、生前の父が私のサイト「あそびをせんとや」を見て、「お前こんなものにこんなに時間を掛けて、ちゃんと仕事をしているのか」と心配されたのを思い出しますが、大丈夫ちゃんと仕事をしています。
4月18日(火) 正十二面体の頂点に印をつける、あやとり「鼓(つづみ)の構え」
正多面体の話とあやとりの話です。
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正多面体のいくつかの頂点に印をつけて、全ての面の頂点のいずれか少なくとも1つの頂点は印が付いているようにしたいとき、最小でいくつの頂点に印をつけたら条件を満たすでしょうか? という問題ですが、正十二面体は美しい解があります。
図 1 この4点で、抜けなく重複なく、12面全てにおいて1つだけ印が付いた状態になっているのです。
この4点を結ぶと正四面体の頂点になっているというのが美しいです。(対称性を考えれば当然なのですが。)
図 2 それぞれの頂点がカバーしている3つの面に色を付けてみました。
重ねるとこんな風に見えます。面を半透明に設定しているので、混色してきれいですがわかりにくいです。
図 4 今日の更新は、これらの図をご紹介したかったのでした。
では、正二十面体ではどうでしょう?
(つづく) ○
昨日ご紹介を始めた「鼓(つづみ)の構え」、最初に取ったのはこんなかたちでした。
「太陽」とはちょっと違うこのかたちが3つ並んでいるように見えるのがとても気に入っています。「パロボラチョの終了処理」と相性が良いと思ったのでした。
手順を丁寧に説明してみましたが、省略して書くと「鼓の構えから親指・小指を外側に1回転ひねってパロボラチョ」です。この表記でこのあやとりが再現できる(はず)、というのが嬉しいです。最近、本屋さんで見かけるライトノベルのタイトルが妙に長くて、タイトルを読むとその物語の設定がわかるようになっているみたいですが(ほとんど読んだことが無いので知らないのですが)、ちょっとそんな感じです。(有機化学の化合物の命名法に似ている、という気もしたのですが、それよりライトノベルのタイトルの法が類似度が高いような気がしました。)
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一昨日の日曜日に、本屋さんで「眠れぬ夜はケーキを焼いて」の3巻を買ってきました。初めてご紹介したときに気に入って引用させていただいたケーキ型にクッキングシートを入れる図、
「眠れぬ夜はケーキを焼いて」第1話より 3巻の中にも3回くらい出てきました。作者の方もこの絵が気に入っているのではなかろうかと親近感を覚えています。
<おまけのひとこと>
正多面体の問題、長引かせてしまってすみません。
4月19日(水) 多角形問題のパズル化、あやとり「鼓(つづみ)の構え」
多角形の問題の実物を頂いた話とあやとりの話です。
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10日ほど前に、「2つの合同な五角形で五角形を作って下さい」(できた五角形は元の2つの五角形と相似である必要はありません。凸五角形でなくてもかまいません。)という問題をご紹介して、そこから「2つの合同なn角形でn角形を作る」という問題に一般化する話をしてきました。nが奇数の場合、美しい系列の解があることを結論としてこの話をおしまいにしていました。
合同な13角形2つで13角形をができ、4つで正方形ができる そうしたらなんと、パズル工房「葉樹林」のOshoさんがこの系列のかたちの木製のタイルを作って下さったのです。しかもたいへんご親切にもそれを送って下さって、昨日受け取りました。
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合同なn角形2つでn角形になっている奇数角形4枚による正方形:葉樹林さん作成 これが感動的に美しいのです。4種類の樹種でカットされたものを組み合わせて下さっています。ちゃんと木目の方向が揃っているのが美しいです。(写真では色の向きを合わせました。)配色も、淡い色と濃い色が交互になるようにコントラストを考慮されていて、細かいところに気配りを感じます。ほれぼれと眺めてしまいます。本当にありがとうございます。感激です。
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昨日、こんな図をご紹介しました。「多面体の頂点のいくつかに印をつけて、多面体の全ての面の頂点のいずれかに印がついているようにするとき、印をつける頂点の数の最小値は?」という問題の、正十二面体の場合の解でした。
正十二面体の頂点に印をつけて全部の面の頂点に印があるようにする問題の解の例 これをいろいろな方向から見てみたくなって、回転するアニメーションを作ってみました。こちらです。(別窓で開きます。)昨日の図よりちょっと色を濃くしました(透過率を下げました)。光は三原色なので、3色のほうが素性が良いのですがここでは4色使っているのでややバランスが悪いです。また、回転させる軸も配色に対してやや対称性が低い軸を選択しました(それが楽だったので)。それでもこのCGが作れて満足です。
「正二十面体ではいくつ必要でしょう?」という問いかけに対して、メールを頂いています。ありがとうございます。図を用意したら解説を書くつもりです。(昨日の日付が17日(月)のままでしたね、というご指摘も合わせて頂きました。ありがとうございます。慌てていて直し忘れました。)
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「鼓(つづみ)の構え」、昨日は「パロボラチョの終了処理」にしましたが、よく似た終了処理である「焼け焦げた葉のククイの終了処理」にしてみました。
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hh230419-1 一見、糸の重なり具合を調整すると「太陽」や「焼け焦げた葉のククイ」そのものに変形できそうに見えますがそうではありません。「鼓の構え」の威力です。これは面白いです。
<おまけのひとこと>
「葉樹林」さんからは、実は他にもOshoさんがデザインされて作られたパズルをいくつか一緒に送っていただいて、それが面白くてついついそのパズルで遊んでいたら今日は時間がなくなってしまいました。今日のお昼までにやります、と自分で納期を宣言した仕事があるのですが、ぎりぎりです。(黙っていればよいものを、つい「火中の栗を拾いに」行ってしまったのです。)
4月20日(木) 多角形問題のパズル化(その2)、あやとり「鼓(つづみ)の構え」
多角形の問題の実物を頂いた話のつづきとあやとりの話です。
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「2つの合同なn角形でn角形を作る」という問題の解の形状の木製タイルですが、葉樹林さんからこちらの七角形の矢印のようなピースも頂いたのです。
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合同な7角形2つで7角形を作れるタイル:葉樹林さん作成 この、矢印のようなエンゼルフィッシュのようなかたちが気に入っています。これ4枚で正方形になる、というのは知らないとすぐには思い付かないのではないかと思います。
加工精度が良いので立たせてみたり、
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さらにその上に載せてみたり。
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きれいに並べてみても面白いです。飽きません。
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「鼓(つづみ)の構え」、今日は「イヌイットの網」です。
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hh230420-1 まあこうなるよね、という仕上がりです。
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先日、16日(日) にお散歩をしたときに見かけた鳥の写真を取ってみたのです。
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ジョウビタキ 調べてみると、これはジョウビタキのオスのようです。冬の間だけ日本に渡ってくる冬鳥らしいです。画像の鳥の部分を切り取って画像検索すると、ちゃんとジョウビタキだと教えてくれます。便利になったものです。
<おまけのひとこと>
今日の更新、サーバに転送するのを忘れていました…
4月21日(金) 正多角形の面積比の問題、あやとり「鼓(つづみ)の構え」
正多角形の面積比の問題の話とあやとりの話、他です。
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問題のご紹介だけして解説を書いていないものが2つほど残っていますが、図の準備ができていないので今日も新しい問題です。これは易しいと思います。
正八角形の向かい合う平行な辺の両端を結ぶ対角線によって切り取られる四角形(図の色を付けた部分)の面積が正八角形のちょうど半分になっていることを示して下さい。
正八角形全体と赤い四角形の面積比は? さらにこの問題を正n角形に拡張してみます。nが6以上の偶数の正n角形(正偶数角形)を考えます。向かい合う平行な1組の辺の両端を結ぶ赤い四角形の面積は、もとの正n角形の面積を1としたときにいくつになるでしょう? (nが奇数の時は向かい合う平行な辺の組みは存在しません。)
正n角形全体と赤い四角形の面積比は? ちょっと易しすぎるでしょうか… でも面白いと思ったのでご紹介することにしたのでした。
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葉樹林さんから頂いた多角形のタイルをいじっていたら、こんなパッキングパズルを思い付きました。
4枚の合同なタイルを平行四辺形の枠に入れて下さい やってみるとものすごく易しいパズルですが、直感的には入れるのが難しそうに見えないでしょうか? 解はこちらです。ちなみに実物の写真はこちらです。(いずれも別窓で開きます。)
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「鼓(つづみ)の構え」、今日は「アムワンギヨ」です。
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hh230421-1 「小さいアムワンギヨ」とか「アムワンギヨ」との相性が良い開始処理だと思います。
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昨日、妻が実家に用事があって日帰りで出かけていたのですが、「あなたにおみやげをもらった」と、こんなタオルを渡してくれました。壁に飾ってみました。
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作曲家のデザインのタオル 面白いです。ありがとうございました。
<おまけのひとこと>
会社から支給されたSDG'sオフィシャルバッジ、今確認しようとしたら行方不明なのです。3月30日の出張で付けたのは覚えているのですが(出張先の雑談のネタになったので)、今見たら定位置に無いのです。まずい…
4月22日(土) 正多角形の面積比の問題(解説編)、あやとり
正多角形の面積比の問題の解説とあやとりの話、他です。
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葉樹林さんに作っていただいた木製タイルで遊んでいます。こんな風に八角形に並べてみるのが楽しいです。
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写真 1 この矢印の頭の部分の角度、なんとなく72°っぽいなあと思って並べてみました。なんだか5つでちょうどぴったり360°になるような気がしたのです。もちろんそんなはずはないのですが…(正五角形は格子点上に全ての頂点が乗ることはありません)。
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写真 2 このタイルの頂点はこんな格子点上にあります。
7角形のタイル ということは、この角度の正接(tan)は3です。逆関数を求めてみると tan-1(3) = 71.5650… (deg)でした。72°に極めて近い角度です。面白いです。これ、ひょっとして72°(円周の5分の1)を近似的に求める簡易的な手法として使えるのではないかと思いました。
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昨日のこの正八角形と四角形の問題の簡単な解説です。
正八角形全体と赤い四角形の面積比は? まず、この赤い四角形は長方形です。なぜならばこの正八角形の外接円を考えると、この四角形の2本の対角線は外接円の直径であり、中心から4つの頂点までの距離が外接円の半径です。対角線の長さが等しく、かつ2本の対角線が互いに他方を二等分するのは長方形特有の特徴です。
図 1 ここで、下の図2の赤い二等辺三角形は正八角形の面積の8分の1であることは明らかです。
図 2 長方形を2本の対角線で4つの二等辺三角形(鋭角二等辺三角形2つと鈍角二等辺三角形2つ)に分けると、
図 3 鋭角二等辺三角形(赤)と鈍角二等辺三角形(黄色)の面積は同じです。(図4のように見ると、底辺の長さと高さが同じです。)
図 4 以上により、問題の赤い長方形は図2の赤い二等辺三角形4個分ですから、問題の長方形は正八角形の8分の4イコール 2分の1 の面積なのです。
同様に、nが偶数の時の正n角形と赤い四角形(長方形)の面積比ですが、
正n角形全体と赤い四角形の面積比は? 正n角形の面積を1としたとき、長方形の面積は n分の4 になります。結果の数値が特にきれいなので正八角形で出題されたのですね。正八角形の場合、直感的に赤い長方形が半分に見えるでしょうか?
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あやとりです。左手は手前から普通に、右手は向こうから逆に(あたかも小指が親指であるかのように)取るあやとりを今月初めにご紹介しましたが、「ガイアナの星」で同じことをやってみました。
これでカロリン展開すると上下が逆になってしまいますが・・・(すみません)。
ちなみにちょっとバランスを変えるとこうなります。「猫の顔」と呼んでみました。
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hh230422-1b:猫の顔 いまひとつ、かな。
<おまけのひとこと>
会社から支給されたSDG'sオフィシャルバッジ、妻が「ジャケットの襟につけっぱなしだよ」と教えてくれました。定位置に片付けないといけないですね。
4月23日(日) パズル「Double Spot」、覆面算(その1)、あやとり
パズルのご紹介とあやとりの話です。
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ちょっと面白い問題を知ったのでご紹介です。覆面算です。2問あります。
覆面算 1(4の転回) 覆面算 2(5の転回) それぞれの問題で伏せられている文字(アルファベット)が対応している数字はもちろん無関係です。(覆面算1の A と 覆面算2の A はたまたま同じ数字になるかもしれませんし違うかもしれません。)異なる文字は異なる数字に対応します。最上位の桁(文字Aおよび文字F)はゼロにはなりません。それぞれの問題で、A〜F には、既に明かされている数字(覆面算1なら4、覆面算2なら5)が使われているかもしれません。
これの何が面白いかというと、6桁の数字に4を掛けたり5を掛けたりすると、末尾の数字が先頭に移動する、という計算になっているのです。
末尾の数字が先頭に来る この覆面算、掛ける数字が4と5以外では解が無いと思います。覆面算の前提である「異なる文字は異なる数字を表す」という条件を外すと、4のほうは別解がありました。
(つづく) ○
葉樹林さん作の “Double Spot” というパズルを遊んでみたらものすごく面白かったのです。葉樹林さんのサイトの商品一覧の中にあるNo.1223 Double Spotです。商品紹介画像を縮小したものをここに引用させていただきます。
Double Spot (c)2023 Osho 8つのピースを枠に入れるパズルです。2マス分隙間ができます。この2マスに現れる色を同じにしてください、というパズルなのですが、これが難易度が絶妙なのでした。手元のパズルで「失敗例」の写真を撮ってみました。(いつもはピースの構成などがわかりやすいように画像処理するのですが、今回は逆に雰囲気だけが伝わるようにピースの境界がわかりにくい画像になっています。)
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Double Spot (c)2023 Osho 我が家ではA-Puzzle-A-Dayという、一昨年の6月に「父の日」のプレゼントに子供たちから貰った箱詰めパズルを毎日解いています。あと2か月で2周目が完了します。妻が先に(前日の午後くらいに)挑戦して解いてくれることが多いのですが、忙しかったりして解かれていない時は私が解いています。私が解くのは週に1〜2回くらいです。
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A-Puzzle-A-Day 上の画像は先週の18日〜21日の4日間のときのパターンです。外してある2ピースを入れ替えるだけで解けるのですが、2周目の今年はこういう「翌日(以降)が楽になる解」を求めるのを目標にして解いています。(ちなみに3月も同じパターンが使えました。上の画像で、1ピースをひっくり返すだけで4月が3月になります。)
「2か所空所を作る」というところが共通ですが、Double Spot のほうは、同じ色が4マスに塗られていて、そのうち解があるのは1組だけなのです。また、ピースは裏返せません。(A-Puzzle-A-Dayは裏返しOKです。)妻にも手伝ってもらって、Double Spot は一応全ての色の解を見つけました。ピースの色や質感も良いので、手元に置いてなんとなくいじっています。これは本当にお勧めです。
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「鼓(つづみ)の構え」、「ケルトのタペストリー」をやってみました。
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hh230423-1 「ケルトのタペストリー(Joseph Ornstein)」は大好きな現代あやとり作品です。(「伝承あやとり作品」に対して、作者がわかっている20世紀以降の創作あやとり作品を勝手に「現代あやとり作品」と呼ばせてもらっています。)いろいろアレンジしてみると楽しいです。
<おまけのひとこと>
昨年購入したタブレット端末(Androidです)の動作が安定しなくて困っています。だましだまし使ってきたのですが、遂に耐えかねて昨日工場出荷時の状態に初期化しました。多少改善したような気がします。その前に使っていたタブレット(これもAndroidです)のほうが遥かに安定していました。ただそれは充電中に落下させてしまってコネクタが曲がってしまい、接触を探りながら使っていたらついにピンが折れてしまって充電できなくなってしまったのです。タブレットはこれが3代目なのですが(3台目)、新しいものほどハードウェアのスペックが高くなっているのに、ソフトウェアの要求が高くなっているため、反応はどんどん遅くなっている気がします。PCはできるだけ高スペックのものを使うようにしているのですが、タブレットもそうしないとダメかな…
4月24日(月) パラサイト数(その1)、あやとり、他
「パラサイト数」という概念のご紹介とあやとりの話です。
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昨日、こんな覆面算をご紹介しました。
覆面算 1(4の転回) 覆面算 2(5の転回) 覆面算1の解をこちら、覆面算2の解をこちらに用意しました。(別窓で解の画像だけを表示します。解き方の解説はしていません。)
このように、「ある(1桁の)数を掛けると、末尾の桁の数字が最大桁の位置に移動するような数」をパラサイト数(寄生数:Parasitic Number)と呼ぶそうです。下の例は2を掛けているので2-パラサイト数です。
覆面算1の解(積ではなく掛けられる数)は4-パラサイト数、覆面算2の解は5-パラサイト数といことになります。なお、覆面算1で「異なる文字は異なる数字に対応する」というルールを無視すると、
179487 × 4 = 717948 という解も出てきます。7が2回出てきてしまうので覆面算の解としては不正解ですが、この179487という6桁の数も4-パラサイト数の例です。
実はこれらのパラサイト数、調べてみると面白いのです。今回、6桁のパラサイト数を3つご紹介したことになりますが(桁数の多い2-パラサイト数はとりあえず忘れて)、この3つのパラサイト数は以下のように表すことができるのです。
4-パラサイト数(上の例) 4-パラサイト数(覆面算1の解) 5-パラサイト数(覆面算2の解) 有名な、1001=7×11×13 という素因数分解が関係しています。特に上の3番目の5-パラサイト数を2倍、3倍、4倍…してみると面白いです。
(つづく) ○
ここ数か月、大流行しているChatGPTなどのLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)ベースのAI対話システムですが、マイクロソフトの検索エンジン Bing で対話型の検索が提供されていて、ちょっと試してみています。「覆面算 ABCDEF×4=FABCDE を解いてください」と入力したら、デタラメな解を返してきて、しかももっともらしい解き方の解説を答えてきました。対話により修正を試みましたが無理でした。(「すみません、覆面算のルールは複数あるのですね」とか答えてくるのですが、そもそもそれ以前に計算が間違っているし、1つの問題の中で同じ文字に違う数字が当てはめられているし、しかも1つの文字が二桁の数字になっていたりするし、やめてほしい…)
パラサイト数についても尋ねてみました。対応する英語も一緒に記載したところ、英語のサイトをいろいろ探してくれましたが、相変わらずいきなりウソをつきます。
例えば、4によって掛け算をすると、142857の末尾の7が先頭に移動して571428になります。このような数は4-パラサイト数と呼ばれます。 ちょっと待て。移動しているのは末尾の7だけではなく、末尾の2桁の57だろう。これは4-パラサイト数じゃない。
過去に人間が書いた、出版された査読付きで内容が保証されている研究論文の蓄積があるような分野であれば大規模言語モデルでそれらしく内容をまとめた回答ができるのですが、そういった情報の蓄積がない分野では酷い結果になるということがよくわかります。もちろん便利に使えるところはたくさんあります。
道具は、現時点でのその能力と限界を把握した上で便利に使いたいものです。また技術はどんどん進化するでしょうから、「こんなことも出来ない、まだ未熟で使えない技術だ」と見下して使わないのはもったいないと思います。でも率直に言って、ホワイトカラーの仕事を奪うにはまだまだ能力不足ではないかなあと感じます。LLMの出力を盲信して知ったかぶりをすると大恥をかくかもしれません。気を付けようと思いました。
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7角形のタイルをきれいに並べて遊んでいます。
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写真 1
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写真 2
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写真 3 楽しい…
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「鼓(つづみ)の構え」からもう1つ。内側3本指で「ガイアナの星」です。これも好きな手順です。
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hh230424-1 このあやとりの真ん中の部分、なかなか良いなと思いました。
<おまけのひとこと>
気温の変化が激しくて、体調管理が大変です。今朝も霜の朝になりそうです。(今日の更新は午前2時半くらいに書き始めて、今4時を回りました。そろそろ朝ごはんと今日の仕事の準備を始めます。)
4月25日(火) コンパスと定木の「定木だけ」の問題、あやとり
幾何の作図問題とあやとりの話です。
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昨日のパラサイト数の説明を書く時間がなくて、今日は別の話題です。
ユークリッド幾何学では、定木とコンパスでの作図を行います。この2つの道具で出来ることは定義されていて、2点が与えられたとき、
定木は2点を通る直線を引くことができ、
コンパスは1点を中心としてもう1点を通る円を描けます。
この前提で、以下の2問を考えてみてください。
問題1:長さ1の線分が与えられたとき、定木とコンパスで√7の線分を作図してください。
問題 1:定木とコンパスで√7を作図 問題2:1辺の長さ1の正六角形が与えられたとき、定木だけで√7の線分を作図してください。
問題 2:定木だけで正六角形から√7を作図 問題1のほうは中学の数学の教科書のコラムみたいなところに載っていたような記憶があります。
(つづく) ○
あやとり、「鼓(つづみ)の構え」から「テントの幕」です。
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hh230425-1 これはいまひとつでした。
<おまけのひとこと>
また急に寒くて参りました。
4月26日(水) コンパスと定木の「定木だけ」の問題の解、あやとり
幾何の作図問題とあやとりの話です。今日も時間がなくて簡単な更新です。
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昨日ご紹介した「1辺の長さが1の正六角形が与えられたとき、定木(与えられた2点を通る直線を引く操作)だけで√7を作図してください」という問題、これを見たときにまず思い出したのが、1,√2,√3,√4(=2),√5,√6,√7,…を順に作図してゆく手順でした。
でも、このアプローチは違いそうです。正六角形がベースなので、正三角形の格子の格子点を結ぶ長さを考えてみることにします。
実は、正三角形を並べると、ここが√7になっているのです。
これに気が付くと簡単です。こちらにヒントの図(ほとんど解そのもの)を載せておきます。
○
あやとりです。このところご紹介している「鼓の構え」で、出来栄えがいまひとつだったものを2つご紹介します。(新しいシリーズの解説を準備する時間がないのですみません。)
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hh230426-1 hh230426-2
- 鼓の構え
- 全ての指を向こうへ1回転ひねる
- 二重の親指をひねらないアムワンギヨ
- 鼓の構え
- エオンガツバボ
明日は少し違った開始処理のものをご紹介できるかなと思います。
<おまけのひとこと>
雨です。やれやれ。
4月27日(木) 立方体骨格を作る問題、あやとり
多面体の問題の話とあやとりの話です。
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針金を折り曲げて1辺10cmの立方体の骨格の形を作ることを考えます。必要な針金の長さはどれだけでしょうか?
針金は切断してはいけません。針金は90°もしくは180°曲げることはできますが、切断することはできません。必要に応じて二重になる稜があってもかまいません。
また、ほかの正多面体だったらどうでしょう?
(つづく) ○
しばらく前に、「3本指のらせんの構え」という開始処理から点対称なあやとりをいくつかご紹介したことがありました。その4本指版もやってみました。
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hh230427-1:4本指のらせんの構え
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hh230427-2
- 4本指のらせんの構え
- 左手は向こうへ、右手は手前へ全ての指を1回転ひねる
- 左は手前から、右は向こうから焼け焦げた葉のククイの終了処理
「まあそうなるよね」というかたちになりました。これ、なかなか気に入っています。
<おまけのひとこと>
すみません今日も時間がなくて簡単な更新です(最近こればっかり)。
4月28日(金) 立方体骨格を作る問題の解説、あやとり、他
多面体の問題の話とあやとりの話です。
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「1本の針金を切断せずに折り曲げて1辺10cmの立方体の骨格の形を作るときに必要な針金の長さは?」という問題をご紹介しました。今日はその解説です。
立方体には8つの頂点があります。その次数はいずれも3ですから、オイラーの一筆書きの規則を思い出すと、12本の全ての稜を1回だけ通るように立方体骨格を作るなら、4本の針金が必要です。(1本あたり奇数の頂点2つを構成できるため。)
ということは、立方体の3本の稜を二重にすれば、その両端は次数4(偶点)になるので一筆書きができるようになるはずです。1辺10cmですから、12本の稜+二重になる3本で、少なくとも150cmが必要であることがわかります。
逆に150cmで可能であることが示せれば答は150cmということになります。これは例を1つ示せれば十分です。どこを二重にしても良いので(とはいえ二重にするのは同じ頂点に集まる3本の稜のうち1つだけですが)解はいくらでもありますが、例えば下の図が一例です。
他の正多面体でも同じ議論が可能です。正八面体だけは頂点の次数が4で「一筆書き」ができますから(しかも始めの頂点に帰ってきて終わるの1つの輪っかになります)稜の本数になりますが、それ以外の正四面体、正十二面体、正二十面体は全ての頂点の次数は奇数なので、立方体の時と同様な議論になります。
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あやとりの話題、ご紹介しそびれていたちょっと散発的なものになります。こんなあやとりを取ってみました。
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- 4本指の構え
- 親指の輪をつまんで外し、人差し指の輪(2本の糸)の下を通して掌付近で人差し指と中指の間から上に出し、親指にかけ直す
- 小指の輪をつまんで外し、中指の輪(2本の糸)の下を通して掌付近で中指と人差し指の間から上に出し、小指にかけ直す
- 親指・小指を内側に1回転ひねる
- タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理
上の手順4.の親指・小指の回転方向を変えても出来上がりはほとんど同じになります。このあやとりとよく似たあやとりを以前(2年ほど前)ご紹介しています。
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hh210611-1 こちらは上の手順4. に相当する段階で、親指・小指を「外側にひねる」か「内側にひねる」かで結果が変わります。上のものは外側にひねった例です。内側にひねるときれいな斜めの格子パターンになります。
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先日、久しぶりに(3年ぶりくらい)会社の同世代の友人3名で居酒屋でお酒を飲んで楽しかったのですが、帰りに最寄駅で降りる自信がなくて、カプセルホテルに宿泊したのです。翌朝6時前の始発列車で帰ってきたのですが、駅から自宅まで1時間ほど歩いてみました。
途中、以前から車で通ったときに見かけて気になっていた、河原で製作されている消波ブロックの写真を撮ってみました。
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消波ブロック(1)
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消波ブロック(2) 最初に見かけたときには型だけが並んでいて完成品は無かったのですが、だいぶ出来てきたようです。消波ブロックのかたちは魅力的ですが、大きくて重たいので遠くから眺めるのが一番いいです。
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アーサー・ランサム物語全集(全12巻)という児童文学が大好きでした。昨日の夜、妻が買い物に出て帰ってきたとき、車庫入れをしようとしたら猫がいたのだそうです。それに気を取られて、家の前の細い道の向かいの雑草が生えた土手を車でこすってしまったそうで、とてもがっかりしていたのです。(実際にはバンパーの塗装が少しはげたくらいでほとんど被害はありませんでした。まあそのためのバンパーですし。もちろん土手のほうは全く何も問題はありませんでした。)
そのときに思い出したのが、上記の第2巻「ツバメの谷」の冒頭の事件のエピソードでした。夏休みに湖水地方の湖にやってきたウォーカー兄弟の子供たちが、帆船を座礁・沈没させてしまうのです。これからの夏休みを前に借り物の船を壊して沈めてしまって真っ暗な気持ちになっている子供たちに対してジム小父さん(フリント船長)が言うセリフが「マストが折れたのかい? 船に穴も空いたんだね。まあそういうこともあるもんでね。」なのです。(うろ覚えです。)そして、(その場に居ないジム小父さんの姪の)ナンシイがいつも言うのは「(ジム小父さんの)一番素敵なところは、なぜ転んだのだと人に尋ねないところだ」という説明が書かれているのです。
事故が起こってしまって、すでに十分に後悔し反省し悲しんでいる人に向かって「どうしてそんなことになったのだ」と言わないことが大切なのだ、素敵なのだ、と学んだのでした。(でも昨夜の私はちょっと不機嫌に見えたかも、と反省。)
<おまけのひとこと>
サーバに転送するファイル名を間違えて、それを修正したりしていたら手間取ってしまいました。ブラウザのローカルなキャッシュをクリアしないと、サーバのファイル名を修正して再読み込みしても「ファイルが存在しません」になってしまって、「なぜだろう?」と悩んでいたのでした。
4月29日(土) マッチ棒のパズル、あやとり
すみません、2日分まとめての更新です。月末の週末なのでごく軽い話題です。
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こんなマッチ棒パズルを見かけました。
マッチ棒が渦巻状に並べられています。この渦巻を逆回転にしたいのです。最低何本のマッチをどう動かせば良いでしょうか?
渦巻を回転方向を逆にする マッチ棒を全部動かせば確実に逆回転にできますが、それはあまりにも非効率です。
(つづく) ○
昨日のあやとりに1工程だけ手順を加えてみました。
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- 4本指の構え
- 人差し指と中指の輪を入れ替える
- 親指の輪をつまんで外し、人差し指の輪(2本の糸)の下を通して掌付近で人差し指と中指の間から上に出し、親指にかけ直す
- 小指の輪をつまんで外し、中指の輪(2本の糸)の下を通して掌付近で中指と人差し指の間から上に出し、小指にかけ直す
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理
手順2.の「人差し指と中指の輪を入れ替える」を追加したのです。バランスの良い美しいかたちになったかなあと思っています。
<おまけのひとこと>
「4月29日と言えば天皇誕生日」というのが昭和生まれとしては染み付いていますが、それが「みどりの日」になり、今は「昭和の日」なのですね。。
4月30日(日) i(1/i)、マッチ棒パズルの答、あやとり
数学の軽い話題とあやとりの話、あと昨日のマッチ棒パズルの答です。
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i2=-1のとき、iのi乗根の値は? という問題を見かけました。
試しに検索エンジンに i^(1/i) と入力してみたら実数の値が出てきたのです。(←自分でちゃんと考えてから試すべきでした。)ん?と思って真面目に考えてみました。こういうことでした。(考え方を式で示した画像が開きます。)
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昨日のマッチ棒パズルの答をアニメーションファイルにしてみました。(別窓で開きます。)
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ここ数日ご紹介している、親指・小指の輪を1つ内側の輪の(中ではなく)下を通して戻す操作を「5本指の構え」でも試してみました。
いくつか試した中で、比較的面白いと思ったものです。
<おまけのひとこと>
今日で4月もおしまいです。