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以前の「ひとこと」 : 2017年6月後半



6月16日(金) 全ての面が五角形の多面体(その1)

 先日来、すべての面が五角形の多面体について考えています。全ての面が合同な五角形の多面体として、以下の3つが知られているという話を書きました。

正十二面体 五角二十四面体 五角六十面体

 そして、五角形が16枚の多面体をご紹介しました。これ以外にどんな五角形多面体があるんだろうと思って少し考えてみました。慣例に従って、面の数をF(Face)、頂点の数をV(Vertex)、稜(辺)の数をE(Edge)とします。

 

 まず、面の数がFなので、それぞれの面の周りに5本の稜があること、稜は必ず2つの面に属することを考えると、

E=5F/2

となります。ということは、五角形多面体の面の数は必ず偶数になる、ということです。

 次に、正十二面体よりも面の数が少ない五角形多面体はあるでしょうか? これについて考えるときにとても役に立つのが有名な「オイラーの多面体定理」です。

F(面の数)+V(頂点の数)=E(稜の数)+2

 今、面の数がFのときの稜の数Eがわかったので、オイラーの多面体定理から頂点の数Vは

V=(3F/2)+2

 となります。では、面の数を変えていったときにそれぞれの頂点に集まる稜の数(これを「頂点の次数」といいます)はどうなるでしょうか? もちろん、それぞれの多面体の構造の詳細はわかりませんので、頂点の次数の平均値を考えることにします。

 稜の両端は必ず頂点に属しますから、稜の数Eを2倍してそれを頂点の数Vで割ってやれば、平均次数が求まります。

2E/V=(10F)/(3F+4)

 Excelで表を作ってグラフにしてみました。

 通常の多面体では頂点に集まる面は3つ以上ありますから、頂点の次数は3以上です。つまり、頂点の平均次数が3以上でなければ、通常の意味での多面体にはなりません。なので、五角形多面体の中で面の数が最も少ないのが、最も対称性の高い正十二面体ということになります。美しい結果だと思いました。

(つづく)





 夕方、15時に仕事を早上がりして、整形外科に寄りました。相変わらず手のしびれが続いているのですが、「そういうものです」とのことで、次は1か月分の薬を出してもらいました。

<おまけのひとこと>
 6月17日(土)の朝に、16日(金)と17日(土)の更新をしています。






6月17日(土) 全ての面が五角形の多面体(その2)

 昨日、「五角形多面体は、通常の意味での多面体としては面の数は12面以上の偶数」という話を書きました。では「通常の意味での」という制限を外したらどうなるか、考えてみたくなりました。

 まず最初に、ただの五角形の「板」を考えます。これは頂点が5、稜が5、面の数が表と裏の2面、これが最小の五角形多面体です。でも体積がゼロなので、通常の意味での多面体ではありません。(群論では、こういう正多角形2枚を貼り合わせた「二面体群」というモデルが有名です。)

 次に五角四面体を考えてみました。むりやり折り曲げるイメージです。

図 1

 CGにしてみました。

 

図 2

 折れ曲がっている部分をつなぐと、ずっと以前ご紹介したジョンソンの多面体の26番になります。(2005年9月14日のひとこと)

再掲図

 これも面白い多面体です。前回のご紹介では(12年前ですね)、この立体の空間充填について議論しました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 過去のページでご紹介したものがいつ頃のことだったのか、探すのが大変です。今回は、「確かこの図を作ったのは子供の小学校の運動会の早朝(というか夜中)だった」という記憶があって、たぶん9月だろうと目星をつけて探しました。






6月18日(日) 全ての面が五角形の多面体(その3)

 昨日に続いて、面が折れ曲がることを許すことにして五角多面体の系列を考えてみました。まず、五角六面体です。

図 1

 上側に3面、下側に3面あります。試しに面を張ってみました(図2,図3)。

図 2 図 3

 9角錐の側面の三角形3つを1つの五角形だとみなしています。6つの(折れ曲がった)五角形はすべて合同です。昨日の(折れ曲がった面の)五角四面体も、4面とも合同でした。

 同様な発想で、上側が4面、5面、6面、7面と増やしていったときのCGを載せます。

図 4 図 5
図 6 図 7

 これらは通常の意味での五角多面体ではありませんが、面白いかたちだと思います。これで、全ての面が合同で面の数が偶数の五角N面体は網羅することができました。ただし面は折れ曲がっていますが。

 ちなみにこれらのCGは、Povrayを使って次のようなソースコードでNの値を変えてつくりました。

 相変わらずテキストではなくて画像ですみません。

 

(つづく)





 NHKのニッポンぶらり鉄道旅という番組で、「天空の恵みを探して JR中央本線・篠ノ井線・松本電鉄」が放映されたという話を聞いて、昨日(6/17)の朝の再放送を見ました。知っている場所、行ったことのあるお店が映っているのは単純に面白いです。

 この中で、諏訪の名物としてみそ天丼というのが出てきました。地域おこしで12年ほど前に諏訪周辺で考案され、15店舗が賛同してメニューに取り入れているのだそうです。地元なのに食べたことがありませんでした。ちょっと変わった天ぷらの具材が使われていたりするらしいです。一度試してみようかなと思いました。

<おまけのひとこと>
 昨日は妻が映画「未来よ こんにちは」を見たいということで、塩尻市の映画館に行ってきました。私は映画は見ずに、その時間は近くのデニーズで1時間近く粘らせてもらって、コーヒーを飲みながら上記のPovrayのプログラムを書いて実験したりしていました。






6月19日(月) gyroオペレータ:Conwayの多面体表記(その1)

 このところ、すべての面が五角形の多面体について書いていますが、以前にもご紹介した、Conway polyhedron notation(コンウェイの多面体表記法)の中の、g操作(ジャイロオペレータ:gyro-operation)というのが、すべての面が五角形になる操作なのです。

 少し詳しく説明します。例えば、三角柱(上下の面の三角形2面と、側面の四角形3面の五面体)を考えます。それぞれの稜を3等分した点(図1の赤い点)と、面の中心の点(図1の青い点)を図2のように結びます。

図 1 図 2

 図2だとちょっとわかりにくいので、途中のステップをアニメーションにしてみました(図3)。

図 3

 もともと正方形だった3つの側面は4つの五角形、もともと三角形だった上下の2面は3つの五角形に分割されていることがわかるでしょうか? このようにg操作というのは、元になる多面体の面のN角形がN個の五角形に分割される変換なのです。また、元の多面体の双対多面体に対してg操作を行っても結果は同じになります。g操作を繰り返してゆくと、面の数は5倍、5倍と増えてゆきます。

 図3の状態だと内角180度の頂点があるため、五角形ではなく四角形になっています。そこでこれを「膨らませて」、多面体らしくしてみます。

図 4 図 5

 図4、図5の赤と黄色の面が三角形由来の部分で、白、緑、水色の面がそれぞれ3つの側面を分割した五角形になります。これもアニメーションにしてみました(図6)。

図 6

 これは五角十八面体になります。面のかたちの種類は二種類です。元になった三角柱の対称性を引き継いで、三回回転対称軸を持っていますが、鏡像対称ではありません。図1の各稜を三等分するところまでは鏡像対称性を保っているのですが、図2で中心と各稜を結ぶ段階で2通りの選び方があり、ここで鏡像対称性が失われます。

(つづく)





 しばらく前、NHK-FMのきらクラ!(気楽にクラシック)の『メンバー紹介』という、「組曲やシリーズの中の有名な曲以外の知られざる名曲を紹介するコーナー」で、シベリウスのピアノ曲の「木の組曲」が紹介されていました。「シベリウスの『樅の木』が有名ですが、木の組曲の中のそれ以外の曲は…」という紹介だったのですが、私は有名だと言われる「樅の木」をそもそも知りませんでした。

 「樅の木」はちょっとメランコリックな美しい曲で、難易度もそれほど高くなさそうでした。そのうちに楽譜を見つけて弾いてみようかなと思いつつ、なんとなく忘れていました。「きらクラ!」は日曜日の午後の本放送を聴き損なうことが多くて、月曜日の朝の出勤時に高速道路を走りながら聴くことが多いのです。会社に着いて一週間の仕事が始まると、ラジオの内容がすっかり頭から消え去って、次の週の放送を聴いて、「あ、そういえば先週は…」と思い出す、というパターンが多いです。

 昨日の日曜日の朝、シベリウスの「木の組曲」のことを思い出して、とりあえず自分の楽譜の棚でシベリウスの楽譜を探してみました。1冊だけ、全音の「シベリウス・ピアノアルバム」という楽譜がありました。取り出してみたら最初の5曲が「木の組曲」で、「樅の木」の楽譜もちゃんとありました。ちょっと弾いてみたら、妻が「なんだかシャンソンみたいな雰囲気の曲だね」と言っていました。

 楽譜の裏には「book-off 100円」という値札が貼られていました。私はブックオフに行くと、楽譜の棚を見て、安くて持ってない楽譜があると買ってしまうことがあります。そうやって買った楽譜は、買ったことで満足して忘れてしまっていたりします。この「シベリウス・ピアノアルバム」はいつどこで買ったのか憶えがないのですが、買っておいてよかったと思いました。(物を減らしたいと思っているはずなのに、なんだかいろいろ間違っているような気がします。)

 同じ日の放送で、ハチャトゥリアンの子供のアルバム 第1集「少年時代の画集」からの1曲が紹介されていました。これも知りませんでした。これは楽譜は持っていませんでしたが、楽譜が欲しいなあと思いました。

<おまけのひとこと>
 昨日の父の日に、娘がメールをくれました。うれしかったです。






6月20日(火) gyroオペレータ:Conwayの多面体表記(その2)

 昨日ご紹介した多面体のジャイロオペレータの操作(g操作)ですが、三角柱に対してg操作したCGをご紹介します。

図 1

 出発点の三角柱P3(面5、頂点6、稜9)です。P3というのはコンウェイの多面体表記法で、P(Prizm)が角柱を表し、P3で三角柱を表します。これにg操作を一回施すと、gP3という表記になります。これは面18、頂点29、稜45の多面体で、五角十八面体になります。

図 2 図 3

 図2は元々の三角柱の三角形の面の方向から見たところで、3回回転対称になっています。図3はもともとの三角柱の側面から派生した4つの五角形の集まる次数4の頂点が見えています。

 このgP3:五角十八面体に、さらにg操作を施しました。面の数は5倍になって、面90、頂点137、稜225のggP3:五角九十面体になりました。

図 4 図 5

 図4は次数3の三回回転対称軸方向から見たところ、図5は次数4の頂点から見たところです。それ以外に、次数3や次数5の頂点がそこかしこに見えています。

 今回、昔作ったこういったCGを簡単に生成するプログラムに手を入れて、特定の頂点方向から見たCGを簡単に生成するようにしてみました。いろいろ面白いCGが作れて満足です。

(つづく)





 ビオラ・ダ・ガンバ奏者の小池香織さんの門下生の発表会が、立川で7月8日(土)午後に開催されます。「門下生&立川近辺在住奏者中心による〜」ということなのですが、

図 6

 私はお誘いいただいたので、門下生でもなければ立川近辺在住でもないですけれども、ずうずうしく発表会で1曲演奏させていただくことにしています。

 「ヘンデルのフルートとヴァイオリンのためのトリオソナタ ロ短調」でフルートを吹かせていただきます。通奏低音の鍵盤は妻が、ヴァイオリンは飯田市のMさんが担当で、ガンバの発表会ということで、Mさんが小池さんにお願いして、ガンバの通奏低音パートを演奏して下さる方を探していただきました。

 先週末の日曜日に、ガンバを弾いて下さる横浜のSさんが、わざわざ長野県までリハーサルに来てくれました。朝7時前にご自宅を出られて、私と妻が中央本線の茅野駅まで車でお迎えに行って、そこから私の車で一緒に飯田まで移動していただきました。飯田に着いたのは11時半過ぎで、ご自宅を出られてから実に片道4時間半以上です。それから少し早めの昼食をとって、その後2時間半ほどみっちり練習をさせていただきました。

 Sさんは大変お若い方で、平尾雅子さんの御弟子さんということで、大変お上手な方でした。アンサンブルは自分より技術が上の方と合わせて頂くととても楽しいですし勉強になります。なので、私はとても演奏しやすく充実した練習ができたのですが、Sさんにとっては、控えめに言ってもおそらく音楽的に得るものがあったとは言い難いだろうな、と申し訳なく思いました。

 それでも、「この曲はとても良い曲で、この曲が演奏できてうれしい」とおっしゃって下さいました。大きな楽器(7弦のバスガンバ)を持っての長距離の移動でとても大変だったと思うのですが、いらしていただけて本当に感謝しています。当日の演奏がとても楽しみです。

<おまけのひとこと>
 6月20日(火)の早朝に、2日分の更新をしています。






6月21日(水) gyroオペレータ:Conwayの多面体表記(その3)

 昨日に続いて、五角柱(P5)にg操作を施してみました。

図 1

 五角柱P5(面7、頂点10、稜15)です。一般にN角柱は、面がN+2、頂点が2N、稜が3Nになります。オイラーの多面体定理(面+頂点=稜+2)のとてもわかりやすい例です。

図 2 図 3

 図2、図3はgP5、面30、頂点47、稜75の五角三十面体です。元々の五角柱の面が、五角形の面は5つの五角形、正方形の側面は4つの五角形に置き換わっているのがわかると思います。横から見ると(図3)、上下に尖ったレモンのようなかたちです。

 さらにもう1回g操作をして、ggP5:五角百五十面体を描いてみました。面150、頂点227、稜375です。

図 4 図 5

 図4はもともとの五角柱の五角形の面の方向から見たところ、地球儀なら地軸方向から北極を見下ろしたところです。図5は地軸を真横から見たところです。

 いつも、CGで生成した画像は色数を256色(8bit)に減色して、可逆圧縮のpng形式にしているのですが、昨日と今日のCGの画像はjpeg形式にしました。そのほうが画像のサイズも小さいし、きれいだったのです。

 それにしても、図4や図5のCGはオブジェクト数が600くらいあるのですが(227の頂点には球を、375の稜には円柱を配置してCGにしています)、これを数秒で描画してくれるのでとても嬉しいです。その昔の8bitや16bitのパソコンだと、もっとずっと少ないオブジェクト数のCGでも、ものすごく待ち時間が長かったりしました。320×240画素のレイ・トレーシングを計算させると一晩かかったりしました。こんな画像が手軽に自宅でホイホイ作れるなんて、計算機の進歩はありがたいです。

(つづく)





 NHK-FMのきらクラ!(気楽にクラシック)の先週の『きらクラDON!』(クラシックのイントロクイズ)は、ヘンデルの「調子のよい鍛冶屋」でした。その前の週は「人形の夢と目覚め」でした。いずれもすぐにわかったのですが、応募するのを忘れていました。それどころか今週は、仕事でいつもよりはやく出社しなければいけなかったので、いつも聴く月曜の朝の再放送が聴けず(放送開始の朝7時25分にはすでに仕事を始めていました)、いつも楽しみな回答者のメッセージが聞けなくて残念でした。もちろん次回の出題も聴けませんでした。

<おまけのひとこと>
 このところほぼ毎日、妻とチェスを指しています。だいたい私が勝つのですが、昨夜は私がうっかり見落として、ビショップでルーク2つをフォークされてショックでした。思わずそこで投了しそうになりました。でも、そういう手を見逃さず指してくれるのはとてもありがたいです。






6月22日(木) 折り紙の「リボン」:不切正方形一枚折

 図書館で「なつかしくて新しい折り紙の教科書」(宮島登)を借りました。不切正方形一枚折の面白い作品がいくつかあって、折ってみたかったのです。今日明日の更新は、この本の中から2作品を折ってみたものをご紹介します。

図 1 図 2

 折り紙の「リボン」です。このかたちが切れ目を入れない正方形1枚から折れるのは感動的です。

 この本には「古典」「初級」「中級」「上級」の4つの章があって、この「リボン」は中級の最初に紹介されている作品です。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 6/22と6/23の2日分を慌ただしく簡単に更新しています。






6月23日(金) 折り紙の「木」:不切正方形一枚折

 昨日に続いて「なつかしくて新しい折り紙の教科書」(宮島登)から、折り紙の「木」です。

図 1 図 2 図 3

 これは「初級」の章で紹介されている作品です。図1が自立させたところ、図2は横倒しにしてみたところ、図3は裏側です。これは15cmのふつうのサイズの折り紙で折りましたが、もう1つ、7.5cmの一回り小さな折り紙でも折ってみました。なんだかお菓子の「きのこの山」みたいです。

 これは折り紙の両面を生かしたデザインなので、両面二色折り紙を使うとよさそうです。

<おまけのひとこと>
 ちょっと空いた時間などに折り紙を折るのは楽しいです。






6月24日(土) 九州出張

 先週末、仕事で慌ただしく九州に出張してきました。目的地は佐賀県の鳥栖市です。6月22日(木)の午後から夜にかけて移動して前泊し、23日(金)に打合せがあって、その日のうちに長野県に戻るという日程でした。

 いつも木曜日の朝に、大変多忙な上司に30分だけ時間を取ってもらって一週間の仕事の報告と相談をさせてもらっています。なのでいつも木曜日は他の日よりも1時間くらい早く出社することにしています。 22日(木)の朝は6時半過ぎには会社に着いて、お昼までしっかり仕事をした後、いったん自宅に戻って着替えたり出張の準備をして出かけました。

 今回、行きは15:03に塩尻で特急「しなの16号」に乗って名古屋で17:09発「ひかり477号(岡山行き)」に乗り継ぎ、新神戸で18:22発「さくら569号(鹿児島中央行き)」に乗り換えて、最後に博多で21時ちょうど発「かもめ49号(長崎行き)」に乗る、というプランでした。結果的には予定の列車にすべて遅れずに乗れたのですが、いずれも乗り換え時間が短く、ひやひやしました。(ちなみに新大阪ではなく新神戸で乗り継いだのは、乗換が同じホームで済むためです。)

 特に最初の特急「しなの」が途中で5分ほど遅れて、乗換がぎりぎりかなあと不安になりました。今回、せっかくの機会なので新幹線「さくら号」に乗ってみたかったので、あえて博多行きの「のぞみ」を予約しなかったのですが、17:09発の「ひかり」ではなく、4分後の「のぞみ45号(博多行き)」を素直に予約しておけばよかったかなあとちょっと後悔しました。

 幸い、最終的には遅れをかなり挽回してくれて、2分程度の遅れで名古屋に到着しました。おかげで予定の「ひかり477号」に余裕で間に合いました。新幹線の改札を通ったところで、ハンカチを落としてしまったのですが、黒いTシャツの若い男性が「落としましたよ」と拾って声を掛けてくれました。ありがたかったです。

 新幹線「さくら号」は2列ずつの4列シートなので、3列2列の5列シートの「のぞみ」よりも座席がゆったりしていて快適でした。乗り換えた甲斐がありました。西に向かっているので、いつもよりも日没も若干遅い感じがして、だいぶ遅くまで周りが明るかったです。

 もう1つ、新幹線「さくら号」に興味があった理由は、最近4コママンガの「黒猫の駅長さん」が気に入って読んでいるからなのです。

図 1

 

 つい最近完結した全3巻の作品です。近所の本屋さんでは発刊されたばかりの新刊しか入手できないので、実はまだ3巻だけしか持っていないのですが、いずれ1巻、2巻も入手したいと思っています。実在したJR山野線(1988年に廃線になったそうです)をモデルにした、JR野山線の駅を舞台に、高校生の女の子が通学で水俣で乗り換えて鹿児島中央まで新幹線で通う、という設定のお話です。登場人物も少なく、家族しか出てこないですし、やや重たい家族の人間関係のエピソードがありますが、基本は淡々としたストーリーです。ただ、鉄道に関する描写が細かくてマニアックで、ごくごく軽度の鉄道ファンの私が見ても感心する、楽しい描写がたくさんあります。

 ちょっと検索するといろいろ感想のページがみつかりますが、こちらとかが詳しかったです。(いわゆる「ネタバレ」で、内容の詳細が書かれています。)

 …それはともかく、若干遅れて博多に到着し、初めての「かもめ号」に乗りました。指定席は6両編成の2両目でした。発車5分前くらいにホームに着いたので、とりあえず先頭車両の写真だけ慌ただしく撮って乗り込みました。

図 2

 わずか20分の乗車時間でしたが、車両内のつくりもシートの設計も日頃乗り慣れた特急車両とは全然違っていて、とても楽しかったです。九州の鉄道を利用する旅行を計画したいなあと改めて思いました。

図 3

 翌朝の鳥栖駅の写真です。帰りは新鳥栖駅から新幹線を利用して、夜遅く自宅に戻りました。結局仕事以外のところには食事も含めてどこにも寄りませんでした。やはり改めて個人旅行で行かないといけないなと思いました。

 帰りは素直に博多から名古屋までは「のぞみ」に乗りました。名古屋では車内放送があったタイミングで、はやめに席を立ってデッキに移動したのですが、車両のドアの付近から立ち上がった私より少し上の年代の女性が、掛けてあった傘を忘れたようだったので、追いかけていって「傘をお忘れになったのではないですか?」と声を掛けたら、お礼を言っていただけました。前日に自分が名古屋でハンカチを落として拾ってもらったことを思い出しました。お互い様、と思いました。





 出張疲れで24日(土)は一日家にいようと思っていたのですが、市立図書館から電話があって、一週間延滞している本に予約が入ったので急いで返却してください、ということだったので、あわてて返しに行ってきました。急いでいたので「図書館利用カード」を持っていくのを忘れてしまって、次に借りたい本があったのですが借りられませんでした。

<おまけのひとこと>
 6月25日(日)の朝に、24日(土)と25日(日)の2日分を更新しています。






6月25日(日) 菱形から折る「鶴」

 最近、菱形の用紙から折る折り紙に興味を持っています。長方形から折る折り紙作品は、笠原邦彦、前川淳など、著名な折り紙作家の方の本が出版されていますが、菱形の用紙から折り始める折り紙というのは、普通に出版されている折り紙の本などでは見かけません。例えば「折り紙の数理と科学」(2005年4月、森北出版、原編集:Thormas Hull、監訳:川崎敏和)の第6章「折り鶴の幾何」(川崎敏和)には、冒頭に菱形から折る折り鶴の話が出てきます。また、もっと古くは伏見康治「折り紙の幾何学」(1984年:日本評論社)で、いろいろな四辺形から折る折り鶴の議論がされていたと思います。

 とりあえず菱形の用紙を用意する必要があります。私は、A4サイズやB5サイズのレポート用紙から図1のように菱形を切り出して使っています。

図 1

 

 この菱形から始めて、伝承作品や箱など、自分の好みの抽象的な幾何学作品や箱などを正方形ではなく菱形から折れるのか、折るとどうなるのかを試して楽しんでいます。そうは言っても折り紙と言えばまずは折り鶴でしょう、ということで、鶴の折り紙を試してみました。(実は折り鶴を折ったのは、他の何種類かの興味深い形を試した後なのですが。)

 図2は、B5から切り出した菱形をさらに4等分して扱いやすい大きさにしたもので、折り鶴を作るための折り線を入れたところです。最初は過去の本などを見ずに試行錯誤したものですから、ちょっと紙がよれよれになっています。

図 2

 この基本形から、翼を大きくする折り方と、逆に首と尾を大きくする折り方が可能です(図3)。

図 3

 まあこれはパズルのようなもので、出来上がったものはちょっと面白いと言えば面白いのですが、でもどちらかというと折り方のプロセスのほうが楽しくて、出来上がった作品そのものはむしろ普通の正方形から折る折り鶴のほうがバランスが良いです。また、あまり折り紙に詳しくない人が見たら、一目で「この(図3)の折り鶴はなんだかちょっと変」と思うでしょうか? おそらくふつうの折り鶴との違いがあんまり気にならないのではないかな、と思います。なので、折るためのプロセスを楽しむ人以外は敢えて作ってみる必要もないかなあと思います。

 明日以降、もう少し「面白い」作品、正方形から折ったものとの違いが一目でわかるような作品をご紹介できたらと思います。(実は「違いが一目でわかる」かどうか、ちょっと自信がないのでこんな表現になっています。)

(つづく)





 25日(日)の朝、更新の準備をしていたら、地震がありました。昨日から出かけている妻と、実家の母からそれぞれ電話がありました。自宅はだいたい震度2くらい、たいしたことはありませんでした。会社の安否確認システムからも「安否確認の登録をせよ」というメールが来ました。

 昨日、図書館に行った帰りに、贔屓にしている小さな文房具と本のお店に立ち寄りました。いろいろな色の筆記用具が好きなのですが、今回「グレー」のボールペンがあったので買ってみました。遠目に見ると鉛筆の線のように見えないこともなくて、ちょっといいなと思いました。

<おまけのひとこと>
 昨日の午前の半日で、100枚のレポート用紙の3分の1くらいは菱形折り紙で消費しました。出来上がったもののうち、保存する価値がないものは処分しないと場所を取って大変です。でもなかなか捨てられないのです。






6月26日(月) 菱形から折る「風船」(その1)

 正方形の折り紙から作る伝承作品の中で、「風船」はとても良くできた作品だと思うのです。これを菱形から折ったらどうなるんだろう?と思ってやってみました。「風船」の折り図は図書館などの折り紙の本にはよく載っていると思いますし、ご存知の方も多いと思うので省略します。

 「風船」は、通常は丸っこい球体に近いかたちに膨らませることが多いと思いますが、しっかり折り線を入れて作ると立方体になります。図1は立方体を意識して折ってみたものです。

図 1

 

 立方体らしく仕上げるには、通常の手順で六角形になるところまで折ったら、いったん全部広げて折り線をしっかり入れ直すと良いです(図2)。

図 2

 この写真だけだとわかりにくいので、簡単な図も描いてみました(図3)。

図 3

 正方形から折り始めると図3のような展開図で図1のような立方体を作ることができますが、ではこれを菱形の用紙から折り始めたらどうなるでしょうか? 途中まで折り図を描いてみました(図4)。

図 4

 (1).長方形から菱形を切り出したら、(2).向かい合う辺を合わせるように折り線を入れます。(3).のようになります。そうしたら、今つけた折り線を利用して、(4).のようにたたみます。初めの菱形の4分の1の直角三角形が重なったかたちです。(5).直角三角形の2つの鋭角の頂点を直角の頂点に合わせるように折ります。裏側も同じです。そうしたら、(7).のように小さな直角三角形の直角の頂点を中心線に合わせるように折ります(8)。裏側も一緒です。あとは普通の風船と同じように余った部分をポケットに折り込んで膨らませます。

 さてこれはどんなかたちになるでしょうか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 月曜日の朝の更新です。






6月27日(火) 菱形から折る「風船」(その2)

 菱形の用紙から折る「風船」、昨日載せた折り図のようにして折ってみました。最初に写真を載せます。

図 1

 

 昨日は「風船」を立方体になるように折り線を加えて多面体のようにしましたが、同様に菱形から折った「風船」も折り線を追加しています。普通にふわっと丸っこく作るのも味わい深いですが…

図 2

 わかりにくいので、左だけ向きを変えてもう1枚写真を撮りました(図2)。それでもかたちがわかる気がしません。

 これがどんなかたちなのか説明するCGを作ってみました(図3)。

図 3

 4枚の菱形がジグザグに四角柱の側面のようになっています。そのため、上下の面は1枚の平面にはならず、三角形2枚によって構成されます。

 折り紙ではなく、普通の展開図(のりしろ無し)にすると、こんな感じになります。

図 4

 普通の立方体の展開図を変形して作っているのがわかるでしょうか?

 いかがでしょうか、図3や図4からこの形を理解していただいた上で図1や図2の写真を見ると、どんなかたちなのか見えてくるのではないかと思うのですが。

 この立体、なかなか面白いと思うのです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 何かちょっとしたお菓子などを購入したときにお店でつけてくれる、小さな保冷剤が冷凍庫にたくさんたまってしまっています。ペットボトルの保冷ケースの底に入れたり、やけどをしてしまったときに冷やすのに使ったり、便利ではあるのですが、ちょっと多すぎます。でも、なかなか捨てようという気になれないのです。






6月28日(水) 菱形から折る「風船」(その3)

 昨日ご紹介したかたちですが、昨年の8月13日のひとことでご紹介した、正三角形4枚と菱形4枚の、「柱補間四面体の等稜多面体」のかたちになっていることがわかります。

再掲図 1 再掲図 2

 

 繰り返しの説明になりますが、再掲図1は、黄色の正四面体を緑の線に沿って平行移動して、できた凸包が図2になります。緑の線の長さは正四面体の一辺の長さと同じです。この多面体は頂点の数Vが8、面の数Fも8、従って稜の数Eは、V+F=E+2より14になります。

 そこで、この多面体の双対多面体を考えると、同じくV=8, F=8, E=14になります。(双対多面体は、元の多面体の頂点と面を入れ替えた多面体です。)

昨日の図3 図 1

 上半分が台形2枚と二等辺三角形2枚の「寄棟の屋根」のかたちをしていて、それを90度回転させたものを裏側に貼り付けたかたちをしています。上の2つの図、頂点や面の数が同じで、しかも面も三角形4面と四角形4面です。一見、同じ構造の多面体なのかなあと思いますがそうではありません。なぜならば、左は二つの三角形が稜を共有している部分がありますが、右は三角形の三辺はすべて四角形と稜を共有していて、三角形どうしが稜を共有していません。

 ちなみに、これを台形ではなく正方形と正三角形で構成すると、ジョンソンの多面体の26番になります(2005年9月14日のひとこと)。

 図1のかたちの、上下の短い稜(図2で赤い色をつけた部分)の長さがゼロならば正八面体ですし、長さが1(ほかの稜と同じ)ならばジョンソンの多面体の26番になります。

図 2

 つまり、正八面体の相対する頂点に集まる正三角形をだんだん開いていく感じです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 こういうことを考えていると楽しいです。
 6月28日(水)の朝に、6/28,6/29の2日分を更新しています。






6月29日(木) 菱形から折る「帆掛け舟」

 菱形の用紙から折る伝承折り紙、今日は「帆掛け舟」(だまし舟)をご紹介します。最初に完成写真です。

図 1

 

 すみません、つくりがかなり粗いです。折り鶴のときと同じように、2種類のかたちが作れます。

図 2

 帆掛け舟は、風車の基本形から作ります。菱形で風車の基本形を折ると、図2のようになります。菱形から始めるので、風車の羽根は大きなものと小さなものが交互になります。風車の基本形から帆掛け舟にするには、底面の分厚い正方形を対角線で二等分に折るのですが、菱形の場合、その折り方が菱形の長い対角線で折る方法と、短い対角線で折る方法と2種類選べます。長い対角線で折ったのが図1の左奥、短い対角線で折ったのが図1の右手前です。雰囲気が全然違う「帆掛け舟」になっていて面白いです。

 いずれもちゃんと「だまし舟」として機能します。

図 3

 実際の「帆掛け舟」の、風車の基本形を折ったものを一度ひらいてみたところです(図3)。最初はこの写真だけにしようかなあと思ったのですが、図があったほうが好みなので図を作りました。

図 4

 ちなみにこの赤い点線の折り線ですが、図4右の水色の直角三角形(内側の小さな菱形の対角線で切り取られる、菱形の4分の1の大きさの三角形)と、薄い赤色の直角三角形が合同になるように折ります。

 伝承折り紙の、風車の基本形から折れる作品はいくつもありますが、風車そのものを含め、菱形から折って「面白い」と思えるものがほかに思い付きませんでした。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 ようやく梅雨らしく雨が降るようになってきました。雨が少ないと水不足が心配です。といって、多すぎても心配ですが。






6月30日(金) グルーヴチューブ:青

 先日、チェスの駒を探していろいろなお店を巡っていたとき、写真のようなパズルを見つけて衝動買いしました。

図 1

 

 グルーヴチューブという製品です。黒い円柱に、色のついた長さのある中空円筒がかぶさっています。中空円柱の内側が迷路になっていて、中空円柱を回したり上下に動かしたりすることで、黒い円柱の見えない突起がその迷路の中を移動できるようになっている、というタイプの「見えない迷路」を解くというパズルです。

 知りませんでしたが、調べてみると5年ほど前にヨーロッパで300万個くらい売れた製品だそうです。当初は1,400円くらいで売られていたらしく、今でもAmazonなどでは900円弱で入手できるようです。リサイクルショップでは250円という値段でした。

 リサイクルショップには写真の青い筒のものが1つだけあったのですが、この製品は色ごとに難易度が決まっていて、黄色→オレンジ→緑→青→赤→黒の6段階の難易度があるようです。実はまだこの迷路は解けていないです。でも、手先の感覚だけに頼って円筒を動かしてゆく感触はなんだか楽しいです。

<おまけのひとこと>
 月末なので簡単な話題です。7/1(土)に、一日遅れで更新しています。






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