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以前の「ひとこと」 : 2016年8月前半



8月1日(月) アルベロスと面積が等しい円(その1)

 アルベロスの話題に戻ります。これも有名な話です。

図 1

 アルベロス(図1の黄色の部分)と、ピンク色の円の面積は等しいのです。これもアルキメデスの研究成果として知られているのだそうです。

 ちなみにピンク色の円ですが、円αとβの共通接線が大きな円γと交差する点と、αとβの接点を直径とする円になります。

 これ、計算してみると確かにそうなっていることがわかりますが、実はこれ、計算しなくても証明する方法があるのだそうです。これも「岩波科学ライブラリー アルベロス 3つの半円がつくる幾何宇宙(奥村博・渡邉雅之)」で知りました。非常に面白いです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 明後日分の更新で解説します。






8月2日(火) 協力型カードゲーム「花火」のカードスタンド

 先日、「花火」というカードゲームを買ったという話を書きました。先日、妻と二人でこのゲームをやってみました。とても面白いゲームでした。今日は詳細についてはご紹介しませんが、お勧めです。

 このゲームは、インディアンポーカーのように(といって通じますでしょうか)、自分の手札は自分だけは見てはいけなくて、他のプレーヤー全員は見ることができることになっています。なので、カードスタンドが欲しくなりました。とりあえず手元にあった紙で適当に折って作りました。

図 1

 折り図を作るまでもないかなあと思ったのですが、なんとなく作ってしまいましたので掲載しておきます。

図 2

 寸法はすべて「適当」です。

 基本的にはコの字型にするのですが、工程4のところで、ほんの少し下の辺を三角に折っておくと、倒れにくくなってお勧めです。

<おまけのひとこと>
 協力型ゲームというのは、失敗すると他のプレーヤーに迷惑がかかるという点で、緊張します。






8月3日(水) アルベロスと面積が等しい円(その2)

 アルベロスと面積が等しい円の証明です。使うのは三平方の定理です。三平方の定理は、直角三角形の斜辺を1辺とする正方形の面積は、直角を挟む2辺をそれぞれ1辺とする正方形の面積の和に等しいというものです。このとき、直角三角形の各辺の図形は、正方形でなくても、相似な図形であれば同様に斜辺上の図形の面積は、直角を挟む2辺上の図形の面積の和になります。

 これを既知として、以下の3つの図を見てください。

図 1 図 2 図 3

 図1〜図3の3つの式を並べてみます。

図 4

 いかがでしょうか。鮮やかだと思いませんか。この証明は2002年のロジャー・ネルセンが発表したそうです。これが今世紀になって初めて発表されたという点も驚きです。

<おまけのひとこと>
 今回の更新(7/23〜8/3)の一連のアルベロスの話の中で、今日ご紹介したこのネルセンの証明が一番書きたかった話でした。






8月4日(木) 厚紙封筒からゴミ箱

 今年の5月8日のひとことで、封筒でつくるごみ箱の話をご紹介しました。会社で、海外の拠点とやりとりする際に、書類の電子データをメール等で先行して送ってもらって事務処理を進めておいて、後から正本を国際宅急便で送る、というようなことをしています。そのときに書類が入ってくる丈夫な厚紙の封筒で、ゴミ箱を作ってみようかなと思ってやってみました。

図 1

 今回は紙が厚かったので、側面の部分は二重にはしないでそのままにしました。そのため細長い箱になりました。

図 2

 裏面です。養生テープを使いました。テープの角を切り落としています。

図 3

 上の縁の内側に、100円ショップで買った木製のマドラー(50本で108円)を4本貼り付けました。これでかなり頑丈になりました。十分に実用的です。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 8月6日(土)に、8/4〜8/9の6日間の更新をしています。
 いつも使っているデジタルカメラのメモリカードが、ついさきほど壊れてしまいました。やっぱりデータはクラウドに置かないとだめかなあと思いました。






8月5日(金) 封筒からゴミ箱:六角柱(その1)

 封筒からゴミ箱を作る話、ふと「六角柱は作れないかな?」と思って、とりあえず作ってみました。

図 1

 底面の部分の処理がうまくいきません。

図 2

 これはちゃんと考えないとダメだということがわかりました。

(つづく)






 8月5日(金)は勤務先の事業所の納涼祭がありました。いつもは自家用車通勤ですが、この日はバスで出社します。

図 3

 図3は出発前のバスの駐車場の写真です。私が住んでいる安曇野の南部は、大糸線と篠ノ井線という2本のJRが犀川をはさんでそれぞれ南北に通っています。この2本の路線の駅間の東西の連絡が悪いので、市が東西の駅を往復するマイクロバスを朝夕に運行してくれています。朝が一往復、夕方が二往復です。

 年に1、2回、このバスを利用させてもらっています。これまで私以外の乗客が乗ってきたことは一度もなかったのですが、今回初めてもう一人乗客がいました。

<おまけのひとこと>
 帰りは歩いて帰りました。45分くらいかかりました。
 このところ暑くて、夜、寝苦しいです。






8月6日(土) 封筒からゴミ箱:六角柱(その2)

 封筒から六角柱のゴミ箱を作ってみる話の続きです。昨日、適当に作ったら底の処理がうまくいかなかったという話を書きました。研究してみようと思って、A4の用紙を横長に二つ折りにして、左右をセロテープでとめて、封筒の底の部分のモデルを作りました。これを使って六角柱の底の部分の構造を考えてみました。

図 1

 封筒を六等分する折り目を入れて、(正六角形なので)30°〜60°の正三角形の折り目を入れてゆきます(図1)。

 途中を省略しますが、こんな風にたためることがわかりました(図2)。ただし、切れ目を入れる必要がありました。

図 2

 内側です(図3)。

図 3

 作り方がわかったので、再度封筒で作ってみることにしました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今日の写真を見れば作れる方は作れると思いますが、明後日分の更新で作り方をご紹介しようと思います。






8月7日(日) 封筒からゴミ箱:六角柱(その3)

 封筒からふたのない六角箱を作りました。六角形の一辺の長さが8cm、直径は16cmになりました。

図 1

 箱の側面を二重にしようと思って、高さが半分になるように折っています。高さは11cmになりました。ティッシュボックスから切り抜いた六角形を中敷きにしています。これだけでもだいぶ違います。

図 2

 箱の底を外側から見たところです。セロテープで留めています。

図 3

 中敷きを外したところです。真ん中には穴が空いているので、中敷きがあったほうがいいです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 更新の作業をしていたら、「10月にリスーピアでワークショップをやりませんか」というお電話を頂きました。即答で「やります」とお返事しました。10月末にはコンサートもあるのですが、まあなんとかなるでしょう。以前と同じ教材にするか、それとも新しい教材を考えるか、今日・明日中(8/6〜8/7)に決めないといけないです。どうしようかな…。






8月8日(月) 封筒からゴミ箱:六角柱(その4)

 自分の備忘録として、六角形のゴミ箱の作り方の簡単な図を作成しました。封筒の底の部分がわかりやすいように、封筒のふたの部分を残した図になっていますが、封筒のふたの部分は切り落としてから作り始めることが多いです。

図 1

 工程1:底辺を六等分して、印をつけます。これは物差しで測ってエンピツなどでしるしをつけることをお勧めします。

 工程2:真ん中と、左右の六分の一のところで垂直に折り線をつけます。

 工程3:30°〜60°を折り出す操作です。

 工程4:前の工程で得られた点を通る水平な折り線をつけて、あとは正三角形が並ぶ折り線をつけてゆきます。

 工程5:封筒の底の中心の三分の一を切り開きます。折り線の山折(青い一点鎖線)、谷折(赤い破線)の折り線を付け直します。裏側も同じです。

 工程6:ここから立体にします。封筒の底の部分が、箱の底になります。工程6の図では底の部分が上になっています。ポイントは、封筒の左右の角を頂点とする正四面体が2つ、底面の外側に作られるということです。

図 2

 あとは、この2つの正四面体を平らに畳んで、箱の内側も平らにすれば出来上がりです(図2)。

 封筒で作るゴミ箱、切り込みを入れる工程もありますし、最後は粘着テープでとめています。ここまでやるならば普通に展開図からかたちを組み立てるのとあまり違わないのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも私はこの「封筒から作るゴミ箱」というのは、この手法ならではの価値や意味があると思っています。

 封筒自体がそれなりに強度があって、簡単な防水処理がしてあったりするものもありますありますから、封筒の構造を生かした「箱」は、やはりそれなりの強度があって十分実用的です。筒の部分や底の部分は精度よくしっかり接着されていて、かつ余計な厚みなどはありません。また、A4サイズの書類がそのまま入るような大きさなので、ゴミ箱として適切なサイズの箱になります。ぜひ作ってみることをお勧めします。

<おまけのひとこと>
 汚れたり傷んだりしてきたら惜しげもなく捨てられる、それも普通の燃えるゴミとして処分できるのも気軽でいいです。






8月9日(木) このかたちはどんなかたちでしょう?

 こんなCGを作ってみました。

 これ、どんなかたちなのかわかりますか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今回の更新はここまでにします。






8月10日(水) 柱補間四面体(その1)

 昨日の「ひとこと」で、たった1枚だけのCGで、「このかたちはなんでしょう?」という問いかけをしました。1枚の2次元画像ですから3次元の解釈は無限に存在しますが、意図した解は次のようなものでした。わかりやすいようにgifアニメーションで回転させています。

図 1

 どんなかたちなのかわかりますか? これは、合同な二等辺三角形が4面と合同な平行四辺形4面から成る八面体です。頂点は8つ、稜は14本あります。このかたちの構造の平面グラフを描くとこんなふうになっています(図2)。

図 2

 とりあえず名前がないと不便なので、仮に「柱補間四面体」と呼んでおきます。なぜそう呼んでいるかというと、平行四辺形のパーツ4つを取り除くと、単なる四面体になるのです。四面体を2面ずつに分けて、その間の距離を離して、そこを面で補間してやると、このかたちになるのです。

 ちなみに、図1の回転するアニメーションですが、どちら向きに回っているように見えるでしょうか? パーツ(稜)が重なっているところは、どちらが手前なのか一応わかるようになっているので、逆回転しているように認識するのは難しいかもしれませんが、努力すると逆回転が見えてきます。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 山の日の8月11日(木)に、8/10〜8/13の4日間分の更新をしています。今回はgifアニメをいくつも置いているので、トップページが重くてすみません。






8月11日(木) 柱補間四面体(その2)

 柱補間四面体という名前を付けたかたちですが、実は最初に考えた作り方は、四面体を2面ずつに分けて引き離す方法ではなくて、立方体の4つの頂点を切り落とすというやり方でした。図1のアニメーションをご覧ください。

図 1

 切り落とす量を変えると、ほとんど立方体に近いかたちから、最後は正四面体になります。図1のかたちというのは、その意味で立方体と正四面体の中間の図形ということになります。

図 2

 立方体の8つの頂点のうち、1つおきの頂点を選びます。選ばれた頂点は固定しておいて、残った4頂点を、1つの軸に平行な稜に沿って動かしてゆくと、図2のような動きになります。手前と奥の「筋交い」(面である正方形の対角線)の稜は、最初から最後まで動きません。

(つづく)






 名前だけは聞いたことがあった「インカコーラ」を店頭で見かけて、つい買ってしまいました。

図 3

 かなり甘かったですが、よく冷やして飲むと「夏っぽい」感じがしました。満足です。

<おまけのひとこと>
 今日8月11日は「山の日」で祝日です。私が住んでいる長野県は海が無くて山の多い県なので、「山の日」には前向きのようですが、この新しい祝日に対して、あまりよい印象を持っていない方も多いというようなニュースを見かけました。私の職場も明日12日は3分の2くらいのメンバーはお休みを取っています(私は仕事に行きますが)。少しでもお休みを取得するきっかけになるのであればいいんじゃないかなあと思っています。






8月12日(金)  柱補間四面体(その3)

 柱補間四面体、模型も作ってみようと思って設計して作ってみました。立方体にちょうど内接するように作ろうかなあとも思ったのですが、三角形の面が正三角形になっているかたちにしようと思って、ちょっと比率を変えて作りました。

 帯を編む手法で作ることにしました。図1のようなパーツを用意します。

図 1

 これを切り抜いて、折って組み立てます。

図 2 図 3

 図2は三角形の面を底にして立てたところです。正四面体の2面が平行に持ち上がっている、という風に見えるでしょうか?

 ず3は平行四辺形の面を底にして置いたところです。こうすると、正四角柱をから切り出されているかたち、というのがよくわかります(写真からだとよくわからないと思いますが)。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 いつもいつも書いていますが、実物の模型を作って実際に手と眼でかたちをじっくり感じてみるというのはとても楽しいです。






8月13日(土) 柱補間四面体の等稜多面体(その1)

 さて、昨日の模型のかたちを見ていたら、側面を平行四辺形ではなく菱形にしてみたくなりました。そうするとさらに細長いかたちにはなりますが、全部の稜の長さを同じにすることができます。まずはCGを作ってみようと思いました。

図 1 図 2

 図1は白と黄色の2つの正四面体と、それを同じ長さの稜で対応する頂点をつないだものです。図2は内側の稜2本を取り除いて、全部の稜の色を白にしました。 うーむ、思った通り細長いです。対称性がわかりやすいように、縦にしてみました(図3)。

図 3

 これはこれできれいなかたちだなあと思います。これも回転するアニメーションを作ってみたのですが、ファイルサイズが大きいものをたくさん載せると重たくなるので、今回は載せません。

 これを見ていると、またいろいろ発想が広がります。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 更新の頻度を上げられそうなときには、一週間未満で更新をしようと思っています。






8月14日(日) 伸長八面体

 このところ、「柱補間四面体」という名前を付けてみた立体をご紹介していますが、立方体のいくつかの面を切り落として作る立体ということで最初に考えたのはこんなかたちでした。(図1、図2)。

図 1 図 2

 ちょっとわかりにくいかもしれないなあと思って、面を張ってみました(図3、図4)。

図 3 図 4

 いかがでしょうか。このかたちの構造を平面グラフにしてみると、柱補間四面体との関係がよくわかります。

再掲図 図 5

 このかたちを「伸長八面体」と呼んでみたのですが、理由がわかりますか?

 私のサイトは「アクセス解析」サービスを埋め込ませていただいています。無料のサービスなので、全部で100ページ分のタグの登録ができます。以前は100ページあれば足りたのですが、過去のページだけでも1年で24ページずつ増えていくので、ここ数年分はタグが埋め込めていませんでした。思い立ってタグ付けを見直しました。といっても手作業で数百ページ分のタグの付け替えをするのが面倒なので、直近の分だけ付け替えただけです。おいおい付け替えの作業をしてゆきたいと思います。

<おまけのひとこと>
 8月13日(土)に、8/14分の更新をしています。久しぶりに1日分だけの更新です。






8月15日(月) The Two Flute Ensemble:フルートで訪ねるヴェルサイユの世界

 8月13日(土)の夜に、毎年聴かせていただいている"The Two Flute Ensemble"のコンサートに行ってきました。簡単に感想を書かせていただきます。

 今回、会場に入って驚いたのが、いつもとはレイアウトが違っていたことでした(図1)。

図 1

 いつもだと、図の左のように、会場の正面の舞台の上にチェンバロ(緑色の三角で示しています)があるのですが、今回は図の右のように、会場のほぼ真ん中に鍵盤が据えられていて、客席の椅子が半円形に楽器を囲むようにステージの上まで広がっていました。

 昨年、メンバーの中村栄一先生が東大理学部化学科の教授を退官され、東大総長室の特任教授に就任された記念に、この会場で演奏を収録してCDを制作されたのだそうです。今回のコンサートを聴きに来た人たちにはそのCDを配布して下さったのですが(図2)、その収録の時、図1右のレイアウトが最も響きがよいということがわかって、今回のコンサートもその配置で行ったのだそうです。

図 2

 簡単にプログラムと感想を書いておきます。

○ M.ブラヴェ:2本のフルートのためのデュエット ト長調

 フルート2本のための曲を7曲選んで組曲として演奏されました。7曲は対称的に配置されていて、ヘンデル原曲のものが多かったのですが、4曲目のラモー、それから最後のメヌエットがとくに素敵でした。

○ M.マレ:ヴィオール組曲第3巻 ニ長調

 ガンバと鍵盤の演奏でした。マレらしくてとても良かったです。特に最初のプレリュードと最後のシャコンヌが素晴らしかったです。

○ J.M.ルクレール:フルートのためのソナタ ホ短調

 第2楽章と第4楽章が大好きな曲です。すばらしいテンポでした。

○ J.M.オトテール:トリオソナタ ロ短調

 有名で大好きな曲です。いつかやりたいなあと思っています。ベルサイユピッチ(A=392Hz)でやれるといいのですが、まず楽器がありません。

(休憩)

○ J.P.ラモー:クラウザン曲集より 「優しい嘆き」「未開人たち」

 ラモーの鍵盤はとてもきれいでした。

○ M.P.モンテクレール:フルートのためのコンセール ハ短調

 個人的には今回のプログラムの中で一番楽しめました。ハ短調というフルートが鳴らない調で、幽玄なもやもやした感じの曲でした。地味に難しくて、しかも下手に演奏するとなんだかさっぱりわからない音楽になってしまいそうなのに、ちゃんと雰囲気があってよかったです。

○ M.マレ:トリオ ニ長調

 直前のモンテクレールの重苦しい感じから一転して、フルートが最も明るく鳴る二長調で、とても楽しい曲でした。これもやっぱりマレらしくて、良かったです。

 アンコールに中村先生が無伴奏でフルートで「南部牛追唄」を演奏されました。これもとても雰囲気があってよかったです。

<おまけのひとこと>
 ついつい会場のレイアウトの図とかを描いてしまいました。






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