以前の「ひとこと」 : 2016年7月後半
7月16日(土) 円周率を2つの数字で近似する(その1)
皆さんは円周率を何桁くらいまで覚えていらっしゃいますか? 多くの方はπ=3.14...で、小数点以下第2位まではご存知なのではないかと思います。
以前から何度かご紹介していますが、私は子供の頃に「πの話」(野崎昭弘)の語呂合わせで、上記の桁までは覚えました。
「産医師異国に向こう。産後厄無く産婦御社に虫散々闇に鳴く。」(さんいしいこくにむこう。さんごやくなくさんぷみやしろにむしさんざんやみなく。」です。これを覚えておくと、円周率の近似問題などを鑑賞するのにとても役に立ちます。「産医師異国に向こう」(3.14159265)まででも知っているといいです。
今週の更新では、円周率の近似の話をご紹介しようと思います。
円周率を数字1つで近似するとしたら、「3」になります。では、数字2つで近似するとしたら、どんなものが考えられますか?
<おまけのひとこと> (つづく)
7/16〜7/18は三連休なので、今週分は2回に分けて更新しようと思っています。
先日ご紹介した「2種類のサイズの円による平面の埋め尽くし」の話、Polyhedronの日記のYさんからメールをいただきました。こちらで議論・整理していただいています。ありがとうございます。興味を持っていただけたことがとても嬉しいです。でも、軽々しく「最密充填」などという誤解を招く表現をしてしまいましたことをお詫びします。
7月17日(日) 円周率を2つの数字で近似する(その2)
円周率を2つの数字で近似しようとすると、まず思いつくのは何でしょうか? 私が最初に考えたのは10の平方根(√10)でした。これは3.1622…になります。(余談ですが、これも「ひとまる(10)はみ(3)い(1)ろ(6)にならぶ(22)」という語呂合わせを野崎先生の本で覚えました。)
でも本当は最初に思い付くべきなのは3.1かなあと思いました。私は考えすぎてしまいましたが、皆さんはいかがでしょうか?
この問題が載っていた本(先日来ご紹介している「mental gymnastics」という本からの引用です)を見ると、こんな答が出ていました。
日本の小町算とかでは、数字の前に小数点を打って「10分の1」を表す、という手段はあまりメジャーではない気がしますが、アメリカなどの娯楽数学の文献などでは通常の手段としてよく用いられているようです。
ほほう、と思ってwindowsの電卓で計算してみました。
あれ? よくみるとこれって√10そのものですね。何も考えないでまず電卓に入力してしまいました。
(つづく) <おまけのひとこと>
.1^(-.5)が√10と同じということを示せますか?
7月18日(月) 円周率を2つの数字で近似する(その3)
「mental gymnastics」には、もっと良い近似が紹介されていました。
これも電卓で計算してみました。
なるほど、面白いです。
<おまけのひとこと>
来週(7/19の週)、海外の開発拠点から、これから一緒に仕事をしていただくメンバーが来日します。懇親会を計画しているのですが、「豚肉と海鮮はだめ」というメンバーがいる、ということで、どんなお店に行こうかなと考えています。
7月19日(火) 円周率の近似:小町算(その1)
同じく「mental gymnastics」という本から、円周率の近似を1,2,3,...9 の9つの数字を1度ずつ使って作りなさいという問題が出ていました。これは普通にやっても歯が立たないので、最初から答を鑑賞する、という気持ちで解答を見ました。すると
図 1 こんな式が紹介されていました。なるほど、と思ってこれも電卓で計算してみました。
図 2 あれ? 答は円周率とは似ても似つかない値になってしまいました。本には近似精度は小数点以下10桁以上と書かれているのに…
まずは演算の順序とかを間違えていないか、Excelを使って検証してみました。でもExcelでも同じ答が出てきます。これは本の誤植かなあと思って、いろいろ試してみました。結果的には図1の式には1箇所だけ誤りがありました。それがどこだかわかりますか?
<おまけのひとこと>
次回更新は7月18日(海の日)を予定しています。
7月20日(水) 円周率の近似:小町算(その2)
7/19のひとことでご紹介した円周率の近似の小町算、参照した本に誤植があって間違っていたという話、正しい答がわかりました。
誤 正 どこが違うかわかりますか?(間違い探しのようですね)
電卓で計算した結果です。確かにとても円周率に近い数値になりました。
<おまけのひとこと> (つづく)
7/16〜7/18は三連休でした。大学1年生の息子が、母校の高校の文化祭を機会に同窓生と会うということで帰省してきました。自宅のほうではなくて、私が単身赴任している住まいのほうが近いので、夜、そちらに帰ってくるということで、家内と移動していました。
息子は学校の部室に預けていたという文庫本を山ほど持ち帰ってきました。「それ全部自分の本なの?」と尋ねると、ほとんどは先輩からもらったものだそうです。それなら後輩に引き継げばいいのに、と言ったら、誰も欲しがらなくて持って帰ってほしいと言われたので持ち帰ったとのこと。ちょっとびっくりしました。
7月21日(木) 円周率の近似:小町算(その3)
もう1つ、1〜9の9つの数字を1回だけ使った円周率の近似の式として、こんなものもあるのだそうです。
18桁も合っています。驚くべき精度です。階乗や対数を工夫して使っていますね。一体どうやったらこんな式を思いつくのか、想像もできません。
これも、電卓で計算してみました。
昨日の式といい今日の式といい、関数電卓に入力するトレーニングになると思いませんか。楽しいのでぜひやってみていただきたいです。
<おまけのひとこと>
赴任先の住まいは5階建の集合住宅の2階の東端です。土曜日に家に入ると、浴室から水が垂れる音が聞こえました。いつもきれいにお掃除して乾燥させているので、ハテどうしたのだろう?と思ってのぞいてみると、換気扇の換気口から1秒に1滴くらい水が落ちてきています。いったん水を空き容器で受けるようにしてから、管理会社に連絡してみました。すると、お休みなので業者の手配ができないとのこと。「水回りなのに何日も待つのですか?」と質問したら、連休3日目の月曜日の午後に見に来てもらえることになりました。(つづく)
7月22日(金) 円周率を連続する3つの数字で近似する
円周率の近似の話、いったん最終回です。こんな式を知りました。
3連続する数字で円周率を近似するなら、3.12というのが悪くない近似です。
これも電卓で計算してみました。
数字の順番が逆なほうがいいのに、と思って式を描き直してみました。
いまひとつです。やっぱり最初の表記のほうがいいです。
<おまけのひとこと>
7/20に海外の方と食事(Nomi-kai)をすることになった話、豚肉と海鮮がダメということで、焼き鳥がいいかなあと思って、お店を探しました。念のため、7/19の食事会の幹事担当の人に「どこに行くか決めた?」ときいたら、私が候補と考えていたお店を予約したとのこと。じゃあ別なお店を探さないといけないなということになりました。焼き鳥屋さんに何件か電話をしたのですが、いずれもだめで、「山賊焼き」という地元の鶏肉料理のお店をやっとみつけて席だけ予約しました。やれやれです。(つづく)
7月23日(土) アルベロス:アルキメデスの双子の円
すみません、先週末(7/23,7/24)は仕事で使っているPCのOSのインストールや仕事で使うアプリケーションのインストールなどで時間が取れず、更新ができませんでした。そのあたりの話は(興味がある方はいらっしゃらないと思いますが)、7/26,7/27の分の更新でちょっと記録しておこうと思います。
○
以前にもちょっとご紹介した、「アルベロス」という図形についての話をいくつか書きたいと思います。
アルベロスというのは、下の図1のように、3つの半円で囲まれた図形です。ギリシア時代からよく研究されているそうですし、日本の和算でも好んで取り上げられている話題です。
図 1 大きなγの円に小さなα、βが内接しています。αとβの円の中心は大きな円γの直径上にあって、αとβは互いに外接しています。
図 2 図 3 ちなみにこの名前は、古代ギリシアで使われていた「靴屋のナイフ」由来なのだそうです。図3が「靴屋のナイフ」の写真です。
さて、αとβの接点(これももちろん円γの直径上にあります)を通る共通接線はαとβの中心を結ぶ線(γの直径)に垂直になります。この共通接線と、αまたはβと、大きな円γに接する2つの円を考えると(図2の水色の円)、2つの円は同じ大きさになります。これを「アルキメデスの双子の円」と言うそうです。
図 4 <おまけのひとこと> (つづく)
私のページを訪れて下さる方の多くは、よくご存じの話題だと思います。
今回は、7/23(土)から8/3(水)まで12日分をまとめて更新します。ちょっと話題を「引き延ばした」感があります。
7月24日(日) アルベロス:バンコフの円
アルベロスに関する20世紀の研究として有名なのが、レオン=バンコフ(Leon Bankoff:1908-1997)による「バンコフの円」です。
バンコフは、図1のような第3の円を発見しました。
図 1 円αと円βに外接し、円γに内接する円(図1の赤い円)を考えます。この赤い円と、αとβは互いに外接していますが、3つの接点を通る円を考えると、それはなんとアルキメデスの双子の円と同じ大きさになるのだそうです。
これを発見したバンコフは、「アルキメデスの双子の円は本当は双子ではなくて三つ子のうちの2つだったのだ」と言ったそうです。ところが…
<おまけのひとこと> (つづく)
この話(バンコフが3つ目の円を発見したときの話)は、M.ガードナーの「数学ゲーム」で紹介されていました。
7月25日(月) アルベロス:もう1つのバンコフの円
バンコフが、アルキメデスの双子の円と同じ大きさの3つ目の円を見つけた話の続きです。実はその後、バンコフは同じ大きさの円をもう1つ見つけました。それはこんなところにありました。
図 1 円αとβの共通接線が円γを切り取る弓型に内接する最大の円が、なんとアルキメデスの双子の円と同じ大きさの4つ目の円だったのです。
この発見をしたとき、バンコフは「実は四つ子だった」とは言わなかったそうです。「岩波科学ライブラリー アルベロス 3つの半円がつくる幾何宇宙(奥村博・渡邉雅之)」には
面白いのは、彼がこの円を発見したときには、それ以前の発見のときのようにアルキメデスの双子の円は4つ子のうちの2つであるという発言をしていないのである。察するに、彼はこのときに、将来にわたって双子の円と合同なものが今後も発見されてゆくであろうという予感をもったのではないだろうか。もし彼がそのように感じていたとすれば、それは後述するように正しかったということになる。(p.7) と書かれています。その後、同じサイズの円はたくさん見つかっています。ここではここまでしか触れませんが、Netで調べると大量の情報が出てきます。興味がある方は調べてみると面白いです。
<おまけのひとこと>
半世紀も生きていると、若いころに読んだ本では知られていなかったことが新たに発見されていたりして、とても面白いです。
7月26日(火) OS再インストールの話
私が会社で支給されて使っているノートPCは、2009年のモデルで、それを2010年に買ってもらったものをいまだに使っています。当時はWindows7が出たところだったのですが、社内のネットワークはWindowsXPでないと接続してはいけないというルールだったため、XPをインストールして使っていました。
その後、Windows7が標準OSとなったのですが、面倒でXPのままずっと使ってきていたのですが、仕事でどうしても必要なソフトが、ついにXPでは動かなくなってしまったため、重い腰を上げてようやく先週末(7/23(土))、OSを入れ直すことにしました。ディスクは、出荷時に用意されているリカバリデータのエリアが10GB、自分でパーティションを切ったシステム領域(Cドライブ)が100GB、データ領域(Dドライブ)が350GBくらいという構成で使っていました。Dドライブは残したままOSのインストールができるだろうと目論んでいたのですが、それができないことがわかりました。
仕方なくDドライブ(ローカルには最小限のデータしか置かないという方針でやってきたので、6年使ってもまだ60GBくらいしか使っていませんでした)の中身をサーバに退避して、クリーンインストールすることにしました。インストールを終えて、会社のネットワークに接続するために必要な様々なソフトをインストールし、仕事で必要なソフトのうち最低限のものを入れて、23日は終了しました。
いろいろ心配していたのですが、ほぼ問題なくソフトは入り、無事会社の基幹ネットワークにも繋がりました。やれやれと思ったのですが、問題が残りました。ほとんどのドライバもちゃんと動いたのですが、ディスプレイドライバだけがうまくインストールできないのです。使っているノートパソコンの画面は1920×1080の横長なのですが、ドライバが入らないため、最大でも1280×1024でしか表示ができません。外付けのビデオインタフェースもHDMIもD-subのアナログVGAもどちらも出力できません。表示される画面が極端に横長になってしまうし、情報量が少なくてストレスがたまります。
このノートPCには複数のビデオデバイスが搭載されていて、それをメカニカルスイッチで切り替えて使えるようになっています。どうやらそのスイッチの接触が悪いようで、そのスイッチを「ぐりぐりっ」とすると、ドライバがうまくインストールできることがありました。ところが再起動するとまた認識しなくなって…ということを何度も何日も繰り返しています。
できるだけ再起動しないように、だましだまし使っています。一応新しいパソコンを買ってもらう予算は前年度に申請はしてあるのですが、今度はもっとスペックが低いパソコンになってしまいそうで、なんとかまだ使えないかなと思っています。
<おまけのひとこと>
会社のパソコンなので、機種名とかは伏せました。
7月27日(水) 仮想マシン
Linuxで動くソフトウェアを動かしてみる必要があって、久しぶりに仮想マシンをインストールしました。vmware と virtualbox を試しました。最近の仮想マシンは性能が上がっていて、感心しました。別のOSにポーティングするより、仮想マシンを動かしてその上で動作させるというのは効率的ですね。
ちなみにゲストOSとしてはUbuntuを入れたのですが、terminalの開き方がわからなくて調べてしまいました。私が約25年前に入社したときに最初に使ったのがSun microsystems のワークステーションでした。UNIX系のOSを初めてさわって、一生懸命にマニュアルを読んで、いろいろ実験して、OSについて勉強しました。なので、LinuxでもまずはCUI(キャラクタユーザインタフェース)でいろいろやりたいのですが、そのターミナルが開けないと辛いです。
googleで検索してみると、すぐにわかりました。[Ctrl]+[Alt]+[T]で表示できるそうで、一度開ければタスクバーにロックできます。
<おまけのひとこと>
どれだけUnix系のOSから離れていたか、すぐにばれますね。
7月28日(木) コンサートの曲:フルート二重奏
今年の秋のコンサートでやる、フルート二重奏の曲を決めました。ドヴィエンヌの作品82-3にしました。
私はもちろん2ndです。この曲、モーツァルトの「魔笛」のようです。F.ドヴィエンヌ(1759-1803)は「フランスのモーツァルト」と呼ばれる作曲家で、パリ音楽院のフルート科の教授だったそうです。難しい曲が多いのですが、この曲集は初心者のための二重奏ということで、テクニック的にはなんとかなります。きれいに演奏できるかどうかはまた別問題です。
<おまけのひとこと>
トラヴェルソ(バロックフルート)で演奏するのですが、なかなか音程が安定しません。
7月29日(金) 水漏れの話:その後
先日、浴室の換気口から水が垂れているという話を描きました。先日の海の日の三連休の3日目の午後に、管理会社の若い男性が見にきてくれました。結局原因はよくわからなかったのですが、真上の部屋の方が退去されるということで、水を停めようとしたら止水栓が効かず、水が漏れ続けていたということがわかりました。本来その水は外の雨水の排水に流れるはずなので、私の部屋のほうに回ってくる経路はないはずです、ということなのですが、タイミングから考えてそれ以外理由は考えられないということになりました。
上の階のご家族は、わりと最近越してこられたのだと思っていたので、退去ときいて正直驚きました。一度も直接ご挨拶したことはないのですが、小学校低学年の男の子がいて、その子がとても元気で、いかにも「お母さんの言うことなんかきかない」という感じで、叱られている現場も見たことがありました。おそらくこの子が部屋の中で駆け回っている音が響いてきて、ちょっと困ったなと思っていたところで、管理会社にも一度相談もしました。でも改善されなかったので、まあ仕方がないか…と思っていました。なので正直、ちょっとほっとしました。
<おまけのひとこと>
玄関に、多面体の紙模型などを飾ってあったのですが、管理会社の方がそれを見て、「ひし形十二面体ですね。私も折り紙が好きでよく作ります。」と言われてびっくりしました。そんなコメントをされたのは初めてです。
7月30日(土) スピネットの弦が切れた
7月30日は朝10時から我が家でアンサンブルの練習でした。9時40分くらいに「そろそろスピネット(小型チェンバロ)」の調律をしようか」と思って楽器のふたを開けたら、弦が1本切れていて青ざめました。
これで弦の張り替えは4回目くらいになります。初めてのときにはとても緊張しましたが、さすがに慣れました。とはいえ、20分後に練習開始というタイミングは初めてでした。切れる弦はだいたい決まっていて、中央のドの1オクターブしたのドか、その半音下のシです。今回も同じ音でした。
急いで予備の弦を取り出して(太さが10種類以上あります)、張り替えました。末端の処理がちょっと難しいのですが、10分くらいで作業が終わりました。このくらいの時間で張り替えられれば、コンサート本番とかで弦が切れてしまってもなんとか対応できるかな、と思いました。
<おまけのひとこと>
もちろん、予備の弦がなければどうしようもないですが。
7月31日(日) 安いコーヒー豆の話
先日、業務用スーパーのユーパレットに行ったら、400gで400円くらいのコーヒー豆がありました。、(こちら)
試しに買ってみました。いつもと同じように淹れる直前に豆を挽いて、丁寧に淹れてみました。少なくとも値段以上の価値はあるなあと思いました。ただ、コーヒー特有の香りは少ない感じがしました。選択肢としてこういった製品があるというのはすごいことだと思います。
<おまけのひとこと>
今の日本は本当に恵まれているなあと思います。我が家では、食材やメニューにはメリハリをつけようという方針です。そうすることで、「特別感」が出て、美味しいものがとても美味しく感じられます。