[Home]-[以前のひとこと]-[2017年4月前半]

以前の「ひとこと」 : 2017年4月前半



4月1日(土) 紙でモザイク模様を編んでみる(失敗編)

 先月、3月9日のひとことでイスラム風モザイク模様の話を書きましたが、これを実際に編んで作ってみたくなりました。

再掲図

 適当にパーツを設計して切り出して組んでみようとしました(図1)。

図 1

 うまくいきません。パーツはこんな風に用意しました。

図 2

 実際に組んでみてすぐにわかったのは、「帯が太すぎる」ということでした。そのほうが(太いほうが)「あそび」がない分だけパーツの位置がしっかり定まって安定するかなと思ったのですが、ちょっと太すぎました。

 でも、それよりもっと本質的な問題がありました。実は恥ずかしながら、最初は帯のパターンは2種類だと思ったのです。でも組み始めてみて、3種類あることに気が付きました。自分の間抜けさにちょっとうんざりしていったん断念することにしました。

(つづく)





 雑誌『数学セミナー』にずっと連載されてきた、前川淳さんの折り紙の連載が2016年3月号で終了してしまいました。楽しみにしていたので終わってしまって残念です。これまでありがとうございました。新たに詰将棋の連載が始まりました。これもとても楽しみです。





 金曜日に飲み会があると、土曜日の朝に高速道路で移動するのですが、土曜日の朝のNHKラジオ第一放送でやっている「ラジオ文芸館」を聴くことが多いです。といっても年に数回程度ですから、熱心なリスナーというわけではありません。今朝(4月1日(土))は折口真喜子「箱の中」でした。割と引き込まれて聴きました。ラジオ文芸館のページの作品紹介を引用させていただきます。

江戸時代、京の寺。亡くなった祖母が「絶対に開けてはいけない」と言い残した小さな茶箱。大掃除中に箱を見つけた孫のおりんは、その中身が気になって仕方がない。「おばあちゃんかんにん」と手を合わせて封を切ると、箱の中には膝を抱えた赤い『小鬼』がいた。小鬼が語る祖母の秘密とは…。

 面白かったです。連作集「恋する狐」からの一話だそうで、ほかのお話も読んでみたくなりました。

<おまけのひとこと>
 自宅に戻ってさっそく更新しています。今週末は東京の娘が帰ってきています。4月だというのに雪の朝です。明日は出払い(地域の共同作業)なので、大変そうです。






4月2日(日) モザイク模様の切り紙(その1)

 昨日はモザイク模様を編んでみようとして失敗したので、もう少し簡単な方法を、と思って、まずは切り紙の手法で格子(lattice)を作ってみることにしました。

 これが作ったものです。12.5cm四方くらいの大きさです。帯の幅は2mm程度で、それほど細かくありません。

図 1

 切り抜いている途中です(図2)。私の流儀は、紙をあまり回さないで同じ向きの辺(エッジ)は全部切ってしまう、という方式です。

図 2

 ちなみに型紙は図3です。あえて時間をかけて切り抜かなくてもいいような気もしますが、なんとなく作ってみたかったのです。

図 3

 この程度だと1時間はかかりません。作るのは楽しかったです。

(つづく)





 日本の伝統的な模様の名前をちょっと調べたくなって検索したら、夏貸文庫(なつかしぶんこ)というページに行き着きました。日本の文様の話だけでなく、安野光雅や清原なつの、わかつきめぐみやおもちゃピアノなど、親しみを覚えるトピックがあるページでした。 

 「鱗(うろこ)」「市松(いちまつ)」「檜垣(ひがき)」「麻の葉(あさのは)」「籠目(かごめ)」「亀甲(きっこう)」「七宝(しっぽう)」「青海波(せいがいは)」「鮫小紋(さめこもん)」「鹿の子(かのこ)」「紗綾形(さやがた)」くらいはぱっと名前と模様が出てくるようになりたいのですが、この中でもいくつかは時々忘れることがあります。





 この3月は近隣の図書館の蔵書管理システムの更新作業があったそうで、数週間貸出ができない状態でした。昨日、4月になって貸出が始まったので、妻と図書館に行きました。昨日の折口真喜子の「恋する狐」はさっそく貸出中になっていましたが、同じ著者の本がもう2冊あったので借りてみました。まだ読んでいません。





 娘が応用情報処理技術者試験を受けるのだそうで、ちょっと質問されました。過去問で面白い問題があったのでまたご紹介します。

<おまけのひとこと>
 今日は8時から道直しの出払いです。昨年から隣組の組編成が変わって、私の家の並び3軒は今までとは別の組に所属することになりました。そのため、集合場所と作業内容があやふやです。
 10時からは春の用水路の点検です。これも以前は13時からだったのですが、午前中にやってくれるようになってだいぶ楽になりました。さらに数年前からは組の全戸(80軒くらいあります)ではなくその半分が隔年で担当することになって、これもだいぶありがたいです。今年は私の家は当番の年です。






4月3日(月) モザイク模様の切り紙(その2)

 イスラム風のモザイク模様を切り紙で切り出すのが面白かったので、もう1つ作ってみました。レーザカッターとかがあれば量産できそうですが、とりあえず手作業で切って試しています。

図 1

 これはエッジの方向は6通りしかないので、それを順にカットしました。

図 2

 視点を下げてみたところです(図2)。大きな正六角形の中央に集まる凧形の部分は連結していないため、ちょっと浮き上がっています。

図 3

 図3はこのパターンの下絵です。無限に繰り返されるパターンの一部分です。

(つづく)





 図書館で借りてきた折口真喜子の「踊る猫」を読み始めました。

図 4

 江戸時代を舞台として、蕪村やその周辺の人々が体験したり伝え聞いたりした不思議な生き物や体験をつづった連作短編集です。実際の蕪村の作品を基に、作者が思い切り想像を膨らませて書いたお話、という感じです。まだ半分くらいしか読んでいませんが、今のところ最初の「かわたろ」(河童)というタイトルのお話が一番印象に残っています。「ほのぼの」という感じではなく、「しんみり」「しみじみ」という味わいのある話が多いです。お勧めです。





 昨日4月2日(日)は地区の出払いがありました。2016年から隣組(伍長組、という言い方をします)の編成が変わって、担当する作業も変わりました。10年くらい前、うちの前の道が未舗装だったころは、その道路の補修作業(砂利を入れてならす)をやっていたのですが、その後は道路のゴミ拾いをやるようになりました。昨年からは農道の道直しの担当になって、砂利を軽トラに積んで未舗装路に下ろしてならす、という作業に変わりました。8時から始めて30分もすると終わってしまうのですが、遠くまでゴミ拾いをやっているグループは9時くらいまで終わらないので、後半は集合場所で待っている、という感じになります。

 10時からは用水路の上流の補修や整備作業がありました。これは隔年なので、今年参加しているので来年はやらなくてよいのです。圃場整備が進んでいる農地の中の用水路はU字溝になっていますし、周りもきれいなので特にやることはないのですが、林の中を流れている部分は普通の川と同じ状態で、周囲の木がかぶさってきていたりします。そういった木が倒れて水路をふさいでしまうと水が道路とかにあふれて迷惑ですし、下流に水が来なくなって農地では困ります。なので、大きな木や石を撤去するのが主な目的です。こちらも30分程度で終わりました。

 前日は雪だったので心配していたのですが、幸い晴れて天気が良くて助かりました。ただ日陰には雪が残っていて、水路に降りるときに足元が悪くてしりもちをついてしまって、ズボンを濡らしてしまいました。 水量が少ないのに、25cmくらいのニジマスが一匹いて驚きました。





 このところ、週末ごとに工作や計算機でちょっとした実験などをやっています。ここに書きたい内容のストックがだいぶたまりました。少なくとも週末は毎日更新したいと思っています。でも週の途中(後半)は難しそうです。

<おまけのひとこと>
 来年の自分のために、今年やった出払いの作業を記録しておこうと思いって書きました。単なる日記と化しています。
 先週の前半は義妹と甥が遊びに来ていたり、後半は娘が週末にちょっとした帰省をしたりしていました。いよいよ4月が始まります。仕事も忙しくなります。






4月4日(火) 檜垣の研究(その1)

 パターンや繰り返しについて興味があるので、日本の文様の知識も身に着けておきたいなと思っています。その中の1つ、「檜垣」(ひがき)についてちょっと考えてみました。今回の更新ではその話題を中心にご紹介します。

図 1

 図1が普通の「檜垣」です。色のセンスがないのはご勘弁ください。典型的な檜垣は、正方形が2つくっついた長方形、いわゆる「ドミノ」のかたちを並べたパターンになっています(図1)。歩道とかの敷石のパターンなどで、よく見かけます。

 一方、床材などでは1対2よりももっと細長い長方形を用いたパターンもしばしば見かけます。図2は1対3の長方形で檜垣のパターンを作ってみたものです。

図 2

 もっと細長いものもあります。自分がなぜこの檜垣のパターンが好きなんだろうと思い返してみたのですが、昔私が中学三年生だったとき(40年近く前です)、高校入試の模擬試験を受ける会場が信州大学の繊維学部でした。年間で5回〜6回くらい受けるのですが、それがいつも同じ部屋で同じ席順なのですが、その会場の床がこの「檜垣」のパターンになっていました。回を重ねてだんだん慣れてきて、時間も余るようになってくると、床の模様のパターンを眺めながら「これはどういう模様なんだろう?」と考えたのを思い出しました。

 試験中なのできょろきょろできないですし(カンニングを疑われたり、トイレに行きたいと誤解されてもいけないので)、じっと床を見つめながらいろいろ考えたのでした。いまだに「檜垣」というと、真っ先にあの床を思い出すのです。

 さて、1対2より細長い場合は想像がつくのですが、1対2よりも正方形に近い場合はどうなるのでしょうか?

(つづく)





 4月1日(土)の新聞のパズルのページに、nikoli出題のクロスワードが載っていました。その中に、2文字の枠のカギとして


自然○○、○○直線


 というヒントがありました。たいへん巧みなヒントだと思いました。すぐに気付けなくて悔しかったです。答は4月7日(金)の「おまけのひとこと」に書いておきます。

<おまけのひとこと>
 4月4日の朝に、4月4日(火)から7日(金)までの4日分をまとめて更新します。本当は毎日更新できると良いのですが。

 会社で、私よりも若干若い同世代の同僚が急病で入院してしまいました。他人事とは思えません。気を付けないと。






4月5日(水) 檜垣の研究(その2)

 「檜垣」の長方形を短くしていったらどうなるんだろう?という話です。イメージできますか?





















 一応ちょっと間を空けます。





















 まずは3対2にしてみました。短辺に対して長辺が1.5倍です。するとこんなパターンになりました(図1)。

図 1

 いかがでしょうか、「檜垣」に見えますか? これならまだ檜垣っぽいと思います。では次に6対5にしてみました。短辺に対して長辺は1.2倍しかありません。

図 2

 いかがでしょうか、もはや「檜垣」というよりは「市松」(いちまつ)、チェッカーボードのように見えませんか? 赤と黄色の帯をすこし隙間を空けて編んでいるようにも見えます。でもよく見るとそれぞれの帯はまっすぐではなくて少しずつずれていっていますが。

 この図を作ってみて、「市松というのは檜垣の特別な場合だったんだ」ということに改めて気が付いて面白かったです。

 次に、使うパーツが長方形ではなかったらどうなるか、考えてみました。

(つづく)





 先週末に帰省していた娘から質問された情報処理の資格試験の過去問です。論理回路の問題です。

図 3

 図3のように、スイッチAとBの2つの入力が合って、その結果、電灯が点いたり消えたりすることを考えます。よく、階段の上と下とか、長い廊下の両端とか、広い会議室の前と後ろの出入り口とかに、スイッチが1つずつ設けられていて、どちらか一方を操作すると電灯をon/offできるようになっていますが、それを論理回路で表すとどうなるでしょうか?という問題です。

 選択肢として

  • 1. AND回路
  • 2. NAND回路
  • 3. XOR回路
  • 4. NOR回路
  •  がありました。ロジックがそれぞれの回路だったとしたら、実際に廊下の両端でスイッチを操作すると何が起こる?という説明をしました。これらの論理回路の説明の例として面白いなと思ったのでご紹介します。

    <おまけのひとこと>
     先週、夜中に皮膚が痒かったり、掛け布団がどこかに行ってしまって寒かったりして目が覚めてしまったときに、この「檜垣」のバリエーションのことをいろいろ考えてしまいました。そうしたら眠りに戻れなくなりました。そうすると昼間に眠くなってしまったり、翌日はとんでもなく早く寝てしまったりしてしまいました。反省。






    4月6日(木) 檜垣の研究(その3)

     「檜垣」の長方形の角度を直角ではなくしたらどうなるだろう?と考えてみました。具体的にはこんな

    図 1

     平行四辺形を使ってみます。この平行四辺形は角度も辺の長さの比も適当で、特に意味のある特別な値にはなっていません。長方形は鏡像対称なのでかたちは1種類で良かったのですが、平行四辺形の場合は裏返しのかたちが必要になります。これを「檜垣」っぽく並べてみました。

    図 2 図 3

     いかがでしょうか、「檜垣」に見えますか? 図2と図3はまったく同じパーツから作っていますが、この2つの図は同じでしょうか違うでしょうか? 違うとしたら何が違うのでしょうか? 例えば図のような青と緑のタイルがたくさんあったとして、言葉だけで、例えば電話で「図2を作れ」もしくは「図3を作れ」という指示をしたいとしたら、どうやって説明しますか?

    (つづく)





     おまけの話題です。車のナンバープレートを見ると、上位2桁と下位2桁どうしの掛け算を暗算でやってみています。複数の計算方法で検算したりして楽しいのですが、だいたいすぐにそのプロセスを忘れてしまいます。久しぶりに記憶に残った計算があったのでご紹介します。やったのは


    18-32


     というナンバーでした。見たとたん「18+32は50だから平均は25、ということはこれは 25±7 だな」と思って、図の1行目のように25の二乗から7の二乗を引き算して答を出しました。そうしたら「あれ? これって24の二乗?」と気が付きました。

    図 4

     考えてみると、図4の2行目のように掛け算を分解してみると、なるほど3×8の二乗になっています。7,24,25というのがピタゴラスの数だというのを忘れていました。

     こんな、とてもささやかな「あ、そうか!」という気付きがあるので、ナンバープレートの掛け算の遊びは楽しいのです。

    <おまけのひとこと>
     昨年末に私の職場で退職して転職した若い友人からメールをもらいました。うれしく読みました。五月連休には信州に帰省するようで、その時に会いたいですね、というメッセージでした。楽しみです。






    4月7日(金) 檜垣の研究(その4)

     平行四辺形を使った「檜垣」のパターン、格子の上で考えられるといいなと思って、三角格子にのる平行四辺形ということで図1のように正三角形4つをつないだかたちを例に考えてみたいと思います。これは長辺と短辺の長さの比が2対1です。

    図 1

     色に惑わされないように、今日の図はあえて色付けしませんでした。

    図 2 図 3

     昨日と同様、この図2と図3を言葉だけで作図してもらう、というタスクを考えます。まず、パーツについては「底角が60度で短辺と長辺の長さの比が1対2になっている平行四辺形」と言えば誤解なく伝わるはずです。「正三角形4つを連結した、正四面体の展開図のかたち」という補足説明をしたら、なるほどと腑に落ちる人もいるかもしれません。

     ちなみに相手は、ドミノ(1対2の長方形)を檜垣のパターンに組むことは知っているとします。その上で、図2と図3を作ってもらうためにはどう言えば誤解なく伝わるでしょうか?

     もう1つ問題です。昨日の一般の平行四辺形による檜垣のパターン(図2、図3)と、今日の図2、図3はどちらがどちらに対応するでしょうか?

    (つづく)

    <おまけのひとこと>
     4月4日(火)で、クロスワードの2文字のカギに感心した話を書きました。答は、1文字目が「ス」で、2文字目が「ウ」です。結局このヒントからではなく、クロスする別な言葉が先にわかった結果、後からこのカギの意味がわかったのです。「やられた」と思いました。






    4月8日(土) 正十二角形(その1)

     半径が1の円に内接する正多角形の面積と周の長さについてちょっと考えてみました。まずはExcelを使って、正三角形、正方形、正五角形、正六角形、…、の面積と周の長さを数値計算してグラフに描いてみました。

    図 1

     半径が1なので、当たり前ですが面積は円周率、周長はその2倍に近づいていきます。単調に増加します。

     数値計算の結果の表を見てみました。3か所、きれいな整数値になっているところがあります。

    図 2

     半径1の円に内接する正方形は、対角線の長さが2です。この面積は2になります。また、半径1の六角形の周長は6になります。これも説明不要かと思います。少し意外なのが、正十二角形の面積が3になっているところです。これは正方形や正六角形ほど直感的に明らかではないと思います。正十二角形の面積が3になることを示せますか?

    (つづく)

    <おまけのひとこと>
     まったくどうでもいい話ですが、NiftyのデイリーポータルZのバックナンバーの名前のないメニューを食べる一日(小野法師丸)を読んでいたら、「白いご飯に揚げ玉とミョウガを載せてめんつゆをかける」という料理が出てきました。私はこれを「揚げ玉丼」と呼んで、密かに愛好しています。ミョウガがあれば最高ですが、ネギでもOKです。味付けはめんつゆではなくてポン酢を使うのが好みです。
     週末は無意味に毎朝更新します。今日4/8は月に一度のアンサンブルの練習です。
     先週、このページおよび作者についての中身をちょっとだけ更新しました。






    4月9日(日) 正十二角形(その2)、二種類の「檜垣」

     半径1の円に内接する正多角形の面積や周長が整数値になるものは3つしかない、という話の続きです。そのうちの1つである正十二角形の面積を実際に求めてみます。(あとの2つ、正方形の面積と正六角形の周長は簡単なので省略します。)

     まずは高校生ならば普通はこう解くのではないか、という解をご紹介します。

    図 1

     円の中心と、隣接する2つの頂点による三角形(図1の水色の部分)を考えます。中心から頂点までの距離は半径1ですから、これは二等辺三角形です。正十二角形なので、面積はこの水色の三角形の12倍ということになります。

     2辺とその間の角度がわかっていれば、正弦定理で面積は求まります。角度は360度の12分の1ですから30度です。幸いにして30度の正弦は知っていますから、計算すると図1のように3になっていることがわかります。

     次に、三角関数を知らないとして、初等幾何だけで考えてみます。図2のように、中心Oと隣接する2頂点A,B、さらに一つ飛ばして頂点Cを考えます。角BOCは60度ですから、三角形OBC(クリーム色の部分)は正三角形になります。ということは頂点Bから辺OCに垂線を下すと、OCは二等分されて、1/2にになります。角AOCは直角なので、結局、辺OAに対する頂点Bの高さが1/2ということになるので、水色の三角形の面積が求まります。

    図 2

     実はさらに直感的に示す方法がある、ということを知りました。明日、それをご紹介します。

    (つづく)





     先日、同じ平行四辺形のパーツから「檜垣」のパターンを作ろうとすると、下のように2つのパターンが作れる、という話をしました。この2つは何が違うのでしょうか? 簡単に解説しておこうと思います。

     「檜垣」の辺の構造を見ると、必ずT字路になっていることがわかります。どの頂点も、長い直線の辺に対して2つの平行四辺形の頂点が向き合うかたちをしています。T字路では必ず長辺と短辺が接しています。図3のように、T字路に集まる2つの頂点に注目してみましょう。

    図 3

     図3左は、短辺側が鈍角(直角より大きい角)になっています。一方図3右は短辺側は鋭角(直角より小さい尖った角)です。2つのパーツの位置関係が1箇所決まれば、後はすべて同じになります。「T字路に集まる2つの頂点のうち、短辺側が鋭角か鈍角か」で、この2つのパターンを言葉だけで区別することができるのです。

    <おまけのひとこと>
     今日はちょっと欲張って2つの話題を載せました。正多角形の面積や周の長さが整数値になるのは3つだけ、というのは高校や大学入試の数学の問題にならないかな、とちょっと思いました。
     たとえば、

    1). 半径1の円に内接する正三角形の周長を求めよ
    2). 半径1の円に内接する正方形の周長を求めよ
    3). 半径1の円に内接する正六角形の周長を求めよ
    4). 半径1の円に内接する正N角形のうち、周長が整数になるものをすべて求めよ。ただし正N角形の周長をL(N)とするとき、L(N)は単調増加し、2π≒6.28に収束するすることは既知としてよい。

    とか。

     周長L(N)や面積S(N)が単調増加し、円の周長・面積に収束するところまで示せ、というのはちょっと大変かもしれません。

     昨日の夕方、茅野市民館で「諏訪ペーパークラフトの会」の作品展があったので、ちょっと見学させていただいてきました。折り紙建築や切り絵の手法の作品が多かったように思いました。閲覧ルートの最後に、おそらく講師の先生の私物なのでしょうか、市販のペーパクラフトの様々な本が展示されていました。茶谷先生の折り紙建築の本や三谷純先生の本、「カミカラ」の本などがありました。






    4月10日(月) Kürschákのタイル:正十二角形(その3)

     半径1の円に内接する正多角形の面積や周長が整数値になるものは3つしかない、という話の3回目です。正十二角形の面積が3になることを直感的に示すKürschákのタイルというのがあるのだそうです。数学の興味深い話題について広く深く網羅されているWalframのMathworldにもKürschák's tileというページがちゃんとありました。

     このタイルパターンは図1のようなものです。

    図 1

     ここでは、2種類の三角形が使われています。正三角形が16個と、角度が15度・15度・150度の平べったい鈍角二等辺三角形が32個です。黄色い正三角形12個の内側が正十二角形です。この正十二角形が半径1の円に内接するので、鈍角二等辺三角形の長い底辺の長さが1となり、図1の全体の正方形の一辺の長さは2となります。従って正方形の面積は4です。

     さて、図2左のように、正十二角形の外側のタイルの色を消して、内側のタイルの4分の1の色を桃色・水色・黄緑色に変えてみます。色を変えた部分は、正三角形3枚と鈍角二等辺三角形が6枚になります。

     これを、図2右のように、左上、右上、左下に配置します。そうすると、1辺が1の正方形が3つ分になっていることがわかります。

    図 2

     つまり、このタイルを考えると、計算しなくても正十二角形の面積が3だ、ということがわかります。

     蛇足ですが、類似の説明を考えてみます。図3左のように、もともとの正十二角形を黄色、外側を青に塗って、全体を4等分します。そのうちの4分の1の部分だけに注目します(図3中)。

    図 3

     正三角形1つと鈍角二等辺三角形2つで、角度が75度・75度・30度の鋭角二等辺三角形ができますが、黄色の鋭角二等辺三角形が3つ、青の鋭角二等辺三角形が1つできることがわかります(図3右)。 つまり、黄色と青の面積比は3対1ということになります。なので大きな正方形4に対して、黄色の部分の比率は3になります。

     とても鮮やかで面白いと思いました。いかがでしょうか。

     なお、上記のWalframのページには、この正十二角形を簡単に作図する方法が紹介されています。(おそらくこれもKürschákが示したのではないかと想像しています。) 正方形の内側に、正方形の一辺と長さが同じ正三角形を4つ、各辺を共有するように重ねて描きます。各正三角形のそれぞれの頂点のうち、正方形とは頂点を共有しない4点を結ぶと、45度回転した小さな正方形ができます。この小正方形の各辺の中点と、先ほどの4つの正三角形の辺の交点を適切に結ぶと正十二角形になっています。これも面白い図です。





     庭のマルメロの枝が芽吹き始めました。この木には季節を問わず小鳥が止まりに来ることがあるのですが、最近はその新芽をついばんでいることがあります。

    図 4

     先日は一度に同じ種類の小鳥が3羽止まってさかんに新芽を食べていました。枯れてしまったらかわいそうだなと思ってちょっと心配していますが、特に追い払ったりはしていません。この写真は家の中からガラス越しに撮影しています。

    <おまけのひとこと>
     今回は4月10日(月)から12日(水)までの3日分をまとめて更新しています。






    4月11日(火) 正八面体を「尖らす」(その1)

     先月、正四面体を尖らす、というCGとペーパーモデルをご紹介しました。同様に正八面体を尖らせてみることにしました。まずはCGをご覧ください。

    図 1 図 2
    図 3 図 4
    図 5 図 6

     図1,3,5(左の列)のものを15度ほど回転したものが、図2,4,6(右の列)になります。図1と図2は正八面体そのもの、図3と図4が少し尖らせたもの、図5と図6はさらに尖らせたものです。

     CGで描いているので、私の座標計算が間違っていなければ正しいはずですが、なんとなくひずんでいるように見えなくもないです(不安)。 でも、ちゃんと指定した4点でちゃんと面が張られているので、少なくとも各面の凧形の4頂点は同一平面上にあるはずです。

    (つづく)

    <おまけのひとこと>
     9日の日曜日に妻と東御(とうみ)市に行きました。峠は雨が強く降っていて大変でしたが、帰りは晴れました。






    4月12日(水) 正八面体を「尖らす」(その2)

     さて、昨日のCGを描くために行った計算のメモを、備忘録として載せておきます。

     3次元座標系のx軸、y軸、z軸上に正八面体の6つの頂点を取ります。計算が楽になるように、各軸の±2のところを頂点とします。正八面体の稜の中点は、(±1,±1,0)、(±1,0,±1)、(0,±1,±1)の全部の組み合わせの12か所になります。それを原点(0,0,0)に向かって近づけてゆくので、パラメータをtとしt(±t,±t,0)、(±t,0,±t)、(0,±t,±t)となります。正八面体の8つの面がそれぞれ3つの凧形になるので、全部で24面ありますが、そのうち図1のA(2,0,0)、B(t,t,0)、D(t,0,t)を含む凧形に注目します。

    図 1

     この凧形の4つ目の頂点Cは、対称性から言って(0,0,0)と(t,t,t)を結ぶ対角線上にあるはずです。そうでないと全部の凧形が合同になりません。そこで、図1のようにBDの中点Mを考えて、AMを通る直線がOCとぶつかるという方程式を立てます。これを解くと頂点Cの座標がわかりました。(これを解くのは手計算でやりました。)

     CGを描く分にはこれで必要な情報は得られたのですが、仮に模型を作るとしたら、このままだとさらに計算が必要です。そこでExcelで、パラメータtを決めたら凧形の寸法がわかるようなシートを作ってみました(図2)。

    図 2

     凧形は2つの二等辺三角形が上下にくっついたかたちをしています。二等辺三角形の共通底辺の長さとそれぞれの高さがわかると作図が簡単になります。そこで、図2のようにtを入れると必要な計算を自動でやってくれるようにしました。前回の「正四面体を尖らす」でも同じようなExcelを作って作図しています。

     コンピュータって便利だなあとしみじみ思います。私の子供の頃ならこういった計算は電卓をたたいていました。CASIOのプログラム電卓fx-502pを愛用していました。さらにその前ならば計算尺でしょうか。計算尺でも有効数字は3桁はありますから、模型を作るには精度は足りています。

    (つづく)

    <おまけのひとこと>
     自分が、いつのまにか昔話を語る老人の立場になっているということがとても新鮮で面白いです。素直に新しいやり方やツールはすごいなあと思うし、そういったものに抵抗のない若い人たちはすばらしいと思います。「今の若者はだめだ」とは思えません。できる限り他人、特に若い人に迷惑をかける老人にはなりたくないなあと思っています。






    4月13日(木) 立方体を「尖らす」(その1)

     正八面体を尖らせる設計をご紹介しましたが、立方体でも同じことをやってみました。

    図 1 図 2
    図 3 図 4
    図 5 図 6

     図1が最初の立方体です。立方体のそれぞれの稜の中点を少しずつ中心に近づけていって、各面が凧形になるようにします。全て合同な凧形24枚による、凸でない多面体になります。

     このかたちもなかなか面白いと思いました。

    (つづく)

    <おまけのひとこと>
     4月13日(木)、14日(金)の二日分の更新です。4/13の朝に更新しています。
     久々にアクセスカウンタの万の桁が変わりました。ありがとうございます。






    4月14日(金) 立方体を「尖らす」(その2)

     「正四面体を尖らす」「正八面体尖らす」に続いて、計算のメモを準備しました。

    図 1

     3次元座標系の(±1,±1,±1)の符号のすべての組み合わせで8つの点になりますが、これが立方体の8つの頂点になります。稜の中点の位置は正八面体とまったく同じで、(±1,±1,0)、(±1,0,±1)、(0,±1,±1)の全部の組み合わせの12か所です。それを原点(0,0,0)に向かって近づけてゆくので、パラメータをtとして(±t,±t,0)、(±t,0,±t)、(0,±t,±t)となります。立方体の6つの面がそれぞれ4つの凧形になるので、全部で24面ありますが、そのうち図2のA(1,1,1)、B(t,t,0)、D(t,0,t)を含む凧形に注目します。

    図 2

     実に面白いことに、頂点Bと頂点Dは正八面体のときと同じなのです。立方体のときは、固定の頂点が(1,1,1)で、x=y=z という直線上にあって、求める頂点Cはx軸上にあります。 正八面体の時は固定の頂点がx軸上の(2,0,0)で、求める頂点Cが x=y=z 上にありました。一昨日の図1と比べてみてください。

     パラメータtを1から0.2ずつ小さくしていったときの1つの凧形のかたちがどう変化するのか、CGにしてみました。水色の凧形が正八面体由来のもの、赤の凧形が立方体由来のものです。

    図 3 図 4
    図 5 図 6

     とても面白いと思いました。

    (つづく)

    <おまけのひとこと>
     2017年度、担当する業務が急に増えて忙しくなっています。まあヒマよりはいいのですが。






    4月15日(土) ナンバープレートの掛け算:7-73

     ナンバープレートの上2桁と下2桁の掛け算をしてみる、話の小ネタです。先日、7-73という番号を見ました。

    図 1

     ちなみにこの画像はオリジナル ナンバープレート作成 ミニカー用というページで作成させていただきました。実在するナンバープレートになってしまうと困るので、架空のものにしました。

     このサイトはとても充実していて、気が付いたらかなり長いこといろいろなページを見て回ってしまいました。大変な情熱と労力で作られているサイトだと思います。

     さて、7×73を計算してみると511になります。なんということはない数字ですが、これは2の9乗である512より1つ小さな数です。ということは、10進法ならば999...みたいな数だということで、2進法に直すとすべての桁が1になっているはずです。7は4+2+1なので、二進法なら111、73は64+8+1なので二進法なら1001001です。筆算してみると

    図 2

     こうなりました。納得です。すっきりしました。

    <おまけのひとこと>
     過去のページの一番下になる日付なので、軽い話題です。






    [←2017年3月後半]  [↑表紙へ]  [2017年4月後半→]

    [Home]-[以前のひとこと]-[2017年4月前半]
    mailto:hhase@po10.lcv.ne.jp
    2001-2018 hhase