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以前の「ひとこと」 : 2017年2月後半



2月16日(木) 二人ゲーム:Domineering(その1)

 久しぶりに“Game of No Chance”を本棚から出してきてぺらぺらと飛ばし読みしました。もはや20年くらい前の本ですが、面白い論文がたくさん載っています。

図 1

 今回読んだのは、その中の“Championship-Level Play of Domineering”(Julian West) です。(このタイトルで検索するとpdfが読めてしまいます。) Domineering というのは、囲碁や将棋のように、二人が交互にプレイする、運の要素がない完全情報公開型の対戦ゲームです。ルールを簡単にご紹介します。

使用する盤面は正方格子のチェッカーボード(サイズは様々だが標準的にはチェス盤と同じ8×8)。
使用するコマは1×2のタイルで、ボードの2マスに重ねて置かれる。
プレーヤー1は水平にのみ、プレーヤー2は垂直にのみ、タイルを置くことが許される。
タイルは重なってはいけない。
最初にタイルを置けなくなったプレーヤーが負け。

 こちらDomineeringに、フリーでブラウザ上でプレイできるDomineeringが公開されています。盤面のサイズを変えたり、相手のコンピュータの強さを変えたりできます。

 自分が先手の白、相手がコンピュータ(確かNoviceBot:5段階のうちの真ん中の強さ)という設定で8×8マスでプレイしてみた結果をgifアニメーションにしてみました。

図 2

 シンプルですが面白いゲームです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 2月15日は会社を休んで定期通院に行きました。妻は同じ日に歯科通院でした。






2月17日(金) 二人ゲーム:Domineering(その2)

 Domineeringの中盤の考え方をちょっとだけご紹介します。

図 1

 先手白、後手黒で次は黒番です。(白が9枚、黒が8枚プレイされています。)今、どちらが有利でしょうか? 黒は次にどう打つのがよいでしょうか?



















ちょっとだけ間をあけて…



















図 1(再) 図 2

 図2に、どちらの陣地か確定したところを青と赤で着色してみました。こういうところはもはや責められないので、あとでゆっくり置けます。黒は確定しているところが5個分、白は3個分あるので、現状では黒がリードしています。問題は図2のAやBのように、まだ確定していないところです。

 Aの部分、仮に白が下図A-1のように置けば、領域Aは白3個分になって、逆転されてしまいます。

図 3

 でも、上図A-2のように黒をプレイすれば、領域Aは黒2、白1になります。一方領域Bは、白に邪魔されなければ黒は2個置けますが、普通は1個ずつになるでしょう。

 というわけで、黒はA-2のようにプレイするのが最善手です。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 2月17日(金)は職場の飲み会がありました。日本酒とお魚がおいしいお店ということだったのですが、いつもの通りひたすらビールを飲みました。外でそれ以外のお酒を飲むと危険なのです。結局終電(23:08)で帰りました。






2月18日(土) 二人ゲーム:Domineering(その3)

 Domineering、方眼紙と鉛筆があれば簡単に研究できます。

図 1

 子供のころ、コンピュータがない時代だったので、ノートの横線に対してフリーハンドで縦線をひいてマス目を作って、いろいろなパズルやゲームを考えるのが好きでした。方眼紙でもいいし、マス目の入ったホワイトボードとかでも遊べます。

 少し検索してみたら、“Solving 8x8 Domineering”D.M.Breuker, J.W.H.M.Uiterwijk, and H.J.van den Herik, Theoretical Computer Science, vol.230,pp. 195-206(2000) という文献がありました。その中に、こんな表がありました。

図 2

 この表の見かたですが、左端の“Board size”がゲーム盤のマス目の数、隣の“Result”がどちらが勝つか、を表しています。Resultには 1,2,H,V の4つの記号があります。1は先手必勝、2は後手必勝を表します。一方、H(Horizontal)は水平タイル必勝、V(Vertical)は垂直タイル必勝を表します。

 盤面のタテヨコのマス目の数が同じならば、HとVは違いはありませんから、先手か後手かだけが重要です。一方、盤面のタテヨコのマス目の数が異なる場合、HタイルとVタイルのプレーヤーの条件は同じではありません。この表は眺めていて飽きません。

 簡単な2×Nの盤面だったらどうなるか、この表を見ると周期性があるように見えますが、これは証明されていますが考えてみると面白いと思います。

 なお、検索してみると昨年のカンファレンスCG2016(Computer and Games 2016)で、11×11の盤面のDomineeringは先手必勝と解析されたそうです。そのものずばりの情報にはたどり着けませんでした。

<おまけのひとこと>
 2月18日、19日の週末は風邪気味で頭痛がして、ほとんど何もできませんでした。本当は床屋さんにも行きたかったし、車のオイル交換もしたかったのですが、おあずけです。






2月19日(日) 不思議な統計の話(その2):解説編

 先日、こんな話をラジオで聴きましたという話をご紹介しました。

2016年の長野県の定職者の平均給与は前年と比較して0.6パーセント減少した。
しかし、そのうち男性の平均給与はわずかに増加した。
女性の平均給与、やはり増加していた。

 実際にはこういうことだったのだそうです。



















ちょっとだけ間をあけて…



















 女性の平均給与のほうが男性よりも低く、かつ、昨年よりも今年のほうが、回答者のうちの女性の割合が上がったため、だそうです。ラジオでもごく簡潔にこの説明をしていました。「相対的に給与が低い女性の回答が増加したため」というような文言だったような気がします。

 統計処理としてこれが正しいのかわかりません。賃金労働者のうち、本当に女性が増加しているのであれば、これは正しい結果、なのかもしれません。

<おまけのひとこと>
 この話、職場で紹介したのですが、あまり面白がってもらえませんでした。






2月20日(月) 「素晴らしい三角法の世界」

 図書館で「素晴らしい三角法の世界」青土社:エリ・マオール著、好田順治 訳を借りました。

図 1

 面白かったのですが、途中にすごい誤植がありました。 

図 2

 ご覧のように、この式がどのように美しいのかは前後に一切説明されていません。この式をこの本で初めて知った人は、これが誤植だと気が付くでしょうか? 心配です。

<おまけのひとこと>
 同じ本のずっと後ろのほうに、もう一度この式が出てきます。それは正しいです。図書館の本なので、メモか何かをはさもうかなあと思いましたが、そう思っているうちに忘れて返却してしまいました。






2月21日(火) 県境

 新聞に、埼玉県、群馬県、千葉県の県境のあたりの略地図が載っていて、「そういえばこの3県の県境は確か利根川と江戸川だったはず」と思って、詳細な地図が見たくなりました。

図 1

 こうしてみると(図1)、群馬、栃木、茨城、埼玉、千葉の県境は狭いエリアに集中していますね。大学の頃、縁あってヤンマーディーゼルの学生寮に住んでいたのですが、関西出身者がほとんどだったのですが、彼らは「関西の人間にとっては関東の県の位置関係はわかりにくい」とよく言っていました。

 それはともかく、千葉県の細長い西端のあたりの拡大図です(図2)。

図 2

 利根川から江戸川が分岐するところまでが千葉県だと思ったら、そうではないのですね。さらに拡大してみました(図3)。

図 3

 県境ぎりぎりのところに博物館があるようです。なんとなく行ってみたくなりました。妻にそう言うと「一人で行って来たら」と言われました。それはそうですよね。

<おまけのひとこと>
 最近は自宅のPCはLinux環境で使っている時間が長くなりました。






2月22日(水) 「大人の音楽パズル(上級編)」

 妻が自宅でピアノを教えているので、ときどき生徒さんの教材の楽譜を買いに行きます。そんなときに一緒について行って楽器屋さんで楽譜や書籍を眺めるのですが、ついつい何か買ってしまうことがよくあります。

 今回は大人の音楽パズル(上級編)(ヤマハ)を買ってきました。あの「(株)ニコリ」制作のパズルが22問と、楽典などの解説が入っています。問題数から考えるとやや割高感はありますが、アイディアが面白かったので、買うことにしました。

図 1

 ニコリのパズルが好きで、かつ楽譜が好きな人ならば楽しめると思います。

 これを見ていたら、自分でも同じようなパズルを作ってみたくなりました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 しかし、ニコリが好きで楽譜が好きな人、というのはかなり限定される気がします。
 2月25日(土)の夜に、2/22(水)〜2/28(火)の一週間分の更新をしています。この「大人の音楽パズル」を買ったのは2/25(土)の昼間です。






2月23日(木) 和音パズル:導入編

 さて、自分で作ってみようと思ったのは「和音を使ったパズル」です。「大人の音楽パズル(上級編)」にも和音を利用したパズルがいくつかありましたが、もっと難しくしてやろうと思ったのです。

 この段階でさらにユーザを限定するなあと思いつつ、アイディアを説明します。2016年12月5日のひとことで、ハ音記号についてちょっと解説を書きましたが、ト音記号やヘ音記号の仲間(音部記号といいます)にはもっとほかの種類のものがあります。それらを使うと、「見かけは違っても意味は同じ」という表現をすることができます。

図 1

 図1に6種類の和音を載せました。いずれもピアノの白鍵だけで鳴らすことができる和音です。横に3つの和音が描かれていますが、これはいずれも全く同じ和音です。オクターブが違う、ということもありません。

 図1では五線をそろえて並べてみているため、和音の音符の高さはまちまちです。ですが図2のように、いわゆる「中央のド」が同じ高さになるように並べてみると、音符が同じ高さになっているのがわかります。

図 2

 このように、全く同じ和音を異なる表記で表現できる、ということを利用して、単なるパターン認識ではなく、楽譜を読めないと解けないパズルが作れるな、と思ったのです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 この段階ですでに興味を持って読んでいただけない方が大部分のような気もしますが、続けさせていただきます。

 25日の夕方、車のオイル交換に行きました。お店は混雑していて、待ち時間に持って行ったPCで和音の画像を作りました。
 オイルフィルタの交換を勧められたので、費用を確認したうえでお願いしたのですが、作業終了後の精算のときにオイル代しか請求されていませんでした。「フィルタ交換はしなかったのですか?」と尋ねたら、「ちょっと待ってください、確認してきます」ということになって、結局フィルタ交換費用と部品代の入った請求書が再度発行されました。ちょっと不安になりました。






2月24日(金) 和音のパズル:同じ和音をつなぐ

 さて、最初の問題です。昨日の解説をご理解いただいたとして、ウォーミングアップに次の問題をやってみましょう。

同じ和音を線でつなぎなさい

 小学校低学年向けの問題とかに「線でつなぐ」というのがあったと思います。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 2月24日(金)は「プレミアムフライデー」だったのだそうです。会社では、社内の広報や社内放送、管理職からの伝達事項はもちろん、個人的な雑談等も含めて「プレミアムフライデー」という言葉は一切ひとことも聞きませんでした。完全に無視、という感じでした。ニュース等をみると、「早く帰ってもお金もないしやることがない」というコメントも見かけましたが、うーむ、私ならお金を使わなくてもやりたいことはたくさんあるなあと思いました。






2月25日(土) 和音の問題:同じ和音の組を探す

 2つ目の問題です。「セイムセット」と呼ばれるパズルです。

同じ和音の組は何番と何番でしょう?

 1番から7番まで、3つの和音の組が7組あります。この中で同じ和音の組になっているのはどれでしょう?

 メモを取ればかなり簡単になると思います。でも、この問題の画面だけを見て答えてくださいと言ったら、かなり難しいのではないでしょうか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 「セイムセット」も、4つ一組にして選択肢を16組くらいにすることも考えたのですが、それはさすがにやりすぎだと思ったのでやめました。というかこれでもすでに誰にも見向きもされないだろうなあと思いながら出題しています。

 毎月一度、地区の集まりがあります。毎年決まった共同作業についてとか、いろいろな役員や係からの連絡事項、区費の使い道に関する議論などをしています。最近だと、公民館の屋根の補修の手法をどうするか(次の建て替えまで低予算で最低限の対応だけしておく方針にするのか、それともある程度費用をかけてきちんと直して寿命を延ばすのか)、などが議論が白熱しました。
 今月は、「3年間で11人しか利用していないマレットゴルフ場の整備費が毎年30万円近くかかっている」件についての議論がありました。(私が住んでいる地域の自治会は三百数十戸が加入していて、年間の自治会費の収入は数百万円程度です。) 規模はまるで違いますが、長野オリンピックのときに建設された「長野市ボブスレー・リュージュパーク」の維持費が年間2億円以上かかっているが、利用者がとても限定的だ、という話を思い出しました。






2月26日(日) 和音の問題:ブロックパズル

 3つ目の問題は「ブロックパズル」です。

C,Dm,Em,F,G,Amの6つの和音を含むブロック8つに分けてください
図 1

 ブロックパズルをご存じない方に例題をお示しします。

A,B,C,D,Eの5つの文字を含むブロック5つに分けてください
図 2

 パズルを解く入り口は、同じ文字の間に「壁」を立ててゆくことです。必ず同じブロックになるものをつなげていって、壁を伸ばしていきます。図1の問題では、まったく同じ和音の表記はどこにもありませんから、まずはタテヨコに隣接する和音のうち、どれが同じなのかを考えて、最初の壁を立ててゆくところからはじめます。

 「セイムセット」「ブロックパズル」以外にも「三択メイロ」も作ろうと思ったのですが、ちょっと大変だったので今回の更新ではこの3問だけにしました。きっと需要は全くないと思います。自分が忘れたころに解いて楽しもうと思っています。

<おまけのひとこと>
 ずいぶん昔、「音の神経衰弱」を作ってみたりしましたが、これも和音の表記ではなくて実際に音を鳴らすようにしたら、また難易度が激増するなあと思いました。






2月27日(月) Flow Freeというパズルの「一筆書き縛り」(その1)

 ちょうど1年ほど前、2016年3月3日のひとことで、Flow Free というパズルをやっています、ということを書きました。相変わらず毎日数問ずつやっているのですが、慣れてきたので新たに自分で勝手に制限を設けて遊んでいます。

図 1

 図1は問題の一例です。同じ色のマル印どうしを、各マスを1度だけ通る線でつなぎます。線は交差できません。線が通らないマスがあってはいけません。

 この問題の答は図2のようになります。

図 2

 最近お気に入りの解き方は、図3のように「同色のマル印を結ぶ線を描き終わったら、必ず隣接するマル印から次の線を描きはじめる」というルールです。

図 3

 次の色に移動するときも、基本はタテヨコに並んだものしかダメ、それが不可能ならナナメ移動も可だが解としてのレベルは低い、としています。もちろんすべての問題がこの条件で解けるわけではありません。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 頭の中だけで全部解き終わってから解を記入するようにしています。






2月28日(火) Flow Freeというパズルの「一筆書き縛り」(その2)

 「一筆書き縛り」のFlow Free、例題を載せたいと思います。

図 1 図 2
図 3 図 4

 図1から図4の4問、Flow Freeとしてはすべて解ける問題です。(難しくないと思います。)この中で「一筆書き縛り」では解けない問題はどれでしょう?

<おまけのひとこと>
 ようやく冬も終わりに近づいてきました。






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