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以前の「ひとこと」 : 2009年3月前半



3月1日(日) 菱形十二面体を囲む12本のパーツ(その6)

 一日別の話題をはさみました。12本組みの話の続きです。前回は、切り欠きがちょうどぴったり2面だけになるように設計を変えるという話をしました。

再掲図

 結果の図をご覧頂きます。比較のために、下に以前のものの写真を再掲しておきます。

図 1 図 2 図 3

再掲図 1 再掲図 2 再掲図 3

 ほんの小さな差なのですが、すっきりときれいになったと満足しています。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 3月になりました。まだ寒いですが、春めいてきました。






3月2日(月) 正三角形4つを組む

 お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、正三角形を4つ組み合わせる、といえば、以前にも作ったことがあったのでした。下の写真は、07年12月4日のひとことでご紹介したものです。

正三角形を4つ組むモデル

 今回ご紹介しているのは、断面が2×1の直方体のパーツのシリーズなので、このモデルもそのように再設計してみました。

図 1 図 2

 断面が正方形のものにくらべて組むときに少し外れにくくなって、だいぶ組みやすくなりました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今週はとても忙しくて頭が痛いです。






3月3日(火) 正三角柱4本交差を12本組で(その1)

 このところ、菱形十二面体を囲む12本組というモデルをご紹介してきました。これらは3本ずつが4方向に揃っているかたちをしています。同じ対称性で、正三角柱が4本交差しているかたちがあって、以前から紙に限らずいろいろな手法で作ってみているのですが、いまひとつ気に入ったものができませんでした。

 このところ作っているモデルを見ながら、1つの正三角柱を1つのパーツではなく3本の合同なパーツで作ったらきれいな正三角柱4本交差が作れるのではないかと思いついて、試行錯誤の上、こんなかたちを作ってみました。

図 1 図 2 図 3

 最初に設計したものは切り欠きの設計が不十分で組めませんでした。次に作ったものは、紙の厚さのマージンを見積もりそこなって、最後のパーツを入れるときにぐちゃぐちゃになってしまいました。これは3回目にようやくそれらしいかたちにできたものの写真です。このモデル、非常に気に入っています。

 設計の元になったCGは以下の図4です。わかりやすいように4色使っています。

図 4

 図5は、最初に設計したパーツのかたちです。底面が等脚台形の四角柱から一部を削り取ったかたちです。底面の等脚台形は、正三角形を3つくっつけたかたちです。

図 5

 実はこれでは組めません。切り欠きが少なすぎるのです。苦労してパーツを12個そろえてから、どうにも組めないことがわかって、それはそれはがっかりしました。印刷して折り筋をつけてパーツを切り出して折り曲げて、という作業はかなり手間がかかります。完成した美しい形をイメージして黙々と作業をするのですが、その結果設計がまずくて組めないと、自分の空間把握能力の低さにうんざりしてしまいます。それでもこのかたちをどうしても実現したくて、何度もトライしました。

 これが剛体のパーツであれば、12本が合同では組めないでしょう。素材が紙だからこそ、余分な切り欠きもなく、接着も不要で、すべて合同なパーツからこの美しいかたちを組むことができて、とても満足です。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 ひなまつりなので、最近作った中でも特に気にいっているモデルをご紹介することにしました。






3月4日(水) 正三角柱4本交差を12本組で(その2)

 昨日は、底面が等脚台形の四角柱12本で、正三角柱4本交差を作ったものをご紹介しました。正三角形を3つに合同分割する別な方法として、凧型のパターンも作ってみました。

図 1 図 2 図 3

 これもかなり設計も製作も大変でした。が、昨日のものと負けず劣らず気に入っています。

<おまけのひとこと>
 雪が降って大変です。














3月9日(月) リスーピアでワークショップ(その1)

 また数日更新をお休みしました。先週末の3月7日(土),8日(日)と、リスーピアでワークショップをやってきました。昨年は2月のワークショップを担当したのですが、今年は3月ということで、年度末でちょっと大変でした。

 昨年は、パーツが板状の三枚組木、板状の六枚組木、そして普通の正四角柱型の六本組木の3つを作っていただきました。

再掲図

 その際、時間が少々余り気味だったのと、「かたちの不思議を味わう」というには少々内容が不十分だったかなという思いが残りました。

 この反省を受けて、今年はもう少し「考えていただく」「えー、すごい!」とびっくりして面白がっていただけるような要素を入れたいな、と思っていました。そこでまず、普通の「立方体」「三本組木」「六本組木」を組んでもらって、その後でそれを変形したかたちを作ってもらう、ということを考えました。

図 1 図 2 図 3

 上の図1〜図3は、パーツの設計を検討したときに作ったモデルで、大きさも色もワークショップの時のパーツとは違います。(本番ではこの3種類は色を変えていただきました。そうすると説明が少し楽になるのです。)

 昨年と同じ構造のものは六本組木だけですが、この六本組木も今年はパーツの長さを変えました。(パーツの四角柱の稜の比が1:1:4になるようにしています。) 三本組木のほうは、1:1:3です。飛び出している部分がちょうど立方体になるような寸法です。

 結構悩んだのが立方体でした。図1〜3のモデルにおいて、いずれもパーツの向きが3次元の3軸方向をそれぞれ向いていることを強調したかったので、立方体のパーツも2面一組で3つ組のユニットにしました。ジョイントは迷ったのですがスリット式にしました。そのため組みにくくて外れやすいものになってしまいました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 昨年に続いて、「ゆりかもめ」沿線の浜松町付近に投宿しました。昨年と同じ宿を手配しようと思ったのですが、そのホテルは一日は空いていたのですが連泊できなかったので諦めて別の宿にしました。リスーピアのあるパナソニックセンター東京は有明のビッグサイトのすぐ近くです。ビッグサイトから浜松町付近への交通手段は、ゆりかもめ以外に、日の出桟橋行きの水上バスと、浜松町バスターミナル行きの都バスがあります。土曜日は、思い立って都バスで移動してみました。バスのルートはほぼ常にゆりかもめと並走していて、とても面白かったです。時間は倍くらいかかりましたが、値段は半分くらいなので、急いでいないときにはまあ妥当かなと思います。
 ビッグサイトからは東京駅行きの都バスもあって、ずいぶん以前、仕事で来たときに利用したことがあります。今回も東京駅行きで八重洲ブックセンターに寄ろうか、浜松町バスターミナル行きに乗ろうかちょっと迷ったのですが、レインボーブリッジをバスでゆりかもめと並走するのも楽しそうだなと思ってそちらにしました。






3月10日(火) リスーピアでワークショップ(その2)

 今年のワークショップでは、「菱形の組木」をテーマに、三本組木と六本組木を作っていただこうという趣旨で準備をしました。やってみるとわかるのですが、正方形が菱形になっただけで、組木は突然とても難しくなります。また、出来上がったものを見ると、菱形なのに正方形を斜めから見ているように見えて、錯視のような効果もあって面白いのです。

 以前から何度かこのページでもご紹介しているのですけれども、菱形六面体には2種類あって、鋭角型と鈍角型という区別をします。

図 1

 上の写真の左側が立方体、中央が鈍角型菱形六面体、右のものが鋭角型菱形六面体です。中央と右の2つの菱形六面体は、同じ3枚のパーツから組むことができます。

 この2種類を作っていただいて、菱形三本組木、菱形六本組木と作っていただけるだけのパーツをめいめいに準備したのですが、時間内にここまで作れた方はほとんどいらっしゃいませんでした。ちょっと欲張って内容を盛り込みすぎました。

 とりあえず1種類の菱形六面体を作っていただいた後で、「もう1種類、別な形の菱形六面体が作れます。挑戦してみてください。」とお話して、サンプルを参加者の皆さんに見ていただいて考えていただいた後で、2種類の菱形六面体について説明しました。

 申し訳なかったのは、特に鈍角型菱形六面体のほうが組みにくくて、セロテープを使わないと組めないという方が大部分でした。ただ、大変驚いたことに、この4月から小学校に入学されるという未就学児の男の子が、鈍角型菱形六面体を含む全てのモデルを「セロテープなし」で組んでくれたことと、大人の方でも時間内に菱形三本組木まで組めた方はほとんどいらっしゃらなかったのに、とても楽しそうにちゃんと組んでくれたのです。
 また、小学校六年生の男の子が54本組木を持ってきて見せてくれたり、とても熱心に質問してくれたり(立方体の展開図が11種類ある、なんてことも知っていてくれて嬉しかったです)、こんなふうに面白がってくれる子がちゃんといるんだ、とわかって、ワークショップを担当させていただいてよかったなと思いました。

 いつも楽しみに拝見しているひねもすあそびというblogで、このワークショップに行きたい(のだけれども行かれない)というコメントを頂いて、とても恐縮しています。というのも「ひねもすあそび」の「おかちゃん」さんは大変精力的に「科学教育」をプロデュースされていらっしゃる、多くの研究と実践を重ねておられる専門家なのです。「子供たちに面白さを伝える」という点に関してはまったくの素人である私としては、ちょっと恥ずかしいです。でも、専門家に見ていただいて、アドバイスを頂いたほうがいいかなあとも思います。

<おまけのひとこと>
 「あそびをせんとや」の過去のページを印刷して持ってきて下さった方もいらして、これもびっくりして嬉しくなりました。
 来年も、というお話も幸い頂いております。今度はパーツの準備があまり大変ではない、ぜんぜん違う手法の多面体モデルにしてみようかなと思っています。






3月11日(水) 菱形六面体を3つのパーツで組む

 先週末にリスーピアのワークショップのために、菱形六面体を3つのパーツで組むモデルを用意したのですが、そのときにちょっと考えたことをご紹介しようと思います。

 最初に、わかりやすい例で馴染んでいただくために、立方体を作るところからやっていただきました。理屈は以下のgifアニメーションの通りです。

図 1

 3つのパーツはそれぞれ立方体の2面をつないだ直角のかたちをしていて、それを3つ組み合わせます。このとき、3つのパーツの「折り目」が、3次元空間のx,y,zそれぞれの軸方向になっていることに注目してもらいました。接合部はスリットとツメを作って、差し込んでつなげる形にしました(図2)。

図 2

 続いて、正方形2つを連結したものから菱形2つを連結したものにパーツを変えて、菱形六面体を作ってもらいました。以前、02年9月1日のひとことなどでもご紹介しましたが、菱形六面体は、同じ菱形から2種類の平行六面体が作れる場合があります。(菱形のかたちによっては1種類しかできない菱形もあります。)そのときにご紹介した模型の写真を再掲しておきます。

再掲図 1 再掲図 2

 さて、できれば同じ3つのパーツから、この2種類両方を組める、というものにしたいな、と思いました。さらに可能であれば、同じパーツから菱形十二面体や二十面体、三十面体も作れるといいなあ…と思いました。菱形を1つ1つばらばらのパーツにしておけばなんとかなりそうですが、そうではなく、2つの菱形を連結したパーツでできるといいな、と思いました。(そのほうがパズルっぽくなるので。)

 菱形を2つ、辺を共有するように連結するやり方は、下の図3,4のように2通りあります。正方形と違って鋭角と鈍角を持つため、連結された辺をはさんで、鋭角と鈍角が組み合わさる図3のパターンと、鋭角同士、鈍角同士になる図4のパターンです。図3は平行四辺形、図4は若葉マークのようなかたちになります。

図 3 図 4

 またこれらのパーツには、ジョイントまで含めて考えると表裏の違いが出てきます。(図3のほうは、もともと鏡像対称ではないので、ジョイントを考慮しなくても表裏があります。) 以下、図3のものをI型(アイ型)、図4のものをV型(ブイ型)と呼ぶことにします。(ローマ数字ではなく、アルファベットです)

 さて問題です。I型パーツ3枚で、再掲図1,2の2種類の菱形六面体はそれぞれ作れるでしょうか? V型パーツ3枚ではどうでしょうか? さらに、このパーツは黄金菱形なのですが(すみません、説明は省略します)、I型パーツだけ、もしくはV型パーツだけで、菱形十二面体や二十面体、三十面体は組むことができるでしょうか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 図2の正方形を左右に2つ連結したパーツの図、なんだか左右の2つが正方形ではなくちょっと縦長の長方形に見えませんか? 錯視の一種でしょうか。








3月13日(金) 菱形六面体を3つのパーツで組む(その2)

 リスーピアのホームページにワークショップのレポートが載りました。パーツの写真とかも載っているので、ここでも追ってご紹介しようと思います。

 菱形六面体(上の写真)を、菱形を2つ連結したパーツ3つで組む方法について考えた、という話をしています。パーツとしては下の図の2種類が候補です。(左がI型、右がV型。)

 結論から言うと、I型3つならば鋭角型も鈍角型もどちらも組めますが、V型3つだとどちらも組めません。また、I型1枚+V型2枚ならばどちらも組めますが、I型2枚+V型1枚ならば、やっぱりどちらも組めません。

 というわけでI型3枚ということにしたのですが、ではI型6枚で「黄金菱形による菱形十二面体」は組めるでしょうか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 通勤で高速道路を利用しているのですが、途中にジャンクション(分岐)があって、本線から側線に車線変更をする必要があります。昨日、とある場で挨拶をしなければいけないことになっていて、運転しながらちょっと考えていました。ふと左手を見ると、見慣れない側線がありました。「おかしいな、サービスエリアへの側線は確か上り坂だったはずだけど、ハテここはどこだろう?」と一瞬考えて、気がつきました。そこは自分が分岐しなければいけない車線なのでした。どうりで見慣れないはずです。ここを通勤で走るようになって、もう3年もたつのに、こんな失敗は初めてです。思わず笑ってしまいました。
 時間は十分余裕があったので、落ち着いて次のインターで折り返してきました。挨拶の場で、受け狙いでこの失敗談を話そうかとも思ったのですが、場の雰囲気にふさわしくなかろうと思って自重しました。








3月15日(日) 菱形2連結パーツで組む菱形十二面体

 菱形を2つ連結したかたちはI型とV型があるという話から、それを用いて菱形十二面体を組むには…、という話をしています。

 12枚の合同な菱形から作ることができる菱形十二面体には、対角線の長さの比が黄金比( 1 : (1+√5)/2 ) の菱形による菱形十二面体(下の左の図)と、対角線比が1:√2の菱形による菱形十二面体(右の図)の2つがあります。単に菱形十二面体と言う場合は、通常は右側のものを指します。

黄金菱形十二面体 菱形十二面体

 くどいようですがもう一度、I型とV型のパーツの図を載せます。(この図のものは黄金菱形です。)

 I型のパーツが使えるためには、ある頂点に注目した時、その頂点に集まる隣り合う2面の菱形の内角が、片方は鋭角でもう片方が鈍角になっている頂点が必要です。ところが、通常の菱形十二面体(右の図)は、鈍角が3つ集まる頂点と、鋭角が4つ集まる頂点の2種類しか存在しません。従ってI型のパーツの出番はありません。V型のパーツが6枚あれば、菱形十二面体は組むことができます。

 一方、黄金菱形十二面体のほうはどうでしょうか。上の左の図で、真上から見たときに中央に見える菱形に注目してください。この菱形に接する4つの菱形を見ると、いずれもV型の接続になっていて、I型では中央の菱形を構成することができません。

 次に左の図の手前の面の菱形に注目すると、今度は逆に、この菱形に接する4枚はいずれもI型の接続になっています。つまり黄金菱形十二面体は、V型だけでも組めず、I型だけでも組めないということがわかります。

 ちゃんと検証していませんが、黄金菱形十二面体は、V型4枚とI型2枚で組めそうです。鋭角菱形六面体も、鈍角菱形六面体も、V型2枚とI型1枚で組めますから、V型4枚とI型2枚を用意しておけば、2種類の菱形六面体と、黄金菱形十二面体と、両方が組めることになります。

 今回のワークショップでは、全部I型にしようか、I型2枚とV型4枚にしようか、実はかなり迷いました。でも、「同じパーツから組める」というほうが美しいだろうと思って、最終的には6枚のI型を用意してもらうことにしました。その結果、黄金菱形十二面体は組めないことになってしまったのですが、これは致し方ありません。

<おまけのひとこと>
 通勤に使っている車のオイル交換をしないまま、かなりの距離を走ってしまいました。この際タイヤ交換のタイミングでオイル交換をしようと思っているのですが、とりあえず来週までは冬タイヤでがんばろうと思っているのですが、さて来週くらいに交換してしまっても大丈夫かどうか、迷っています。






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