[Home]-[以前のひとこと]-[2009年2月後半]

以前の「ひとこと」 : 2009年2月後半















2月22日(日) 菱形十二面体を囲む12本のパーツ(その1)

 いろいろと忙しくて、気がついたら3ヶ月も更新をしていませんでした。ちょっと近況などを書きたいと思います。



 2008年度はPTAの役員をしていてとても忙しくしていました。2月24日(火)に、学校のPTAの総会(15時くらいから)と市のPTA連合会の総会(17時半から)があって、ここで活動報告が終われば、あとは引継ぎだけ、というところまでたどり着きました。一年間いろいろ大変でした。



 リスーピアワークショップ、前回の更新の際にあわててアナウンスさせていただいたのですが、その後1ヶ月以上申し込みができなかったようで、ご案内のタイミングが悪くて申し訳ありませんでした。いったん満員になったようなのですが、先週くらいにキャンセル情報が更新されたようで、各回とも10〜30名程度の空きが出たようでした。今みるとまたほとんど定員になっているようです。申し込んでいただいた方、ありがとうございます。

 今年に入ってから、何回かの週末を費やして、組みやすくておもしろくてびっくりしていただけるようにと設計と試作を繰り返していました。ご参加いただける方に楽しんでいただけたらと思っています。



 3月末に、こんなコンサートに一部出演することになりました。出番は第一部のバロックの部の4曲だけですが、テナーリコーダーと、それよりさらに一オクターブ低いグレートバスリコーダーを吹くことになっていて、楽しみです。もちろん楽器は借り物なので、まだ2回くらいしか吹いたことがないのですが、その楽器の癖や替え指がとっさに出てこなくて、少々不安です。本番までにあと1回、練習ができるかなあと思っています。



 本職の仕事のほうもプライベートもとても忙しくて、しばらく紙模型から遠ざかっていたのですが、上述のリスーピアの準備を考え始めた昨年の暮れころから、また紙による組木パズルの新作や改良の設計・製作をぼちぼちと作りためていました。そういった模型の写真を久しぶりに撮ったので、今日から少しずつ紹介していこうと思います。最初は六角柱12本の模型からです。



 ずっと以前、03年12月10日のひとことで、正六角形の筒を12本、菱形十二面体の各面に貼り付けた形をご紹介したことがありました。

 私は、紙の筒を組む模型を設計するときには、筒の1面をオーバーラップさせることにしています。そうすることで筒に隙間が空かずに組めますし、糊付けなどしなくても形を保ってくれるためです。ところが六角柱の場合、すぐにすぼまってしまって苦労しました。また、写真ではわかりにくいですが、この模型はちょっとゆるくて、「あそび」が多すぎました。

 今回、この12本組と基本的には同じ構造の様々な模型を作ってみたのですが、その第1弾として、この六角柱12本組のパーツをちょっとだけ変えてみました。

図 1 図 2 図 3

 写真で見ても、「前よりも柱が短くてずんぐりした感じ」とか「色が淡い」とか、前のモデルの欠点や今回の改善点はわからないと思いますので、パーツの図を載せておきます。

 要は重ねる面を1面から3面に増やしてみた、というだけなのです。構造を考えるとあたりまえなのですが、これで、組んでもすぼまってしまわずにしっかりしたかたちになりました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 久しぶりの更新で、ものすごく時間がかかります。






2月23日(月) 菱形十二面体を囲む12本のパーツ(その2)

 菱形十二面体を囲む12本の筒による模型は、最近ですと07年11月27日のひとことでご紹介している、正四角柱12本のものが気に入って、たくさん作りました。

 今回、この模型の中心の菱形十二面体を大きくしてみようと思いました。その分、パーツを正四角柱ではなく板状にすることにしました。

図 1 図 2 図 3

 これはこれでおもしろい形だと思います。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 毎日更新していたころは、過去のいつごろにどんな手法の多面体をご紹介したか、だいたい覚えていたのですが、今回は探すのが大変でした。






2月24日(火) 菱形十二面体を囲む12本のパーツ(その3)

 昨日の続きです。昨日、12本の四角柱を組む模型で、断面が正方形の角材状のパーツから、断面が長方形の板状のパーツに設計変更して組んでみた写真をご紹介しました。この模型を実際に手にとって眺めていたら、下図の方向(三回回転対称軸方向)から見たときに、その周囲を取り巻く3本のパーツが気になりました。

再掲図

 CGで赤く着色してみました。

図 1 図 2

 これを見ると、すべてのパーツを適切な角度だけ回転させてやれば、正三角形になりそうです。これもCGにしてみました(図3)。一応 gif アニメーションでゆっくりですが変化します。気長にご覧ください。

図 3

 図1,図2のパーツの長さのままで回転させるとぶつかってしまうので、ぶつからない長さにしてCGを作ってみました。図4に最後のかたちをひとまわり大きな静止画像で載せておきます。

図 4

 図4を構成する部品を設計するため、図の1つのパーツを取り出してみました(図5)。

図 5

 CGだと、計算しなくても交差部分などを作図できるのが本当に楽です。「計算機による図学」です。これを平行投影で描画することで、パーツの各面のかたちを図形的に決めることができるのです。このパーツの図面を作って印刷して、実物を作ってみることにしました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 blog 日々雑感で、更新再開についてコメントをいただきました。ありがとうございます。






2月25日(水) 菱形十二面体を囲む12本のパーツ(その4)

 昨日CGでご紹介した、12本の板状の四角柱を組む模型で、それぞれのパーツを回転させることで、3本ずつの正三角形4つの組み合わせになるかたちを実際に紙で作ってみました。

 参考までに、回転させる前のかたちの模型の写真も下に再掲しておきます。

図 1 図 2 図 3

 図3の、4回回転対称軸のところが、下の緑のモデルではふさがっているのが、本日ご紹介した白いモデルのほうでは空いているのがわかります。それでも、かたちはしっかり安定しています。

 写真で見ると、あまりきれいなかたちには見えないかもしれませんが、本物は大変美しいです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 PTAの総会がありました。なんとか終わることができました。懇親会などがあって、家に帰り着いたのは夜中です。今、それから更新をしています。そんなわけで今日は簡単に写真のみの更新です。






2月26日(木) Osker の KeyMaze

 一昨日、2月24日(火)は市のPTA連合会の総会がありました。その後の懇親会のとき、今年度大変お世話になったNさんから、こんなパズルを頂きました。

図 1 図 2 図 3

 医薬品の販促品だと思うのですが、それだけになかなか手に入らない、しかもとてもおもしろそうなパズルで大変ありがたく頂いてきました。

 24日は帰宅したのがとても遅い時間だったので、翌25日の夜(昨夜)帰宅してからいじってみたのですが、この「迷路」の感じ、なんとなく「あの」パズル作家の作品っぽいなあ、と思ってみたら、案の定「KEYMAZE (c)Osker」と刻印されていて、「やっぱり」と思いました。パズルの世界ではとても有名なOsker Van Deventer 氏の作品でした。こんな素敵なパズルを頂いてしまって、それはそれは嬉しく思っています。

 頂いたときには、リングはキーの中間のあたりにありましたが、一旦はずして、それから一番奥まで移動させて、またはずしました。図1、図2が一番奥まで移動した、このパズルの初期状態の写真で、図3がリングを外したところです。一応解けた証拠に写真を掲載しておきます。

 易しすぎず難しすぎず、優れたデザインのパズルだと思います。Nさん、本当にありがとうございました。

<おまけのひとこと>
 PTAもようやくあとは引継ぎを残すのみとなりました。






2月27日(金) 菱形十二面体を囲む12本のパーツ(その5)

 一日別の話題をはさみましたが、一昨日までの話に戻ります。前回はこんなかたちをご紹介したのでした。

 これは、こんなパーツ12本を使っていました。

 このパーツは適当に設計したので、1つの切り欠き(図の青い部分)が、四角柱の3つの面にわたっています。パーツの寸法や位置関係を調整することで、3つ目の面に切り欠きが飛び出さないようにしてみました。

図 1

 パーツの柱の断面の形や大きさは変えないものとして調整したら、こんなかたちになりました。

図 2

 この立体の中心からのパーツの距離を大きくしながら、3つ一組の三角形らしさを保つためにパーツの長さ自体も伸ばすという調整をしています。

 これも紙模型を作ったのですが、その写真は明日紹介します。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 ◆ゆうゆう亭◆というページからリンクしていただいているのを知りました。ありがとうございます。おもしろいものがたくさん紹介されているサイトなのですが、特に花紋折りをやってみたくなりました。

 このサイトを始めたのが2001年の2月27日でした。当初思っていた以上の方にご覧頂いているようで、本当にありがとうございます。最近は更新が途切れがちですが、今後も続けてゆきたいと思っています。






2月28日(土) 3年で3割、5年で5割

 とあるblogのコメント欄を見ていたら、「日本では新卒で就職した人のうち、3年で3割が辞めるという。アメリカでは5年で5割がやめるそうなので、実は日本もアメリカと変わらないのだ。」といった論調をみました。こういった議論の時には慎重に数字を検討しないといけないのですが、ここで気になったのは「3年で3割減ることと、5年で5割減ることは同じ」という論理でした。

 「一定の時間が経過すると、一定の割合で減る」という事柄は世の中にたくさんあります。私はこれを学校でちゃんと習ったのは、おそらく高校3年のときの一番簡単な微分方程式をやったときで、放射性同位元素の半減期の例だったような気がします。今はいつ習うのかわかりません。

 今回の例は「新卒のうち」何割がいつ辞めるかという話なので、上記の単純な一次の線形系のモデルは適用できないのですが、それにしてもちょっと気になりました。仮に普通の一次の線形系のモデルだとすると、5年で半分になるならばさらに5年経過した10年後には4分の1になっているはずです。「5年で5割だから10年で10割」ではないのです。

 連想したのが、次のようなパズル(クイズ)です。「試験管にとある微生物と培養液を入れた。この微生物は1分間で2つに分裂し続ける。この培養液が細胞でいっぱいになるのにちょうど1時間かかるとする。それでは細胞がこの培養液のちょうど半分になるのは何分後か?」 これは「30分」という誤答を期待した問題です。この問題も、常に一定の数の掛け算(割り算)を実行することで現象をモデル化できる事柄なのですが、私たちは普段、常に一定の数の足し算(引き算)をすることでモデル化する考え方に慣れているものですから、ついついそのような類推をしてしまうのです。

 少し検索してみると、「昭和の時代も新卒は3年で3割は辞めていた。今は3年で3割5分になっている。なので実はあまりかわらない。」というような記述も見つけました。

 比較のために、t=3で0.7になるもの(3年で3割減)と、t=5で0.5になるもの(5年で5割減)、さらにt=3で0.65になるもの(3年で3割5分減)を単純な一次の線形系だとしてグラフ化してみました。

図 1

 時定数を数値計算してしまったのでわかりにくいですが、水色がt=3で0.7、赤がt=5で0.5、紫がt=3で0.65を通るグラフです。(Maximaというソフトウェアで描きました。) これを見ると、3年で3割5分減と5年で半減というのはかなり近いグラフになることがわかります。

 もともと、離職率というのは線形のモデルで扱うべき現象ではないのでしょうが、ちょっと論理が気になったので紹介をさせていただきました。

<おまけのひとこと>
 最近も言われるのかどうか知りませんが、就職や結婚などのとき、「三日三月三年」といって、三日続けば三月はもち、三月続けば三年は大丈夫、それを越えればずっと続けられるなどと言います。一次の線形モデルではそういった複雑なことは考えず、とにかく常にどのタイミングにおいても減少する割合は常に一定というモデルなのです。

 今回のグラフ、Excelとかで描いてもよかったのですが、この機会にMaxima をインストールしました。






[←2008年12月後半]  [↑表紙へ]  [2009年3月前半→]

[Home]-[以前のひとこと]-[2009年2月後半]
mailto:hhase@po10.lcv.ne.jp
2001-2009 hhase