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以前の「ひとこと」 : 2002年9月前半




9月1日(日) 黄金菱形多面体:2つの菱形六面体

 一昨日は“ねじれ菱形十二面体”をご紹介しましたが、もう1つ、菱形のブロックがあったら作りたいなと思っていたグループに、黄金菱形多面体の仲間があります。まず今日はその基本である菱形六面体をご紹介します。

 菱形というのはご存知のように4つの辺の長さが等しい四角形で、その特別な場合が正方形です。一般的な菱形では、隣り合う2つの内角の和が2直角に等しく、片方が鋭角ならばもう片方は必ず鈍角になります。ここで、鋭角のほうをα、鈍角のほうをβと呼ぶことにします。

 菱形六面体を組む方法は二通りあって、鋭角αが3つ集まった頂点を持つほうをacute、鈍角βが3つ集まった頂点を持つほうをobtuseと呼ぶそうです。それぞれを紙の面ブロックで組み立ててみましたのでご覧下さい。(特に obtuse の方は写真の角度が悪くて、単なる立方体にしか見えませんねこれは。)

菱形6面体の2つの形
acute 菱形六面体 obtuse 菱形六面体
acute obtuse

 acute と obtuse というのは、もともと“鋭角”“鈍角”という概念に対応する言葉のようで、たとえば鋭角三角形が acute triangle、鈍角三角形が obtuse triangle というそうです。 その名の通り、acute菱形六面体の方は針のようにとがった印象、obtuse菱形六面体のほうはお皿を2枚貼り合わせたような平べったい印象があります。この2つのうち、acuteタイプはどんなに細い菱形からでも作れますが、obtuseタイプは鈍角βが120度未満、つまり鋭角αが60度以上ある菱形でないと作れません。βを3つ集めた頂点が作れなくなってしまうためです。

 αとβの差を徐々に小さくしていくとどちらも90度に近づいていきますから、いずれの六面体も立方体に近づいていきます。逆にαとβの差が大きくなっていくと、acute型はどんどん針のように細くなってゆきますし、obtuse型はどんどん平べったくなって、120度になったところで平面上の2枚の六角形になって終わります。

 これらの菱形六面体は平行六面体の特別な形ですから、いずれも空間を周期的に充填することが出来ますが、今回ご紹介する対角線比が黄金比の菱形は特別で、これらの2種類の六面体を使って空間を非周期的に充填することができるのです。ちょうどこれは、2次元のペンローズタイリングの3次元版です。

 この2種類を基本ブロックにして、いろいろな立体が作れます。無論それらの立体を構成する面は全て黄金比の菱形です。図だけのものも含め、明日からいくつかご紹介します。

 そうそう、昨日のパズルですが、まだ今日は答えは掲載しませんが若干補足します。(まだ問題をご覧になっていない方は、先にこちらの問題をどうぞ。)5×5マスの市松模様を2つの正方形の市松模様に分けますから、4×4と3×3になることがわかるということがこのパズルの最初のステップになります。というわけで適当に4つに切って、4×4と3×3を作ってみましょう。

裁ち合せパズルの補足説明図

 上の図は、まず4×4をまるごと切り出した後で、残った直角の帯を3つに切って3×3にしてみたものです。確かにこれで2枚の市松模様の正方形にはなりましたけれども、ご覧のように3×3の方は90度回したり上下逆さにしたりしないと市松模様になりません。というわけでこれは失敗例です。


 <おまけのひとこと>
 9月になってしまいました。これからの2〜3ヶ月は仕事も休日の行事も忙しいです。(いえ、今までだって暇だったわけではないんですけれども。)手が空いている休日には、このページの今後の更新用のストックをせっせと作っています。問題は面白い話題ほど早くご紹介したいと思ってしまうことで、そうするとせっかく用意したストックも「あんまりおもしろくないから使うのを止めよう」とか思ってしまうのです。模型とかコンピュータグラフィックスとかにしても、作った直後はたいてい「おもしろい」と思っているんですが、すこし時間が経って冷静になってみると、こんなものをなぜ自分は興奮して面白がっていたんだろうと感じることが多いです。

 …そんなわけで、以前ご紹介した情報を系統的に整理して見やすくするという作業は大変苦痛で、端から消すか直すかしたくなるのです。(開き直り)




9月2日(月) 黄金菱形多面体:菱形十二面体

 対角線の長さの比が黄金比になっている菱形による多面体の2回目は、菱形十二面体をご紹介します。これは、普通の菱形十二面体をぎゅっと押しつぶしたような形をしています。普通の菱形十二面体ならば菱形の鋭角が4つ集まった頂点と、鈍角が3つ集まった頂点しかありませんが、この黄金菱形十二面体は、鋭角3つに鈍角1つという頂点があったり、鋭角1つに鈍角2つといった頂点があったりします。この写真の向きに置いて見ると、左右両側がちょっと薄くなった、六角形の箱のようにも見えます。

黄金菱形十二面体
黄金菱形十二面体

 この黄金菱形十二面体も、単独で周期的に空間を埋め尽くすことができます。また、昨日ご紹介した2つの菱形十二面体 acute と obtuse を2つずつ組み合わせると、この黄金菱形十二面体を作ることが出来ます。

菱形十二面体を構成する

 上の4つの菱形六面体を組み合わせて、下の黄金菱形十二面体ができるイメージが湧くでしょうか? 上の4つの六面体は、図の上でも平行移動して重ねるだけで下の十二面体になります。上の4つのどの面・どの稜が、下の完成図のどの面・どの稜に相当するかおわかりになるでしょうか。(私は模型で実物をいじってみて、やっと納得して、上の図を描きました。) CGと模型でこの様子を作ってみましたので明日ご紹介します。


 <おまけのひとこと>
 昨日のここ<おまけのひとこと>でちょっとお話した「応募総数が増えるほど賞金総額が減るゲーム」の話をなぜ思い出したかというと、今回募集した「感謝のプレゼント」の応募が準備した4セットに届かなかったためです。

 「希望される方全員が、できれば応募者が自分だけになって、全てのパーツを入手する事を望んでいた」とします。とすると、全員が上記のゲームの理論的最適行動をとったと仮定すると、今回のように応募総数がゼロでなく、かつ4名未満となった理由が説明できます。 「そうかあ、皆さんパーツはできるだけたくさんもらえるように、極めて合理的に選択をされたわけですね」と考えることにしました。(笑)

 このゲームの理論的最適行動についてはとてもおもしろい議論や本があるのですが、ここで簡単に説明できないので、またいつか改めてきちんとお話したいと思います。


プレゼント発送準備
プレゼントのパーツの発送準備

 昨夜は御応募いただいた方にプレゼントを送る準備をしました。送付物を傷めずに、なおかつあまりコストをかけずに送るため、厚紙を使った専用の保護材を作ってみました。普通の封筒に入るように幅7cm、長さ18cmくらいの大きさです。茶谷正洋氏の「折り紙建築」の手法を用いて厚みを持たせています。これを作るのも意外と時間がかかりました。(笑) 無事届いてくれる事を祈ります。


9月3日(火) 黄金菱形多面体:菱形十二面体(その2)

 昨日、対角線比が黄金比の菱形による2種類の菱形六面体、acuteobtuse をそれぞれ2個ずつ使って菱形十二面体が出来るという話をご紹介しました。具体的にはどうやってこの4つを貼り合わせると菱形十二面体になるか、図とCG、模型を使ってご説明しようと思います。

菱形十二面体 菱形十二面体(内部骨格あり)
図1 図2

 図1は菱形十二面体の骨格モデルを斜め上手前から見下ろしたところです。下に見えている影は上面図、奥の面に見えている影は正面図に相当します。図2は、立体の内部に4本の稜を作りました。それぞれ、外側の白い稜のどれかと平行で、新しく内部にできた四辺形も、みんな同じ黄金比の菱形です。正面図・上面図を見ていただくと、どこにどのように稜を入れたかを知る手がかりになると思います。この4本の赤い稜によって、十二面体が4つの6面体に分割されます。

菱形十二面体を合成する図
図3

 図3は、逆に4つの菱形6面体をあわせて十二面体にしてみました。昨日の図を実際に平行移動して重ねてみています。昨日の図とあわせてご覧いただくとわかりやすいかと思います。

菱形十二面体の模型


菱形十二面体を合成する模型

 最後に、実際に2種類の菱形六面体2個ずつから、実際に菱形十二面体を作ってみました。本物をいじってみると、なるほどうまくできているなと感心します。写真は、紙の面ブロックで作った菱形六面体を4個積み上げています。手を離すと写真のように安定しませんが、雰囲気はご理解いただけるのではないかと思います。


 <おまけのひとこと>
 通勤に使っている車が車検の時期になりました。今は景気が悪いので、車検も値下げ競争がすごいようです。車検というと、メーカーの販売店は高いという印象があるのですが、販売店は販売店ならではの特典によって売りこみがありました。「新車を代車に出しますからぜひ」とのことです。この条件に心を動かされてしまいました。

 私は車にお金をかける趣味(余裕)はないのですが、1点だけこだわっていることがあって、「四輪駆動・マニュアルトランスミッション」の車に乗りたいと思っています。この条件だと今や選択できる車種はどんどん少なくなってきていて困ります。代車も当然マニュアル車はないといわれました。まあAT車でも運転できないことはないんですが、AT車は下り坂の運転が難しくて苦手です。




9月4日(水) マニュアル車とオートマ車

 今日は多面体の話をお休みして、ちょっと車の話を。

 職場の同僚からきいた話です。何年か前に彼が国の研究機関に出向中、海外の学生さんを1年間受け入れたことがあったそうです。(よくある話です。) 彼が指導を担当したのはフランスからの留学生だったのだそうですが、初めて空港にその学生さんを迎えに行ったとき、乗っていった彼の車がオートマ車だったことを非常に驚かれたそうで、その学生さんから「失礼だが、あなたは健康そうに見えるが、何かハンディキャップがあるのか?」と尋ねられたそうです。 これがどの程度一般的な話なのかは知りませんが、少なくともその留学生にとっては、AT車に乗るというのはそれだけ特別なことなのだという意識があったのだそうです。ヨーロッパはマニュアル車の比率が高いと聞きましたが、今はどうなんでしょうか。

 一方今年の春、職場で夜のお花見をしたとき、私は用事があって参加できなかったのですが、会場がたまたま帰りの通り道だったので、何人かを送ってあげました。そのときに乗っていたのは当然ながら自分のマニュアル車だったのですが、乗せてあげた隣の職場の管理職(とてもいい人です)から、「え、まだマニュアル車って日本にあったの?」と本気で言われてしまいました。

 さて、この違いはいったいなんなんでしょうか? ちゃんと客観的な数字にあたっていないので前提自体があいまいですが、仮に「ヨーロッパはマニュアル車が多い、日本とアメリカはオートマ車が多い」が事実だとして、その理由を考えてみました。

1.コスト

 マニュアル車の方が値段が安い。 日本ではすでにマニュアル車のコストメリットはなくなりました。そもそもマニュアル車が選択できない車種も多いし、購入時に仮に多少マニュアル車の方が安くても、下取り価格との差額を考えると結局オートマ車の方が有利という考え方が一般的のようです。 しかし、マニュアル車の方が市場で一般的であれば、量産効果によるコストの差も大きいでしょう。 下取り価格、という概念がよその国で一般的なのかどうかは知りません。 なんとなく日本の方が「車をきれいに乗る」文化があるような気がするので、早めに車を乗り換える人が多いように思うのですが、データの裏づけはありません。(ちなみに私は最後まで乗りつぶす方が好きです。道具はその寿命まで徹底的に利用したいです。)

2.安全性

 先日、最近ではめずらしくオートマ車の操作ミスと思われる事故がありました。駐車場の車止めを乗り越えて車が崖下に転落したというものです。オートマ車の普及がはじまった当初、こういった操作ミスの事故の話や、オートマ車のメカニズム自体の設計のまずさが原因の事故の話をよく聞いたものです。(ええそうです、えらく昔の話です。)

 また、たとえばガソリンがなくなったり、急にエンジンが故障したりした場合、マニュアル車ならば高いギアに入れてクラッチをつないでセルモーターを回せば、路肩に車を寄せる程度は動かす事ができます。ものの本によると、この方法で数百メートルは車を動かせるそうです。でもオートマ車では故障したらお手上げです。(なんですよね? 知らないんですけれども。 オートマ車でセルモータで車を動かす手段があるのだとしたら、私の不見識です。) この方法は踏み切りでのトラブル時の脱出方法として教習所で教わりましたが、今も教えているんでしょうか。

 これと似た話で、いまの車の窓は今は大部分がパワーウィンドウですが、これだと万一車が水没した場合窓が開かないので溺死するという話があります。うちは一台は水没しても窓は開けられる車ですが、でもその恩恵を享受するようなことになりたくないですし、まず絶対ならないと思いますが。

 …というように故障やトラブルに対しては、電動・機械仕掛けというのは弱いものです。ただ、今の信頼性の高い日本車においては、そもそも一生そういった深刻なトラブルに会う事はないだろうとは思います。

3.文化的背景

 私達は産業用ロボットなど、便利なものはどんどん取り入れて利用しますが、特にヨーロッパは保守的で、機械というのは信用できないとか、労働者の敵とか、そういったマイナスの評価が日本よりも強いような印象があります。(これも根拠の無い個人的な印象です。)

 と、こんなところに差があるのかなあとぼんやりと考えてみました。今夜、仕事の帰りに車屋さんに寄って車を車検に出して、代車と交換します。明日の夜までオートマ車の新車です。


 <おまけのひとこと>
 最近、毎日画像を載せていたので、たまにはテキストだけの更新にしてみました。思ったことをつらつらとまとまりなく書いたら、長くなってしまいました。推敲していないんでわかりにくいですねきっと。すみません。




9月5日(木) 黄金菱形多面体:菱形二十面体

 9月2日、9月3日と、2種類の黄金菱形六面体を2つずつ使って、黄金菱形十二面体を作れるという話をご紹介しました。今日は菱形二十面体です。これはまだ模型を作ってありませんので、図だけです。

菱形二十面体
図1

 図1は菱形二十面体の見取り図です。菱形の鋭角を5つ、1つの頂点の周りに集めます。出来た星型のようなかたちの周りに、菱形の鈍角が3つ集まるように、菱形をもう5枚円周状につなぎます。これで、菱形10枚によるお皿のような形ができます。このお皿を裏返して、互い違いにはめ合わせるようにすると、菱形二十面体ができます。

菱形二十面体を合成する図
図2

 この菱形二十面体も、2種類の菱形六面体を組み合わせて作ることができます。図2がその様子を表します。赤い平べったい六面体が obtuse、青いとがった六面体が acute です。図の上の2個ずつで菱形十二面体が出来、さらにもう3個ずつを加えることによって菱形二十面体になります。

 ちなみに、この acute 型の六面体と obtuse 型の六面体の体積の比もまた黄金比になっています。どちらが大きいか、おわかりになるでしょうか?


 <おまけのひとこと>
 昨日は、このページのアクセスカウンタの数字が意外なほど進んでいて驚きました。(最近はだいたい一日40〜50カウントくらいです。うち1〜2割は自分ですけれども。)昨日はこの2〜3倍の数字でした。どこかの掲示板か何かで御紹介いただいたのかな、と思っています。だとしたらありがとうございました。




9月6日(金) 黄金菱形多面体:高次元立方体の影

 6月14日のひとことで、高次元立方体の投影についてちょっとお話しました。ここ数日、黄金菱形六面体から十二面体、二十面体とご紹介してきて、前回よりは少しはわかりやすい図が描けた、と思うのでもう一度この話をしたいと思います。

 ご存知のように0次元は点、1次元は線、2次元は面です。点をある方向にまっすぐ動かすと直線(線分)になります。その線分を、その方向に直交する方向に同じ長さだけ動かすと平面上の正方形になります。さらにその正方形を、その面に直交する方向にやはり同じだけ動かすと立方体が出来ます。4次元以降も同様に、「それまでの全ての軸に直交する方向に、全体を平行に動かす」ことによって、1つずつ次元を上げて多次元立方体を作ることが出来ます。もちろんそれは2次元の紙の上や3次元の模型として表すことはできません。図や模型で表すことが出来るのは「影」、投影図にすぎません。

 私たちは平行四辺形を3つ組み合わせたこんな図  を見て、それが立方体だと認識することができます。これは実は実際の3次元立方体の、2次元への影を見ているわけです。4次元以上の立方体に関しても、3次元や2次元への影を考えることができます。実は、今回の一連の菱形多面体は、それぞれ4・5・6次元の立方体の影になっています。それを簡単に説明したいと思います。

菱形六面体の平行移動で菱形十二面体
図1

 最初に、3次元立方体を平行移動すると、図1のように菱形十二面体になります。図では、obtuse型の平べったい六面体を平行移動していますが、とがったacute型の六面体でも同じことができます。これが4次元立方体の影、だと考えることができます。影ですから、向きを変えれば形もさまざまに変わります。あくまでもある特別な方向から見た影、ということになります。

菱形十二面体の平行移動で菱形二十面体
図2

 4次元立方体を平行移動させると、5次元立方体になります。3次元空間内の影で考えると、図2のようになります。こうして出来るのが菱形二十面体です。

菱形二十面体の平行移動で菱形三十面体
図3

 さらに、この5次元立方体の影である菱形二十面体を平行移動すると、菱形三十面体になります。図2の角度だとちょっとわかりにくかったので、最初に菱形二十面体を横から見る視点にして描き直して、それを平行移動してみました。こちらが6次元立方体の影、ということになります。写真は、4月13日に御紹介した、紙の帯を編んで作った菱形三十面体です。

菱形三十面体
菱形三十面体

 黄金菱形十二面体は acute型と obtuse型の菱形六面体2個ずつで作れました。菱形二十面体はそれぞれ5個ずつで作れました。この菱形三十面体は、acute/obtuse それぞれ10個ずつで作れるそうです。こちらに、それをパズルとして実現している例が載っていました。ここのページのものは、形だけではなく色についても制約を設けてあります。

 私がお伝えしたいイメージは多少はおわかりいただけましたでしょうか。なお、以前も御紹介しましたが、H.Hamanaka very private Home Pageで、この4,5,6次元の立方体の影について、さらにその続きの7,8次元立方体の影について、コンピュータグラフィックスで丁寧に説明されています。(日本語です。)合わせてご覧頂くと、面白いしわかりやすいんじゃないかと思います。

 明日は、黄金菱形シリーズ最終回、かつ紙の多面体面ブロックの(とりあえずの)最終回として、自分が作ったこのシリーズの模型の中で一番気に入っているものの写真をご覧頂こうと思います。


 <おまけのひとこと>
 パズル屋さんのtoritoのページに行ったら、注目の商品ということでHesperides(ヘスペライド、と読むのかな?)という3本組木が載っていました。大変残念な事に品切れ中なんだそうです。これは菱形十二面体に見えます。いいなあ、欲しいです。




9月7日(土) 黄金菱形星型60面体 花形十二面体

 紙で作った多面体の面ブロックを使って立体を組むシリーズの最終回として、黄金菱形を用いた星型の多面体をご紹介します。まずは写真をご覧下さい。

花形十二面体(1) 花形十二面体(2)
写真1 写真2
花形十二面体(3) 花形十二面体(4)
写真3 写真4

 この模型は、対角線の長さが黄金比の菱形60枚を組み合わせて作ってあります。作り方は、まず5枚の菱形の鋭角が集まるようにして凹の星型、桔梗の花のような形を作ります。これを12組作って、それを正十二面体を組む要領で組み合わせます。

 写真2は3回回転対称軸方向、正十二面体で言うと頂点方向から見たところで、雪の結晶のように見えます。 写真3は5回回転対称軸方向(正十二面体で言うと面の方向)、ユニットとして組んだ凹の星型を真上から見下ろしています。5角形のちょっと太っちょの星をいくつも重ね合わせたように見えます。 写真4は、正十二面体で言うと稜の方向から見たもので、上下・左右に鏡像対称になっています。

 この立体は、稜(棒)をユニットだと数えると120本、面(菱形)をユニットだと数えると60枚、acute型の菱形六面体をユニットだと数えると20個、で作ることができます。写真はともかく、本物はとても美しいと思っています。 本当は、黄金菱形の二十面体や三十面体をご紹介するときにこの星型六十面体を分解して二十面体や三十面体に組みなおして写真を撮ろうと思っていたのですが、もったいなくて分解できませんでした。(紙なのであまり何度もの組み立てと分解に耐えられないのです。)

 パーツの数が増えるので、切り出しも組み立てもそれなりに時間がかかります。この模型を作るのに、休憩時間も含めて切り出しと組み立てで4時間近くかかっていると思います。

 追記:この多面体は、花形十二面体と呼ばれるものだと教えていただきました。ありがとうございました。(2002年9月8日)


 <おまけのひとこと>
 通勤用の軽自動車の車検が終わりました。6年で6万4千キロ乗っているので、けっこう費用がかかりそうです。まだ請求が来ないんですが、とりあえずマフラーを換えたのが大きいです。確かに走行中ガラガラと異常音がしていました。結局代車には2日間乗っていたのですが、やっぱりマニュアル車はいいなあと思いました。単にオートマ車を上手に運転するスキルが身についていないだけなんですけれども。ギアを選択する、もしくは制限する手段として、L,2,Dとオーバードライブの操作があって、それに加えてアクセル操作だけの制御になるんですが、これで例えば下りのコーナーとかってどう操作するのが最適なんだろうなどと考えてしまいました。確かに単純に停止状態から最高速に加速するのであれば、私ごときの技術ではオートマ車の方が速いと思うんですけれども。パワーのない軽自動車に乗っていると、その車の最高性能を発揮させるように操作しても交通法規の範囲内の運転になります。(というかかなりがんばらないと、「きびきびした」「他車に迷惑にならない」運転は難しいです。)いつも車の能力を十分に使い切って乗っている感じがとても楽しいです。




9月8日(日) 面積を求めるパズル

 先日、「数理科学」という雑誌の1989年1月号というちょっと古いバックナンバーを見ていたら、「中学入試に出題されたパズル」(中村義作:信州大学)という4ページばかりの論文がありました。 わりと面白い問題がいくつか載っていたのですが、その中で、「難易度が高い」と書かれていた問題をご紹介します。

問題
面積を求めるパズル  正方形の折り紙が5枚ありました。色は赤・緑・青・黄色・白です。これをこの順番で、図のように全体が正方形になるように重ねたところ、白の見えている面積が120、黄色の見えている部分の面積が100、青の見えている部分の面積が80でした。このとき、赤、および緑の見えている部分の面積をそれぞれ求めなさい。

白=120
黄=100
青= 80
赤= ?
緑= ?

 長方形の面積は底辺×高さであること、底辺の長さが同じ長方形の面積の比は、高さの比と等しいこと、がわかれば基本的には解ける問題だと思います。でも確かに割とてこずりました。(15分くらいかかったかと思います。実際の入試だったらこんなに時間をかけたら不合格かもしれません。) 中学入試でこのような問題を出すことの意味はともかく、パズルとしてはちょっと新鮮でした。別に特に巧妙、というわけでもないんですけれども。

 まあただ発展性とか一般性とか、類似の問題で1つのジャンルを形成するとかそういったことはなさそうですね。ということで単発の問題でした。

 <おまけのひとこと>
 今日は子供の保育園の運動会です。一昨日は一日じゅう雨、昨日も夕方から雨で心配していましたが、今(朝6時半)は晴れて日が射しています。どうやらできそうでほっとしました。雨天だと明日に順延なので、困るのです。




9月9日(月) コンピュータ知恵の輪

 もりの小学校というページに、コンピュータ知恵の輪 ダビデの星というページがありました。この星型のこともダビデの星というんだっけ、というのはこの問題の本質ではないので置いておいて、こういったパズルはコンピュータならではだなあと思いました。

 パズルというのもいろいろなタイプのものがありますが、私はどちらかというと、コンピュータの中に実現されているものよりも、実体のある素手でいじれるものが好きです。ただ、そのパズルの論理を実体として実現する事がとても難しかったり不可能だったりする場合もあって、そういったときにはこうしたコンピュータによる実現というのは威力を発揮します。

 上記のページのパズルも、「自分が乗っていない直線をまたげない」という制約を実現しようとするとかなり厄介だと思います。ちょっといじってみると面白いと思います。また、この「もりの小学校」の中のほかのページも、まだ全部は見ていませんけれどもなかなかおもしろいです。

 ところで、8月31日に御紹介したパズルですが、解答を載せていませんでした。

パズル

 「この図の正方形を、マス目に沿って4つに裁って、それを組み合わせて2つの小さな正方形を作りなさい。ただし文字A,Bの向きは揃うようにしてください。」というものでした。正解図をこちら(p0831ans.gif:5kbyte)に載せておきました。図だけですけれどもおわかりになると思います。

 <おまけのひとこと>
 お盆休みに書き溜めたストックが終わってしまいました。明日から何の話を書こうか思案中です。あるシリーズの写真 or CGとその解説、というのが一番手軽なので、その方向になる可能性が高いです。




9月10日(火) 『CGで知る相貫体』

『CGで知る相貫体』 『CGで知る相貫体』
 山口 陸幸 著
 熊本日日新聞情報文化センター
 2000年8月1日初版
 ISBN4-87755-072-0
 2,800円+税

 たまに東京の本屋さんに行くと、地元では決して手に入らない本がたくさんあって、限られた予算でどれを買おうかいつも楽しく悩みます。そんな中で、見た瞬間に「この本だけは絶対買おう」と思う本に出会うことがごくたまにあって、そんな本が買えると、もう嬉しくてたまりません。でもなかなかそんな店頭での出会いというのはありません。

 1年程前に購入したこの『CGで知る相貫体』という本も、見た瞬間に購入を決めた貴重な一冊です。まず、カラーの絵がたくさんあって、見ているだけでとても楽しいです。 また、特に星型多面体について多くの記述があり、資料的・学術的価値も高いと思います。お勧めです。たとえば学校とか公共の図書館とかにはぜひ入れていただきたい本だと思います。

 先日、何か多面体の名称をキーワードに検索をかけた時でしたか、この本の著者である山口さんのホームページに行き着きました。その名もThe Polyhedra World  ─多面体の世界─ というページです。上記の本の内容をはじめ、極めて系統的に多数の多面体が解説されています。内容的に高度なのに、決して堅苦しくなく、美しい絵を眺めているだけで楽しめるというすばらしいページです。

 また多面体の星型化(stellation)についてもとても丁寧に解説されており、非常に貴重なページです。ぜひ一度ご訪問下さい。お勧めです。

 <おまけのひとこと>
 私のページが新聞や雑誌のコラムや科学欄だとすると、上記のページは学術書か教科書といった雰囲気です。




9月11日(水) LaQ(その1)

 今日からLaQという新しいブロックによる作品を紹介していきます。以前、6月30日のひとことでちょっとだけ紹介したものです。今日から1週間ほど、1つずつご紹介してゆこうと思います。

LaQ多面体:正四面体の相貫体 LaQ多面体:正四面体の相貫体
写真1 写真2

 これは、立方体の各正方形の対角線のバッテンを結んだもの、とみることもできますし、2つの正四面体が交差している、と見ることもできます。

 <おまけのひとこと>
 先週末の日経産業新聞に、永谷園のお茶漬けの話が出ていました。「ラーメン茶漬け」という商品がヒットしているんだそうです。米食の比率が低下している状況で、お茶漬け業界は苦しいのだそうで、国内の全体の売上が200億円程度しかないんだそうです。その8割のシェアを持つ永谷園からの、久々のヒット商品なんだそうで、昨年9月に発売されたこの「ラーメン茶漬け」、1年で10億円の売上があったそうです。
 実は先日、お店の商品入れ替えのワゴンセールでこの「ラーメン茶漬け」を見かけ、半額なら試してみるか、と買ってみました。即席ラーメンやカップめんが好きな人には受けるんじゃないか、という味でした。




9月12日(木) LaQ(その2)

 LaQ(ラキュー)というブロックで作る立体のご紹介の2回目です。この模型は、LaQの正三角形のパーツの周りに正方形を1つずつつないだY字型の部品を4色×2枚の8枚分用意して、それを正八面体になるようにつないだものです。正八面体の面を1つの色で作っていると見ることもできますし、ちょっと折れ曲がった菱形十二面体の稜モデルだと見ることもできます。

LaQ多面体:正八面体 LaQ多面体:正八面体
写真1 写真2

 写真1のほうは正八面体の頂点を底にして立ててみたもの、写真2は1つの面(黄色)を底にして置いてみたものです。

 以前、7月23日のひとことで、錐体鏡で作った以下のような画像をご紹介しましたが、ちょうどこれと同じ形になっています。正八面体の各面の正三角形の中心から頂点までを結んだ形です。

 昨日・今日は同様な原理による造形でした。明日以降はそれぞれ違ったタイプの構成法で、だんだん複雑で面白い形をご紹介していきます。

 <おまけのひとこと>
 LaQで作る多面体では、こちらのページが先輩です。トップページはこちらです。




9月13日(金) LaQ(その3)

 LaQ(ラキュー)というブロックで作る立体のご紹介の3回目です。今日はまず、後の話の都合上 LaQ のパーツについて簡単にご説明します。

 LaQのパーツは大きく分けて面パーツジョイントに分けられます。面パーツは正方形と正三角形の2種類だけです。ジョイントのほうは、2面角が180°の水平なジョイントが、幅が広いものと狭いものの2種類(ジョイントAとB)、2面角が135°くらいのもの(ジョイントC)、2面角が直角のもの(ジョイントD)、そして面パーツ3枚を直角に結合できるT字型のジョイント(ジョイントE)、の5種類があります。

四角 三角
ジョイントA ジョイントB ジョイントC ジョイントD ジョイントE

 パーツの図はLaQ公式ホームページより許可を頂いて転載しています。ありがとうございました。公式ページhttp://www.yoshiritsu.com/もご覧下さい。

 最初は、このジョイントの種類の少なさでは様々な角度を持ついろいろな多面体は作れないだろうと思っていました。ところが実はこのジョイントの角度はある程度の変動を許容できるということがわかり、それからいろいろなものを作ってみるようになりました。

 今日ご紹介するモデルは、20・12面体です。これは正5角形12枚と正三角形20枚から成る立体ですが、ご説明したようにLaQには五角形のパーツがありません。ブロックで多面体を作るときの常套手段として、こんなときは角柱か角錐を使います。この例では5角柱を作って、それを五角形のかわりにしてみました。

LaQ多面体:20・12面体 LaQ多面体:20・12面体
写真1 写真2

 使っているパーツの数は、正方形60枚、正三角形20枚と、ジョイントCを120個です。ジョイントにはかなり無理がかかるのですが、ひずみは全体に分散して、とりあえずしっくり収まっています。ただしモデルをずっと組みっぱなしにしているとジョイントがゆるくなってしまいます。

 パーツの数は多いのですが、パチン、パチンとはめていくのが気持ちがよくて、組立作業をしていて純粋に楽しいです。子供たちの使い残しのパーツで作ったので使える色が偏っていたため、色は無視して組みました。

 この立体については、以前にも簡単な見取り図の描き方や、紙のリングを組み合わせて作った模型や、割り箸で作った模型、ビーズで作った模型などをご紹介してきました。図を再掲します。

20・12面体の図 20・12面体のリングモデル
6月6日 7月31日

 <おまけのひとこと>
 子供と将棋をしているときに、「将棋は指すっていうんだよ」と教えてみました。ついでに、「さすって、ほかにどんな時に言う?」と聞いてみました。すかさず下の子が「剣をさす」と言います。これはどうやら「差す」ではなく「刺す」方のようです。「刀を腰につけることもさすっていうんだよ」と教えてやり、ほかには?と聞くと、ふたりともきょとんとしています。とりあえず例として、「爪楊枝をリンゴに刺す」というのを言ってみたら、上の子が「じゃあ『フォークを梨に刺す』」と言います。そういう展開はできるようです。
 「日が射すって知ってる?」と聞いてみたら、下の子が「おへやにおひさまのひかりがはいってくること」と答えました。あとは指差すとか傘を差すとか醤油を注すとかいう例を考えていたのですが、残念ながら子供たちの口からは出てきませんでした。
 それからしばらく別の話題になったのですが、ずっと黙っていた下の子が突然「時計の針が十二時を指す」と言いました。どうやらずっと考えていたようです。これは言葉遊びの適性がありそうだな、と楽しみになりました。将棋が指せたり、こういった話ができるようになってくると、楽しくていいです。




9月14日(土) LaQ(その4):正十二面体

 LaQ(ラキュー)というブロックで作る立体のご紹介の4回目です。今日は大きな正十二面体の稜モデルです。

 昨日ご紹介したように、LaQのジョイントの角度は極めて限定されたものしか用意されていません。ただしジョイント本来の角度から多少ずれても結合できる設計になっているため、若干負荷をかけていろいろな角度を持たせることができます。

 今日はその最たるものとして、水平な結合部品であるジョイントAしか用いずに多面体を組んでみました。正方形パーツを4個並べて棒を作り、それを5本、正三角形の部品を頂点にして正5角形を作ります。これが六角形ならば完全に水平面上に乗るのですが、5角形ですから写真1のように膨らんだ形になります。この正方形4個の棒を、赤・青・黄・緑・白の5色でそれぞれ6本ずつ作って、黒い三角形20個を頂点にしてつなぎます。全ての5角形が、5色の棒を1本ずつ含むようにします。使っているパーツの数は、正方形24枚×6色、正三角形20枚と、ジョイントAを30個×6色です。それなりの数になります。

LaQ多面体:正十二面体 LaQ多面体:正十二面体と3Dジオシェイプスの立体
写真1 写真2

 写真2は、3Dジオシェイプスで作った正十二面体と並べてみたものです。 (ちなみに奥に見えているのはねじれ立方体です。) ジオシェイプスの十二面体は各面が平らですけれども、この組み方で作ったLaQの十二面体はボールのように丸い形です。これは意図して丸くしているわけではなく、ジョイントをつなぐと、ひずみが自然に分散して勝手に丸くなります。

 パーツをたくさん使っていますし、稜モデルなので「すかすか」ですから、今現在うちにあるLaQの作品の中では一番寸法が大きいです。これはなんとなくもったいなくて分解していません。

 LaQの魅力の1つは、工夫次第で面モデル・稜モデルなど原理の異なる組み方がいろいろできるブロックだという点です。まあジオシェイプスでも角柱を作ってそれを部品として巨大な稜モデルも作れるのですが、その作り方だと逆に角度の自由度がなくなります。

 <おまけのひとこと>
 自宅で使っているパソコンは、デスクトップとノートなのですが、ハードディスク容量とメモリがノートの方が若干大きいことと、無線LANを使っているので動くのが楽という理由で、もっぱらノートパソコンを使っています。ただ、最近起動がものすごく遅いのと、しょっちゅうフリーズするのが困り者です。もうちょっとがんばって欲しいのですが、そろそろ買い替えの時期かな…。




9月15日(日) LaQ(その5):正十二面体のバリエーション

 LaQ(ラキュー)というブロックで作る立体のご紹介の5回目です。昨日は大きな正十二面体の稜モデルをご紹介しました。これはちょっと転がしておくには大きいし、稜が内側に曲がってしまいやすくて、扱いには少々注意する必要があるモデルです。同じ対称性を持つモデルで、もっと扱いやすくてコンパクトで面白いものは作れないかな、と思って試作してみたのがこれです。

LaQ多面体:正十二面体 LaQ多面体:正十二面体
写真1 写真2

 写真1は正五角形の面の方向から見たもの、写真2は1つの頂点の方向から見たものです。ご覧のように頂点の部分を角錐台ふうに作っています。(先日ご紹介したThe Polyhedra World ─多面体の世界─では、三角四角台と呼んでいる形です。ちなみに英語名は“Triangular cupola”と呼ぶようです。)写真2中央の白いパーツで造った部分にご注目ください。三角形の3辺に、それぞれ正方形をつないでいます。ジョイントはちょっと角度のあるジョイントCを用いています。これを5色でそれぞれ4つずつ、全部で20作って、正二十面体のように結合しました。ただし結合では、ジョイントに無理がかからないように同じジョイントCを凹状に使いました。

 使っているパーツは、赤・青・黄・緑・白の5色それぞれが、三角形4枚、正方形12枚、ジョイントC12個と、黒のジョイントCを30個です。

 これとほぼ同じ構造の作品が、2000年LaQデザイナーズコンペ月間入選作品(ページ6)に掲載されているのを見つけました。村越さんという方の「星の正十二面体」というものです。掲載作品は三角形・正方形パーツはすべて黄色、ジョイントは全て緑です。ただし私のモデルで黒のジョイントCで結合しているところを、村越さんの作品では直角のジョイントDを使われていました。

 <おまけのひとこと>
 ここのところ毎日、新聞の折り込み広告に、地元の新聞販売店から「新聞配達アルバイト募集」のチラシが入ってきます。もう1週間以上になると思います。印刷費用をおさえるためでしょう、白い紙に黒の単色片面印刷で、計算用紙とかメモ用紙に重宝させてもらっています。日を追って緊急性を強くアピールする内容になってきています。
 私の住んでいる地域は冬が特に寒くて、早朝の新聞配達はつらいと思います。特に郊外の農業をやっているような地域では、家が散在していてしかも道も傾斜が多かったりもして、また昔からの大きな農家などは敷地の入り口から郵便受けまでが遠かったりして、配達は本当に大変なようです。
 今のところに住むようになって驚いたことの1つに、「新聞配達が自動車で来る」ということがありました。郵便配達はバイクなのですが、新聞は車です。確かに郵便局は近くにありますけれども、新聞販売店はものすごく遠いので、バイクだと寒いしたくさん新聞を積めないし効率が悪いのかもしれません。
 今は景気が悪いと言われますし、事実景気の悪さを実感もしているのですが、でもこんな新聞配達のような仕事をする人はなかなかみつからないのだな、と思いました。
 昔、高校の政治経済の授業だったかで、「日本とアメリカとで失業率の数字で景気を比較するのはナンセンスである」というような話を聞いた記憶があります。アメリカの方が一見失業率が高く見えても、たとえば日本の場合とは主婦や高齢者の扱いが異なるとか、道路清掃やごみ収集などの仕事は移民系の人しかやらない(失業していてもそういう仕事はしたがらない)とか、「豊かさが日本とは違うんだよー」という話でした。
 毎日入ってくる新聞配達員急募!!のチラシを見ながら、そんな話を思い出しました。



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