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以前の「ひとこと」 : 2008年2月後半



2月16日(土) 立方体をめぐる稜の輪のかたち

 立方体の12本の稜のうち、相対する頂点1組を考えて、その2つの頂点を含まない稜を考えると、下の図1のように6本の輪の形になります。(有機化学の、シクロヘキサンの椅子型といわれる形に似たかたちです。)

図 1

 この構造は以前にもご紹介したことがあったと思ってちょっと探したのですが、下の例しか見つかりませんでした(05年7月18日のひとこと)。

再掲図 1

 この形を、最近いろいろ作っている、四角い紙の筒を組むモデルで作ってみることにしました。ジョイントの構造は、とりあえず外れにくいようにということを考えて、このタイプにしました。

再掲図 2

 こうして組んだ形をご紹介します。

図 2 図 3

 このタイプのジョイントは大きく作らないときれいにできないので、かなり大きなモデルになってしまいました。ちょっと「大味」な模型です。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 寒いです。庭のカリンの木に、ヒヨドリ(?)がずっと止まっていました。写真を撮ってみました。逆光なのでわかりにくいですが…








2月17日(日) 立方体をめぐる稜の輪のかたち(その2)

 昨日の形、もうちょっと簡単に組みたいということと、自由にスライドさせたいと思って、KohfuhさんのKohfuh's Labあれやこれや:058や、手作りおもちゃの科学館の工藤さんの07年5月1日の日記に掲載されているジョイントで作り直すことにしました。

 上記の2つのページでは平面上に4本で組んでありますが、下の図1,2のように、6本で組んでみました。

図 1 図 2

 図1は組みはじめたところで、図2が絞り込んできっちりはめたところです。このかたちもきれいで面白いです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 八ヶ岳に北のほうから雪雲がかかっています。








2月18日(月) 2種類の対角ずらし六本組木(その1)

 先週、2月11日から、ずらし六本組木をご紹介して、そのずらし方によって異なる形ができるでしょうか、という話をしてきました。 ずらし六本組木は、柱の幅よりもずらし量が小さかったのですが、ずらし量がちょうど柱と同じ長さになったものが、昨日までご紹介してきた六本の形だったのです。

 では、この場合(仮に「対角ずらし六本組木」と呼ぶことにします)も2種類の形があるでしょうか? 結論から言うと、2種類存在します。3方向の1組だけずらす方向が逆だと、下の図1のように異なる形ができます。

図 1

 右の緑色のものが昨日ご紹介したもので、左の水色のほうが新しくご紹介するものです。この2つ、何が違うかというと、右のものは1箇所で2本が交差しているだけですが、左のものは1箇所で3本が3軸方向に交差します。当然、パーツの設計は異なります。

 今回は、04年4月13日のひとことでご紹介したジョイントを使って作ることにしました。

図 2

 実はこの水色のモデルは、3本が図2のように交差した3本組木を単に積み重ねただけで、連結していません。

図 3

 図3は、対称性が高い視点から見たところです。きれいだと思います。が、水色のほうはすぐにばらばらになってしまうので、どうやってしまっておこうか考えています。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 パズル工房「葉樹林」の07年2月17日の日記に、(おそらく)36本組の大きな組木の写真が載っています。この形、最近紙で作ったはずだけれど紹介したっけ? と思って、とりあえず模型を取り出してきて写真を撮ったのですが、昨年の12月17日のひとことでご紹介していました。

 実は最近は作りたいものがたくさんあって、時間があれば新しいものを設計して作っているのですが、なかなかここで紹介する時間がとれなくて、少々ストックがたまっています。新しいものを作ったときには、その時点ではその形が一番面白いと思っているのですが、時間が経つとあんまり面白くないなと思い始めてしまうので、そうするとここで紹介する意欲が若干減るのです。

 また、考えていることを説明するための図を用意したりするのが最近はちょっと億劫でいけないなと思っています。






2月19日(火) 対角ずらし九本組木(A)

 昨日、「対角ずらし六本組木」という形をご紹介しました。このときに使った、2本が交差するジョイント、3本が交差するジョイントを作る手法を組み合わせると、直交する方向の斜めに並んだ本数を2本から3本に増やすことができます。

図 1 図 2

 とりあえず写真だけのご紹介です。これは、上下・左右・前後の3方向のそれぞれ中央のものだけが3本が交差していてつながっていますが、それを取り囲む2本ずつ計6本は、昨日の「対角ずらし六本組木」の緑色のものと同じ構造です。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今朝も寒かったです。家の前に温度計を出したら、マイナス13℃でした。



 昨日の日曜日、配り物があって近所を徒歩で回っていたのですが、一軒の家の前で派手に転んでしまいました。凍っているので用心していたのですが…。ちなみに、知り合いがやっぱり凍った道路で転倒して膝を骨折してしまって入院したそうです。私が転んだときは、両膝と手をつきました。ついたところはその日は一日わずかに痛みましたが、その程度ですんでよかったと思っています。






2月20日(水) 対角ずらし九本組木(B)

 昨日は「対角ずらし九本組木(A)」という形をご紹介しました。この形は三本と六本の2つの独立した組木構造を組み合わせたかたちになっていました。作るときには3本が交差するものを先に組み立てて、その周りを巡るように6本のものを組んで絞って作りました。その結果、中央の3本組のものはしっかり固定されて外れなくなります。

 今日ご紹介するのは同じく九本なのですが、三本組を積み上げただけの連結していないものです。先日ご紹介した、「対角ずらし六本組」も2種類ありましたが、同様なことが九本組でもできるのです。

図 1

 組み立てるパーツは図1の通りです。左右のものは同じ形をひっくり返したものです。

図 2

 図1を積み上げたのが図2の右側で、参考までに昨日の「対角ずらし九本組木(A)」を左側に置いてあります。この二つは異なる形です。どちらの形がきれいだと思いますか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 忙しいです…






2月21日(木) 対角ずらし十二本組木

 昨日までの六本、九本に続いて、十二本というのも作ってみました。

図 1

 水色が六本のもの、緑色が九本のもの、そして黄色が本日ご紹介する十二本のものです。基本的な構造は同じです。今日のものは、単位長さ6の四角柱で、穴が2単位目のところに開いたものが6本、3単位目のところに開いたものが6本で、3単位目のほうを内側に組んで、2単位目のほうを外側に組みます。

図 2

 対称性の高い視点から見たところです。階段のようです。

図 3

 後ろから見たところと、

図 4

 積み重ねてみたところです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 このジョイントも、いろいろと遊べますね。








2月23日(土) 1-holeパーツ(その1)

 昨日(2月22日(金))は更新をお休みしてしまいました。週末の分、まとめて更新しています。

 先週まで、紙の正四角柱の筒の側面に、底面と同じ大きさの正方形の穴を貫通させるパーツを3次元のxyz3軸方向に組むモデルをいくつかご紹介してきました。それを組みながら、もっと簡単なパーツで、貫通させないようにしたらどうだろう?と思って、非常にシンプルなパーツを設計して作ってみました。

図 1

 図1はそうして作ったパーツと、それを筒状に畳んだところです。単位長さは1cmよりわずかに小さいです。(中央の穴は大きめにあけています。) 中央に1×1の窓(穴)をあけるので、バランスを考えてパーツの長さは3として、側面の数はオーバーラップ分を考慮していつもと同じく5枚とします。というわけでパーツは3×5の大きさで、ど真ん中に1×1の穴があいている、というかたちです。

 このパーツをできるだけ効率的に紙から切り出したいと思います。ご存知のように、A4の用紙は210mm×297mmですから、約21cm×30cmです。ということは、単位を1cmだとすると、図1のパーツを横に6枚並べると30cmで、縦に7枚並べると21cmですから、6×7=42枚を並べると、だいたいA4の用紙と同じ大きさになる、ということになります(図2)。

図 2

 で、これをちょっとだけ縮小して印刷して切り出して作ったのが図1のパーツというわけです。紙がほとんど無駄にならないので効率的です。

 さて、「どのholeにもパーツがはまっている」という状態を実現する一番少ない組み合わせは、パーツが4本の場合の図3のようなかたちですから、まずこの形から紹介します。

図 3

 パーツの長さは3ですが、1単位分は別のパーツのholeにはまりますから、長さ2の分だけが見えています。

 (ちなみに最初に作ったのはこの形ではありませんでした。それはまたおいおいご紹介します。)

(つづく)

<おまけのひとこと>
 21日(木) は、脳神経科学を研究されている、日大医学部教授の泰羅 雅登先生という方とお話する機会がありました。大変楽しかったです。






2月24日(日) 1-holeパーツ(その2)

 昨日ご紹介したこのかたちですが、用紙1枚からパーツは42本作れますから、同じものをいくつか作ってみました。

再掲図

 さて問題です。この形をたくさん作ったとしたら、これをタイリングする(平面的にきれいに重なりも隙間もなく並べる)ことはできるでしょうか?

























ちょっと間をあけて

























 歩道などでよく見かけるインターロッキング(カラーのコンクリートのブロック)でも見かけますが、この形はタイリング可能です。

図 1

 図1の写真では、4本の風車のような形の「向き」が2種類あります。これは同じ向きだけでもタイリング可能です。

図 2 図 3

 図2のものが図1の写真と同じパターンで、図3のほうは向きをそろえて並べたパターンです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 23日(土)はひどい天気でした。雪は降るし、風はものすごく強いし、とても大変でした。






2月25日(月) 1-holeパーツ(その3)

 1-holeパーツ4本を風車のように組んだ形(再掲図)の話の3回目です。

再掲図

 今日はこの「風車」を立体的に積み上げてみることを考えます。この風車を6つ作って、下の図のように組み立てると、

図 1 図 2 図 3

 立方体ができます。中の空洞は2×2×2の立方体になって、外側は8つの角の部分がない、4×4×4の立方体になります。もちろんこの形は何もロックされていないので、不用意に持ち上げればばらばらになってしまいますが、立方体の向かい合う面を手で押さえて持ち上げれば、形を保ったまま保持することはできます。

 この立方体を作ってみたくて、とりあえず「風車」パーツを6セット組んでみたのでした。でもこの写真を撮ったら満足したので、ほかの形を組むために、この「風車」のうちいくつかは分解してしまいました。昨日のタイリングの写真は、こうして作った6つを並べて撮ったものです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今週も忙しいです。

 最近、楽器をさわる時間がますます少なくなっています。平日は、早朝の30分くらいしかプライベートな時間が確保できなくて、この時間帯(朝の5時台)だとさすがに家族や近所の手前、楽器は鳴らせないので、週末とかに作って撮りためた写真を使って模型の紹介という内容でwebの更新をするくらいしかやれることがありません。

 webの内容も、もうちょっと違うカテゴリの話題も書きたいのですが(ネタがないわけではないのですが)、模型の写真と簡単な解説(それすらないときもありますが)に比べると準備の時間がかかるので、それもなかなかできないでいます。このページを見に来て下さる方が飽きてしまうのではないかなあとちょっと不安に思ったりもしています。

 アンサンブルのほうも、最近は年に数回しか顔合わせができないのですが、相対的に自分のレベルがどんどん下がっている気がして、申し訳なく思っています。






2月26日(火) 1-holeパーツ6本組

 単位正方形を底面とした、高さ3の正四角柱の側面の1つに1x1の窓を開けた“1-holeパーツ”というものをご紹介している話のつづきです。

 先日、17日(日)にこんな形をご紹介しました。

再掲図

 これは、高さ4の正四角柱の側面の、2単位目のところに貫通する穴を開けたパーツを6つ組んだ途中図です。これを今回の1-holeパーツで組んでみようと思います。

図 1 図 2

 貫通しないパーツを使うことで、印象が変わります。図1の視点から見ると、なんとなくペンローズの三角形のように見えないこともありません。図2の方向から見ると、平面的な「風車」のかたちに見えます。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 朝が忙しくて、2日まとめて27日に更新しています。
 27日18時から、市PTA連合の総会に来年度の役員として出席してきました。雪が降って大変でした。






2月27日(水) 1-holeパーツとチューブパズルのT管

 1-holeパーツを組み合わせていろいろな形をつくるときに、パーツどうしの干渉を考慮しないとうまく組めない場合があります。実際に組む前に形を検討するよい方法がないかな、と思って、以前も使った手法ですが、構造が等価なブロック(紙製ではなくて、もっと丈夫で組み立て・分解が容易なもの)で試作をする、ということを考えてみました。

再掲図

 上記の再掲図の形ですが、これを、以前やはり同じ目的で利用した、100yen-shopで買ったチューブパズルというもののT管パーツを使って再現してみました。

図 1

 T管のほうは、T字の横棒の両端がメスジョイント、T字の縦棒の下端がオスジョイントになっています。1-holeパーツのほうはT管パーツとはオスメスが逆ですが、窓の部分がT管の縦のジョイントに相当して、四角柱の上端・下端がT管の横棒に相当します。

 というわけで、昨日の6本組のかたち(再掲図)

も、T管パーツ6個で作ってみました。

図 2 図 3

 いかがでしょうか。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 おかげさまで、ここ「あそびをせんとや」も7周年です。いつもご覧下さる皆様、本当に感謝しております。今後ともよろしくお願いいたします。






2月28日(木) 1-holeパーツ12本組

 単位正方形を底面とした、高さ3の正四角柱の側面の1つに1x1の窓を開けた“1-holeパーツ”を使って対称性の高いかたちを作ってみている話の続きです。今日は12本を組むものをご紹介します。

 イメージとしては、図1のように立方体を4個積み重ねたものを考えて、その手前側の稜を一巡するような(図1の赤い線の)ループを考えます。これを作ってみます。

図 1

 最初に、昨日もご紹介したチューブパズルのT管パーツ12個を使って、等価な形を組んでみました。

図 2

 とりあえず対称性の高い視点からの写真ですが、なかなかきれいなかたちだと思います。これを1-holeパーツ12個で組んでみます。

図 3 図 4

 図3が対称性の高い視点から見たところ、図4が真横(単位正方形の稜と平行な軸方向)から見たところ、です。図4の視点から見ると、まったく不規則に見えます。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 しょっちゅう雪が降って大変です。






2月29日(金) 1-holeパーツ12本組(その2)

 濱中さんから、こんな写真をいただきました。

濱中さん作

 先日、26日に掲載したかたちを見て、同じ構造のものをクリップを組んで作ったものの写真を送って下さったのです。ありがとうございます。

2月17日掲載 2月26日掲載

 濱中さんのクリップ組木、自分で組んだらこんなにきれいに組めないと思います。すごいなあと思います。



 さて今日は、昨日とは違う形の12本組を作ってみることにしました。最初に骨格図を描いてみます。今日のものは立方体を4つ「田の字」に並べたものの稜をめぐる形です。このかたちの対称性がどうなっているかわかりますか?

図 1

 これも、チューブパズルで等価な構造を組んでみました。実は以前(05年11月28日のひとことで)この形を作ったものを載せたことがありました。

図 2 図 3

 図2はL字管、図3はT字管で作ったものです。このかたちを 1-holeパーツで作ったら、どんなかたちになるか想像ができますか?

 ・・・というわけで実際に 1-holeパーツで組んでみました。(特に間をあける必要はないですね)

図 4 図 5

 図4は二本足で立たせてあります。(図3もそうですね。)図4とか図5を見て、図3や図2の骨格が想像できるでしょうか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 昨日、隣の職場の若手の同僚と打合せをしたら時間が遅くなってしまいました。彼はふだん車で通勤しているのですが、故障で修理に出していて、今週はバス・電車を乗り継いで通勤しているそうで、最終バスがない時間になってしまったようだったので、送ってあげました。
 いつものように無意識に「燃費向上運転」をしていたら、実は彼も同じポリシーで運転しているそうで、燃費向上の工夫に関する話で盛り上がりました。






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