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残雪の石狩平野を行く 第4回

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(06年3月の旅)

終点・新十津川

 下徳富の次の停車駅が終点の新十津川である。実は、つい半月ほど前までは中徳富という駅があったが、ダイヤ改正をきっかけに駅としての営業を終了していたのである。こんな閑散路線のひとつの無人駅を廃駅にしたところで、たいした影響などはないと思うのだが、近い将来の区間廃線への布石なのかと勘ぐりもしたくなる。ちなみに同じダイヤ改正で秘境駅だった智東、東幌糠、南下沼、旭浜、新栄野の各駅、事実上の廃駅状態だった張碓が廃止された。

 私は車窓から中徳富駅の跡を探ろうと思ったが、結局はわからずじまいのまま終点の新十津川に着いてしまった。おそらく、積雪がなければなんらかの痕跡が残っているのが分かったであろう。あるいは板張りのホームは、駅名板などとともにすでに撤去されているのかもしれない。

終点らしくない終点の新十津川駅


 そうこうしている間に、札沼線終点の新十津川に到着した。札幌からの所要時間は2時間を超えた。新十津川は、かつて札沼線の途中駅だったこともあり、ホーム一列だけの簡単な駅であった。やってくる3本の列車は30分も経たないうちに折り返していく。私の乗ってきた列車も13分後には札幌行きとなって出発する。

 新十津川の駅周辺は住宅地の真ん中にあり、それなりに開けているせいか、終着駅のもつ哀愁は感じさせない。とくに駅のすぐ目の前に立派な温泉病院が建設されているためか、ローカル線のさいはて感はまったくない。線路のほうは100メートルほど伸びているものの、その先でぷっつりと切れている。雪が積もっているため、車止めがあるかどうかは定かではないが、新十津川で線路を断ち切ったという感じである。

 駅舎はそれなりにしっかりした建物であるが、中はがらんとして物寂しい。駅ノートがなかったのは残念である。掲示板に真新しい紙で中徳富駅廃止のお知らせが張ってあった。利用者がほとんどいないとはいっても、律儀に案内しなければならないのだろう。あとは、これといって見るべきものもないので、駅舎内に長居することなく駅の外へと出た。引込み線の先を探そうと周囲を歩いてみたのだが、雪が積もっているうえに、農協の敷地内が邪魔をして近づくことができず、そうこうしているうちに折り返しの列車が静かに出発して行った。駅前に集落はあるものの、列車のディーゼル音が聞こえなくなると、あたりは静けさに包まれた。

(おわり)

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