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残雪の石狩平野を行く 第2回

(06年3月の旅)

難読駅名の知来乙

残雪の中をぬって

 石狩当別ではホーム反対側に一両編成のワンマンカーが待っていた。乗客は10数人ほどでローカル線としてはまあまあという感じである。車窓が比較的よいとされる右側の座席を無事に確保したところで列車は発車する。折り返し駅となる北海道医療大学駅を過ぎると、閑散区間へと入っていく。

 比較的平坦地を走っているのにもかかわらず、列車の速度はずいぶん遅い。並行して道路が通っているが、後方からやってくる乗用車がどんどんと追い抜いていく。こんな光景はおそらく他に例を見ないだろう。道路が真っ直ぐな北海道では車の速度が上がっていることも確かであるが、それでも列車が追い越されてしまうというのは、逆に言うと列車がとことん遅いということである。それが車両の性能のせいなのか、ダイヤの関係なのかは定かではない。

 中小屋駅を過ぎたあたりから、どんどん雪が深くなっていくのがわかる。このあたりから旭川、名寄方面にかけては北海道でも積雪の多い地帯になる。かつて深川と名寄を結んでいた深名線が、国鉄赤字ローカル線廃止対象になりながら、周辺道路の未整備によりしばらくの間営業を続けていたというのも、冬場の雪の多さや寒さの厳しさが影響していた。あるいはこのノロノロ運転も冬場対策なのかもしれない。

 月ヶ岡を過ぎ、難読駅の知来乙(ちらいおつ)へ。駅名はいかにも北海道らしいが、駅そのものは小さい無人駅。貨車を利用した待合室を持つ駅も多いが、いずれもうら寂れた感じは否めない。積雪の多さは駅のホームにもあらわれており、列車が泊まるスペースだけは除雪してあるが、あとは積もり放題といったところ。どこからがホームなのか分からないような駅すらある。冬場の苦労がしのばれる。

(つづく)
だんだんと超閑散区間へと