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札沼線 第1回 第2回 第3回 第4回
残雪の石狩平野を行く 第3回
(06年3月の旅)
超閑散区間へ
やがて、石狩月形駅へと到着する。この駅はほとんど唯一といっていいほどの列車交換ができる駅であり、私が乗った列車も17分という長時間の停車を余儀なくされる。乗客は3分の2ほどがこの駅で下車。残った数人の中には、私も含め明らかに鉄道マニアらしい人もいるため、本当の地元住民というのはごくわずかといっていい。左右の座席へ移動できるよう座席を後方に移す。そして、停車時間中に列車の全景写真などを撮影する。列車自体はとくに珍しくもない平凡なものであるが、雪景色の小さな駅にぽつりと止まっている光景はそれなりに絵になる。
対向列車がやってきたが、やはりほとんどお客は乗っていないようだ。列車交換をしてさらに北上する。ここから少しの間は、平野部から離れて丘陵のような場所を走る。もちろん周囲に人家などは見当たらない。札沼線のなかでも雰囲気の違う車窓を見ることができる。そんなうっそうとした林間にポツリとあるのが豊ヶ丘駅。秘境駅として紹介されているほど、周囲にはまったく人家が見当たらない。掘っ立て小屋のような待合室がぽつりとあるだけだ。
豊ヶ丘を過ぎると、再び平野部へと戻る。あとは終点の新十津川までは平野部の真っ只中を走るという感じで線路が延びていく。途中にある駅も、札比内、晩生内(おそきない)、札的と北海道らしい駅名が続く。ほとんどの人が読めないであろう難読駅名の晩生内も、雰囲気のある駅舎が残っており、思わず途中下車したくなるほどだ。ただ、列車本数が少ないのでもちろん今回は車窓から眺めるだけにとどめておいた。
列車は浦臼駅に到着。ここもひとつのターミナル駅かと思っていたが、一路線一ホームの単行であった。かつては列車交換の施設があったのかもしれないが、本数が少なくなった今ではその必要もなくなったのだろう。浦臼から先は少ないローカル線がさらに一日三往復という超閑散区間へとなっていく。ただ、車窓に大きな変化があるわけではなく、畑や原野が広がる地帯が続いていく。
鶴沼、於札内、南下徳富と小さな駅に丹念に止まりながら、下徳富に着く。人家はますます少なくなり、大地に取り残されたような小駅ばかりである。仮に廃止になったとしても、鉄道跡がすぐに分からなくなってしまうような、それほどまでに何にもないところを走る。
(つづく)
そして終点の新十津川へ