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惜別!くりでんに乗る 第4回

今は運転されていない電車車両

物悲しさを感じつつ

 次のターミナル駅は、くりでん本社のある若柳駅だ。結局この列車で乗客の乗り降りがあったのは、栗駒、沢辺、若柳だけで、あとの無人駅はまったく乗降客がなかった。地元の足としてはあまり利用されていないという現実を見せ付けられてしまい、やはり廃線やむなしなのかなという思いにかられてしまう。沢辺−若柳の中間にある大岡駅の先で、東北新幹線と交差する。田園地帯にまっすぐ伸びるコンクリートの帯が、この小さな私鉄などまったく無視するかのように突っ走っているのが余計物悲しい。

 さらに、物悲しさを助長してしまったのが、車庫となっている若柳駅構内のようすである。いろいろなタイプの列車が停まっており、それらを見渡しているとまるで鉄道博物館にいるような雰囲気にも思えてしまう。つまり、現役で走っている列車はほんのわずかしかないのである。今は使われることがない電車タイプの車両は、塗装もはげてボロボロになってきており、くりでんの現実を思い切り見せ付けられてしまう。この広い若柳駅の構内は、廃線後いったいどうなるのだろうか。

 そうこうしているうちに、くりでんの旅もぼちぼち終わりに近づいてきた。終点であり、東北本線との連絡駅ともなっている石越に到着する。石越駅は、JRの駅とは別の立派な駅舎を持つ駅であるが、現在は無人になっている。ここもかつては、ターミナル駅として栄えたのであろうが、今は一線分のレールとホームしかない。栄枯盛衰とはこのことを言うのか、という思いも込めながら最後にもう一度車両を撮影する。

 さよなら乗車のつもりが、なんだかバタバタとした感じでくりでんの乗車を終えてしまった。これがウイークデーで、「OH!バンデス号」ではなく普通の定期列車だったら、また違った感じなのかもしれない。それでも、くりでんの雄姿はしっかりと目に焼き付けることはできた。ロングシートで面白みの欠ける東北本線に乗って石越駅を後にする。


 

(この項おわり)

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