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惜別!くりでんに乗る 第3回

細倉マインパークを折り返す

  細倉マインパーク駅のホームには、20人ほどの親子連れが到着を待っていた。この列車はわずか6分停車してすぐに折り返し運転をする。私も折り返し列車に乗るつもりだったので、この駅ではかろうじて駅舎の写真のみを押さえ、すぐに列車に乗り込んだ。私と同じような乗客はほかにもたくさん見られ、「OH!バンデス号」は再びほぼ満席状態で出発することになった。ただし、私が見る限りで一般乗客と思われるのは、女子高校生ただ一人であった。

 さて、帰りはもう少し車窓に目を向けてみたい。まずは廃駅となった細倉駅であるが、駅構内はそれなりの体裁が整えられていたようで、終着駅かつターミナル駅のような存在だったようだ。廃駅となって久しいのか、駅舎の木造の建物はボロボロで、ちょっと不気味な感じさえした。沿線のほかの駅舎を持つ駅が同じような運命になってしまうのだろうかと心配する。軽々には言えないが、例えば沢辺駅のような雰囲気のある駅舎は何とか遺産として残してほしいものである。

 栗駒駅は列車交換がすでにできなくなっているが、ここでもタブレットの交換が行われていた。現在、くりでんは沢辺駅のみが交換駅となっているようである。電子制御化がされ、JRでは見られなくなったタブレットの交換風景は、なかなか貴重なものであるが、これもあと半年で鉄道そのものとともに姿を消すことになる。

列車交換のため走る駅員さん

 列車は田園風景のなかをゆっくりと進み、一駅ずつたんねんに停車していく。平凡な風景のまま、再び沢辺駅へと戻ってきた。今度は下り列車との交換行われるため、さきほどの初老の駅員が忙しそうにタブレットの受け渡しに飛び回っていた。そして、私とともに沢辺から乗った鉄道マニアのお父さんとその家族が下車し、同じような家族連れや旅行者もかなり多く下車した。車内も少しすいてきたため、ようやくボックスシートに落ち着くことができたのである。

(つづく)
若柳駅さらに終点・石越駅へ