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海のローカル線に乗る(12年ぶり乗車) 第4回

(05年4月の旅)

驫木駅駅名板

五能線最大の見せ場へあの「驫木駅」へ

 その駅は、かつて私がみちのくのローカル小駅としてあこがれ、12年前に念願の来訪を実現させた「驫木駅(とどろき)」である。この駅名といい、駅周辺の雰囲気といい、流行の秘境駅としても一級品である。驫木駅はあの当時と変わらぬ姿で、私が乗る列車を待ちうけていた。木造の駅舎もそのままであり、国道沿いの一軒家もある。ただ、その家の近くにあった公衆電話ボックスは撤去されていた。利用者皆無のうえ、携帯電話が普及したので用済みになってしまったのだろう。ある意味では時代の流れを感じさせるシーンである。

 この驫木駅を含め、五能線には途中下車してみたい駅がいくつもある。もちろん、列車本数の少ないこの路線で途中下車をするのは容易なことではない。駅名も驫木、艫作をはじめ、風合瀬、大戸瀬、追良瀬、横磯などと見ているだけで楽しくなる。リゾートしらかみ号で走り抜けてしまえば、こうした小駅など見向きもせずに終わってしまう可能性があるので、やはりこの路線は各駅停車に乗るべきであろう。

 津軽西海岸の名勝・千畳敷へとやってくる。かつて最寄りの千畳敷駅から歩いて散策をしたところだが、車窓からは思ったほど千畳敷の景観を眺めることはできなかった。観光客の姿はまばらながら見られたが、列車を使って観光に来たという人は乗降客ゼロのようすを見ればあまりいないのではないか。ここもまた、途中下車して散策する絶好のポイントなのだが、やはり自重しておく。

 海もだんだんと遠ざかり、線路は少し高いところを走るようになっていく。まるで、ずっと眺めてきた日本海の車窓から名残惜しいかのような移り変わりだ。何度も繰り返すようであるが、ここを訪れる人にはぜひとも各駅停車でみちのくの小駅をひとつずつたどりながら乗ってほしい。車窓とともにローカル線に乗る津軽の人たちのぬくもりも感じてほしい。そう願いつつ、列車は間もなく鰺ヶ沢駅へと入っていく。

鯵ヶ沢駅

(この項おわり)

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