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渡島半島の山越え路線 第2回
無人駅?「天の川」
上ノ国から中須田、桂岡、宮越までの区間は、上ノ国町の平野部を走るため、どこにでもあるようなのどかな田舎の田園風景が続く。民家もそれなりに見えているので、閑散路線としての面白みはそれほどない。同じような風景を持つローカル線は数多く、そのほとんどは赤字線であり、とくに第三セクターや私鉄は常に廃線の危機と背中合わせの営業を続けている。むろんJRとはいえ、この江差線も例外ではない。
それでもだんだんと平野部は少なくなっていき、宮越駅は山間へ進む入口駅となっている。ここからは天野川沿いにしばらく鉄路が続く。天野川はその語呂から「天の川」として地元や観光客に親しまれている。私が想像していた以上に大きな川で、川の水は澄んでおり非常にきれいな清流である。上流部が無人地帯であるがゆえの産物であり、この川沿いの車窓というのはまぎれもなく第一級といえる。
やがて車窓に「天の川」と書かれた駅名板が飛び込んでくる。こんな無人地帯に駅があるわけではなく、北海道夢れいる倶楽部という鉄道ファンが作ったダミーの駅である。本物そっくりの駅名板だけでなく、ホーム同様の盛り土や案内板まであるという懲りようで、そこには江差線を何とか残していきたいという思いが伝わってくる。むろん列車は止まることはおろか、徐行すらせずに通過していくので、見逃してしまう乗客がほとんどのようだ。事前にインターネットなどで調査済みだった私はしっかりと駅名板の写真をゲット。帰りにはビデオクリップでの撮影にも成功した。ただ、写真もビデオクリップもぶれていたのが残念ではある。
正真正銘、宮越駅の次の駅である湯ノ岱駅に到着。ここまでの区間、上り勾配が結構きついようで、列車のスピードはあまりあがらなかった。そのうえ、ほとんど無人地帯である山間部を走っており、いかにも北海道らしい車窓風景を生み出している。湯ノ岱駅はこの区間唯一の列車交換のできる設備を持っており、駅員がタブレットを受け取る姿も見ることができた。私が乗っている列車と交換する列車はなく、そのまま次の駅へと出発する。
(つづく)
いよいよ山越えへ