以前の「ひとこと」 : 2026年2月後半
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2月16日(月) 三角形を含まない等辺フレームワークは固定できる?
2月後半です。慌ただしいです。今日は簡単な更新です。
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平面上で辺の長さが変わらない条件で直線で構成されたグラフの変形を考える「フレームワーク」の話題のつづきです。
三角形を含まない等辺フレームワークは必ず変形するか? 一見、三角形がないのであればフレームワークは固定できないような気がします。でも、三角形を含まないフレームワークで変形しないものがあるのです。最初に「等辺ではない」フレームワークで三角形を含まないのに変形できないものが見つかり、その後、等辺という条件を付けても三角形を含まないのに変形しないフレームワークが見つかっているのだそうです。
意外とこの話題、検索してもあまり情報が出てこない気がします。私の探し方が悪いだけかもしれません。
(つづく) ○
今週のおすすめ本『古今和歌集』というnoteの記事が面白かったのです。和歌はいいですね。
<おまけのひとこと>
時間がなくて簡単な更新です。
2月17日(火) 三角形を含まない等辺フレームワークが固定できる例
昨日の話題のつづきです。
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昨日、こんな問いかけをしました。
三角形を含まない等辺フレームワークは必ず変形するか? これは、先日来ご紹介している グラフ理論とフレームワークの幾何(前原 濶・桑田 孝泰 著、共立出版:2017)の第7章「等長フレームワーク」の冒頭に載っている問いなのですが、この本には条件を満たす知られている最小の例として「デカゴン」と呼ばれるこんな等長フレームワークが紹介されています。
「グラフ理論とフレームワークの幾何」p.112より引用 微妙に対称性のない、おもしろいグラフです。自分でも作図してみました。
「デカゴン」を作図してみた これは等辺フレームワークですから、すべての辺の長さは同じです。このグラフは定義より三角形を含みませんから、長さ3のサイクル(閉路)はありません。長さ4の閉路は菱形ですが、これはたくさんあります。仮にこのフレームワークが変形するとしたら、平行な辺の組は平行を保ちます。また、菱形の向かい合う辺になっていなくても、離れたところにある平行な辺のペアもたくさんあります。たとえばこのグラフの外周は平行十辺形になっていて、離れていますが向かい合う5組の辺が平行です。このグラフの中で向きが等しい(=平行な)辺には同じ色を塗ることにすると、このグラフの辺を塗分けるには何色必要でしょうか?(=平行な辺の組は何組あるでしょうか?) また、自分と平行な辺が存在しない辺はあるでしょうか?
また、このグラフを作図しようとしたとき、それぞれの辺の角度はどうなっているでしょうか? あと、そもそもこのグラフの頂点の数はいくつでしょうか?
(つづく)
<おまけのひとこと>
自分で図を描いてみるといろいろ気づきがありました。
2月18日(水) あやとり画像から生成AIで線画を作ってみる
昨日の「デカゴン」、調査中です。
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あやとりで、糸の交差の上下も含めて対称性を考えてみています。まずは簡単すぎず複雑すぎず、ということで「7つのダイヤモンド」を題材に考えてみています。交差を含めて考えるとき、あやとりの写真の画像よりも線画で表現したほうが考えやすいです。ただ、線画を自分で描くのはちょっと面倒です。あやとり画像から生成AIに加工してみてもらいました。試したのは Copilot, gemini, chatGPT で、いずれも現時点で無料で使えるものです。copilotはあまり出来が良くなかったので掲載していません。画像を加工するための指示(プロンプト)は共通です。
まずは普通の「7つのダイヤモンド」です。
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「紐は二本の線で表現して」「紐の内部に線やテクスチャを入れないで」と指示しているのに、geminiはかたくなに線を入れてきます。そのおかげで交差の上下がわかりやすいというメリットはあるかもしれませんが、外周の紐の本数がちょっとわかりにくいのが残念です。交差の上下が正しいのは立派です。
一方chatGPTのほうは紐の表現は希望通りなのですが、1か所、紐の交差の上下が表現できていないところがありました。残念。
次に、いわゆる「点対称」なパターンを作ってみました。
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さきほどと同様、geminiは交差の上下は正しいのですが紐に余計なテクスチャ(線)を入れてきます。chatGPTのほうは交差の上下が間違っているところがあったり、外周の紐のつながりがおかしかったりしてしまいました。
今回は生成AIに線画を作ってもらうことを意識して元のあやとりを整えました。いつもならマグネットボードに固定して張力をかけるのですが、紐が二重になっているところがわかりにくくなるので、敢えて固定せずに外周の左右の二重になっている部分がわかりやすいように少し隙間をあけてみたりしました。このような「それっぽい」線画を描いてもらえるというのはすごいことだと思うのですが、一方でこのように部分的に間違っていたり意図がうまく伝わらなかったりしたときにそれを修正するのが大変です。現状のツールを使いこなすための努力をしなければいけない、というのは努力の方向性としてむなしい気がします。
言語で表現される論理構造を整理するのは本当に強力になりましたが、こういった図の作成はまだいまひとつなのかもしれません。
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昨日ご紹介した、三角形を含まない等辺フレームワークで変形しない例として「デカゴン」というグラフがありました。
「グラフ理論とフレームワークの幾何」p.112より引用 これを見て私は勝手に「ここは正方形なんだな」と思いました。(もちろんそんなことはどこにも書かれていません。)
ここが正方形に見える 図に定規を当ててみても直角になっているようでした。でもここが正方形だとして図を描いていくと破綻するのです。結果的にここは正方形ではありませんでした。
また、この「デカゴン」のグラフの画像を copilot / gemini / chatGPT に入れて、頂点の数を数えてもらいました。突拍子もない答ばかり返ってきて、驚きました。グラフの辺を全部消して、頂点を表す白丸だけの図にして数えてもらったのですが、それでも数えられませんでした。従来の画像処理の blob サーチなどでしたら一瞬で数えられます。自動運転で高度な画像処理(カメラに写っているものを判別すること)ができているのに、マルの数が正しく数えられないのか…と思いました。無償版だからなのか、それとも有償版でもダメなのかわかりません。
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『数学セミナー』で2025年度に連載されていた谷本明夢さんの「夫は数学者」、毎回楽しみに読ませていただいているのですが、2026年度も連載が継続されるそうです。おめでとうございます。来年度も読めるということで嬉しいです。同じ雑誌に連載を書いているので、なんとなく親近感を覚えています。
<おまけのひとこと>
生成AIと対話しているととても楽しいのですが、使い方を誤ると自分がひどい目に遭うことがわかります。本業のほうでも毎日活用していますが、気を付けたいです。
2月19日(木) 「デカゴン」はなぜ変形しない?
「デカゴン」の話のつづきです。
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三角形を含まない等辺フレームワークで変形しないもののうち、知られている最小の例であるという「デカゴン」の話のつづきです。
「デカゴン」 これがなぜ変形しないのだろう? と思って、まずは明らかに平行な辺は同じ色にしてみました。「明らかに平行」と言えるのは、このグラフで4サイクル=菱形になっている部分です。
平行な辺に着色してみた グラフ上部の3本のグレーの辺と、グラフの下側のピンクの6本の辺はいずれも水平に見えますが、グレーとピンクが対辺になっている菱形の部分グラフは存在しないので、この時点ではグレーとピンクが平行であるということは示せていないです。
上のグラフで、平行な相手がいない黒い辺(外周の右側の黒い辺は赤い辺と平行になりそうですが)がポイントです。「正三角形が明示的には存在していないのに、この構造だと頂点が正三角形に固定される」部分があるのです。それがこのグラフの巧妙なところです。
ちなみに上のグラフの黒い辺を外して、このグラフが対称になるように頂点を1つ減らして辺を増減して下のようなグラフにすると、当然ですがこのように変形してしまいます。
この「変形する図」を描くのがちょっと楽しかったです。
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先週の出張で新橋でお昼を食べた後で、「錠前屋珈琲」というコーヒーショップを教えてもらってコーヒー豆を買ってきました。
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教えてくれたYさんとこんな会話をしました。
Yさん 「なぜ錠前屋というと思います? 錠前と言えば?」 私 「カギ、ですかね」 Yさん 「そうです。カギと錠前ですよね。じゃあカギとコーヒーと言えば?」 私 「キーコーヒー、ですか?」 Yさん 「そうです。錠前屋珈琲はキーコーヒー株式会社の本社ビルのすぐ前にあるんです。」 私 「なるほど。」 せっかくなので奮発してここで買える一番高いコーヒー豆(パプアニューギニア:コルブラン農園「ゲイシャ」)を買ってきました。
<おまけのひとこと>
あやとりの研究のために、60cm×40cmくらいの大きなホワイトボードを買ってきました。便利です。