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以前の「ひとこと」 : 2005年4月後半



4月16日(土) カーペンターブロックのCGと写真

 昨日、三方向から見てそれぞれアルファベットの形になっている形状をご紹介しました。せっかくプログラムを作ったので、いろいろのな文字の組み合わせの立体をCG化してみました。図の下に書いてある数字は、カーペンターブロックのSQUAREパーツ何枚で作れるか、という数です。

SOZ:652枚 STM:548枚 KTS:458枚

 左から、カーペンターブロックの製造販売元のSOZ corporationSOZ、真ん中は消失点よりの STMileさんのSTM、右側は日々雑感のblogのktsさんのKTSです。これまでに何度も感想をいただいたりページでコメントしてくださったお礼に、勝手に題材にさせていただきました。(解像度の高い画像データにご興味があるようでしたらご連絡ください。カラープリンタで葉書大に印刷したりすると、思いのほかきれいだと思います。) アルファベット3文字をペンネームにされている方は思いのほか少なくて、とりあえず作ってみたのはこれだけなのですが、リクエストがあったらもう少し作ってみてもいいかなと思っています。

 文字が太いのは、そうしないと破綻する可能性が高いためです。たとえば、Tの縦棒はかなり太いですし、真ん中のMの文字のデザインも変だと感じると思いますが、ちょっといじると他の面の文字の一部が欠落してしまったりするため、やむを得ずこうしています。(でもまだ改良の余地はあると思います。)

 今回の3つに関しては、残念ながら微妙に「ひとつながり」の立体になっていなかったと思います。(そこは自動判別していません。各階層の断面図を出力させて、人間が判断しています。)



 カーペンターブロックの多面体モデルの写真、以前作ったものを1つご紹介しておきます。3月31日に、六角柱を2色で4個ずつ作ったものを組んだかたちをご紹介しましたが、そのバリエーションです。

図 1 図 2 図 3

 六角柱が2色でそれぞれ4個ずつ、24個×2色分と、その間をつなぐ濃い緑のパーツが12個、あわせて60個のSQUAREパーツでできています。大菱形立方八面体(斜方切頂立方八面体)のかたちです。 4色セット1つで作れます。この構造は残念ながら変形しやすくて、美しい形を保つのがちょっと難しいかもしれません。

 <おまけのひとこと>
 昨日の通勤途上で、車の走行距離計が88888.8kmになりました。ちょうどコンビニエンスストアの前だったので、一瞬だけ駐車場に入って写真をとろうかと思いましたが、既に頭が仕事モードだったのでやめました。




4月17日(日) あかりの灯る大きなお家

 昨年、子供の誕生日に、エポック社のシルバニアファミリーのドールハウスの「あかりの灯る大きなお家」というのを買いました。壁のスライドスイッチを操作すると、ちゃんと照明が灯るのです。 ちょっとハードディスクを整理していたら、以前撮った写真が出てきたのでご紹介することにしました。

写真 1 写真 2

 写真1は家を閉じて、玄関の側から写真を撮って見ました。写真2はお家を開いて家具などを配置したところです。

写真 3 写真 4

 写真3は下から見上げてみたところ。だいたい人形の視点の高さだと思います。灯りが雰囲気があります。写真4は二階の個室の写真です。ベランダ側から撮っています。手前にランプの載った机があって、奥にベッドがあります。

 こういう写真を撮るのも面白いですね。

 <おまけのひとこと>
 うちのすぐそばで、野生の雉のつがいが道路を渡ってゆくのに出会いました。雉もよくもまあこんなところで暮らしているなあと思います。




4月18日(月) カーペンターブロックの多面体

 一昨日にご紹介したかたち、これがちょっと不安定だったので、白のパーツで補強してみました。

図 1 図 2 図 3

 これはこれで面白いかたちかな、と思います。

 <おまけのひとこと>
 ご紹介を続けているカーペンターブロックの多面体構造のシリーズですが、一日に1つずつだと、ストックが増えるスピードの方がはやくて、どうしようかと思っています。むやみに写真の数を増やしたくないし、構造をわかっていただくためには1つのモデルに対して複数の写真があったほうがいいし、でも他の話題も混ぜたいし、うーむ。
 いつも多面体の情報交換をさせていただいている積み木インテリアギャラリーいたち丸さんの多面体木工法のページが、googleで「多面体」で検索をしたときのベストテンに入っているそうです。すばらしいですね。
 私のこの「あそびをせんとや」のページも、しばらく前まではgoogleで「あそび」を検索するとベストテンに入っていたのですが、さっき試したらだいぶ順位が下がっていました。




4月19日(火) カーペンターブロックによる正二十面体

 今月のはじめ、4月1日から、正十二面体や正四面体、正八面体を、カーペンターブロックで五角柱や三角柱を使って作る方法をご紹介してきました。そのときに、1つの頂点に集まる面の数が5つになると、角度がきつすぎてこの手法では作りにくいので、正二十面体や菱形三十面体ははこの方法では難しいとコメントしたかと思います。

 「多面体を作る」というトライアルの中では、最初はSQUAREパーツだけを使う、という限定を設けていろいろ試していたのですが、次に数の多いTREEのパーツも使うことで、この問題を解決する方法を思いつきました。

写真 1

 写真1は、1色のセットを使ってこの方法を検証してみているところです。三角形を、SQUARE6つに加えてTREEを3つ使って作ります。こうすることで多面体の三角形の面を三角柱ではなくて角の取れた三角錐の一部で表現することにします。このTREEパーツによる傾きのおかげで、頂点に5つの稜が集まっても角度が急になりすぎなくてちゃんと組めるようになるのです。

 これで正二十面体を作れる! と思って、大喜びで作ってみました。正二十面体を面で塗り分けると、5色使うのが自然です。そこで、まずは4色セット1つでは組めませんが、構造がわかりやすいように5色を使ったモデルをご紹介します。

写真 2 写真 3

 使っているのは各色4つずつの三角形ですから、各色ごとにSQUARE24個、TREE12個です。(全部でSQUARE120個、TREE60個になります。)

 さて、このパーツの数ならば4色セットでも組めるはずです。問題は配色です。この構造を4色で塗り分けるとしたら、頂点モデルにしてしまうのが簡単です。ということで、このような配色にしてみました。

写真 4 写真 5

 いかがでしょうか。最初はごちゃごちゃしてわかりにくいかもしれませんが、5色のものと構造はまったく同じなのがおわかりいただけますでしょうか。これは、各色SQUARE30個、TREE15個で作れます。4色セットのSQUAREとTREEをほとんど使い切ります。4色セット1つでできる構造の中でも、かなり優れた部類の造形ではないかと思います。

写真 6

 2つ並べて写真を撮ってみました。これがやりたかったので、4色モデルのほうはシックな色使いになっています。最初に家族に4色のほうを見せたら、構造がわかりにくくて、色も暗いほうの2色が区別しにくいということもあってぴんとこなかったようなのですが、原色の5色の面モデルのほうも並べて見てもらったら、単純な5色の面モデルもいいけれど、4色の頂点モデルってきれいなんだね、と言ってもらえました。

 <おまけのひとこと>
 ようやくこれで大物のモデル2つを分解できるので、次に作りたい大物を作れます。
 今朝、家の前の道の向かいの畑の土手のところに黒猫が座っていました。いつも子供たちを玄関で見送るのですが、そのときに姿が見えたので、カメラを持ってきて写真を撮ってみました。期待したほど端正な姿には撮れませんでした。(もちろん猫が悪いのではありません。)




4月20日(水) 切稜立方体の積み木(その1)

 昨年の秋、04年9月1日に、こんな画像をご紹介しました。

再掲図

 この形については02年5月31日04年8月19日などにも書いているのですが、これは立方体の稜を面取りして、3面図がすべて正八角形になっているかたちです。積み木インテリアギャラリー いたち丸のいたち丸さんが、この形を組み合わせてさまざまな造形を作っておられます。いたち丸さんにならって、この形を切稜立方体と呼ぶことにします。なお、切稜立方体は面取りする量を変えることでさまざまな形が実現できますが、特に断らない限り、単に「切稜立方体」と書いた場合は、3つの立方体の相貫体の共通部分の形だとします。(このあたりの議論はikuro's-homepageのコラムでも詳細に検討されています。)

 さて、この「積み木」をいたち丸さんが送ってくださいました。この積み木で多面体構造を作ろうとすると、面どうしを接着してゆく必要があります。でもそうしてしまったら別の形に組みかえることができません。

 いたち丸さんは、この問題に対してたいへんすばらしい解決策を講じておられました。透明なプラ板を壁として立てて、その壁によりかかかるようにして切稜立方体を積み上げてゆくことで、接着せずにアーチのようにお互いに支えあった多面体構造を実現する仕組みをご用意くださったのです。 写真等公開してもよいと言って頂けたので、ご覧いただきたいと思います。

 この積み木のセットにはご丁寧に完成写真の例もいろいろ添付していただいてあったので、さっそく2つほど作ってみました。図1は24個、図2は48個使っています。

図 1 図 2

 このように、土台にはあらかじめ用意されている溝(スリット)が複数あります。作りたいものの大きさにあわせて、透明な板を立てるスリットを変えることで、いろいろな形を作ってみることができます。 遠目にみると、この透明な板はほとんどその存在が気になりませんから、かたちの面白さや美しさを十分楽しむことができます。これはたいへんすばらしいアイディアだと思います。

 また、作るのがとても楽しくて、まさにアーチと同じく最後に全部のパーツを載せてはじめて安定しますから、たとえば図2の例でしたら、一番上の8個の濃い色の切稜立方体、これは8個全部を載せてしまうまでは手を離すと崩れてしまいます。最初は「一人で作れるんだろうか?」と思ったのですが、木の素材の適度な摩擦にも助けられて、意外と簡単に作れました。もちろん切稜立方体の向きや位置を考えて、崩さないようにきれいに積み上げてゆくというのは、それほど易しいわけではありませんので、頭も手先も適度に使う、とても楽しいパズルだと思います。また出来上がったものがとても美しいです。

 写真で見ると、ひょっとすると初めて見る方にはちょっと「ぼこぼこした」印象があるかもしれません。ところが本物を見ると写真で見るよりもはるかに美しいです。

 実際にいじってみると、イメージが湧いてきます。そのイメージを検証するために、CGでこの切稜立方体を扱う環境を作ってみました。

図 3

 まずは図1のかたちをCGにしてみたところです。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 カーペンターブロックの多面体も、まだご紹介したいもの、しかも今まで掲載したものよりも気に入っているものがいくつもあるのですが、最近研究しているこの切稜立方体の話もとても面白いので、ちょっと目先を変えて今日から数日は切稜立方体の話を書くことにしました。
 今日の冒頭の図を載せるために過去のページをさかのぼっていたのですが、書きかけて中断している話題がいくつもあるんだなあと改めて思い出しました。




4月21日(木) 切稜立方体の積み木(その2)

 昨日、いたち丸さんの切稜立方体の積み木をいじってみて、CG化してみているというお話をご紹介しました。下の左側の再掲図は、昨日載せた切頂八面体の頂点の構造になっている積み木のモデルです。せっかくのCGなので、一つおきに色を変えたもののうち、1色のみを表示させてみました(図1)。

再掲図 図 1

 こうして見ると、4つの側面の透明な板のところに2つずつ、床の上にも2つ、そして一番上にも2つのブロックがあるのがわかります。全部で12個です。この数と配置を見ていたら、とある正多面体を連想しました(図2)。

図 2

 そうです、正二十面体です。これは20枚の正三角形が集まって出来る正多面体ですが、頂点の数が12で、その12の頂点は図2のように6本の稜が立方体に内接するように配置することができます。CGでは内接している感じがわかりやすいように、ほんの少しだけ正二十面体の方を大きくして、立方体の各面に「接する」6本の稜を飛び出させています。

 さて、それでは図1の12個のブロックの間を、図2と同じように結んでみましょう。どうなるでしょうか?

図 3 図 4

 図3が、12個の各ブロックの中心を棒で結んだものです。図4はわかりやすいようにブロックも取り除いてしまって、二十面体の骨組みだけを残したものです。一目でわかるように、残念ながらこれは正二十面体ではありません。正三角形の面もあるにはあるのですが、外接立方体の同じ面に接していた2点間の距離が短すぎるため、細長い二等辺三角形の面ができてしまっているのです。(二等辺三角形が12面、正三角形が8面あります。)

 このブロック、切稜立方体はもともと立方体の対称性を基本に作られている形ですから、2つのブロックの合同な面を完全に一致させて連結してゆくやりかたでは正二十面体は作れません。でも、近似的にでも正二十面体が作れないかな、と考えました。今回の24個で作った切隅八面体の12の頂点というのも、正二十面体の頂点の非常に粗い一次近似と言えない事もないのですが、誤差があまりに大きすぎてこれを「誤差のある正二十面体」と主張するのはあまりに恥ずかしいです。そこで、もうちょっとよい近似を探索することにしました。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 ダウランドのリュートのための曲を、ギター用に編曲した楽譜を持っています。最近それをチェンバロ(スピネット)で弾いてみたら、とても雰囲気が合っていました。鍵盤で弾くには音が少ないので、和声を厚くしたりしてみています。
 この週末は山梨県の甲府市で、毎年行われている古楽コンクール(詳細はこちら)があります。今年はチェンバロ部門の年で、あのアスペレンが来るそうです。CDや楽譜の販売も行われるので、楽しみにしています。




4月22日(金) 切稜立方体の積み木(その3)

 いたち丸さんの切稜立方体の積み木を連結して、正二十面体の頂点の位置に相当する位置に12個を配置できるような方法はないだろうか、という問題を考えてみています。昨日は、立方体の6面それぞれに、十文字型に4個のブロックを並べた24個のうちから1つおきに12個を選んだものをご紹介しました。これでは距離が短すぎた、ということで、この距離が変わる配置を試してみることにしました。

 その前に、理想的な値がどうなっているのか、一応計算で確認しておくことにしました。下の図のように立方体に正二十面体を内接させた場合、12の頂点の座標はどうなるでしょうか。これは有名な話なので、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、簡単な計算なので、計算方法を示しておくことにしました。

再掲図

 今、計算が楽なように、立方体の一辺の長さを2として、3次元座標軸の原点を立方体の中心だとします。こうすると立方体の8つの頂点は(±1,±1,±1)ということになります。今、正二十面体の稜の長さを2aとすると、12の頂点はいずれも0と±1と±aの組み合わせで表される座標になります(図1)。

図 1

 こうしてみると、図1の赤で示した三角形は、aの値にかかわらず常に正三角形になります。(図に座標Cを書き入れるのを忘れたのですが、Cは(0,1,a)です。) あとは、図1のAA'の距離とABの距離が同じになるようにaを定めればよいです。 これは距離を計算すればすぐに求まります。黄金比をτで表すと、aは 1/τ と  という2つの解が出てきます。このうちの正の方(1/τ)を採用すると、それが正二十面体になります。(補:ではのほうを採用するとどんなかたちになるでしょうか?) というわけで、「立方体と、それに内接する正二十面体の辺の長さの比は黄金比になっている」のです。



 さて、そこまでは確認したので、昨日の24個を使った切隅八面体よりも少しだけブロックの数を増やして、図2のような形を作ってみました。立方体の各面を5個のブロックで十文字型を作って組み上げる形です。昨日と同じように各面から2個ずつ選んで(図3)、それを棒で結んで(図4)、わかりやすいように棒だけ残してみました(図5)。

図 2 図 3
図 4 図 5

 いかがでしょうか。昨日のものよりもだいぶ正二十面体に近くなった気がしませんか? でも、計算してみるとこれでもまだかなり誤差があります。図6は、今回できた二十面体(赤)と、同じ立方体に内接する正二十面体(青)を交互に表示するアニメーションを作ってみたものです。

図 6

 いかがでしょう、この誤差はだいたいどのくらい(何パーセントくらい)だと思いますか? 許容できる範囲でしょうか?

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 昨日、職場の近くで今年初めてツバメを見ました。おそらく昨年使っていたのであろう巣に戻ってきたようで、せっせと修繕作業をしている様子でした。白鳥が北に戻って、ツバメが南からやってきて、ようやく春になったな、という感じです。今朝は風が強くて、いきなり雨がザーッと降ったと思ったら、もうあがって今は晴れています。風はまだ残っています。




4月23日(土) 切稜立方体の積み木(その4)

 いたち丸さんの切稜立方体の積み木を連結して、正二十面体の頂点の位置に相当する位置に12個を配置できる方法を探してみています。昨日、理論値では黄金比を作ればいいということを書きました。使うブロックの数を増やしていけば、黄金比に近い値にすることができるはずです。探索してみることにしました。

 昨日と同じように、立方体の各面に十文字型にブロックを並べることにします。とりあえず1辺の長さを奇数だということにして、中心に1個、そこからn個目を注目するブロック(図1の水色)だとして、その先にもうm個のブロックを並べて、最後のブロックの斜めの六角形の面で、立方体の隣の十文字型(図1のグレーのブロック)と接続することにします。

図 1

 計算が簡単なようにブロックの1辺を2とします。中心から水色までと、グレーから水色までの比が黄金比になればいいので、mとnの関係は図1の式のようになります。ここで、mを0,1,2,3,...と変えていったときに、比が黄金比にもっとも近くなるようなnを選んで、そのときの比の値が黄金比とどのくらいの割合だけ隔たっているかをプロットしてみたのが図2です。

図 2

 見ると、m=3のとき、極めて1に近い値になっていることがわかりました。数値を見ると、m=3、n=6のときです。(ちなみに、m=0のときが、昨日ご紹介した立方体の各面を5個のブロックで作る場合です。かなり誤差が大きいのがわかります。) この、m=3 のときの比の値を調べてみると、図3のようになっていることがわかりました。

図 3

 ご覧の通り、極めて黄金比に近い値になっていることがわかりました。高々一桁個数のブロックで、こんなにもきれいに黄金比を近似できるとは驚きました。 とはいえ、使うブロックは立方体の各面あたり1+9×4=37、従って6面全部では 37×6=222個のブロックが必要です。とりあえずCGにしておくことにしました。

図 4

 12個の青いブロックが注目しているブロックで、その間を赤い棒で結んでみました。これは、この程度の解像度の画像では、正二十面体そのものと言ってよいと思います。

 <おまけのひとこと>
 ようやく週末です。今朝は寒い朝でした。私の住む地域は農村地帯ですので、昨日の夕方、市の広報のメールサービスで、こんなメールが来ていました。


 農林課よりお知らせします。明日の朝は冷え込み、霜のおそれがあります。農作物の管理には、十分注意してください。





4月24日(日) 『ブラームスの音符たち』

 図書館から、本を早く返してねという督促をもらってしまったので、あわてて本を揃えて返してきました。いつものように図書館の「新しく入った本」の棚を見ていたら、池辺晋一郎の『ブラームスの音符たち』(音楽之友社)が出ていたので、喜んで借りてきました。 同じ著者によるこのシリーズの第一弾の『バッハの音符たち』が大変面白かったので期待して借りてきましたが、期待以上に面白い内容でした。

 全24章で、ブラームスの(比較的)有名な曲をほぼ1つずつ取り上げて、譜例を豊富に挙げながら解説が書かれています。まず24章で取り上げられている曲の選択がかなりいいと思います。まず第1章で、よりにもよってバイオリンソナタ1番を取り上げ、続く2章は、またもバイオリンソナタの3番。室内楽は他にもクラリネット五重奏とか弦楽六重奏とかピアノ五重奏とかホルン三重奏とかも取り上げられています。(あ、もちろん4つの交響曲や協奏曲4つもちゃんと入っています。)ピアノ曲も、私の好きな2つのラプソディはちゃんと入っていたし(あとはなぜかピアノソナタ第1番と51の練習曲でした)、

 この譜例がとにかくとても面白くて、「普通、平凡に作曲すると、こうなっちゃうんだけれども」という例がとても可笑しい。 楽譜を読むのが抵抗がない方にはとてもお勧めです。

 譜例のところは引用が難しいので、それ以外で印象に残ったところをいくつか載せておきます。

 ピアノを弾くことは大好きだった。とりわけ初見弾きは熱心。だけど練習は嫌い。・・・(中略)・・・ 何しろ、先生宅でのレッスン時に、初見で弾いてました。いかにも開き慣れている、という感じで楽譜をパッと開く。そこを弾く。もちろん指使いなど、デタラメ。先生、いかる。  (池辺晋一郎『ブラームスの音符たち』第17章より)

「あのね、僕は、弾けるものは今すぐ弾ける。今弾けなきゃ、未来永劫、弾けない。」 (同上)

 これは「51の練習曲」について書かれた17章からの引用です。私もこういうタイプなのです。(もちろんレベルはまったく違います。) 作曲の人は指揮の人と並んでピアノはものすごくうまいので、「弾けない」と言ってもそのレベルは普通のアマチュアとは比べ物にならないのですが(ましてや私は普通以下ですし)、でもこの感覚はわかる気がします。

 音楽ファンには、最初に聴いた演奏(レコード、CD、ナマなどを問わず)の印象が強烈で、そのためその後どんな演奏を聴いてもどこか気に入らない、という経験を持つ方、少なくないのでは? (池辺晋一郎『ブラームスの音符たち』第1章より)

 これもよくわかります。昔はそう簡単にいろいろな演奏に触れる機会がありませんでしたので、たとえばレコードで好きになった曲は、それをひたすら繰り返して聴くので、よくもわるくもそれが基本になってしまうのでした。

 この本、非常に楽しませていただきました。特にブラームスがお好きな方にはとてもお勧めです。



 昨日の、積み木で黄金比を近似する話に、非常に面白いコメントをいただきました。詳細は時間がないので書きませんが、そのときに一緒に紹介していただいたのが Wolfram の MathworldのAlmost Integer(ほとんど整数)というページです。そういえば私もどこかでこういった話題を見たことがあったような気がします。どこで見たのかな。 大変おもしろい情報をありがとうございました。

 <おまけのひとこと>
 今朝も寒かったです。




4月25日(月) 楽譜(その1?)

 昨日、毎年4月下旬の週末に開催される山梨県甲府市の古楽祭に行ってきました。このイベントはたいへんレベルの高い演奏を生演奏で無料で聴けますし、楽器や楽譜、CDの展示即売もやっていて、毎年楽しみにしています。ところが、Webなどで検索してもこのイベントに関する情報がほとんどみつかりません。あまり知られていないイベントのようで、いつもお客さんがあまり多くない気がします。もっと宣伝すればいいのに、と思います。

 今年も例によって主目的は楽譜です。実際に手にとって眺めて選べるのはとてもありがたいですし、車で行くので買い込んだ楽譜の重さを考える必要がありません。今年は10冊ほど買ってきました。

図 1 図 2

 一応自分の記録のために、買った楽譜のリストを作っておこうと思いました。とりあえず鍵盤独奏の楽譜が数えてみると7冊あったので、それだけ写真を撮りました。 楽譜の背表紙に折り目が入っているのは、すでに開いて弾いてみたからです。 図1の左から順番に、楽譜のタイトルと作曲者と出版社を載せておきます。

  • “The Fitzwilliam VIRGINAL BOOK Vol.1”  DOVER 0-486-21068-5
  • “My Ladye Nevells Booke of Virginal Music” William Byrd  DOVER 0-486-22246-2
  • “60 HANDEL OVERTURES --Arranged for Solo Keyboard--” G.F.Handel  DOVER 0-486-27744-5
  • “Henry Purcell KEYBOARD WORKS” H.Purcell  DOVER 0-486-26363-0
  • “The 36 FANTASIAS For KEYBOARD” G.P.Telemann  DOVER 0-486-25365-1
  • “36 Pieces from THE Mulliner Book” Stainer&Bell
  • “Sechs Fantasien und sechs Fugen”  Telemann  Breitkopf NR.4116
  •  DOVERの楽譜が多いですが、これはコストパフォーマンスを追及した結果です。 DOVERの楽譜は分量(ページ数や収録曲数)が多いのに値段が安くてとてもありがたいです。 最近、古いイギリスのヴァージナルのための曲が好きで、特にウィリアム=バード(William Byrd)が好みです。 WebでMIDIデータをみつけて、それを基に楽譜を作って弾いていたのですが、今回ちゃんとした楽譜がまとまって手に入ってとてもうれしいです。 来週末からの連休がとても楽しみです。

     <おまけのひとこと>
     この週末は久々に更新をお休みすることなく毎日更新していました。
     昨日に続いて音楽の話題を書くことにしました。




    4月26日(火) 正二十面体と大二十面体

     先週の金曜日、4月22日に、正二十面体が立方体に内接する様子をご覧いただいて(下の再掲図1)、その座標を求める話をちょっと書きました。

    再掲図 1

     このとき、下の再掲図2のように座標をとって計算すると、簡単に求まるということを書きました。

    再掲図 2

     計算するとaに関する二次方程式になって、解が2つ出てきます。正の解で得られた座標を結ぶと、下の図1のように正二十面体になりました。(上の再掲図2と下の図1では赤と青の色使いが逆になってしまっていました。すみません。)

    図 1

     わかりやすいように、もともとの立方体の面に接していた稜を赤で、一番手前の正三角形だけを青で、あとの稜は白で描いてみました。では、aがマイナスの解のとき、同様に30本の稜を描くとどうなるでしょう?

    図 2

     図2のようになります。図1と見比べてみると、もともとの立方体の面に接していた赤い稜は、長さがかなり長くなりました。また、最初に一番手前にあった青い正三角形は、(解の符号が逆なので)奥に移動して、サイズも大きくなっています。でも、図1の青い三角形の載っている面と図2の青い三角形が載っている面は平行になっています。

     いかがでしょうか。これがどんなかたちかわかりますか? なまじ色が3色だとわかりにくいので、一色にして、「ぷるぷる立体表示」の技で画像を作り直してみました。

    図 3

     うーむ、これでもわかりにくいかもしれませんね。ではヒントです。こんな形が見えてこないでしょうか。

    星型小十二面体

     これは星型小十二面体(The small stelladed dodecahedron)という立体です。図3や図2をご覧いただくと、ちょっと傾いた星型小十二面体の骨格が見えてこないでしょうか。

     でも実は本当は、できているのは大二十面体(The great icosahedron)です(図4)。同じ図3の骨格に、星型の面を張ると星型小十二面体になるのですが、正三角形の面を張ると、大二十面体になるのです。

    図 4

     正三角形を20枚使って普通の凸の多面体を組むと、図1のような正二十面体に成ります。実は、正三角形20枚を3次元空間で閉じた多面体になるように組む方法は、面の交差を許すともう1つ方法があって、それがこの大二十面体なのです。

     このかたちも模型を作りたいなと思って、帯で編む手法で作るための型紙までは設計してあります。でも、組み立てがかなり大変そうで、まだ作っていません。もう2年以上型紙の段階で止っています。

     <おまけのひとこと>
     昨日の朝、車で家を出た直後、ものの50mも行かないところで、道の右手の用水路の土手をきれいなオスのキジ1羽と地味なメスのキジ2羽が駆け下りてきました。




    4月27日(水) 切稜立方体の積み木(その5)

     先日来、いたち丸さんの切稜立方体の積み木で近似的に正二十面体の頂点を探索するお話をしてきました。 今日はちょっと目先を変えて、実際にこの積み木を使って、枠の中にきれいな形をバランスさせて遊んでみたかたちをご紹介します。

    図 1 図 2

     これは、白い積み木6つと、色の濃い積み木8つで作ったものです。白い積み木が床と壁に接しているだけで、色の濃い積み木は床にも壁にも接していません。もちろん積み木同士は接着したりはしていません。 これを積み上げる時には、自分の両手以外の道具は使っていませんし、誰かに手伝ってもらったりもしていません。

    図 3

     写真だとわかりにくいかなあと思って、CGを作ってみました。こんな風に土台の1個の上に乗っかります。

     同じ原理で、壁の高さが許す限り高くしてみようと思ったものです。まるでアーチを組むように、積み木がお互いが押し合いながら安定していて、とても面白いです。微妙な手先のコントロールが要求されるところも楽しいです。

    図 4 図 5

     この図4、図5も、ご覧の通り「すかすか」なのですが、床や壁に接しているのが8個だけで、あとはみんな空中に浮かんでいます。接着せずにバランスをとっていろいろな形を作れて、とても面白いです。

     <おまけのひとこと>
     今日は車を車検に出します。もう13万キロも乗ったのですが、前回の車検で、ベルト類の交換等それなりにコストをかけてあるので、もう少し乗ろうと思います。
     昨日は昼ごろ雷が鳴って、変な天気だなと思っていたら停電して大変でした。ひょうも降りました。




    4月28日(木) 切稜立方体の積み木(その6)

     昨日に続いて、いたち丸さんの切稜立方体の積み木で、「1ステップごとに安定ではない」、つまり「複数個を一度に設置しないと作れない」かたちを作ってみました。 最初は「菱形」です(写真1,2)。

    写真 1 写真 2

     写真1は上側から見たところで、写真2は下から見上げてみたところです。 本当は1辺の長さ(ブロックの数)をもう少し増やしたかったのですが、これ以上増やすとアクリル板からはみ出すので、3段で我慢しました。このくらいならば積み上げるのは簡単です。

    図 1

     「ぷるぷる立体表示」してみました。最近、これが趣味で・・・。



     せっかくなのでまっすぐに長く階段状に積み上げたいな、と思って、写真3〜5のような形にしてみました。これを作るのは実はかなりたいへんです。1本ずつ作っていくのですが、作成が進むにつれてアクリル板の内部が狭くなってゆきます。既に積んだところに手が触れると、簡単に崩れてしまいます。

    写真 3 写真 4 写真 5

     5回ほどやり直して、15分くらいかかってようやく完成しました。嬉しくていろいろな方向から写真を撮ってみました。これは、手先を使う遊びとしてとても面白いです。このようにアーチの原理や摩擦の力で形を保つような形ができて、やっていて飽きません。

    図 2 図 3

     これも「ぷるぷる立体画像」のCGにしてみました。構造がわかりやすいように色などを工夫して、視点や条件をいろいろ変えてみて、それなりに納得できる画像が得られるとうれしくなります。

     <おまけのひとこと>
     昨日車検に出した車は、それなりに費用がかかりました。なにより残念だったのは、職場の受付にあずけてもらっていた鍵を受け取って駐車場に行ってみたら、後部座席のドアが半ドアで、ドアライトがずっと点灯しっぱなしになっていたことでした。 引渡し票に書かれていた時刻は夕方6時前だったので、3時間近くこの状態だったことになります。 これは一言苦情を言おうと思います。(昨夜の段階で自動車屋さんに電話したのですが、時間が遅かったので出てもらえませんでした。)
     明日からお休みです。先日買い込んだ楽譜(ページ数にして全部で1,000ページ以上はあるはず)を鳴らしてみようと楽しみにしています。




    4月29日(金) テレマン:無伴奏12のファンタジー(リコーダー)

     このお休みは、いろいろな用事を片付けつつ、先日入手してきた楽譜で遊ぼうと思っています。仕入れてきたのは鍵盤の楽譜が多かったのですが、リコーダーの楽譜も何冊か買って来ました。 これはそのうちの1冊、いずれ欲しいと思っていたテレマンの無伴奏の12のファンタジーの楽譜(アルトリコーダー用)の楽譜です。AMADEUS Verlag : BP 425、購入価格は2,760円でした。

    図 1

     鍵盤と違って単旋律なので、12曲全てがそれぞれ見開き2ページに納まっています。(納まるように楽譜の段数や縮尺が変えてあります。)ページめくりをしなくてよいというのはとても楽です。(鍵盤はページめくりが忙しいです。) 12曲で2ページずつなので全部で24ページ、と思いきや、26ページありました。4番だけが、難しい変ニ長調(フラット5つ)のものと、それに比べると多少は易しい変ホ長調(フラット3つ)のものが載っていました。ただし後者は音域があがるので、出せない音があります。

     テレマンの12の無伴奏ファンタジーについては、いつも見せていただいているせろふえさんのblogのこちらに紹介されていました。 私も3番は好きです。でも、vivace が自分のイメージしている速度まで速く吹けないものですから、Largo と vivace のわくわくするような緩急の対比がうまく表現できなくて悲しいです。

     一通り鳴らしてみた後で、とりあえず2番を練習してみています(図2)。

    図 2

     ソプラノリコーダーでアルト指で吹いてみたりしています。 実はC管の楽器(ソプラノとかテナーとか)のほうがアルトより好きです。 無伴奏も楽しいですね。


    (つづく)


     <おまけのひとこと>
     3日分、更新をためてしまいました。これは5月1日に書いています。




    4月30日(土) リコーダー二重奏の楽譜

     ゴールデンウィークで、きっとこのページをご覧下さる方もいつもより少ないでしょうから、買った楽譜の記録ということで、今日もリコーダーの楽譜の紹介です。

     リコーダーの広場というページに、時々「グループ紹介」や「仲間募集」の記事を掲載していただいているのですが、最近またメンバーが少なくなってしまって、練習のときに二人だけ、という可能性が高くなってきました。 そこで、二重奏の楽譜を2冊ほど入手してみました。

    図 1 図 2

     いずれもEditio Musica Budapestという出版社の楽譜です。図1のほうがBaroque Dances for two treble recorders(Z.14276)という楽譜で、図2のほうがFrench Baroque Duets for two treble recorders(Z.14376)という楽譜です。前者のほうはリンク先にページのサンプルなどが載っています。 購入価格は2,850円と2,090円でした。

     リンク先の出版社のページの楽譜をご覧いただけばおわかりいただけるように、この時代の音楽なので調が素直で譜面が読みやすいです。音を出さずに楽譜から音楽を想像する譜面読みの訓練には最適です。 これを演奏してみる機会はいつになるかわかりませんが、楽しみです。もったいないので自分ひとりで鳴らしてみたりしないで、とっておこうと思います。(さらっておこうとかは思わないところがまた・・・)

     <おまけのひとこと>
     庭の花がようやく咲き始めました。今年はいつもよりちょっと遅くて、まだマルメロやライラックはぜんぜん咲く気配がありません。




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