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新アルくミるキく
掲示板に書き込んでいただいた各地の情報をネタにした読後駄文


2002年8月14日

2002年夏 秋人さんの十勝・帯広調査旅行(掲示板より転載)

帯広巡検2002 −第2章−
 2日目、本日は帯広市の大通から広小路にかけての土地利用調査である。

 中心商店街では、土地の「空洞化」が深刻である。これは、ドーナツ化現象あるいは郊外化が進行していくなか、日本各地の中小都市に見られる傾向である。

 帯広市でも、私が調べた範囲では、空き地が目立つ。特に駐車場に転用されているところが多い。商店には、戦後から建っている古いものや、平成になってから建ったような新しい建物まであり、町の風景はざっくばらんである。本当は丸1日かけて調査の予定だったのだが、意外と早く進行し、午前中で終了してしまった。

 その後は、十勝牛を堪能すべく、仲間らとともに池田町へ向かった。

 根室本線の鈍行に乗ると、地方の路線は、普通年寄りか高校生しか乗っていないのが、ここの場合は、年齢層も幅広く、にぎやかな雰囲気であった。しかしながらその賑わいも「幕別」までで、帯広の近郊へ向かう人だったのであろう。

 池田に到着し、まず目に入ったの駅前のワイングラスの噴水。だが駅前は商店もほとんどなく、機能がすべてストロー効果(またはここ見よ)により、町の活力が帯広に吸収されてしまったようである。

 徒歩でワイン城に向かうと、心なしかワインの香りがする。城内の町営レストランで、清水の舞台から飛び降りたつもりで、ステーキのフルコースを堪能した。

 ワイン城の屋上から池田の町を見下ろすと広大な大地がわれわれの眼に飛び込んだ。

 お腹はいっぱいであったのだが、帯広に戻って、まだ時間があったので、六花亭本店でお茶した。そのあと、十勝川温泉に戻ると、旅館のオーナーのはからいでジンギスカンパーティーが行われたのだが、さすがのお腹も、そんな余力はなかった。

秋人さん&さ〜らのOne Point講座

ストロー効果

 この用語は試験には絶対に出ません
 交通網の整備が地域経済に与える悪影響を説明するときに使う言葉。
 自然現象の説明で使う場合もあります。

 例:高潮(高潮は入試頻出です)
   潮位が平常より著しく高くなる現象。
   台風などの熱帯低気圧や発達した温帯低気圧の来襲などにより
気圧が1hpa下がると、ストロー効果で海面が1cm上昇する。

日本のワイン

 日本のワイン生産上位県は、山梨県、長野県、山形県、岡山県、北海道です。

北限のワイン −ラインのワイン−

 醸造用ブドウ栽培の北限は、ドイツの、ライン河の中・下流域やその支流のモーゼル川沿いの地域でしょう。
 この地域のぶどう畑は、南に面した斜面の川のすぐ近くに作られています。
 川面に反射する陽射しがぶどうの糖度を高めます。秋には、水面から立ちのぼる霞や霧が寒さからぶどうを守る働きをするようです。


2002年8月11日

2002年夏 秋人さんの十勝・帯広調査旅行(掲示板より転載)

帯広巡検2002 −第1章−

 去る7月21日から26日まで当地理学研究室は、北海道帯広市において、中心商店街の聞き取り、ならびに土地利用調査を中心とする演習を行ってきました。今回は、その概要を報告いたします。

 まず、北海道へは、特急いなほ、急行はまなす、特急スーパーおおぞらと乗り継いで行き、12時間あまりかけてたどり着いた。やはり北海道にきたら、北海道限定の「「ガラナ」飲まなければならない。深夜の函館でのどを潤す。

 初日は、バスで十勝平野を一周することとなり、まずはじめに、帯広市から士幌方面にバスを走らした。帯広市は人口は17万人強であるが、非常に活気のある町である。然るに、これは、十勝管内人口36万という広範囲の中心地としての働きが強いのだろうか。帯広も、他の地方都市と同様に、郊外に商業地が卓越している。国道沿いにロードサイドショップが展開し、「商業リボン」を形成していた。

 しばらく行くと、第一の目的地である独立行政法人農業技術研究機構北海道農業研究センターに着いた、だが、やたら広い。バスで走ろうが、一向に敷地から出ない。ようやく施設が一望できる展望台にたどり着いた。そこからの景色は、本当にイメージどおりの「十勝」の風景である。畑が広がり、小高い丘に牧草が茂る。本州の人間があこがれる北海道がそこにはあった。

 次に、JA士幌の農協記念館に向かった。途中には、小麦、ビート、ジャガイモ、豆の畑が広がり、その面積も半端ではない。ちょうど小麦の収穫時期と重なり、アメリカにありがちな大型機械が畑の中を走っていた。これは1台数千万するそうで、いわば畑の中をフェラーリが走っているようなものである。

 記念館では士幌の農業の歴史を紹介され、何もなかった地から開拓を進め、幾多の困難を乗り切った先人達の紹介とともに、士幌独自の「生産から加工、消費まで」の合言葉のもと、農民資本にもとづく総合商社ように手広く事業を展開しているのである。スーツケースファーマーもやればファーマーもしているような、企業的な農業が展開されている現状の紹介があった。

 その後は、広大な農地を見ながら、鹿追、新得方面に走らせ、新得駅では、名物のそばを堪能する。芽室では、巨大な製糖工場を車窓に眺め、帯広に戻った。宿泊地は十勝川温泉で、ここは、世界でも珍しい泥炭層から湯が沸くモール温泉である


(「日本列島北から南から、町の青年京の監督さん&秋人さん&はりまや橋さんの青春日記掲示板」2002年7月27日秋人さんの書き込みより。さ〜らが、PC画面で読みやすいように必要以上に読点や改行を加えるなど、若干の改変を施しました。)
秋人さんの地理用語One Point講座

中心地
 中心地機能(周辺地域に商品やサービスを提供する機能)をもつところで、普通は、都市とほぼ同義に使いますが、今回の場合はいわゆる都市における商業的中心地をさしてます。例えば名古屋なら栄とか、大阪なら梅田のように都市の機能が(商業的に)集中しているところを言っているつもりです。基本的にはクリスタラー中心地理論に基づく考えです。

ロードサイドショップ
 俗に、国道沿いなどに立地する商業地域をさしています。特に地方に行くと、郊外の主要道路沿いにショッピングセンターや大型電電機店やファミレスが立地しています。滋賀県の国道1号線などは顕著な例でしょう。

商業リボン
 中心地から放射状に伸びている道路沿いにロードサイドショップが展開していて、その様子が「リボン」のような形に似てることからこのような用語があります。

ビート
 「砂糖大根」とも呼ばれるもので、道東地域で広く栽培されている作物です。これを収穫して製糖工場へ運び、絞り汁を精製してグラニュー糖や上白糖に加工して出荷します。

スーツケースファーマー
 要するに「企業的農業」で会社のように農業を経営し、広大な土地と機械化によりなせるものであり、日本では北海道くらいでしか実施できないでしょう。農作物を「プロダクト」として広く、加工・出荷をして総合的な経営を行っているものです。

泥炭層
 石炭の一種で湿った土地で植物が長年(万単位)堆積しているのだが、炭化が不十分なため、泥のようになっている状態。そのため水はけが悪く土地としてはいまいちである。


(「日本列島北から南から、町の青年京の監督さん&秋人さん&はりまや橋さんの青春日記掲示板2002年8月1日秋人さんの書き込みより)

7月25日  秋人さんの「男鹿・大潟村ルポ」(5/22書込)

 5月20日に、・・・、男鹿半島の寒風山と大潟村へ行って参りました。

 まず、寒風山ですが、男鹿半島のちょうど付け根の辺りに位置する死火山で、標高355m。一面芝で覆われていて、阿蘇のようなイメージを思い浮かべてもらったらいいでしょうか? さらに、火口もはっきりと残っており、ちょうど窪んで小さな火山湖ができている状態でした。秋田県下が一望できることが魅力で、眼下には大潟村の大田園地帯が広がっています。地理的に見てもかなり興味が湧くスポットではないでしょうか。

 次に、大潟村にある「大潟村あきたこまち生産者協会」という、自主流通米(いわゆるヤミ米)を全国規模で販売・流通を手がけているの農民集団の工場へ見学へいきました。行ってみると、実は米の工場だけではなく、バイキングレストランや大潟村の作物を使った手造り体験工房なるものがあり、大潟村の一大レジャー施設といったところで(ちなみに私はソーセージ作りをしました)、村外からの外貨獲得(?)基地とも言えるところです。そして何よりもこの会社が非常にやり手でここの代表である涌井徹氏は秋田県内の長者番付で7位(昨年度3位)という人物で、規模も北海道から沖縄まで3万人以上もの顧客を抱え、無洗米という研がなくてもよい米を独自の技術で開発(名前は「やさしいあきたこまち」)、米の管理・味に至るまで徹底的に管理され、顧客に対しては猫の手がとどくようなきめ細やかなサービスを展開しているのです。そして何よりも驚いたのは、米を洗う際に生じる研ぎ汁から、胚芽の粉を粉ミルクを製造する容量で分離させ、そのパウダーを食品を始めとして工業、医療その他いろいろな分野で実用化するため、世界各国の様々な研究機関と協力して新しい分野への開拓を目指しているという、まさにこれからの農業の未来を予感させるそんな所でした。

 入試地理で、大潟村といえば八郎潟。八郎潟といえば北緯40度、東経140度。きりがいいから、そこには何かランドマークになるような建造物があるに違いない。ちなみに、40度の緯線沿いの都市の覚え方ジオゴロもあります。岩尾別ぴりかさんの作品です。

  北緯40度 窓から罰金、あきたら出るよ
        マドリード、アンカラ、バクー、ペキン、秋田、タラント、フィラデルフィア

  南緯40度 お風呂の温度は40度、料理もできればなお最高!
        バス海峡       クック海峡

 世の中には物好きがいるもので、年に何人かが、わざわざその交点を捜しに来て、「この辺がそうらしいのですがどこですか?」なんて聞いてくる。「そんなものどこにあるか知んねぇわい! マニアなら自分で捜しやがれ。」と答えて相手にしなければいいのだが、「えっ、住んでいるのにご存じないんですかぁ?」なんて、いかにもあきれた、って顔で言われるのも癪だし、いちいちそういうジンの相手をしていると仕事にならんので、物好き人間のために建造物をたててやったのだ。

 というような事情があって何かあるはずだ。そこで、大潟村のHPを見たら、やはりありました。北緯40度、東経140度の経緯度交会点。10の単位の経緯線が交差しているのは、日本ではここだけ! というのが大潟村の自慢の一つらしい。

 ついでに、他にも村自慢があるだろうと思って、HPを見たら、日本一低い山は大潟村の大潟富士で、何と、海抜0m! だそうです。周りとの比高が本物の富士山の1000分の1の3.776mというのもふるっていますね。日本一低い山といえば、知り合いに地理マニアのS(Sugar)氏というお方がいまして、そのお方は、今年の春頃、日本の低山にえらくご執心でした。大阪の天保山(海抜4m)に行ってきて、おっしゃるには、「日本一低い山を登山してきました。登山証明書をもらえるそうなのに、もらいそこねたのでまた行くつもりです。」 それからしばらくして、「天保山は人工の山なのでインチキだ、宮城県日和山(海抜6m)こそ一番低い、という人がいるようなので、これから行ってきます。」 

 日本で一番低い山は天保山だが、これは国土地理院が発行している2万5千分の1地形図に地名が記載されている山のうちの日本一。地形図に記載がない山、すなわち、お上のお墨付きをもらっていない山まで含めると、大潟富士こそ日本一だ、というわけです。なんてったって、海抜0mだから、これ以上低い山はない、ということになります。そこで、大潟村の村民に提案! 「国土地理院に、大潟富士の地名を記載するよう、働きかけましょう!」 大潟村の人でこれを読んでくれている人は今のところ、皆無だと思うし、「そんなこと、昔からやっている」かもしれないし、逆に、大潟村の人は、お上の言うとおりやっていたら飯の食い上げ、ということを身をもって知っているから、「お上のお墨付きなんざぁ、いらねぇ!」と思っているかもね。

 大潟富士はなぜ海抜0mなのか? ちょっとした地理クイズですね。答は大潟村のHPに書いてあります。山頂をちょっと削れば、海抜マイナスXmの山も可能なのだ。そういう山を作る楽しみが可能な場所は、八郎潟干拓地の大潟村か、木曽三川下流部の輪中地帯など、ごく限られた場所しかありませんね。限られるといっても、日本にはけっこうたくさんありそうで、そういうところに住んで地域計画をたてている人は、「低山記録を塗り替える」ってことを一生の仕事にすることができるかもね。

 ついでに、大潟村は、ドロンテン市という町と姉妹都市縁組みをしています。これもちょっとした地理推理クイズになりますね。ドロンテン市はどこの国のどの辺にあるでしょうか? 答は大潟村HPの国際交流のページにあります。

 そこで、ふと思ったが、世界で一番低い山はどこにあるのだろうか? ドロンテン市のある国じゃないような気がしますね。「世界の主な窪地」を調べると、死海周辺がマイナス400mで、そこが陸地最低部なので、そこに名の知れた山があれば、そいつが世界一低い山なのだ。なければ作って宣伝すればいい。


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